サイト内検索|page:5

検索結果 合計:5216件 表示位置:81 - 100

81.

新生児のフェニルケトン尿症に対応する治療薬発売/PTCセラピューティクス

 PTCセラピューティクスは、フェニルケトン尿症(PKU)の治療薬セピアプテリン(商品名:セピエンス)顆粒分包を2026年3月18日に発売した。 PKUは、まれに起こる先天性代謝異常疾患であり、フェニルアラニン(Phe)と呼ばれる必須アミノ酸を分解できないことが特徴で、神経学的症状やその他の症状を引き起こす。未治療や管理が不十分な状態が続き、Pheが体内に有害なレベルまで蓄積した結果、長年にわたり知的障害、痙攣発作、発達遅延、認知能力低下、行動および感情の問題など、重度かつ不可逆的な障害が生じる。現在、新生児ではスクリーニングで診断が行われており、世界中で約5万8,000人の患者が推定されている。 セピアプテリンは、フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)のきわめて重要な補酵素であるBH4の天然前駆体であり、その作用機序により、Phe濃度を効果的に低下させることで、幅広くPKU患者の治療ができることが期待されている。<製品概要>一般名:セピアプテリン販売名:セピエンス顆粒分包 250/1,000mg効能又は効果:フェニルケトン尿症効能又は効果に関連する注意:BH4欠損症に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない用法及び用量又は使用方法:通常、セピアプテリンとして、以下の用量(省略)を1日1回食後又は食事とともに経口投与する。なお、忍容性が認められない場合、6ヵ月以上2歳未満では1日7.5mg/kgまで、2歳以上では1日20mg/kgまでの範囲で適宜減量すること。承認日:2025年12月22日発売開始日:2026年3月18日薬価:セピエンス顆粒分包 250mg 1万6,989.4円/包セピエンス顆粒分包 1,000mg 6万7,957.1円/包製造販売元:PTCセラピューティクス株式会社

82.

研修生活が始まる前にこれだけはやっておけ!【研修医ケンスケのM6カレンダー】第11回

研修生活が始まる前にこれだけはやっておけ!さて、お待たせしました「研修医ケンスケのM6カレンダー」。この連載は、普段は初期臨床研修医として走り回っている私、杉田研介が月に1回配信しています。私が医学部6年生当時の1年間をどう過ごしていたのか、月ごとに振り返りながら、皆さんと医師国家試験までの1年をともに駆け抜ける、をテーマにお送りして参ります。早いもので、この連載も開始から1年が経とうとしています。執筆が毎月遅れてしまってすみません。今回は2月分と併せて2本一気に書いていきたいと思っています。1つ目は「国家試験が終わってから研修がスタートするまでに何を準備しておくか」、2つ目は「研修が始まるに当たって何を大切にしてほしいか」です。国試が終わり合格発表があって、自分は研修が始まるまでどんな思いで過ごしていたのかを懐かしみながら…そして今、2年間の初期臨床研修を終えて何をお伝えすべきか…ぜひ2本ともお楽しみください!医師国家試験、お疲れ様でした!(サクラ咲く!)本編をスタートさせる前に…遅くなりましたが、2月7日〜8日に行われた医師国家試験、大変お疲れ様でした。そして合格された方、誠におめでとうございます。みなさん試験はいかがだったでしょうか。難しかった、簡単だった、色んな話題で当日は賑わったことでしょう。私も当日速報を見ていたのですが、Aブロックの序盤にあった発作性上室性頻拍に関する問題は痺れましたね。出鼻にあの問題は今年は波乱の予感か…?なんて感じました。合格された皆さん、当日に十分にパフォーマンスを発揮できたことに加えて、これまで思うようにいかなかったこともあった数々の試験を乗り越えてきた結果です。改めておめでとうございます。今回惜しくも不合格であった方も、まずはお疲れ様でした。当日だけでなく、準備期間から色んなプレッシャーと対峙されてきたことでしょう。医師国家試験を受験できたこと自体、尊いことですし、今回の結果が全てではありません。医師国家試験も初期臨床研修も、キャリアの中の、人生の中の通過点の1つです。ぜひ次の1年を良い時間としていきましょう。「学生」という免罪符(研修医も色んなことができますけどね!?笑)さて、1本目のメインテーマは、初期臨床研修が始まるまでに何を準備するか?です。結論から申し上げると、とくに意識して何か準備しなくても大丈夫です。おすすめすることがないわけではないですが、何かを準備・予習するよりも重要なことがあると思います。それは「学生」という肩書きを使うことができる時間を有効に活用してほしい、ということです。「学生」とは実に強力なカードだと思います。一般的な話として、若者は、若者でいる、それだけで世間に大切にされやすい立場にあると思います。みなさんの中にも、実習や旅先で「学生なのですが…」と口にすると、興味を持ってもらえたり、奢ってもらえたり、時間を作っていただいた経験があるはずです。「学生なのですが…」が4月1日になった瞬間から使えないと思うと寂しく、そして今のうちに!と焦りさえ覚えたことを思い出します。3月31日の夜は憂鬱でしたね笑使う場面は問いませんが、普段なかなか会うことが難しい方へ会いたい、会うことを意識してみると、より充実した時間になると思います。大事にされる分、自分自身もバリューを出す努力をお忘れなく。ちなみに、「学生」ほどわかりやすくはないですが、「初期臨床研修医」「研修医」も大事にしていただけることが多いです。そして、何を隠そう、私はついに「初期臨床研修医」であるのもあと数日なのです!笑初期臨床研修が始まるまでに準備することというわけで、色んな意味で「学生」のうちにできることに時間と体力を注いでください、というメッセージがこの章で私が最も伝えたいことです。その前提で、敢えて準備するならということを申し上げます。まずオススメしたいことは「研修医になってから読む〜」というタイトルの本を1冊、臨床に寄せた本を1冊、臨床だけでなく働き方やキャリア戦略に寄せたものを1つ、それぞれ読んでみることです。『初期臨床研修医として働くこと』は学生とは立ち回りが色々異なります。医学を学ぶということ以外に「医療に携わる」、「診療行為を行う」、という側面もあれば、「社会人として働く」という医師のみでなく全ての新社会人に共通するような側面も出てきます。色んな意味で「初期」なので、悩みも多様になる研修医が多いわけです。ただ割と悩むポイントやぶつかる壁は様々ですが、例年決まっていて、それらを知り尽くした指導医の先生方が書かれた書籍や先輩の声は大変頼りになります。大いに悩んで、安全な範囲で失敗もして良いと思いますが、先輩方の軌跡から先取りする手段として書籍に手を伸ばしてみるのはいかがでしょうか。最後に(みなさんの能力が開花しますように!)いかがだったでしょうか。医師国家試験が終わってから旅行に、引っ越し、書類手続きなど、意外と休まる時間がないかと思います。人それぞれペースがあるので、自身の心地よいように時間を過ごしていただきたいですが、もし私があの3月に戻るなら「学生ですが…ちょっとお話いいですか?」と色んな大人に声をかけてみたいですね。いずれにしても、良い春休みを!

83.

