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乾癬、にきびへのパルスダイレーザー治療はどこまで有効か

 オランダ・Amphia Hospital BredaのAngelina Erceg氏らは、炎症性皮膚疾患に対するパルスダイレーザー(PDL)治療の有効性について、系統的レビューを行った。その結果、PDL治療は、限局性慢性尋常性乾癬とざ瘡について有効かつ安全な治療であると推奨できること(推奨グレードB)、その他の炎症性皮膚疾患については、勧告レベルがレベルCを上回らなかったが、治療は有望と思われることを報告した。炎症性皮膚疾患へのPDL治療の位置づけは明らかとなっておらず、エビデンスに基づく勧告が不足していた。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年10月号(オンライン版2013年5月24日号)の掲載報告。 研究グループは、PubMedデータベースにおいて1992年1月~2011年8月に発表された文献を検索し評価する系統的レビューを行った。 炎症性皮膚疾患に対するPDL治療について報告している試験報告を入手し、エビデンスレベルを評価した。 主な結果は以下のとおり。・文献検索の結果、52件の論文を本検討に組み込んだ。・PDL治療が行われた炎症性皮膚疾患は、乾癬、ざ瘡、エリテマトーデス、顔面肉芽腫、サルコイドーシス、湿疹性病変、丘疹・膿疱を伴う酒さ、硬化性苔癬、環状肉芽腫、ジェスナー皮膚リンパ球浸潤症、網状紅斑性ムチン沈着症であった。・上記疾患について、PDL治療の有効性が示されており、評価がされていた。しかし、大半の評価の結論は、無作為化試験に基づいてはいなかった。・以上の結果を踏まえ、PDL治療は、限局性慢性尋常性乾癬とざ瘡について有効かつ安全な治療であると推奨可能であった(推奨グレードB)。その他の上記炎症性皮膚疾患については、勧告レベルがレベルCを上回らなかったが、治療は有望と思われた。

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小児のアトピー性皮膚炎とイボは、感染症の増加に影響するか

 先行研究において、アトピー性皮膚炎は、皮膚および皮膚以外の感染症の素因となる異常な免疫反応との関連が示唆されている。米国セント・ルークス・ルーズベルトホスピタルセンターのJonathan I .Silverberg氏らにより、小児のアトピー性皮膚炎がイボ、皮膚以外の感染症、その他のアトピー性疾患のリスク増加に影響するかどうか調査、報告された。その結果、小児のアトピー性皮膚炎、その他のアトピー性疾患、イボと皮膚以外の感染症との関連から、バリア機能の破壊や異常な免疫反応(どちらかまたは両方)が、イボと皮膚以外の感染症の感受性に影響することが示唆された。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2013年10月3日掲載報告。 調査には、2007年国民健康インタビュー調査の代表サンプルが用いられた。対象は、0歳から17歳までの9,417例であった。 主な結果は以下のとおり。・アトピー性皮膚炎に加え、何らかのアトピー性疾患を有する小児では、イボを有する割合が高かった。・一方で、何らかのアトピー性疾患の有無にかかわらず、少なくともアトピー性皮膚炎を有する小児では、皮膚以外の感染症(連鎖球菌性咽頭炎、他の咽頭炎、鼻風邪、咳風邪、インフルエンザ/ 肺炎、副鼻腔感染症、再発性中耳炎、水痘、尿路感染症を含む)を有する割合が高かった(p<0.0001)。・アトピー性皮膚炎に加え、何らかのアトピー性疾患を有する小児では、どちらか一方のみを有する小児に比べて、罹患した感染症の数が多かった(p<0.0001)。・イボの保有は、皮膚以外の感染症(再発性中耳炎を除く)の増加に影響していた(p<0.0001)。・イボとアトピー性皮膚炎の両方を有する小児では、どちらかのみを有する小児に比べて、罹患した感染症の数が多かった(p<0.0001)。また、喘息の現症または既往歴、過去1年間の喘息の悪化、花粉症、食物アレルギーを有する割合が高かった。・イボとアトピー性皮膚炎の両方を有する小児では、イボを有しないアトピー性皮膚炎の小児に比べ、喘息、花粉症、食物アレルギーを有する割合が高かった。

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急性心筋炎を上気道炎・胃潰瘍と誤診して手遅れとなったケース

