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英語で「鼻詰まり」は?【1分★医療英語】第12回

第12回 英語で「鼻詰まり」は?Hi, how can I help you today?(こんにちは、どうされましたか?)I have a stuffy nose and my eyes are really itchy.(鼻が詰まっていて目がとても痒いです)《例文1》患者Can you prescribe something to unblock my stuffy nose?(鼻詰まりを解消できる薬を処方してくれませんか?)医師Okay, so you are saying you have a runny nose, stuffy nose, and frequent sneezing, correct?(なるほど、鼻水、鼻詰まり、頻繁にくしゃみが出る、ということで合っていますか?)《解説》医療者であれば、「鼻詰まり」を訴える患者を一度は診察したことがあるでしょう。とくに春や秋の季節の変わり目、または小児科外来においては年中かもしれませんね。しかし日常で頻繁に使われる割には、日本であまり習わない英語表現ではないでしょうか。“stuffy”は空気の通りが悪い、詰まった、といった意味の形容詞になり、“I have a stuffy nose.”というフレーズで「鼻詰まりがある」という意味でよく使われます。“stuffy nose”はカジュアルな表現で、患者や一般の方が日常的に使用します。医療者同士で鼻詰まりの症状を伝える際は、もう少し専門的な“nasal congestion”という表現を用います。“He complains of nasal congestion.”は、訳すと「彼は鼻閉を訴えています」といった感じでしょうか。ちなみに、“unblock a nose”“unstuff a nose”“clear a nose”といったさまざまな動詞によって「鼻詰まりを解消する」という表現になります。「鼻詰まり」の1つをとっても、さまざまな表現や単語があることがわかります。講師紹介

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日本人双極性障害外来患者に対する処方パターン~I型とII型の違い

 双極I型障害(BD-I)および双極II型障害(BD-II)患者に対する向精神薬の使用に関して、入手可能なエビデンスは限られている。獨協医科大学の篠崎 將貴氏らは、BD-IおよびBD-IIの外来患者に対する薬物療法、とくに抗うつ薬の使用に関して、その特徴を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月23日号の報告。 2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬の使用率に関して、有意な差が認められた。・BD-I患者では、気分安定薬(BD-I:86.0%、BD-II:80.8%、p<0.001)と抗精神病薬(BD-I:61.5%、BD-II:47.8%、p<0.001)の使用率が高く、BD-II患者では抗うつ薬(BD-I:32.1%、BD-II:46.4%、p<0.001)の使用率が高かった。・BD-I、BD-II患者ともに最も多く使用されていた抗精神病薬はアリピプラゾール、気分安定薬はリチウムであった。・最も多く使用されていた抗うつ薬は、BD-I患者ではエスシタロプラム、BD-II患者ではデュロキセチンであった。・BD患者に最も使用されていた抗うつ薬のクラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。・併用療法に関しては、抗うつ薬を含む併用療法がBD-II患者で用いられることが多かった。 著者らは「BD-IとBD-II患者では向精神薬の使用状況に違いが認められた。日本では、BD外来患者に対し気分安定薬や抗精神病薬が使用されており、一般的なガイドラインに準じていた。抗うつ薬の使用効果や躁病エピソードのリスクに関するエビデンスは十分ではなく、さらなるエビデンスの収集が必要とされる」としている。

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開業に浮かれ、契約書をきちんと確認しない医師が陥ったこと【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第34回

第34回 開業に浮かれ、契約書をきちんと確認しない医師が陥ったこと漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継においては、多数の「契約書」が発生します。そのうち代表的なものが「最終契約書」です。この最終契約書の内容次第では、契約締結前に口頭で約束していたことがゼロリセットされてしまう可能性すらあるので、しっかりと内容を確認する必要があります。今回は、最終契約書で、什器や備品の引き継ぎ状況をしっかりと確認していなかったために、買い手側が引き継げると思っていたものが引き継げなかった、というケースです。実際にこうしたケースは多々発生します。このようなトラブルを避けるために重要なポイントは以下の2点です。(1)契約書は自分の目で細かく確認し、疑問に思ったことは契約締結前に、仲介業者を通じて確認する(2)その上で、弁護士にも契約書の内容を確認してもらう(1)について契約書を詳細に確認せずに締結されている方は驚くほど多いのが実情です。契約締結は自分が大きなリスクを負う可能性のあるものです。必ず自分の目で細かい部分まで確認することが必要です。(2)について仲介業者が契約書のドラフト作成を支援するケースが多くありますが、このドラフトをそのまま契約書にするのでなく、この分野の専門家である顧問弁護士に確認してもらいましょう。気づかないうちに、相手に過度に有利な条項が入っているかもしれません。契約してしまうと致命的に不利な条件を負う可能性もあるので、弁護士の確認は必須です。不動産の売買と同様、医業承継は人生の中でも有数の、多額のお金が動く機会です。契約書をはじめとした各種の確認は慎重過ぎるほどでよいのです。

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事例042 皮膚・皮下腫瘍摘出術の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、右上眼瞼皮膚良性腫瘍に「K005 1 皮膚・皮下腫瘍摘出術(露出部 長径2cm未満)を算定したところ、「K001 1 皮膚切開術(長径10cm未満)」570点に査定となりました。査定理由を調べるためにカルテを確認しました。局所麻酔下において、右上眼瞼の腫瘍を摘出したことが記載されていました。改めて、レセプトを確認すると、局所麻酔が表示されていません。入力担当に尋ねたところ、「使用量の麻酔薬を手術の薬剤として算定したところ、15円以下のため表示されなかった」とのことでした。保険診療には「手術は通常麻酔下に行われる」という前提があります。この前提に基づき、「皮膚・皮下腫瘍摘出術」は過剰とみなされ、通常麻酔下でなくとも実施が認められている「皮膚切開術」に査定となったものと推測できます。査定防止として、手術に対する麻酔がレセプトに表示されない場合には、コメントに「麻酔薬の使用を記載すること」としました。なお、炎症性粉瘤・せつ・よう・粘液水腫などに対する皮膚切開術は通常麻酔下でなくとも算定ができるとされています。

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18歳未満の新型コロナ感染者、糖尿病発症率が増加/CDC