急性低酸素性呼吸不全、高流量酸素療法vs.標準酸素療法/NEJM

 急性低酸素性呼吸不全において、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)は標準酸素療法と比較して28日死亡率を有意に低下しなかった。フランス・Centre Hospitalier Universitare de PoitiersのJean-Pierre Frat氏らが、同国42ヵ所のICUで実施した無作為化非盲検試験「SOHO試験」の結果を報告した。急性低酸素性呼吸不全患者において、標準的な酸素療法と比較したHFNCの気管挿管および死亡率に関するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2026年3月17日号掲載の報告。主要アウトカムは28日死亡率 研究グループは、急性低酸素性呼吸不全によりICUに入院した18歳以上の成人患者連続症例を、HFNC群または標準酸素療法群に無作為に割り付けた。適格基準は、呼吸数25回/分以上、胸部画像検査での肺浸潤影、10L/分以上の酸素投与下での動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入酸素濃度(FiO2)比200以下で、主な除外基準は動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)>45mmHg、慢性閉塞性肺疾患またはその他の慢性肺疾患の増悪、心原性肺水腫、抜管後または腹部・心臓胸部手術後7日以内の呼吸不全などであった。 HFNC群では、加温加湿器を介して50L/分以上、目標酸素飽和度92~96%で、48時間以上酸素を投与した。標準酸素療法群では、10L/分以上で酸素飽和度92~96%を目標に、48時間以上、回復または挿管まで継続した。 主要アウトカムは、無作為化後28日間の全死因死亡、主な副次アウトカムは無作為化後28日間の気管内挿管、無作為化から挿管までの期間、無作為化から28日間の人工呼吸器非使用日数などであった。28日死亡率は両群とも14.6%、副次アウトカムの28日挿管率は42.4%vs.48.4% 2021年1月~2024年10月に計1,116例が無作為化された。このうち、同意撤回5例を含む計6例を除く1,110例(HFNC群556例、標準酸素療法群554例)が解析に含まれた。 28日死亡率は、HFNC群14.6%(81/556例)、標準酸素療法群14.6%(81/554例)(群間差:-0.05%、95%信頼区間[CI]:-4.21~4.10、p=0.98)であった。 28日までの挿管率は、HFNC群42.4%(236/556例)、標準酸素療法群48.4%(268/554例)(群間差:-5.93%、95%CI:-11.78~-0.08)、無作為化から気管挿管までの期間の中央値はそれぞれ24時間(四分位範囲[IQR]:10~67時間)、23時間(IQR:10~47時間)(絶対群間差:0.4時間、95%CI:-6.8~6.5)、人工呼吸器非使用日数の中央値は28日(IQR:11~28日)、26日(IQR:10~28日)(絶対群間差:2.0日、95%CI:0.0~4.0)であった。 安全性については、自発呼吸中の重篤な有害事象(心停止または気胸)はHFNC群で13例(2.3%)(心停止3例、気胸10例)、標準酸素療法群で6例(1.1%)(それぞれ2例、4例)に発生した。 なお、著者は、COVID-19のパンデミック下でウイルス性肺炎患者の割合が高かったこと、挿管されなかった患者では順守状況のデータが前向きに収集されなかったことなどを研究の限界として挙げ、「今後の研究では、HFNCを対照群として、個別化された非侵襲的アプローチを含む呼吸補助戦略の評価が望まれる」とまとめている。

84.

第54回 愛犬は認知症を防ぐのか? 最新研究が解き明かす「ペットと飼い主の脳」の奥深い関係

皆さんは、犬や猫などのペットを飼っていますか? 私自身、愛犬「チャイ」と毎日を過ごしており、その存在に癒やされたり手を焼いたりしています。もちろん、自分の健康のためにチャイを飼い始めたわけではありませんが、このチャイと一緒に散歩に行ったり、世話をしたりするこの時間は、はたして私の将来の脳の健康、とりわけ認知症の予防に役立っているのでしょうか? そんなことが気になった私は、これを本格的に調査して、論文として報告することにしたわけです。そんなわけで今回は、私が責任著者を務め、今月米国医学誌The American Journal of Medicine誌に発表された最新の論文をもとに、この身近な疑問について解説します1)。この研究は、ペット飼育と認知症発症リスクの関連を調べた過去の複数の研究を統合して分析する「システマティックレビュー」という手法を用いています。犬を飼うだけではダメ? データが示す「飼育」と「行動」の深い関係今回の研究では、認知症を発症していない成人を追跡調査した6つの観察研究を分析しました。その結果、ペットを飼うことが認知症の発症を予防するかどうかについては、対象となった研究によって結果が分かれることが明らかになりました。たとえば、1万人を超える日本の高齢者を対象とした研究では、現在犬を飼っている人は、過去に飼っていた人や一度も飼ったことがない人に比べて、認知症を発症するリスクが顕著に低いことと相関することが示されました。さらに興味深いことに、犬を飼っていて「散歩などで定期的な運動習慣がある人」や、「社会的に孤立していない人」において、その影響がより強く現れることがわかっています。一方で、アメリカの健康・退職者調査を用いた研究では、ペットの世話をすること自体は、認知機能低下の独立した予防因子にはならない可能性が報告されています。これらのデータを統合すると、単に「ペットを所有している」という事実よりも、犬の散歩による身体活動や、ペットを通じた社会とのつながりといった「ペットと関連する行動」が、認知機能の維持において重要である可能性が示唆されます。著者の足元で眠るチャイ(著者撮影)認知機能の低下を緩やかにする「ペットの種類」とはさらに、ペットの種類によっても認知機能への影響が異なる可能性が見えてきました。ヨーロッパで行われた大規模な調査や米国の研究では、犬や猫を飼っていること、とくに犬の散歩を習慣にしていることは、記憶力や実行機能、処理速度といった認知機能の加齢に伴う低下を遅らせることと関連していました。これは、もし因果関係があるとすれば、動物との触れ合いがストレス反応を軽減し、記憶を司る脳の領域(海馬)の機能を保護する可能性や、日々の世話や散歩が自然な身体活動を促し、脳の予備能を高めるためだと考えられます。しかし注意が必要なのは、すべてのペットが良い影響を与えるとは限らない点です。同研究において、鳥の飼育は言語流暢性や遅延再生(記憶力)の悪化と関連していました。また、中国の研究において「家畜・ペット」として一括りにされたグループでは、認知機能障害のリスクが高いという結果も見られています。これは、農村部における家畜の世話が、都市部で飼われる「ペット」とは異なる身体的・環境的負荷をもたらすためと推測されます。私たちの生活にどう活かすべきか?では、私たちはこの研究結果をどう解釈し、日々の生活に活かせばよいのでしょうか。現時点で知っておくべきポイントは以下のとおりです。まず一点目に、「認知症予防のために」と無理にペットを飼うにはデータが不十分であるということです。 今回の研究データは観察研究に基づくものであり、バイアスのリスクが高いものです。また、「認知機能が落ちてきたからペットを飼えなくなった(手放した)」という、逆の因果関係が隠れている可能性が排除できません。このため、医療者が予防目的のみでペット飼育を推奨することは現段階では不適切だと結論付けました。もう一点は、もしそのような効果が本当にあるとしたら、「飼育」自体より「一緒に何をするか」が鍵なのかもしれないということです。すでにペットとの生活を楽しんでおり、安全に世話をする能力がある方にとっては、愛犬との毎日の屋外での散歩や、ペットを通じた近所付き合いを積極的に続けることが、脳の健康を保つための助けになることは間違いないでしょう。私自身、愛犬チャイとの日々の散歩は、単に「犬のお世話」だとしか思っていませんでしたが、今回のデータを見つめ直すと、チャイと一緒に歩くその時間は、私自身の数十年後の脳の健康への投資になっているのかもしれません。そう思うと、少し億劫な雨や雪の日の散歩も、少し足取りが軽くなりそうです。1)Minami K, Fukuzawa F, Kobayashi T, et al. Association Between Pet Ownership and Incident Dementia: A Systematic Review. Am J Med. 2026 Mar 19. [Epub ahead of print]

85.

