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ASCO2019レポート 乳がん

レポーター紹介2019年5月31日~6月4日まで5日間にわたり、ASCO2019が開催された。2019年のテーマは“Caring for every patient, Learning from every patient”であった。薬物療法の大きな演題が少なかった代わりに、支持療法やサバイバーケアの演題が多く取り上げられているように感じた。乳がんにおいては直接私たちの実臨床を変えるような試験の発表はなかったが(残念ながらプレナリーセッションもなし)、日常臨床の中で解決しなければならないクリニカルクエスチョンに回答する試験、今後の開発の方向性を示唆する試験の発表が多かったように感じる。その一方で、日本が参加していない試験の報告も多く、わが国の世界の治療開発の中での課題を再認識させられた学会でもあった。乳がんのLocal/Regional口演から2演題、Metastatic口演から5演題を紹介する。臨床的リスク因子がOncotypeDXによる再発スコアに及ぼす影響(TAILORx追加解析)OncotypeDXは乳がん組織中の21遺伝子のメッセンジャーRNA発現を解析することにより再発リスクの予測、化学療法の上乗せ効果を予測する検査である。TAILORx試験は、再発スコア(RS)を11以下の低リスク、12~25の中間リスク、25以上の高リスクに分け、中間リスクに対する化学療法の上乗せ効果を検証した第III相試験である。主たる解析結果は昨年のASCOで発表され、中間リスクに対する化学療法の上乗せ効果は認められなかった。サブグループ解析では50歳以下でRSが16~20では2%の、21~25では7%の化学療法上乗せ効果が示唆された(Sparano JA, et al. N Engl J Med.2018;379:111-121.)。今回の発表では、RSに臨床的リスク因子を加えた解析が行われた。臨床的低リスクは3cm以下かつ低グレード、2cm以下かつ中間グレード、1cm以下かつ高グレードと定義され、臨床的低リスクに当てはまらない症例が臨床的高リスクと分類された。臨床的高リスクは30%であった。無病生存期間(disease free survival:DFS)および遠隔無再発生存期間は、RS11~25の中間リスクにおいて臨床リスクによる差を認めなかった。化学療法の有益性が示唆されている50歳以下のRS16~25に限った解析では、RS16~20かつ臨床低リスクでは化学療法上乗せ効果を認めなかった。また、この集団における化学療法の上乗せ効果は化学療法誘発閉経によるものである可能性が示唆された。今回の結果はOncotypeDXの実臨床での使い方に大きな影響を及ぼすものではないが、50歳以下(未閉経)RS16~25の場合に化学療法を上乗せするかどうかの参考にはなりえるかもしれない。本研究の結果は発表同日、論文発表された(Sparano JA, et al. N Engl J Med. 2019;380:2395-2405.)。HER2陽性乳がんに対する術前ペルツズマブ+化学療法vs.T-DM1+ペルツズマブ (KRISTINE試験)本試験はHER2陽性早期乳がんを対象とした、ペルツズマブ+トラスツズマブ+カルボプラチン+ドセタキセル(TCH+P)とT-DM1+ペルツズマブ(T-DM1+P)を比較する第III相試験である。各施設判定での主要評価項目は病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)率であり、pCRは56% vs.44%でTCH+P群で良好であった (Hurvitz SA, et al. Lancet Oncol. 2018;19:115-126.)。一方で、Grade3の有害事象や重篤な有害事象の発生頻度などでT-DM1+ペルツズマブ群のほうが安全性は良好であった。今回の発表では、副次評価項目の無イベント生存率(event free survival: EFS)、無浸潤がん生存率(invasive disease free survival:IDFS)などについて発表された。3年EFSはTCH+P群 vs.T-DM1+P群で94.2% vs.85.3%(層別化ハザード比:2.61、95%CI:1.36~4.98)とTCH+P群で良好であり、主要評価項目のpCR率と同様の傾向を示した。イベントとしては手術前の増悪がT-DM1+P群で15例(6.7%)と、イベントの約半数を占めていた。TCH+P群では0例であり、手術前の増悪がEFSの差につながったと考えられる。手術前に増悪した15例のうち14例についてHER2のmRNA発現が解析されており、全例で中央値を下回っていた。また、HER2の免疫組織化学染色は15例のうち10例(66.7%)が2+であり、このようなHER2の発現状況がT-DM1+Pの効果に影響を及ぼした可能性が考えられる。3年IDFSは92.0% vs.93.0%で両群に差は認めなかった。KATHERINE試験(von Minckwitz G, et al. N Engl J Med. 2019;380:617-628.)では術前治療で腫瘍が残存した症例に対してT-DM1の術後治療が無病生存(disease free survival:DFS)、全生存期間(overall survival:OS)を改善している。今回の結果との違いはHER2の発現の違いによる可能性は示唆されるが、さらなる検討が必要であろう。抗HER2療法で進行したHER2陽性転移乳がんに対するmargetuximab+化学療法 vs.トラスツズマブ+化学療法の比較第III相試験(SOPHIA試験)本試験は新しい抗HER2抗体であるmargetuximabと化学療法の併用をトラスツズマブと化学療法の併用と比較する試験である。margetuximabはトラスツズマブと同様の特異性と結合性の抗体認識部分を持ち、下流シグナルの抑制効果も同等である。トラスツズマブと異なるのはFCγ受容体結合部位であり、IgG1の野生型のままのトラスツズマブと異なり、CD16Aを活性化し、CD32Bを抑制するよう改変されている。CD16Aの遺伝子型が抗HER2抗体の治療効果予測因子となることが示唆されているため、margetuximabはCD16Aの変異型を有する腫瘍に対しても有効性が高いことが期待された。本試験は2レジメン以上の抗HER2治療歴(転移乳がんに対して1~3レジメン)の症例を対象として、主治医選択化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビンまたはビノレルビン)と併用して抗HER2抗体を1:1に割り付けた。margetuximab群に266例、トラスツズマブ群に270例が割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(progression free survival:PFS)およびOSであった。前治療としてトラスツズマブおよびペルツズマブは両群で全例が、T-DM1はそれぞれ約91%が受けていた。PFSの中央値は5.8ヵ月 vs.4.9ヵ月(ハザード比:0.76、95%CI:0.59~0.98、p=0.033)とmargetuximab群で良好であった。事前に計画されたCD16Aの遺伝子型によるサブ解析ではCD16A-FFもしくはFVではmargetuximab群で良好であったが、VVでは有意差を認めなかった。FF、FVのみでの解析では有意差を認めなかったが、margetuximab群で良好な傾向であった。また、OSについては有意差を認めなかった。奏効率、臨床的有用率についてもmargetuximabで良好であった。有害事象においてはmargetuximab群でinfusion-related reactionが多い傾向を認めた。今後、抗HER2抗体で進行した転移乳がんの治療として、margetuximabは1つの選択肢となってくる可能性があるが、残念ながら日本からはこの試験には参加していない。転移のあるHER2陽性乳がんにおけるneratinib+カペシタビンvs.ラパチニブ+カペシタビンの比較第III相試験(NALA試験)neratinibはHERファミリーのチロシンキナーゼドメインに不可逆的に結合することにより、下流シグナルを抑制する少分子化合物である。NALA試験は転移乳がんに対し2レジメン以上の抗HER2治療の既往がある症例を対象としてneratinib+カペシタビンvs.ラパチニブ+カペシタビンを比較する第III相試験で、主要評価項目はPFSおよびOSであった。neratinib群に307例が、ラパチニブ群に314例が登録された。PFSはハザード比0.76(p=0.0059)とneratinib群で良好であった。もう1つの評価項目であるOSではneratinib群で良好な傾向は認めたものの、統計学的には有意ではなかった。副次評価項目の中枢神経転移に対する介入の割合はneratinib群の22.8%に対し、ラパチニブ群で29.2%とneratinib群で良好であった(p=0.043)。有害事象は下痢(とくにGrade3/4の下痢)、悪心、嘔吐、食欲低下がneratinib群で多く、手足症候群はラパチニブ群で多い傾向にあった。患者報告によるQOLでは両群間に差を認めなかった。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するアテゾリズマブ+nab-PTX併用試験のOSアップデート(IMpassion130)アテゾリズマブ+nab-PTX併用療法のTNBCに対する初回治療の結果は昨年の欧州臨床腫瘍学会で発表され、乳がんへの適応拡大が期待されている(Schmid P, et al. N Engl J Med. 2018;379:2108-2121.)。本試験ではPD-L1の発現(1%以上または未満)によって層別化が行われた。PD-L1は41%の症例で陽性であった。主要評価項目はPFSであり、ITT集団では7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月、PD-L1陽性集団では7.5ヵ月 vs.5.0ヵ月で、アテゾリズマブ群で良好であった。今回は2回目の中間解析の結果が発表された。観察期間の中央値は18.0ヵ月であり、ITT集団で59%の死亡イベントが発生していた。ITT集団における生存期間中央値(median survival time:MST)は21.0ヵ月 vs.18.7ヵ月(ハザード比:0.86、95%CI:0.72~1.02、p=0.0777)、24ヵ月生存率は42% vs.39%であり、アテゾリズマブ群で良好な傾向を認めたものの、統計学的有意差は認めなかった。PD-L1陽性集団における解析はITT集団で陽性だった場合にのみ行う統計手法が用いられていたため参考値ではあるが、MSTは25.0ヵ月 vs.18.0ヵ月、24ヵ月生存率は51% vs.37%であり、より差が開く傾向がみられた。PD-L1陰性では、MSTは19.7ヵ月 vs.19.6ヵ月であり、アテゾリズマブ追加の有無にかかわらず差を認めなかった。MST、24ヵ月生存率のいずれもプラセボ群ではPD-L1陽性の場合に短い傾向がみられ、PD-L1が予後予測因子でもある可能性が示されている。乳がんにもついに免疫チェックポイント阻害剤の波が到達しようとしている。有害事象のマネジメントも含めて、先人たちに学びながら有効な治療を安全に患者さんに届けるようにしていきたい。なお、余談ではあるが本試験の共同演者には愛知県がんセンターの岩田 広治先生が入っていた。最近では国内からの参加のある国際共同試験の多くで共同演者に日本の先生が入っていることも多く、非常にうれしく感じている。ホルモン受容体陽性乳がんを対象としたエリブリン+ペムブロリズマブ併用療法とエリブリン単剤療法のランダム化第II相試験ホルモン受容体陽性乳がんは免疫学的には“コールド”と考えられており、免疫チェックポイント阻害剤の効果が得られにくいと考えられている。免疫チェックポイント阻害剤単剤では2.8~12%の奏効率が報告されている。一方で化学療法との併用の術前治療ではpCR率を上げることが報告されており、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用はホルモン受容体陽性乳がんの治療として有望である可能性が残されていた。本研究ではエストロゲン受容体および/またはプロゲステロン受容体陽性HER2陰性で、2レジメン以上のホルモン療法歴(術後治療含む)、転移乳がんに対する0~2レジメンの化学療法歴を有する症例を対象として、エリブリン+ペムブロリズマブ併用療法とエリブリン単剤療法を比較した第II相試験である。主要評価項目はPFS、副次評価項目として奏効率・臨床的有用率とOSが設定されていた。44例が併用群、46例が単剤群に割り付けられた。PFSは4.1ヵ月 vs.4.2ヵ月(ハザード比:0.8、95%CI:0.5~1.3、p=0.33)であり両群間に差を認めなかった。PD-L1陽性集団に限った解析でも同様の傾向であった。奏効率はITT集団で27% vs.34%、PD-L1陽性集団で23% vs.45%と、併用群で低い傾向であった。OSは両群間に差を認めなかった。有害事象は多くの項目で両群間に大きな差を認めなかったが、併用群では2例の免疫関連有害事象による治療関連死を認め、単剤群では認めなかった。本試験の結果をもって、ホルモン受容体陽性乳がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の有用性を結論付けることはできないが、併用群で奏効率が低下した理由についてはreverse translational researchが必要であろう。MONALEESA-7 副次評価項目の全生存期間の中間解析で有意に延長MONALEESA-7は閉経前転移乳がんを対象に1次ホルモン療法に対するCDK4/6阻害剤であるribociclibの上乗せをみた第III相試験である。ホルモン療法としてはタモキシフェンもしくはアロマターゼ阻害剤とLHRHアゴニストであるゴセレリンが併用された。前治療としてホルモン療法は許容されておらず、化学療法は1レジメンのみ許容されていた。主要評価項目はPFS、キー副次評価項目としてOSが設定されていた。PFSの結果は昨年のSan Antonio Breast Cancer Symposiumで発表され、ribociclib群で23.8ヵ月に対しプラセボ群で13ヵ月(ハザード比:0.55、95%CI:0.44~0.69、p<0.0001)とribociclib群で良好であり、閉経前の症例においてもこれまでに閉経後を対象として行われてきたCDK4/6阻害剤と同様の上乗せ効果が得られることが示された。今回の発表では観察期間中央値34.6ヵ月時点でのOSの中間解析結果が発表された。生存期間中央値はribociclib群では未達であり、プラセボ群では40.9ヵ月であり、中間解析に割り振られたp値を下回りribociclib群で有意に長かった(ハザード比:0.712、95%CI:0.535~0.948、p=0.00973)。点推定値では、36ヵ月で71.2% vs.64.9%、42ヵ月で70.2% vs.46.9%と観察期間が延長するにつれて差が開いていく傾向を認めた。本試験はCDK4/6の1次治療への上乗せを検証した試験の中で、OSの結果を公表し統計学的有意差を認めた初の試験である。本試験の対象は閉経前であるため、現在の国内で1次治療に使用できるCDK4/6阻害剤に直接応用することはできない。また、中間解析でありイベントが十分に発生していないことなどから、今後の結果については最終解析の結果を待つ必要がある。本試験結果は発表同日New England Journal of Medicine誌に論文公表された( Im SA, et al. N Engl J Med. 2019 Jun 4. [Epub ahead of print])。なお、ribociclibは国内での開発が中止となっているため、本試験には日本からは不参加である。閉経前に対するCDK4/6の国内における開発は非常に重要であり、閉経前後を含めてタモキシフェンにパルボシクリブの上乗せを検証する、日本を含めたアジア共同医師主導治験のPATHWAY試験(UMIN000030816)の症例集積が完了する見込みである。結果の公表が待たれる。

