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NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果(KEYNOTE-021)/ESMO2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペメトレキセド+カルボプラチン化学療法(PC)群とペムブロリズマブ+化学療法(pembro+PC)群とを比較した第II相試験、KEYNOTE-021コホートGの更新結果が、米国Fox Chase Cancer Center のHossein Borghaei氏によりスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congerss)で発表された。 KEYNOTE-021試験コホートGの初回解析では追跡期間中央値(10.6ヶ月)においては、 無増悪生存期間(PFS)のHRは0.53を示し、pembro+PC群で有意に改善した(p=0.010)。 全生存期間(OS)のHRは0.90で、pembro+PC群で優位であった。その後、ASCO2017において、14.5ヵ月の追跡調査データが発表された。その際のPFSのHRは0.49でpembro+PC群で有意に高く(p=0.0035)、客観的奏効率(ORR)についてもpembro+PC群で有意に優れていた(p=0.0016)。OSのHRは0.69で、pembro+CP群で長い傾向が持続していた。今回の発表は、追跡調査中央値18.7ヵ月(0.8~29.0)の結果である(データカットオフ2017年5月31日)。 結果、ORRはpembro+PC群で56.7%、PC群で31.7%(推定差24.8%、95%CI:7.2~40.9%、p=0.0029)であった。PFSはpembro+PC群19.0ヵ月(8.5~NR)、PC群8.9ヵ月(6.2~11.8)で、有意にpembro+PC群が優れていた(HR:0.54、95%CI:0.33~0.88、p=0.0067)。OSはpembro+PCでは未到達(22.8~NR)、PCでは20.9ヵ月(14.9~NR)、HRは0.59(95%CI:0.34~1.05、p=0.03)で、前回の解析に比べ差が開いた。また、PC群の53例の治療中止患者うち40例(75%)が、抗PD-1/抗PD-L1療法を後治療として受けたが、そのうち25例は試験内のペムブロリズマブへのクロスオーバーであった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、pembro+PC群の41%、PC群の29%で発現した。治療曝露期間は、pembro+PC群10.1ヵ月に対し、PC群では4.9ヵ月である。 初回解析で観察されたpembro+PC群のPC群に対するPFSおよびORRの有意な改善は、今回の追跡調査(中央値18.7ヵ月)でも維持されていた。OSのHRはpembro+PC群における優位を続けている。■参考KEYNOTE-021試験(Clinical Trials.gov)■関連記事NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善/ESMO2016ペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

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既治療の非小細胞肺がんに対するnab-パクリタキセル、単独およびdurvalumabとの併用が有望(abound2L+)/ESMO2017

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する2次、3次治療は免疫チェックポイント阻害薬の登場で進化した。しかし、長期間のベネフィットを得られる患者は一部であり、最終的に化学療法を追加することになる患者も少なくない。nab-パクリタキセル(nab-P)はカルボプラチンとの併用で、進行NSCLCの1次治療の認可を得ているが、2次治療における効果も報告されている。またアザシチジン(CC-486)のようなDNAメチル基転移酵素阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬と同様に化学療法の効果を上げるとされる。スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)において、nab-Pの単独療法とCC-486、およびPD-L1阻害剤durvalumabとの併用における安全性と有効性を評価したabound2L+試験の結果が、米国Washington University School of MedicineのDavid Morgenszter氏により発表された。 abound2L+試験は2つの無作為化群と1つの非無作為化群の3群で行われている。無作為化群では、化学療法既治療の進行非扁平上皮NSCLC患者161例が、nab-P単独群とnab-P+CC-486群に1:1で割り付けられた。その後、プロトコルを改訂し、無作為化群としてnab-P+durvalumab群を追加した。nab-P+durvalumab群では、扁平上皮がん、免疫チェックポイント阻害薬既治療患者の登録も許容した。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は安全性、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)である。 3群の患者背景は同様であったが、nab-P+durvalumab群においては、扁平上皮がんが29.1%、免疫チェックポイント阻害薬既治療例が11.4%含まれた。 主要評価項目であるPFSは、nab-P+CC-486群の3.2ヵ月に対しnab-P単独群は4.2ヵ月であった(HR:1.3)。副次評価項目のOSは、nab-P+CC-486群の8.4ヵ月に対しnab-P単独群は12.7ヵ月であった(HR:1.4)。ORRは13.6%に対し13.8%(HR:0.99)。nab-PへのCC-486追加によるPFS、OS、ORRの改善は見られなかった。一方、nab-P+durvalumab群の79人の患者の中間解析におけるPFSは免疫チェックポイント阻害薬未治療例では4.4ヶ月、既治療例では6.9ヵ月であった。ORRは26.6%と他の2群より高い結果を示した。OS中央値は未達である。 3群全体(240例)における治療関連有害事象(AE)で頻度の高かったものは、呼吸困難、末梢神経障害、好中球減少、貧血であった。 nab-P単独療法は、既治療の非扁平上皮NSCLCに対し期待できる効果を示した。しかし、同剤へのCC-486の追加は、ベネフィットがみられなかった。また、nab-Pとdurvalumabの併用については、2次、3次治療にける実現可能な治療法であることが示された。

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BRCA1/2遺伝子変異を有するトリプルネガティブ乳がんにおいてPARP阻害薬オラパリブはPFSを延長する − OlympiAD試験(解説:矢形 寛 氏)-705

 本報告は、2017年米国臨床腫瘍学会のプレナリーセッションで取り上げられたもので、発表と同時に論文化された。 既存の治療と比べてPFSを中央値で4.2ヵ月から7.0ヵ月に延長した。一見小さな差であるようにみえるが、そもそも予後不良であるサブグループに対してこのように延長したのは十分注目に値する。 有害事象に関しても、貧血がコントロール群と比べて頻度が高いほかは、olaparib群のほうが良好であった。経口薬でもあり、QOLという点からもその意義は高い。全生存率には差がなかったが、症例数から言っても差を検出するのは難しそうである。 BRCA1/2遺伝子変異を有する卵巣がんに対するolaparibの効果は第III相試験でも非常に大きかったが、カルボプラチン感受性という症例に限られており、乳がんでも同様の適応にすれば、さらに治療効果は期待できるのではないか。