BMIが低下するとがんのリスクも減少するか

 体重の増加は複数のがんの危険因子であるが、非外科的な減量はがんリスクに影響を及ぼすのだろうか。このテーマについて、米国クリーブランド・クリニック量的代謝研究センターのKenda Alkwatli氏らの研究グループは、BMI値30以上の米国人約14万人の健康記録を用いて、BMIの変化が肥満関連がんおよびその他のがんの診断リスクと関連しているかどうかを評価した。Obesity誌2026年オンライン版3月10日号に掲載。BMI値30以上の約14万人の調査から判明 研究では、2000~22年における米国の統合医療システムの電子健康記録から、BMI値30以上の成人14万3,630例を対象に後ろ向き観察研究を実施した。新規がん症例をマッチングした対照群と比較し、ロジスティック回帰モデルを用いて、3年、5年、10年の各期間におけるBMI変化と、肥満関連がんおよびその他のがんの診断リスクとの関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・14万3,630例のうち、7,703例の症例群と13万5,927例の対照群が特定された。・BMIの1%低下は、3年(オッズ比[OR]:0.990、95%信頼区間[CI]:0.984~0.996、p<0.001)、5年(OR:0.989、95%CI:0.984~0.995、p<0.001)の期間において、肥満関連がんの発症リスクが低いことと関連した。・他のがん種の多くでも、複数の観察期間において発症リスクが低いこととの関連が認められた。 以上の結果から研究グループは、「実生活における体重減少は、肥満関連がんおよびその他のがんのリスク低下と関連している」と結論付けている。

86.

双極症患者の心理社会的機能回復を阻害している症状は?

 閾値下うつ症状は、双極症患者の機能回復を著しく阻害することが知られている。これまでの多くの研究では、これらの症状が機能に与える影響を評価するために全体的スコアが用いられてきた。スペイン・サン・パウ病院のC. M. Bonnin氏らは、寛解期双極症患者において、どの閾値下うつ症状が最も機能回復を阻害するのかを検証するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2026年2月14日号の報告。 対象は、双極症患者413例。17項目からなるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いて閾値下うつ症状を評価し、機能評価簡易検査(FAST)を用いて心理社会的機能を測定した。HAM-Dの項目に加え、機能障害に関連するその他の臨床的および人口統計学的変数を同定するために、二変量解析を行った。二変量解析において有意な関連を示した変数を用いて、多変量線形回帰分析を実施した。主な結果は以下のとおり。・FAST合計スコアの線形回帰モデルでは、「精神運動遅滞」(項目8)が心理社会的機能と最も強い関連を示し(β=6.9、p<0.001)、次いで「罪悪感」(項目2)(β=5.75、p<0.001)、「仕事と活動」(項目7)(β=5.38、p<0.001)、「身体不安」(項目11)(β=3.45、p<0.001)が続いた。・その他の有意な臨床変数は、抗精神病薬の使用、高齢、教育歴の少なさ、男性などであった。・このモデルは、FAST合計スコアの分散の39.6%を説明した(R2=0.396、調整R2=0.375、F(399.13)=20.04、p<0.001)。 著者らは「精神運動遅滞、アパシー、罪悪感、身体不安といった特定の閾値下症状は、心理社会的機能に有意な影響を及ぼすことが示唆された。本知見は、患者が臨床的に安定している場合であっても、機能回復の達成には、これらの症状を具体的に標的とすることの重要性を強調している」としている。

87.

重度外傷患者への搬送時輸血、全血vs.成分輸血/NEJM

 生命を脅かす外傷性出血が認められる患者において、病院到着前の2単位の全血輸血は標準治療の成分輸血と比べて、24時間以内の死亡または大量輸血のリスク低下に関する優越性は示されなかったことが、英国・Royal Centre for Defence MedicineのJason E. Smith氏らSWiFT Trial Groupによる大規模臨床試験で示された。安全性プロファイルも両者で類似していた。重度の出血の管理は、近年では全血輸血が支持を得ているが、臨床的有効性および安全性を大規模臨床試験で評価したデータは不足していた。NEJM誌オンライン版2026年3月17日号掲載の報告。無作為化後24時間以内の全死因死亡または大量輸血を評価 研究グループは、イングランドにある10ヵ所の航空救急サービス(医師およびコメディカル臨床チームで構成)で、プラグマティックな第III相多施設共同非盲検無作為化優越性試験を行った。重度の外傷性出血を起こし、参加施設の航空救急サービスによって病院に搬送された患者は、病院到着前に全血輸血(最大2単位)を受ける群または標準治療(赤血球および血漿をそれぞれ最大2単位)を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、無作為化後24時間以内の全死因死亡または大量輸血(血液成分または製剤輸血を10単位以上)の複合とした。評価項目イベントは全血輸血群48.7%、標準治療群47.7% 2022年12月~2024年9月に942例が無作為化された。非外傷性出血または外傷性心停止の患者を除外し、主要解析の対象は修正ITT解析集団のうち、データが利用可能であった616例とした(全血輸血群314例、標準治療群302例)。被験者のベースライン特性は両群でバランスが取れ、大半が男性(75.5%)で、大部分が鈍的外傷(71.3%)であり、英国における重度外傷患者集団をおおむね代表する特徴を有していた。年齢中央値は全血輸血群38歳(四分位範囲:25~58)、標準治療群35歳(24~57)。 主要アウトカムのイベントは、全血輸血群48.7%、標準治療群47.7%で報告された(相対リスク:1.02、95%信頼区間:0.80~1.31、p=0.84)。 すべての評価時点(無作為化後6時間、24時間、30日後、90日後)の全死因死亡、また大量輸血およびその他の副次アウトカムの発現も両群で同程度にみられた。 プロトロンビン時間が正常範囲を超えていたのは、全血輸血群40.7%、標準治療群30.5%であった。重篤な有害事象の発現は、標準治療群(37例)が全血輸血群(31例)よりも多かった。血栓性イベントの発現は、両群で同程度であった。

89.