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HIV感染リスク、避妊法間で異なるのか?/Lancet

 安全で避妊効果が高い3種類の避妊法(メドロキシプロゲステロン酢酸筋注デポ剤[DMPA-IM]、銅付加子宮内避妊器具[銅付加IUD]、レボノルゲストレル[LNG]インプラント)について、HIV感染リスクの差は実質的には認められないことが、米国・ワシントン大学のJared M. Baeten氏らEvidence for Contraceptive Options and HIV Outcomes(ECHO)試験コンソーシアムによる、アフリカ4ヵ国12地点で行われた無作為化多施設共同非盲検試験の結果、明らかにされた。これまでの観察研究や実験研究で、一部のホルモン避妊薬、とくにDMPA-IMは女性のHIV感染性を増す可能性が示唆されていたが、今回の試験において、対象集団のHIV感染率は3群ともに高かった。著者は、「アフリカの女性への避妊サービス提供では、併せてHIV予防を行うことが必須であることが明示された」と述べ、「今回の結果は、3種類の避妊法へのアクセス継続および増大を支持するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2019年6月13日号掲載の報告。DMPA-IM vs.銅付加IUD vs.LNGインプラントの3つの方法を比較 研究グループは、アフリカ大陸サハラ以南のHIV感染率の高い地域に居住し効果的な避妊を希望する女性における、DMPA-IM、銅付加IUD、LNGインプラントの3つの方法を比較する検討を行った。 試験は、エスワティニ(1地点)、ケニア(1)、南アフリカ共和国(9)、ザンビア(1)の4ヵ国12地点で行われた。包含対象は、効果的な避妊を希望する16~35歳のHIV血清陰性の女性で、試験避妊法(DMPA-IM、銅付加IUD、LNGインプラント)に対する医学的な禁忌がなく、過去6ヵ月間にいずれの試験避妊法も行っていないと申告し、いずれかの試験避妊法を18ヵ月間受けることに同意した者とした。 被験者は、DMPA-IM群(150mg/mLを3ヵ月ごと)、銅付加IUD群、LNGインプラント群に無作為に1対1対1の割合で割り付けられた(無作為化ブロックは15~30、試験地点で層別化)。割り付けにはオンライン無作為化システムが用いられ、各地点で試験スタッフによって無作為化が行われた。 主要評価項目は、修正intention-to-treat(ITT)集団(登録時にHIV陰性であり少なくとも1回のHIV検査を受けている、無作為化された全被験者)におけるHIV感染症の発生であった。安全性の主要評価項目は、18ヵ月時点の試験終了受診までに報告されたあらゆる重篤な有害事象、または結果として試験避妊法が中断となったあらゆる有害事象で、登録・無作為化された全被験者について評価した。各避妊法の100人年当たり感染率、4.19 vs.3.94 vs.3.31 2015年12月14日~2017年9月12日に、7,830例が登録され、7,829例が無作為化を受けた(DMPA-IM群2,609例、銅付加IUD群2,607例、LNGインプラント群2,613例)。7,715例(99%)が修正ITT集団に包含された(DMPA-IM群2,556例、銅付加IUD群2,571例、LNGインプラント群2,588例)。 フォローアップ期間1万409人年中に9,567例(92%)が試験避妊法を受け、HIV感染症は397例で発生した(100人年当たり3.81[95%信頼区間[CI]:3.45~4.21])。それぞれDMPA-IM群は143例(36%、100人年当たり4.19[95%CI:3.54~4.94])、銅付加IUD群138例(35%、3.94[3.31~4.66])、LNGインプラント群116例(29%、3.31[2.74~3.98])であった。 修正ITT解析におけるDMPA-IM群のHIV感染のハザード比(HR)は、銅付加IUD群との比較において1.04(96%CI:0.82~1.33、p=0.72)、LNGインプラント群との比較においては1.23(0.95~1.59、p=0.097)であった。また、銅付加IUD群の同HRは、LNGインプラント群との比較において1.18(0.91~1.53、p=0.19)であった。 試験期間中に12例が死亡した。6例がDMPA-IM群、5例が銅付加IUD群、1例がLNGインプラント群であった。 重篤な有害事象の発現は、DMPA-IM群49/2,609例(2%)、銅付加IUD群92/2,607例(4%)、LNGインプラント群78/2,613例(3%)であった。結果として試験避妊法が中断となった有害事象の発現は、DMPA-IM群109例(4%)、銅付加IUD群218例(8%)、LNGインプラント群226例(9%)であった(DMPA-IM群vs.銅付加IUD群のp<0.001、DMPA-IM群vs.LNGインプラント群のp<0.001)。 懐妊は255例で報告され、内訳はDMPA-IM群61例(24%)、銅付加IUD群116例(45%)、LNGインプラント群78例(31%)であった。なお、そのうち181例(71%)が試験避妊法中断後の懐妊であった。

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国内初1日1回経口投与の子宮筋腫症状治療薬「レルミナ錠40mg」【下平博士のDIノート】第25回

国内初1日1回経口投与の子宮筋腫症状治療薬「レルミナ錠40mg」今回は、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アンタゴニスト製剤「レルゴリクス錠(商品名:レルミナ錠40mg)」を紹介します。本剤は、フレアアップ現象を生じることなく子宮筋腫に基づく諸症状を改善する国内初の経口薬です。<効能・効果>本剤は、子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善の適応で、2019年1月8日に承認され、2019年3月1日より発売されています。また、2021年12月に「子宮内膜症に基づく疼痛の改善」の適応が追加されました。<用法・用量>通常、成人にはレルゴリクスとして40mgを1日1回食前に経口投与します。なお、初回投与は月経周期1~5日目に行います。本剤の投与によって、エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるので、6ヵ月を超える投与は原則として行われません。<副作用>国内第III相試験で認められた主な副作用は、不正子宮出血(46.8%)、ほてり(43.0%)、月経異常(15.5%)、頭痛、多汗、骨吸収試験異常(各5%以上)などでした。なお、重大な副作用としてうつ状態(1%未満)、肝機能障害(頻度不明)、狭心症(1%未満)が認められています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、下垂体に作用して卵巣からの女性ホルモンの分泌を低下させることで、子宮筋腫に基づく過多月経、下腹痛、腰痛、貧血などの症状を改善します。2.初回は、月経が始まった日から5日目までの間に服用を開始してください。3.食後の服用では薬の効き目が低下するため、食事の30分以上前に服用してください。4.この薬を服用している間はホルモン性避妊薬以外の方法で避妊をしてください。5.長期に使用すると骨塩量が低下することがあるため、日ごろから適度な運動を心がけ、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを含む食材を積極的に取りましょう。6.気分が憂鬱になる、悲観的になる、思考力が低下する、眠れないなど、うつ様の症状が現れた場合にはご連絡ください。7.女性ホルモンの低下によって、ほてり、頭痛、多汗などの症状が現れることがあります。症状がつらいときはご相談ください。<Shimo's eyes>従来、子宮筋腫の薬物療法としてGnRHアゴニストであるリュープロレリン酢酸塩(商品名:リュープリン注)やブセレリン酢酸塩(同:スプレキュア皮下注/点鼻液)などが用いられています。GnRHアゴニストは、下垂体前葉にあるGnRH受容体を継続的に刺激することで本受容体を減少させ、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制させます。投与開始初期にはFSHやLH分泌が一過性に増加するため、不正性器出血や月経症状の増悪などのフレアアップ現象が生じやすいことが知られています。これに対しGnRHアンタゴニスト製剤である本剤は、GnRH受容体を選択的に阻害することでFSHとLHの分泌を抑制します。このため、投与開始初期であってもフレアアップ現象を生じることなく女性ホルモンであるエストラジオールおよびプロゲステロンの産生を低下させます。本剤は1日1回服用の経口薬であり、子宮筋腫に伴う諸症状に悩んでいる患者さんのアドヒアランスとQOLの向上が期待できます。投与に当たっては、妊娠中や授乳中でないかを確認するとともに、服用タイミングなどの指導をしっかり行ってこまめに経過を観察するようにしましょう。※2021年12月の添付文書改訂に伴い、一部内容の修正を行いました。

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閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か/BMJ