 米国・CDCの研究で、18歳未満のCOVID-19患者において、SARS-CoV-2感染後30日以降における糖尿病発症率が増加することが示唆された。CDCのCOVID-19 Emergency Response TeamのCatherine E. Barrett氏らが、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年1月14日号に報告した。 COVID-19は糖尿病患者において重症となるリスクが高い。また、欧州ではパンデミック中に小児における1型糖尿病診断の増加および糖尿病診断時の糖尿病ケトアシドーシスの頻度増加と重症度悪化が報告されている。さらに成人においては、SARS-CoV-2感染による長期的な影響として糖尿病が発症する可能性が示唆されている。 CDCでは、SARS-CoV-2感染後30日以降に糖尿病(1型、2型、その他)と新規に診断されるリスクを調べるため、2020年3月1日~2021年2月26日のIQVIAのヘルスケアデータを用いて構築した後ろ向きコホートから、18歳未満のCOVID-19患者の糖尿病発症率を推定し、パンデミック中にCOVID-19と診断されなかったかパンデミック前にCOVID-19以外の急性呼吸器感染症と診断された患者で年齢・性別が一致した患者の発症率と比較した。さらに、COVID-19に関連する可能性がある外来診察患者を含むデータソース(HealthVerity、2020年3月1日~2021年6月28日)で分析した。 その結果、糖尿病発症率は、COVID-19患者のほうがCOVID-19患者以外(IQVIAでのハザード比[HR]:2.66、95%信頼区間[CI]:1.98~3.56、HealthVerityでのHR:1.31、95%CI:1.20~1.44)およびパンデミック前にCOVID-19以外の急性呼吸器疾患と診断された患者(IQVIAでのHR:2.16、95%CI:1.64~2.86)より有意に高かった。

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第92回 救済策が仇!? 看護・介護職員の給与引き上げが新たな格差引き起こす皮肉

岸田政権が掲げる「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を受け、看護職員や介護職員の処遇改善のため、2月から給与額が引き上げられる。ただ、対象施設が限定されていたり他職種とのバランスも考えたりしなければならないため、病院経営者からは不安や懸念の声が上がっている。看護職員については、地域で新型コロナウイルス感染症医療など、一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員が対象だ。賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提に、収入を段階的に3%程度引き上げていく。まず2月から収入を1%程度(月額4,000円)引き上げるための措置として、医療機関に補助金が交付される。これには「看護補助者、理学療法士・作業療法士などのコメディカルの処遇改善に充てることができるよう柔軟な運用」も認められているが、病院経営者にとっては喜んでばかりもいられないようだ。病院の持ち出しで多職種の給与引き上げへ日本病院会の相澤 孝夫会長は1月11日の定例記者会見で、謝意を示す一方で、懸念される不安を漏らした。それは、賃金を引き上げる職種と引き上げない職種が混在すると院内に不平不満が起きるため、コメディカルの中に含まれていない薬剤師や事務スタッフの給与引上げについては病院の持ち出しで行わざるをえず、結果的に経営が厳しい中でのコスト増になる点だ。現在は、新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金があるが、コロナが収束すれば補助金も停止され、経営は一層厳しくなることが予想される。そのような中、10月からは診療報酬による看護職員の処遇改善に切り替わる。人件費を一度引き上げると、下げることは難しい。すでに、「10月以降、経営危機に陥るのでないか」との声が会員から多数出ているという。介護職員についても、介護職員処遇改善加算(I・II・III)を取得する事業所を対象に、介護職員の収入を3%(月額9,000円)程度引き上げるための補助金が2月から交付されるが、ほかの職員の処遇改善に充てることが事業所の判断で可能だ。こちらも、10月以降は介護報酬などによる処遇改善に切り替わる。病院介護職員の不足に拍車をかける懸念も人手不足の介護業界には朗報かもしれないが、病院にとっては“悪夢”のようだ。日本慢性期医療協会の武久 洋三会長は、1月13日の定例記者会見で、病院介護職員の危機的状況について述べた。まず、病院に勤務している介護職員は「看護補助者」と呼ばれ、その専門性がないがしろにされていると指摘。介護職員には「介護福祉士」という国家資格を持つ人も含まれているが、専門性が認められない病院に勤務する介護福祉士は、大きく減少している現状を示した。また、介護保険施設に勤務する介護職員には処遇改善加算があるが、病院に勤務すれば加算はなく、給与面でも差別されているという。介護職員にとっては、病院に勤務したいという意欲が大きく削がれるため、医療現場ではすでに介護職員が集まらず、看護師がみなし看護補助者として介護業務にあたっている実情を明かした。武久会長は、「このまま冷遇されるならば、この先、病院に勤務する介護職員はいなくなるだろう。日本の医療はそれでよいのだろうか」と疑問を投げ掛けた。コロナ禍で頑張っている医療機関や医療・介護職種の支援とはいえ、単純な給与引き上げが別の問題を引き起こす事態となることは想定できていなかったのではないか。救済策が新たな格差や不満の温床となるようでは、本末転倒と言わざるを得ない。