COPDの2年以内の呼吸器関連入院リスクを予測するモデルを開発/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理では、重症増悪や入院のリスクが最も高い患者を特定して医療資源を集中的に投入するとともに、リスクの層別化に基づく管理の必要性が指摘されている。また、国際的なガイドラインは、プライマリケア医が使用できる正確かつ実用的な予後スコアの必要性を強く主張している。英国・バーミンガム大学のRachel E. Jordan氏らは、COPD患者における、2年以内の呼吸器関連の入院のリスクを予測するための予後スコア(BLISSスコア)を開発し、その有効性を検証した。研究の成果は、BMJ誌2026年3月5日号に掲載された。外的妥当性を2つのコホートで検証 予測モデル(BLISSスコア)の開発と内的妥当性の検証には、プライマリケアにおける新規および既存のCOPD患者から成るBirmingham Lung Improvement Studies(BLISS)コホート(最終的なモデル構築の対象は1,894例、このうち253例[13.4%]が入院)のデータを用いた。 また、外的妥当性の検証には次の2つのコホートのデータを使用した。(1)Evaluation of COPD Longitudinally to Identify Predictive Surrogate Endpoints(ECLIPSE)の国際的コホート(中等症~最重症COPD患者1,749例、このうち419例[24.0%]が入院)、(2)Hospital Episode Statisticsと関連付けた英国のプライマリケアのClinical Practice Research Datalink(CPRD)Aurumデータベースに登録されたコホート(COPD患者2万7,340例、このうち3,922例[14.3%]が入院)。 主要アウトカムは、コホート登録から2年以内の急性の呼吸器関連疾患による1回以上の入院、および入院を要するCOPDの重度増悪とした。23の予測因子候補(人口統計学的因子4項目、COPD特異的リスク因子7項目、その他のリスク因子12項目)から適切な因子を選出して予測モデルを開発した。6つの因子から成る予測スコアを確立 2年以内の呼吸器関連入院のリスクを推定するためのBLISSスコアを構成する項目として、23の候補の中から6つの予測因子(年齢、COPDアセスメントテスト[CAT]スコア、過去12ヵ月間の呼吸器関連入院の有無、BMI、糖尿病、対標準1秒量[%FEV1])を採用した。 BLISSスコアは、内的妥当性(過剰適合[overfitting]による増分[optimism]を補正済みのC統計量0.73、95%信頼区間[CI]:0.70~0.77)および外的妥当性(ECLIPSE[C=0.73、95%CI:0.71~0.76]、CPRD[C=0.71、95%CI:0.70~0.72])において同程度の識別性能(discrimination performance)を示した。 また、このスコアの較正性能(calibration performance)は、BLISS(較正勾配[calibration slope]=0.87、95%CI:0.73~1.02)、CPRD(0.89、95%CI:0.85~0.93)、ECLIPSE(0.92、95%CI:0.79~1.05)の各コホートのいずれにおいても良好であった。他のスコアに比べ性能が優れる CPRDコホートにおける層別解析では、異なる集団のサブグループにおいても、BLISSスコアの頑健性が示された。さらに、net benefit分析(臨床的効用性)では、ECLIPSEコホートにおけるBLISSスコアは、Bertensスコア(重度増悪の予測)(C=0.68[95%CI:0.65~0.71]、較正勾配:0.68[95%CI:0.56~0.81])に対する優越性が示された。 著者は、「BLISSスコアは、異なる医療環境や地理的地域に属し、COPDの重症度も異なる患者を含むコホートにおいて、2年以内の呼吸器関連の入院リスクを個別に推定するうえで良好な性能を示した」「採用した6つの変数のうち、4つはプライマリケアの診療記録から容易に入手可能であり、残りの2つは部分的にしか入手できないものの収集は簡単である」「これは、入院リスクを予測するために最も精密な手法で開発された予後スコアであり、プライマリケアの現場におけるCOPD患者に広く適用可能である」としている。

90.

サシツズマブ ゴビテカン、HR+HER2-乳がんの適応追加/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2026年3月23日、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)サシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)について、「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」に対する適応追加承認を取得したことを発表した。 本承認は、CDK4/6阻害薬、内分泌療法およびタキサン系抗悪性腫瘍薬による治療歴を有し、化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性(HR+/HER2-)の手術不能な局所進行または転移・再発乳がんを対象に海外で実施された第III相TROPiCS-02試験および、国内第I/II相ASCENT-J02試験の第II相パートであるHR+/HER2の手術不能または再発乳がんコホートの結果に基づく。 TROPiCS-02試験では、主要評価項目であるITT集団における無増悪生存期間、および副次評価項目のITT集団における全生存期間について、サシツズマブ ゴビテカンは医師選択治療に対して統計学的に有意な延長を示した。また、ASCENT-J02試験における奏効率は、TROPiCS-02試験における奏効率と同程度であった。<電子化された添付文書情報の抜粋> ※下線は変更箇所商品名:トロデルビ点滴静注用200mg一般名:サシツズマブ ゴビテカン効能又は効果:化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌用法及び用量:通常、成人には、サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を、21日間を1サイクルとし、各サイクルの1日目及び8日目に点滴静注する。投与時間は3時間とし、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降は1~2時間に短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。※その他、「効能又は効果に関連する注意」および「副作用」について、今回の適応追加に伴う更新が行われている。

91.

65歳を過ぎてからの予防でも遅くはない! Lancetの14の危険因子を読み解く(その2)【外来で役立つ!認知症Topics】第39回

前回に続き、今回もLancet誌が掲げる認知症の修正可能な危険因子(リスクファクター)を扱う1)。当初は、前回解説した「難聴」と「高LDLコレステロール(LDL-C)」以外の12因子について個々に述べる予定であったが、その前に筆者自身、見落としがあると反省している。改めて注意喚起すべきは、これらはあくまで「認知症」の危険因子であって、必ずしも「アルツハイマー病(AD)」のみを指すものではないことだ。認知症の危険因子は70以上に及ぶとよく言われるが、示された14の危険因子がすべての認知症原因疾患(AD、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、その他)に当てはまるとは考え難い。一方で世界的に見ても、認知症の3分の2はADが占める。だから実際には、広く認知症全般に対する危険因子を論じているはずが、無意識に「ADの危険因子」として捉えてしまいがちだ。実際に、関係論文を読み込んでみても、こうした分野の知見の大部分はADに関するものであり、それ以外では血管性認知症とレビー小体型認知症に関するものがわずかにあるに過ぎない。たとえば血管性認知症については高血圧と糖尿病などが該当し、レビー小体型認知症なら大気汚染のPM2.5だろうか。いずれにせよ、認知症の危険因子を語るうえでは、ADに関わるものが主体になっている。こうした背景を踏まえ、危険因子とその対策を考えるうえで、基本でありながら見失いがちな「3つの視点」を整理しておきたい。ライフステージに沿った病理の段階を理解するまずLancetによる報告の1つの特徴は、危険因子を年代別に分けていることである。筆者は、これが「若年期・中年期・老年期」の3段階に分けられているのは、ADの発症から進行という病理の段階に沿って危険因子を説明したいからではないかと思う。その段階とは、「発病以前・発病の芽生え・発病前夜」である。1)若年期(発病以前):若年期の教育が、脳の神経回路や「認知予備能」という脳の骨格を作る。つまり大脳の基礎力がこの時期に形成されるわけだ。そして後年、これを維持し育てていくことが予防につながると考えればいいだろう。2)中年期(発病の芽生え):中年期は脳内でアミロイドの沈着が始まるという意味で、AD脳の芽生えの時期だと考えられる。この時期の危険因子では、通称「悪玉コレステロール」のLDL-Cや難聴、糖尿病などの疾病や障害が主体である。これらは中年期に発症しやすくAD病理の悪化を促進させるため、この時期に「悪の芽」を摘んでおくことが重要だ。3)老年期(発症前夜):老年期の危険因子である孤独や大気汚染、視力低下などは、発症の準備がほぼ整ったステージにおける「とどめの一押し」になりうる。これら3つの危険因子は、いずれもアミロイド仮説との直接的な関係は薄いかもしれないが、むしろ脳の衰弱ぶりを露呈させてしまう「最後の悪役」とみなすべきだろう。こうした要因はこれら3つに限らない。たとえば、せん妄や大腿骨頸部骨折、さらに入院など生活の場の変化といった要因もまた、認知症発症のとどめの一押しだったと経験された読者も多いだろう。画像を拡大する「疾患・障害」と「生活・環境」に分けて考える14の危険因子は、大きく2つのグループに分類できる。一つは、「疾患・障害リスク」である。糖尿病やLDL-Cが代表的で、これらは従来のアミロイド仮説を軸に、そこから派生した慢性炎症や抗酸化、また血管脳関門の観点から説明しやすい。もう一つは、「生活・環境リスク」だ。アミロイド仮説では説明し難いものである。上記の「教育」のように、若年期に基礎が作られた脳内ネットワーク・認知予備能といった別の考え方で説明される傾向がある。このように分類する理由を、次のように換言することもできるだろう。つまり前者の危険因子に注目することで、ADという病気の進行プロセスをくい止めようという表街道の予防法があることがわかる。また後者へ注目すれば、健常な神経細胞を増やす、あるいは減少させないという狙いの予防法もあるとわかる。前者が表街道なら、後者は側面からの援護射撃と例えられるだろう。65歳を過ぎてからの「予防」の留意点以上を踏まえて、65歳以上で現在は認知症ではない人を想定して、危険因子と予防を説明する際の留意点を述べたい。まず伝えたいのは、「若年期・中年期の危険因子は、老年期に入ったら無関係になるわけではない」ということだ。たとえば、若い頃の教育が不十分だったとしても、「生涯学習」の言葉どおり、人生を通して学び続ける姿勢は脳の維持につながるはずだ。この考え方は、中年期の危険因子の大半、とくに糖尿病や高血圧といった生活習慣病の管理にも当てはまる。一方で、こうした「老年期からの予防でも遅くはない」という考え方では難しい危険因子もある。その代表は「頭部外傷」だろう。というのは、過去の頭部外傷がもたらした脳へのダメージを癒したり進行を阻止させたりする確たる方法は、今のところなさそうだからである。実際、これまで調べた範囲では、頭部外傷という危険因子への対応の多くは、これからの転倒・転落を防ぐための方法であった。再発防止がポイントという意味で、「うつ病」への対応もそれに似ているかもしれない。最後に、老年期特有の因子として、「孤独」「大気汚染」「視力低下」がある。具体的には次回述べるが、これらは上記の「過去の蓄積」の危険因子とは異なり、「今現在の問題」である。実際の対応がそう容易だとも思われないが、これらへの備えを一念発起して始めるのに遅すぎるということはない。今からでも着手できるという意味で、最も重要かもしれない。1)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404:572-628.