 閉経後女性への全身ホルモン補充療法では、エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、長期の投与によりアルツハイマー病のリスクが増大する可能性が、フィンランド・ヘルシンキ大学のHanna Savolainen-Peltonen氏らの検討で示された。ただし、膣内エストラジオール療法ではこのようなリスク上昇はなかった。研究の成果は、BMJ誌2019年3月6日号に掲載された。いくつかの観察研究により、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに対し防御的な作用を有する可能性が示唆されているが、この知見はプラセボを対照とするWomen's Health Initiative Memory Study(WHIMS)では支持されていない。WHIMSでは実臨床とは異なり、ホルモン補充療法は65歳以上で開始されていることから、エストロゲンが神経保護的に働くのは、閉経が始まってすぐの時期に投与が開始された場合に限られるとの仮説が提唱されていた。フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究 研究グループは、フィンランド人の閉経後女性において、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに影響を及ぼすか、また、このリスクは治療開始年齢や治療期間と関連するかを検討する目的で、全国的な症例対照研究を実施した(ヘルシンキ大学病院などの助成による)。 1999~2013年のフィンランドの全国的な住民薬剤登録から、神経科医または老年病医によりアルツハイマー病の診断を受けた閉経後女性8万4,739例のデータを抽出した。対照として、フィンランドの全国的な住民登録から、年齢および病院の所在地域をマッチさせたアルツハイマー病の診断を受けていない閉経後女性8万4,739例のデータを得た。 条件付きロジスティック回帰分析を用いて、アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。リスクが9~17%増加、開始年齢は決定因子ではない アルツハイマー病と診断された女性では、8万3,688例(98.8%)が60歳以上であり、4万7,239例(55.7%)は80歳以上であった。アルツハイマー病女性のうち、5万8,186例(68.7%)はホルモン補充療法を受けておらず、1万5,768例(18.6%)が全身療法(エストラジオール単剤、エストロゲンと黄体ホルモン製剤[酢酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他の製剤または配合薬]の併用など)を、1万785例(12.7%)が膣内エストラジオール療法を受けていた。 アルツハイマー病群は対照群に比べ、全身ホルモン補充療法を受けている女性の割合が有意に高く(18.6% vs.17.0%、p<0.001)、膣内エストラジオール療法を受けている女性の割合は有意に低かった(12.7% vs.13.2%、p=0.005)。両群間で、全身ホルモン補充療法の施行期間に有意な差はなかった。 全身ホルモン補充療法の使用により、アルツハイマー病のリスクは9~17%増加した。全身ホルモン補充療法のうち、エストラジオール単剤(OR:1.09、95%CI:1.05~1.14)とエストロゲン+黄体ホルモン製剤併用(1.17、1.13~1.21)で、リスクに差はなかった。エストロゲン+黄体ホルモン製剤併用療法におけるアルツハイマー病のリスク上昇には、個々の黄体ホルモン製剤の種類による差はなく、いずれの薬剤でも有意にリスクが高かった。 一方、治療開始年齢が60歳未満の女性では、投与期間が10年以上に及ぶと、リスクが有意に上昇した(エストラジオール単剤のOR:1.07、1.00~1.15、p=0.04、エストロゲン+黄体ホルモン製剤1.20、1.13~1.26、p<0.005)。また、全身ホルモン補充療法の開始年齢はアルツハイマー病のリスク上昇の確固たる決定因子ではなかった。さらに、膣内エストラジオール療法を専用した場合、リスクへの影響は認めなかった(OR:0.99、95%CI:0.96~1.01)。 アルツハイマー病群では、全身ホルモン補充療法を受けた女性は、膣内エストラジオール療法を受けた女性や、ホルモン補充療法を受けていない女性に比べ、アルツハイマー病の発症時期がより早期であった。 著者は、「絶対値として、ホルモン補充療法を受けている70~80歳の女性1万人当たり、受けていない場合に比べアルツハイマー病の診断が年に9~18件多くなり(発症率:105件/1万人年)、とくに投与を10年以上継続している女性ではリスクが高いと推測される」とまとめ、「ホルモン補充療法の使用者には、アルツハイマー病の絶対リスクの上昇が小さくても、長期の使用に伴うリスクの可能性はあると伝えるべきだろう」としている。

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結節性硬化症〔TS : tuberous sclerosis, Bourneville-Pringle病〕

1 疾患概要■ 概念・定義主に間葉系起源の異常細胞が皮膚、中枢神経など全身諸臓器に各種の過誤腫性病変を起こす遺伝性疾患である。従来、顔面の血管線維腫、痙攣発作、知能障害が3主徴とされているが、しばしば他に多くの病変を伴い、また患者間で症状に軽重の差が大きい。疾患責任遺伝子としてTSC1とTSC2が同定されている。■ 疫学わが国の患者は約15,000人と推測されている。最近軽症例の報告が比較的多い。■ 病因・発症機序常染色体性優性の遺伝性疾患で、浸透率は不完全、突然変異率が高く、孤発例が60%を占める。軽微な症例は見逃されている可能性もある。本症の80%にTSC1(9q34)遺伝子とTSC2(16p13.3)遺伝子のいずれかの変異が検出される。TSC1遺伝子変異は生成蛋白のtruncationを起こすような割合が高く、また家族発症例に多い。TSC2遺伝子変異は孤発例に、また小さな変異が多い。一般に臨床症状と遺伝子異常との関連性は明らかではない。両遺伝子産物はおのおのhamartin、tuberinと呼ばれ、前者は腫瘍抑制遺伝子産物の一種で、低分子量G蛋白Rhoを活性化し、アクチン結合蛋白であるERMファミリー蛋白と細胞膜裏打ち接着部で結合する。後者はRap1あるいはRab5のGAP(GTPase-activating protein)の触媒部位と相同性を有し、細胞増殖抑制、神経の分化など多様で重要な機能を有する。Hamartinとtuberinは複合体を形成してRheb(Ras homolog enriched in brain)のGAPとして作用Rheb-GTPを不活性化し、PI3 kinase/S6KI signaling pathwayを介してmTOR(mammalian target of rapamycin)を抑制、細胞増殖や細胞形態を制御している。Hamartinとtuberinはいずれかの変異により、m-TOR抑制機能が失われることで、本症の過誤腫性病変を惹起すると推定されている。近年、このm-TOR阻害薬(エベロリムスなど)が本症病変の治療に使われている。■ 臨床症状皮膚、中枢神経、その他の諸臓器にわたって各種病変がさまざまの頻度で経年齢的に出現する(表1)。画像を拡大する1)皮膚症状学童期前後に出現する顔面の血管線維腫が主徴で80%以上の患者にみられ頻度も高い。葉状白斑の頻度も比較的高く、乳幼児期から出現する木の葉状の不完全脱色素斑で乳幼児期に診断価値の高い症候の1つである。他に結合織母斑の粒起革様皮(Shagreen patch)、爪囲の血管線維腫であるKoenen腫瘍、白毛、懸垂状線維腫などがある。2)中枢神経症状幼小児早期より痙攣発作を起こし、精神発達遅滞、知能障害を来すことが多く、かつての3主徴の2徴候である。2012年の“Consensus Conference”で(1)脳の構造に関与する腫瘍や皮質結節病変、(2)てんかん(痙攣発作)、(3)TAND(TSC-associated neuropsychiatric disorders)の3症状に分類、整理された。(1)高頻度に大脳皮質や側脳室に硬化巣やグリア結節を生じ、石灰化像をみる。数%の患者に上衣下巨細胞性星細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma:SEGA)が発生する。SEGAは小児期から思春期にかけて急速に増大することが多く、脳圧亢進症状などを来す。眼底の過誤腫や色素異常をみることもあり、通常は無症状であるが、時に視力障害を生ずる。(2)TSC患者に高頻度にみられ、生後5、6ヵ月頃に気付かれ、しばしば初発症状である。多彩な発作で、治療抵抗性のことも多い。点頭てんかんが過半数を占め、その多くが精神発達遅滞、知能障害を来す。(3)TSCに合併する攻撃的行動、自閉症・自閉的傾向、学習障害、他の神経精神症状などを総括した症状を示す。3)その他の症状学童期から中年期に後腹膜の血管筋脂肪腫で気付かれることもある。無症候性のことも多いが、時に増大して出血、壊死を来す。時に腎嚢腫、腎がんが出現する。周産期、新生児期に約半数の患者に心臓横紋筋腫を生ずるが、多くは無症候性で自然消退すると言われる。まれに、腫瘍により収縮障害、不整脈を来して突然死の原因となる。成人に肺リンパ管平滑筋腫症(lymphangiomyomatosis:LAM)や多巣性小結節性肺胞過形成(MMPH)を生ずることもある。前者は気胸を繰り返し、呼吸困難が徐々に進行、肺全体が蜂の巣状画像所見を呈し、予後不良といわれる。経過に個人差が大きい。後者(MMPH)は結核や肺がん、転移性腫瘍との鑑別が必要であるが、通常治療を要せず経過をみるだけでよい。■ 予後と経過各種病変がさまざまな頻度で経年的に出現する(表1)。それら病変がさまざまに予後に影響するが、中でも痙攣発作の有無・程度が患者の日常生活、社会生活に大きく影響する。従来、生命的予後が比較的短いといわれたが、軽症例の増加や各種治療法・ケアの進展によって生命的、また生活上の予後が改善方向に向かいつつあるという。死因は年代により異なり、10歳までは心臓横紋筋腫・同肉腫などの心血管系異常、10歳以上では腎病変が多い。SEGAなどの脳腫瘍は10代に特徴的な死因であり、40歳以上の女性では肺のLAMが増加する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)遺伝子診断が確実であり、可能であるが、未知の遺伝子が存在する可能性、検査感度の問題、遺伝子変異と症状との関連性が低く、変異のホットスポットもない点などから一般的には通常使われない。遺伝子検査を受けるときは、そのメリット、デメリットをよく理解したうえで慎重に判断する必要がある。実際の診断では、ほとんどが臨床所見と画像検査などの臨床検査による。多彩な病変が年齢の経過とともに出現するので、症状・病変を確認して診断している。2018年に日本皮膚科学会が、「結節性硬化症の新規診断基準」を発表した(表2)。画像を拡大する■ 診断のポイント従来からいわれる顔面の血管線維腫、知能障害、痙攣発作の3主徴をはじめとする諸症状をみれば、比較的容易に診断できる。乳児期に数個以上の葉状白斑や痙攣発作を認めた場合は本症を疑って精査する。■ 検査成長・加齢とともに各種臓器病変が漸次出現するので、定期的診察と検査を、あるいは適宜の検査を計画する。顔面の結節病変、血管線維腫は、通常病理組織検査などはしないが、多発性丘疹状毛包上皮腫やBirt-Hogg-Dube syndromeなどの鑑別に、また、隆起革様皮でも病理組織学的検査で他疾患、病変と鑑別することがある。痙攣発作を起こしている患者あるいは結節性硬化症の疑われる乳幼児では、脳波検査が必要である。大脳皮質や側脳室の硬化巣やグリア結節はMRI検査をする。CTでもよいが精度が落ちるという。眼底の過誤腫や色素異常は眼底検査で確認できる。乳幼児では心エコーなどで心臓腫瘍(横紋筋腫)検査を、思春期以降はCTなどで腎血管筋脂肪腫を検出する必要がある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 基本治療方針多臓器に亘って各種病変が生ずるので複数の専門診療科の連携が重要である。成長・加齢とともに各種臓器病変が漸次出現するので定期的診察と検査を、あるいは適宜の検査を計画する。本症の治療は対症療法が基本であるが、各種治療の改良、あるいは新規治療法の開発が進んでいる。近年本症の皮膚病変や脳腫瘍、LAMに対し、m‐TOR阻害薬(エベロリムス、シロリムス)の有効性が報告され、治療薬として使われている。■ 治療(表3)画像を拡大する1)皮膚病変顔面の血管線維腫にはレーザー焼灼、削皮術、冷凍凝固術、電気凝固術、大きい腫瘤は切除して形成・再建する。最近、m-TOR阻害薬(シロリムス)の外用ゲル製剤を顔面の血管線維腫に外用できるようになっている。シャグリンパッチ、爪囲線維腫などは大きい、機能面で問題があるなどの場合は切除する。白斑は通常治療の対象にはならない。2)中枢神経病変脳の構造に関与する腫瘍、結節の中では上衣下巨細胞性星細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma:SEGA)が主要な治療対象病変である。一定の大きさがあって症状のない場合、あるいは増大傾向をみる場合は、外科的に切除、あるいはm-TOR阻害薬(エベロリムス)により治療する。急速進行例は外科的切除、頭蓋内圧軽減のためにシャント術も行う。本症の重要な症状である痙攣発作の治療が重要である。点頭てんかんにはビガバトリン(同:サブリル)、副腎皮質(ACTH)などが用いられる。ケトン食治療も試みられる。痙攣発作のフォーカス部位が同定できる難治例に、外科的治療が試みられることもある。点頭てんかん以外のてんかん発作には、発作型に応じた抗てんかん薬を選択し、治療する。なお、m-TOR阻害薬(エベロリムス)は、痙攣発作に対して一定の効果があるとされる。わが国での臨床使用は今後の課題である。精神発達遅滞や時に起こる自閉症に対しては、発達訓練や療育などの支援プログラムに基づいて適切にケア、指導する。定期的な受診、症状の評価などをきちんとすることも重要である。また、行動の突然の変化などに際しては、結節性硬化症の他病変の出現、増悪などがないかをチェックする。3)その他の症状(1)後腹膜の血管筋脂肪腫(angiomyolipoma: AML)腫瘍径が4cm以上、かつ増大傾向がある場合は出血や破裂の可能性もあり、腫瘍の塞栓療法、腫瘍切除、腎部分切除などを考慮する。希少疾病用医薬品としてm-TOR阻害薬(エベロリムス)が本病変に認可されている。無症候性の病変や増大傾向がなければ検査しつつ経過を観察する。(2)周産期、新生児期の心臓横紋筋腫収縮障害、伝導障害など心障害が重篤であれば腫瘍を摘出手術する。それ以外では心エコーや心電図で検査をしつつ経過を観察する。(3)呼吸器症状LAMで肺機能異常、あるいは機能低下が継続する場合は、m-TOR阻害薬(エベロリムス)が推奨されている。肺機能の安定化、悪化抑制が目標で、治癒が期待できるわけではない。一部の患者には、抗エストロゲン(LH-RHアゴニスト)による偽閉経療法、プロゲステロン療法、卵巣摘出術など有効ともいわれる。慢性閉塞性障害への治療、気管支拡張を促す治療、気胸の治療など状態に応じて対応する。時に肺移植が検討されることもある。MMPHは、結核や肺がん、転移性腫瘍との鑑別が必要であるが、通常治療を要せず経過をみるだけでよい。4 今後の展望当面の期待は治療法の進歩と改良である。本症病変にm-TOR阻害薬(エベロリムス)が有効であることが示され、皮膚病変、SEGAとAMLなどに使用できる。本症治療の選択肢の1つとしてある程度確立されている。しかしながら効果は限定的で、治癒せしめるにはいまだ遠い感がある。病態研究の進歩とともに、新たな分子標的薬剤が模索され、より効果の高い創薬、薬剤の出現を期待したい。もとより従来の診断治療法の改善・改良の努力もされており、今後も発展するはずである。患者のケアや社会生活上の支援体制の強化が、今後さらに望まれるところである。5 主たる診療科小児科(神経)、皮膚科、形成外科、腎泌尿器科、呼吸器科 など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本結節性硬化症学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)結節性硬化症のひろば(主に患者と患者家族向けの診療情報)患者会情報TSつばさ会(患者とその家族および支援者の会)1)金田眞理ほか. 結節性硬化症の診断基準および治療ガイドライン-改訂版.日皮会誌. 2018;128:1-16.2)大塚藤男ほか. 治療指針、結節性硬化症. 厚生科学研究特定疾患対策研究事業(神経皮膚症候群の新しい治療法の開発と治療指針作成に関する研究).平成13年度研究報告書.2002:79.3)Krueger DA, et al. Pediatric Neurol. 2013;48:255-265.4)Northrup H, et al. Pediatric Neurol. 2013;49:243-254.公開履歴初回2013年2月28日更新2019年2月5日(謝辞)本稿の制作につき、日本皮膚科学会からのご支援、ご協力に深甚なる謝意を表します(編集部)。

