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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 腎臓

第1回 急性腎障害(AKI)第2回 慢性腎臓病(CKD)第3回 腎代替療法第4回 腎炎・ネフローゼ症候群第5回 遺伝性腎疾患第6回 その他の頻出疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。腎臓については、聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科の櫻田勉先生が全6回のレクチャーをします。近年、有用な診断指標の登場により、各疾患の再定義が盛んに行われている腎臓領域。多彩な腎疾患の診断の要となるのは病理所見、見るべきポイントを確認します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 急性腎障害(AKI)第1回は急性腎障害(AKI)を取り上げます。従来は、軽微な腎機能障害は「急性腎不全」と呼ばれ、一過性のものと見なされていましたが、2016年のガイドライン以降、概念が刷新され「急性腎障害」へと名称が変更。早期発見、早期治療が提唱されています。とくに心臓手術後など、ICUでの発症頻度が高いAKI。リスクファクターや診断プロセスを整理します。近年注目されている「尿中バイオマーカー」は早期診断に有用です。第2回 慢性腎臓病(CKD)第2回は慢性腎臓病(CKD)を解説。従来は「慢性腎不全」と呼ばれていましたが、心血管疾患の発症率や腎代替療法のリスクが高まることから、より早期に治療することが重視され、「慢性腎臓病」という概念が再定義されました。本邦では約1330万人、成人の8人に1人がCKD患者とされ、不規則な生活習慣によって全体の約60%の患者が透析となります。HIF-PH阻害薬は、腎性貧血の新たな治療薬として注目のトピックです。第3回 腎代替療法第3回は腎代替療法です。透析療法と腎移植に大別される腎代替療法。透析療法には、血液透析と腹膜透析に分けられ、透析患者の97%が血液透析を採用しています。それぞれの透析の原理と、血液透析に伴う不均衡症候群や透析アミロイドーシス、腹膜透析に伴う被嚢性腹膜硬化症といった合併症を確認します。腎移植は、適応基準、移植後の免疫抑制療法、拒絶反応とともに、試験で問われやすい統計データも押さえておきましょう。第4回 腎炎・ネフローゼ症候群第4回は腎炎・ネフローゼ症候群。難治性腎障害指定のIgA腎症、ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎症候群を解説します。病理所見が診断の要。IgA腎症は慢性糸球体腎炎の一種で、糸球体のメサンギウム領域にIgAの沈着を認めます。ネフローゼ症候群は、大量の蛋白尿と低蛋白血症、浮腫といった症状が特徴的です。急速進行性腎炎症候群は、血尿、蛋白尿、貧血と急速に進行する腎不全を来します。第5回 遺伝性腎疾患第5回は遺伝性腎疾患について解説します。腎臓専門医以外にとってはなじみの薄い遺伝性腎疾患ですが、中でも多発性嚢胞腎は、試験での出題頻度が高い傾向の疾患です。家族歴とともに、CTやMRIの画像所見で診断します。ファブリー病は、2018年に承認された経口薬によるケミカルシャペロン療法に注目。遺伝性尿細管機能異常症のFanconi症候群、Bartter症候群、Gitelman症候群については、それぞれの発症年齢や鑑別点の違いを確認します。第6回 その他の頻出疾患最終回では、試験に頻出の糖尿病性腎臓病、ループス腎炎、多発性骨髄腫による腎障害、血栓性微小血管症、コレステロール塞栓症、IgG4関連疾患についてまとめて解説します。近年では、ネフローゼ症候群を呈する典型的な「糖尿病性腎症」が減少し、顕性アルブミン尿を伴わず、徐々に腎機能低下を示す「糖尿病性腎臓病」が増加しています。ループス腎炎は、全身性エリテマトーデスに伴う腎障害。治療の変更点がポイントです。

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みんなの脳神経内科

“最短距離”で書かれた、“みんなの”ための1冊脳梗塞、認知症、てんかん、パーキンソン病、しびれなど、プライマリケア領域や救急で遭遇する脳神経内科領域の主要疾患について、神経診察や画像診断のポイントなど、実際に現場で使える知識や診断テクニックを中心に、研修医や非専門医に向け著者の豊富な経験を基に平易な言葉でわかりやすく“最短距離”で書かれた、“みんなの”ための1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    みんなの脳神経内科定価3,960円 + 税判型A5判頁数240頁 発行2021年5月著者山本 大介電子版でご購入の場合はこちら

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「ミオナール」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第55回

第55回 「ミオナール」の名称の由来は?販売名ミオナール®錠50mgミオナール®顆粒10%一般名(和名[命名法])エペリゾン塩酸塩(JAN)効能又は効果○下記疾患による筋緊張状態の改善頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症○下記疾患による痙性麻痺脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、筋萎縮性側索硬化症、脳性小児麻痺、脊髄小脳変性症、脊髄血管障害、スモン(SMON)、その他の脳脊髄疾患用法及び用量錠50mg通常成人には1日量として3錠(エペリゾン塩酸塩として150mg)を3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。顆粒10%通常成人には1日量として1.5g(エペリゾン塩酸塩として150mg)を3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年6月9日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2015年12月改訂(改定第8版)医薬品インタビューフォーム「ミオナール®錠50mg/ミオナール®顆粒10%」2)Medical.eisai.jp:製品情報

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アルツハイマー病治療薬aducanumab、FDAが迅速承認/バイオジェン・エーザイ