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漢方薬へのイメージはプラスか、マイナスか/アイスタット

 近年では「漢方薬」は身近なものとなり、街のドラッグストアやかかりつけ薬局などさまざまな場所で購入できるようになった。これら「漢方薬」について、一般市民が抱くイメージや利用実態を知ることを目的に、株式会社アイスタットは1月6日にアンケート調査を行った。アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy” を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~79歳の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2022年1月6日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(30~79歳)を対象アンケート調査の概要・漢方薬に興味ある人は49.3%、興味ない人は50.7%とほぼ同じ割合・医師から漢方薬を処方された場合、抵抗がないと回答した人は約6割・漢方薬は効き目があると思っている人は45%、半数を下回る・漢方薬を服用したことがある人は6割弱・漢方薬を服用したきっかけ第1位は「医師の処方」の46.4%・漢方薬のイメージの第1位は「即効性がなさそう」の34%・漢方薬を服用してみたい症状の第1位は「肩こり、腰痛」の23.3%・漢方薬を服用してみたくなるには「医師の積極的なすすめ」の39.7%が最多漢方薬の利用には医療者のすすめが必要 最初に「漢方薬について、興味や関心があるか」を聞いたところ、「やや興味がある」が39.3%で最も多く、「あまり興味がない」が30.0%、「全く興味がない」が20.7%の順だった。興味の有無別に分類すると、「興味がある」は49.3%、「興味がない」は50.7%で、ほぼ同じ割合だった。 「医師から漢方薬を処方された場合、抵抗があるか」を聞いたところ、「抵抗がない」が63.0%で最も多く、「どちらでもない」が26.7%、「抵抗がある」が10.3%と続いた。年代別では、「抵抗がない」と回答した人は70代で最も多く、「抵抗がある」を回答した人は30代と40代で最も多かった。 「漢方薬の効果(体質改善)についてどう思うか」を聞いたところ、「効き目がある」が45.0%で最も多く、「わからない」が35.3%、「効き目がない」が19.7%の順で続いた。「効き目がある」と回答している人が約4割台にとどまり、漢方にネガティブなイメージを抱かせる一因になっていると推測された。なお、年代別では、「(体質改善に)効き目がある」と回答したのは、30代・40代(49.4%)で1番多く、「効き目がない」との回答では、60代(25.9%)で1番多かった。 「漢方薬の服用状況について」を聞いたところ、「一度も服用したことがない」が44.7%で最も多く、「現在は服用していないが、過去に服用したことがある」が35.0%、「ときどき、服用している」が16.0%の順で続いた。服用状況の有無別の分類では、服用経験あり(55.3%)が服用経験なし(44.7%)を上回る結果だった。 「(漢方薬の服用経験がある回答者のみに[166名])漢方薬を服用したきっかけ」を聞いたところ、「医師の処方」が46.4%で最も多く、「薬局ですすめられて」が17.5%、「店頭(ドラッグストア、漢方専門店)で見て」が17.5%の順で続いた。 「漢方薬にどのようなイメージがあるか」(複数回答)を聞いたところ、「即効性がなさそう」が34.0%で最も多く、「にがい、くさい、おいしくない」が32.0%、「自然素材」が31.3%の順で続いた。大きくマイナスイメージが先行している結果だった。 「今後、漢方薬を服用してみたい症状、もしくはすでに漢方薬を服用した症状はあるか」(複数回答)を聞いたところ、「肩こり、腰痛」が23.3%、「疲れやすい、だるい」と「ストレス、イライラ、不安」が15.7%と同順位で続いた。回答では慢性的な症状の改善を期待する回答が上位を占めた一方、「特になし」が38.3%と最も多く、漢方薬への期待が大きくない現状がうかがわれた。 最後に「漢方薬を服用してみたくなるためには」(複数回答)を聞いたところ、「医師の積極的なすすめ」が39.7%で最も多く、「特になし」が28.7%、「漢方薬の効果をわかりやすく」が25.7%の順で続いた。医師をはじめとする医療者のすすめやくわしい患者への説明が、今後漢方薬の活躍の場を広げる可能性を示す結果だった。

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継続の必要性を評価してトラマドールカスケードを解決【うまくいく!処方提案プラクティス】第44回

 今回は、トラマドールの漫然服用に疑問を持ち、情報収集やモニタリングを行い、減薬につなげた事例を紹介します。トラマドールは弱オピオイドとしてオピオイド受容体に作用するものの、医療用麻薬としての規制を受けないことから、強い鎮痛効果を期待して整形外科や歯科領域で汎用されています。長期継続されている場合もあるため、処方目的や治療効果などから薬剤師の視点でも継続の必要性を評価する必要があります。患者情報70歳、女性(施設入居)基礎疾患高血圧症、認知症、過活動膀胱介護度要介護2服薬管理施設職員処方内容1.トラマドール・アセトアミノフェン配合錠 3錠 分3 毎食後2.ドンペリドン錠10mg 3錠 分3 毎食後3.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後4.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1C 分1 朝食後5.ソリフェナシン錠5mg 1錠 分1 朝食後6.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後7.ゾルピデム錠5mg 1錠 分1 就寝前本症例のポイントこの患者さんは、施設入居前からトラマドール・アセトアミノフェン配合錠を服用していました。初回の訪問診療に同行した際、鎮痛効果の評価のため、どこが痛むのか確認しました。しかし、とくに痛みの訴えはなく、体動時や就寝中の痛みもないことから、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の継続の必要性に疑問が湧きました。施設看護師に確認しても、入居時の申し送りでは触れられなかったそうでわかりませんでした。一方で、患者さんも施設スタッフも服薬する錠数が多くて負担になっていることを聞き取ることができました。さらに気になったことは、制吐薬のドンペリドンも同様に継続されていることでした。トラマドール導入時に嘔気対策として追加されたと推測できますが、お薬手帳を見ると半年以上も処方されていました。トラマドールの副作用である嘔気は数日程度で耐性ができて軽減するため、多くの場合は1~2週間で減量・中止に至ります。また、このまま継続した場合、ドパミン受容体遮断作用の弊害である錐体外路症状(薬剤性パーキンソニズム)や内分泌調節異常などのリスクも懸念されます。そこで、処方契機を調べるため、施設で保管されている診療情報提供書や退院時サマリー、多職種情報共有シート(フェイスシート)などを調査しました。過去の診療情報提供書によれば、約1年前に腰椎圧迫骨折の既往があり、手術後の疼痛コントロールを目的としてトラマドール・アセトアミノフェン配合錠が開始され、退院後は近医でそのまま継続されていたことがわかりました。処方提案と経過手術は1年以上前で経過もよく、現時点では痛みの訴えもないことから、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の中止は可能ではないかと考え、後日の訪問診療後に、医師にトラマドール・アセトアミノフェン配合錠からアセトアミノフェン単剤(900mg/日)への切り替えを提案しました。それに合わせてドンペリドンの中止も相談したところ、両方とも承認を得ることができました。その後、処方変更後の疼痛悪化や嘔気はなく、不安や不眠などの退薬症候の出現などもありませんでした。そのため、アセトアミノフェンを600mg/日(分2、朝夕食後)→300mg/日(分1、朝食後)と徐々に減らし、最終的に中止することを提案して、そのように処方調整していくことになりました。疼痛の出現などの評価は施設看護師にお願いしましたが、とくに問題はなく、患者さんは鎮痛薬から卒業することができました。今回の事例ではうまく減薬ができましたが、長期継続薬を減薬する際は、治療効果や中止の可否を評価するために、薬剤師から医師および多職種への積極的な介入が必要だと感じました。

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COVID-19のための初の経口抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル200mg」【下平博士のDIノート】第90回

