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第67回 新規感染者のワクチン接種割合は?/ワクチン健康被害で初の救済認定

<先週の動き>1.新規感染者のうち、ワクチン接種済の割合は?/厚労省アドバイザリーボード2.コロナワクチン健康被害で初の救済認定、41例中29例/厚労省3.ブースター接種に向け、モデルナに加えファイザーワクチンも追加確保4.妊婦は重症化リスク高、時期を問わずワクチン接種を推奨/産婦人科学会5.介護保険の主治医意見書の記入の手引きなどが変更に/厚労省6.病院を顧客にした口コミビジネスが暗躍1.新規感染者のうち、ワクチン接種済の割合は?/厚労省アドバイザリーボード18日に開催された新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、新型コロナウイルス感染患者のワクチン接種状況について報告があった。8月10~12日の期間に報告された全国の新規感染者5万7,293例のうち、ワクチン未接種は4万7,132例(82.3%)であり、1回のみ接種は2,956例(5.2%)、2回接種は1,768例(3.1%)、接種歴不明は5,437例(9.5%)であった。人口10万人当たりの新規感染者数としては、ワクチン未接種では67.6例、1回接種では22.7例、2回接種完了では4.0例と、ワクチン接種を2回完了した人は未接種者の約17分の1の割合であることが明らかとなった。(参考)全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率(厚労省)「ワクチン2回接種」で感染は未接種者の“約17分の1”厚労省(NHK)2.コロナワクチン健康被害で初の救済認定、41例中29例/厚労省厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は19日、新型コロナウイルスワクチンの接種後に健康被害を訴えた41例中29例について、接種との因果関係が否定できないとして、予防接種法に基づき医療費と医療手当の支給を認めた。新型コロナワクチンによる健康被害に対しての救済認定は初めてのこと。保留となった12例は、再度分科会で審議される。今回、自治体を通じて審査申請した10~80代の男女41例について審議が行われた。認定を受けたのは20~60代の男女29例(うち28例が女性)。内訳は、アナフィラキシー15例、アナフィラキシー様症状8例、急性アレルギー反応6例だった。(参考)接種後の健康被害、初の救済認定 コロナワクチンで29人(共同通信)コロナワクチンの健康被害で初救済 29人、因果関係否定できず(毎日新聞)<Q&A>ワクチン接種後に健康被害 医療手当支給の審査は厳しいの? 時間はかかる?(東京新聞)3.ブースター接種に向け、モデルナに加えファイザーワクチンも追加確保政府は、新型コロナウイルスワクチン接種を2回完了した人に対して、追加の3回目接種を実施するために、モデルナとはすでに来年に5,000万回分の供給を受ける契約を締結している。今回、ファイザー・ビオンテックのワクチンも、1億2,000万回分の追加契約を行い、実施への調整に入ったことを明らかにした。すでにイスラエルではブースター接種が開始されており、今後欧米でも感染対策強化として広がる見込み。一方、アフリカや南米など途上国においてはワクチン供給が遅れているため、接種を受けられない状況が続いている。世界保健機関(WHO)は、ブースター接種開始の延期や自制を求めている。(参考)政府、3回目接種へ調整本格化 ワクチン効果維持図る―WHOは自制求める(時事ドットコム)ファイザーワクチン1億2000万回分追加契約へ 3回目接種に向け(毎日新聞)4.妊婦は重症化リスク高、時期を問わずワクチン接種を推奨/産婦人科学会先日、千葉県柏市で自宅療養をしていた妊娠8ヵ月の30代女性が、早産の疑いにもかかわらず受け入れ先が見つからず、自宅出産の末に新生児が死亡する事例が報道された。日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会は、妊婦に対して、妊娠中、とくに妊娠後期に新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいため、時期を問わずワクチンを接種することを推奨している。関係学会は、自宅療養中の妊婦が適切に医療機関に受診できるように、救急搬送が必要な呼吸状態などの具体的な目安をまとめた声明を公表する方針を固めた。(参考)千葉・柏の新生児早産・死亡問題、当日に9病院が受け入れ断る(東京新聞)コロナ感染の妊婦 搬送などの目安を関係学会が公表へ(NHK)妊産婦のみなさまへ 新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(第2報)(日本産婦人科学会)5.介護保険の主治医意見書の記入の手引きなどが変更に/厚労省厚労省は、16日に介護保険の認定のために必要な主治医意見書の記入の手引きを見直し、「認定調査票記入の手引き」「主治医意見書の記入の手引き」「特定疾病にかかる診断基準」の改定内容について、各都道府県などに通知を発出した。これは今年4月1日の厚労省老健局長通知に対応するもの。施設等利用の場合は、医療機関における病床の種別(精神病床等)や障害福祉サービス(グループホーム等)など、調査対象者の状況について記入することや、「傷病に関する意見」では、症状としての安定性について、進行がんなどで、急激な悪化が見込まれる場合は「特記すべき事項」ではなく、「傷病に関する意見」に記載することなどを求めている。(参考)要介護認定の主治医意見書記入の手引きなど見直し 厚労省(CBnewsマネジメント)介護保険最新情報 Vol.1003 令和3年8月16日(厚労省老健局老人保健課)6.病院を顧客にした口コミビジネスが暗躍病院の検索結果で表示される口コミについて、低評価が投稿された医療機関に対して、「高評価の口コミに書き換える」などと営業している一部の業者が問題視された。読売新聞の報道によれば、これまでに400以上の法人(うち医療関係は7割)に対し、口コミを改善させると持ちかけて、実態のない情報の書き込みを行ったことが明らかになった。業者の中には、複数のアカウントを使い分けて口コミ対策をするところもあるという。今後、患者に正しい医療情報の提供を進めていく上で、改善が求められるだろう。なお、厚労省は、医療機関のホームページについて、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を開催し、医療広告ガイドラインを定めるなど正しい情報提供を行うよう規制強化を行なっている。今回の事例の場合、「誘引性」を伴う可能性があり、広告規制の対象範囲となる可能性が高いだろう。(参考)病院の口コミ、改ざん業者が高評価に書き換え…「評価3.5以下なら大変」と営業攻勢(読売新聞)医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)(厚労省)

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「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第24回

第24回 「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継案件を仲介する仕事は、不動産の仲介と似ている部分があります。それは、まず売り手から「専任契約」を獲得するための営業に注力する、という点においてです。専任契約は、医業承継の仲介業者を1社に絞って買い手探しを行うことです。仲介業者にとってはこの専任契約によって他社に先を越される可能性がなくなり、営業的に大きなメリットがあります。一方、売り手から見ると、この専任契約にはメリットとデメリットの双方があります。【メリット】専任契約を結んだ仲介業者が自院の案件に注力する。他社に成約される可能性がなくなって成約率が上がるため、非専任契約の案件よりも優先して取り組む。【デメリット】専任契約中は他社に依頼ができない。専任契約をした仲介業者の力量が低い場合には、承継が失敗に終わるリスクがある。そして、この専任契約を締結するために、多くの仲介業者が行っているのが「最初に設定する売却額を高くする」という手法です。売り手は「そんなに高い値段で売ってくれるのか!」と期待するあまり、仲介業者を選択する際のほかの重要な比較軸を忘れてしまうのです。こうした点も不動産の売買と似ているのではないでしょうか。こうしたいわゆる「見せ値」で専任契約を獲得した仲介業者は、その後に「もう少し売却額を下げましょう」と提案をします。もちろん、相場並みの売却額に設定していたものの相手が見つからないので売却額を下げる、という提案は仲介業者の通常業務の範囲であり、問題はありません。注意すべきは、契約前にあり得ないような高額な売却額を設定しておいて、専任契約を結んだ後から大きく下げる、という悪質なケースです。売り手の方には、ぜひとも「売却額以外」の仲介業者を選ぶ基準を知っていただきたいと思います。私たちは、医業承継の仲介において、最も重要な点は「成約率」だと考えています。適切な価格を提示し、適切な買い手を紹介するからこそ、成約率が向上するのです。専任契約を持ち掛けられた際は、ぜひこうした多角的な視点をもって、業者を比較検討してください。