循環器最終判決平成15年4月28日 徳島地方裁判所 判決概要高血圧症で通院治療中の66歳女性。感冒症状を主訴として当該病院を受診し、急性上気道炎の診断で投薬治療を行ったが、咳・痰などの症状が持続した。初診から約2週間後に撮影した胸部X線写真には異常はみられなかったが、咳・痰の増悪に加えて悪心、食欲不振など消化器症状が出現したため、肺炎を疑って入院とした。ところが、次第に発汗が多く血圧低下傾向となり、脱水を念頭においた治療を行ったが、入院4日後に容態が急変して死亡した。詳細な経過患者情報本態性高血圧症の診断で降圧薬マニジピンなどを内服していた66歳女性経過平成9年2月19日感冒症状を主訴として来院し、急性上気道炎と診断して感冒薬を処方。その後も数回通院して投薬治療を続けたが、咳・痰などの感冒症状は持続した。3月4日胸部X線撮影では浸潤陰影など肺炎を疑う所見なし。3月6日血圧158/86mmHg、脈拍109/min。発熱はないが咳・痰が増悪し、悪心(嘔気)、食欲不振、呼吸困難などがみられ、肺全体に湿性ラ音を聴取。上腹部に筋性防御を伴わない圧痛がみられた。急性上気道炎が増悪して急性肺炎を発症した疑いがあると診断。さらに食欲不振、上腹部圧痛、嘔気などの消化器症状はストレス性胃潰瘍を疑い、脱水症状もあると判断して入院とした。気管支拡張薬のアミノフィリン(商品名:ネオフィリン)、抗菌薬ミノサイクリン(同:ミノペン)、抗菌薬フロモキセフナトリウム(同:フルマリン)、胃酸分泌抑制剤ファモチジン(同:ガスター)などの点滴静注を3日間継続した。この時点でも高熱はないが、悪心(嘔気)、食欲不振、腹部圧痛などの症状が持続し、点滴を受けるたびに強い不快感を訴えていた。3月7日血圧120/55mmHg。3月8日血圧89/58mmHg、胸部の聴診では湿性ラ音は減弱し、心音の異常は聴取されなかった。3月9日血圧86/62mmHgと低下傾向、脈拍(100前後)、悪心(嘔気)が激しく発汗も多くなった。血圧低下は脱水症状によるものと考え、輸液をさらに追加。胸部の聴診では肺の湿性ラ音は消失していた。3月10日06:00血圧80/56mmHg、顔色が悪く全身倦怠感、脱力感を訴えていた。09:30点滴投与を受けた際に激しい悪心が出現し、血圧測定不能、容態が急速に悪化したため、緊急処置を行う。13:30集中治療の効果なく死亡確認。担当医師は死因を心不全によるものと診断、その原因について確定診断はできなかったものの、死亡診断書には急性心筋梗塞と記載した。なお死亡前の血液検査では、aST、aLT、LDHの軽度上昇が認められたが、CRPはいずれも陰性で、腎不全を示す所見も認められなかった。当事者の主張患者側(原告)の主張通院時の過失マニジピン(降圧薬)の副作用として、呼吸器系に対して咳・喘息・息切れを招来し、心不全をもたらすおそれがあるため、長期投与の場合には心電図検査などの心機能検査を定期的に行い、慎重な経過観察を実施する必要があるとされているのに、マニジピンの投与を漫然と継続し、高血圧症の患者には慎重投与を要するプレドニゾロンを上気道炎に対する消炎鎮痛目的で漫然と併用投与した結果、心疾患を悪化させた入院時の過失3月6日入院時に、通院中にはなかった呼吸困難、悪心(嘔気)、食欲不振、頻脈、肺全体の湿性ラ音が聴取されたので、心筋炎などの心疾患を念頭におき、ただちに心電図検査、胸部X線撮影、心臓超音波検査を実施すべき義務があった。さらに入院2日前、3月4日の胸部X線撮影で肺炎の所見がないにもかかわらず、入院時の症状を肺炎と誤診した入院中の過失入院後も悪心(嘔気)、頻脈が持続し、もともと高血圧症なのに3月8日には89/58mmHgと異常に低下していたので、ただちに心疾患を疑い、心電図検査などの心機能検査を行うなどして原因を究明すべき義務があったが、漫然と肺炎の治療をくり返したばかりか、心臓に負担をかけるネオフィリン®を投与して病状を悪化させた死亡原因についてウイルス性上気道炎から急性心筋炎に罹患し、これが原因となって心原性ショックに陥り死亡した。入院時および入院中血圧の低下がみられた時点で心電図検査など心機能検査を実施していれば、心筋炎ないし心不全の状態にあったことが判明し、救命できた可能性が高い病院側(被告)の主張通院期間中の過失の不存在通院期間中に投与した薬剤は禁忌ではなく、慎重投与を要するものでもなかったので、投薬について不適切な点はない入院時の過失の不存在3月6日入院時にみられた症状は、咳・痰、発熱、呼吸困難などの感冒症状および腹部圧痛などの消化器症状のみであり、また、肺の湿性ラ音は肺疾患の特徴である。したがって、急性上気道炎が増悪して急性肺炎に罹患した疑いがあると診断したことに不適切な点はない。また、心筋炎など心疾患を疑わせる明確な症状はなかったので、心電図検査などの心機能検査を実施しなかったのは不適切ではない入院中の過失の不存在入院後も心筋炎など心疾患を疑わせる明確な所見はなく、総合的に判断してもっとも蓋然性の高い急性肺炎および消化器疾患を疑い、治療の効果が現れるまで継続したので不適切な点があったとはいえない死因について胃酸や胆汁の誤嚥により急速な血圧低下が生じた可能性がある。入院中、胸痛、心筋逸脱酵素の上昇、腎機能障害など心疾患を疑わせる明確な所見もみられなかったので、急性心筋炎などの心疾患であるとの確定的な診断は不可能である。死因が心筋炎によるものであると確定的に診断できないのであるから、心筋炎に対する診療を実施したとしても救命できたかどうかはわからない裁判所の判断本件では入院後に胸部X線撮影や心電図検査などが行われていないため、死因を確定することはできないが、その臨床経過からみてウイルス性の急性上気道炎から急性心筋炎に罹患し、心タンポナーデを併発して、心原性ショック状態に陥り死亡した蓋然性が高い。診療経過を振り返ると、2月中旬より咳・痰などの急性上気道炎の症状が出現し、投薬などの治療を受けていたものの次第に悪化、3月6日には肺に湿性ラ音が聴取され呼吸困難もみられたので、急性肺炎の発症を疑って入院治療を勧めたこと自体は不適切ではない。しかし入院後は、肺炎のみでは合理的な説明のできない症状や肺炎にほかの疾病が合併していた可能性を疑わせる症状が多数出現していたため、肺炎の治療を開始するに当たって、再度胸部X線撮影などを実施して肺炎の有無を確認するとともに、ほかの合併症の有無を検索する義務があった。しかし担当医師は急性肺炎などによるものと軽信し、胸部X線撮影を実施するなどして肺炎の確定診断を下すことなく、漫然と肺炎に対する投薬(点滴)治療を開始したのは明らかな過失である。さらに入院後、3月8日に著明な低血圧が進行した時点で心筋炎による心不全の発症を疑い、ただちに胸部X線撮影、心電図検査、心臓超音波検査などを実施するとともに、カテコラミンを投与するなどして血圧低下の進行を防ぐ義務があったにもかかわらず、漫然と肺炎に対する点滴治療を継続したのは明らかな過失である。そして、血圧低下の原因は、心筋炎から心タンポナーデを併発しショック状態が進行した可能性が高い。心タンポナーデは心嚢貯留液を除去することにより解消できるから、心電図検査などの諸検査を実施したうえで心タンポナーデに対し適切な治療行為を実施していれば救命できただろう。たとえ心タンポナーデによるものでなかったとしても、血圧低下やショックの進行は比較的緩徐であったことから、ただちに血圧低下の進行を防ぐ治療を実施したうえでICUなどの設備のある中核病院に転送させ、適切な治療を受ける機会を与えていれば、救命できた可能性が高い。原告側合計5,555万円の請求に対し、4,374万円の支払い命令考察今回のケースは、診断が非常に難しかったとは思いますが、最初から最後まで急性心筋炎のことを念頭に置かずに、「風邪をこじらせただけだろう」という思いこみが背景にあったため、救命することができませんでした。急性心筋炎の症例は、はじめは風邪と類似した病態、あるいは消化器症状を主訴として来院することがあるため、普段の診療でも遭遇するチャンスが多いと思います。しかも急性心筋炎のなかには、ごく短時間に劇症化しCCU管理が必要なこともありますので、細心の注意が必要です。本件でもすべての情報が出揃ったあとで死亡原因を考察すれば、たしかに急性心筋炎やそれに引き続いて発症した心タンポナーデであろうと推測することができると思います。しかし、今までに急性心筋炎を経験したことがなければ、そして、循環器専門医に気軽に相談できる診療環境でなければ、当時の少ない情報から的確に急性心筋炎を診断し(あるいは急性心筋炎かも知れないと心配し)、設備の整った施設へ転院させようという意思決定には至らなかった可能性が高いと思います。もう一度経過を整理すると、ICUをもたない小規模の病院に、高血圧で通院していた66歳女性が咳、痰を主訴として再診し、上気道炎の診断で投薬治療が行われました。ところが、約2週間通院しても咳、痰は改善しないばかりか、食欲不振、悪心などの消化器症状も加わったため、「肺炎、胃潰瘍」などの診断で入院措置がとられました。入院2日前の胸部X線撮影では明らかな肺炎像はなかったものの、咳、痰に加えて湿性ラ音が聴取されたとすれば、呼吸器疾患を疑って診断・治療を進めるのが一般的でしょう。ところが、入院後に抗菌薬などの点滴をすると「強い不快感」が出現するというエピソードをくり返し、もともと高血圧症の患者でありながら入院2日後には血圧が80台へと低下しました。このとき、入院時に認められていた湿性ラ音が消失していたため、担当医師は抗菌薬の効果が出てきたと判断、血圧低下は脱水によるものだろうと考えて、輸液を増やす指示を出しました。しかしこの時点ですでに心タンポナーデが進行していて、脱水という不適切な判断により投与された点滴が、病態をさらに悪化させたことになります。心タンポナーデでは、心膜内に浸出液が貯留して静脈血の心臓への環流が妨げられるため、心拍量が低下して低血圧が生じるほか、消化管のうっ血が強く生じるため嘔気などの消化器症状がみられます。さらに肺への血流が減少して肺うっ血が減少し、湿性ラ音が聴取されなくなることも少なくありません。このような逆説的ともいえる病態をまったく考えなかったことが、血圧低下=脱水=補液の追加という判断につながり、病態の悪化に拍車をかけたと思われます。なお本件では、肺炎と診断しておきながら胸部X線写真を経時的に施行しなかったり、血圧低下がみられても心電図すら取らなかったりなど、入院患者に対する対応としては不十分でした。やはりその背景には、「風邪をこじらせた患者」だから、「抗菌薬さえ投与しておけば安心だろう」という油断があったことは否めないと思います。普段の臨床でも、たとえば入院中の患者に一時的な血圧低下がみられた場合、「脱水」を念頭において補液の追加を指示したり、あるいはプラスマネートカッターのようなアルブミン製剤を投与して経過をみるということはしばしばあると思います。実際に、手術後の患者や外傷後のhypovolemic shockが心配されるケースでは、このような点滴で血圧は回復することがありますが、脱水であろうと推測する前に、本件のようなケースがあることを念頭において、けっして輸液過剰とならないような配慮が望まれます。循環器