 国内で承認申請中(2020年12月申請)のaducanumabについて、脳内のアミロイドβプラークを減少させることによりアルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一のAD治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)が迅速承認した。バイオジェンとエーザイが6月8日に発表した。この迅速承認は、臨床的有用性(臨床症状の悪化抑制)の予測可能性が高いバイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するaducanumabの効果を実証した臨床試験のデータに基づくもの。なお、今回の迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要とされており、もし、臨床的有用性を確認できなかった場合、承認取り消しの手続きが行われる。 本剤の有効性については、アミロイドの蓄積が確認されたADの初期段階(軽度認知障害および軽度認知症)の患者を対象とした第III相試験であるEMERGE試験とENGAGE試験の2つの試験で評価された。また、本剤の効果は、プラセボ対照無作為化二重盲検用量設定第Ib相試験であるPRIME試験においても評価された。これらの試験において、一貫してアミロイドβプラークの減少に対する用量依存的かつ投与期間依存的な効果を示し、ENGAGE試験では59%の減少(p<0.0001)、EMERGE試験では71%の減少(p<0.0001)、PRIME試験では61%の減少(p<0.0001)を示したという。 安全性プロファイルについては、1回以上投与を受けた3,000例以上で確認された。最も多く報告された有害事象は、MRIで観察されるアミロイド関連画像異常(ARIA)だった。ARIA(ARIA-Eおよび/またはARIA-H)は、aducanumab 10mg/kg投与群の41%で、プラセボ群では10%で観察された。ARIAを生じた患者のうち、aducanumab 10mg/kg投与群では24%、プラセボ群では5%が症候性であり、最も多い症状は頭痛だった。ARIAに関連するその他の症状としては、錯乱、めまい、視覚障害、吐き気などであった。アデュカヌマブ治療を受けた患者の少なくとも2%で報告され、かつプラセボ投与群よりも2%以上高い頻度で報告された有害反応は、ARIA-E、頭痛、脳表ヘモジデリン沈着、ARIA-H関連表在性せん妄、転倒、下痢、錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害が報告されている。 バイオジェンとエーザイは全世界的にaducanumabの開発ならびに製品化を共同で実施している。

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勤務医と開業医の二択じゃない!お金と時間が手に入るキャリアパス【医師のためのお金の話】第45回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。最近、友人の医師がラーメン店を開業しました!ラーメン酔拳「代打は俺」しかも、普段は医師の友人自らが店頭に立ってラーメンを作る、というガチ開業です。私が医師になった平成ひとケタ年台には考えられないキャリアパスですね。彼は決して医療で「詰んでしまった」わけではありません。むしろ、ラーメン店を開業する直前まで、基幹病院に勤務する脊椎外科医として第一線で臨床に従事していました。また、基幹病院の前職は大学のスタッフで、後進指導とアカデミアを極めるべく多忙な日々を送っていました。医師からラーメン屋へ。ここまで極端な例はまだ多くないですが、皆さんも今後のキャリアパスを考えるうえで参考になるのではないでしょうか。自分の人生を生きるため、勤務医を卒業友人が勤務医を卒業したのは決して衝動的なものではなく、5年ほど前から少しずつ計画していたそうです。今から6年前の2015年、彼は日本整形外科学会のトラベリングフェローに選出され、アカデミアのど真ん中にいました。しかし、その実態は大学の業務で多忙を極めており、予定がすべて医局行事で埋め尽くされていたのです。自分のやりたいことができない不自由さと拘束感はハンパではなく、一度限りの自分の人生を生きている実感を持てなかったそうです。そして、多忙は一種の麻薬です。ブラック企業でもそうですが、過度の業務は感覚を麻痺させてしまいます。自分で能動的に考える習慣がなくなってしまい、他人から与えられた仕事やスケジュールをこなすことが自分の幸せであると思い込んでしまうのです。そのような状態が続くと、気付かないうちにダメージが蓄積します。彼はそのような状態に陥ってしまい、自分の人生を自らの意志で生きるため、勤務医を卒業することを決心しました。なぜラーメン店?「4つのクワドラント」のどこを目指すか イメージ『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房)で有名なロバート・キヨサキは、就業者のカテゴリーとして以下の4つを提唱しています。1)従業員(=勤務医)2)自営業者(=開業医)3)ビジネスオーナー4)投資家医師の場合、勤務医は1)従業員に、開業医は2)自営業者に分類されますが、両者とも時間の融通をつけにくい働き方です。一方、3)ビジネスオーナーと4)投資家は、お金と時間の自由を手に入れやすい属性だといえます。医師がキャリアパスを考えるうえでは、勤務医と開業医の二択と思われがちです。しかし、自分の人生を能動的に生きるためには、お金と時間の自由が手に入りやすいキャリアパスを考える必要があります。友人はラーメン店を多店舗展開することに成功すれば、ビジネスオーナーへの道が開ける、と考えたのです。医師免許を生かした「バーベル戦略」もう1つ、参考になる考え方が、ナシーム・ニコラス・タレブが著書『反脆弱性―不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』(ダイヤモンド社)の中で提唱した「バーベル戦略」です。医師の収入は安定していますが、青天井の報酬を受け取ることは難しいでしょう。一方で、医師の安定性を担保にして、ハイリスク・ハイリターンな人生を掛け合わせると、青天井の報酬にチャレンジできるというのがバーベル戦略の考え方です。要約すると、人は中庸なリスクを取りたがるが、「安全なものを多く」と「ハイリスク・ハイリターンのものを少し」を組み合わせることが最もリターンを得やすい、という理論です。友人はこのバーベル戦略を実践しており、ラーメン店を経営しながら医師としてのアルバイトを週1回続けています。この組み合わせによって、お店が赤字であっても家賃は医師のアルバイト代で賄える、という命綱を持った状況で開業しました。これは通常のラーメン店の店主とは決定的に異なる点です。勤務医を辞めても高額でアルバイトができる医師が起業するのは、通常よりもリスクが抑えられるのです。他者にチャンスを与え、自分も能動的に生きる友人は福岡県の糸島のラーメン店で自ら修業するなどして周到に開業準備をしただけあって、店は順調な滑り出しです。そんな友人が地味にうれしかったのは、店のアルバイトとして地元に雇用を生んだことだといいます。そして、「人生がなかなかうまくいかない」と悩む20代前半の彼らを見ていると、何か力になれないかと考えるそうです。「彼らが店長になって人生がうまくいくきっかけになれば大泣きしてしまうかもしれない」と言っているのを聞いて素直に感動しました。他人に人生のチャンスを提供して、自分の人生も能動的に生きることができる…。まさに彼の決断は、自分も含めて関わる人たちの人生に大きな影響を与えたことになります。キーワードは「自由な発想」医師免許という強力なツールがあれば、考え方を少し変えてみるだけで驚くほど大きな影響を、自分も含めた周囲に及ぼすことが可能です。日常の臨床に忙殺されて、その日を生きるのに精いっぱいの人も多いでしょう。しかし、人生は一度限りです。せっかく天から与えられた人生を能動的に生きるためにも、周囲にいる「少し変わった」人を観察して参考にするのもよいかもしれません。