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コロナ禍がもたらすストレスと解消法/アイスタット

 約2年にわたる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、日常生活が失われ、生活のさまざまな面で自粛や我慢をする場面が散見される。また、経済活動の停滞は、収入減少など将来への不安要素となり、精神面に悪影響を及ぼしている。 そうした環境の中、COVID-19が私たちにもたらした精神面への影響はどのくらいあるのだろうか。株式会社アイスタットは、8月4日にアンケートを実施した。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~49歳の東京在住の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2021年8月4日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~49歳/東京)を対象アンケートの概要・約2年に及ぶコロナ禍での「自粛生活」「予防対策」「感染不安」に、何らかのストレスを感じている人は約7割・政府・自治体の対策では、「外出・旅行・帰省の規制・制限」がストレス有無に最も影響・約2年に及ぶコロナ禍で、疲れを感じていると回答した人ほど、ストレスあり・緊急事態宣言の内容を守っている人ほど、ストレスがある傾向・コロナ禍になる前はストレス体質ではなかったが、コロナ禍によりストレスとなった人が26.5%・ストレスがある人とそうでない人の心がけの違いは、「家族・知人・友人・恋人との頻繁な会話」・コロナストレスの要因トップ8は、「コロナ禍による疲れ」「外出・旅行・帰省の規制・制限」「外食・飲み会・宴会の規制・制限」「イライラする」「気力・元気がなくなる」「体質」「仕事面」「将来不安」回答者の7割はストレスを認識 質問1として「約2年に及ぶコロナ禍での「自粛生活」「予防対策」「感染不安」に何らかのストレスを感じているか」(単一回答)を聞いたところ、「やや感じている」が37.7%と最も多く、「非常に感じている」が30.3%、「どちらでもない」が15.3%と続いた。なかでも「非常に/やや」を足し合わせた「ストレスあり」と「どちらでもない/あまり/全く」を足し合わせた「そうでない」のストレス有無に分別すると、「ストレスあり」は68%、「そうでない」は32%で、全体の約7割がストレスを感じていた。「ストレスあり」回答者の属性では、「30代」「女性」「既婚」「有職者」で最も多かった。 質問2として「政府や自治体がお願いしている対策でストレスにつながる内容は何か」(複数回答)を聞いたところ、「外出・旅行・帰省の規制・制限」が56.3%で最も多く、「外食・飲み会・宴会の規制・制限」が43.0%、「マスク着用・検温・消毒」が39.0%と続いた。コロナストレスの有無別にみると、「政府・自治体の対策」を回答した人ほど実際にストレスがある傾向がみられ、一方、「あてはまるものはない」を回答した人は「そうでない」の方が多い結果だった。 質問3として「『自粛生活・予防対策・感染不安』に何らかの疲れを感じているか」(単一回答)を聞いたところ、「やや感じている」が35.0%で最も多く、「非常に感じている」が26.0%、「どちらでもない」が17.3%と続いた。「非常に/やや」を足し合わせた「疲れあり」と「どちらでもない/あまり/全く」を足し合わせた「そうでない」の疲れ有無に分別すると、「疲れあり」は61%、「そうでない」は39%だった。コロナ禍のストレスの一番は「イライラ」 質問4で「4回目の緊急事態宣言の内容を遵守したか」(単一回答)を聞いたところ、「どちらかといえば守っている」が54.3%で最も多く、「完全に守っている」が22.3%、「どちらかといえば守っていない」が12.7%と続いた。「完全に/どちらかといえば」を足し合わせた「守っている」と「そうでない」の遵守有無に分別すると、「守っている」は76.7%、「そうでない」は23.3%で、全体の約8割が守っている結果だった。 質問5で「コロナ禍でストレスとならないように心がけていること」(複数回答)を聞いたところ、「おいしいものを食べる」が36.7%で最も多く、「十分な睡眠をとる」が34.3%、「適度な運動・体を動かす」が33.3%と続いた。コロナストレスの有無別にみると、心がけていることを回答した人ほど実際にストレスがある傾向がみられ、一方、心がけていることは「特になし」と回答した人は、「そうでない」の方が多い結果だった。 質問6で「現在、生活面でコロナ禍により悪影響を受けていることがあるか」(複数回答)を聞いたところ、「収入・金銭の面で」が31.0%で最も多く、「仕事の面で」が28.7%、「家族・家庭・友人・知人・恋人の面で」が26.3%と続いた。コロナストレスの有無別にみると、すべての内容で回答した人ほど実際にストレスがある傾向がみられ、一方、「現在、悪影響はない」を回答した人は「そうでない」の方が多かった。 質問7で「コロナ禍になる前、ストレスを生じやすい体質だったか」(単一回答)を聞いたところ、「どちらかといえばストレスを生じやすい体質だった」が42.7%と最も多く、「どちらかといえばストレスを生じない体質だった」が27.3%、「常にストレスを生じる体質だった」が19.7%と続いた。「常に/どちらかといえば」を足し合わせた「ストレス体質」と「ストレス体質でない」の体質の有無に分別すると、「ストレス体質」は62.3%、「ストレス体質でない」は37.7%で、今回の調査対象者ではストレス体質の方が多い結果だった。 質問8で「コロナ禍が原因で、こころや身体に不調を感じた症状があるか」(複数回答)を聞いたところ、「イライラする」が35.7%で最も多く、「気力・元気がなくなる」が30.0%、「眠れない・眠りが浅い」の23.0%と続いた。コロナストレスの有無別にみると、「不調を感じた症状」に回答した人ほど実際にストレスがある傾向がみられ、一方、「現在、悪影響はない」を回答した人は「そうでない」の方が多かった。

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投資、不動産、保険…、「お金オンチ」はココに相談!【医師のためのお金の話】第47回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。「お金」って扱いが難しいですね。何にでも交換できるのでとても便利なのですが、使い方を誤ると大きな災難に見舞われます。お金は健康や家族と並んで人生で最も重要なものの1つであるにもかかわらず、体系立てて教えてもらう機会がありません。きっと皆さんも数学や英語はたくさん勉強してきたでしょうが、学校や塾でお金の授業を受けたことはないのではないでしょうか。お金に関して“ツルツル”の状態で社会人になってしまう人が多いですが、そのまま人生を乗り切れるほど世の中は甘くありません。今回は私の経験から、お金のことは誰に教わればよいのかをお伝えしましょう。なお、以下にご紹介する関係者について開示するべきCOIはありません(笑)。【候補その1】 ファイナンシャル・プランナー(FP)ファイナンシャル・プランナーとは、保険や税金などの幅広い知識でライフプランの設計を行うお金の専門家です。資格取得の試験範囲は下記の6つで、これだけの分野を体系立てて勉強しているのなら安心できそうです。1.ライフプランニングと資金計画2.金融資産運用3.タックスプランニング4.リスク管理5.不動産6.相続・事業承継しかし、私の経験上では、実際のファイナンシャル・プランナーは机上の知識があるだけの残念な人がほとんどでした。実践が伴っていないので、経験の裏付けのない薄っぺらな情報しか得ることができません。お金に関しては生半可な知識ほどアブナイものはありません。私としては、よほど信頼できる人が見つからない限り、ファイナンシャル・プランナーにお金の相談をするのは控えたほうがよいと考えています。【候補その2】 税理士税理士は紛うことなき税金のプロです。日々お金と向き合っているため、とても心強い存在に思えます。開業している方であれば日々お世話になっていることでしょう。しかし、世の中の税理士の90%以上は法人所得税のプロです。彼らの仕事は税法にのっとって法人の税務申告を行い、“おまけ”として節税の相談にも乗っているのです。このため、人生全般に関わるお金の相談ができる存在ではありません。「そうはいっても税理士は難関国家資格の1つではないか」と思う人は、自分の胸に手を当てて考えてみましょう。あなたは医師ですが、健康や長生きのプロでしょうか? 多くの人はおいしいものをおなかいっぱい食べて不健康な生活を送っているはずです(笑)。不動産投資界隈では税理士資格を持った投資家が存在しますが、彼らは不動産投資家として成功している、というよりは、その経験をだしにして他の不動産投資家から税理士業務を請け負っている人が多いのです。ファイナンシャル・プランナーほどではありませんが、税理士も全幅の信頼をもってお金の相談をするのは控えたほうがよいと思います。【候補その3】 不動産や生命保険の営業担当最近でこそ不動産の電話営業は下火になりましたが、医師であれば彼らの流暢なトークを聞いたことのある人は多いと思います。「あれだけ不動産のことをわかっているのであれば、お金の相談もできるのではないか?」、そう思ったアナタは鴨ネギになること間違いなしです(笑)。彼らに営業トークがあることは間違いないですが、実践的な知識はほぼ皆無といってよいでしょう。同様のことは保険の営業担当にもいえます。彼らは営業のプロであって、断じてお金のプロではありません。不動産購入や生命保険加入の直接的な相談以外は、彼らにお金関係の相談をするべきではないでしょう。「身銭を切って実践している人」に師事しよう!ここまでお金に詳しそうな職種の人を検討してきましたが、すべてだめ出ししてしまいました。それではいったい誰に相談すればよいのでしょうか。私が唯一お勧めするのは、「身銭を切って実践している人」に師事することです。確かに知識量ではファイナンシャル・プランナーや税理士も悪くないですが、リアルワールドで身銭を切って実践している人とは、アドバイスの質や有益さが比較になりません。単に教科書を読んだだけでは手術ができないのと同じことです。このような人はなかなか身近にいなさそうですが、よくよく探してみると一学年に1人ぐらいは怪物級の人物が紛れ込んでいるものです。つい先日も大学の同門で、勤務医にもかかわらず株式投資のみで若くして超富裕層に到達している人を発見して驚いたものです。不動産投資に興味がある人なら、大家をしている人たちの勉強会であれば「大家の会」に入会するのも一法です。物件を売りつけることが目的の会は論外ですが、多くは良心的で自主的に活動しています。そのような会は、実践に裏付けられた豊富な経験と知識を持つ人が多いので、メンター探しには最適です。知識をもらうばかりの「クレクレ君」はいけませんが、師事したい気持ちを前面に押し出せば、気持ちよくアドバイスをもらえることが多いです。もちろん、その後に医療関係の質問をされたときには、全力で回答する等の「お返し」は必須でしょう。身銭を切って実践している人にお金の相談をすることは基本中の基本といえます。探してみればあなたの身近にもいるかもしれません。普段と違う視点で探してみましょう。

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非入院COVID-19患者へのブデソニド、回復期間を3日短縮/Lancet

 合併症リスクの高い居宅療養の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、ブデソニド吸入薬は回復までの期間を短縮し、優越性は示されなかったが入院または死亡も減少することが示された。英国・オックスフォード大学のLy-Mee Yu氏らが、2,530例を対象に行った無作為化対照非盲検アダプティブプラットフォーム解析「PRINCIPLE試験」の結果で、ブデソニド吸入薬の14日間投与で、回復までの期間は2.94日短縮したという。これまでの有効性試験で、ブデソニド吸入薬のCOVID-19居宅療養者への効果は示されていたが、高リスク患者への効果については明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2021年8月10日号掲載の報告。COVID-19疑いの4,700例を対象に試験、うちSARS-CoV-2感染者について解析 試験は中央試験地からは遠隔の英国のプライマリケア施設で行われた。被験者は、65歳以上または併存疾患のある50歳以上で、COVID-19が疑われ具合の悪い状態が最長14日間続いたが入院はしなかった患者。 被験者4,700例は無作為に3群に割り付けられ、通常の治療(1,988例)、通常の治療とブデソニド吸入(800μgを1日2回14日間、1,073例)、通常の治療とその他の治療(1,639例)をそれぞれ受けた。 主要エンドポイントは複数で、28日以内の自己申告による初回の回復報告と、COVID-19による入院または死亡で、ベイズモデルで解析した。 主要解析集団には、SARS-CoV-2陽性で、試験開始からブデソニド治療群が終了するまで3群に割り付けられた全適格患者を包含し評価が行われた。入院・死亡リスクも低減の可能性示す 試験は2020年4月2日に開始。ブデソニド治療群への割り付けは同年11月27日から、事前規定の回復までの期間の優越性基準が満たされた2021年3月31日まで行われた。主要解析には、2,530例が包含された(ブデソニド治療群787例、通常治療群1,069例、その他治療群974例)。 自己申告による初回回復までの期間推定値は、通常治療群14.7日(95%ベイズ信頼区間[BCI]:12.3~18.0)に対し、ブデソニド治療群11.8日(10.0~14.1)で、推定2.94日(1.19~5.12)短縮した(ハザード比[HR]:1.21[95%BCI:1.08~1.36])。優越性確率は0.999超で、事前に規定した優越性閾値0.99を満たし優越性が示された。 入院・死亡アウトカムについては、推定発生率は通常治療群8.8%(95%BCI:5.5~12.7)に対しブデソニド治療群6.8%(4.1~10.2)だった(推定絶対差:2.0%[95%BCI:-0.2~4.5]、オッズ比[OR]:0.75[95%BCI:0.55~1.03])。優越性確率は0.963で、優越性閾値0.975を満たさなかった。 ブデソニド治療群2例と通常治療群4例で、重篤な有害事象が発生したが、COVID-19とは無関係の入院だった。