COVID-19のための初の経口抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル200mg」今回は、抗ウイルス薬「モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル200mg、製造販売元:MSD)」を紹介します。本剤は外来でも使用可能な経口剤であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を防ぐことで、医療逼迫回避の一助となることが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年12月24日に特例承認されました。なお、重症度の高い患者に対する有効性は確立していません。<用法・用量>通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mg(4カプセル)を1日2回、5日間経口投与します。COVID-19の症状が発現してから速やかに投与を開始する必要があります。<特記事項>1.対象患者についてSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有するなど、本剤の投与が必要と考えられる患者さんが投与の対象です。投与対象は重症化リスク因子を有する患者が中心ではあるものの、審査報告書では、高熱や呼吸器症状など相当の症状を呈し重症化の恐れがある場合なども、投与対象になり得るとしています。2.包装について包装は40カプセルのバラ包装のみで、1瓶を1回分として使い切れるようになっています。3.投与に際しては同意が必要RMP資材として同意説明文書が用意されており、処方の際には患者本人に内容を確認してもらったうえで、患者・医師双方がサインして保管することになっています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、新型コロナウイルスのRNAに取り込まれることによって、ウイルスの増殖を阻害して抗ウイルス作用を示します。2.症状が改善しても指示どおりに5日分を飲み切ってください。3.下痢、悪心・嘔吐、めまい、頭痛などの症状が現れることがあります。これらの症状が生じた場合であっても自己判断で中止せず、医師または薬剤師に相談してください。4.(女性に対して)妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用できません。授乳中の人は注意が必要ですので、服用開始前に相談してください。妊娠する可能性のある女性は、服用中および服用後4日間は適切な避妊を行ってください。<Shimo's eyes>本剤は、軽症~中等症COVID-19患者に使用できる国内初の経口抗ウイルス薬です。これまで、軽症患者を対象とした治療薬としては、中和抗体製剤のカシリビマブ/イムデビマブ注射液セット(商品名:ロナプリーブ)とソトロビマブ点滴静注液(同:ゼビュディ)の2剤が承認されていて、中等症患者を対象とした治療薬としては、抗ウイルス薬のレムデシビル点滴静注用(同:ベクルリー)が承認されています。経口剤では、中等症IIと重症患者を対象としたJAK阻害薬のバリシチニブ錠(同:オルミエント)とステロイド薬のデキタメタゾンが使用されていますが、抗ウイルス薬としては本剤が初めての薬剤となります。本剤の作用機序はウイルス複製阻害であり、オミクロン株に対してもこれまでの変異株と同様の効果が期待できると考えられています。投与の対象となるのは、以下のような重症化リスク因子を1つ以上有する軽症~中等症Iの患者です。《国際共同第II/III相試験(MOVe-OUT試験)の組み入れ基準》61歳以上の高齢者活動性のがん(免疫抑制または高い死亡率を伴わないがんは除く)慢性腎臓病慢性閉塞性肺疾患肥満(BMI 30kg/m2以上)重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患または心筋症)糖尿病重症化リスクのある非重症COVID-19患者を対象に本剤またはプラセボを投与した多施設共同第III相試験の中間解析において、プラセボ群の重症化(29日目までの入院・死亡)が377例中53例(14.1%)であったのに対し、本剤群では385例中28例(7.3%)と、相対的リスクが48%減少しました(p=0.0012)。なお、臨床試験において有効性が確認されたのは発症から5日以内に投与を開始した感染者であり、6日目以降における有効性のデータは得られていません。副作用としては、下痢、悪心・嘔吐、浮動性めまい、頭痛が発現率1%以上5%未満で報告され、重要な潜在的リスクには、骨髄抑制および催奇形性が示されています。動物実験で催奇形性が認められており、妊娠しているまたは妊娠している可能性のある女性には投与できません。なお、本剤は2022年9月より一般流通され、保険適用となりました。※2022年9月、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ラゲブリオカプセル200mg

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英語で「安心してください」は?【1分★医療英語】第11回

第11回 英語で「安心してください」は?I’m worried about the surgery tomorrow.(明日の手術のことが心配です)It must be scary, but you are in good hands.(怖いですよね、でも安心して任せてください)《例文1》Dr. Jones is an experienced surgeon. You are in good hands.(ジョーンズ先生は経験が豊富なんですよ。安心してください)《例文2》I trust Dr. Smith. My dad is in good hands.(私はスミス先生を信頼している。彼になら父を任せられるわ)《解説》“hand”を使ったイディオムとして、“at hand(availableと同義)”“on the other hand(他方で)”など、いくつかよく用いられる表現がありますが、医療現場での患者とのコミュニケーションで最もよく用いられるのは、この“in good hands”かもしれません。直訳すると、「あなたは良い手の中にある」となりますが、その「手」は、経験豊富な外科医の手を想像するといいかもしれません。経験豊富で腕の確かな外科医の手にかかれば、手術を安心して任せられますよね。このように、“in good hands”という慣用句は「スキルのある人、経験のある人のケアを受けている」「良いケアを受けている」という意味合いで用いられます。また、上の会話で出てくるように、患者が不安を訴えているときなどに、「私たちがついていますよ、安心して任せてください」と伝える際にも使える表現です。医療現場に限らず、あらゆる分野で高度な技術を持つ人について話す際に使える表現ですので、ぜひ覚えてください。講師紹介

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第85回 オミクロン株の濃厚接触者、待機期間10日に短縮/厚労省