92.

発熱・感染徴候のない好中球減少症【日常診療アップグレード】第52回

発熱・感染徴候のない好中球減少症問題72歳女性。6日前、尿路感染症に対してトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を3日間内服した。全身状態は良好で新たな症状はない。既往歴は鉄欠乏性貧血、高血圧である。内服薬はカンデサルタンのみ。身体診察では、バイタルサインは正常である。その他の所見に異常はない。貧血の経過観察のため、全血球計算(CBC)を実施したところ、白血球減少を認め、WBC 3,000/μL、好中球数 900/μLであった。6日前のCBCでは異常がなかった。原因検索を目的に骨髄穿刺を施行した。

93.

第287回 医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省

<先週の動き> 1.医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省 2.はしか患者100人超、若年層中心に増加、感染拡大に警戒/厚労省 3.移植医療を集約化と体制強化、報酬を4倍加算、逼迫した現場を支援/厚労省 4.「新たな地域医療構想」機能選択で病院の再編・集約本格化/厚労省 5.2027年度専攻医シーリング決定、偏在是正へ都道府県連携強化/厚労省 6.薬剤アレルギー既往見落としで死亡事故が発生、市民病院を提訴/愛知県 1.医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省厚生労働省は2026年3月16日、第120回医師国家試験の合格者を発表した。受験者9,980人のうち合格者は9,139人で、合格率は91.6%と前回から0.7ポイント低下した。合格者数は前年より347人減少し、とりわけ新卒合格者は8,716人(合格率94.7%)と313人減少となり、3年ぶりに9,000人を下回った。医師供給動向に変化が生じている可能性が示唆される。試験は2026年2月に実施され、合格基準は必修問題で200点満点中160点以上、一般・臨床問題で300点満点中224点以上、禁忌肢3問以下とされた。近年と同様の基準であるが、合格率の微減と新卒者数の減少が今回の特徴となっている。大学別では、自治医科大学が新卒・既卒ともに合格率100%を達成したほか、北海道大学、京都大学も新卒で100%を記録した。平均合格率は国立93.0%、公立93.5%、私立92.5%と大きな差はないものの、既卒者を含むその他区分では54.8%と低水準にとどまった。男女別では女性92.4%、男性91.1%と女性が上回った。合格者数はコロナ禍以降、回復傾向にあったが、今回の減少は医学生数の変動や受験動向の影響が考えられる。医師偏在や地域医療構想の議論が進む中、今後の医師供給の量と質のバランスが一層重要となる。とくに新卒者数の減少は初期研修医確保にも影響を与える可能性があり、今後もこの傾向が続けば、各医療機関や自治体にとっても注視すべき事態となる。 参考 1)第120回医師国家試験の合格発表について(厚労省) 2)第120回医師国家試験の学校別合格者状況(同) 3)第120回医師国家試験合格者の状況(大学別合格者数)-9,139人が合格、合格率は91.6%(医事新報) 4)医師国家試験、合格率91.6%-新卒合格者は3年ぶりに9千人下回る(CB news) 5)2026年医師国家試験大学別合格率…合格率100%は自治医科大学(リセマム) 2.はしか患者100人超、若年層中心に増加、感染拡大に警戒/厚労省国内の麻疹(はしか)報告数が増加し、厚生労働省は注意喚起を強めている。2026年第9週までの累計報告数は87例、第10週時点では100例に達し、新型コロナ禍以降で最多となった。前年同期の22例を大きく上回る水準で、感染拡大の兆しがみられる。近年、わが国では土着株による感染は確認されておらず、2015年には世界保健機関(WHO)から排除状態と認定されている。現在の流行は、海外から持ち込まれたウイルスを起点に、国内で2次感染が広がる構図となっている。事例として、愛知県の高校での集団感染をはじめ、各地で散発的な発生が報告されており、都市部を中心に感染が拡大している。患者の約7割は10~30代で、ワクチン接種歴の不十分な層の影響が示唆されている。麻疹は空気感染を起こす極めて感染力の高い疾患であり、同一空間にいるだけで感染する可能性がある。発熱、咳、鼻水に続き発疹を呈し、重症例では脳炎を合併するリスクもある。その一方で、予防の柱であるMRワクチンの接種率は低下傾向にある。2024年度の接種率は1期92.7%、2期91.0%と、目標の95%を下回った。コロナ禍以降の接種控えが影響しているとみられ、集団免疫の維持に懸念が生じている。厚労省は、渡航前の接種歴確認や帰国後の健康観察を呼びかけるとともに、疑わしい症状がある場合は事前連絡のうえ医療機関を受診するよう求めている。感染再拡大を防ぐには、早期診断とワクチン接種率の回復が急務である。 参考 1)麻疹報告数、コロナ禍以降最多 厚労省が注意喚起(MEDIFAX) 2)はしか患者数、2026年累計100人に 25年同期22人を上回る(日経新聞) 3)感染症発生動向調査週報 2026年第9週第9号(国立健康危機管理研究機構) 3.移植医療を集約化と体制強化、報酬を4倍加算、逼迫した現場を支援/厚労省厚生労働省は、脳死下臓器提供の増加を背景に、移植医療の集約化と体制強化に舵を切った。今回の診療報酬改定で、多くの移植手術を担う施設を「拠点病院」として位置付け、人的・設備面の支援を検討する方針を打ち出している。臓器提供数は近年増加し、2025年には150例を超えたが、心臓や肺、肝臓など複数臓器の同時対応が求められるため、実施可能な施設は一部大学病院に限られている。その一方で、突発的な手術対応により手術室や看護師の確保が困難となり、受け入れ断念例も生じている。こうした現場の逼迫は深刻で、東京大学病院では移植件数が年間100例を超える中、ICUベッドに余裕があっても人員不足で受け入れられない状況や、病院経営への負担が指摘されている。実際、移植医療は従来、手術準備や人員確保のコストが大きく、病院側の持ち出しが問題となっていた。このため2026年度診療報酬改定では、臓器移植実施体制確保加算が新設され、手術料の実質4倍相当の評価が行われる。大学病院の試算では、従来は肺移植1例当たり約400万円の赤字だったが、新加算によりほぼ解消可能とされる。また、ドナーコーディネーターの業務も評価対象とし、院内での同意取得体制強化を促す。背景には、体制不足により移植を受けられなかった患者が2024年に延べ662人に上った現状がある。国立大学病院全体でも今回の改定により年間443億円の増収が見込まれ、赤字解消に寄与すると評価されている。しかし、紹介・逆紹介要件の厳格化による減収も予測され、経営改善には引き続き対応が求められる。移植医療は高度化・集約化が不可避な領域であり、今後は拠点化と財政支援を軸に、持続可能な提供体制の構築が問われる局面に入ったと言える。 