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原則40歳以上が対象のコロナワクチン「バキスゼブリア筋注」【下平博士のDIノート】第80回

原則40歳以上が対象のコロナワクチン「バキスゼブリア筋注」今回は、「コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組み換えサルアデノウイルスベクター)(商品名:バキスゼブリア筋注、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は5月の特例承認後、国内使用について検討されていましたが、7月末に原則40歳以上の人への接種が承認されました。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の予防の適応で、2021年5月21日に特例承認され、7月30日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、予防接種法に基づく臨時接種として、原則40歳以上の人に使用することが承認されました。なお、(1)他の新型コロナウイルスワクチンに含まれる成分にアレルギーを有するなど医学的見地からとくに本剤を希望する場合、(2)他国で本剤の1回目を接種してから入国した場合、(3)他ワクチンの流通停止など緊急の必要がある場合、などであれば18~39歳でも接種が認められています。<用法・用量>1回0.5mLを4~12週間の間隔を置いて、2回筋肉内に接種します。本剤は2回接種により効果が確認されていることから、同一の効能・効果を持つ他ワクチンと混同することなく2回接種します。最大の効果を得るためには8週以上の間隔を置いて接種することが望ましいとされています。<安全性>臨床試験で報告された主な副反応は、注射部位圧痛(62.9%)、注射部位疼痛(54.7%)、疲労(51.6%)、頭痛(51.1%)、倦怠感(43.8%)、筋肉痛(43.5%)、発熱感(33.5%)、悪寒(31.0%)、関節痛(26.6%)、悪心(20.5%)、注射部位熱感(17.9%)、注射部位挫傷(17.9%)、注射部位そう痒感(13.1%)でした。重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、血栓症・血栓塞栓症(脳静脈血栓症・脳静脈洞血栓症、内臓静脈血栓症など)(いずれも頻度不明)が現れる可能性があります。<患者さんへの指導例>1.ワクチンを接種することで新型コロナウイルスに対する免疫ができ、新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。2.医師による問診や検温、診察の結果から、接種できるかどうかが判断されます。発熱している人などは本剤の接種を受けることができません。1回目に副反応が現れた場合は、2回目の接種前に医師などに伝えてください。3.本剤の接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ってください。接種後は健康状態に留意し、接種部位の異常や体調の変化、高熱、痙攣など普段と違う症状がある場合には、速やかに医師の診察を受けてください。4.副反応として、注射した場所の痛み・腫れ・発赤などの局所症状、発熱、頭痛、疲労、筋肉痛などが現れることがあります。接種後の注射部位の痛みや筋肉痛、発熱などの副反応に対して、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)の使用が可能です。5.1回目接種時の副反応の多くは接種翌日に見られ、発症から1~3日以内に治まります。症状が回復せず、痛みや高熱などが持続する場合は、医師の診察を受けてください。6.心因性反応を含む血管迷走神経反射として、失神が現れることがあります。接種後一定時間は接種施設で待機し、帰宅後もすぐに医師と連絡を取れるようにしておいてください。7.ごくまれに血小板減少症を伴う血栓症が起こることがあります。接種後4~28日は激しい頭痛や持続する頭痛、あざ、注射部位以外の小さな点状の内出血などの症状にとくに注意してください。これらの症状が認められた場合には、ただちに医師の診察を受けてください。<Shimo's eyes>本剤は、わが国で初めて承認されたウイルスベクターワクチンで、サル(チンパンジー)由来の非増殖性で弱毒化されたアデノウイルスに、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の遺伝子を組み込んだ新しい製造方法のワクチンです。これまでに承認されているファイザー製ワクチン、モデルナ製ワクチンは、保管温度がそれぞれ-75℃、-20℃という超低温でしたが、本剤は2~8℃の冷蔵温度で6ヵ月間保管できるため流通・管理が容易で、当然ながら解凍の必要もありません。また、希釈の必要もありません。接種間隔は、8週以上の間隔を置くことが推奨されており、他ワクチンよりも長く設定されています。これは、初回接種から2回目接種までの接種間隔が、8週未満の場合よりも8週以上の場合のほうが有効性が高いためです。さらに、12週以上のほうが、6週未満の場合よりも有効率が高いということが報告されています。副反応は国内第I/II相試験と海外臨床試験の結果で大きな違いはありませんが、すでに承認されている2種のmRNAワクチンと異なり、2回目よりも初回接種後の副反応の頻度が高いことが特徴です。重大な副反応としては、血小板減少症を伴う血栓症に注意が必要です。本剤接種後に非常にまれ(10万人当たり1人未満)ですが、重篤な血小板減少症を伴う血栓症が認められ、致死的転帰の症例も報告されています。この血栓症が海外で問題視されたことから、わが国では使用が見合わせられていましたが、7月30日に公的接種の対象として厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で承認されました。なお、本剤は7月27日に添付文書の改訂指示が発出され、「毛細血管漏出症候群」が追記され、本症の既往歴のある人は接種不適当者とされました。本剤との関連性は確立されていないものの、海外において非常にまれながら手足の浮腫、低血圧、血液濃縮、低アルブミン血症などが報告されているため、そのような症状が認められた場合はただちに医師などに相談するようにあらかじめ伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 バキスゼブリア筋注

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第66回 宿泊療養も抗体カクテル療法適用/救急搬送困難例が1ヵ月で2倍超

<先週の動き>1.宿泊療養も抗体カクテル療法が可能に、自治体に酸素ステーション配備2.救急搬送困難事案が1ヵ月で2倍増、ICU受け入れ制限も/消防庁3.コロナ患者の不適切な受け入れ拒否は病床確保料の対象外に/厚労省4.AZ製ワクチン、16日から緊急事態宣言区域にて接種開始5.コロナ対応の医療従事者、濃厚接触でも要件を満たせば出勤可能/厚労省1.宿泊療養も抗体カクテル療法が可能に、自治体に酸素ステーション配備軽症~中等症COVID-19に対して7月に特例承認された抗体カクテル療法(商品名:ロナプリーブ点滴静注セット)について、当初は原則として入院治療を要する患者への使用に限られていたが、13日に事務連絡が改正され、宿泊療養中の患者についても適用可能となった。宿泊療養施設を「有床の臨時医療施設」と見なし、東京都では同日から投与を開始している。なお、供給量の観点から本剤の一般流通は行われず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡する体制が取られている。本剤の使用を希望する医療機関は、予め「ロナプリーブ登録センター(中外製薬)」への医療機関登録が必須となる。問い合わせ先中外製薬 ロナプリーブ専用ダイヤル:0120-002-621(平日9:00~17:30)第5波の新規感染者数増加に歯止めがかからず、病院において患者受け入れ困難が発生しているため、菅首相は13日に、自治体と連携して酸素ステーションを設置して対処する方針を明らかにしている。(参考)菅首相 「酸素ステーション」「抗体カクテル療法」拠点整備へ(NHK)厚労省 抗体カクテル療法・ロナプリーブ点滴静注の宿泊療養での投与可能に 事務連絡を改正(ミクスonline)新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について(質疑応答集の修正・追加)(事務連絡 令和3年7月20日、8月13日一部改正)2.救急搬送困難事案が1ヵ月で2倍増、ICU受け入れ制限も/消防庁総務省消防庁は11日、救急車が到着しても搬送先の病院がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」について、8月第1週(2~8日)で全国2,897件と、7月第2週(5~11日)の1,390件と比較して2倍以上になっていることを公表した。救急搬送困難事案は、第3波の今年1月3週目に過去最多の3,317件を記録しているが、7月から8月にかけて、それを超す増加率で推移している。全国医学部長病院長会議は10日、27つの大学病院において集中治療室(ICU)での患者受け入れ制限を発表しており、他疾患での救急搬送にも影響が出ていることが明らかになっている。(参考)救急搬送困難2897件、1ヵ月で2.5倍 コロナで医療逼迫 8月2~8日、全国で(日経新聞)新型コロナウイルス感染症第5波が大学病院診療に与える影響(声明)(全国医学部長病院長会議)各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査の結果(総務省消防庁)3.コロナ患者の不適切な受け入れ拒否は病床確保料の対象外に/厚労省厚労省は、病床が逼迫している状況を受け、COVID-19患者の入院医療機関(重点医療機関および疑い患者受け入れ協力医療機関を含む)に対し、都道府県からCOVID-19の入院受け入れ要請があった場合は、正当な理由なく断らないよう6日の事務連絡で通知した。コロナ患者の入院医療機関において、適切な受け入れが困難な場合は、その医療機関の即応病床数の見直しを求めており、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業の補助金を受け取りながら、入院要請のあったコロナ患者を受け入れない医療機関は、病床確保料の支給対象外となることが明記されている。(参考)新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関について(事務連絡 令和3年8月6日)コロナ入院対応拒否、病床確保料の対象外の可能性も 正当な理由なく、厚労省(CBnewsマネジメント)4.AZ製ワクチン、16日から緊急事態宣言区域にて接種開始河野規制改革相は10日の記者会見で、アストラゼネカ(AZ)製の新型コロナウイルスワクチン(商品名:バキスゼブリア筋注)を、自治体での接種開始に向けて緊急事態宣言が発令中の6都府県に16日から供給すると発表した。政府は200万回分を確保しており、それ以外の地域でも8月下旬から接種可能となる見込み。AZ製ワクチンは、原則として40歳以上が接種対象であり、2~8℃で冷所保存が可能、また2回の筋肉内注射で、標準的には27~83日の間隔を空けることとされている。副反応として、ごく稀に「血小板減少症を伴う血栓症」が起こるとされ、『アストラゼネカ社 COVID-19 ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版』を日本脳卒中学会と日本血栓止血学会が公開している。(参考)アストラ製ワクチン、宣言発令中の6都府県に16日から供給(読売新聞)明治系、アストラ製ワクチン配送開始 自治体接種に備え(日経新聞)アストラゼネカ社ワクチンの接種・流通体制の構築について(厚労省)5.コロナ対応の医療従事者、濃厚接触でも要件を満たせば出勤可能/厚労省厚労省は、新型コロナウイルスワクチンの接種が完了している医療従事者について、濃厚接触者になっても、新型コロナ診療に当たることを認める通知を13日、各都道府県などに通知した。該当する医療従事者は、コロナ診療に従事する者に限られ、濃厚接触の認定より前に2回のワクチンを接種後14日間が経過している必要がある。また、無症状であり、毎日業務前にPCR検査や抗原検査などで陰性を確認することなどが要件とされる。なお、当該医療従事者が感染源にならないよう細心の注意を払う必要がある。これにより、全国的な感染急拡大で逼迫する医療現場の人手不足を回避する狙いだろう。(参考)新型コロナウイルス感染症対策に従事する医療関係者である濃厚接触者に対する外出自粛要請への対応について(事務連絡 令和3年8月13日)コロナ治療の医療従事者、濃厚接触者の制限を緩和(朝日新聞)濃厚接触の医療従事者、条件つきで出勤可能に(日経新聞)