<先週の動き>1.オミクロン株の濃厚接触者、待機期間10日に短縮/厚労省2.COVID-19入院・死亡リスク89%減、経口薬パクスロビドを承認申請3.令和2年度の救急車出動件数が減少、大きく減少したのは?4.令和4年度の診療報酬改定について諮問/厚労省5.2020年度の保険医療機関の指定取り消し19件、前年から微減6.東京大学で刺傷事件、逮捕されたのは医学部志望の高校生1.オミクロン株の濃厚接触者、待機期間10日に短縮/厚労省政府は14日に、新型コロナウイルス「オミクロン型」の濃厚接触者における待機期間を、現在の14日間から10日間に短縮すると決め、通知を出した。医療従事者などについては、待機6日目のPCR検査が陰性であれば待機を解除することも可能としている。これにより、エッセンシャルワーカーの感染増によって社会機能が低下するのを防ぐ。海外でも同様に、オミクロン株の潜伏期間が短い点から、アメリカでは感染者の隔離期間を10日間から最短5日間に変更しており、濃厚接触者でもワクチン接種を3回受けていて無症状ならば隔離を不要としている。(参考)濃厚接触者の待機期間短縮など 全国の自治体に通知 厚生労働省(NHK)新型コロナ 6日目陰性、待機解除 警察・消防・介護などの濃厚接触者(毎日新聞)濃厚接触者の待機、10日に短縮 米英より制限厳しく(日経新聞)新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について(厚労省 事務連絡 令和4年1月14日一部改正)2.COVID-19入院・死亡リスク89%減、経口薬パクスロビドを承認申請ファイザーは14日、COVID-19に対する経口抗ウイルス薬候補「PF-07321332/リトナビル錠(商品名:パクスロビド)」の製造販売承認を厚労省に申請した。今回の申請は特例承認を目指し、日本人も参加している国際共同第II/III相EPIC-HR試験の結果に基づいている。同試験では、外来治療の対象となる重症化リスクの高いCOVID-19患者において、本剤が入院または死亡のリスクをプラセボと比較して89%(症状発現から3日以内の服用)および88%(同5日以内)減少させることが示された。また、有害事象の発現割合は本剤とプラセボで同程度(23%vs.24%)だった。承認が得られた場合、200万人分の治療薬を供給することを日本政府と合意している。(参考)新型コロナ ファイザー、飲み薬申請 「パクスロビド」 承認なら2例目(毎日新聞)ファイザー、コロナ飲み薬を承認申請 来月にも国内承認(日経新聞)3.令和2年度の救急車出動件数が減少、大きく減少したのは?消防庁は「令和3年版 救急・救助の現況」を発表した。昨年度の救急出動件数(消防防災ヘリコプターを含む)は593万5,694件(対前年比10.6%減)で、搬送人員は529万5,727人(同11.4%減)だったことを明らかにした。うちほとんどを救急自動車による救急出動が占める。救急自動車による救急出動件数の内訳を事故種別ごとにみると、急病が64.9%(前年65.3%)、一般負傷が16.0%(同15.3%)、交通事故が6.2%(同6.5%)などとなった。前年と比較すると、軽症(外来診療)が大きく減少したとされる。救急出動件数・搬送人員ともに12年ぶりに減少していた一方で、現場到着所要時間は全国平均で約8.9分(前年比+0.2分)、病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)は約40.6分(前年比+1.1分)と延伸していた。(参考)救急車搬送人員、前年比で68万4,178人減 総務省消防庁総務省消防庁が「救急・救助の現況」公表(CBnewsマネジメント)4.令和4年度の診療報酬改定について諮問/厚労省厚労省は2022年度診療報酬改定に向けて、「議論の整理案」を12日の中医協総会で提出し、14日に出した修正版が了承された。これに対しては21日まで意見募集を行い、公聴会をオンラインで開く予定。中には、急性期病床の「医療・重症度・看護必要度」の心電図モニターの項目など、詳細が決まっていないものもあり、今後変更される可能性がある。(参考)22年度診療報酬改定を諮問、厚労相「議論の整理」了承、21日まで意見募集(CBnewsマネジメント)2022年度改定の項目固まる!急性期一般1の新加算、看護必要度、かかりつけ医機能評価などの行方は?―中医協総会(1)(Gem Med)令和4年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(厚労省)5.2020年度の保険医療機関の指定取り消し19件、前年から微減厚労省は13日、「令和2年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について」を公表した。コロナウイルスの感染拡大のため、指導・監査の件数は大幅減少したものの、保険医療機関の指定取り消しなどは19件と前年度の21件から微減にとどまり、指定取り消しの原因の内訳(架空請求、付増請求、振替請求、二重請求など)に大きな変化はなかった。厚労省は、個別指導、新規個別指導、適時調査の実施を見合わせており、実施件数は大幅に減少しているが、21年度の個別指導などは状況を見ながら実施しているという。(参考)保険医療機関の指定取り消し、20年度も例年並み 厚労省、コロナ対応で集団的個別指導はゼロ(CBnewsマネジメント)コロナ禍で指導・監査の件数は大幅減少したが、保険指定取り消し等に大きな変化なし―2020年度指導・監査実施状況(Gem Med)6.東京大学で刺傷事件、逮捕されたのは医学部志望の高校生15日、大学入学共通テストの受験生が集まる東京大学において、医学部進学を希望する高校2年生が、会場にいた高校生の男女2人と成人男性の背中を相次いで切り付けたとして殺人未遂容疑で逮捕された。医学部進学実績で有名な名古屋の私立高校に通う17歳の少年で、前日から自宅に戻らないと両親が警察に捜索願を出していた。犯行前、東京メトロ・南北線の東大前駅の複数箇所でぼや騒ぎが発生しており、少年は刃渡り12センチの包丁、ナイフ、折り畳み式ののこぎり、着火剤、可燃性の液体を所持していたという。本人は容疑を認めており、「医者になるために東大を目指して勉強を続けてきたが、1年ぐらい前から成績が上がらず自信をなくしてしまった」と学業不振を悩んでの犯行をほのめかしている。(参考)《東大刺傷》「俺は東大を受験するんだ!」凶行に及んだ男子生徒(17)は医学部進学実績全国No.1の超エリート男子校生だった(文春オンライン)「人殺して切腹しようと考えた」名古屋の17歳少年を現行犯逮捕 東大前で受験生ら刺傷事件 包丁、ナイフ、のこぎりも所持(東京新聞)東大前刺傷で逮捕の少年、直前にメトロ車内で放火図る…「うまくいかなかった」(読売新聞)

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乳がん患者の抑うつ、適切な治療につなげるには?/JAMA