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多くのがん種で開発中、ペムブロリズマブの最新トピックス

 2017年7月4日、MSD株式会社はメディアラウンドテーブルを開催し、同社グローバル研究開発本部オンコロジーサイエンスユニット統括部長の嶋本 隆司氏が、ASCO2017の発表データを中心にキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の最新トピックスを解説するとともに、併用療法を含めた今後の開発戦略について語った。 本邦において、ペムブロリズマブは2016年に「根治切除不能な悪性黒色腫」および「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する適応を取得。2015年に「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に対して「先駆け審査指定品目」の指定を受けているほか、現在は「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」および「局所進行性または転移性の尿路上皮がん(優先審査対象)」が承認申請中、13がん種以上で後期臨床開発プログラムが進んでいる。米国でNSCLCは適応拡大、尿路上皮がんとMSI-H/dMMR固形がんで承認取得 ASCO2017では、ペムブロリズマブについて16のがん種に対する50以上のデータが発表された。肺がん領域は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)の続報が中心となった。初回治療でEGFRまたはALK変異がなく、かつPD-L1発現不問の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、化学療法との併用を評価したKEYNOTE-021試験(コホートG)では、統計学的な有意差は得られなかったものの、長期フォローアップで全生存期間(OS)の延長傾向が示された。米国ではすでにPD-L1発現を問わず、化学療法との併用でNSCLCの1次治療に適応が拡大され、現在、日本も参加して第III相試験(KEYNOTE-189試験)を実施中という。 米国で2017年5月に相次いで承認された、尿路上皮がん(1次治療、2次治療)、高度マイクロサテライト不安定(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)を示す進行固形がんに対する試験結果も発表された。がん種によらない、バイオマーカーに対する初の薬剤承認として注目されたMSI-H/dMMR固形がん患者に対する単剤療法を評価した試験としては、1レジメン以上の治療歴のある大腸がん以外の進行固形がん患者対象のKEYNOTE-158試験、2レジメン以上の治療歴のある進行大腸がん患者対象のKEYNOTE-164試験の結果が発表され、それぞれ全奏効率(ORR)が38%(29/77例)、28%(17/61例)、病勢コントロール率が58%(45/77例)、51%(31/61例)という結果が得られている。進行胃がん、トリプルネガティブ乳がんでも有望な結果 2ライン以上の治療歴のある進行胃がん患者(259例)を対象に単剤療法を評価したKEYNOTE-059試験(コホート1)では、42.4%の患者で何らかの腫瘍縮小効果がみられ、ORRは11.6%であった。この結果を基に、米国では優先審査の対象に指定され承認審査が進んでいる。嶋本氏は「ORRだけをみると目を見張るような結果ではないが、治療の選択肢がすでに非常に限られた対象であること、多くの患者で腫瘍縮小効果がみられたことが評価され、優先審査につながったと考えている」と話した。 また、トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、術前化学療法との併用を評価したKEYNOTE-173試験では、病理学的完全奏効率(pCR)がコホートA(ペムブロリズマブ+パクリタキセル→ペムブロリズマブ+ドキソルビシン/シクロホスファミド[AC])で50~60%、コホートB(ペムブロリズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン→ペムブロリズマブ+AC)で80%という結果が得られた。「従来の術前化学療法のpCRは20~30%であることから、ペムブロリズマブの乳がんに対する効果を示す有望な予備データといえる」と嶋本氏。同じく術前化学療法との併用を評価したI-SPY2試験では、トリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ群(ペムブロリズマブ+パクリタキセル→AC)の推定pCRがコントロール群(パクリタキセル→AC)の3倍となるという結果が得られている。この結果を受け、現在、日本も参加して第III相試験が進行中という。IDO阻害薬との併用、単剤よりも高い奏効率 IDO(indoleamine 2,3-dioxygenase)阻害薬epacadostatとの併用を評価したECHO-202試験の結果も発表されている。本試験は複数のがん種に対して行われているが、そのうちNSCLC、転移性または再発性の扁平上皮頭頸部がん(SCCHN)、進行性尿路上皮膀胱がん(UC)、進行性腎細胞がん(RCC)の結果が紹介された。NSCLCでORRが35%(14/40例)、SCCHNで34%(13/38例)、UCで35%(14/40例)、RCCで33%(10/30例)と、いずれもペムブロリズマブ単剤よりも高い奏効率が得られている。日本人を含む第III相試験が進行中または準備を進めている段階で、早期の承認取得を目指すという。安全性については、本試験の安全性解析対象集団である進行がん患者294例を対象としたプール解析の結果、Grade 3以上の有害事象は患者の18%に認められ、最も高頻度のものはリパーゼ上昇(無症候性)4%、次いで発疹3%であった。この結果について嶋本氏は、「単剤と比較して大きく毒性が増すものではないとみられる」と話した。 IDO阻害薬のほか、化学療法や分子標的治療薬、新規ワクチンなどとの併用療法について、現在300以上の臨床試験が進行中だという。嶋本氏は、「がん種ごと、さらには肺がんのように多様性のあるがん種では患者背景ごとにアプローチしていくことも視野に入れて、ペムブロリズマブを核に、それぞれ適切な併用薬を検証していく」と結んだ。■関連記事ペムブロリズマブ、尿路上皮がんの優先審査対象に指定:MSDNSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017尿路上皮がんにペムブロリズマブを承認:FDAペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA進行胃がん、ペムブロリズマブの治療効果は?KEYNOTE-059/ASCO2017早期乳がんにおける免疫療法の役割の可能性

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PD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017

 PD-L1高発現(TPS50%以上)SageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較したKEYNOTE-024試験。初回解析で、無増悪生存期間(PFS)のハザードレシオ(HR)は0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRは0.60(p=0.005)と、ペムブロリズマブの優越性が示された。ASCO2017では、その後の追跡によるPFS2と、アップデートされたOSについて、米国The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie Brahmer氏が発表した。 PFS2の定義は、無作為化から2次治療のPD、または死亡、いずれかが最初に生じるまでの期間とした。なお、初回治療が化学療法の患者はPD後のペムブロリズマブへのクロスオーバーが許容された。追跡期間の中央値は19.1ヵ月であった(データカットオフ2017年1月5日)。 結果、1次治療の中断は、ペムブロリズマブ群では154例中107例、化学療法群では151例中120例であった。中断後に2次治療に移行した患者は、ペムブロリズマブ群で48例(31.2%)、化学療法群では97例(64.2%)と、ペムブロリズマブ群で少なかった。ペムブロリズマブ群の後治療の内訳をみると、プラチナダブレットが48例中42例と多くを占め、なかでもカルボプラチン+ペメトレキセド±ベバシズマブが最多であった。化学療法群の後治療は、ペムブロリズマブへのクロスオーバーが97例中79例、クロスオーバー外での抗PD-1療法が97例中12例(うちペムブロリズマブが3例)を占めた。 PFS2は、ペムブロリズマブ群で18.3ヵ月(12.7~NE)、化学療法群で8.4ヵ月(6.8~9.8)と、ペムブロリズマブ群で有意に長かった(HR:0.54、95%CI:0.40~0.72、p<0.001)。アップデートOSは、ペムブロリズマブ群では未達(19.4~NE)、化学療法群では14.5ヵ月(9.8~19.6)と、ペムブロリズマブ群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.46~0.88、p=0.003)。化学療法からの高いクロスオーバー率にもかかわらず、ペムブロリズマブ群が一貫した優越性を維持した。PD-L1高発現NSCLCにおける初回治療は、ペムブロリズマブから行うことで、化学療法に比べ生命予後の改善がみられた。■参考ASCO2017AbstractKEYNOTE-024試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJMペムブロリズマブ、非小細胞肺がん(PD-L1高発現)1次治療に承認:FDAペムブロリズマブ、肺がん1次治療でQOLを改善肺がん特集