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事例032 蜂窩織炎の治療で査定【斬らレセプト シーズン2】

解説右上腕蜂窩織炎の患者に、「K001 皮膚切開術」を2回算定したところB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)として査定になりました。査定理由を確かめるために、診療録を確認しました。初診来院時に右上腕の近位と遠位の2ヵ所に腫脹と痛みの訴えがあり、「蜂窩織炎」と診断されていました。経過には、初診時に右上腕近位の切開排膿を行い、抗生物質を投与、2日後の来院時に遠位の蜂窩織炎が増悪していたため切開排膿されたことが記載されていました。会計・レセプトの担当者は、それぞれの切開の距離が離れているため、別部位として算定できると考え、念のためとして医師にコメントを記載してもらっていました。皮膚切開術の算定留意事項には「長径10cmとは、切開を加えた長さではなく、膿瘍、せつ又は蜂窩織炎等の大きさをいう」とあります。また、「多発性せつ腫等で近接しているものについては、数か所の切開も1切開として算定する」ともあります。傷病名や発生原因が同一であれば、散在している対象それぞれに治療を提供しても合算して一連として算定するというルールです。事例では、傷病名が1つでコメントも時間経過のみでした。同一傷病名に対する数日内の切開は一連の治療であり、1回が妥当としてB査定になったことが推測できます。診療録の写しを添えて再審査請求しましたが原審通りでした。ただ、同様の他事例では、複数ヵ所の切開それぞれに病名を付け、医学的にやむを得ない治療経過であったことを記載して請求したところ査定とならなかった例があります。そこで、医師と会計担当者には、同一傷病名での近接複数回の切開などは、原則として合算して1回のみの算定となることを伝え、医学上にて複数回の算定が妥当と考えられる場合には、あらかじめにそれぞれにかかる病名に加え、時間的経過と医学的必要性を補記して審査支払機関に判断を委ねていただくようにお願いしました。

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術前スケッチを活用!効率的なオペレコ作成テクニック【誰も教えてくれない手術記録 】第5回

第5回 術前スケッチを活用!効率的なオペレコ作成テクニックこんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。皆さん、オペレコはたくさん描けていますか? 日々の業務に追われ、なかなか時間をかけて取り組めないことも多いですよね。今回は、忙しいときでもきっと描く気になれる、術前スケッチを活用した時短テクニックを紹介します!術前スケッチをオペレコ作成に役立てるには?多くの外科医は、手術前のシミュレーションとして、臓器の位置関係や血管走行などを「術前スケッチ」にまとめています。この術前スケッチ作成もそれなりに時間がかかるものなので、もしそのまま術後のオペレコ作成に使えたら、かなりの時短になると思いませんか? では、僕が描いた「腹腔鏡下S状結腸切除術」の術前スケッチを例に、さっそくオペレコを作成してみましょう。術前スケッチには、CT画像を基に臓器の構造、位置関係、血管走行などをまとめていきます。基本的には、手術内容と関連のある部分を中心に描きます。腹腔鏡下S状結腸切除術では腫瘍の位置、リンパ節転移の様子、S状結腸の長さ、血管走行などが重要なポイントとなります。手術前に頭の中のイメージを可視化することで、実際の手術の助けになりますし、そこから腹腔内や術野を思い浮かべられるくらい描けたのなら、より自信を持って手術に挑めるはずです!見本:腹腔鏡下S状結腸切除術の術前スケッチオペレコは、術前スケッチに描き加えていくだけ!さて、手術が終わったら、オペレコ作成に進みましょう。手術後の数ある業務の中でも、オペレコ作成はできるだけ早めに済ませたいですよね。念のため、術前スケッチのコピーを作成してから、新しく描き込んでいきます。まずは十分な余白を確保するため、イラストの位置や大きさを調整し、細かい手術内容や手術中に得られた情報を描き加えていきます。この作業は、簡単に複製や修正ができるデジタルイラストだからこそなせる業ですね。画像を拡大する術前スケッチをコピー&位置調整⇒オペレコを仕上げた図はい、完成です! 術前スケッチを活用して、比較的短時間に仕上げることができました。僕の体感ですが、1枚当たり60分⇒30分と、半分ほど時間短縮ができている印象です。この方法は、必然的に術前スケッチを見直すことになります。オペレコ作成時に術前スケッチを振り返り、整合性を確かめることができるので、自身へのフィードバックとしても効果的です。やはり、時間がたつと記憶が薄れてしまうので、手術直後の一番細かく覚えている段階で、オペレコ作成に取り組みたいものです。前回までのコラムのように、「下書き→線画→色塗り→仕上げ」とゼロから描き上げるのもいいですが、疲れた体にはなかなか骨が折れる作業です。術前スケッチがしっかり描けているときは、それを使ってオペレコを仕上げてしまいましょう!いかがでしたか? デジタルイラストの特徴をフルに活用して、オペレコ作成の効率化を目指していきましょう。また次回も、オペレコ作成のちょっとしたテクニックを紹介したいと思います!

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052)水虫の直接鏡検で菌体を見つけるコツ【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第52回 水虫の直接鏡検で菌体を見つけるコツゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆皮膚科外来は繁忙期の夏に入り、水虫の患者さんが増えてきました。汗で蒸れやすく、素足で過ごす人が増えるこの季節、白癬菌にとっては絶好のパラダイス。足白癬を疑った場合、診察室でまずすべきは、直接鏡検で菌体を見つけることです。検査の前に抗真菌薬を使ってしまうと、正しい判断ができなくなってしまうので注意しましょう。それでは、鏡検でばっちり菌体を見つけるために必要な、検体採取のコツをご紹介します!(1)二次的病変や抗真菌薬の外用など、検査の阻害要因がある場合は時間を空ける足白癬では、細菌感染や接触性皮膚炎(かぶれ)などを併発している場合、菌体を見つけにくくなることがあります。前述のように、抗真菌薬を外用している場合も同様です。二次的病変がある場合はまずそちらを治療してから、抗真菌薬を使用している場合は外用を中止し、1~2週間空けてから再検査しましょう。(2)病変部と健常部の境目にある新鮮な鱗屑を狙って、複数箇所から多めに採取水虫の病変部は、外側へどんどん広がるため、輪を描くように丸くなっていると思います。菌体が一番多く存在するのは、まさにその辺縁部分。中心部の古い鱗屑には菌体があまり居ないので、できたての病変部から検体を採取しましょう!慣れてくると、少量の検体採取でも菌体を探り当てることができるようになりますが、顕微鏡をのぞいても菌体が見つけられなかったとき、「これだけ調べて居なかったのだから、陰性!」と胸を張って(?)言えるよう、検体はいつも複数箇所から多めに採取しています。(3)爪白癬の場合、病変部の場所(付け根or先端)で検体の採取方法が変わる表在性または近位部(爪の付け根)を侵すタイプの爪白癬では、爪の表層に菌体が存在するので、白濁部をメスなどで削り取るように採取します。一方、爪全体や遠位部(爪の先端)が白濁・肥厚して真っ白になるタイプの爪白癬は、伸びた爪先をニッパーなどで切り取ってから、爪下の角質を奥のほうからかき出すようにして採取します。爪白癬がまさに進行している爪の下の奥に菌体が多く存在するのです。(4)水疱があれば迷わず水疱蓋を採取する一番確実なのが水疱蓋の採取です。菌体を大量に観察できます! 無鉤セッシなどでちぎり取ってしまうと、周囲の健常な角質までむけてしまうため、眼科剪刀を押し当てるようにして、水疱蓋を刃先でつまんで挟むようにしながら切り取るとよいです。直接鏡検は検体採取が命! 上手に採取し、素早く確実に菌体を見つけましょう☆彡それでは、また~!