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ホルモン補充療法のVTEリスク、製剤で異なる/BMJ

 ホルモン補充療法(HRT)による静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは、製剤のタイプによって異なり、経口薬は全般にリスクが高く、経皮吸収薬はリスクと関連がないことが、英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月9日号に掲載された。更年期症状がみられる女性の無作為化対照比較試験では、HRTを受けている女性は受けていない女性に比べVTEリスクが高いと報告されているが、ほとんどの試験は結合型エストロゲン製剤または結合型エストロゲンと酢酸メドロキシプロゲステロン配合薬が使用されている。また、観察研究では、HRTは全般にリスクの上昇と関連するとされるが、異なるタイプの製剤の詳細な比較に関して、これらの研究には十分な検出力はなかったという。製剤別のVTEリスクをコホート内症例対照研究で評価 研究グループは、VTEのリスクとHRTの製剤のタイプとの関連を評価するコホート内症例対照研究を行った(研究助成は受けていない)。解析には、英国の2つのプライマリケア研究データベース(QResearch、Clinical Practice Research Datalink[CPRD])のデータを用いた。 HRTには、経口薬としてエストロゲン単剤(結合型エストロゲン、エストラジオール)およびエストロゲンと各種黄体ホルモンの配合薬が用いられ、経皮吸収薬(貼付薬、皮下投与、ゲル)としてエストロゲン単剤およびエストラジオール配合薬が使用された。 1998~2017年の期間に、VTEの初回診断を受けた40~79歳の女性8万396例(症例群)と、この集団と年齢、受療中の一般診療、index dateをマッチさせた女性39万1,494例(対照群)を比較した。 主要評価項目は、一般診療記録や入院、死亡記録に基づくVTEであった。人口統計学的データ、喫煙状況、アルコール摂取、併存疾患、直近の医学的イベント、他の処方薬で補正したオッズ比(OR)を算出した。約8割が経口薬を使用、リスクは1.5倍以上 症例群の5,795例(7.2%)および対照群の2万1,670例(5.5%)が、index date前の90日間にHRTを受けていた。 このうち症例群の4,915例(85%)および対照群の1万6,938例(78%)が経口薬を使用していた。HRT非使用例に比べ、これら経口薬使用例はVTEのリスクが有意に高く(補正後OR:1.58、95%信頼区間[CI]:1.52~1.64、p<0.001)、エストロゲン単剤(1.40、1.32~1.48、p<0.001)およびエストロゲン・黄体ホルモン配合薬(1.73、1.65~1.81、p<0.001)の双方で有意差が認められた。 経口薬のうち、エストロゲン単剤のエストラジオールは結合型エストロゲンよりもVTEリスクが低く(補正後OR:0.85、95%CI:0.76~0.95、p=0.005)、エストラジオール配合薬は結合型エストロゲン配合薬に比べ低リスクであった(0.83、0.76~0.91、p<0.001)。 HRT非使用例と比較して、経口薬の結合型エストロゲン・酢酸メドロキシプロゲステロン配合薬は最もVTEリスクが高く(補正後OR:2.10、1.92~2.31、p<0.001)、エストラジオール・ジドロゲステロン配合薬(1.18、0.98~1.42、p=0.09)が最も低リスクであった。 高用量エストロゲンは、低用量に比べVTEリスクが高かった。経皮吸収薬使用例の多くがエストロゲン単剤の製剤を使用していた(症例群:80%、対照群:76%)。経皮吸収薬はどの製剤も、VTEリスクと関連がなかった(全体の補正後OR:0.93、95%CI:0.87~1.01、p=0.07)。 著者は、「VTEリスクの高い経口薬が好まれ、リスクと関連のない経皮吸収薬は十分に利用されていない現状が明らかとなった」としている。

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第15回 低用量ピルのよくある質問に答えるエビデンス【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 低用量ピルは、避妊目的だけでなく、月経の周期、痛みや倦怠感などの月経困難症をコントロールすることで女性のさまざまな悩みを改善し、かつ安全性も高いという有用な薬剤です。しかし、副作用の懸念から抵抗を示される方も少なからずいらっしゃいます。副作用リスクを正しく認識していただいたうえでメリットを享受していただけるように、服薬指導でのよくある質問と参考となる研究を紹介します。低用量ピルは避妊のためのものではないのか低用量ピルには、避妊を目的とする経口避妊薬(Oral Contraceptive:OC)と月経困難症などの治療を目的とする低用量エストロゲン-プロゲスチン(Low dose estrogen-progestin:LEP)があり、どちらも服用すると、実際は妊娠していなくても下垂体は妊娠したと認識をするので排卵が起こらないようになります。低用量ピルの中止後は通常の月経に戻るのか月経をコントロールするという性質からか、低用量ピルの中止時に通常の月経に戻るのか、再び妊娠できる状態になるのか心配される方もいらっしゃいます。そういう場合には可逆性があることを説明できると安心材料になります。たとえば、レボノルゲストレル90μg/エチニルエストラジオール20μgを約1年服用した18〜49歳(平均年齢30.4歳)の女性で、通常の月経または妊娠に至るまでの期間を検討した観察研究では、最後の服用から90日以内に187例中185例(98.9%)で自然月経が再開または妊娠したという結果が出ています(自発月経181例、妊娠4例)。月経が再開するまでの期間の中央値は32日でした。これを踏まえると、中止後、妊娠していない状態で90日以上月経が再開しない場合は無月経の可能性が高いため、受診を勧める目安になります1)。低用量ピルを服用すると体重は増加するのかこれも比較的よくある質問ですが、服薬拒否にもつながりやすい事由なので丁寧な説明が求められます。体重増加について検討したコクランのシステマティックレビューがあり2)、試験の背景として体重増加がピル服用に関連していると考える女性が多く、服用の開始が遅れたり中止になったりすることが多いという問題が提示されています。しかしながら、実際にはプラセボ投与群または介入なし群を含む4試験では、低用量ピル(または避妊薬パッチ)の使用と体重増加の因果関係を支持する結果は見いだされませんでした。また、さまざまな種類のピルと投与量(エチニルエストラジオール20〜50μg)を比較した試験の大多数でも、グループ間で体重に関して有意差がないことが示されています。少なくとも大きな体重増加との関連はほぼないと説明してよさそうです。低用量ピルによる血栓症リスクはどれくらいあるのか血栓症ひいては静脈血栓塞栓症(VTE)は、ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(商品目:ヤーズ配合錠)でブルーレターが発出されています。頻度としては低いのですが、低用量ピルに共通の副作用ですので、どの製剤であっても早期に兆候を察知して対処できるよう説明が必要です。VTEリスクの上昇は、エストロゲン含有ピルの摂取により、凝固因子II、VII、X、XII、VIIIおよびフィブリノゲンの血漿濃度が上がることが機序として考えられています3,4)。このリスクの感覚値をお伝えするうえで、参考になる症例対照研究があります5)。2015年にBMJ誌に掲載された研究で、2001~13年の間に英国においてVTEと診断された15~49歳の女性を対象としています。年齢、慣習、時期などをマッチさせた対照群を設定し、前年度の経口避妊薬摂取によってVTEの発生率が上がるかを検討したものです。オッズ比は、喫煙の有無、アルコール摂取、人種、BMI、合併疾患、他の経口避妊薬摂取などの因子で調整し、解析しています。その結果、年間10,000人当たりでVTEを発症する追加人数は、プロゲスチンの世代分類の観点からみると、第1世代(オーソ、シンフェーズ、ルナベルLD)と第2世代(トリキュラー、アンジュ)は6~7例の発生に対して、第3世代(マーベロン)は14例、第4世代(ヤーズ)は13例です。新しい世代のものほど、やや血栓症が出やすいという結果が出ています。一方で、エチニルエストラジオール含有量が高いほど脳卒中や心筋梗塞のイベントリスクが高い傾向にあり、表にあるようなプロゲスチンの種類による差は微々たるものであることを示唆するNEJM誌の論文もありますから6)、それも参考としてしっておくとよいかもしれません。VTEは早期の診断・治療が重要ですので、VTEの特徴的な兆候(英語の頭文字をとってACHES)を覚えておくと有用です。A:abdominal pain(激しい腹痛)C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)H:headache(激しい頭痛)E:eye/speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、痙攣、意識障害)S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)これらの兆候に気付いたら、重症化を防ぐため、すぐに中止のうえ受診を促す必要があるので、服薬指導時にお伝えしましょう。1)Davis AR, et al. Fertil Steril. 2008;89:1059-1063.2)Gallo MF, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Jan 29:CD003987.3)Middeldorp S, et al. Thromb Haemost. 2000;84:4-8.4)Kemmeren JM, et al. Thromb Haemost. 2002;87:199-205.5)Vinogradova Y, et al. BMJ. 2015;350:h2135.6)Lidegaard O, et al. N Engl J Med. 2012;366:2257-2266.