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NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療における、化学療法+ペムブロリズマブ群と化学療法群を比較した第II相試験KEYNOTE-021コホートGの更新結果が、米国MD Anderson Cancer CenterのVassiliki Papadimitrakopoulou氏らによりASCO2017で発表された。 同試験では、Stage IIIB~IVで化学療法未治療の非扁平上皮NSCLC(EGFR変異またはALK転座を伴わない)123例を、カルボプラチン+ペメトレキセド(CP)群とペムブロリズマブ追加(pembro+CP)群に、無作為に割り付けて比較している。初回解析では、主要評価項目の客観的奏効率(ORR)(55%対29%、p=0.0016)、主たる副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)(HR:0.53、p=0.0102)共に、pembro+CP群で有意に改善されている。全生存期間(OS)は、両群とも6ヵ月OSで92%と同等であった。 今回の発表は2016年12月31日時点でのもので、フォローアップ中央値は14.5ヵ月(0.8~24.0)である。ORRはpembro+CP群56.7%(43.2~69.4)、CP群30.2%(19.2~43.0)で、初回解析と同様にpembro+CP群で有意に高かった(p=0.0016)。 PFSはpembro+CP群は未達(9.7~NR)、CP群では8.9ヵ月(6.2~10.3)で、pembro+CP群で有意に長かった(HR:0.49、95%CI:0.2~0.83、p=0.0035)。OS については、CP群の75.0%がクロスオーバーしたという条件の下、12ヵ月推定値はpembro+CP群76.0%、CP群69.3%と、統計的有意ではないものの、pembro+CP群で高い傾向であった(HR:0.69、95%CI:0.36~1.31、p=0.13)。また、9ヵ月推定値のpembro+CP群84.6%、CP群82.3%と比較すると、OSの差は拡大傾向にあった。奏効期間は、pembro+CP群では中央値に達しておらず(1.4+〜18.6+)、CP群では16.2ヵ月(2.8〜20.7+)であった。■参考ASCO2017 AbstractKEYNOTE-021試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

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ペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

 Merck社は2017年5月10日、米国食品医薬品局(FDA)が、ペメトレキセド+カルボプラチン(pem/carbo)レジメンとの併用で、PD-L1発現とは無関係に、ペムブロリズマブを転移性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に承認したと発表した。 この承認は、オープンラベル、多施設、複数コホートのKEYNOTE-021試験(コホートG1)の結果に基づくもの。KEYNOTE-021試験は、EGFRまたはALK変異がなく、かつPD-L1発現不問の局所進行・転移性の非扁平上皮NSCLCの未治療患者123例において行われた。患者は、ペメトレキセド+pem/carbo(n=60)またはpem/carbo単独(n=63)に無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は、独立第3者評価機関(BIRC)判定による全奏効率(ORR)。追加の有効性評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、全生存期間であった。 試験の結果、ORRはペムブロリズマブ+pem/carboで55%(95%CI:42〜68)、pem/carbo単独では29%(95%CI:18 〜41)と、ペムブロリズマブ+pem/carboのORRは約2倍であった(p=0.0032)。PFS中央値はペムブロリズマブ+pem/carboで13.0ヵ月(95%CI:8.3〜推定不可)、pem/carbo単独では8.9ヵ月(95%CI:4.4〜10.3)と、ペムブロリズマブ+pem/carboで有意に改善した(HR:0.53、95%CI:0.31〜0.91、p=0.0205)。 探索的研究では、PD-L1発現の有無にかかわらず同様の結果を示しており、PD-L1非発現患者(TPS1%未満)のORRは、ペムブロリズマブ+pem/carboで57%、pem/carbo単独では13.0%。PD-L1発現患者(TPS1%以上)のORRは、ペムブロリズマブ+pem/carboで54%、pem/carbo単独では38%であった。 ペムブロリズマブの単独療法は、EGFRまたはALK変異のないPD-L1高発現(TPS50%以上)の転移性NSCLC患者の1次治療として、また、PD-L1発現1%以上の転移性NSCLC患者の2次治療以降としてすでに承認されている。今回承認された適応症の継続は、確認試験における臨床的有益性の検証結果により決定される。(ケアネット 細田 雅之)参考Merck社ニュースリリースペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用でKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDA

 ノバルティスは2017年2月23日、米国食品医薬品局(FDA)が、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対する1次治療薬として、セリチニブ(商品名:ジカディア)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を受理したと発表した。 FDAはまた、脳転移を伴うALK陽性の転移性NSCLC患者のセリチニブをブレークスルーセラピーに指定した。 セリチニブの1次治療に対するこのsNDA提出は、ASCEND-4試験の初回解析の結果に基づいている。ASCEND-4は、ステージIIIBまたはIVのALK陽性進行NSCLC成人患者の1次治療における、セリチニブの安全性および有効性を標準化学療法と比較した国際第III相無作為化オープンラベル多施設臨床試験。被験者は、セリチニブ群(750mg /日)と化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC 5~6を4サイクル後ペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられた。 無増悪生存期間(PFS)中央値は、セリチニブ治療群の16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)に対し、化学療法群では8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)で、化学療法群と比較してセリチニブ群で45%のPFSリスク減少が得られた(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、片側p<0.001)。 スクリーニング時に脳転移のない患者のPFS中央値は、セリチニブ群26.3ヵ月(95%CI:15.4~27.7)、化学療法群では8.3ヵ月(95%CI:6.0~13.7)であった(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)。脳転移を伴う患者では、セリチニブ群10.7ヵ月(95%CI:8.1~16.4)、化学療法では6.7ヵ月(95%CI:4.1~10.6)であった(HR:0.70、95%CI:0.44~1.12)。頭蓋内における全体奏効率(ORR)72.7%(95%CI:49.8~89.3)は、全身ORRの72.5%(95.5%CI:65.5~78.7)と一貫した結果であった。 セリチニブ群の25%以上で発生する一般的な有害事象(AE)は、下痢、悪心、嘔吐、食欲低下、ALT上昇、AST上昇、γ-グルタミルトランスフェラーゼ上昇、アルカリフォスファターゼ上昇、疲労であった。ノバルティス(Global)のプレスリリースはこちら