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英語学習は○○が9割!【医療者のための英語学習法】

仕事で使う英語は日常会話よりも簡単!英語学習でよくある勘違いの1つに「ビジネス英語は日常会話よりも難しい」という考え方があります。実際、日常会話を勉強して、その後で仕事で使う英語を学ぼうと考える方が多いですが、この考え方はむしろ“逆”です。仕事で使う英語のほうが日常会話よりも英語学習の入り口としては適しているケースが多く、これは医療者の方にも当てはまります。現在仕事で英語の必要性がある方は、これを「チャンス」と捉え、ぜひ主体的に学習を始めてください。実は攻略しやすい医療英語「仕事の英語が日常会話より簡単」な理由は、医療者が必要とする英語は、ある程度範囲が決まっており、専門ごとに使う医療用語も限られるためです。英語を話す場面もある程度決まっていて、海外学会での発表や外国人の患者への診療などでしょう。診療で使う表現は何度も繰り返して使うため、定型(フレーズ)化しやすいといえます。そして繰り返すことによってそのやりとりが身に染み付いていくのです。また、第二言語習得には「Narrow Reading」の効果が高いといわれています。Narrow Readingとは、テーマの範囲を絞ってリーディング学習を進めることで、同じトピックについてさまざまな文章や記事を読むことを指します。この学習方法は語彙的にも負担が少ないので、理解度向上に寄与するのです。医療者の方も自身の専門分野の英語の論文を読むのであれば、一般的な英語のニュース記事を読むよりもラクに感じることでしょう。自分が関わる仕事の内容は十分な背景知識があるため、すべての単語の意味がわからなくても大体どういうことが書いてあるか予想がつくためです。一方で一般のニュース記事はトピックが広範囲にわたり、背景知識がないトピックは難易度が上がります。つまり、仕事上で英語が必要な医療者の方は、英語学習を始めるよいきっかけと、実践するよい機会をすでに持っているわけです。忙しさをチャンスに変える!しかし、必要性があっても、忙しさを理由に英語学習に十分な時間を費やすことができていない方が多いのではないでしょうか。時間ができたらやろう、と思ったまますでに数年…、という話もよく聞きます。英語学習には2つの選択肢があります。1.忙しいからやらない2.忙しいけどヤル誤解を恐れずに極論すると上記2つに集約されます。「時間ができたら学習する」という方は多いですが、「今後1年間は十分な時間を確保できます」という人はまずいません。また、今は時間がとれると思っていても、その後環境が変わって忙しくなることもあるでしょう。私はビジネスパーソン向けの英会話スクールを19年にわたって運営していますが、感覚的には「英語学習の時間が十分とれる」と思える方は全体の10~30%程度です。さらに言うと、こうした「時間がとれる」という方がきっちり学習するわけでもなく、時間がとれる方は「いつでもできる」と先延ばしにしがちで、結局やらないケースも多いのです(夏休みの宿題を7月中に終えられる人は別でしょうが)。ソニーの元副社長でウォークマンの開発者でもあった大曽根 幸三氏は、「急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め!」という名言を残しています。大曽根氏いわく「暇なやつに仕事を頼んでも後回しにして一向に仕事が終わらない」のだそうです。逆に忙しいビジネスパーソンはスピーディに終わらせる傾向がある、とのこと。英語学習にも同じ傾向があって、忙しい人のほうが限られたスケジュールをやりくりして学習時間をねじ込んできます。「この時間を逃したら他に学習時間はまったくとれない」という危機感から確実に学習する人が多いのです。そもそも「暇だったので英語の勉強をして話せるようになりました~!」という話を、私自身聞いたことがありません。極端なケースを除けば、忙しさは英語学習ができない理由にはならないでしょう。私はこれまでに延べ1,000名以上のさまざまな立場にあるビジネスパーソンの英語学習を指導してきましたが、どう考えても時間のある新卒一年目の方が「忙しくて時間がとれない」と言う一方で、家事と2人の子育てをしながら大学の准教授としてフルタイムで働く女性が1日3時間の英語学習を何ヵ月もこなし続けるのを見て、時間のあるなしは言い訳にならない、と改めて思いました。英語学習はスケジューリングが9割とはいえ、医療者は自分でのスケジューリングに限界があることも多いでしょう。忙しさを前提とした英語学習はどうすればよいのでしょうか?私の考えでは英語学習は「スケジューリングが9割」です。いかに実践可能で現実的な英語学習を計画できるかがポイントです。故に「1日1時間の学習をする」という程度の甘い計画ではダメです。英語学習にはトリガー(きっかけ)が必要なのです。トリガーとは、たとえば下記のようなものです。○時になったら学習をする通勤電車に乗ったら必ず学習をするランチ休憩中に○○分学習をするこのように具体的な時間や条件をきっかけに英語学習を開始するようにすると実現性が高くなります。そして、とにかく学習時間を自分のスケジュールに確実に組み込みさえすれば、後はそのスケジュールをこなすだけです。時間の経過とともに英語力は着実に上がり、1、2年もすれば相当レベルが上がっているはずです。実現可能な学習スケジュールを立てることさえできれば9割は成功したようなものなのです。計画を立てる際はリアルなスケジュールを基に作成してください。希望的感覚に基づいたスケジューリングはすぐに瓦解します。自分の過去の学習経験から「どれくらい集中力が続くのか?」「自宅のリビングで家族がいる中で本当に学習できるのか?」「学習中にSNSは本当に見ないのか?」なども加味して、リアルに実践できる計画を立てましょう。とくに医療者の皆さんは当直や夜勤、急患や急変などの対応もありますので、そういったイレギュラーなスケジュールも想定しておきましょう。また、自分や家族が体調を崩す可能性を考慮したり、医療の勉強時間を確保したりすることも必要でしょう。イレギュラーな事態は、英語学習ができなかったときに非常に役に立つ言い訳になってしまいます。他人からも「それじゃ仕方ないね」と言ってもらえるかもしれません。しかし、それでは誰も幸せになりません。だからイレギュラーなハプニングが起こったときにどうするかの「プランB」までを計画に組み込む必要があります。医療者は一般の方よりも不規則なライフスタイルの方が多く、この問題を解決できずに、英語学習を頓挫した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。「隙間時間」と「ながら学習」を多用する!まとまった時間がとりにくい、あるいはスケジュールが変動しやすい医療者の場合、「隙間時間」と「ながら学習」をすることで学習時間を補うようにしましょう。隙間時間の学習は意外と効率がよいのです。たとえば単語を暗記する場合、1時間集中してやるよりも、15分ずつ4回に分けて覚えたほうが定着率はよくなります。一説には、「単語は最低12回出合わないと覚えない」といわれていますので、単語を覚えるためには何度も覚えて忘れて、また出合って覚えて…、ということを繰り返します。だから隙間時間で単語と出合う数を増やすことが効果的なのです。これは一度にたくさん学ぶよりも、時間をかけて何度かに分けて学んだほうが、学習効率は上がることを提唱した「エビングハウスの忘却曲線」理論とも適合します。また、英語のリスニング学習は「ながら学習」に向いています。移動時間などを利用してリスニングをし、かつシャドウイングまですればスピーキング力の向上にも直結します。こういった学習計画・スケジュールをこなせたら1年後には飛躍的に英語力が向上します。そのための周到な学習計画をつくることで、英語学習成功の確率は一気に上がります。英語はしっかり取り組めば、日本にいながらでも働きながらでも必ず身に付きますので、ぜひ頑張ってください!※筆者がディレクターを務める、医療従事者向け英語学習プログラム「Medical English Hub(めどはぶ)」では現在2021年9月から始まる1期生を募集しています(8月末締め切り予定)。https://www.oneup.jp/medhub/learning-program/<執筆者>

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「尿路感染症はとりあえずキノロン」の医師へST合剤を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第41回

 今回は、尿路感染症にはフルオロキノロン薬を第1選択と考える医師に対し、代替薬としてST合剤をどのように提案したのか紹介します。フルオロキノロン薬は使いやすい抗菌薬ですが、経口第3世代セフェム系抗菌薬と同様に薬剤耐性に注意が必要です。医師は使用経験が少ない代替薬には抵抗があるものですが、薬剤師が共同でモニタリングする姿勢を示すことで、医師の治療選択肢を増やすことができました。患者情報70歳、女性(施設入居)基礎疾患高血圧症、骨粗鬆症介護度要介護1服薬管理施設職員が管理処方内容1.アムロジピンOD錠5mg 1錠 分1 朝食後2.カンデサルタンシレキセチル錠4mg 1錠 分1 朝食後3.ラロキシフェン塩酸塩錠60mg 1錠 分1 朝食後4.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後本症例のポイント訪問診療に同行した際、施設看護師より、昨日から患者さんに倦怠感・頻尿・濃尿・尿臭があると相談を受けました。医師より、尿路感染症の可能性が高く、抗菌薬治療が必要なので、レボフロキサシン500mgを5日間処方しようと思うがどうかと聞かれました。医師としては、尿路感染症に対しては長年フルオロキノロン薬をほぼ一択で処方しており、治療効果も満足していることから、今回もレボフロキサシンでよいだろうという認識でした。フルオロキノロン薬は組織移行性に優れた広域抗菌薬であり、また1日1回服用と服薬負担も少ない薬剤ですが、薬剤耐性が問題となっています。そこで下記のポイント(1)、(2)を整理して代替薬の提案をすることにしました。なお、βラクタム系の抗菌薬に関しては、医師より菌種のカバーや治療成績から積極的には使用したくないと回答を得ています。(1)フルオロキノロン薬の薬剤耐性と相互作用の懸念近年の報告において、尿路感染症の主要な起炎菌である大腸菌のフルオロキノロン耐性率は40%となっています。薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの目標である「25%以下」を大きく超えており、今後も薬剤耐性対策として適正使用を進め、使用量を減らす必要があります。また、この患者さんは便秘治療で酸化マグネシウムを服用していますが、フルオロキノロン薬との相互作用が問題となります。同時服用ではキレート形成による吸収低下から抗菌効果が減弱する可能性があるため、時間をずらして服用することになりますが、服薬時刻を指定すると施設側の介護負担が増大するため、他剤へ変更するほうがよいと考えました。(2)代替薬としてST合剤を検討ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠)は、腸内細菌科細菌を広くカバーしており、消化管吸収や前立腺などの組織移行性も良好な薬剤です。そのため、尿路感染症においては腎機能低下や妊娠などの問題がなければ第1選択薬となります。ただし、ワルファリンカリウムやフェニトイン、レパグリニド、メトトレキサートなどとの相互作用があり、併用が困難な場合もあるため注意が必要です。幸いこの患者さんは相互作用がある薬剤の服用はなく、腎機能も年齢相応(Scr:0.75mg/dL、推算CCr:47.38mL/min、K値:3.5mEq/L)であることから、治療薬候補として妥当と考えました。処方提案と経過上記のポイント(1)、(2)を医師に伝えてST合剤を提案したところ、使用経験が少ないので不安もあるとのことでしたが、薬剤師と施設スタッフの共同モニタリングを行うことで安心してもらい、スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠 4錠 分2、7日間の処方となりました。医師としては、フルオロキノロン薬の大腸菌の耐性化が全国的に進んでいることに驚かれ、今後の治療選択肢としてST合剤やセファレキシン、セファクロルも考慮するとのことでした。治療開始2日目の夜より患者さんの頻尿や尿臭の訴えが改善し、その後も有害事象はなく経過も順調だったため、7日間でST合剤による治療は終了となりました。薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020. 厚生労働省健康局結核感染症課;2021.高山義弘 著. 高齢者の暮らしを守る 在宅感染症診療. 日本医事新報社;2020.