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周期投与と連続投与が選択できる月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」【下平博士のDIノート】第12回

周期投与と連続投与が選択できる月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」今回は、「レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール配合剤(商品名:ジェミーナ配合錠)」を紹介します。本剤は、周期投与と連続投与の2つの服用パターンが選択でき、月経困難症に悩む女性のQOL改善が期待されています。<効能・効果>本剤は月経困難症の適応で、2018年7月2日に承認され、2018年10月4日より販売されています。<用法・用量>下記の2つの投与周期が規定されています。1)1日1錠を毎日一定の時刻に21日間連続経口投与し、その後7日間休薬(28日周期)2)1日1錠を毎日一定の時刻に77日間連続経口投与し、その後7日間休薬(84日周期)いずれの場合も出血の継続の有無にかかわらず、休薬期間終了後の翌日から次の周期を開始し、以後同様に繰り返します。<副作用>月経困難症を対象とした臨床試験では、全解析対象241例中214例(88.8%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました(承認時)。主な副作用は、不正子宮出血、希発月経、月経過多、下腹部痛、悪心、頭痛などでした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、黄体ホルモン卵胞ホルモンを補充することで、月経時の下腹部痛や頭痛などを改善します。2.薬を飲んでいる途中に不正出血が起こることがあります。通常は飲み続けるうちに少なくなりますが、長期間にわたって出血が続いたり、出血量が多かったりする場合は、医師に相談してください。3.血栓症の主な症状である足の急激な痛み・腫れ・しびれ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛などが現れた場合は、服用を中止して救急医療機関を受診してください。これらの症状が軽い場合や体が動かせない状態、脱水になった場合も服用を中止して医療機関を受診してください。4.28日周期の場合に、2周期連続して月経が来なかった場合は妊娠している可能性が疑われますので、すぐに医療機関を受診してください。5.他の医療機関から処方されている薬剤やサプリメントなどを服用する際は、本剤を服用中であることを伝えてください。6.飲み忘れたときは、当日に気付いた場合は気付いた時点で服用し、翌日以降に気付いた場合は、前日分(1日分のみ)を気付いた時点で服用し、当日分をいつもの時間に服用してください。1日に2錠を超えて服用することはできません。<Shimo's eyes>月経困難症は、月経に随伴して起こる病的症状を言い、激しい下腹部痛および腰痛を主とした症候群です。卵胞ホルモン黄体ホルモン配合剤が、非ステロイド性抗炎症薬と共に月経困難症治療の第1選択薬となっています。本剤は月経困難症治療薬として、わが国で初めて第2世代黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを含有した超低用量卵胞ホルモン黄体ホルモン配合剤です。本剤の特徴は、同じ製剤で周期投与(28日周期)と連続投与(84日周期)の両方に使用できることです。2種類のシートが用意されており、周期投与は21錠シート1枚分を服用した後7日間休薬し、連続投与は28錠シート2枚と21錠シート1枚分(計77日分)を服用した後に7日間休薬します。既存薬は処方された製品によって投与周期がわかりますが、本剤ではどちらの周期で使用するのか、しっかり患者さんに確認する必要があります。国内第III相長期投与比較試験において、連続投与群の月経困難スコア合計は、周期投与群と比べて、1~11周期のいずれにおいても有意な低下を示しました。また、連続投与では服薬期間中に少量の出血(不正子宮出血)が認められることがあるものの、休薬期間(月経予定)が減ることによって月経痛が生じる頻度が下がるため、一般的な月経周期で月経があるほうが望ましいと考える患者さん以外では、連続投与が選択されると考えられます。なお、連続投与群の副作用発現率が86例中85例(98.8%)と高いのは、服薬期間中の不正子宮出血や希発月経などが含まれているためです。卵胞ホルモン黄体ホルモン配合剤に共通の重篤な副作用である血栓症の発症に注意が必要です。ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(商品名:ヤーズ配合錠)は、2014年に血栓症に関するブルーレターの発出があり注意喚起されています。そのため本剤も類薬であることから、医薬品リスク管理計画書において、重要な特定されたリスクとして血栓症が設定されています。しかし、レボノルゲストレルを含有する配合剤は、他の黄体ホルモンを含有する配合剤に比べ、血栓症の発現リスクが低かったという海外での報告もあります。既存の卵胞ホルモン黄体ホルモン配合剤と同様に、禁忌薬や併用注意薬が大変多いため、処方監査の際には薬歴やお薬手帳を必ず確認しましょう。服薬指導では、休薬期間ではない日に少量の出血があっても、基本的にはそのまま服用するように伝え、喫煙により静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などの危険性が高まることから、禁煙の厳守を理解してもらいましょう。また、生活習慣病に罹患すると血栓症のリスクが高まるため、適切な生活習慣の改善も必要です。さらに、万一飲み忘れに気付いた場合の対応が避妊薬とは異なるので、しっかり説明しましょう。

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切除不能TN乳がん1次治療でのアテゾリズマブ+nab-パクリタキセル/NEJM

 未治療の転移を有する/切除不能な局所進行トリプルネガティブ乳がん患者に対し、アテゾリズマブ+アルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-パクリタキセル)併用療法は、intention-to-treat(ITT)集団およびPD-L1陽性サブグループのいずれにおいても無増悪生存期間(PFS)を延長することが認められた。有害事象は、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが、第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験「IMpassion130試験」の結果を報告した。エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2陰性のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は予後不良の悪性疾患だが、nab-パクリタキセルはアテゾリズマブの抗腫瘍活性を高める可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2018年10月20日号掲載の報告。41ヵ国246施設902例について、プラセボ対照試験 IMpassion130試験は、41ヵ国246施設で実施された。2015年6月~2017年5月までに、転移を有する/切除不能な局所進行TNBCと診断され化学療法または全身療法歴のない患者902例を、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ)群と、プラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ)群に1対1の割合で無作為に割り付け(層別化因子:タキサン系薬剤投与歴、ベースライン時の肝転移の有無およびPD-L1発現状態)、疾患増悪または許容できない有害事象が発現するまで投与を継続した。 主要評価項目は2つで、ITT集団およびPD-L1陽性サブグループにおけるPFSならびに全生存期間(OS)であった。アテゾリズマブ+nab-パクリタキセルでPFSが有意に延長 追跡期間中央値12.9ヵ月において、PFS中央値はITT集団でアテゾリズマブ群7.2ヵ月、プラセボ群5.5ヵ月(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.002)、PD-L1陽性サブグループでそれぞれ7.5ヵ月、5.0ヵ月(同HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.001)であった。 OS中央値は、ITT集団でアテゾリズマブ群21.3ヵ月、プラセボ群17.6ヵ月(死亡のHR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.08)、PD-L1陽性サブグループでそれぞれ25.0ヵ月、15.5ヵ月(同HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。 新規の有害事象は確認されず、投与中止に至った有害事象の発現率はアテゾリズマブ群15.9%、プラセボ群8.2%であった。

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第4回 GERDを発症・増悪させにくいCa拮抗薬は?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 胃酸などの胃の内容物が食道に逆流して生じる胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease:GERD)の原因の1つに、「下部食道括約筋(Lower esophageal sphincter:LES)」の機能低下があります。LESは胃と食道のつなぎ目にあり、胃酸の逆流を防ぐ筋肉ですが、加齢に伴う機能低下だけでなく、嗜好品や生活習慣および薬剤によっても緩まることがあります。GERDは頻度の高い疾患ですので、これらの悪化要因を把握しておくと服薬指導にとても有用です。MSDマニュアルには、下記の記載があります。「逆流をもたらす要因として、体重増加、脂肪食、カフェイン含有飲料、炭酸飲料、アルコール、喫煙、薬物がある。LES圧を低下させる薬物には、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、カルシウム拮抗薬、プロゲステロン、硝酸薬がある」(参考文献1)より引用)実際、アムロジピンの服用開始後にGERDの症状が悪化したと訴え、医師からの指示でアムロジピンを中止したところ症状が改善した患者さんに、私も会ったことがあります。その件の因果関係は不明ですが、今回はCa拮抗薬とGERDの関連について検討した後ろ向きコホート研究を紹介します。Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.対象となったのは、虚血性心疾患や硝酸薬の使用歴がなく、Ca拮抗薬を使用していた高血圧患者で、GERDの既往の有無および、Ca拮抗薬服用前と服用後でGERD症状に変化があったかどうかについてアンケート調査を行っています。15軒の薬局(地域薬局14軒、病院薬局1軒)から371例が登録され、平均年齢64歳、女性51.2%、男性48.8%でした。信頼度が高い方法というわけではありませんが、地域の薬局で研究を行うには現実的な方法ではないでしょうか。Ca拮抗薬服用前後におけるGERD症状の変化は下表のとおりです。画像を拡大するCa拮抗薬服用前からすでにGERDの症状がある130例中59例(45.4%)で、Ca拮抗薬服用により症状の悪化がみられています。症状の悪化の頻度がもっとも高かった薬剤がアムロジピン(61.3%、p<0.0001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(12.5%)という結果でした。Ca拮抗薬服用前にGERD症状がなかった241例においては、85例(35.3%)がCa拮抗薬服用によりGERDを発症しており、もっとも頻度が高かったのがベラパミル(39.1%、p=0.001)で、もっとも低かったのがジルチアゼム(30.7%)という結果でした。ニフェジピンの増悪リスクはジルチアゼムの4.22倍発症・増悪リスクがもっとも低かったジルチアゼムを基準とした場合の、GERD症状の増悪頻度のオッズ比は下表のとおりです。ニフェジピンやアムロジピンにおいて有意にGERDが増加しています。二フェジピンやアムロジピンの添付文書を参照すると、嘔気・嘔吐や腹部不快感、腹部膨満などGERDに類する副作用症状の記載はありますが、明示的にGERDの記載があるわけではないため見落としに注意が必要です。交絡因子を調整しきれる研究ではないため解釈に注意が必要ですが、血管平滑筋を緩めるCa拮抗薬がLESまで緩めてしまう可能性があることは、患者さんの症状を聞き取る際に頭の片隅に入れておくとよいでしょう。1)MSDマニュアル 胃食道逆流症(GERD)(2018年7月16日参照)2)Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007;64:83-89.

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20歳前後のBMIで、乳がんリスク4倍以上の差

 BMIと乳がんリスクの間には、閉経前女性では逆相関、閉経後女性では正相関がみられる。今回、閉経前女性のBMIと乳がんリスクの逆相関がこれまで報告されていたよりも強く、成人初期(18~24歳)で最も強く関連することが、米国・国立がん研究所コホートコンソーシアムが推進するPremenopausal Breast Cancer Collaborative Groupの研究で示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2018年6月21日号に掲載。 本研究では、BMIと閉経前乳がんリスクの逆相関について年代ごとに調査し、現在の年齢、乳がんリスク因子、ホルモン受容体の状態についても検討した。研究グループは、19件の前向きコホートにおける閉経前女性75万8,592人の個々のデータをプールし、18~24歳、25~34歳、35~44歳、45~54歳でのBMIについて閉経前乳がんのハザード比(HR)を、Cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。追跡期間中央値は9.3年(四分位範囲:4.9~13.5年)、1万3,082例で浸潤性もしくは非浸潤性乳がんが発症した。参加者のリクルートは1963年1月1日~2013年12月31日、分析は2013年9月1日~2017年12月31日に実施した。 主な結果は以下のとおり。・75万8,592人の閉経前女性(年齢中央値:40.6歳、四分位範囲:35.2~45.5歳)のデータを分析したところ、BMIと乳がんリスクとの線形の逆相関は、45~54歳のBMI(5kg/m2当たりのHR:0.88、95%CI:0.86~0.91)に比べ、18~24歳のBMI(同:0.77、95%CI:0.73~0.80)で強かった。・この逆相関は、過体重ではない女性でも観察された。・18~24歳において、BMIが最低(17.0未満)の群では最高(35.0以上)の群に比べ、乳がんリスクが4.2倍であった(HR:0.24、95%CI:0.14~0.40)。・現在の年齢や他の乳がんリスク因子の群間で、HRに大きな差はなかった。・ホルモン受容体陰性乳がんよりも、エストロゲン受容体(ER)陽性および/またはプロゲステロン受容体(PR)陽性乳がんのほうが、すべての年齢層でBMIと強い相関を示した。たとえば、18~24歳のBMIについて5kg/m2当たりのHRは、ER陽性およびPR陽性乳がんでは0.76(95%CI:0.70~0.81)、ホルモン受容体陰性乳がんでは0.85(95%CI:0.76~0.95)であった。・25~54歳でのBMIは、トリプルネガティブまたはホルモン受容体陰性の乳がんと関連はみられなかった。