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ALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、セリチニブ(商品名:ジカディア)は従来の化学療法に比べ予後を改善することが、フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行ったASCEND-4試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月23日号に掲載された。ALK遺伝子転座は、NSCLC患者の3~7%にみられるドライバー遺伝子変異で、比較的若年、非喫煙/軽度喫煙歴、肺腺がんの患者に多い。セリチニブは、次世代の選択的経口ALK阻害薬で、血液脳関門を通過するため脳転移への効果も期待できるという。プラチナ製剤ベース化学療法と無作為化試験で比較 ASCEND-4は、ALK遺伝子転座陽性NSCLC患者におけるセリチニブとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性と安全性を比較する非盲検無作為化第III相試験(Novartis Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ALK遺伝子転座を有する未治療の局所進行または転移性のNSCLC(Stage IIIB/IV)で、で、全身状態(WHO PS)が0~2、無症候性または神経学的に安定した脳転移を有する患者とし、術前または術後の全身療法の終了から12ヵ月以上経過後の再発例も可とした。 被験者は、セリチニブ(750mg/日)を経口投与する群またはプラチナ製剤ベースの化学療法を施行する群に無作為に割り付けられた。化学療法は、シスプラチン(75mg/m2)またはカルボプラチン(AUC 5~6)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごとに4サイクル施行後に、ペメトレキセドによる維持療法(500mg/m2、3週ごと)を行った。 主要評価項目は無増悪生存(PFS)とし、判定は、無作為割り付けされたすべての患者(最大の解析対象集団[FAS])を対象に、独立の評価委員会が盲検下に行った。有効性解析はFASで、安全性解析は1回以上の薬剤の投与を受けた全患者で実施した。 2013年8月19日~2015年5月11日に、日本を含む28ヵ国134施設に376例(FAS)が登録され、セリチニブ群に189例、化学療法群には187例が割り付けられた。セリチニブ群は全例が、化学療法群は175例(シスプラチン:87例、カルボプラチン:88例)が治療を受け、化学療法群の127例(73%)が維持療法を受けた。PFS期間中央値が2倍以上に延長 ベースラインの年齢中央値はセリチニブ群が55.0歳、化学療法群は54.0歳で、女性がそれぞれ54%、61%、アジア人が40%、44%含まれた。また、非喫煙者はそれぞれ57%、65%、腺がんが95%、98%、転移性(Stage IV)が95%、97%、で、脳転移は31%、33%に認められた。 PFS期間中央値は、セリチニブ群が16.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.6~27.2)と、化学療法群の8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.00001)。担当医判定のPFS期間中央値も、セリチニブ群が有意に優れた(16.8ヵ月 vs.7.2ヵ月、HR:0.49、95%CI:0.37~0.64、p<0.00001)。 ベースライン時に脳転移のない患者のPFS期間中央値はセリチニブ群が26.3ヵ月、化学療法群は8.3ヵ月(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)であり、脳転移がみられた患者はそれぞれ10.7ヵ月、6.7ヵ月(HR:0.70、95%CI:0.44~1.12)であった。 全生存(OS)のデータは解析時にはまだ不十分で、OS期間中央値はセリチニブ群が未到達(95%CI:29.3~推定不能)、化学療法群は26.2ヵ月(95%CI:22.8~推定不能)であった(HR:0.73、95%CI:0.50~1.08、p=0.056)。 全奏効率(72.5% vs.26.7%)、奏効までの期間中央値(6.1週 vs.13.4週)、奏効期間中央値(23.9ヵ月 vs.11.1ヵ月)、測定可能な頭蓋内病変の奏効率(72.7% vs.27.3%)、患者報告アウトカム(EORTC QLQ-C30、QLQ-LC13、LCSS、EQ-5D-5L)は、全般にセリチニブ群が良好だった。 最も頻度の高い有害事象は、セリチニブ群が下痢(85%)、悪心(69%)、嘔吐(66%)、ALT上昇(60%)、化学療法群は悪心(55%)、嘔吐(36%)、貧血(35%)であった。Grade 3/4の有害事象は、セリチニブ群ではALT上昇(31%)、γ-GT上昇(29%)、AST上昇(17%)の頻度が高く、化学療法群では好中球減少(11%)、貧血(7%)、嘔吐(6%)、呼吸困難(6%)の順だった。 著者は、「セリチニブは、ALK遺伝子転座陽性NSCLCの1次治療における新たな治療選択肢とみなすことが可能である」と指摘している。

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ペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用で

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. は2017年1月10日、FDA(米国食品医薬品局)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。この申請は、同社の抗PD-1 抗体ペムブロリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)の併用を、PDーL1発現の有無にかかわらず(EGFRおよびALK変異のない)転移性・進行の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療とするというもの。 これはペムブロリズマブが他の治療法との併用で承認を目指す初めての申請となる。この申請では、ペムブロリズマブ200mg(固定容量)と、ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチンAUC5 の3週ごと4サイクルの併用についての迅速承認を求めている。申請の基礎となったKEYNOTE-021 part2 コホートGは、123例のEGFRおよびALK変異のない未治療の非扁平上皮NSCLCで、PDL1発現にかかわらない患者に対して行われた。 ペムブロリズマブは、PD-L1高発現(50%以上)で、EGFRおよびALK変異陰性のNSCLCの1次治療に承認されている。また、PD-L1発現1パーセント以下の場合、EGFRおよびALK変異陰性例では、プラチナを含む化学療法で病勢進行した患者に、EGFRおよびALK変異陽性例では、承認された各治療で病勢進行した患者での適応を有している。(ケアネット 細田 雅之)MERCK(米国)のニュースリリースはこちら関連情報ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJM

 オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は、EGFRチロシンキナーゼ(TKI)阻害薬による1次治療で病勢進行したEGFR T790M変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(中枢神経系転移例も含む)において、標準治療であるプラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法より臨床効果が有意に優れることが認められた。香港・Prince of Wales HospitalのTony S. Mok氏らが、国際非盲検無作為化第III相臨床試験(AURA3試験)の結果を報告した。オシメルチニブは、EGFR-TKI感受性およびT790M耐性変異を有するNSCLCに対する選択的EGFR-TKIで、プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法と比較したオシメルチニブの有効性は知られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年12月6日号掲載の報告。約400例で有効性を比較 研究グループは、EGFR-TKIによる1次治療後に病勢進行した局所進行または転移性EGFR T790M陽性進行NSCLC患者419例を、オシメルチニブ群(80mg1日1回経口投与)と、プラチナ製剤+ペメトレキセド群に2対1の割合で割り付けた。後者のレジメンは具体的に、ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチン(AUC5)またはシスプラチン(75mg/m2)を3週間ごとに最大6サイクルで、ペメトレキセドの維持療法可とした。 主要評価項目は、試験担当医の評価による無増悪生存期間(PFS)であった。オシメルチニブ群でPFSが約6ヵ月延長 PFS中央値は、オシメルチニブ群10.1ヵ月、プラチナ製剤+ペメトレキセド群4.4ヵ月であり、オシメルチニブ群で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.30、95%信頼区間[CI]:0.23~0.41、p<0.001)。奏効率(ORR)も、オシメルチニブ群71%(95%CI:65~76)、プラチナ製剤+ペメトレキセド群31%(95%CI:24~40)で、オシメルチニブ群が有意に高かった(オッズ比:5.39、95%CI:3.47~8.48、p<0.001)。 中枢神経系に転移を認める144例においても、無増悪生存期間はオシメルチニブ群でプラチナ製剤+ペメトレキセド群より延長した(中央値8.5ヵ月 vs.4.2ヵ月、HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)。 Grade3以上の有害事象の発現頻度は、オシメルチニブ群(23%)がプラチナ製剤+ペメトレキセド群(47%)より低かった。投与中止に至った有害事象も、オシメルチニブ群が少なかった(7% vs.10%)。

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非小細胞肺がん1次治療、ニボルマブ単剤と化学療法の比較:CheckMate-026

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、PD-L1発現レベルが1%以上の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法を評価したCheckMate-026試験の主要解析の最終結果を発表した。本試験は、PD-L1発現レベルが5%以上の患者における無増悪生存期間(PFS)を評価することを目的に実施された。すでに公表された本試験のトップライン結果では、化学療法と比較し、主要評価項目であるPFSの優越性が示されなかったと公表されている。 PD-L1発現レベルが5%以上の患者におけるPFS中央値はニボルマブ群で4.2ヵ月、プラチナ・ダブレット群(以下、化学療法群)では5.9ヵ月であった(層別化HR:1.15、95%CI:0.91~1.45、p=0.25])。全生存期間(OS)は、ニボルマブ群で14.4ヵ月、化学療法群では13.2ヵ月であった(HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。化学療法群の60%が、PD後にニボルマブによる治療へ切り替えられた。ニボルマブの安全性プロファイルは、従来の報告と一貫していた。投与患者における全GradeおよびGrade3~4の有害事象(AE)発現率は、ニボルマブ群でそれぞれ71%と18%、化学療法群では92%と51%であった。これらの結果は、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。 CheckMate026試験は、進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、ニボルマブの単剤療法と治験担当医師が選択した化学療法薬とを比較した第III相の無作為化オープンラベル試験。進行期の病状に対する全身治療を受けておらず、PD-L1発現陽性(1%以上)患者541例が登録され、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに投与か、治験担当医師が選択したプラチナ・ダブレット化学療法(扁平上皮がん患者ではゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチンのいずれか、非扁平上皮がん患者ではペメトレキセド+シスプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチンのいずれかの後に任意でペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられ、病勢進行や忍容できない毒性が認められるまで、あるいは6サイクルが完了するまで投与された。主要評価項目はPD-L1発現レベル5%以上の患者におけるPFSで、独立放射線評価委員会により評価された。 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら

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ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMO

 未治療進行非小細胞肺がんの標準的な1次化学療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の追加が、奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、コペンハーゲンで開催されたESMO 2016会議で報告された。 第II相試験 KEYNOTE-021は、ステージIIIB / IVの未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん患者123例をカルボプラチン(AUC5)・ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと4サイクル併用群とカルボプラチン・ペメトレキセド併用+ペムブロリズマブ(200mg)3週ごと24ヵ月追加群に無作為に割り付け行われた。 10.6ヵ月(中央値)後のORRは、ペムブロリズマブ追加群で有意に高かった(ペムブロリズマブ追加群:55%、化学療法群:29%、p=0.0016)。腫瘍PD-L1発現量による結果は示されなかったものの、研究者らはペムブロリズマブ追加群ではPD-L1発現量50%以上の腫瘍で奏効率が高かった(80%程度)ことを明らかにした。 PFSはペムブロリズマブ追加群で優れていたが(ペムブロリズマブ追加群:13.0ヵ月、化学療法群:8.9ヵ月)、生存率(OS)は両群で同等(6ヵ月生存率 92%)であった。Grade3以上の有害事象の発生率はペムブロリズマブ追加群で高かった(ペムブロリズマブ追加群:39%、化学療法群:26%)。しかし、それらの有害事象は治療中止率(ペムブロリズマブ追加群10%、化学療法群13%)および治療関連死には影響を及ぼさなかった。ペムブロリズマブ追加群でよく見られた有害事象は、疲労感や吐気、化学療法群では貧血であった。ESMO2016のプレスリリースはこちら

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新規候補薬剤veliparibがトリプルネガティブ乳がんに有効な可能性(解説:矢形 寛 氏)-575

 I-SPY2試験は、新規薬剤の有効性をみるために、再発率の高い乳がんに対して、乳がん術前化学療法でpCR率を標準治療との間で比較する無作為化第II相試験である。 少ない症例数、低コスト、短い期間で効率的に候補を選び出す試験として注目を浴びている。 バイオマーカーを使って乳がんのサブタイプ分類を行い、どのサブタイプが新規薬剤に有効でありそうかを調べるのであるが、適応的ランダム化という方法を使って適宜割り付けを調整し、有効である確率が高いサブタイプを抽出して、第III相試験に移行させていこうというものである。 PARP阻害薬とプラチナ製剤の組み合わせは、過去の試験よりトリプルネガティブ乳がんに対して有効でありそうだということが知られているが、本試験でもPARP阻害薬であるveliparibとカルボプラチンの有効性が高そうだということがわかった。このような方法論は、今後も普及していく可能性がある。

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トリプルネガティブ乳がん、veliparib+CBDCA併用の術前化学療法でpCR向上/NEJM