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うつ病に対する抗うつ薬の治療パターンとアウトカム

 米国において、うつ病は重大な問題となっている。うつ病に対するケアは、非常に多様であり、文書化された報告も限られている。米国・スタンフォード大学のMaurice M. Ohayon氏らは、米国の一般集団におけるうつ病の有病率と治療パターンについて調査するため、縦断的研究を実施した。CNS Spectrums誌2021年4月号の報告。 2002~15年の間に2回のWeb調査を実施した。1回目の調査(W1)は、米国8州の18歳以上の一般集団1万2,218人を対象に実施した。2回目の調査(W2)は、W1で3年後の再調査に同意した1万931人を対象に実施した。W1およびW2に回答した1万931人を分析対象とした。うつ病の診断は、DSM-V基準に従った。 主な結果は以下のとおり。・3年間のうつ病発症率は、3.4%(95%CI:3.1~3.7)であった。・うつ病有病率は、W1で5.1%(95%CI:4.7~5.5)、W2で4.2%(95%CI:3.8~4.6)であった。・部分寛解または完全寛解に達した患者の割合は、以下のとおりであった。 【部分寛解】  ●W1:4.4%(95%CI:4.0~4.8)  ●W2:7.9%(95%CI:7.4~8.4) 【完全寛解】  ●W1:3.9%(95%CI:3.5~4.3)  ●W2:4.4%(95%CI:4.0~4.8)・部分寛解および完全寛解に達した患者を含めたうつ病の有病率は、W1で13.4%、W2で16.5%であった。・W1でうつ病と診断された患者のうち、併存疾患を有していた患者の割合は、61.9%であった。・W1でうつ病と診断された患者のうち、W2でも抑うつ症状が報告された患者の割合は、41.8%であった。・W1で部分寛解に達した患者の19.9%および完全寛解に達した患者の5.5%は、W2で寛解に達していなかった。・うつ病患者のうち、抗うつ薬が使用されていた患者の割合は、W1で52.2%、W2で42.9%であった。最も使用されていた薬剤クラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、W1で34.7%、W2で28.3%の患者に使用されていた。・抗うつ薬を処方した医師の内訳は、プライマリケア医45.7%、精神科医31.4%、神経内科医2.5%、その他7.9%であった。・平均治療期間は、36.9ヵ月(SE:2.4)であった。・W1において、抗うつ薬を使用していた患者の3分の1以上が抗うつ薬治療に不満を持っており、W2での抗うつ薬の種類の変更につながっていた。 著者らは「米国におけるうつ病有病率は、13.4~16.5%であった。抗うつ薬が使用されていたうつ病患者は、約半数程度(52%)にとどまっており、多くの患者で治療が不十分であることが示唆された。本研究では、うつ病患者の4人に1人以上は、初期の抗うつ薬治療で寛解が得られておらず、うつ病治療の課題が浮き彫りとなった」としている。

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全国の後発品工場に無通告立入検査 “締め付け”で安定供給は実現するか【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第73回

長引く後発医薬品の供給不足に関して、さまざまなところから不満の声が噴出しています。後発医薬品の使用促進が行われてきたこの15年間でも多くの問題がありましたが、今回は現場の薬剤師の不満レベルとしては最大級なのではないかと思います。今回の問題は、2020年の年末に起きた小林化工や日医工のGMP違反などにより、多数の品目が回収・製造中止となったことが始まりです。その会社が欠品を招いて信頼を失ったということだけにとどまらず、代替品を有する他会社に予期せぬ大量発注が入り、その会社でも欠品するという負の連鎖が起こりました。欠品の代替品として採用した品目も欠品したため、再度品目を選定するために残業…という経験がある方も多いのではないでしょうか。先日の中央社会保険医療協議会(中医協)の2022年度報酬改定の議論においても、相次ぐ後発医薬品の出荷調整や欠品などにより、患者さんに対する説明や苦情対応など現場の薬剤師の負担が非常に重くなっているというコメントがありました。今までコツコツと後発医薬品を患者さんに紹介し、使用割合を増やしてきた薬局や薬剤師からは怒りを超えた脱力のような声が聞こえてきます。当初問題となった2社に対しては、業務停止などの強力な措置が取られました。しかし、それだけでは不十分と思ったのか、後発医薬品会社全体に対して以下の2つの対応が講じられました。まず、厚生労働省は、6月1日から7月13日にかけて沖縄県を除く46都道府県が後発医薬品会社の工場に無通告の立ち入り検査を行ったことを明らかにしました。8月に報告書を取りまとめる予定で、不適切な事案が判明した場合は行政処分を下す方針と報じられています。実際に、かなり厳しい査察が入ったと聞いています。また、厚生労働省から、後発医薬品の薬価収載についてルールを厳格化する旨の通知が出されました。具体的には、本年8月に承認取得し、12月に収載を希望する後発医薬品会社のうち、2016年12月以降の収載品目で5年を経ずして欠品、出荷調整、回収などで供給不足を引き起こした会社には、「発生日以降の最初の薬価基準収載およびその次の薬価基準収載を自発的に見送る」という念書を提出させる場合があるというものです。どれほどの法的効力があるかはわかりませんが、仮に念書が効力を発揮すると、ライバル会社に1年後れを取ることになるためかなりの痛手になります。国の“締め付け”は安定供給に有効?厚生労働省が今回の品質や安定供給の問題に対して行った措置は、後発医薬品会社への監視および締め付けの強化ということになります。原因究明や再発防止は重要ですが、2017年に閣議決定された「骨太の方針」の後発医薬品使用割合の目標はおおむね達成され、すでに後発医薬品が普及した現在において、この業務停止など罰則ありきの措置が安定供給を図るうえで適切なのかという疑問が浮かびます。また、締め付けを強化した結果、医療機関や薬剤師の業務がまた煩雑になり、患者さんがさらに不安になるという問題が起こらなければいいのだけど…という不安を感じます。長期収載品(後発医薬品がある先発医薬品)の薬価も厳しくなったため、長期収載品を後発医薬品会社に承継する先発医薬品会社も増えてきていますが、2022年度の調剤報酬改定では後発医薬品に対する体制加算をなくすという議論も出ています。残念ながら締め付けだけでは安定供給の根本的な解決には至らないような気がして、一抹の不安を感じずにはいられません。

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那須・ハコラ病〔PLOSLまたはOMIM221770:Polycystic lipomembranous osteodysplasia with sclerosing leukoencephalopathy〕