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薬剤師がワクチンの「打ち手」になる日が来る!?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第69回

新型コロナウイルスワクチンが承認されて怒涛の接種ラッシュが始まると思いきや、意外とペースがゆっくりなのね…と感じている人も少なくないでしょう。接種ペースを上げて、より多くの人がより早くワクチンを接種して集団免疫を獲得するための打開策として、なんと「薬剤師をワクチンの打ち手に」というワードが急浮上しました。日本薬剤師会の山本信夫会長は5月19日、「要請があれば協力できるように研修内容の検討を始める」と発言し、前向きな姿勢を示した。内科医らでつくる民間団体が5月17日、薬剤師を活用することを求める署名約2万4,000人分を河野行政・規制改革相に提出。(ともに2021年5月19日付 読売新聞オンライン)河野太郎・行政改革相は5月18日、ワクチン接種の打ち手について「当然に薬剤師も検討の対象になる」との認識を示した。(2021年5月19日付 朝日新聞Digital)5月24日には日本薬剤師会の山本信夫会長が官邸に招かれ、医療従事者であり、免許取得者が30万人を超える薬剤師にも打ち手として期待を寄せる。(2021年5月26日付 日本経済新聞Web)コロナワクチンの接種率が高い米国では、薬局薬剤師がワクチン接種をしているという報道に影響されたのかな?と思いますが、国によって法律は異なるため、薬剤師が行える業務の範囲も異なることがしばしばあります。実際、米国や英国では薬剤師による注射が認められていますが、日本では医師法によって認められていません。しかし、このように薬剤師への期待が高まって署名が集まったことは、素直に大変うれしく思います。実現するには現行法を改正したり、医師に理解を求めたりする必要があるため時間がかかると思いますが、早くも日本薬剤師会は研修内容の検討を始めるとあり、実際に長崎国際大学薬学部では薬剤師向けに筋肉注射の研修会が開かれました。在宅対応で注射の調製を積極的にしている薬局はまだまだ少ないため、多くの薬局薬剤師は注射の扱いにあまり慣れてはいないでしょうし、日常的に調製や払い出しを行っている病院薬剤師であっても実際に注射を人に打ったことはないでしょう。ワクチンの打ち手になるとしたら相当の研修が必要になるため、これからの動きに注目したいと思います。今回は見送りでも、薬剤師による注射は「オーバーエクステンション」このように「薬剤師がワクチンの打ち手に」という話題は盛り上がりましたが、5月31日の厚生労働省の検討会によって、現時点では見送りとされました。誤解を恐れずに言うと、今回ワクチン接種の担い手になることがなくても、薬剤師がワクチン接種を想定して練習をしているということを示すことが、今後の薬剤師や薬局の役割を変えていくことにつながるのではないかと思います。経営学の用語で「オーバーエクステンション」という言葉があります。私の師匠の1人である伊丹 敬之氏が提唱した言葉で、その企業が持つ資源や能力を超えた事業に挑むという戦略で、短期的に見ればリスクがあるけれども成功すれば長期的な大きな利益が期待できるというものです。ワクチン接種は薬剤師にとってまさに「オーバーエクステンション」なのではないかと思います。リスクは実現しなかったときに、研修や勉強に費やした時間が無駄になることくらいでしょう。ワクチンの調製や経過観察にとどまらず、接種自体を多くの薬局薬剤師が行えるようになったら、もしかしたら来年には薬局でワクチン接種ということになるかもしれません。約6万店も存在して多すぎると言われ続けた薬局が活躍する日も近い!?と期待しています。

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遺伝子ワクチン接種後の新たな変異株感染(Breakthrough Infection)は何を意味するか?(解説:山口佳寿博氏)-1401