 地域の腫瘍科診療施設で治療を受けている乳がん患者において、実装科学(implementation science)に基づき日常診療で抑うつ状態のスクリーニングを行う個別化戦略は、抑うつスクリーニング指導のみの治療戦略と比較して、行動療法への紹介に結びつく患者の割合が高く、腫瘍内科の外来受診の頻度は低下することが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のErin E. Hahn氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年1月4日号で報告された。米国の6つの地域施設のクラスター無作為化試験 本研究は、KPSC(南カリフォルニアの450万人以上の会員に包括的な治療を提供する統合保健システム)に所属する6つの医療センターが参加した実践的なクラスター無作為化試験であり、2017年10月1日~2018年9月30日の期間に患者の登録が行われ、最終フォローアップ日は2019年3月31日であった(Regents of the University of Californiaなどの助成を受けた)。 6つの参加施設は、抑うつ状態に対する個別化介入を受ける群(介入群)または抑うつ状態のスクリーニングの指導のみを受ける群(対照群)に、それぞれ3施設が無作為に割り付けられた。対象は、腫瘍内科で診察を受け、新規の原発性乳がんと診断された患者であった。病期や組織型、性別、人種/民族、併存疾患、その他の臨床的・人口統計学的因子による除外基準は設けられなかった。 抑うつ状態のスクリーニングプログラムでは、患者は9項目患者健康質問票(9-item Patient Health Questionnaire:PHQ-9)に回答し、アルゴリズムに基づくスコア化で軽度、中等度、重度に分けられ、これらの重症度に応じた行動学的精神保健サービスが紹介された。 介入群の施設は、抑うつ状態のスクリーニングプログラムの一般的な指導のほか、審査、パフォーマンスデータの評価、診療変更を実装するための支援を受け、診療内容は地域の状況に合わせて行われた。対照群の施設は、スクリーニングプログラムの一般的な指導のみを受けた。 主要アウトカムは、スクリーニングと紹介が適切に行われた患者の割合とされた。プライマリケア医、急病診療所、救急診療部の受診に差はない 1,436例(平均年齢61.5[SD 12.9]歳、女性99%、アジア系/太平洋諸島系18%、黒人17%、ヒスパニック系26%、白人37%、Stage 0~II乳がん82%)が登録され、介入群に744例(男性4例を含む)、対照群に692例(同3例)が割り付けられた。 抑うつのスクリーニングを受けた患者は、介入群が596例、対照群は3例で、このうち行動医療(behavioral health)へ紹介されたのはそれぞれ59例および1例だった。試験期間中に28例が死亡した(介入群19例、対照群9例、群間差:1.3%[95%信頼区間[CI]:-0.2~2.7])。 主要アウトカムのイベント発生率は、介入群が7.9%(59/744例)と、対照群の0.1%(1/692例)に比べ有意に高かった(群間差:7.8%、95%CI:5.8~9.8)。 行動医療を受けた患者は、介入群では紹介を受けた59例のうち44例(75%)、対照群は紹介を受けた1例中1例(100%)であった。 また、年齢、人種/民族、がんの病期、パートナーの有無、Charlson併存疾患指数で補正したモデルでは、介入群で腫瘍内科の外来受診患者の割合が有意に低かった(補正後率比:0.86、95%CI:0.86~0.89、p=0.001)が、プライマリケア医(1.07、0.93~1.24)、急病診療所(0.84、0.51~1.38)、救急診療部(1.16、0.84~1.62)の受診については、両群間で差は認められなかった。 著者は、「このプログラムの臨床的有益性や費用対効果を知るために、さらなる研究を要する」としている。

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そろそろ旅行に!本当にお得な航空券の予約法教えます【医師のためのお金の話】第52回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。私の最近のマイブームは旅行です。コロナ禍に何を不謹慎な!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、旅行業界は感染予防のために不断の努力を続けています。厚労省の指導も入っているので、感染症予防対策も格段に進歩しました。医療者は昨年から大変な思いをして働いてきた方も多く、かつほぼ全員がワクチン接種済みですから、たまに息抜きしても罰は当たらないでしょう。中~遠距離の旅行でお世話になるのは航空機です。医師の皆さんはANAかJALの国内大手キャリアのマイレージサービス会員が多いと思います。学会出張などで国内路線を多用するヘビーユーザーはそちらがお得ですが、旅行ぐらいしか利用しない私のような層には、格安航空会社(LCC)が選択肢に入ります。LCC料金に最も影響を与えるオプションとは!?私はコロナ禍前には毎年2~3回ほど国内外に家族旅行に行っていました。大人数で利用するため、航空料金はシビアに見ます。最近では国内大手キャリアもかなり安くなりましたが、それでもまだLCCのほうが安いケースが多いようです。LCCの基本料金は劇的に安く設定されていますが、そこからどこまで「オプション」を付けるのかが悩みの種です。LCCは席の指定や規定以上の荷物持ち込みなど、さまざまなものが「オプション」となって追加料金がかかることが多いのですが、料金に最も大きな影響を与えるのは「日程変更可能プラン」のオプションです。ホテルや新幹線では当たり前のこの「無料の日程変更」、航空会社では不可のことが多いです。数ヵ月先の予約をすることも多いので、日程変更ができないのは大きなストレス要因です。私たち医師は、受け持ち患者さんの急変等で予定どおりに出発できない可能性が一般の方よりも高く、そのリスクを考えると、できれば日程変更が可能なプランにしておきたいところです。長年オプション料金を払い続けていたのに…私も例に漏れず、安心感を求めて日程変更が可能なオプションを付けることが多かったです。幸いにも緊急事態が発生することはなかったのですが、今年になって日程変更をせざるを得ない事件が発生しました。むむっ。でも、この日のためにこれまでオプション料金を払い続けてきたようなものです。自分の先見の明を誇らしく思いながら日程を変更しようとすると、トンデモナイ事実が発覚しました。そのオプションの内容をよく見ると、確かに日程変更の手数料は無料なのですが、その際には「“現在の料金”と“購入時の料金”の差額が必要」だったのです。予定日直前の変更なので現在の料金はハンパなく高騰していました。結果、購入時の料金とほぼ同額の追加料金を請求されたのです…。今回のケースでは、変更手数料無料のオプション料金は2,800円で、オプションなしの基本プランの変更手数料は3,000円でした。オプションを追加すると何度でも無料で変更可能でお得だと思っていたのですが、まさか差額が必要だとは…。日程変更は、料金が高騰する出発直前であることが多いでしょう。3,000円の日程変更手数料より追加料金のほうが圧倒的に高くなります。日程変更無料のオプションはほとんど意味がなかったのです…。1回1名当たりのオプション料金は3,000円ですが、往復×家族の人数分の合計金額となるとばかになりません。しかも実質的には使えないオプションを毎回付けており、かなりの金額をドブに捨てていたことになります。これはいただけないですね。潔く最安の基本プランでいこう!LCCはかなり安い金額で移動できるのでとても便利です。しかし、航空料金に大きな影響を与える日程変更オプションは、実質的にはほとんど使えないので追加する必要はないでしょう。これまで何十回も格安航空会社を利用してきたにもかかわらず、このことを知らなかったのは非常にもったいなかったと反省しました。皆さんもLCCを検討する際には、潔くオプションを付けない最安の基本プランにすることをお薦めします!