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うつ病や身体活動と精液の質との関連

 行動および心理社会的要因は、精液の質の低下と関連している。しかし、うつ病や身体活動と精液の質との関連については、よくわかっていない。中国・第3軍医大学のPeng Zou氏らは、中国人大学生におけるうつ病および身体活動と精液の質との関連について検討を行った。Psychosomatic medicine誌オンライン版2018年5月24日号の報告。 2013年6月に中国人男子大学生587例よりデータを収集した。参加者に対し、ライフスタイル因子、Zung自己評価式抑うつ尺度(SDS)、身体活動に関する3項目を評価するため、アンケートを実施した。参加者は、身体検査を受け、生殖ホルモン(テストステロン、エストロゲン、プロゲステロン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン)を確認するための精液サンプルおよび血液サンプルを提供した。 主な結果は以下のとおり。・高いうつ病スコアを有する男性(63例、10.7%)は、非うつ病男性よりも精子濃度が低く(66.9±74.5 vs.72.6±56.9[10/mL]、p=0.043)、精子総数が少なかった(241.6±299.7 vs.257.0±204.0[10/mL]、p=0.024)。・身体活動レベルの低い男性(99例、16.9%)は、活動レベルの高い男性よりも精子総数が少なかった(204.4±153.7 vs.265.8±225.8[10/mL]、p=0.017)。・潜在的な交絡因子で調整した後、うつ病男性は、非うつ病男性よりも精子濃度が18.90%(95%CI:1.14~33.47%)低く、精子総数が21.84%(95%CI:3.39~36.90%)少なかった。・身体活動レベルの低い男性は、活動レベルの高い男性よりも精子総数が23.03%(95%CI:2.80~46.89%)少なかった。・うつ病と身体活動との間に、精子濃度の相互作用効果が検出された(p=0.033)。・うつ病や身体活動と生殖ホルモンとの間に、有意な関連は認められなかった(p>0.05)。 著者らは「うつ病や低レベルの身体活動は、精液の質の低下と関連しており、リプロダクティブヘルス(生殖に関する健康)に影響を及ぼす可能性がある」としている。■関連記事米国の生殖可能年齢の女性におけるうつ病有病率少し歩くだけでもうつ病は予防できる女子学生の摂食障害への有効な対処法

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POEMS(クロウ-深瀬)症候群

1 疾患概要■ 概念・定義POEMS症候群の名称は、polyneuropathy、organomegaly、endocrinopathy、M-protein、skin changeの頭文字に由来する。「クロウ-深瀬症候群」、「高月病」とも呼ばれる。名称のとおり、多発ニューロパチーを中核症状とし、肝脾腫などの臓器腫大、内分泌異常、皮膚変化(色素沈着、剛毛、血管腫など)という多彩な症状を呈し、M蛋白を伴う全身性の疾患である。症状は多彩であるが、その病態基盤は形質細胞異常(plasma cell dyscrasia)とサイトカインである血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の上昇であると考えられている。多発ニューロパチーが中核症状となることが多い一方で、plasma cell dyscrasia由来の疾患でもあり、神経内科または血液内科で診療することが多い。2015年1月に、新規に指定難病の1つとなった。■ 疫学わが国で行われた2003年の全国調査に基づく推定有病率は、10万人当たり0.3人であり、いわゆる希少疾病である。しかし、その多彩な症状ゆえに、診断が困難な例も少なくなく、実際の有病率はもう少し高い可能性がある。平均発症年齢は50代であるが、30代の発症もまれではない。男性に多い。■ 病因上述のごとく、POEMS症候群の病態の中心はplasma cell dyscrasiaとVEGFの上昇であると推定されている。VEGFは血管新生作用以外に強い血管透過性亢進作用を持ち、本症候群で特徴的に認められる浮腫、胸腹水などの所見とよく合致する。しかし、plasma cell dyscrasiaとVEGF上昇がどのように関連するかについては、現時点では不明である。また、多発ニューロパチー、内分泌異常、皮膚異常などの症状が生じるメカニズムについても明確になっていない。VEGF上昇とともに、TNFα、IL6、IL-12を含む複数の炎症性サイトカインの上昇も確認されており、複雑な病態に関与している可能性が高い。■ 症状POEMS症候群で認められる臨床症状として頻度が高いのは、多発ニューロパチー、浮腫、皮膚変化、リンパ節腫脹、女性化乳房である。典型的な多発ニューロパチーは、下肢優位の四肢遠位のしびれと筋力低下を呈する。重症度は症例により異なり、アキレス腱反射の低下のみの症例から重度の四肢麻痺の症例まで存在する。また、数ヵ月の経過で、歩行に介助が必要になるまで進行する例が多い。通常、浮腫は下腿以遠に目立つ。進行例では、明確な圧痕を残すほど顕著となり、腹部、上肢、顔面にも浮腫が出現する。皮膚変化は、色素沈着、剛毛の頻度が高い。色素沈着は独特のやや赤味を帯びた褐色を呈する(図)。剛毛は前腕や下腿に目立つ。画像を拡大する■ 予後POEMS症候群の機能・生命予後は、適切な治療が行われない場合、不良である。機能予後は、多発ニューロパチーの重症度に依存する。無治療では過半数の症例が、発症1年以内に杖歩行となる。また、1980年代は適切な治療が行われなかったため、平均生存期間は33ヵ月と報告されている。近年、疾患の認知度向上による診断技術の向上、ならびに骨髄腫治療の本症候群への応用による治療の進歩で、予後は大幅に改善しつつある。しかし、急速な悪化を認めうる疾患であり、また多臓器障害が生じることも少なくないので、治療方針検討や経過観察には、慎重を期す必要がある。低アルブミン血症、初回治療への反応性不良、高齢(50歳以上)、肺高血圧、胸水、腎機能障害などが、予後不良因子として挙げられている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)POEMS症候群の診断は診断基準に基づいて行われる。しかし、類似の診断基準が複数あり、いずれも感度・特異度について検討されていないのが、現在の問題点である。国際的に最も代表的な基準は、2012年のCochrane database systematic reviewで採用されているものである。しかし、わが国では、下表の診断基準が指定難病の認定に使用されている。本診断基準の特徴は、単クローン性形質細胞増殖が検出できない例であっても、積極的に診断できる点において優れている。そのため、日常診療で運用する上では、下表の診断基準を用いる方が、診断感度も高く、利便性にも優れる。表 POEMS症候群の診断基準●大基準多発ニューロパチー血清VEGF上昇(1,000 pg/mL以上)M蛋白(血清または尿中M蛋白陽性 [免疫固定法により確認] )●小基準骨硬化性病変、キャッスルマン病、臓器腫大、浮腫、胸水、腹水、心嚢水、内分泌異常*(副腎、甲状腺、下垂体、性腺、副甲状腺、膵臓機能)、皮膚異常(色素沈着、剛毛、血管腫、チアノーゼ、爪床蒼白)、乳頭浮腫、血小板増多(1)Definite:大基準3つ+小基準 少なくとも1つ(2)Probable:大基準2つ+小基準 少なくとも1つ*糖尿病と甲状腺機能異常は有病率が高いため、これのみでは本基準を満たさない。引用: Misawa S, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:318-325.以下に、検査、診断に際しての注意点を列記する。1)多発ニューロパチー明確な自覚症状を認めない場合もあり、神経伝導検査によるニューロパチーの有無の検索と性状の確認は必須である。原則は、本症候群のニューロパチーの性状は脱髄と二次的軸索変性である。非常に軽症例では、ごくわずかの異常しか認められない場合もある。2)単クローン性の形質細胞増殖血液・尿のM蛋白のスクリーニングにより、大部分の症例では検出可能である。しかし、POEMS症候群ではM蛋白の量は非常に微量のため、免疫固定法による確認が必須である。M蛋白のサブクラスの多くはIgGまたはIgAのλ型である。3)VEGF外注検査会社で測定可能である。VEGF値の測定は、診断確定、治療効果判定に非常に有用であるが、現時点では保険適用にないことが大きな問題点である。血清・血漿のいずれで測定すべきかの結論は出ていない。しかし、指定難病の認定は血清で行われている。外注検査会社に「血清で測定」の指示にて依頼する。4)骨病変硬化性変化が一般的である。しかし、溶骨性変化や混合性変化を認めることもある。胸腹水の検索目的で施行した胸腹骨盤部のCT検査の骨条件で胸骨、椎体、骨盤などの硬化性病変をスクリーニングすることが可能である。さらに精査を進める際には、PET検査が有用である。5)内分泌障害性腺機能異常、甲状腺機能異常、耐糖能異常、副腎機能異常などの頻度が高い。スクリーニング検査として、LH・FSH・E2(エストラジオール)・テストステロン・TSH・FT3・FT4・血糖・インスリン・ACTH・コルチゾールなどの検査を行う。鑑別診断として問題となりやすいのは、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy:CIDP)、ALアミロイドーシスである。POEMS症候群の進行例では、浮腫・皮膚障害をはじめ、多彩な典型的症状を伴うため、鑑別が問題となることは少ない。しかし、発症初期で臨床症状や検査所見が揃わない場合には、ニューロパチーの臨床および神経伝導検査所見を詳細に比較することにより、鑑別が可能となる。CIDPの典型例の臨床症状は、左右対称性のしびれと近位筋を含む筋力低下であり、四肢遠位優位のしびれと筋力低下を呈するPOEMS症候群とは臨床症状が異なる。しかし、CIDP、POEMS症候群とも、神経伝導検査は脱髄所見を示すこと、CIDPのほうが有病率・認知度ともに高いことが影響し、POEMS症候群がCIDPと初期診断される確率は高い。典型的CIDPの多くの症例では、ステロイド、免疫グロブリン、血漿交換などの治療に反応する。したがって、治療抵抗例では診断の再考が必要な場合がある。ALアミロイドーシスは、POEMS症候群と同様、四肢遠位優位のしびれと筋力低下を呈する。しかし、神経伝導検査では軸索変性所見を呈するため、POEMS症候群とは異なる。その他、大量の胸水や腹水単独で発症する例もあり、原因が特定できない場合には、本症候群を鑑別疾患の1つとして挙げることも考慮する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)POEMS症候群の症状は多彩であるが、治療のターゲットはplasma cell dyscrasiaである。そのため、近年は骨髄腫の治療法が本症候群に応用されている。治療方針の原則は、若年者では自家移植、高齢者では免疫調整薬が第1選択とされてきた。移植適応年齢の上限は、65歳から70歳へと、近年引き上げられつつある。自家移植に伴う関連死や再発のリスクが明確になりつつあることを考慮すると、若年軽症例、とくに30代の患者では、リスクとベネフィットおよび長期にわたる疾患コントロールの観点から、移植が第1選択とは必ずしもいい切れなくなってきている。そのような症例では、免疫調整薬が第1選択となる可能性がある。以下に、現在有効であると考えられている治療法について概説する。しかし、いずれも保険適用がないのが、問題点となっている。■ 自己末梢血幹細胞を伴う高用量化学療法通常、骨髄腫とほぼ同様の方法で行われている。自己末梢血幹細胞採取は、顆粒球コロニー刺激因子単独またはシクロホスファミド(商品名:エンドキサン)併用で行われる。続いて、高用量のメルファラン(同:アルケラン)による前処置後に幹細胞移植が行われる。最近では、移植前にサリドマイド(同:サレド)、レナリドミド(同:レブラミド)やボルテゾミブ(同:ベルケイド)などの前治療を行い、病勢をコントロールしてから、自家移植へ進むこともある。移植後、VEGF値は約1~3ヵ月で速やかに低下し、引き続き臨床症状全般の改善が生じる。移植後の再発に関する報告も増えつつあり、無増悪生存率は1年で98%、5年で75%とされる。再発後の治療の選択肢としては再移植、サリドマイドなどの免疫調整薬などが選択されることが多い。■ 免疫調整薬現時点における免疫調整薬の選択肢は、サリドマイド、レナリドミドである。サリドマイド、レナリドミドとも、やはり骨髄腫と同様の用法・用量で使用されており、デキサメタゾン(同:レナデックス、デカドロンなど)が通常併用される。ポマリドミド(同:ポマリスト)は、レナリドミドの次に開発された免疫調整薬であるが、本症候群への使用の報告はまだない。サリドマイドは、本症候群における有効性が、プラセボ対照二重盲検ランダム化群間比較試験で、唯一示されている薬剤である。前記試験は、わが国において医師主導治験として実施されており、適用取得に向けて準備中である。レナリドミドについても、単群オープン試験が報告されており、やはり有効性が示されている。副作用として、サリドマイドでは徐脈、末梢神経障害などに、レナリドミドでは骨髄抑制に、とくに注意が必要である。若年軽症例では、現時点では自家移植ではなく免疫調整薬を選択しても、将来的には自家移植の適応となる可能性がある。その際には、レナリドミドの長期使用により、幹細胞採取が困難となる可能性があるため、長期的な展望の下に、薬剤の選択と治療期間の検討を行う必要がある。■ プロテアソーム阻害薬骨髄腫治療薬として主要な位置付けとなっているプロテアソーム阻害薬も、POEMS症候群に有効な可能性がある。本症候群においては、ボルテゾミブの有効性についての症例報告が集積されつつある。臨床試験の報告はない。カルフィルゾミブ(同:カイプロリス)については、1例の報告のみで、神経症状の安定化が認められたとされる。イキサゾミブ(同:ニンラーロ)については、現在、米国で臨床試験が進行中である。用法・用量は、骨髄腫と同様に使用されることが多い。しかし、プロテアソーム阻害薬の注意すべき副作用として、末梢神経障害がある。そのため、投与中は末梢神経障害の発現に注意しつつ、投与間隔の延長や治療の中断を考慮する。ボルテゾミブに関しての報告が最も多く、効果の発現が免疫調整薬と比較し、速やかな可能性がある。亜急性進行を示す例において、選択肢の1つとなる可能性がある。4 今後の展望現在、骨髄腫治療薬は、早いスピードで開発が進んでいる。これまでの免疫調整薬・プロテアソーム阻害薬の本症候群における有効性を鑑みると、新規薬もおそらく有効である可能性が高い。そのため、本症候群に応用できる選択肢が、今後も引き続き増加することが予測される。現時点では、本症候群における新規治療の試みは、希少かつ重篤な疾患であるがゆえに、1~数例の報告が主体である。しかし、サリドマイドの本症候群への適応拡大のために行われたランダム化群間比較試験のように、今後は適切な臨床試験を可能な限り行い、エビデンスを積み重ね、治療戦略を構築する試みを継続すべきである。治療の進歩に伴い、本症候群の認知度は確実に向上しており、早期診断・治療の加速により、予後は明らかに改善しつつある。また、稀少疾病の新規治療開発を加速させる手段の1つとして、本症候群の症例登録システムも構築されている。全国に散在している症例の情報を集積し、新規治療の有効性や予後について明らかにすることが目的である。さらに、未来の新規治療薬の臨床試験においては、適応となりうる患者に迅速に情報を届けることも、もう1つの主要な目的である。一方で、診断・病勢のマーカーとなるVEGF測定や有効とされる新規治療が、いまだ1つも保険適用とされていないことが、すべての患者さんが、いずれの医療機関でも標準的な診療を受けることへの大きな障壁となっている。このような問題点に関しても、今後の解決が期待される。5 主たる診療科神経内科または血液内科 ※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター クロウ・深瀬症候群(一般利用者と医療者向けのまとまった情報)千葉大学大学院医学研究院 神経内科学 J-POST trial(医療者向けのまとまった情報)千葉大学大学院医学研究院 神経内科学 患者登録システム(一般利用者と医療者向けの症例登録の窓口)患者会情報POEMS症候群 サポートグループ(本症の患者および家族の会)1)Kuwabara S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;6:CD006828.2)Misawa S, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:318-325.3)Dispenzieri A. Am J Hematol. 2014;89:214-223.4)Misawa S, et al. Lancet Neurol. 2016;15:1129-1137.5)Jaccard A. Hematol Oncol Clin North Am. 2018;32:141-151.6)Nozza A, et al. Br J Haematol. 2017;179:748-755.7)Mitsutake A, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2018.[Epub ahead of print]公開履歴初回2015年07月28日更新2018年04月24日