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アルコール依存症に介入療法は有効か?/JAMA

 アルコールおよび薬物依存症患者に対し、医療・福祉サービスを調整・包括して提供する慢性疾患ケア管理(chronic care management:CCM)の有効性について検討した結果、通常プライマリ・ケアによるサービス提供と比べて、12ヵ月時点の離脱率に有意差はみられなかったことが報告された。米国・ボストン医療センターのRichard Saitz氏らが、無作為化試験「AHEAD」を行い報告した。依存症患者は、健康問題を抱え高度な医療を受けていたり、併存症を有している頻度が高いが、多くの場合、質の低い治療を受けているとされる。CCMは、同患者への治療およびアウトカムを改善するアプローチとして提唱された。JAMA誌2013年9月18日号掲載の報告より。563例をCCM群と通常プライマリ・ケア群に無作為化 AHEAD(Addiction Health Evaluation and Disease Management)試験は、ボストンの病院ベースのプライマリ・ケア診療所で、AHEADクリニックを設定して行われた。被験者は、2006年9月~2008年9月の間に、独立した宿泊設備がある依存症治療ユニットおよび都市部にある教育病院、募集広告によって集められた。2,731例がスクリーニングに参加し、563例が無作為化を受けてCCM群(282例)または非CCM(通常プライマリ・ケア、281例、対照)群に割り付けられた。 CCM群は、プライマリ・ケア医間の調整を図った横断的な治療、依存症克服のための動機付けの強化療法、再発予防カウンセリング、オンサイトでの併存症治療、依存症治療、精神科治療、社会福祉支援および照会などを含めた介入を受けた。 対照群は、プライマリ・ケアの面談を受け、カウンセリングを自ら手配するため電話番号を記した治療ソースのリストを受け取るという介入であった。 主要アウトカムは、オピオイド、興奮剤、大量飲酒について自己申告に基づく離脱状況であった。オピオイド、興奮剤、大量飲酒の12ヵ月時点の離脱率はCCM群44%、対照群42% 被験者563例のうち95%が、12ヵ月間の追跡調査を完了した。 同時点でオピオイド、興奮剤、大量飲酒について離脱を自己申告した割合は、CCM群44%、対照群42%で有意差はみられなかった(補正後オッズ比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.65~1.10、p=0.21)。 副次アウトカムとして評価した、依存症重症度、健康関連QOL、薬物問題についても有意差はみられなかった。 また、被験者をアルコール依存症群、薬物依存症群とサブグループで評価した場合においても、アルコール依存症群のCCMにより飲酒問題が減少したという有意な効果はみられなかった(12ヵ月時点の平均スコア:10対13、発生率比:0.85、95%CI:0.72~1.00、p=0.48)。 上記の結果について著者は、「アルコールおよびその他薬物依存症患者へのCCMは通常プライマリ・ケアと同等で、12ヵ月間の自己申告に基づく離脱率を増加しなかった。より強化した介入または長期の介入が有効かについてさらなる調査が必要である」とまとめている。

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メール配信について

メール配信会員登録するとどのようなメールマガジンが配信されてきますか?届くはずのメールマガジンが届きませんメールマガジンの配信の変更、停止をしたいのですが?マイクロソフトoffice outlook2007、2010、2013でメールを見ると、HTMLメールの画像が表示されませんメールに掲載されている記事やコンテンツのページが開きません会員登録するとどのようなメールマガジンが配信されてきますか?CareNet.comにご登録いただくと、下記のメールマガジンを無料でご購読いただけます。メールマガジン一覧表名称頻度内容日刊 医療ニュース週5程度最新の医学・医療ニュースをお届けします。逸品ケアネット週5程度動画、取材記事などの新着コンテンツをお届けします。ランキングメール随時人気のニュースや医療記事をランキング形式でお届けします。Medscapeマガジン月1米国WebMD社の医学情報サイトMedscapeからピックアップした翻訳記事をお届けします。[対象]Oncology(がん領域)、Cardiology(循環器領域)ケアネットライブご案内メール随時いま注目の話題を、ライブ形式で発信するCareNeTV Liveの配信情報をお届け。臨床現場で活躍するスペシャリストとともに、CareNeTVチームが企画・撮影・配信までを行うスペシャル企画。記事紹介メール随時話題のコンテンツや新規のコンテンツから注目の情報を厳選。編集部のコメントと共にお届けします。まとめメール週1~2ケアネットの医学論文ニュースや連載から、テーマごとに記事を集めてお届けします。Doctors'Picksメール週1Doctors'Picksの注目記事をお届けします。会員特典ご案内メール随時会員限定の様々なお得情報をお届けします。がん@魅せ技メール随時がん@魅せ技の最新手技動画コンテンツなどの情報をお届けします。がん@魅せ技Web講演会メール随時がん@魅せ技で開催するWeb講演会の情報をお届けします。Plus style mail随時医療以外の情報やサービスをお届けします。キャリアメール随時新着の「求人案件」・「アルバイト案件」をお届けします。医業承継メール随時非常に希少な「クリニックの承継物件情報」や承継に関する「お役立ちコラム」をお届けします。※個々のメールマガジンの購読をご自由にご選択いただけます。※HTML形式またはTEXT形式をご選択いただけます。※上記以外に、最新作コンテンツ(ポイント対象)のお知らせ、ミニアンケートのお知らせ、ポイント失効予定のお知らせなどを臨時で配信させていただく場合がございます。届くはずのメールマガジンが届きません届くはずのメールマガジンが届いていない場合、以下の【確認1~5】をご確認ください。メールボックスの受信設定を変更したご記憶がない場合も、設定されている可能性がありますのでご確認をお願いいたします。【確認1】 迷惑メールフォルダをご確認くださいフィルター機能を利用していると、ごくまれに、購読しているメールマガジンなどが[迷惑メール]フォルダに振り分けられることがあります。【確認2】 受信設定をご確認くださいドメイン指定をされている場合、下記ドメインを受信設定で許可してください。@www.carenet.com@carenet.co.jp@official.carenet.co.jp【確認3】なりすましメール拒否設定をご確認ください「なりすましメール拒否機能」とは、送信元アドレスの偽装が疑われるメールを受信拒否する機能です。お客様にとって必要なメールでも、なりすましの疑いがあると判断された場合は、受信拒否の対象となり、受信できなくなります。「なりすましメール拒否機能」によるメールの未着については、一度この機能を無効にしてからメール受信をお試しください。設定方法は各メールソフト(フリーメール含む)により異なりますので、お手数ですがサービス元へお問い合わせください。【確認4】メールボックスの保存容量をご確認くださいメールボックスの保存容量を超えると、新たにメールを受信できません。不要なメールや画像などが添付されたメールを削除して、少なくとも100MBの空き容量を常に確保することをおすすめいたします。【確認5】ご登録メールアドレスに間違いがないかご確認くださいCareNet.comにご登録されているメールアドレスに間違いがないかご確認ください。ご登録メールアドレスは「会員情報変更ページ」にて確認できます。会員情報変更ページへのアクセスは こちら【確認6】ご登録メールアドレスが携帯各キャリア(docomo/au/softbank等)独自の形式になっていないかご確認ください一部の携帯キャリア(docomo/au/softbank等)で利用されている下記の形式のメールアドレスは、一般的なインターネットのメールが配信できません。ご登録メールアドレスに下記の形式が含まれている場合は、別のメールアドレスへの登録変更をお願いいたします。「.」で始まるアドレス@より前の部分に英数字、「.」「-」「_」以外の文字を使用しているアドレス@の直前が「.」のアドレス@より前の部分に「.」が2個以上連続するアドレスマイクロソフトoffice outlook2007、2010、2013でメールを見ると、HTMLメールの画像が表示されませんマイクロソフトoffice outlook2007、2010、2013は、デフォルトの設定としてHTMLメールの画像が表示されないようになっております。画像を表示させるためには、「画像をダウンロードするには、ここをクリックします」をクリックし、「ドメイン @www.carenet.comを[差出人セーフリスト]に追加」を選択ください。マイクロソフトoffice outlook2010の画面例メールに掲載されている記事やコンテンツのページが開きませんCareNet.comへのアクセスにはログインが必要です。詳細はこちらをご覧ください。

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第19回 PTCAで患者が死亡した場合の医師の責任 診療ガイドラインからの考察