1 疾患概要■ 定義・概念那須・ハコラ病(OMIM221770)は、1970年代に那須博士とハコラ博士により報告された疾患である。臨床的には、病的骨折、前頭葉症状、進行性の若年性認知症に特徴付けられる。常染色体劣性の遺伝性疾患であり、原因遺伝子はDNAX activating protein of 12 kDa(DAP12)とtriggering receptor expressed on myeloid cells 2(TREM2)である。 また、本症はpolycystic lipomembranous osteodysplasia with sclerosing leukoencephalopathy(PLOSL)とも呼ばれている1)。■ 疫学本疾患は希少疾患であり、わが国と北欧のフィンランドからの報告が多い。フィンランドでは、DAP12のExon1-4の欠失変異(c.-2897_277-1227del5265)の創始者効果のために有病率が高いと考えられており、同国の推定有病率は100万人あたり1~2人である2)。なお、わが国では平成21年度に厚生労働科学難治性疾患克服研究事業「那須・ハコラ病の臨床病理遺伝学的研究」の研究班が実施したアンケート調査の結果から、患者数は200人程度と推定されている3)。■ 病因那須・ハコラ病は、DAP12またはTREM2の機能喪失変異で発症する。DAP12とTREM2は破骨細胞やミクログリアの細胞膜表面に発現し、複合体を形成する。リガンドがTREM2と結合することで、DAP12/TREM2の複合体から下流にシグナル伝達が生じる。那須・ハコラ病は、DAP12またはTREM2の変異により、下流へのシグナル伝達が阻害されることが原因と考えられている。しかし、その他の詳細な分子生物学機序については明らかになっていない3)。■ 症状那須・ハコラ病は進行性の疾患であり、その臨床経過は4期に分けることができる。(1)特に症状が認められない無症候期(Latent stage)。(2)骨嚢胞や病的骨折が認められる骨症状期(Osseus stage)。(3)脱抑制などの前頭葉症状を中心とした精神症状などが認められる早期精神神経症状期(Early neuropsychiatric stage)。(4)認知機能障害低下が顕著となる晩期精神神経症状期(Late neuropsychiatric stage)、である。無症候期においては特に発達などに異常は認められない。20代で骨症状期に移行する。骨症状期では、軽微な事故などを契機に足関節や足に疼痛や圧痛を認めるようになる。また、最初の骨折は30歳以前で認められる。骨折は主に長管骨で認められる。30代では、早期精神神経症状期へと移行する。この時期には、性格の変化に加え、注意力や判断力の低下、多幸感や社会性の欠如などの前頭葉症状が緩徐に進行する。神経学的には、痙性などの上位運動ニューロン徴候が認められる。さらに、不随意運動としてアテトーゼや舞踏運動が認められ、30代半ばには頻繁にてんかん発作が経験される。40代で晩期精神神経症状期に移行する。この時期では、歩行などは困難となる。50代には、寝たきり、意思疎通が困難となる。これまでに明らかな骨症状を認めずに精神神経症状を呈した症例も報告されている4)。■ 予後本疾患は進行性で、50代には誤嚥性肺炎などを契機に死亡する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)那須・ハコラ病の診断には、(1)骨嚢胞、(2)中枢神経病変、(3)遺伝子変異を確認するために各種検査を実施する必要がある1-3)。骨嚢胞は長管骨の骨端部に多発する。手指や手根骨、足根骨の骨X線検査で嚢胞様病変や骨梁の菲薄化が認められる。これらの異常所見の確認にはCT検査やMRI検査も有用である。骨生検は必ず行う必要はないものの、生検組織で膜嚢胞性変化(lipomembraneous osteodysplasia)が確認できる。中枢神経病変の確認には神経症状に加えて、頭部CT検査や頭部MRI検査が有用である。CT検査では両側性に基底核の石灰化が認められる。側脳室の拡大、基底核や視床の萎縮、脳溝の開大などの萎縮所見も認められる。加えて、頭部MRI T2強調像やfluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)では、白質のびまん性高信号所見が認められる。Single photon emission computed tomography(SPECT)やpositron emission tomography(PET)検査では皮質領域、視床、基底核に血流低下が認められる場合がある。遺伝子検査ではDAP12またはTREM2の遺伝子変異が認められる。一般的にはホモ接合性変異であるが、複合ヘテロ接合性変異の症例も確認されている5)。他に進行期の脳波では徐波やてんかん性放電が確認される。なお、わが国では「那須・ハコラ病の臨床病理遺伝学的研究」研究班が作成した診断基準がある(表)3)。表 那須・ハコラ病の診断基準画像を拡大する本疾患と鑑別疾患としては、前頭側頭型認知症(ピック病など)やスフェロイドを伴う遺伝性びまん性白質脳症(hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroids:HDLSまたはadult-onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented glia:ALSP)などが挙げられる。HDLSは常染色体優性遺伝形式の疾患で、頭部MRI検査では白質のびまん性高信号所見が認められる。原因遺伝子はcolony stimulating factor l receptor(CSFIR)である。これらの疾患では骨病変が認められない点や遺伝形式の違いが鑑別点となる1-3)。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)那須・ハコラ病の根治的な治療は現時点ではない。骨病変に対しては、骨折については整形外科的な治療が行われる。加えて骨病変に対する疼痛管理や装具装着なども試みられることがある。精神症状については抗精神病薬が用いられる。てんかん発作に対しては、抗てんかん薬が用いられる。4 今後の展望現在、治験などは予定されていない。DAP12/TREM2のシグナル伝達異常がどのように病態に関わっているのかが不明な点が多く、病態の解明が望まれる。5 主たる診療科脳神経内科対症療法として、整形外科、精神科、リハビリテーション科、呼吸器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 那須・ハコラ病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Adam MP, et al.(eds). GeneReviews. Seattle.WA;2020.2)Pekkarinen P, et al. Am J Hum Genet. 1998;62:362-372.3)佐藤準一. 新薬と臨牀. 2016;65:76-81.4)Bock V, et al. J Neurol Sci. 2013;326:115-119.5)Kuroda R, et al. J Neurol Sci. 2007;252:88-91.公開履歴初回2021年8月6日

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院長が倒れた!残された家族は書類探しに大わらわ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第23回

第23回 院長が倒れた!残された家族は書類探しに大わらわ漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継における売り手は高齢の方が多く、現場では「院長が急に体調不良となり、計画より早く譲渡を進めなければならない」というケースが珍しくありません。このような場合は、主にご家族が院長代理として医業承継を支援する仲介業者とやりとりすることになります。診療所の経営に関わってきたご家族であればよいのですが、そうではない場合には往々にして下記のような問題が生じます。買い手側から提出を依頼された資料(財務データなど)が見つからないトップ面談ができないため、医師同士でしかわからない患者層や診療情報を買い手に伝えられず、買い手側は譲受の判断ができない売り手の院長の病状が悪く、意識がない場合などは契約を締結できない(契約締結後に意識が戻り、契約無効の主張をするケースがありうるため)過去には、このような状況であっても、買い手がリスクを負って譲渡が成立するケースもありました。ただし、リスクを負うため、譲渡対価は通常よりもはるかに安価になるケースがほとんどです。具体的には、2,000万円程度の譲渡額が見込める案件であっても500万円程度に設定する、といった価格感になってしまいます。こうしたリスクは気付きにくいものですが、「医業承継は早くから家族を巻き込んで準備すべき」とお勧めする理由の1つは、こんなところにもあるのです。

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第69回 コロナワクチン接種者の74%がブレークスルー感染!一体どんな状況だった?

現在、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の変異株であるデルタ株。従来の新型コロナウイルスの基本再生産数が1.4~3.5と言われるなか、米国疾患予防管理センター(CDC)がデルタ株に関しては水痘と同程度の5~9.5との内部資料を作成していたことが明らかになった。日本でも東京都をはじめとする首都圏を中心に過去最高を更新する感染者数の報告が続いているが、国立感染症研究所によると7月27日時点で新型コロナ陽性検体に占めるデルタ株の割合は関東地方で75%を占めると推定されている。現在、アメリカでもデルタ株による感染は急増中と伝わってきているが、そんな最中、ぎょっとする以下のようなニュースを目にした。多くの皆さんも目にしていると思われる。「米東部クラスター、ワクチン接種者が74% 当局分析 「重症化防ぐ」接種は推奨」(日本経済新聞)まず、記事から読める事実関係を箇条書きする。マサチューセッツ州バーンスタブル郡でクラスターが発生同郡では7月初旬、数千人の観光客が訪れた大規模イベントを開催報告された感染者は469人感染者のうち74%(346人)がワクチン接種を終えたブレークスルー感染ブレークスルー感染者346人のうち79%(274人)はせき、頭痛、のどの痛み、筋肉痛、熱といった通常のコロナ感染と同じ症状27日時点で死者はいないブレークスルー感染者346人の接種ワクチンはファイザー製が46%、モデルナ製が38%、J&J製が16%デルタ型に感染したワクチン接種者からは、未接種者と同等のウイルス量これらから、CDCは「ワクチン接種完了者も屋内でマスクを着用するよう推奨」をしたという。正直、私も一瞬は見出しにあった「74%」という数字の大きさにぎょっとした。そしてSNS上ではワクチン忌避者を中心に「それみたことか」とばかりにこの記事の引用が目についた。しかし、どうにもすっきりしない。そこで実際、CDCのホームページを訪れたら詳細な報告が掲載されていた。新たに分かった情報を以下に箇条書きで追記する。イベント開催は7月3~17日感染者133人から採取した検体の遺伝子解析ではデルタ株関連が89%入院者5人のうち4人はワクチン接種完了者ワクチン接種完了者の入院4人は20~70歳、うち2人は基礎疾患あり死亡例なしワクチン接種完了者127人、ワクチン未接種者・部分接種者・ワクチン接種状況不明者84人の各リアルタイムPCR(RT-PCR法)の Ct値(中央値)は22.77、21.54でほぼ同様感染者はバー、レストラン、ゲストハウス、レンタルホームなどで行われる屋内外の密集したイベントに参加症例の多くは男性(85%)で年齢中央値は40歳感染者の半数近い199人(42%)がバーンスタブル郡の町に居住ブレークスルー感染者のうち87%は男性で、年齢中央値は42歳ブレークスルー感染者346人の接種ワクチンはファイザー製が159人、モデルナ製が131人、J&J製が56人ブレークスルー感染者でのワクチン接種完了14日後以降から発症するまでの期間の中央値は86日(範囲:6~178日)ただ、そこはやはりCDCと言うべきか、この報告にはリミテーションが4つ記述されていた。 簡単に要約して記述すると(1)集団レベルでのワクチン接種率が上昇すればブレークスルー感染が新型コロナ感染者のより大きな割合を占めるようになる、(2)検出バイアスのために無症候性のブレークスルー感染が過小評価されている可能性がある、(3)成人男性を対象としたイベントで感染者の属性は一般的な市中感染の属性を反映していない、(4)RT-PCR法で得られたCt値はサンプル中に存在するウイルス量との粗い相関関係を示す可能性があり、ウイルス量以外の要因にも影響される可能性がある、というものだ。まず、私は(1)の要素は見逃せないと考える。今回、クラスターでの全感染者報告数の約4分の3(346人)がブレークスルー感染者という数字だけを見て驚いたのは私だけではないと思う。しかし、確かにワクチン接種が進むほど見かけ上のブレークスルー感染者数の絶対値が大きくなるのは確かだ。そこでこのブレークスルー感染がどの程度の頻度で起きるかだが、最近、イスラエルから報告された日本でのコミナティ筋注、すなわちファイザー製のワクチン接種完了14日後以降、PCR検査で追跡が可能だった医療従事者1,497例での研究からは、ブレークスルー感染(無症候を含む)発生率は2.6%と分かっている。もっともこの2.6%は、一般人よりも感染対策がソフィストケートされている医療従事者での数字あり、しかもアルファ株流行時のもの、さらにファイザー製に限定した結果という点は注意する必要がある。それでも仮としてこの確率を使うと、ワクチン接種完了者が100人ならばブレークスルー感染者は2~3人発生することになるが、1万人ならば260人。つまり母集団の規模によって評価は変わる。前述のように今回のマサチューセッツ州のクラスターではファイザー製ワクチン接種者でのブレークスルー感染者は159人で、ブレークスルー感染率2.6%を援用すれば、母集団のワクチン接種完了者が6,115人以上ならば何も問題はない数字である。では今回のクラスター事案は母集団がどれくらいになるかだが、前述のように全米から観光客だけで数千人が集まったことが明らかになっている。開催地のマサチューセッツ州バーンスタブル郡の人口は約21万6,000人だが、調べていくうちにこのイベントの開催地は人口約3,000人のプロビンスタウンと判明した。この町に全米から数千人が押し寄せたことになるわけで、ほぼ町全体を巻き込んだイベントだろうと考えられた。そこでまず数千人を5,000人と仮定し、ワクチン接種完了率をマサチューセッツ州の約70%、全米の約50%という数字を使って計算すると、ワクチン接種完了者はプロビンスタウン住民で2,100人、参加者で2,500人、合計4,600人となる。この数字から逆に今回のブレークスルー感染率を逆算すれば約10%となる。やや高めにも思えるが、一般人では医療従事者ほど日常的な感染対策が徹底されていない、基本再生産数から見るデルタ株の感染力が従来株の3倍弱、アルファ株との比較でデルタ株の感染力が約1.6倍と言われていること、J&J製はファイザー製やモデルナ製と比べ、有効率が低いことなどを考慮すればあり得ない数字ではない。もっともブレークスルー感染率が仮に10%だったとしても、その他大勢はワクチンによって守られていることになるし、入院以上を重症と考えた場合、今回のブレークスルー感染者での重症化率は1.2%という計算になり、一般的な新型コロナの重症化率の20%からはかなり低く、重症化予防効果は十分にある。ワクチン接種のメリットはまだまだ高いと言えるだろう。そんなこんなを考えながら、そもそもこのイベントとは何なのだという疑問が浮かんできた。答えはインターネット上の検索で容易に判明した。すでに前述した発生地の地名を見て気づいていた人もいるかもしれない。私は検索でようやく知ったのだが、プロビンスタウンは世界的にも有名なゲイ・タウンで同性婚も認められており、感染者多発の原因になったイベント自体がゲイ向けのもの。全米から駆け付ける参加者も例年は1万人超で、前述の数千人=5,000人という設定も過少かもしれない。過去の同様のイベント写真なども見つけたが、肩が触れ合うほど密集した場所で連日ダンスなどをして楽しむなど、誤解を恐れずに言えば三密・濃厚接触前提。ワクチン接種完了者全員が同一のブレークスルー感染率ならば、当然三密状態にある人はそうでない人に比べ、感染リスクは高まる。もっともCDCがリミテーションで指摘しているように無症候感染者が十分にカウントされていないため、そこまで補足すればさらにブレークスルー感染率は上昇するだろう。だが、いずれにせよこれまで指摘した諸条件から考えれば今回のクラスター発生そのものは特段不思議なものではないし、ワクチンの信頼性を低下させるようなものではないと考えられるだろう。