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ER陽性乳がん、5年内分泌療法後の再発のリスクは?/NEJM

 エストロゲン受容体(ER)陽性で5年間の内分泌療法を実施後に無病状態にあった女性患者の、5~20年の乳がん再発は、期間を通して一定の割合の発生であったことが明らかにされた。また、遠隔再発リスクは、当初の腫瘍径とリンパ節転移の状態(TN分類)と強く関連しており、10~41%の範囲にわたっていた。英国・オックスフォード大学のHongchao Pan氏らが、88試験(被験者総数6万人超)のデータに基づき行ったメタ解析の結果で、NEJM誌2017年11月9日号で発表した。これまでの検討で、ER陽性早期乳がん女性患者は5年間の内分泌療法によって、治療中および治療後の再発率が大きく低下することが示されていた。治療期間を5年以上延長すると、再発率はさらに低下するが副作用の発現も増大する。研究グループは、5年間で中断した場合のその後の遠隔再発の絶対リスクのデータを入手することは、治療を延長すべきかどうかの判断に寄与する可能性があるとして検討を行った。TN分類、腫瘍悪性度などと5~20年アウトカムの関連を分析 研究グループは、ER陽性の乳がん患者で、予定した5年間の内分泌療法を実施後、無病状態にあった6万2,923例を被験者とする88試験の結果を基にメタ解析を行った。 試験と治療による層別化を行い、Kaplan-Meier法とCox回帰分析を用いて、TN分類、腫瘍悪性度、その他の因子と、5~20年のアウトカムについての関連を分析した。腫瘍悪性度とKi-67値も中等度の予測因子として有用か 追跡した5~20年間を通して、乳がん再発は一定の割合で発生し、遠隔再発リスクは当初のTN分類と強い関連が認められた。 具体的には、T1の患者で、リンパ節転移がないT1N0の患者では、遠隔再発リスクは13%、リンパ節転移が1~3のT1N1~3の同リスクは20%、リンパ節転移が4~9のT1N4~9では34%だった。同様にT2の患者でも、T2N0患者の同リスクは19%、T2N1~3で26%、T2N4~9で41%だった。 乳がん死亡リスクも、TN分類に依存していたが、対側乳がんリスクとは関連がみられなかった。 同じTN分類では、互いに強い関連のある腫瘍悪性度(4万3,590例で確認)とKi-67値(7,962例で確認)が、遠隔再発リスクに関する中等度の独立予測因子だった。一方で、プロゲステロン受容体(5万4,115例で確認)とヒト上皮成長因子受容体2(HER2)(トラスツズマブ非使用試験の1万5,418例で確認)は、いずれも予測因子とは認められなかった。 遠隔再発絶対リスクについて乳がんの重症度別にみてみると、T1N0乳がん患者の5~20年の遠隔再発リスクは、低悪性度乳がんで10%、中悪性度乳がんは13%、高悪性度乳がんでは17%だった。また、全再発または対側乳がんの絶対リスクはそれぞれ17%、22%、26%だった。 なお研究グループは、「今回の試験の主な目的として、遠隔再発リスクが低く、5年超の内分泌療法の有益性が低いと考えられるサブグループを特定することがあった。しかしながら、T1N0乳がんの患者でも遠隔再発リスクが13%であった。確かなエビデンスは得られていないが、そのような低リスクの患者についても5年超の内分泌療法により遠隔再発リスクは数%低下する可能性が考えられた」と考察している。

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閉経後ホルモン補充療法、長期死亡への影響は?/JAMA

 閉経後女性に対するホルモン補充療法の、長期死亡への影響は認められないことが報告された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoAnn E. Manson氏らが、1990年代に行われた2つの閉経後ホルモン補充療法に関する無作為化試験(Women's Health Initiative Estrogen Plus Progestin and Estrogen-Alone Trials)の参加者を18年間追跡した結果で、全死因死亡、心血管疾患死、がん死いずれにおいても関連性は認められなかった。これまでに同試験から健康アウトカムの解析は報告されているが、概して全死因および疾患特異的死亡に注視した論文はなかったという。JAMA誌2017年9月12日号掲載の報告。CEE+MPA vs.プラセボ、CEE単独 vs.プラセボを解析 研究グループは、ホルモン補充療法試験の介入中および介入後の長期フォローアップ中における、全死亡および原因別死亡の累積発生率を調べた。 1993~1998年に、米国居住の民族的に多様な50~79歳の閉経後女性2万7,347例が2つの無作為化試験に登録され、2014年12月31日まで観察フォローアップを受けた。被験者は、結合型エストロゲン製剤(CEE)0.625mg/日+酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)2.5mg/日 vs.プラセボを受ける介入を、またはCEE単独 vs.プラセボを受ける介入を受けた。前者のCEE+MPA vs.プラセボ試験(8,506例 vs.8,102例)の介入期間は中央値5.6年、後者のCEE単独 vs.プラセボ試験(5,310例 vs.5,429例)は同7.2年であった。 研究グループは、2つの試験のプールデータおよび各試験データにおける、全死因死亡(主要アウトカム)、原因別死亡(心血管疾患死、がん死、その他主要な死因によるもの)を調べ、事前に規定した、無作為時の年齢をベースにした10歳階級群別で解析を行った。介入中および18年累積の全死因および原因別死亡ともプラセボ群と有意差なし 無作為化を受けた2万7,347例のベースライン時の平均年齢(SD)は63.4歳(7.2)、白人80.6%であった。死亡に関するフォローアップデータは、98%超で入手できた。 累積18年のフォローアップ中における死亡は7,489例であった(介入試験中1,088例、介入後フォローアップ中6,401例)。 全プールコホートの解析で、全死因死亡率はホルモン補充療法群27.1%、プラセボ群27.6%であった(ハザード比[HR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.94~1.03)。CEE+MPAのプラセボに対するHRは1.02(95%CI:0.96~1.08)、CEE単独の同HRは0.94 (同:0.88~1.01)であった。 心血管疾患死のプール解析では、ホルモン補充療法群(8.9%) vs.プラセボ群(9.0%)のHRは1.00(95%CI:0.92~1.08)、また全がん死のプール解析では、ホルモン補充療法群(8.2%) vs.プラセボ群(8.0%)のHRは1.03(95%CI:0.95~1.12)、その他の主要な死因による死亡のプール解析では、ホルモン補充療法群(10.0%) vs.プラセボ群(10.7%)のHRは0.95(95%CI:0.88~1.02)であった。 全プールコホートにおいて、10歳階級群別の分析に基づき若い年齢(50~59歳)群と高齢(70~79歳)群を比較した結果、全死因死亡の名目HR比は、介入期間中が0.61(95%CI:0.43~0.87)、累積18年のフォローアップ中は0.87(95%CI:0.76~1.00)であった(試験間の有意な不均一性なし)。

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小さな乳がんはたちが良い?たちが良いから小さい?/NEJM