 トリプルネガティブの乳がん患者では、術前補助化学療法として標準療法に加え、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬veliparib+カルボプラチンを併用することで、病理学的完全奏効率が向上することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らが、多施設共同の適応的無作為化第II相試験「I-SPY2」で明らかにしたもので、NEJM誌2016年7月7日号で発表した。乳がんは、遺伝的・臨床的不均一性から有効な治療の特定が困難になっている。研究グループは、実験的試験で効果のあるがんサブタイプを見つけることを目的とした。被験者を10種のバイオマーカー標識に分類 試験は、腫瘍が直径2.5cm以上でステージIIまたはIIIの乳がんの女性を対象に、実験的レジメンにより治療アウトカムが向上する乳がんサブタイプについて調べるもので、現在も継続中である。 具体的には、乳がんをヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)、ホルモン受容体、70の遺伝子アッセイにより8つのバイオマーカー・サブタイプに分類。そのうえで、あらかじめ定義したバイオマーカーの組み合わせで10種のバイオマーカー標識を作成し、標準治療と実験的レジメンを比較することとした。被験者は、標準療法よりも良好な成績のレジメンを受けられるよう、バイオマーカー・サブタイプ内で適応的無作為化を行った。 今回報告されている標準療法にveliparibとカルボプラチンを併用するレジメンは、HER2陰性腫瘍について検討され、3標識について評価が行われた。 主要評価項目は、病理学的な完全奏効で、治療中にMRIで腫瘍体積を測定して完全奏効を予測する形で評価。また、ベイズ確率で第III相試験での成功予測が高いと示されたレジメンについて、第II相から第III相へ進めると判定することとした。標準療法にveliparib+カルボプラチンで病理学的完全奏効が51% veliparib+カルボプラチンを投与した被験者は72例、対照群は44例だった。トリプルネガティブ(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2が陰性など)の患者において、化学療法終了時点で病理学的完全奏効が予測された人の割合は、veliparib+カルボプラチン群が51%(95%ベイズ確率区間:36~66)だったのに対し、対照群では26%(同:9~43)だった。 また、トリプルネガティブ乳がんに関して、veliparib+カルボプラチンレジメン治療が第III相で成功する確率は88%だった。 なお、veliparib+カルボプラチン群の毒性は、対照群より高かった。

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卵巣がんへの週1回パクリタキセル、生存期間を延長するか/NEJM

 進行卵巣がんに対するパクリタキセル+カルボプラチン併用療法では、投与間隔を1週ごとに短縮した投与法(dose-dense療法)を行っても、通常の3週ごとの投与法に比べ予後は改善しないことが、米国・Sutterがん研究所のJohn K Chan氏らが行ったGOG-0262試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年2月25日号に掲載された。投与の間隔を狭めて頻度を高めたdose-dense療法は、血管新生を阻害し、アポトーシスを促進するため、薬剤の抗腫瘍効果を増強する可能性があるという。パクリタキセルの毎週投与法は乳がん患者の生存期間を延長することが示され、卵巣がんでは日本の研究(JGOG 3016試験)でdose-dense療法の有望な結果が報告されている。2つの投与法の効果を無作為化第III相試験で評価 GOG-0262試験は、進行卵巣がんの初回治療におけるパクリタキセル+カルボプラチン併用療法のdose-dense療法と通常治療の有用性を比較する非盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、新規に診断され、完全切除が達成されなかったStage III/IVの上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんとした。最大径が1cm以上の遺残病変がみられないStage II/IIIの患者や、術前補助療法を希望する患者も含まれた。 被験者は、ベバシズマブ投与の有無で層別化したのち、パクリタキセル(175mg/m2)+カルボプラチン(AUC=6)を3週に1回(第1日)静脈内投与する群(通常治療群)またはパクリタキセル(80mg/m2)+カルボプラチン(AUC=6)を第1、8、15日に静脈内投与する群(dose-dense療法群)に無作為に割り付けられた。3週を1サイクルとして6サイクルを施行することとした。 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)であった。 2010年9月~2012年2月の間に、米国、カナダ、韓国の200以上の施設に692例が登録され、両群に346例ずつが割り付けられた。全体では、60歳未満が46%、Stage III/IVが97%、上皮性卵巣がんが79%であり、ベバシズマブの投与は84%が、術前補助療法は13%が受けた。ベバシズマブ非投与例ではPFS中央値が有意に延長 PFS中央値は、dose-dense療法群が14.7ヵ月であり、通常治療群の14.0ヵ月と比較して有意な延長はみられなかった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.74~1.06、p=0.18)。 一方、ベバシズマブの投与を受けなかった患者のPFS中央値は、dose-dense療法群が14.2ヵ月と、通常治療群の10.3ヵ月に比し3.9ヵ月有意に延長した(HR:0.62、95%CI:0.40~0.95、p=0.03)。 これに対し、ベバシズマブの投与を受けた患者では、PFS中央値はそれぞれ14.9ヵ月、14.7ヵ月であり、有意差はみられなかった(HR:0.99、95%CI:0.83~1.20、p=0.60) 治療効果の同質性(homogeneity)について交互作用検定を行ったところ、ベバシズマブ投与例と非投与例に有意な差が認められた(p=0.047)。 全生存期間(OS)中央値は、dose-dense療法群が40.2ヵ月、通常治療群は39.0ヵ月であり、有意差はなかった(HR:0.94、95%CI:0.72~1.23)。 全体で最も頻度の高いGrade 3/4の有害事象は好中球減少(78%)であった。dose-dense療法群の発現率は72%であり、通常治療群の83%よりも有意に低かった(p<0.001)。 Grade 3/4の貧血の頻度は、dose-dense療法群が36%と、通常治療群の16%よりも高く(p<0.001)、Grade 2~4の感覚性ニューロパチーも、dose-dense療法群は26%であり、通常治療群の18%よりも高頻度であった(p=0.01)。 14例が担当医により治療関連死の可能性があると判定され、dose-dense療法群が6例、通常治療群は8例だった。 著者は、「NCIが最近行った卵巣がん患者の人口ベースの研究では、アジア系は白人よりも生存率が高いことが示され、治療への反応や毒性作用に関してゲノム薬理学的な人種差がある可能性も示唆されている。これにより、本試験とJGOG 3016試験の結果の違いが説明できるかもしれない」と指摘している。

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悪性胸膜中皮腫へのシスプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ療法(解説:小林 英夫 氏)-478