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第40回 5数要約と箱ひげ図とは?【統計のそこが知りたい!】

第40回 5数要約と箱ひげ図とは?箱ひげ図とは、下記の5つの統計量(5数要約)をグラフにしたもので、データに異常値があるときや集団の分布がわからないとき、集団の特徴を調べるために使われます。■箱ひげ図(Box-and-whisker plot)の描き方下表は、ある企業に勤務する社員の1ヵ月あたりに何回会議を行っているかを調べたアンケートの結果で、各種統計量を示しています。表を基に年代別の箱ひげ図を描いてみましょう。箱ひげ図統計量表●箱ひげ図の描き方1)データの最大値・最小値・第1四分位点・中央値・第3四分位点を調べる2)第1四分位点と第3四分位点を両端とする長方形を描く3)その長方形を中央値で分割するように仕切りを描く下記の通り、箱ひげ図を描くことによって、年代別の分布や特徴がよくわかります。■箱ひげ図に関する留意点統計における分析方法の中でも、比較的簡単にデータのバラツキを把握できるのが箱ひげ図の良いところです。また、上記のようにデータの集合体ごとに描くことで、各データのバラツキを調べることができます。このように箱ひげ図は簡単にデータのバラツキを可視化することができ、データの分布を確認する手法の1つとして活用されています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第6回 パーセンタイルと四分位範囲「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション2 量的データは平均値と中央値を計算せよセクション3 データのバラツキを調べる標準偏差

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初の軽症~中等症COVID-19の抗体カクテル療法「ロナプリーブ点滴静注セット300/1332」【下平博士のDIノート】第79回

初の軽症~中等症COVID-19の抗体カクテル療法「ロナプリーブ注射液セット300/1332」今回は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「カシリビマブ(遺伝子組み換え)/イムデビマブ(遺伝子組み換え)(商品名:ロナプリーブ注射液セット300/1332、製造販売元:中外製薬)」を紹介します。本剤は、2種類の中和抗体を組み合わせて投与する抗体カクテル療法であり、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害し、ウイルスの増殖を抑制すると考えられています。※本剤の販売名は、販売当初は「ロナプリーブ点滴静注セット300/1332」でしたが、2021年11月添付文書改訂による用法の変更に伴い、「ロナプリーブ注射液セット300/1332」と変更されました。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年7月19日に特例承認され、7月22日に発売されました。また、SARS-CoV-2による感染症の発症抑制の適応が2021年11月5日に追加されました。なお、本剤の適用は、臨床試験における経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者が対象となります。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、カシリビマブ(遺伝子組み換え)およびイムデビマブ(遺伝子組み換え)としてそれぞれ600mgを併用により単回点滴静注します。また、2021年11月の適応追加と同時に、単回皮下注射の用法が追加されました。臨床試験において、症状発現から8日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていないため、SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与する必要があります。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症(頻度不明)、infusion reaction(0.2%)が現れることがあります。上記が認められた場合には、投与速度の減速、投与中断または投与中止し、アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬を投与するなど適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察します。<患者さんへの指導例>1.本剤は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬です。1回の点滴で2種類の中和抗体を投与し、ウイルスの増殖を抑えます。2.過去に薬剤などで重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方は必ず事前に申し出てください。3.投与中または投与後に、発熱、悪寒、吐き気、不整脈、胸痛、脱力感、頭痛のほか、過敏症やアレルギーのような症状が現れた場合は、すぐに近くにいる医療者または医療機関に連絡してください。<Shimo's eyes>わが国ではこれまで、COVID-19治療薬としてレムデシビル(商品名:ベクルリー)、デキサメタゾン(同:デカドロン)、バリシチニブ(同:オルミエント)の3剤が承認されています。いずれも別の疾患で承認されていた薬剤が転用されたものであり、対象は重症患者に限られています。本剤は、国内で初めて軽症から中等症患者を対象とするCOVID-19治療薬です。2021年11月に「SARS-CoV-2による感染症の発症抑制」の適応が追加され、初の予防的治療薬となりました。患者との濃厚接触者や無症状陽性者に対して、静脈内投与および皮下投与で予防的に投与されます。ただし、COVID-19の予防の基本はワクチン接種であり、本剤はワクチンに置き換わるものではありません。COVID-19の原因となるSARS-CoV-2は、その表面に存在するスパイクタンパク質(Sタンパク質)が宿主細胞表面の酵素に結合することで宿主細胞に侵入し、感染に至ります。本剤は、このSタンパク質と宿主細胞表面の酵素との結合を阻害し、宿主細胞への侵入を阻害することでウイルスの増殖を抑制します。変異を繰り返すウイルスに対しては、抗体が1種類だけでは期待する効果が得られにくいことから、2種の抗体が組み合わされました(抗体カクテル療法)。本剤は、アルファ株(B.1.1.7系統)、ベータ株(B.1.351系統)、ガンマ株(P.1系統)、デルタ株(B.1.617.2系統)などのSタンパク質の主要変異にも中和活性を保持していることが示唆されています。投与対象者は「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者(軽症~中等症I)」とされています。厚生労働省の事務連絡により、当初は入院治療を要する患者に限られましたが、2021年8月より、対象が宿泊療養中の患者にも拡大されました。なお、臨床試験において、高流量酸素や人工呼吸器管理を要する患者では症状が悪化したという報告があり、重症患者は対象ではありません。《COVID-19の重症化リスク因子》65歳以上の高齢者悪性腫瘍慢性閉塞性肺疾患(COPD)慢性腎臓病2型糖尿病高血圧脂質異常症肥満(BMI30以上)喫煙固形臓器移植後の免疫不全妊娠後期引用:新型コロナウイルス感染症 診療の手引き第5.1版より海外の第III相試験では、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度93%(室内気)以上の患者が対象とされました。主要評価項目である入院または死亡に至った割合は、本剤群(736例)では1.0%、プラセボ群(748例)では3.2%であり、リスクが70.4%減少しました。症状消失までの期間短縮も示されています。なお、別の臨床試験では感染予防効果を示す報告もありますが、今回の適用は感染した患者への投与に限られています。薬剤調整時は、希釈前に約20分間室温に放置します。11.1mLバイアルには、2回投与分(1回5mL)の溶液が含まれ、1回分の溶液を抜き取った後のバイアルは、25℃以下の室温で最大16時間、または2~8℃で最大48時間保存可能で、最大保存期間を超えた場合は廃棄することとされています。新しいCOVID-19治療薬の登場により感染患者の重症化を防ぐことができ、ひいては医療機関の負担が軽減されることが期待されます。※2021年8月と11月、厚生労働省の情報などを基に、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ロナプリーブ注射液セット300/ロナプリーブ注射液セット1332

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