 生物学的に“favorable”な乳がんはサイズが小さい腫瘍に多く、その頻度は若年女性のほうが低く、生物学的に“favorable”で小さな乳がんは予後が良好であり、過剰診断率は加齢に伴って増加することが、米国・イェール大学のDonald R. Lannin氏とShiyi Wang氏の調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年6月8日号に掲載された。マンモグラフィの導入以降、腫瘍サイズの小さな乳がんの発症率が、大きな乳がんの3倍以上に達することがH. Gilbert Welch氏らにより報告されている。これは、小さな乳がんの多くが大きな乳がんには進行せず、小さな乳がんの検出の際に過剰診断が起きることを意味するという。生物学的特徴で3群に分け、腫瘍サイズ、年齢別の過剰診断を評価 研究チームは、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースから、2001~13年に診断された浸潤性乳がんを同定し、3つの生物学的因子(悪性度[Grade]、エストロゲン受容体[ER]、プロゲステロン受容体[PR])に基づく12の組み合わせを用いて、次の3つの予後グループに分類した。 (1)生存率が最も不良の群であったのは、Grade 2/ER陰性/PR陰性、Grade 3/ER陰性/PR陰性、Grade 3/ER陽性/PR陰性、Grade 3/ER陰性/PR陽性の4群で、これらは「生物学的unfavorable」に分類された(13万5,388例)。(2)生存率が最も良好であったのは、Grade 1/ER陽性/PR陽性、Grade 1/ER陽性/PR陰性、Grade 1/ER陰性/PR陽性の3群で、これらは「生物学的favorable」と特徴づけられた(13万1,896例)。(3)他のすべての群は「中間的」とみなされた(31万8,325例)。 これら3群の腫瘍サイズの分布を調べ、腫瘍サイズ、生物学的特徴と乳がん特異的生存との関連を検討した。また、3つの群の平均リードタイム(スクリーニングでがんが検出された時期と、スクリーニングしない場合にがんが臨床的に顕在化すると推定される時期の時間差)を評価した。 Welch氏らの方法を適用すると、浸潤性腫瘍の過剰診断率は22%と推定されたが、生物学的favorable例は過剰診断率が高く、unfavorable例は低いと仮定して、この割合を可能性のある範囲で修正した。次いで、年齢別に3つの群の平均余命とリードタイムをシミュレートした。40歳未満の生物学的favorable例は、40歳以上の約半分 40歳以上の女性では、生物学的favorable例は、最大径が1cm以下の腫瘍の38.2%を占めたが、5cm以上の腫瘍では9.0%と少なかった。これに対し、生物学的unfavorable例は、1cm以下の腫瘍では14.1%に過ぎず、5cm以上の腫瘍の35.8%を占めた。40歳未満の女性では、同様の傾向がみられたが、生物学的favorable例が占める割合は40歳以上の約半分であり、unfavorable例の割合がより高かった。 また、40歳以上では、生物学的特徴および腫瘍サイズの両方が予後に大きな影響を及ぼした。すなわち、乳がん特異的な生存率は、生物学的favorable例がunfavorable例に比べ良好で、両群とも腫瘍サイズが小さい例(0.1~2.0cm)が大きい例(2.1~5.0cm)よりも良好だった。腫瘍サイズ別の生存の差は、生物学的favorable例がunfavorable例に比べ小さかった。 さまざまなモデルを用いて3群のリードタイムを推定したところ、Welch氏らによって提示された過剰診断率(22%)が今後も保持されると予測された。推定リードタイムは、モデルによってかなり広範囲に変動したが、すべてのモデルで生物学的favorable例がunfavorable例に比べ、少なくとも1桁分は長いことが示された。 モデルの1つ(過剰診断が生物学的favorable例53%、中間例44%、生物学的unfavorable例3%)で、3つの群の年齢別の過剰診断率を推定した。リードタイムは、生物学的特徴別のばらつきは大きいが、年齢別のばらつきは大きくないと仮定した場合、過剰診断率は年齢が若いほど低く、加齢に伴って着実に増加した。 著者は、「これらの知見により、ある程度は、サイズが大きい乳がんは生物学的悪性度が高い可能性があるといえよう。また、生物学的にfavorableで小さな乳がんは、患者の生存中に大きな腫瘍に進行する可能性は低く、大きな乳がんはすべての小さな腫瘍が進行したのではなく、一部の生物学的に不良な小さながんから進行することが示唆される」とし、「乳がんにはおとなしい腫瘍があり、個別化医療を提供する治療アルゴリズムを用いることで、問題に対処できることを、医師や患者、社会一般に知らせる必要がある」としている。(医学ライター 菅野 守)【訂正のお知らせ】 タイトルおよび本文中の表記に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2017年6月20日)。

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日本人乳がん患者の特徴と予後 最新の知見を紹介!

 乳がんは日本人女性にとって最も典型的ながんの1つである。ほかの典型的ながんとは異なり、高齢より中年女性での発症頻度が高い点が特徴といえる。このように、乳がん患者の臨床的な特徴を知ることは、個別化医療を行っていくうえで重要である。そこで、The BioBank Japan(以下、BBJ)Projectと呼ばれる日本人乳がん患者を対象とした研究概要を紹介する。北海道大学大学院 中村 幸志氏らによる調査。Journal of Epidemiology誌3月号(オンライン版2017年2月20日号)掲載の報告。 BBJとは、がんや心臓病といった一般的な病気を個別化治療を行うために、大規模なバイオバンクに基づいて計画されたプロジェクトである。本調査は、20歳以上の乳がん患者で、BBJに2003年~08年に登録されたうち、診断から90日以内の2,034人を対象に行われた。主な調査項目は患者の臨床的な特徴などであった。さらに、この臨床的な特徴が死亡率に与える影響も検討された。この研究によって、いくつかの臨床的兆候と乳がんにおける死亡率の相関が明らかになった。 主な結果は以下のとおり。・対象患者において、ステージ分類の割合はそれぞれ以下のとおりであった。ステージ0または未分類、ステージI、ステージII、ステージIII、ステージIV:11.4%、47.9%、37.0%、2.9%、0.8%・組織型分類の割合はそれぞれ以下のとおりであった。非浸潤がん、浸潤がん、ページェット病タイプ、その他:12.9%、81.0%、0.2%、5.8%・エストロゲン受容体が陽性の患者は75.8%、プロゲステロン受容体が陽性の患者は62.1%であった。・1,860人(登録患者2,034人より脱落した174人を排除)のうち、218人はフォローアップ期間に亡くなった。

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HR陽性乳がんへのフルベストラント、PFSを有意に延長/Lancet

 ホルモン受容体(HR)陽性局所進行または転移乳がんに対し、フルベストラント(商品名:フェソロデックス)500mg投与はアナストロゾール1mg投与に対し、無増悪生存(PFS)を有意に延長し、有効性について優越性を示したことが、英国・ノッティンガム大学のJohn F R Robertson氏らによる第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検試験FALCONの結果、報告された。HR陽性局所進行または転移乳がんは、アロマターゼ阻害薬が標準治療とされている。研究グループは、ホルモン療法既往のない閉経後患者を対象に、選択的エストロゲン受容体抑制薬のフルベストラントが、標準治療のアロマターゼ阻害薬と比べてPFSを改善するかを検討した。Lancet誌オンライン版2016年11月28日号掲載の報告。20ヵ国113の大学病院から患者を集めて試験 試験は、20ヵ国113の大学病院で患者を集めて行われた。適格とされたのは、組織学的所見でエストロゲン受容体陽性またはプロゲステロン受容体陽性が確認された、局所進行もしくは転移乳がん患者で、ホルモン療法既往なし、WHO分類で0~2、測定可能または測定不能病変が1つ以上あるとした。 患者を無作為に1対1の割合で、フルベストラント投与群(500mg筋注を0、14、28日に、その後は28日ごとに投与)またはアナストロゾール投与群(1mgを1日1回経口投与)に、コンピュータ無作為化法で割り付けた。 主要エンドポイントはPFSで、RECISTガイドラインver1.1で判定した増悪(disease deterioration)による手術もしくは放射線治療の介入、または全死因死亡をintention-to-treat集団で評価した。 安全性アウトカムは、少なくとも1回以上割付治療(プラセボを含む)を受けた全患者を対象に評価した。フルベストラント群のPFSがアナストロゾール群に比し有意に延長 2012年10月17日~2014年7月11日に、524例の患者が試験に登録された。このうち462例が無作為化を受けた(フルベストラント群230例、アナストロゾール群232例)。 結果、PFSはフルベストラント群がアナストロゾール群に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.797、95%信頼区間[CI]:0.637~0.999、p=0.0486)。PFS中央値は、フルベストラント群16.6ヵ月(95%CI:13.83~20.99)に対し、アナストロゾール群は13.8ヵ月(同:11.99~16.59)であった。 頻度の高かった有害事象は、関節痛(フルベストラント群17% vs.アナストロゾール群10%)、ホットフラッシュ(同11% vs.10%)であった。なお、有害事象のため投与中断となった患者は、フルベストラント群16/228例(7%)、アナストロゾール群11/232例(5%)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「フルベストラントは、ホルモン治療歴のないHR陽性局所進行または転移乳がんについて、これら患者の1次治療の標準療法とされる第3世代のアロマターゼ阻害薬と比較して、有効性に優れており、優先すべき治療選択肢である」とまとめている。

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うつ病女性に対する避妊法に関するレビュー

 うつ病や双極性障害の女性は、望まない妊娠をするリスクが高い。米国疾病対策予防センターのH Pamela Pagano氏らは、うつ病や双極性障害女性に対するホルモン避妊法の安全性を検討した。Contraception誌オンライン版2016年6月27日号の報告。 2016年1月までに発表された論文を対象に、うつ病や双極性障害を有する女性のうち臨床的診断またはスクリーニングツールによる検証で閾値レベル以上であった女性における、任意のホルモン避妊法を使用した際の安全性に関する論文を検索した。症状変化、入院、自殺、薬物療法の変更(増量、減量、薬剤変更)をアウトカムとした。 主な結果は以下のとおり。・2,376件中、6件が選択基準を満たした。・臨床的にうつ病や双極性障害と診断された女性に対する研究は以下のとおり。 1)経口避妊薬(OCs)は、双極性障害女性の月経周期全体にわたって気分を変動させなかった。一方、OCsを使用しなかった女性では月経周期全体にわたって気分が有意に変動した。 2)デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン(depot medroxyprogesterone acetate:DMPA)、子宮内避妊用具(IUDs)、不妊手術を用いた女性における精神科入院頻度に有意な差は認められなかった。 3)OCsの使用有無にかかわらず、fluoxetine、プラセボのどちらの治療群においても、うつ病女性のうつ病尺度のスコア増加は認められなかった。・スクリーニングツールでの測定によりうつ病の閾値を満たした女性における結果は以下のとおり。 1)OCsを併用した思春期女性は、プラセボ群と比較し、3ヵ月後のうつ病スコアが有意に改善した。 2)OC使用者は、非使用者と比較し、フォローアップ時にうつでなかった割合は同程度であった。 3)OC併用者では、IUD使用者と比較して、11ヵ月にわたりうつ頻度が少ないことが示唆された。 著者らは「6件の限られた研究から得られた結果によると、OC、レボノルゲストレル放出IUD、DMPAを使用したうつ病または双極性障害の女性では、ホルモン避妊法を使用しなかった女性と比較して、症状の臨床経過の悪化との関連はみられなかった」としている。関連医療ニュース 妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

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トリプルネガティブ乳がん、veliparib+CBDCA併用の術前化学療法でpCR向上/NEJM

 トリプルネガティブの乳がん患者では、術前補助化学療法として標準療法に加え、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬veliparib+カルボプラチンを併用することで、病理学的完全奏効率が向上することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らが、多施設共同の適応的無作為化第II相試験「I-SPY2」で明らかにしたもので、NEJM誌2016年7月7日号で発表した。乳がんは、遺伝的・臨床的不均一性から有効な治療の特定が困難になっている。研究グループは、実験的試験で効果のあるがんサブタイプを見つけることを目的とした。被験者を10種のバイオマーカー標識に分類 試験は、腫瘍が直径2.5cm以上でステージIIまたはIIIの乳がんの女性を対象に、実験的レジメンにより治療アウトカムが向上する乳がんサブタイプについて調べるもので、現在も継続中である。 具体的には、乳がんをヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)、ホルモン受容体、70の遺伝子アッセイにより8つのバイオマーカー・サブタイプに分類。そのうえで、あらかじめ定義したバイオマーカーの組み合わせで10種のバイオマーカー標識を作成し、標準治療と実験的レジメンを比較することとした。被験者は、標準療法よりも良好な成績のレジメンを受けられるよう、バイオマーカー・サブタイプ内で適応的無作為化を行った。 今回報告されている標準療法にveliparibとカルボプラチンを併用するレジメンは、HER2陰性腫瘍について検討され、3標識について評価が行われた。 主要評価項目は、病理学的な完全奏効で、治療中にMRIで腫瘍体積を測定して完全奏効を予測する形で評価。また、ベイズ確率で第III相試験での成功予測が高いと示されたレジメンについて、第II相から第III相へ進めると判定することとした。標準療法にveliparib+カルボプラチンで病理学的完全奏効が51% veliparib+カルボプラチンを投与した被験者は72例、対照群は44例だった。トリプルネガティブ(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2が陰性など)の患者において、化学療法終了時点で病理学的完全奏効が予測された人の割合は、veliparib+カルボプラチン群が51%(95%ベイズ確率区間:36~66)だったのに対し、対照群では26%(同:9~43)だった。 また、トリプルネガティブ乳がんに関して、veliparib+カルボプラチンレジメン治療が第III相で成功する確率は88%だった。 なお、veliparib+カルボプラチン群の毒性は、対照群より高かった。

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