 米国においては、2020年12月中旬よりFDAが承認した3種のワクチン(Pfizer:BNT162b2、Moderna:mRNA-1273、Johnson & Johnson:Ad26.COV2.S)の接種が急ピッチで進められており、2021年5月28日現在、18歳以上の米国成人の62%、12歳以上の国民の59%が少なくとも1回のワクチン接種を、18歳以上の51%、12歳以上の48%が完全なワクチン接種(BNT162b2:2回接種、mRNA-1273:2回接種、Ad26.COV2.S:1回接種)を終了している(The New York Times. 2021年5月28日)。ただし、血栓形成という特殊副反応のためにAd26.COV2.Sの接種が2021年4月13日から4月23日までの間中止されたので、本ワクチンの接種率は他の2つのワクチンに比べ低い。上記のデータは、ワクチンによる疑似感染が集団免疫の確立に必要な最低感染率40%を超過し(山口. 日本医事新報 2020;5026:26-31)、米国は現時点でワクチン疑似感染による集団免疫を確立しつつある国だと考えることができる。その結果、2021年1月中旬以降、米国のコロナ感染者数、入院者数、死亡者数は順調に低下し、感染者数は2週間平均で37%、入院者数は23%、死亡者数は12%と明確な低下を示している。 米国CDCの報告によると、2021年4月30日までにワクチン接種者において1万262人の新規コロナ感染者が観察された(CDC COVID-19 Vaccine Breakthrough Case Investigations Team. MMWR; Vol. 70, 2021 May 25)。ワクチン接種後の新規感染者の27%は無症候性、新規感染関連入院は6.9%、新規感染関連死亡は1.3%に認められた。遺伝子配列から決定された検出ウイルスの内訳は、B.1.1.7(英国株):56%、B.1.427/429(米国株):33%、P.1(ブラジル株):8%、B.1.351(南アフリカ株):3%であり、B.1.617(インド株)ならびにB.1.526(米国株)は検出されなかった。一方、本論評で採り上げたHacisuleyman氏らの論文では、2021年3月30日現在、ニューヨーク市における蔓延ウイルスの中心は、B.1.1.7(英国株:26.2%)とB.1.526(米国株:42.9%)であったが、この2種類のウイルスとは異なる新たな変異ウイルスが検出されたと報告された(一つは感染性増強変異と液性免疫回避変異の両者を、もう一つは感染性増強変異のみを有する変異株)(Hacisuleyman E, et al. N Engl J Med. 2021 Apr 21. [Epub ahead of print])。米国全土とニューヨーク市という地域の差があるものの1ヵ月の間に米国発症のB.1.526が消失し、その替わりとして米国発症のB.1.427/429の頻度が急増し、かつ、今まで検出されていなかった新たな変異ウイルスが一過性にせよ検出されたという知見は、ワクチン接種とともに変異ウイルスの選択がダイナミックに進行していることを示す所見として興味深い。 以上の事実が何を意味するかを考察するために現状のワクチンの本質について考えていきたい。世界各国で接種が始まっている現状のワクチンはすべて武漢原株のS蛋白全長をplatformとして作成されたものであり、種々の治験結果から、D614G株(従来株、第2世代変異株)と液性免疫回避作用が弱い英国株(D614Gから進化したN501Y変異を有する第3世代変異株の一つ)に対しては確実な予防効果を発揮することが判明している(山口. J-CLEAR論評-1380. 2021 April 27、Dagan N, et al. N Engl J Med. 2021;384:1412-1423.)。一方、液性免疫回避作用が強い第3世代のB.1.351(南アフリカ株:N501Y変異[+])、P.1(ブラジル株:N501Y変異[+])、B.1.617(インド株、N501Y変異[-])に対する現状ワクチンの予防効果は、D614G株、英国株への効果に比べ有意に低いことが報告されている(山口. 日本医事新報 2021;5053:32-38、Sadoff J, et al. N Engl J Med. 2021 Apr 21. [Epub ahead of print]、Abu-Raddad LJ, et al. N Engl J Med. 2021 May 5. [Epub ahead of print])。すなわち、5月現在、米国で確立されつつあるワクチン疑似感染による集団免疫は、D614G株(第2世代変異株)とB.1.1.7(英国株、液性免疫回避作用が弱い第3世代変異株)に対するものであり、液性免疫回避作用が強いB.1.351(南アフリカ株)、P.1(ブラジル株)、B.1.617(インド株)、B.1.526(米国株)、その他の新たな第3世代変異株に対する集団免疫は確立に至っていないことに留意する必要がある。米国で確立されつつある集団免疫は、現在の主流ウイルスである液性免疫回避作用が弱い英国株による感染を駆逐し、今後ある一定期間はコロナ感染者数を低下させるであろう(集団免疫の正の効果)。しかしながら、英国株に対する集団免疫の確立は、現在の集団免疫に対して抵抗性を有する種々の第3世代変異株(B.1.351、P.1、B.1.617、B.1.526など)のうちいずれか、あるいは、まったく新しい変異株がウイルスの生存をかけて自然選択される確率を上昇させる(集団免疫の負の効果)(Lauring AS, et al. JAMA. 2021;325:529-531.)。その結果として、近い将来、新たな変異株に起因する感染爆発が起こる可能性があることに注意しなければならない。 以上のワクチン疑似感染に関する考察を支持する事実として、第2世代のD614G株から第3世代の英国株、南アフリカ株、ブラジル株、インド株が発生した状況について考えてみたい。これらの第3世代変異株は、D614G株による重篤な自然感染が発生した地域で流布するようになった。すなわち、D614G株の自然感染によってD614G株に対する集団免疫、あるいは、それに近い状況が英国、南アフリカ、ブラジル、インドにおいて確立され、その結果として、ウイルスは生存のためにD614G株に対する集団免疫に打ち勝つ第3世代変異株を選択、世界の多くの地域で第3世代変異株による感染爆発が発生したものと考えられる(山口. J-CLEAR論評-1381. 2021 April 28)。ワクチン接種による疑似感染で人工的集団免疫が確立された場合にも質的に同様の集団免疫抵抗性のウイルスが近未来に選択されるものと考えなければならない。 米国を中心に論を進めたが、集団免疫確立に伴う負の効果はワクチン接種が急ピッチで進められている他の先進諸国でも発生するものと考えておかなければならない。5月現在、本邦における主流ウイルスもD614G株から英国株に置換されつつあり(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部.2021年5月11日)、ワクチン疑似感染による英国株に対する集団免疫が早晩確立されるであろう。その結果として、一過性の社会的平穏が訪れるはずであるが、その先には、米国を例として考察したワクチン疑似感染による人工的集団免疫に抵抗性の新たな変異ウイルスによる第5波の感染が発生する可能性がある。この場合、いかなる変異株が選択されるかを予測することは難しく、現在すでに発生している液性免疫回避作用が強い第3世代変異株(南アフリカ株、ブラジル株、インド株など)の中から選択されるかもしれないし、新たな変異株(第4世代)が発生する可能性を考えておかなければならない。その意味で、ワクチン接種が進められた場合、変異ウイルスに対する大規模、かつ、確実なモニターを継続する必要があることを絶対的に忘れてはならない。