■今回のテーマのポイント1.循環器疾患の訴訟では、急性冠症候群が最も多い疾患であり、PTCA(経皮的冠動脈形成術)の適応が最も多く争われている2.PTCAの適応を判断するに当たり、裁判所は、ガイドラインを重視している3.ガイドラインに反する診療を行う場合には、より高度な説明義務が課せられる事件の概要患者X(60歳)は、平成11年8月下旬に近医にて心電図異常を指摘されたことから、同年9月9日、精査目的でY病院を受診しました。Y病院にて、冠動脈造影および運動負荷タリウム心筋スペクト検査を受けた結果、右冠動脈#3に100%狭窄、左前下行枝#6に75%、#7および#8に90%の狭窄、左回旋枝#14に75%、#15に75%狭窄が認められたものの、左心室造影の結果、駆出率は73%と正常範囲であり、全周性に壁運動は保たれていたことから、冠動脈末梢部分の陳旧性心筋梗塞と診断されました。Xは、平成12年2月7日にY病院に入院し、翌8日、左前下行枝#6、#7および#8に対しPTCAが行われました。その後、5月15日に行われた冠動脈造影において、右冠動脈#3に100%狭窄、左回旋枝#15に75%を含む3ヵ所の狭窄のほか、前回PTCAを行った左前下行枝#6から#8、#9くらいのところまで、血流の遅延を伴う程度の99%狭窄が認められ、左心室造影では、左前下行枝の高度狭窄の影響と考えられる壁運動の低下が認められ、駆出率も61%と低下していること、また、前回造影時より側副血行路の発達が認められました。Xは、5月19日にY病院に入院し、22日に2回目のPTCAを受けました。しかし、PTCA施行中に左前下行枝中間部に穿孔が生じてしまい、心嚢ドレナージなど処置が行われたものの、左冠動脈主幹部に血栓性閉塞が生じ、これに対し緊急冠動脈バイパス手術が行われたのですが、翌23日、Xは死亡しました。これに対し、Xの相続人達は、(1)XにはPTCAの適応がなかったこと、(2)PTCAの手技上のミスがあったこと、(3)PTCAを施行するにあたって説明義務違反があったことなどを理由に、Y病院に対し、約8,000万円の損害賠償を請求しました。事件の判決ある症状に対して、一般的適応のある治療行為が行われた場合は、原則として、正当な医療行為と認められ、違法性を有しない(他人の身体に対して侵襲を加えることの違法性が阻却される。)が、一般的適応のない治療行為が行われた場合(当該症状が治療行為の必要のないものであったり、当該治療行為が当該症状に対しては治療効果を期待できないものであったり、治療効果に比して不相応に大きな危険を伴うものであったような場合)は、原則として、その治療行為は違法性を有するものと解される。もっとも、一般的適応のある治療行為であっても、患者の意識がないなど、患者の同意を得ることができないような状況にない限り、患者の自己決定権に基づく同意は必要であり、患者の同意がない場合は、原則として、その治療行為は違法性を有するものと解される。一般的適応については、一応、以上のように解することができるとしても、具体的な治療の場面では、当該治療行為を行う医療従事者の能力(知識・経験、技術を含む)の問題、当該治療行為に必要な医療設備ないし医療環境(助力を求めることができる他の医療従事者の有無等)の問題等、他の要因も加わって当該治療を実施することの適法性が判断されることになり、一般的適応があっても、知識・経験、技術等の点から当該医療従事者あるいは当該医療機関が当該治療行為を行うことは許されない場合もありうるし、一般的適応に欠けるところがあっても、患者の同意があれば、当該治療行為を行うことが許される場合もありうる。例えば、医療技術の進歩の著しい分野においては、一般的適応があるとはいえないが、一定の能力を有する医療従事者が、患者の同意を得て、一定の医療設備及び医療環境のもとで実施する場合には、一定の治療効果が期待できるので、当該治療行為が許されるという場合もありうるし、当該治療の実施例が少なく、当該治療行為の危険性についても、治療効果についても十分に検証されているとはいえないが、そのことを十分に患者が理解し、当該治療行為の実施を患者が望めばこれを実施することも許されるという場合もありえよう。一般的適応に欠けるところがあっても、患者の同意によって当該治療行為を行うことが許される場合について、これを患者の同意があれば当該治療行為の適応があるというのか、適応はないが、患者の同意によって治療行為としての正当性が認められるというのかは、表現の違いにすぎず、法的には、いずれにしても、患者の同意があってはじめて当該治療行為が正当な医療行為として認められるものと解される。そして、この場合の患者の同意は、一般的適応がある場合の同意と連続性を有するものではあるが、一般的適応のある治療行為が、それ自体で、原則として正当な医療行為と認められるのに対して、一般的適応に欠ける治療行為は、患者の同意があってはじめて治療行為としての正当性が認められるという意味で、より重い意義を有するものというべきである。このように、違法性の有無、軽重の観点から考えると、治療行為の適応の問題は、当該治療行為に対する患者の同意の問題と切り離すことはできない。そして、当該治療行為について、その内容を十分理解した上でその実施に患者が同意したかどうか、すなわち、当該同意が、患者の自己決定権の行使としての同意、あるいは、一般的適応に欠ける治療行為について正当性を与えるための同意として有効なものといえるかどうかは、患者が同意するか否かを合理的に判断できるだけの情報が医療従事者から患者に対して与えられたかどうか、すなわち、説明義務が尽くされたかどうかにかかることになる。・・・(中略)・・・本件適応ガイドラインに従うと、本件PTCAは(前回PTCAも)、危険にさらされた側副血行路派生血管の病変に対するもので、原則禁忌に該当するものであったということになるし、ガイドラインの記載に従えば、本件PTCAを実施するのであれば、まず、右冠動脈3番の狭窄に対してPTCAを行ってはじめて本件PTCAを行うことが許されるものであったということになるので、特段の事情がない限り、本件PTCAは一般的適応を欠くものであったというべきである。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成16年2月23日判タ1149号95頁)ポイント解説今回は、各論の3回目として、循環器疾患を紹介します。循環器疾患で最も訴訟が多い疾患は、急性冠症候群です。1)急性冠症候群に関する判決とその傾向心筋梗塞や狭心症といった急性冠症候群は、普通に日常生活を送っていた人が急速な転帰をたどり死に至ることから、争われやすい疾患といえる一方、年間死亡数が急性心筋梗塞とその他虚血性心疾患で77,217人(平成22年)と非常に多く、死亡率もいまだに高く致死的な疾患であることから、特に最近では原告勝訴率があまり高くないという特徴があります(表1)。急性冠症候群に関する訴訟において争点となるのは、本件においても争われているPTCAの適応についてが最も多く、ついで診断の遅れ、手技ミス、説明義務違反となっています(表2)。2)PTCAの適応に関する裁判所の判断わが国のCCU(心疾患集中治療室)は多くの場合、カテーテル治療を行う循環器内科医が中心となって運営されていることから、畢竟、カテーテル治療が優先的に選択される傾向があり、本判決においても、「PTCAについては、内科医が適応を決定することが多く、CABG(冠動脈大動脈バイパス移植術)よりもPTCAに重点を置いた説明がなされる傾向があるというのであり(鑑定人)、CABGよりもPTCAが患者に好まれる傾向がある」と判示されています。しかし、PTCAの適応については、本判決でも引用されているように「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン」が作成されており、これによると、PTCAの原則禁忌として、「(1)保護されていない左冠動脈主幹部病変、(2)3 枝障害で 2 枝の近位部閉塞、(3)血液凝固異常、(4)静脈グラフトのび漫性病変、(5)慢性閉塞性病変で拡張成功率の極めて低いと予想されるもの、(6)危険にさらされた側副血行路」が挙げられています。したがって、これら禁忌に該当する場合にもかかわらずPTCAが選択された場合には、第15回でも解説した通り、違法と判断されやすくなることから注意が必要となります。本件では、2枝病変で左前下行枝近位部に病変があることから、同ガイドラインによると一般的にCABGの適応であり、その上、左前下行枝に危険な側副血行路が認められ、PTCAの原則禁忌(6)に該当することから、「特段の事情がない限り、本件PTCAは一般的適応を欠くものであった」と判断されています。3)一般的適応を欠く場合における説明義務本判決の最大の特徴は、ガイドラインに適合しない治療を行う場合には、説明義務が加重されると判示した点にあります。その結果、説明義務違反があったとされ、精神的慰謝料として約1,300万円もの損害賠償が認められています。医療は進歩し続けており、新しいより良い治療を模索する諸活動が日々行われています。その中でも、まったくの新規の治療法のような研究的色彩が強いものは、臨床研究としてIRB(倫理審査委員会)の承認を経て、しっかりとしたインフォームド・コンセント(説明と同意)の下、行われるべきであることはいうまでもありません。また、一般論として、一般的適応を欠く治療を行う場合には、より丁寧なインフォームド・コンセントが行われるべきであるということも首肯できます。しかし、この一般的適応性判断を行うに当たり、ガイドラインを重視しすぎることは、本連載でも述べている通り、現状のガイドラインのあり方、そもそもとしての医療におけるガイドラインの意義を鑑みると勇み足といわざるを得ません(ただし、本件は控訴され、高裁判決では説明義務違反はないとして病院側の逆転勝訴となっています)。ただ、本判決も含め、司法はガイドラインを重視しますので、現状においては、ガイドラインに従うか否かにかかわらず、患者に対し、(1)ガイドラインが存在すること(2)それを踏まえて個別具体的に判断した結果、当該治療方針が適切であると考えていることを説明することが肝要といえます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成16年2月23日判タ1149号95頁

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新生児のアトピーにビタミンAとBCGが関与?