参考 1)臓器移植支援へ一部病院を拠点化 厚労省、東大病院「経営苦しく」(朝日新聞) 2)脳死者の臓器移植に診療報酬加算へ…ドナーコーディネーターの働きも評価、報酬を手厚く(読売新聞) 3)国立大学病院長会議 26年度診療報酬改定年間443億円増収で赤字解消へ 外科医療確保や臓器移植加算を評価(ミクスオンライン) 4.「新たな地域医療構想」機能選択で病院の再編・集約本格化/厚労省厚生労働省は、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」のとりまとめ案を示し、2028年度末までに各医療機関の「主たる機能」を明確化する方針を打ち出した。従来の病床機能報告に加え、新たに医療機関機能報告を導入し、各病院が担う役割を整理することで、再編・集約化と病床削減を一層進める構えである。新構想では、「医療機関の機能を急性期拠点」「高齢者救急・地域急性期」「在宅医療等連携」「専門等機能」の4区分に整理し、各施設が2040年に向けて担う機能を選択・報告する。複数機能の併存は認めつつも、急性期拠点については手術件数や救急対応などの実績要件を設け、実質的に高度急性期病院の集約を図る。人口20~30万人に1施設程度とする考え方が示され、全国では400~600施設に集約される見通しである。また、人口減少地域では構想区域の広域化を求め、より広い圏域で医療資源を維持する方向性も示された。その一方で、急性期以外の救急医療や夜間手術機能についても集約が検討されており、地域によってはアクセス低下への懸念が指摘されている。病床数の算定では、在宅医療の強化や早期リハビリによる在院日数短縮、医療DXによる効率化を前提に必要病床数を低く見積もる仕組みが採用される。急性期病床の稼働率も78%から84%へ引き上げられ、将来的な病床削減圧力が強まる見通しである。さらに、リハビリテーションでは、入院から在宅までの連続的な提供体制を支える「地域インフラ」として位置付けられ、栄養管理や口腔ケアとの一体的な取り組みも明記された。2026年10月からの機能報告を経て、各都道府県が調整を行い、医療機関ごとの役割分担が具体化する。医療提供体制の再構築が本格化する中、地域医療への影響が注視される。 参考 1)新たな地域医療構想に関するとりまとめ(厚労省) 2)新たな地域医療構想とりまとめ案 28年度末までに病院の「主な機能」を決定(保団連) 3)「新たな地域医療構想」とりまとめを了承、リハビリテーションは「地域のインフラ」へ(PT-OT-ST.NET) 5.2027年度専攻医シーリング決定、偏在是正へ都道府県連携強化/厚労省厚生労働省は、2026年3月18日に開催した「医道審議会医師専門研修部会」で、2027年度に専門研修を開始する専攻医の採用上限、いわゆるシーリング数案を了承した。新たに加算対象となった都道府県診療科から提出された指導医派遣実績を踏まえ、日本専門医機構が算定したもので、委員から大きな異論は出なかった。今後、6月下旬以降に都道府県へプログラム情報を提供し、各都道府県知事の意見や厚生労働大臣の要請を反映した修正を経て、11月の募集開始を予定している。今回のシーリングでは、最新の必要医師数と足下の医師数を用いて対象都道府県を設定し、特別地域連携プログラムと都道府県限定の連携プログラムを統合した点に特徴がある。特別地域連携プログラムの受け入れ可能数は全領域で採用上限を上回り、地域偏在是正に向けた受け皿整備は一定程度進んだ。その一方で、通常プログラム加算は実績に応じて付与されるが、加算上限を下回る領域もあり、制度運用はなお調整段階にある。あわせて部会では、2040年を見据えた医療需要の変化に対応する専門医養成も論点となった。85歳以上人口の増加、高齢者救急の拡大、生産年齢人口の減少を踏まえ、各基本領域学会に対し、将来重要となる疾患や患者像、専門医制度上の課題を尋ねるアンケート調査を実施する方針が示された。専攻医以降のキャリアチェンジやリカレント教育の必要性も指摘された。さらに、医師偏在対策では都道府県、大学医学部、大学病院の連携強化が不可欠とされた。地域枠、広域連携型臨床研修、専門研修連携プログラム、総合診療医育成などを医師確保計画に明確に位置付け、地域定着を後押しする方向で議論が進む。専攻医シーリングは、単なる採用枠調整にとどまらず、地域医療を支える医師養成全体を再設計する局面に入った。 参考 1)令和7年度第5回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省) 2)2027年度の専攻医シーリング数が決定、募集開始に向けた調整進む(日経メディカル) 3)医師偏在是正策の強化に向け「都道府県・大学医学部・大学病院の連携」をこれまで以上に強化せよ-医師偏在対策検討会(Gem Med) 6.薬剤アレルギー既往見落としで死亡事故が発生、市民病院を提訴/愛知県愛知県の西尾市民病院で診療を受けた70代女性が、薬剤アレルギー既往のある薬を処方・服用後に死亡したとして、遺族が市と調剤薬局を相手取り約2,541万円の損害賠償を求め提訴した。訴状によれば、女性は2025年2月に受診し、処方箋を受け取り、院外薬局で調剤された薬剤を服用後、約41日後に死亡した。遺族側では、医療機関はアレルギー既往歴を把握可能であったにもかかわらず看過したと主張している。その一方で、市側はアレルギー薬剤の処方自体は認めつつも、死亡との因果関係には争いがあるとしている。この事件は単なる確認漏れが原因ではなく、電子カルテおよびオーダリングシステムにおけるアレルギー情報の管理・共有体制が問題の根幹にある。日本医療機能評価機構は、医療安全情報の分析レポートで、アレルギー情報が「登録されているが参照されない」「画面上で視認性が低い」「更新が不十分」といった要因により、処方時に活用されない事例が発生していることを繰り返し指摘している。また、院内で把握されていた情報が院外薬局に十分伝達されないケースや、薬局側での最終確認が機能しなかった事例も報告されている。院外処方が一般化してから、医療機関と薬局の間の情報連携不足は構造的リスクとなっており、患者申告に依存した運用には限界がある。電子カルテ上のアレルギー情報については、入力の標準化、警告アラートの強化、処方時の確認が不可欠である。このためマイナ保険証の活用のほか、2重3重のチェック体制をどのように実効性ある形で運用するかが問われている。今回の訴訟は、医療安全について「情報があること」と「実際に使われること」の乖離を改めて浮き彫りにした。現場での確認フローの見直しなど再発防止策が求められる。 参考 1)「薬のアレルギーで死亡」70代女性遺族、愛知県西尾市などを提訴(中日新聞) 2)電子カルテ・オーダリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例(日本医療機能評価機構) 3)電子カルテ・オーダリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例(日本医療機能評価機構)

94.