 悪性胸膜中皮腫は早期発見が困難で、診断時点では進行期である症例が大多数を占める。2003年のVogelzang 氏らの報告に基づいて、ペメトレキセドが世界初の悪性胸膜中皮腫治療薬として米国で承認され、わが国でも2007年に薬価収載された。現在、悪性胸膜中皮腫標準化学療法はペメトレキセド+シスプラチン併用と認識されている。しかし、その治療成績は必ずしも満足できるレベルには到達しておらず、胸膜肺全摘除術や片側全胸郭照射などを組み合わせたマルチモダリティー療法などが検討されている。 こうした中、中皮腫において血管内皮増殖因子(VEGF)シグナルが重大な役割を果たすことが示唆され、2010年以降いくつかの試験が実施された。そこで、VEGFをターゲットとする抗血管新生治療薬ベバシズマブの上乗せ効果について、Zalcman氏らによる本検討(第III相試験)が実施された。その結果、彼らは「循環器系の有害事象が増えるものの予想範囲内のものであり、ベバシズマブ上乗せは全生存期間(OS)を有意に改善する」とまとめている。Appendixを閲覧すると循環器系有害事象のほとんどは高血圧であった。 本研究デザインは、フランスの73病院において、18~75歳の切除不能悪性胸膜中皮腫、化学療法未治療、Eastern Cooperative Oncology Group PSスコア0~2、重大な心血管疾患の併存なし、CTで評価可能病変が少なくとも1つあり、余命12週超の症例が対象である。除外基準は、脳転移、抗血小板薬使用中、ビタミンK拮抗薬・ヘパリン・非ステロイド性抗炎症薬の投与中などであった。被験者は、ペメトレキセド+シスプラチン+ベバシズマブ投与のPCB群、またはベバシズマブの代わりにプラセボを投与するPC群に無作為に割り付け、3週間に1回を最大6サイクル、病勢進行または毒性効果が認められるまで投与した。主要アウトカムはOSである。 計448例が無作為化され、PCB群223例、PC群225例、男性75%、年齢中央値65.7歳、上皮型中皮腫81%であった。6サイクルを完遂したのは、PCB群74.9%、PC群76.0%。フォローアップ中央値は39.4ヵ月で両群に差はなかった。 主要アウトカムであるOS中央値は、PC群(16.1ヵ月、95%信頼区間[CI]:14.0~17.9)と比べPCB群(18.8ヵ月、15.9~22.6)で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.77、95%CI:0.62~0.95、p=0.0167)。なお、PFS(無増悪生存)もPCB群で有意な改善が認められた(9.2ヵ月 vs.7.3ヵ月、HR:0.61、95%CI:0.50~0.71、p<0.0001)。 Grade3/4の有害事象は、PCB群158/222例(71%)、PC群139/224例(62%)であった。PC群と比べてPCB群では、Grade3以上の高血圧症(51/222例[23%] vs.0例)、血栓イベント(13/222例[6%]vs. 2/224例[1%])の頻度が高かった。 これまで進行性悪性中皮腫へのペメトレキセド+カルボプラチン療法効果は、OS中央値は約12ヵ月、無増悪生存(PFS)中央値は約6ヵ月、とされていた。抗血管新生治療の上乗せ効果は期待できそうだが、それでも5年生存率は20%弱であり、さらなる検討が望まれる。また、血清VEGF値により治療効果に差が生じる可能性も示唆されており、今後、中皮腫のバイオマーカーとして活用していくことも考慮される。 悪性胸膜中皮腫の臨床試験は、現在本邦で4試験が実施されている。免疫チェックポイント阻害薬トレメリムマブ、がん抑制遺伝子アデノウイルスベクター、シスプラチン+ペメトレキセド+Napabucasin、アネツマブ・ラブタンシン、の第I、II相試験であり、どのような結果が得られるのか注視していきたい。なお、胸膜腫瘍WHO分類は2015年に改訂され、Journal of thoracic oncology誌2016年2月号(オンライン版2015年12月22日号)1)で発表されている。

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中皮腫の初回治療、ベバシズマブ上乗せでOS延長/Lancet

 悪性胸膜中皮腫の初回治療について、標準療法であるシスプラチン+ペメトレキセドの併用療法へのベバシズマブの上乗せは、全生存期間(OS)を有意に改善することが、フランス・カーン大学のGerard Zalcman氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。毒性効果として循環器系の有害事象が増えるものの、著者は、「予想の範囲内のものであり、ベバシズマブの上乗せは適切な治療と見なすべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月21日号掲載の報告。標準初回治療への上乗せ効果を無作為化試験で検討 悪性胸膜中皮腫は進行が早く予後は不良で、職業性のアスベスト曝露との関連が知られている。初回治療は、シスプラチン+ペメトレキセドの併用療法とされているが、その適用はシスプラチン単独との比較でOS中央値12.1(ビタミンB12、B9服用群では13.3) vs.9.3ヵ月、無増悪生存(PFS)中央値5.7 vs.3.9ヵ月のデータに基づく。また、進行性悪性中皮腫へのペメトレキセド+カルボプラチン併用療法の第II相の試験で示された結果は、OS中央値12.7ヵ月、PFS中央値6.5ヵ月であった。 こうした中、先行研究で、中皮腫細胞の病態生理において血管内皮増殖因子(VEGF)シグナルが重大な役割を果たすことが示唆されたことから、研究グループは、VEGFをターゲットとする抗血管新生治療薬が効果を示すのではないかと本検討を行った。 試験は、フランスの73病院から被験者を集めて行われた。18~75歳、切除不能の悪性胸膜中皮腫で化学療法未治療、全身状態はEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)スコアで0~2、重大な心血管疾患の併存はなく、CTで評価が可能な病変(胸水)または測定可能な病変(胸膜肥厚)が少なくともいずれか1つあり、余命は12週超の患者を対象とした。除外基準は、中枢神経系への転移あり、抗血小板薬(アスピリン325mg/日以上、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール)を使用、ビタミンK拮抗薬を有効量使用、低分子量ヘパリンを有効量使用、非ステロイド性抗炎症薬の投与を受けている、であった。 被験者を、ペメトレキセド(500mg/m2)+シスプラチン(75mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)の静注投与(PCB)群、またはベバシズマブの代わりにプラセボを投与する(PC)群に1対1の割合で無作為に割り付け、3週間に1回を最大6サイクル、病勢進行または毒性効果が認められるまで行った。なお、無作為化には最小化法を用い、患者を組織学的(上皮型 vs.肉腫型、または混在型)、全身状態(ECOGスコア0~1 vs.2)、試験病院、喫煙状態(非喫煙 vs.喫煙)で層別化した。 主要アウトカムはOS。intention-to-treat解析にて評価した。OSが有意に延長、18.8ヵ月 vs.16.1ヵ月 2008年2月13日~14年1月5日に、計448例の患者を無作為化した(PCB群223例[50%]、PC群225例[50%])。被験者は、男性75%、年齢中央値65.7歳、上皮型81%、ECOGスコア0~1が97%、喫煙者57%などであった。 6サイクルを完遂したのは、PCB群74.9%、PC群76.0%。フォローアップ中央値は39.4ヵ月で両群に差はなかった。 主要アウトカムのOS中央値は、PC群(16.1ヵ月、95%信頼区間[CI]:14.0~17.9)と比べてPCB群(18.8ヵ月、15.9~22.6)で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.77、95%CI:0.62~0.95、p=0.0167)。 なお、PFSもPCB群で有意な改善が認められた(9.2ヵ月 vs.7.3ヵ月、HR:0.61、95%CI:0.50~0.71、p<0.0001)。 Grade3/4の有害事象の報告は、全体ではPCB群158/222例(71%)、PC群139/224例(62%)であった。PC群と比べてPCB群では、Grade3以上の高血圧症(51/222例[23%] vs.0例)、血栓イベント(13/222例[6%] vs. 2/224例[1%])の頻度が高かった。