 アトピー性皮膚炎またはアトピー性疾患に関して、接種時期が早期か否かにかかわらずBCGワクチンの有意な影響はなかったが、新生児へのビタミンA補給はアトピー性皮膚炎の増加と関連していることが、無作為化比較試験の長期追跡調査の結果、明らかになった。また調査ではBCG瘢痕があることとアトピー性皮膚炎減少との関連も明らかになったという。オーストラリア・Indepth NetworkのN. Kiraly氏らが報告した。Allergy誌2013年9月号(オンライン版2013年8月31日号)の掲載報告。 最近の報告で、ワクチン接種や微量栄養素補給などの免疫原性介入が、アトピー感作やアトピー性疾患に影響を及ぼす可能性があるというエビデンスが示唆されていた。そこで研究グループは、無作為化試験の長期追跡調査から、新生児へのBCG接種、ビタミンA補給、その他のワクチン接種が小児期のアトピー性皮膚炎に影響を及ぼすかについて評価を行った。 試験は、アフリカ西部のギニアビサウで行われた。BCG接種については、低体重出生児を早期接種群(介入群)または後期接種群(通常群)に無作為化し、さらにサブグループについて2×2要因配置でビタミンAまたはプラセボの補給群に無作為に割り付けた。 被験者は3~9歳時まで追跡し評価した。主要アウトカムは、皮膚プリックテスト結果3mm以上を定義としたアトピー性皮膚炎の発症とした。副次アウトカムは、湿疹、喘息、食物アレルギーの症状が認められたこととした。 主な結果は以下のとおり。・281例の小児が、評価が有効な皮膚プリックテストを受けた。そのうち14%(39/281例)でアトピー性皮膚炎が認められた。・BCGの接種時期の違いによるアトピー性皮膚炎発症の有意差はみられなかった(OR:0.71、95%CI:0.34~1.47)。・BCG瘢痕を有する小児では、アトピー性皮膚炎の有意な減少が認められた(同:0.42、0.19~0.94)。・ビタミンA補給は、アトピー性皮膚炎増大と関連していた(同:2.88、1.26~6.58)。とくにBCGを同時投与された例での関連が大きかった(同:5.99、1.99~18.1、ビタミンA補給とBCGの相互作用のp=0.09)。・BCG接種はアトピー性疾患と関連していなかった。しかしビタミンA補給は、過去12ヵ月以内の喘息オッズ比増大と関連していた(同:2.45、1.20~4.96)。