事例44 運動器リハビリテーション(1)の査定と復活【斬らレセプト シーズン4】

解説事例では、「頸肩腕症候群」の患者に算定した「L000 運動器リハビリテーション」が、保険診療上適当でないとしてC事由(医学的理由による不適当)が適用されて査定となりました。診療報酬点数表の通知には、「運動器リハビリテーション料の対象患者 二 関節の変性疾患、関節の炎症性疾患その他の慢性の運動器疾患により、一定程度の運動機能および日常生活能力の低下を来している患者(令和6年3月5日 保医発0305第4号 別表第九の八)」とあります。この通知から「ICD-10 M53(頸腕症候群、脊柱不安定症など)」は、運動器リハビリテーションの対象とされています。頸肩腕症候群は、M53.1に割り当てられており、算定可能と考えていました。しかしながら、頸肩腕症候群は、必ずしも可動制限が伴い日常生活に支障を来すものではありません。運動器リハビリテーションを必要とする根拠に薄いと考えられます。事例ではここを根拠に、保険診療上適当でないとの判断をされたものと推測できます。運動器リハビリテーションを必要とする場合には、その適応状態を明確に示してほしいと投げかけられたのではないかと考えました。事例のカルテを参照すると、可動制限と日常生活の支障があるため、運動器リハビリテーション実施の指示が記載されていました。再審査請求可能と考え、運動器リハビリテーションを必要とした状態の説明とカルテの写しを添えて申請したところ復活しました。医師と相談して、運動器リハビリテーションの実施に際して該当病名だけでは根拠に薄いと考えられる場合には、必要とする状態を簡単に付記することにして査定対策としています。

95.

乳がん術後放射線療法におけるリンパ浮腫、3週間照射vs.5週間照射/Lancet

 早期乳がんの術後放射線療法について、3週間照射(総線量40Gyを15回に分割して照射:寡分割照射)は5週間照射(総線量50Gyを25回に分割して照射:通常分割照射)に対して、腕のリンパ浮腫リスクに関して非劣性であり、その他の晩期正常組織への影響に関する安全性は同等であることが、フランス・Institut Gustave RoussyのSofia Rivera氏らHypoG-01 trialistsによる「UNICANCER HypoG-01 試験」の、5年追跡時点の結果で示された。3週間で行う寡分割照射は全乳房放射線療法の標準となっているが、多くの国では、リンパ節照射を必要とする場合はリンパ浮腫などの合併症リスクや有効性への懸念から依然として5週間で行う通常分割照射が標準となっている。UNICANCER HypoG-01試験では、3週間照射と5週間照射を比較し、リンパ浮腫の発症率および有効性を評価した。Lancet誌2026年3月7日号掲載の報告。同側腕リンパ浮腫の発症を評価 UNICANCER HypoG-01 試験は、フランスの29医療施設で行われた第III相の多施設共同非盲検無作為化非劣性試験。18歳以上の女性、浸潤乳がん(T1~3、N0~3、M0)で原発腫瘍の完全切除(顕微鏡的)後にリンパ節照射を要する患者を対象とした。 被験者は、局所リンパ節および胸壁または乳房への放射線療法を3週間で行う群(試験群:3週間照射群)または5週間で行う群(対照群:5週間照射群)のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は同側腕リンパ浮腫の発症で、ベースラインおよび対側腕と比較し、同側肘頭から近位15cm、遠位10cm、またはその両方における腕囲が10%以上増加した状態と定義した。ハザード比(HR)を算出して評価した(非劣性マージンは1.545)。リンパ浮腫の3年累積発症率は3週間照射群23.4%、5週間照射群22.2% 2016年9月26日~2020年3月27日に1,265例が登録され、1,221例がper-protocol解析(3週間照射群614例、5週間照射群607例)に包含された(追跡期間中央値4.8年[四分位範囲[IQR]:4.01~5.02])。被験者の年齢中央値は58歳(IQR:49~68)。 腕リンパ浮腫は、275例(25%)で発症が報告された(3週間照射群143例、5週間照射群132例)。3週間照射群は5週間照射群に対して、腕リンパ浮腫のリスクに関して非劣性であることが示された(HR:1.02、95%信頼区間[CI]:0.79~1.31、非劣性のp<0.001)。3年累積発症率はそれぞれ23.4%(95%CI:19.7~27.6)、22.2%(19.5~26.3)であった。また、5年累積発症率は33.3%(95%CI:28.7~38.4)、32.8%(27.9~38.1)と推定された。 安全性プロファイルは両群で類似していた。Grade3以上の有害事象の発現頻度は3週間照射群8%、5週間照射群13%であった。なお、フランス当局の規制により、人種・民族に関するデータは集計されていない。 著者は、「われわれの知見は、臨床標準を3週間照射群へ移行することを支持するものである」と述べている。

96.

ベジタリアン家庭の幼児の成長が阻害される可能性は低い

 菜食主義(ベジタリアン)の家庭に生まれた子どもに、発育上の問題が現れる可能性は高くないことが報告された。出生体重は非菜食主義(雑食)の家庭の新生児よりも低く有意差が認められるものの、2歳時点での体重の差は有意ではなくなるという。ネゲヴ・ベン・グリオン大学(イスラエル)のKerem Avital氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月5日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「われわれの研究結果は、適切な環境であれば、植物性食品中心の食事は乳児の発育を損なわないことを示している」と述べている。 この研究の背景として著者らは論文の中で、植物性食品を重視する食生活は西側諸国で一般的になりつつあり、心臓病やその他の健康リスクの低下と関連付けられていると指摘。しかし、その一方で、特にビタミンB12、鉄分、ヨウ素、ビタミンD、カルシウム、長鎖オメガ3脂肪酸に関しては、妊娠中や乳幼児期に十分な量を摂取できているのかという懸念が依然として指摘されている。 研究には、イスラエルの子どもの約70%の発育状況が記録されている同国保健省の追跡データのうち、2014~2023年の記録が用いられた。在胎32週以降に出生した単胎児119万8,816人(平均在胎期間39.2±1.5週、男児53.2%)を解析対象とした。なお、重度の先天性疾患を有する子どもや極低出生体重児は対象から除外されている。 全体として98.5%の乳幼児は雑食の家庭で育てられ、1.2%はベジタリアンの家庭、0.3%はビーガン(完全菜食主義)の家庭で育てられていた。解析の結果、食事スタイルにかかわらず、どの家庭の子どもの成長パターンも類似したものだった。 具体的には、出生体重については雑食家庭の新生児が3.3±0.5kgであるのに対して、ベジタリアンやビーガン家庭の新生児はいずれも3.2±0.5kgであり有意に低かった。また生後60日時点で低体重であることの調整オッズ比(aOR)は、雑食家庭を基準としてベジタリアン家庭では1.21(95%信頼区間1.11~1.32)、ビーガン家庭では1.37(同1.15~1.63)だった。 しかし、この差は時間とともに縮小し、2歳時点での発育不全の割合は、雑食3.1%、ベジタリアン3.4%、ビーガン3.9%であり、有意差はなかった。また2歳時点では、低体重や過体重の有意差も認められなかった(低体重のaORはベジタリアンが0.80〔0.55~1.15〕、ビーガンは1.06〔0.50~2.23〕、過体重は同順に1.01〔0.86~1.18〕、0.91〔0.61~1.35〕)。 著者らは、「これらの研究結果はビーガン食であっても乳児の成長を阻害しないことを示唆している。しかし、妊娠中の母親や乳児期の子どもの栄養に関する指導が、子どもたちの発育をどのようにサポートし得るかを明らかにするために、さらなる研究が必要とされる」と結論付けている。

97.