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手術の理解度が伝わるオペレコ~腹腔鏡下胆嚢摘出術を例に~【誰も教えてくれない手術記録 】第10回

第10回 手術の理解度が伝わるオペレコ~腹腔鏡下胆嚢摘出術を例に~こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。前回に続き、僕の実際のオペレコ※からこだわりポイントをご紹介します。題材としては、若手外科医が最初に取り組むことの多い腹腔鏡手術の中から「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を取り上げました。若手のうちはこの手術のオペレコを描く機会も多いと思いますが、オペレコを上級医に見せたときに「わかってるな…!」と認めてもられるようなものが描けるといいですよね。今回はそんな“理解度が伝わる”オペレコを描くためのこだわりポイントを2つ紹介したいと思います!※個人情報保護の観点から、オペレコは本連載用に描き下ろしています。《術式解説》腹腔鏡下胆嚢摘出術は、急性胆嚢炎や胆石症に対する標準的な術式です。胆嚢管と胆嚢動脈を切り離し、肝から胆嚢を剥離し摘出します。肝門部を中心に損傷を避けるべき脈管があり、慎重な操作を要します。例:腹腔鏡下胆嚢摘出術のオペレコ(完成図)こだわり1:対象臓器だけではなく周辺構造や鉗子も描き込む胆嚢を単体で描いてもオペレコの形としては成立しますが、本当に手術のことを理解しているのかどうかは伝わりにくいです。今回のオペレコでは、肝臓、肝門部、十二指腸、横行結腸などの周辺臓器と、操作鉗子を描き込んでいます。どの手術にもいえることですが、摘出の対象臓器だけでなく、それを取り巻く周辺臓器の構造や位置関係も把握していることが大切です。「胆嚢周囲の解剖構造は何も見なくても描けるくらいイメージができています!」と言えたら、上級医も安心するでしょう。参考:胆嚢周囲の臓器と操作鉗子を描き込んだ図こだわり2:CVSなど、手術の「重要な場面」をかならず明示胆嚢摘出術における重要な術野展開の一つに、「Critical view of safety(CVS)」があります(下図参照)。CVSは胆道損傷を回避し、安全な胆嚢摘出であることを示すために必要な術野ですが、もしその場面がオペレコに描かれていなければ、「CVSの重要性が理解できていないのでは」と思われてしまうかもしれません。CVSをオペレコにしっかり盛り込むことで、上級医に「わかってる感」をアピールしましょう。胆嚢摘出術だけではなく、どの手術においてもキーポイントとなる重要な場面があります。描くべき術野をきちんと提示できるようになるとよいですね。参考:CVS(Critical view of safety)の場面オペレコは、術者の手術への理解度を写し出すものです。今回の例だけではなく、どのような手術においても解剖構造や手術のキーポイントを押さえたオペレコが描けると、上級医に理解力を認められ、さらなるステップアップのチャンスが舞い込んでくるかもしれませんよ!それでは、次回もお楽しみに!

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統合失調症の遺伝的リスク~併発する他疾患との関連性

 統合失調症は、重度の身体的および精神医学的な症状を伴う深刻な精神疾患である。併発する健康被害が遺伝的リスクにより発生するのか、統合失調症の影響で発生しているかは、よくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のRuyue Zhang氏らは、この課題に対し統合失調症の遺伝的リスクからアプローチを試みるため、英国バイオバンクより統合失調症と診断されていない40万6,929例を対象に、健康関連問題に対する統合失調症ポリジーンリスクスコア(PRS)の影響について調査を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年11月19日号の報告。 各診断は、プライマリケアおよび入院患者の医療記録、がんや死亡に関連する情報を含む健康データを用いて判断した。統合失調症のPRSを生成し、線形回帰とロジスティック回帰を用いて、一般的な健康状態、ICD10における16の主要分類および603疾患との関連をテストした。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症PRSの高さは、全体的な健康評価の低下、入院診断の増加、特殊な疾患の増加との有意な関連が認められた。・ICD10の4つの主要分類との有意な関連が認められた。 ●正の関連:呼吸器系の疾患、消化器系の疾患、妊娠・分娩・産褥 ●負の関連:筋骨格系の疾患・31の表現型は、統合失調症PRSとの有意な関連が認められ、19の新たな所見については、いくつかの筋骨格系の疾患、呼吸器系の疾患、消化器系の疾患、静脈瘤、下垂体機能亢進、その他の末梢神経障害との関連が認められた。 著者らは「これらの発見は、統合失調症の遺伝的リスクの多面的な影響に関する情報を提供し、統合失調症と併発するいくつかの疾患がどのように発生するかを考える上で役立つであろう。統合失調症の病態生理学におけるホルモン調節の遺伝的基礎や免疫機構との関連を含めた今後の研究により、統合失調症とその併存疾患の根底にある生物学的機構を解明できる可能性がある」としている。

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057)仕事場の“推し”グッズ、使い道は?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第57回 仕事場の“推し”グッズ、使い道は?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆先日、私がこよなく愛する“推し”キャラクターがプリントされた医療用ハサミを入手しました。ポケット用のクリップが2ヵ所あり、落下防止用のコードも付いている優れもの。患者さんの皮膚を傷つけないよう、刃先のガードも付いています。「これは素晴らしいものをGETした!さっそく次の外来で使おう!!」と意気込んで診察時に持参したものの、いざ処置に使おうという場面で、軟膏や浸出液の付着した包帯を目の前にして、どうしても推しキャラグッズのハサミをポケットから取り出すことができませんでした…。ハサミは使ってなんぼ! 処置に役立てば、医療用ハサミとしても本望なはず。しかし、頭では理解していても、いざ処置となるとどうしても手が伸びず。すっかり処置では出番のなくなってしまったこのハサミ。今では、紹介状の返書やDMの封筒を開封するための事務用ハサミとしてのみ使用しています(笑)。(眺めるだけでもテンションが上がるので、これはこれでよかったのかも…!?)ナース用品の通販雑誌にも、かわいらしいキャラクターグッズがたくさん掲載されていて、眺めるだけでも楽しいものです。ですが、あまりにも思い入れのあり過ぎるキャラクター商品は、実働部隊としては不向きなのだな~と改めて思ったのでした。同じような経験をしたことがある方はいらっしゃいますか?(私だけでしょうか…)それでは、また〜!

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第45回 因果関係とは?【統計のそこが知りたい!】

第45回 因果関係とは?因果関係(Causal relationship)は、「項目間に原因と結果に関係があると言い切れる関係」を意味します。たとえば広告費と売り上げの関係をみると、「広告費を増やすと売り上げが多くなる」が通説です。「広告費を増やす」という行為が原因で、「売り上げが多くなる」という結果が導かれるので、両者の間には因果関係があります。原因と結果の関係は、「原因→結果」の一方通行です。「原因があって結果がある」という時間的順序が成り立っています。また、身長と体重の関係性でいえば、身長が高いと体重が重いのか、体重が重いと身長が高いのかがわからないので、両者の因果関係は定かではありません。因果関係があれば必ず相関関係は認められますが、相関関係があるからといって必ずしも因果関係が認められるわけではありません。因果関係と相関関係は、図のように2つの事象とA とBの関係性を表しています。「相関関係があるからといって因果関係がある」と言い切れないため、両項目の時間的順序などを検討して、因果関係を考察します。両者に因果関係があるかを解明するには、統計解析を行う必要があります。ちなみに、共分散構造解析は因果関係を解明するのに使われる代表的な統計解析手法です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第12回 オッズ比は、なぜ臨床研究で使われるのか?「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)質問22 ロジスティック回帰分析の事例