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老人保健施設内の転倒事故

内科最終判決平成15年6月3日 福島地方裁判所 判決概要老人保健施設入所中の95歳女性、介護保険では要介護2と判定されていた。独歩可能で日中はトイレで用を足していたが、夜間はポータブルトイレを使用。事故当日、自室ポータブルトイレの排泄物をナースセンター裏のトイレに捨てにいこうとして、汚物処理場の仕切りに足を引っかけて転倒した。右大腿骨頸部骨折を受傷し、手術が行われたが、転倒したのは施設側の責任だということで裁判となった。詳細な経過患者情報明治38年生まれ、満95歳の女性。介護保険で要介護2の認定を受けていた経過平成12年10月27日老人保健施設に入所。入所動機は、主介護者の次女が入院することで介護者不在となったためであった。■入所時の評価総合的な援助の方針定期的な健康チェックを行い、転倒など事故に注意しながら在宅復帰へ向けてADLの維持・向上を図る。骨粗鬆症あり、下半身の強化に努め転倒にも注意が必要である。排泄に関するケア日中はトイレにいくが夜間はポータブルトイレ使用。介護マニュアルポータブルトイレ清掃は朝5:00と夕方4:00の1日2回行う。ポータブルトイレが清掃されていない場合には、患者はトイレに自分で排泄物を捨てにいったが、容器を洗う場所はなかったので排泄物の処理と容器の洗浄のために、ときおり処理場を利用していた。どうにか自分で捨てにいくことができたので、介護職員に頼むことは遠慮して、自分で捨てていた。1月8日05:00ポータブルトイレの処理状況「処理」17:00ポータブルトイレの処理状況「処理していない」夕食を済ませ自室に戻ったが、ポータブルトイレの排泄物が清掃されておらず、夜間もそのまま使用することを不快に感じ自分で処理場に運ぼうとした。18:00ポータブルトイレ排泄物容器を持ち、シルバーカー(老人カー)につかまりながら廊下を歩いてナースセンター裏のトイレにいき(約20m)、トイレに排泄物を捨てて容器を洗おうと隣の処理場に入ろうとした。ところが、その出入口に設置してあるコンクリート製凸状仕切り(高さ87mm、幅95mm:汚物が流れ出ないようにしたもの)に足を引っかけ転倒した。職員が駆け寄ると「今まで転んだことなんかなかったのに」と悔しそうにいった。そのまま救急車で整形外科に入院し、右大腿骨頸部骨折と診断された。平成13年1月12日観血的整復固定術施行。3月16日退院。事故の結果、創痕、右下肢筋力低下(軽度)の後遺症が残り、1人で歩くことが不自由となった。3月7日要介護3の認定。誠意の感じられない施設側に対し、患者側が損害賠償の提訴に踏み切る(なお事故直後の平成13年1月20日、仕切りの凸部分を取り除くための改造工事が施工された)。当事者の主張入所者への安全配慮義務患者側(原告)の主張施設側は介護ケアーサービスとして入所者のポータブルトイレの清掃を定時に行うべき義務があったのに怠り、患者自らが捨てにいくことを余儀なくされて事故が発生した。これは移動介助義務、および入所者の安全性を確保することに配慮すべき義務を果たさなかったためである。病院側(被告)の主張足下のおぼつかないような要介護者に対しては、ポータブルトイレの汚物処理は介護職員に任せ、自ら行わないように指導していた。仮にポータブルトイレの清掃が行われなかったとしても、自らポータブルトイレの排泄物容器を処理しようとする必要性はなく、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである。ところが事故発生日に患者が介護職員にポータブルトイレの清掃を頼んだ事実はない。したがって、入所者のポータブルトイレの清掃を定時に行うべき義務と事故との間に因果関係は認められない。工作物の設置・保存の瑕疵患者側(原告)の主張老人保健施設は身体機能の劣った状態にある要介護老人の入所施設であるという特質上、入所者の移動などに際して身体上の危険が生じないような建物構造・設備構造が求められている。処理場の出入口には仕切りが存在し、下肢機能が低下している要介護老人の出入りに際して転倒などの危険を生じさせる形状の設備であり「工作物の設置または保存の瑕疵」に該当する。病院側(被告)の主張処理場内の仕切りは、汚水などが処理場外に流出しないことを目的とするもので、構造上は問題はなく、入所者・要介護者が出入りすることは想定されていない。したがって、工作物の設置または保存の瑕疵に該当しない。入所者への安全配慮義務患者側(原告)の主張ポータブルトイレの清掃を他人に頼むのは、患者が遠慮しがちな事項であり、職員に頼まずに自分で清掃しようとしたからといって、入所者に不注意があったとはいえいない。病院側(被告)の主張高齢であるとはいえ判断力には問題なかったから、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである。そのように指導されていたにもかかわらず、自ら処理しようとした行動には患者本人の過失がある。裁判所の判断記録によれば、ポータブルトイレの清掃状況は、外泊期間を除いた29日間(処理すべき回数53回)のうち、ポータブルトイレの尿を清掃した「処理」23回トイレの中をみた「確認」15回声をかけたが大丈夫といわれた「声かけ」が2回「処理なし」3回「不明」10回とあるように、必ずしも介護マニュアルに沿って実施されていたわけではない。しかも、実施したのかどうか記録すら残していないこともある。居室内に置かれたポータブルトイレの中身が廃棄・清掃されないままであれば、不自由な体であれ、老人がこれをトイレまで運んで処理・清掃したいと考えるのは当然である。施設側は「ポータブルトイレの清掃がなされていなかったとしても、自らポータブルトイレの排泄物容器を処理しようとする必要性はなく、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである」と主張するが、上記のようにポータブルトイレの清掃に関する介護マニュアルが遵守されていなかった状況では、患者がポータブルトイレの清掃を頼んだ場合に、施設職員がただちにかつ快くその求めに応じて処理していたかどうかは疑問である。したがって、入所者のポータブルトイレの清掃をマニュアルどおり定時に行うべき義務に違反したことによって発生した転倒事故といえる。また、老人保健施設は身体機能の劣った状態にある要介護老人が入所するのだから、その特質上、入所者の移動ないし施設利用などに際して、身体上の危険が生じないような建物構造・設備構造がとくに求められる。ところが、入所者が出入りすることがある処理場の出入口に仕切りが存在すると、下肢の機能の低下している要介護老人の出入りに際して転倒などの危険を生じさせる可能性があり、「工作物の設置または保存の瑕疵」に該当するので、施設側の賠償責任は免れない。原告側合計1,055万円の請求に対し、合計537万円の判決考察このような判決をみると、ますます欧米並みの「契約社会」を意識しなければ、医療従事者は不毛な医事紛争に巻き込まれる可能性が高いことを痛感させられます。今回は、95歳という高齢ではあったものの、独歩可能で痴呆はなく、判断力にも問題はなかった高齢者の転倒事故です。日中はトイレまで出かけて用を足していましたが、夜は心配なのでベッド脇に置いたポータブルトイレを使用していました。当初の介護プランでは、1日2回ポータブルトイレを介護職員が掃除することにしました。ところが律儀な患者さんであったのか、排泄物をどうにか自分でトイレに捨てにいくことができたので、施設職員に頼むことは遠慮して、時折自分で捨てていたということです。そのような光景をみれば誰しもが、「ポータブルトイレの汚物をトイレまで捨てにいくことができるのなら、リハビリにもなるし、様子を見ましょう」と考えるのではないでしょうか。そのため、最初に定めたマニュアル(1日2回ポータブルトイレの確認・処理)の遵守が若干おろそかになったと思われます。ところが、ひとたび施設内で傷害事故が発生すると、どのようなマニュアルをもとに患者管理を行っていたのか必ずチェックされることになります。本件では「ポータブルトイレ清掃は朝5:00夕方4:00の1日2回行う」という介護マニュアルが、実態とはかけ離れていたにもかかわらず、変更されることなく維持されたために、施設側が賠償責任を負う結果となりました。したがって、はじめに定めた看護計画や介護計画については、はたして実態に即しているのかどうか、定期的にチェックを入れることがきわめて重要だと思います。もし本件でも、本人や家族とポータブルトイレの汚物処理について話し合いがもたれ、時折自分で処理をすることも容認するといったような合意があれば、このような一方的な判断にはならずにすんだ可能性があります。次に重要なのが、一見転倒の心配などまったく見受けられない患者であっても、不慮の転倒事故はいつ発生してもおかしくないという認識を常に持つことです。ほかの裁判例でもそうですが、病院あるいは老人施設には、通常の施設とは異なる「高度の安全配慮義務」が課せられていると裁判所は考えます。そのため、自宅で高齢者が転倒したら「仕方がない事故」ですが、病院あるいは老人施設では「一般の住宅や通常の施設とは違った、利用者の安全へのより高度な注意義務が課せられている」と判断されます。つまり、わずかな段差や滑りやすい床面などがあれば、転倒は「予見可能」であり、スタッフが気づかずに何も手を打たないと「結果回避義務をつくさなかった」ことで、病院・施設側の管理責任を必ず問われることになります。高齢になればなるほど、身体的な問題などから転倒・転落の危険性が高くなりますが、24時間付きっきりの監視を続けることは不可能ですから、あらかじめリスクの高いところへは、患者さんができる限り足を踏み入れないようにしなければなりません。たとえば、防火扉、非常口、非常階段などは、身体的に不自由な患者さんにとってはハイリスクエリアと考え、そこへは立ち入ることがないよう物理的なバリアを設けたり、リハビリテーションを兼ねた歩行練習は安全な場所で行うようにするなど、職員への周知を徹底することが肝心だと思います。内科

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経口CMX001、造血細胞移植患者のCMV感染症予防効果は/NEJM

 サイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防的治療薬として有望視されている経口CMX001について、米国・ダナファーバーがん研究所のFrancisco M. Marty氏らが造血細胞移植レシピエントを対象に、用量効果と安全性を評価する無作為化試験を行った。その結果、100mg週2回量が有意にイベント発生率を低下させることが示された。CMX001は当初、天然痘薬として開発されたが、in vitroでCMVやその他の二本鎖DNAウイルスに対して強い抗ウイルス活性があることが示され、また動物モデルにおけるCMV感染症治療薬としての効果はシドフォビル(国内未承認)の約400倍であることが示されていたという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。プラセボ対照で用量効果と安全性を評価 同種異系造血細胞移植を受けた患者におけるCMX001の安全性と抗CMV活性について調べることを目的に、研究グループは、2009年12月~2011年6月に評価可能であったCMV血清陽性の成人レシピエント患者230例を全米27施設から登録した。 試験はこれらの患者を3対1の割合で、経口CMX001投与群またはプラセボ群に割り付け行われた。またCMX001投与群は、用量漸増二重盲検デザインに即した5つのコホート(40mg週1回、同100mg、同200mg、100mg週2回、同200mg)に割り付けられた。無作為化は、急性移植片対宿主病およびCMV DNAの有無によって層別化して行われた。 試験薬の投与は、生着後9~11週後とし、移植後13週間までとした。血漿CMV DNAのPCR法を毎週行い、治療が必要と判断されるレベルのCMV DNA値が検出された患者には、試験薬の投与中止と抗CMVの先制治療(preemptive therapy)を行った。 主要エンドポイントはCMVイベントの発生で、CMV感染症または試験薬中止時の血漿CMV DNA値が200コピー/mL超の場合と定義した。100mg週2回投与がイベント発生を有意に低下 結果、CMVイベントの発生は、プラセボ群(37%)との比較で、CMX001の100mg週2回投与群(10%)において有意に低下した(絶対リスク差:-27ポイント、95%信頼区間[CI]:-42~-12ポイント、p=0.002)。その他の投与群では有意差はみられず、40mg週1回群の絶対リスク差は15ポイント(p=0.23)、同100mg群は-15(p=0.22)、同200mg群は-6(p=0.53)、200mg週2回群は-14(p=0.24)だった。 CMV感染症は9例で発生がみられた。そのうち2例はプラセボ群で、投与群は7例(40mg週1回群が3例、同100mg群が3例、100mg週2回群が1例)だった。 また、感染症の発症または保菌状態の進行(CMV DNA>1,000コピーと定義)を評価した結果、ベースラインで感染が検出された患者は、200mg週1回超の投与でコントロールできること、同非検出者には100mg週1回超投与が有意に有効であることが示された。 一方、安全性については、200mg週1回超投与患者において、下痢が高頻度に認められ、200mg週2回が用量制限であることが示された。骨髄抑制と腎毒性は認められなかった。