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事例027 トラムセット配合錠の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説両手拇指CM関節慢性疼痛にて初診の患者に、トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤錠(商品名:トラムセット配合錠)のジェネリック版を投与したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。そこで、病名に「慢性疼痛」が入っていたため、適応があるのではないかと考え添付文書を読み返しました。投与量は添付文書通りでした。効能または効果には、「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な疾患における鎮痛、非がん性慢性疼痛」とあり、当該患者の慢性疼痛には適応があります。さらによく読むと、「非オピオイド鎮痛剤で治療困難」と前段にあります。当該患者は、初診で来院されています。疼痛に対する第1選択は、非オピオイド鎮痛剤であり、治療困難と判断したのちに、トラムセット配合錠に変更するというストーリーが読み取れます。したがって、初診時からトラムセット配合錠を投与した理由が、このレセプトからは読み取れず、添付文書の要件に沿っていないとD事由が適応されたものと推測できます。診療録を確認したところ、「他院から非オピオイド鎮痛剤に対して効果が薄いとの情報提供を受けていたことを理由にトラムセット配合錠を処方した」ことが記載されていました。同院のレセプト担当は、「病名が合致しているのでコメントは必要ない」と判断したようです。審査支払機関では、このように判断を必要とするところまでコンピュータ審査に対応しているようです。今後の査定対策として、医師には投与条件によってはコメントを必要とする薬剤であることを伝え、レセプトチェックシステムには初診時などの投与要件外であった場合にコメントを要することを登録しました。

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肥満だと新型コロナ重症化しやすいと知らない人が4割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言下、多くの事務職はテレワークに代替され、不要不急の外出も制限されている。家にこもる日々が1年以上に渡るが、身体にどのような変化があったのであろうか。 「コロナ太りの実態の把握」をテーマに、株式会社アイスタットは5月18日にアンケートを行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~59歳の有職者、東京・大阪在住の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2021年5月18日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(30~59歳/有職者/東京・大阪)を対象アンケート結果の概要・コロナ太りは全体の35.3%! 体重の増加量が大きい人ほど、コロナ禍が影響している傾向あり!・「週1~2日」「気がむいたとき」に運動をしている人は、コロナ太りした人の割合の方が多かった! ダイエットを気にしているのか、運動をし始めた様子がうかがえた!・コロナ太りした人はそうでない人と比べ食生活の変化では、「食品摂取の偏り、バランスが悪くなった」の割合が最も多かった!・テレワークを実施している人ほど、「コロナ太り」が多い傾向!・約4割の人が「肥満がある人が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい」を知らなかった!コロナ禍以前から健康維持していた人は太らない 最初に「コロナ禍以前と比較して(最近1年間)の体重増減」を聞いたところ、「ほとんど変わらない」が48.7%で最も多く、次に「約1~2kg増えた」が13.3%、「約2~3kg増えた」が13.0%と続いた。また、「体重増加の有無」の割合をみると「あり」は41.3%、「なし」は58.7%で、約4割の回答者が最近1年間で太ってしまったとの回答結果だった。外出控えによる運動不足などによる結果がうかがえた。 「体重増減は、コロナ禍での外出自粛が影響している」か聞いたところ、「影響している」が46.7%、「影響していない」は53.3%だった。そして、「影響している」と回答した中で「コロナ禍が影響して体重が増えた」と答えた割合は、全体の35.3%だった。また、「影響していない」と回答した中で「体重増加なし」は47.3%で、コロナ禍が体重増加の要因となったことがうかがえた。 「何らかの運動を定期的に行っているか」を聞いたところ、「ほとんど行っていない」が46.3%、「週に1日未満(気がむいたとき)」が10.7%、「週に2日は行っている」が8.3%の順で多かった。コロナ太りの有無との関連をみると、定期的な運動を「週3日以上から毎日」行っていると回答した人は「コロナ太りでない」の回答者の割合が多かったことから、運動習慣ある人の体重はコロナ禍でも維持されていることがわかった。 「食生活に変化があったか」を聞き、コロナ太りの有無との関連をみた。食生活に変化があった内容を回答した人は「コロナ太り」の割合が多く、「特に変わらない」と回答した人は「コロナ太りではない」の割合が多かった。「コロナ太りした」と答えた35.8%の回答者が、「食品摂取の偏り、バランスが悪くなった」と回答し、「間食をとる機会が増えた」も28.3%と回答数が多かった。一方で「コロナ太りしていない」と回答した人の53.6%が「(食生活は)特に変わらない」と回答しており、日ごろの食生活の維持の重要性をうかがわせた。 「コロナ禍で気を付けていること」を聞き、コロナ太りの有無との関連をみた。「コロナ太りした」人の回答では、「特に何もしていない」(28.3%)、「ウォーキング・ジョギングをする」(24.5%)、「定期的に体重を測定し記録する」(22.6%)の順で多かった。一方、「コロナ太りしていない」人の回答では、「特になにもしていない」(42.8%)、「規則正しい生活を心がけている」(21.6%)、「ウォーキング・ジョギングをする」(19.1%)の順で多かった。コロナ太りしない人ほど、コロナ禍前と変わらない生活を過ごしていると推定され、日ごろの健康管理の大切さがうかがわれた。 「最近1ヵ月間のテレワーク実施状況を聞き、実施有無別に分類した。「実施している」が39.3%で、「実施していない」の60.7%を下回った。「ほぼ毎日テレワーク」は16.0%で、定着率の低さが判明した。コロナ太りの有無別にみると、テレワークを実施していると回答した人は「コロナ太り」の割合が多く、実施していないと回答した人は「コロナ太りではない」の割合が多かった。テレワーク実施者は、通勤回避、在宅の増加により、あきらかに運動不足が影響を及ぼしていると推定される結果となった。 最後に「肥満がある人が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことを知っていたか」を聞いたところ、「知らなかった」が39.7%、「なんとなく知っていた」が32.3%、「知っていた」の28.0%の順だった。まだまだ重症化リスクの要因が浸透しておらず、今後の啓発活動が重要であることが示された。

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空手の「形」競技【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第2回