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2022年度改定でリフィル処方箋がいよいよ本格導入か【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第81回

明けましておめでとうございます。昨年は、最初から最後まで新型コロナに翻弄され続け、さらに医薬品の流通問題も勃発するなど、忙しい1年だったのではないでしょうか。残念ながら半分以上は解決していないという気もしますが、本年は薬剤師が腰を据えて前向きに業務に取り組める1年になればいいなと思います。さて、2022年は診療報酬の改定があるため、年末から議論が本格化しています。まずは、診療報酬全体および医科・歯科・調剤の改定率が決定しました。鈴木俊一財務相と後藤茂之厚生労働相は12月22日、予算をめぐる大臣折衝で22年度の診療報酬改定率を正式に決定した。診療報酬本体は0.43%増(国費300億円程度)。看護の処遇改善に0.20%増、不妊治療の保険適用に0.20%増を確保しつつ、リフィル処方箋の導入・活用促進による再診の効率化で▲0.10%、小児の新型コロナウイルス感染防止対策にかかる加算措置(医科分)の期限到来で▲0.10%を計上したため、実質的な改定率は0.23%増となる。(中略)本体の0.23%分をパイとした各科ごとの改定率は医科0.26%増、歯科0.29%増、調剤0.08%増。医科を1とした場合の配分比率「1:1.1:0.3」は名目上、維持した。(2021年12月23日付 RISFAX)調剤はわずか0.08%増ですが、財源が乏しいなかで減らなくてよかったなという印象です。注目すべきは、リフィル処方箋の導入・活用促進が再診の効率化という目的で突如盛り込まれたことでしょう。これに関しては、この翌日に日本医師会から「議論が必要」という実質的に異議を申し立てるような意見が出ているため、まだ予断を許さない状況ですが、おそらく部分的にであっても導入されるのではないかと思います。その他、薬価の引き下げ、OTC類似品や湿布薬の保険給付の見直し、後発医薬品関連の加算、薬剤師によるフォローアップへの評価などが今回の論点になりそうです。毎回のことですが、薬局に影響があり、かつ始まってからでは遅いのが薬価の引き下げへの対応です。4月1日になった瞬間に薬価が下がってしまうので、早めに薬局の在庫が適正かどうかを確認し、もし過剰であれば他店への譲渡や返品などをおすすめします。薬剤師のフォローアップを患者・医師ともに評価この報酬改定の議論の中で、薬剤師の業務に対する喜ばしい評価がありましたので紹介します。2021年12月1日の中央社会保険医療協議会(中医協)の議論において、2020年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の結果が報告されました。本調査の目的は、2020年度の調剤報酬改定の影響やかかりつけ薬剤師・薬局の取り組み状況などを検証することです。ちなみに、2020年度改定のトピックスとしては、重複投薬解消の取り組みの評価や地域体制加算の要件の見直し、同一薬局利用促進などの評価の見直し、薬剤師による調剤後のフォローアップの評価、調剤基本料の適正化などがありました。その報告の中で、以下のような結果が示されています(一部抜粋)。服薬期間中のフォローアップを受けた患者は、かかりつけ薬剤師指導料などの同意状況にかかわらず、「よかった」という回答が100%であった(患者への調査結果より)糖尿病患者のフォローアップを薬局に指示した場合、保険医療機関が感じるメリットとして、「患者が正しく服用できるようになった」が82.5%、「アドヒアランスが向上した」が67.5%であった(診療所への調査結果より)吸入薬指導を薬局に指示した場合、保険医療機関が感じるメリットとして、「患者が正しく吸入できるようになった」が94.0%、「アドヒアランスが向上した」が69.3%であった(病院への調査結果より)これは、何ともうれしい結果ですね。これらは報酬改定の議論で正式に提出されている資料ですので、報酬への好影響を期待せずにはいられません。もし今回の報酬に反映されなかったとしても、目の前の患者さんや医師が認めてくれているというやりがいを噛みしめつつ、さらにメリットを感じていただけるように服薬指導やフォローアップの質を高めていってもらえればいいなと思います。本コラムでは、患者さんのため、地域のために薬剤師が活躍することを願って、本年も話題のニュースをピックアップしてお届けしていきます。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。参考1)「令和2年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和3年度調査)の報告案について」(中医協 検-5-23.12.1)2)「かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響及び実施状況調査報告書(案)<概要>(中医協 検-6-13.12.1)

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ドイツで産んでみた(4) ドイツでの育児【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第9回

今回もドイツでの子育てについて、引き続き書いちゃいます。子供が産まれて早速、“Elternzeit”(育休)を1ヵ月間申請しました。「1ヵ月でいいの? 双子なのに、大丈夫?」院長には心配そうにされましたが、あんまり休みすぎるのもなーと思っての決断でした。34週での早産であったため、子供たちは1週間ほどはNICUでの入院となりました。ちなみにGreifswald大学のNICUでは380gで生まれた子供を救命して、ニュースにまでなったこともある施設です(ちょうど退院前にその子が受診に来ている姿を見かけましたが、5歳くらいで走り回っていました)。子育てに協力的なドイツの空気退院後は夫婦2人で必死に毎日を過ごしました。以前、このブログで紹介させてもらったへバメ(産婆)に加え、家政婦さん(保険を使って無料で来てくれます)にもフルで来てもらいました。Greifswald大学病院から妻と子供たちが退院したときの写真です。双子なので両手に子供を持っています。ドイツは公的支援だけでなく、街全体が子育てに協力的な印象があります。街でベビーカー(「キンダーバーゲン」と言います)を押していて、自分で店の扉を開けたことはありません。誰かしら、どこからか走ってきて、わざわざ開けてくれるのです。ちょっとした段差に出くわして、どうしようかと立ち止まったことがありました。そのときも、近くにいた小さいお婆さんが杖を振りかざして、道端でタバコを吸って談笑していた若いお兄さんの集団に何やら怒鳴りつけました。その結果、お兄さんたちが慌ててタバコの火を消して、ゾロゾロとベビーカーをみんなで持ち上げてくれたりしました。その際もお兄さん達からは「気付かなくて申し訳ない」と言われました。ドイツでは「子供に優しくするのは当たり前」が根付いている印象が残っています。

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