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重度精神障害の機能評価ツール、その信頼性は

 スペイン・オビエド大学のMaria P. Garcia-Portilla氏らは、統合失調症および双極性障害患者を対象とし、重度精神障害患者の機能評価ツールとしてUniversity of California Performance Skills Assessment(UPSA)スペイン版の信頼性、妥当性の評価を行った。その結果、UPSAスペイン版はその他の機能評価ツールと良好な相関を示し、信頼性の高い検証ツールであり、「機能アウトカムのモニタリング手段として臨床試験および日常診療での活用が望ましい」と報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 重度精神障害患者における、UPSAスペイン版の検証を目的とし、自然的、6ヵ月間フォローアップ、多施設共同、バリデーション試験を行った。対象は、統合失調症患者139例、双極性障害患者57例、対照31例とし、スペイン版UPSA(Sp-UPSA)、Clinical Global Impression, Severity(CGI-S)、Global Assessment of Functioning(GAF)および Personal and Social Performance(PSP)などのスケールを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。<信頼性>・統合失調症における内部整合性(クロンバックのα係数)は0.81、双極性障害では0.58であった。Test-retestは、それぞれ0.74、0.65(p<0.0001)であった。<構成のValidity>・Sp-UPSAとPSP総スコア間のピアソン相関係数は、統合失調症が0.42(p<0.0001)、双極性障害が0.44(p=0.001)であった。・Sp-UPSAとGAFスコアの相関係数は、それぞれ0.43、0.52(p<0.0001)であった。<弁別的Validity>・ Sp-UPSAにより、患者と対照が識別された。・統合失調症患者において、CGI-Sスコアによる疾患重症度の相違が識別された。・統合失調症における対照/患者の曲線下面積は0.89、カットオフ値85における感度は82.7%、特異度は77.4%であった。・双極性障害における対照/患者の曲線下面積は0.85、カットオフ値90における感度は82.5%、特異度は64.5%であった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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日本人へのトホグリフロジン投与、単剤・併用での長期試験成績が発表

高選択的SGLT2阻害薬※トホグリフロジン(承認申請中)について、日本人における長期安全性と有効性を検討した成績が、山口大学の谷澤 幸生氏らにより報告され、トホグリフロジンの単独および併用における忍容性と有効性が確認された。演題では、食事療法・運動療法のみで血糖管理不十分な2型糖尿病患者に本剤を単独投与したMONO試験(安全性解析対象191例)、および既存の経口糖尿病治療薬(OAD)6種類のうちいずれかと併用したCOMBO試験(同593例)の結果が発表された。いずれもトホグリフロジン20mg群または40mg群にランダム化され、投与52週時の安全性と有効性が検討されている。主要評価項目は安全性、副次評価項目は52週時における、ベースラインからのHbA1c変化量、体重変化量を含むさまざまな代謝関連指標の変化量である。トホグリフロジンは、最も高選択的にSGLT2を阻害するとされる新しい経口血糖降下薬であり、現在国内で2型糖尿病を適応症として承認申請段階にある。結果は以下のとおり。総有害事象の頻度は単独・併用の両試験の合計で664例(84.7%)観察されたものの、重篤な有害事象は54例(6.9%)、投薬中止に至った有害事象は35例(4.5%)であった。5.0%以上の有害事象として、口渇、頻尿、低血糖、血中ケトン体増加などがあったが、臨床症状を伴うケトン体増加やケトアシドーシスはみられなかった。SU薬との併用時に他の経口薬との併用時と比べて低血糖頻度がわずかに高くなっていること、およびSU薬併用時のみで中等度の事象が3例起きていることに留意する必要があるものの、単剤・併用で重度の低血糖の報告はなかった。膀胱炎・尿路感染症の頻度は0.5%~4.7%、性器感染症の頻度は0.0%~3.4%であり、ほとんどが軽度かつ一過性なものであった。52週時のHbA1c変化量は、MONO試験で-0.67%、-0.66%(20mg、40mg)、COMBO試験で-0.77%、-0.87%(同)であり、COMBO試験ではいずれの経口薬と併用した場合においても同等の低下作用が確認された。体重変化量は、MONO試験で-3.06g、-3.44kg(同)、COMBO試験で-2.51kg、-2.98kg(同)で、体重低下は併用薬ごとに違いがあり、とくに40mg群ではαGIやメトホルミンとの併用時にわずかに強かった。その他、ウエスト周囲径の減少やアディポネクチンの増加、収縮期血圧の低下、HDL-C上昇などのメタボリックシンドローム関連因子やインスリン抵抗性指標であるHOMA‐IRが有意に改善していた。以上の結果より、トホグリフロジンの忍容性が確認され、トホグリフロジンは単独および既存の経口血糖降下薬との併用において2型糖尿病の新たな治療オプションとなることが示唆された。※高選択的SGLT2阻害薬は、腎尿細管において糖の再吸収に関与するトランスポーターのナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)を阻害し、血糖値依存的に尿糖排泄を促すことで血糖低下作用を発揮する。低血糖のリスクは低く、体重減少作用を有すると注目されている。

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GLP-1受容体作動薬「Albiglutide」、BG薬への上乗せ効果

長時間作用型GLP-1受容体作動薬であるAlbiglutideの長期有効性と安全性を検討した試験HARMONY3について、グラクソ・スミスクラインのM.Stewart氏らにより報告された。本試験は、メトホルミン単剤で血糖管理不十分な2型糖尿病患者にAlbiglutideを3年間投与する第III相二重盲検ランダム化比較試験。米国と欧州で実施されており、今回は2年間までの中間報告である。プラセボ群(104例、週1回)、シタグリプチン群(313例、100mg/日)、グリメピリド群(317例、2mg/日~4mg/日まで漸増)、Albiglutide群(315例、30mg/週~50mg/週まで漸増)の約1,000例が対象となっている。結果は以下のとおり。各群のベースラインから104週後のHbA1c変化量は、プラセボ群に比較していずれの実薬3群においても、低下が認められたが、Albiglutide群での低下作用が最も大きかった。プラセボ群(n=100):2.95(95%CI:0.55~5.47)シタグリプチン群(n=300):-3.06(同:-4.48~-1.64)グリメピリド群(n=302):-3.94(同:-5.36~-2.62)Albiglutide群(n=297):-6.89(同:-8.31~-5.57)また、体重ではAlbiglutide群は、プラセボ群より-0.2kg[95%CI:-1.1~0.7]、およびシタグリプチン群より-0.4kg[同:-1.0~0.3]と同等の体重減少が確認され、グリメピリド群との比較において-2.4kg[同:-3.0~-1.7]と有意な減少が示された。要救助高血糖状態の発生率は、プラセボ群59%、シタグリプチン群36%、グリメピリド群33%、Albiglutide群26%と、Albiglutide群において最も低頻度であった。その他、Albiglutide群での主な有害事象は、上気道感染症、下痢、吐き気などGLP-1受容体作動薬として既知の内容であった。以上のことから、Albiglutideの週1回投与は、シタグリプチンおよびグリメピリドよりもHbA1c低下効果に優れており、また同剤の高い忍容性も示唆された。

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薬物療法専門薬剤師に期待するもの -がん薬物療法専門医の立場から-

東北大学の加藤俊介氏は9月21日、宮城県仙台市で開催された日本医療薬学会のなかで「がん薬物療法専門医の立場から見た薬物療法専門薬剤師に期待するもの」をテーマに講演した。近年の医療の高度化、多様化は薬剤師の職務にも影響しており、薬剤師はチーム医療の一員としてより専門的な知識が求められている。専門薬剤師認定制度は、日本病院薬剤師会および日本医療薬学会が定める専門薬剤師の認定制度であり、資格取得を通じて生涯学習と自己研鑽を促し、さまざまな分野で専門的な知識を持った薬剤師を育成するものである。専門薬剤師認定制度が誕生したことで、わが国の医師不足の現状に対する医師の業務負担を分散し、軽減化する効果も期待されている。薬物療法専門薬剤師は、日本医療薬学会が認定する三番目の専門薬剤師認定資格として、昨年新たに追加された。薬物療法専門薬剤師は、分野を問わず幅広い知識を持ち、各領域の専門薬剤師(がん専門薬剤師や妊婦・授乳婦専門薬剤師など)同士をつなぐスーパージェネラリストとしての役割が期待されている。とくにがん治療におけるチーム医療では、がん進行度による治療の担い手とその役割が多種多様であり、薬物療法を行ううえでは副作用や治療に伴う周辺症状をケアする支持療法が欠かせない。近年では分子標的薬を投与する機会が増え、骨髄抑制に留まらず全身にさまざまな副作用が引き起こされる可能性がある。そのため、特定の臓器や疾患に限定することなく幅広い視野で患者を診ることができる医師・薬剤師が求められている。すでに医師には、「総合診療医」という専門医を育成する新制度が整いつつあるが、薬物療法専門薬剤師認定制度はその制度に似た位置付けとなるだろう。加藤俊介氏は最後に「現在、専門医・専門薬剤師の確立により疾患ごとのチーム医療は構築されつつある。薬物療法専門薬剤師は複数のチーム医療の下支え的な役割を担ってもらいたい。チーム医療間での密な連携ができれば、より良い医療を提供することにつながるだろう」と述べた。(ケアネット 岸田有希子)