先日クロアチアでヨーロッパの空手選手権が行われました。コロナ禍の中での開催だったので、かなり厳重な管理の元、無観客で行われたようです。「オリンピック前哨戦」と言われている大会なのですが、本戦の方がどうなるかわからない状況ですね…。大会ではドイツ勢も健闘をみせました。組手・形の両種目で5つのメダルを獲得しました。空手の基本は「組み手」と「形」さて、空手には大きく分けて、相手と殴り合う「組手」競技とひとりで演武をする「形」競技に分かれます。他の格闘技種目と大きく違うのが「形」競技です。オリンピック種目に選ばれる際も、「形ってなんなんだ?」と中々理解が得られなかったようです。しかし、空手界の偉い先生たちが必死に頑張って、なんとか形競技を種目に追加することになりました。なぜ、空手界の重鎮たちはそこまで形競技にこだわったのでしょうか?それは、「形」こそが「空手の魂」だからなのです。他の武道における「形」というのは、定型的な動きを身に付けるための基本であることが多いのですが、空手の形についての物語は、そのルーツにまで遡ります。空手は沖縄でどう誕生したか空手の発祥は琉球王国、今の沖縄にあります。当時、琉球は薩摩藩により禁武政策を敷かれ、武器の所持が禁止されていました。そこで、身の回りのもの(棒とか串とか)を使って身を守る護身の術として生まれたのが空手なのです。よく勘違いされるのですが、空手というのは素手という意味ではありません。唐(中国)から伝わった手(拳法のこと)が琉球で独自の進化を遂げ、唐手(からて)と名付けられました。それが後に「色即是空」の空の字を当てて、「空手」となったのです。ですから、実は空手には棒術もあるし、映画のようにヌンチャクを振り回したりもします。先述の通り、当時は禁武政策が敷かれている最中なので、おおっぴらに武術を教えることができませんでした。そのため、空手の先人たちは、一見踊りのような動きの中に空手のすべての技術を隠して伝えていったのです。つまり空手の形は、空手の教科書そのものなのです。空手の「魂」とはその後、空手はたくさんの流派に分かれ、多くの形が生まれることになります。現在、正式に認められている形は200以上あります。同じ名前の形でも、流派が違えば解釈が異なり、全然違う動きになることもあります。ただ、200以上あると言われるすべての形には共通していることがあります。それは「すべての形は『受け』から始まる」ということです。形の第一挙動目は、必ず防御の動きから始まるのです。「武」というのは「戈(ほこ)を止める」と書きます。空手は他人を攻撃するためのものではなく、己を護るためのものだという想いを、先人は形の中に込めたのです。ドイツ人の空手仲間にその話をしたら、送ってくれた画像があります。ドイツのどこかの道場に飾ってあるものだそうです。時代を超えて、ドイツの地にも空手の魂がちゃんと伝わっていると思うと、胸が熱くなります。

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デジタル手術イラストの描き方(下書き~線画編)【誰も教えてくれない手術記録 】第3回

第3回 デジタル手術イラストの描き方(下書き~線画編)こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。さて、今回からは2回に分けて、手術イラストの下書きから完成までの過程を順に解説します。皆さん、お手元にデジタルイラストレーションを描く準備はできていますでしょうか? まだの方は前回のコラムを参考にしてください。最近、自分の周りでも徐々に手術イラストをデジタルで作成する人が増えてきている印象です!まずは、基本的なレイヤーの使い方を覚えましょう描き始める前に、デジタルイラストで重要な「レイヤー機能」を押さえておきましょう。下に完成したイラストを提示しましたが、実はこのイラストは、右図のように複数の層(レイヤー)が重なってできています。画像を拡大する(左)完成図/レイヤーのイメージ(右)線画、着色、テキストなど、イラストを構成する要素がそれぞれ透明なシートに描かれていて、それらを重ねると1枚のイラストが出来上がって見えるというイメージでしょうか。このレイヤー機能を駆使すると、臓器の奥行きや前後関係などの表現、部分ごとの加筆修正などが容易となります。これを理解し使いこなすことが、デジタルイラストでの必須スキルです! 少しややこしいかもしれませんが、描いていくうちにわかってくると思います。ではここからは、実際にイラストを描く手順について、(1)下書き、(2)線画、(3)着色、(4)仕上げの4段階に分けて説明していきます。(1)下書き:後で調整できるので、大まかに描いていくまずは下書きから始めましょう。下書きには「鉛筆」のブラシを使用しています。細かい部分は後のステップで整えるので、ここは思うままにざっくりと描き上げます。描きたい場面が複数ある場合は、それぞれのイラストの配置や大きさなども考えながら、大まかに決めていきます。見本:下書きの完成図(2)線画:イラストの良しあしが決まるので、完成図をイメージして丁寧に下書きを描き終えたら、線画の作成(清書)に移ります。下書きレイヤーの「不透明度」を下げる(「透明度」を上げる)と、下書きが薄くなるので、線画がぐっと描きやすくなります。次に、下書きのレイヤーの上に線画用の「新規レイヤー」を作成し、描いていきましょう。画像を拡大する(左)不透明度の調整/下書きの上に新規レイヤーを作成(右)※iPadお絵描きアプリ「Procreate」を使用私は線画に「製図ペン」というブラシを愛用していますが、いろいろな種類のブラシがあるので、自分の使いやすいものを探してみてください。下書きよりもさらに正確できれいなイラストを描くことを心掛けて、丁寧に線を引いていきます。細かい部分を描き込む際には、拡大機能を活用しましょう。だいたいのアプリが、二本指のピンチアウト/ピンチインで拡大・縮小できると思います。私は、この線画がイラスト作成の全過程の中で一番重要だと考えています。線画でイラストの良しあしの大半が決まると言ってもよいかもしれません。手術イラストでは、臓器や膜構造の位置関係をできるだけ正確に記載すべきと考えていて、それらはすべて線画で決まります。ここは気合いを入れて取り組み、納得のいくイラストに仕上げていきましょう。画像を拡大する(左)下書き/線画の完成図(右)下書きのレイヤーを非表示にすると、このように描き上げた線画を確認できます。ここで完璧に仕上げなくても、後からいくらでも修正できるので大丈夫です。次の作業をまた別のレイヤーで行うことで、線画のレイヤーを選択するといつでも線画のみの修正ができるわけです。レイヤー、とっても便利な機能ですよね!次回は、(3)着色と(4)仕上げについて詳しく説明していきます。お楽しみに!