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遺伝子変異陽性NSCLCに分子標的薬+抗がん剤治療

 日本イーライリリー株式会社は2015年11月13日、都内でプレスセミナー「非小細胞肺がん治療の現状と今後の展望」を開催した。演者である和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授の山本信之氏は、その中で、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)における分子標的治療薬と抗がん剤の併用の可能性について、以下のように解説した。 肺がんの5年生存率はStageIで80.5%。しかし、StageIVでは4.6%となり、多くは遠隔転移により生存が増悪する。StageIV非小細胞肺がんの生存期間は、化学療法の進化により30年で1.5倍に延長した。そして、分子標的治療薬の登場により、その後の10年間でさらに3倍に延長。最近の第2世代EGFR-TKIの試験結果では、日本人の代表的なEGFR変異であるex19del患者の全生存期間中央値は46ヵ月を超える。このようにドライバー遺伝子の変異に適合する分子標的治療薬を使うことで、治療成績は著しく向上している。肺癌診療ガイドラインでも非扁平上皮NSCLCの初回治療にあたっては、EGFR、ALKの遺伝子変異が陽性であれば、EGFR-TKI、ALK阻害薬などの分子標的治療薬を優先して投与することとなっている。 だが、治療成績は向上したものの、現在でも進行がんではほとんど治癒に至らず、分子標的治療薬だけでは、完全に進行を抑えることはできないことがわかる。そのようななか、EGFR遺伝子変異例であっても、分子標的治療薬に加え抗がん剤を十分投与することにより、生存期間が延長する可能性が示唆されている。本年(2015年)の世界肺癌学会(WCLC)において、抗がん剤の中でも非扁平上皮NSCLCへの有効性が確立しているペメトレキセドを用いた、無作為化比較第II相試験が発表された。EGFR変異陽性NSCLC患者において、ゲフィチニブ・ペメトレキセド併用群とゲフィチニブ単独群を比較したものである。結果、併用群が単独群に比べ、無増悪生存期間中央値を有意に延長させた(HR=0.68、p=0.029)。第II相試験の結果であり、今後も検討が必要だが、抗がん剤の併用の有効性を示唆したものといえる。本邦でも、未治療のEGFR変異陽性NSCLCにおいて、ペメトレキセド・カルボプラチン・ゲフィチニブ併用群とペメトレキセド・カルボプラチン併用群を比較する第III相比較試験(NEJ009)が開始される。 非扁平上皮NSCLCでは、第2第・3世代EGFR-TKIの活用とともに、遺伝子変異陽性例における抗がん剤と分子標的治療薬の組み合わせが検討されていくであろう。

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進行卵巣がんの術前化療、術後に非劣性/Lancet

 病期III・IVの卵巣がんに対して、化学療法を先行して後に手術を行う場合でも、手術を先行して後に化学療法を行う場合と比べてアウトカムは非劣性であることが示された。英国・バーミンガム大学のSean Kehoe氏らが、550例を対象に行った第III相の非盲検非劣性無作為化試験「CHORUS」の結果、報告した。著者は「今回の試験集団において進行卵巣がんについて、化学療法を手術よりも先行して行うことは標準療法として容認できるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年5月19日号掲載の報告より。87ヵ所の医療機関で550例を対象に試験 研究グループは、2004年3月1日~2010年8月30日にかけて、英国とニュージーランド87ヵ所の医療機関で、病期IIIまたはIVと疑われる卵巣がんの患者552例を対象に試験を行い、化学療法先行の手術先行に対する非劣性を検証した。 被験者のうち条件に合った550例を無作為化し、手術先行群(276例)には最初に手術をした後、化学療法を6サイクル実施した。一方の化学療法先行群(274例)には、最初に化学療法を3サイクル行った後、手術を行い、その後に化学療法を3サイクル実施した。各3週間サイクルの化学療法レジメンは、カルボプラチンAUC5/AUC6+パクリタキセル175mg/m2、カルボプラチンAUC5/AUC6+その他の薬剤、またはカルボプラチンAUC5/AUC6単剤療法のいずれかだった。 主要評価項目は、全生存期間だった。非劣性は、ハザード比(HR)の90%信頼区間[CI]の上限値が1.18未満の場合とした。化学療法先行群の手術先行群に対する死亡ハザード比は0.87 その結果、2014年5月末時点で、死亡は451例で、うち手術先行群は231例、化学療法先行群は220例だった。生存期間中央値は、手術先行群が22.6ヵ月、化学療法先行群が24.1ヵ月だった。 化学療法先行群の手術先行群に対する死亡に関するHRは、0.87(90%片側信頼区間の上限値:0.98)と、化学療法先行群が良好で、非劣性が示された。 なお、術後28日間のグレード3または4の有害イベント(手術先行群は60/252例[24%] vs. 化学療法先行群30/209例[14%]、p=0.0007)および死亡(14例[6%] vs. 1例[1%未満]、p=0.001)の発生は、手術先行群のほうがいずれも有意に多かった。最も多かったグレード3または4の有害イベントは出血で、手術先行群が8例(3%)、化学療法先行群が14例(6%)だった。 グレード3または4の化学療法関連毒性作用の発現頻度は、手術先行群110/225例(49%)、化学療法先行群が102/253例(40%)で有意差はなかった(p=0.0654)。その大半が好中球減少症(各群頻度は20%、16%)であった。なお、致死的な毒性作用(好中球減少症に伴う敗血症)が1例、化学療法先行群で発生した。

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