アイトラッキング診断ツール、神経変性疾患の鑑別や評価の一助となるか

 眼球運動異常は、神経変性疾患においてよくみられる。これは、眼球運動を制御する神経経路および脳領域の変性が原因であると考えられる。背外側前頭前皮質、基底核、上丘、小脳の病理学的変化は、臨床検査では検出されない可能性のある眼球運動指標の微妙な変化を引き起こす。カナダ・Montreal Neurological InstituteのPaul S. Giacomini氏らは、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病およびその他の認知症、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患における眼球運動バイオマーカーの潜在的な用途について考察した。Journal of Neurology誌2026年2月10日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・サッカード、アンチサッカード、固視、滑動追跡などの眼球運動指標は、疾患進行の予後を予測し、診断の補助として病理学的サブタイプを鑑別することができる。そのため、臨床医が運動機能および認知機能の早期悪化を評価することを可能にすると考えられる。・医療技術のコストが、臨床現場における最適な活用とアクセスを制限している。・専門の神経科医の不足は、医療へのアクセスをさらに制限している。・スマートフォンやタブレットなどの広く普及しているデジタル機器に組み込まれた新しいアイトラッキング技術は、最小限の機器で詳細な評価を可能にし、日常の臨床現場における患者評価や治療方針の決定を支援するための、非侵襲的かつ費用対効果の高い重要な方法であると考えられる。・デジタルバイオマーカーは、かかりつけ医、看護師、薬剤師などの医療専門家がケアのギャップを埋めるために容易に活用でき、神経変性疾患の患者へのケア提供を改善するために広く採用できる強力なツールとなる可能性がある。

98.

またまた起きた管理薬剤師の複数の店舗での兼務【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第166回

薬局チェーンにおいて管理薬剤師の複数店舗での兼務が発覚し、行政処分を受けた事例が報道されました。「またか…」という感想の人ばかりでしょうが、こういうことはある程度のスパンで繰り返し問題になっている気がします。ドラッグストアチェーン「コクミン」(本社・大阪市)が運営する調剤薬局で、責任者である「管理薬剤師」が、複数の店舗で兼務する不適切な運用が続いていたことがわかった。管理薬剤師は患者の健康管理などのため現場での勤務が求められ、一つの店舗への専従が医薬品医療機器法(薬機法)で義務づけられている。同社は兼務が同法に抵触すると認め、調剤報酬の返還を検討する。(2026年3月2日付 朝日新聞)記事によると、この管理薬剤師は複数の店舗で薬事業務を行っており、昨年末に内部通報で発覚したとのことです。「管理薬剤師の兼務不可」というのは、一般の人にはあまりピンとこないことかもしれません。しかしながら、医薬品を調剤すること、保管することなどは、国から特別な許可を受けて初めてできることです。その許可の前提として、法律やルールを満たしている必要があるというのは言うまでもありません。それらを守らない、しかも組織的にそれらを逸脱しているというのは、どれだけ患者対応を一生懸命やっていたとしても、「もっと他のことでも違反してるんじゃないの?」と思われかねず、患者さんからの信頼を失うことにつながりかねません。問題となったコクミンは各地の保健所などに調査結果を報告し、指導を受けているとのことです。同社は少なくとも通報時点から過去1年間にさかのぼって兼務を確認しており、派遣された管理薬剤師が利用客から処方箋を受け付けて調剤する際、その店舗の管理薬剤師の印鑑を使って発覚を免れていたようです。それらに関して3年間をめどに調査を続け、期間中の調剤報酬について返還も含めて適切に対応を進めていくと報じられています。薬局の運営をスムーズにするための兼務やヘルプ要請だったと想像できますが、「まだやっている薬局があるのか」という印象を抱かざるを得ません。周りもやっていたからという理由で違反をしていたとしても、周りはすでに変わり、違反をしているのは自分だけということもあるかもしれません。多少緩かった時代もありましたが、「忙しい」「昔やっていた」はもはや言い訳にはならないということを肝に銘じましょう。

99.

日本人の認知症予防戦略、修正可能なリスク要因とその低減効果は

 世界的に認知症有病率が増加しており、修正可能リスク因子を標的とした予防戦略の重要性がますます高まっている。超高齢化社会を迎えた日本において、認知症は高齢者の障害調整生存年数の増加の主な原因となっている。東海大学の和佐野 浩一郎氏らは、日本特有の有病率データを用いて、高齢者における認知症に対する14の修正可能リスク因子を定量化しようと試みた。The Lancet Regional Health誌2026年1月11日号の報告。 日本の全国調査およびコホート研究より抽出した最近公表されている有病率データ、2024年版ランセット委員会による認知症に関する報告書の相対リスクおよびコミュニティ性重み付けを用いて、人口寄与率(PAF)および潜在的影響率(PIF)を算出した。次に、各リスク要因を10%および20%削減した場合、全国の認知症有病率にどのような影響を与えるかをモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・14のリスク要因全体の加重平均PAFは38.9%であり、日本における認知症症例の約4割が予防可能であることが示唆された。・最大のリスク因子は、難聴(6.7%)、身体活動不足(6.0%)、高LDLコレステロール(4.5%)であった。・すべてのリスク因子を10%削減すると認知症症例の約20万8,000例が予防可能であり、20%削減すると約40万7,000例を予防できる可能性が示された。 著者らは「日本における認知症予防の取り組みでは、聴覚ケア、身体活動、代謝の改善を優先する必要がある。日本固有のデータは、難聴が認知症の主な原因であることを明らかにしており、聴覚介入に対する国民の意識向上とアクセス向上の緊急性を浮き彫りにしている」と結論付けている。

100.

脳インプラントがパーキンソン病の歩行をリアルタイムで把握

 新たな脳インプラントにより、キッチンまで歩く、公園を散歩するなど、日常生活の中で何らかの動作をしているパーキンソン病患者から歩行に関連する脳信号をリアルタイムで記録し、その場で歩行中か否かを判定できることを示した研究結果が報告された。この完全埋め込み型のインプラントを使用することで、医師はパーキンソン病患者の運動機能をより効果的に改善できる可能性がある。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のDoris Wang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に2月13日掲載された。 Wang氏は、「完全埋め込み型の脳インプラントを用いて、実世界で活動している間の特定の動作状態を検出できたのは、今回が初めてだ。われわれが得た結果は、実験室の外でも意味のある神経信号を特定できることを示している。これは、より個別化され、応答性の高いニューロモジュレーション(神経調節)療法への重要な一歩だ」と述べている。 パーキンソン病では、歩幅の狭いすり足のような歩行、硬直、バランス機能の低下、震え、不随意運動などの運動障害が主要な症状として現れる。今回の研究では、脳深部刺激療法(DBS)のためのインプラントを受ける予定だった4人のパーキンソン病患者を対象に、日常生活における歩行状態を脳信号から推定できるかを検証した。対象者の脳の運動野と淡蒼球内節に埋め込まれたインプラントは、電気刺激を送るだけでなく、脳活動を記録し、リアルタイムで解析する機能も備えていた。このインプラントを通じて、日常生活での自然な行動が合計80時間以上記録された。この間、患者の足首には歩行センサーも装着され、歩行データも測定された。 その結果、患者が歩行中か歩行していない状態かを脳波だけで区別できることが明らかになった。また、その脳波パターンは、患者ごとに異なっていることも判明した。研究グループは、こうした患者ごとの脳波フィードバックを基に、患者が「歩いているのか」「座っているのか」「その他の動作をしているのか」に合わせてDBSの刺激を調整できる可能性があるとしている。 Wang氏は、「われわれは、歩行に関連する個別の神経バイオマーカーを特定し、埋め込み型デバイスという制約下においても、それらの信号からリアルタイムで歩行状態を分類できることを示した。これは、患者の活動状態に応じて刺激を調整できる将来の適応型DBSシステムの基盤となる」と述べている。 ただし、脳波を活用し、インプラントを動作に応じて適応させる方法を確立するには、さらなる研究が必要である。Wang氏は、「自然な行動中の脳活動を研究できるようになれば、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)や適応型ニューロモジュレーションの適用範囲が、実験室の枠を越えて日常生活へと広がっていくだろう」と述べている。

検索結果 合計:5216件 表示位置:81 - 100