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厳格降圧vs.標準降圧:SPRINT最終報告/NEJM

 糖尿病や脳卒中の既往がない心血管イベント高リスク患者では、収縮期血圧目標を120mmHg未満とする厳格降圧が同目標を140mmHg未満とする標準降圧より、無作為割り付けされた治療を受けている期間と試験終了後の両方で、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に低下させることを、米国・アラバマ大学バーミングハム校のCora E. Lewis氏らがSPRINT試験の最終報告として示した。ただし、低血圧等の有害事象の発現率は、厳格降圧群で高かった。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。試験終了後約1年間の追跡データも収集し解析 研究グループは、2010年11月~2013年3月に、50歳以上で糖尿病または脳卒中の既往がなく、降圧治療の有無にかかわらず収縮期血圧が130~180mmHgの心血管イベント高リスク患者(臨床的または不顕性心血管疾患、慢性腎臓病、フラミンガムリスクスコアに基づく10年以内の冠動脈疾患発症リスク15%以上、または75歳以上のいずれか1つ以上に該当)9,361例を登録し、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧群(4,678例)と、同目標140mmHg未満の標準降圧群(4,683例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、または心血管死の複合である。試験期間終了時(2015年8月20日)までに発生した主要評価項目イベントは、主要解析のデータロック後に解析するとともに、2016年7月29日までの試験後の観察追跡データを解析した。追跡データを合わせても、120mmHgの厳格降圧群で有意に予後良好 追跡期間中央値3.33年において、試験期間中の主要評価項目イベントの発生は標準降圧群2.40%/年、厳格降圧群1.77%/年(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.63~0.86)、全死亡はそれぞれ1.41%/年および1.06%/年(0.75、0.61~0.92)であり、いずれも標準降圧群に比べ厳格降圧群で有意に低かった。低血圧、電解質異常、急性腎障害/腎不全、失神などの重篤な有害事象は、厳格降圧群で有意に高頻度であった。 試験期間中と試験後の追跡データを合わせると(追跡期間中央値3.88年)、厳格降圧群は標準降圧群に比べ主要評価項目イベントおよび全死亡が有意に低いままであった(主要評価項目のHR:0.76、95%CI:0.65~0.88、p<0.001、死亡のHR:0.79、95%CI:0.66~0.94、p=0.009)。有害事象の発生についても同様の傾向がみられたが、心不全の発生は両群で差は認められなかった。

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看護師1人当たりの患者数最小化で、患者転帰が改善/Lancet

 看護師1人当たりの患者数を最小化する施策により、死亡率、再入院率、在院日数が改善され、その結果として支出せずに済んだ費用は、看護師の増員に要した費用の2倍以上に達したことが、米国・ペンシルベニア大学のMatthew D. McHugh氏らが実施した「RN4CAST-Australia試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年5月11日号で報告された。クイーンズランド州55病院の前向きパネル調査 研究グループは、2016年にオーストラリア・クイーンズランド州で制定された最小看護師-患者比率に関する施策が看護師の人員配置や患者転帰に及ぼす影響の評価および、同施策が人員配置と患者アウトカムに関連があるかを検討する目的で、前向きパネル調査を行った(オーストラリア・クイーンズランド州保健局などの助成による)。 クイーンズランド州の最小看護師-患者比率施策(午前と午後の勤務では1対4を超えない、夜間勤務では1対7を超えない)の対象となった病院(介入病院:27施設)と、退院患者が類似するがこの施策の対象ではない病院(対照病院:28施設)を、施策の導入前(ベースライン)と導入から2年の時点で比較した。 死亡記録と関連付けられた「標準化クイーンズランド州入院患者データ」を用いて、内科および外科病棟の患者の背景因子およびアウトカム(30日死亡、7日再入院、在院日数)のデータを取得し、施策導入の前後で対象病院の内科系および外科系の看護師1万7,010人の調査データを入手した。 看護師の調査データを用いて看護師の人員配置を評価し、標準化された患者データと関連付けた後、介入群と対照群の病院における患者転帰の変化を推定し、看護師の人員配置の変化との関連を検討した。 ベースライン(2016年)で評価を受けた患者23万1,902例(介入病院群14万2,986例、対照病院群8万8,916例)と、施策導入後(2018年)に評価を受けた患者25万7,253例(16万167例、9万7,086例)が解析に含まれた。1対4.5以上の病院の割合が、83%から58%に低下 看護師1人当たりの平均患者数は、対照病院群ではベースラインの6.13(SD 0.75)例から施策導入後2年の時点の5.96(0.98)例へとわずかに改善し、介入病院群では4.84(1.05)例から4.37(0.54)例に改善した。 ベースラインの30日死亡率は、対照病院群に比べ介入病院群で高かった(補正後オッズ比[OR]:1.34、95%信頼区間[CI]:1.09~1.64、p=0.0052)。導入後の30日死亡率は、対照病院群ではベースラインと有意な差は認められなかった(補正後OR:1.07、95%CI:0.97~1.17、p=0.18)が、介入病院群ではベースラインに比べ有意に低下した(0.89、0.84~0.95、p=0.0003)。 ベースラインから導入後2年までに、7日再入院率は対照病院群で増加した(補正後OR:1.06、95%CI:1.01~1.12、p=0.015)のに対し、介入病院群では増加しなかった(1.00、0.95~1.04、p=0.92)。 在院日数は、両群とも導入後に減少した(対照病院群:補正後発生率比[IRR]:0.95、95%CI:0.93~0.98、p=0.0001、介入病院群:0.91、0.89~0.94、p<0.0001)が、短縮の程度は介入病院群が対照病院群よりも顕著であった(補正後OR:0.95、0.92~0.99、p=0.010)。 ベースラインから導入後2年までに、病院の人員配置に変化がみられた。人員配置に関する信頼性の高いデータを持つ36病院のうち、ベースライン時に看護師1人当たりの患者数が4.5例以上の病院は30施設(83%)であったが、導入後は21施設(58%)に減少した。 これらの変化の大部分は介入病院群によるものであり、対照病院群と比較して介入病院群では、看護師1人当たりの患者数を1例削減することで、30日死亡率(OR:0.93、95%CI:0.86~0.99、p=0.045)、7日再入院率(0.93、0.89~0.97、p<0.0001)、在院日数(IRR:0.97、95%CI:0.94~0.99、p=0.035)がいずれも有意に改善された。 また、再入院率の抑制と在院日数の短縮で支出せずに済んだ費用は、看護師の増員に要した費用の2倍以上であった。 著者は、「最小限の看護師-患者比率を確立する施策は実行可能なアプローチであり、看護師の人員配置と患者転帰を改善し、投資利益率が向上すると考えられる」としている。

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医薬品卸の談合事件の闇に学ぶ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第68回

1つの職場や業界に長くいると、そこでの慣習に疑問を持つ機会が少なく、「えっ! それっていけないことだったの?」と後から知ってぞっとした経験がある方もいるのではないでしょうか。単純に知らなかったという場合だけでなく、いけないことだと知っていてやっていたり、一個人では是正できなかったりする場合もあります。医薬品業界で、まさにその代表事例ともいえる「医薬品入札における談合」がありました。独立行政法人「地域医療機能推進機構」(JCHO、東京)発注の医薬品をめぐる入札談合事件で起訴された卸大手3社の公判が始まり、組織ぐるみで続けていた受注調整の実態が明らかになってきた。現場から幹部までが重層的に協議を重ねて競争を回避。被告となった元幹部は「長年の商習慣だった」と語った。「機会があったらやめたい、なるべく触りたくないと思った」。個人として起訴されたスズケンの元幹部社員は4月下旬の初公判で、長年続いた談合に反省の弁を述べた。(2021年5月10日付 日本経済新聞Web)医薬品の納入を巡り、医薬品卸の大手3社が行っていた受注調整(いわゆる談合)に対する公判が行われました。3社とも談合の事実を認めており、違法行為と認識しつつも長年の商習慣だったのでやめられなかったと述べています。この記事にある3社とはアルフレッサ、スズケン、東邦薬品です。メディセオも関与していましたが、違反を自主申告したため刑事告発はされませんでした。卸大手4社が関わっていたこと、長年の慣習だったことなどから、業界全体で日常的に行われていたのでしょう。具体的には、各社の受注予定比率を設定し、落札する医薬品群を過去の納入実績を踏まえて割り振った後、さらに各社間で調整して、最終的に合意した入札金額を書面にしてJR東京駅付近の貸会議室などで実務担当者が交換するのが習わしだったとのことです。東京駅付近で書面交換というのがいけないことだと自覚している雰囲気が醸し出され、なんともリアルだなぁと思います。では、なぜこのような談合が発生したのでしょうか? ご存じのように、医療用医薬品には薬価が設定されており、それは日本全国共通です。卸からすれば、共通の売価の医薬品をいくらで医療機関に納入するか、というのが競争の肝です。競合事業者が相互に連絡をとって受注予定比率や納入価格を調整することで、安定的な売り上げや高い利益が確保でき、在庫の管理もしやすくなるというメリットがあります。もし入札に失敗すると売り上げを失うことになるので、違法だと認識しつつもやめるにやめられなかったのでしょう。しかし、これでは価格競争をする必要がなくなって納入価格が高止まりするため、厳正な競争を制限するとして独占禁止法(不当な取引制限)に抵触します。仕事相手が守らなければいけないルールを知ることは大切それって薬局や病院の薬剤師には関係ないよね?と思う方もいるかもしれません。今回のケースは卸同士の談合なので、医療機関が何かしたというわけではありません。しかし、もし医療機関側が「この医薬品は○○では△%引きになっている」などと暗に値引き要請をすると、下請け法に違反したり、卸各社が話し合ってカルテルに至って独占禁止法に違反したりする可能性があります。日常のふとした会話が法律違反の引き金になってしまう恐れがあるため注意が必要です。仕事相手が守らなければいけないルールを知ることは大切なことです。この独占禁止法で直接薬剤師が罰されることは少ないと思いますが、医薬品の流通の中で自分がどのような役割を担っているのか考えてみるよい機会かもしれません。

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「もっと高く売れるはず…」、その思い込みが売れ残りにつながる【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第18回

第18回 「もっと高く売れるはず…」、その思い込みが売れ残りにつながる漫画・イラスト:かたぎりもとこ「譲渡額の設定方法」は、売り手の方から最も多く頂く質問です。実際、診療所の譲渡額の設定は、成約率を最も大きく左右する要素となります。診療所の譲渡額の設定方法を、簡単に式にすると下記になります。(院長の前年度の年間所得×1年分)+固定資産額たとえば、年収1,500万円の開業医の方が自院を売却する場合、基本的な譲渡額は1,500万円になります。ここに「最近購入した医療機器」の価値が300万円ある場合には、1,500万円+300万円=1,800万円が譲渡額となります。これに加えて、東京都世田谷区といった、医師の開業人気エリアにおいては、「プレミアム」という考え方があり、決まったロジックなしに数百万円が上乗せされるケースもあります。このように、譲渡額は設定にいくつかの要素があり、これらを総合的に判断して算出する必要があります。(譲渡額設定に関する詳細は下記をご参照ください)知っておきたい 医院承継・売却時の売値の相場とは?上記のようなロジックを無視して、売り手側の院長の言い値で譲渡額を設定するケースもありますが、そうした適正価格から外れた案件はなかなか成約に至らず、売り時を逃すことにつながります。譲渡額の妥当性は成約率に大きく影響するため、思い込みを排除し、ロジックに従った決め方をしたほうが、結局は売り手のためにもなるのです。

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