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医師個人への特別報酬が降圧治療の質を改善させた/JAMA

 高血圧治療について、特別報酬を医師個人、診療所あるいは両者の、いずれにつけると質的改善の効果があるのかを検討した結果、医師個人へつけることのみ、良好な血圧コントロール達成もしくは努力への有意な増大がみられたことが示された。また特別報酬をいずれにつけても、つけなかった対照群と比較して、ガイドラインで推奨されている薬物療法の使用が有意に増大することはなく、低血圧症の発症も増大しなかったという。米国・マイケル E. デバキー退役軍人(VA)医療センターのLaura A. Petersen氏らが無作為化試験を行った結果、報告した。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告より。特別報酬の効果を、医師個人vs.診療所vs.両者の支払先別で検証 研究グループは、ガイドライン推奨の高血圧治療実施に対して特別報酬を支払うことの効果について検討する、VA外来専門クリニック12施設を対象としたクラスター無作為化試験を行った。試験は、5つの特別報酬対象期間とその後12ヵ月の非介入期間からなり、83人のプライマリ・ケア医と42人の非医師(看護師、薬剤師など)が参加した。 試験では、特別報酬の支払いについて、医師個人レベル(19例)、診療所レベル(20例)、または両者に支払う(19例)という支払い群と、対照群として支払いなし群(19例)を設定した。特別報酬は4ヵ月ごとに支払われた。 試験は2007年2月に、まず参加者に対して特別報酬支払いおよび割り付け情報を含めた本試験概略の説明・講習が行われ、同年8~11月をベースライン期間とし、その後2008年4月から介入(4ヵ月を1期間とする)が開始された。2010年4月に最後のフィードバックが行われ、その後12ヵ月間を非介入期間として治療の継続性について評価した。 主要評価項目は、ガイドライン推奨の血圧閾値を達成した患者数、あるいは血圧コントロール不良に対して適切な治療を受けている患者数、またはガイドライン推奨薬物療法の処方を受けている患者数、および低血圧症を発症した患者数とした。血圧コントロール達成・努力への変化、医師個人群でのみ有意に変化 本試験期間中に支払われた特別報酬の平均総額(SD)は、医師個人群2,672(153)ドル、診療所群1,648(248)ドル、複合群に対しては4,270(459)ドルであった。 血圧コントロールおよび適切治療に関するベースラインからの変化値(達成患者・適切治療中患者数の変化を%で評価)は、対照群(86%→86%、0.47%増大)と比較して、医師個人群でのみ、有意な増大がみられた(75%→84%、8.84%増大、対照群との変化の格差は8.36%、同格差のp=0.005)。診療所群の変化値は3.70%(80%→85%、同格差のp=0.26)、複合群は同5.54%(79%→88%、同格差のp=0.09)で有意差はみられなかった。 一方で、ガイドライン推奨薬物療法の利用については、対照群(63%→72%、4.35%増大)と比較していずれの群も増大はしていたが、有意差はみられなかった。医師個人群は9.07%増大(61%→73%、格差のp=0.09)、診療所群4.98%増大(56%→65%、格差のp=0.81)、複合群7.26%増大(65%→80%、格差のp=0.30)だった。 また、低血圧症の発生についても有意な増大はみられなかった(介入群対対照群の発生比1.2%vs. 1.4%、p=0.18)。 なお特別報酬の効果は、非介入期間後は継続性がみられなかった。 著者は、今回得られた所見に関与する因子について、さらなる検討にて調べることが必要だとまとめている。

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さわやま流 音楽的聴診術

第3回「収縮期の雑音」第4回「拡張期・その他の雑音」 心音・心雑音のリズムや強弱を、楽譜のようにグラフィック化。目と耳で学べるので、聴診があまり得意でない方にも楽しんで理解して頂けます。下巻で取り上げるのは収縮期と拡張期の雑音です。駆出性雑音と逆流性雑音の伝播方向の違い、大動脈駆出音と肺動脈駆出音の見分け方、収縮期と拡張期を行き来するブランコ雑音の正体、機関車の走行音に聴こえる雑音など、ポイントを分かりやすく解説します。第3回「収縮期の雑音」収縮期駆出性雑音はなぜ漸増漸減型に聴かれ、収縮期逆流性雑音は平坦な音として聴かれるのか?駆出性雑音と逆流性雑音の伝播方向の違いとは?雑音を伴う過剰心音「大動脈駆出音」と「肺動脈駆出音」の見分け方は?収縮期逆流性雑音の左心側と右心側の違いは?などなど、心雑音を聴き分けるためのヒントを示し、あなたの心雑音についての疑問を次々と解消していきます。また恒例の"sound file"では、音楽的にしっかりと心雑音を把握し、心音と心雑音の関係を目で見て納得していただきます。心雑音の聴き分けは弁膜疾患や先天性の心臓病の診断に非常に有効です。第4回「拡張期・その他の雑音」 音楽的に心音・心雑音を学ぶシリーズ最終回。拡張期の雑音、収縮期と拡張期にまたがる雑音、不整脈を学習します。大動脈弁閉鎖不全が重症化すると雑音はどうなるのか?収縮期と拡張期を行き来するブランコ雑音の正体は何か?機関車の走行音に聴こえる雑音とは?不整脈時に駆出性雑音と逆流性雑音を見分ける方法とは?心雑音を聴き分けるためのヒントを示し、あなたの心雑音についての疑問を次々と解消していきます。最後に、カテーテル検査やエコー検査が幅を利かせる現在において「聴診が何故必要なのか?」を、沢山先生に熱く語っていただきます。本シリーズに登場した「sound file」は32種類。これを観れば(聴けば)、聴診への親しみ、理解度が深まることは間違いありません。「さわやま流聴診術」を是非自分のものにして下さい!

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MRSA感染症が原因で心臓手術から6日後に死亡したケース

感染症最終判決判例時報 1689号109-118頁概要心臓カテーテル検査で冠状動脈3枝病変が確認され、心臓バイパス手術が予定された63歳男性。手術前に咳、痰、軽度の咽頭痛が出現し、念のため喀痰を培養検査に提出したが、検査結果を待たずに予定通り手術が行われた。術後から38℃以上の発熱が続き、喀痰やスワンガンツカテーテルの先端からはMRSAが検出された。集中治療にもかかわらずまもなくセプシスの状態となり、急性腎不全が原因で術後6日目に死亡した。なお、術後に問題となったMRSAは術前の喀痰培養で検出されたものと同一であった。詳細な経過患者情報既往症として脳梗塞、心筋梗塞を指摘されていた63歳男性経過1991年1月近医の負荷心電図検査で異常を指摘された。2月18日某大学病院外科を紹介受診。ニトロールRを処方され外来通院開始(以後手術まで胸痛はなく病態は安定)。3月4日~3月6日心臓カテーテル検査のため入院。■冠状動脈造影結果左冠状動脈前下行枝完全閉塞左回旋枝末梢の後側壁枝部分で閉塞右冠状動脈50~75%の狭窄心拍出量3.84L左心室駆出率56%左室瘤および心尖部の血栓(+)以上の所見をもとに、主治医はACバイパス手術を勧めた。患者は仕事が一段落するのを待って手術を承諾(途中で海外出張もこなした)。5月28日大学病院外科に入院、6月12日に手術が予定された。6月4日頭部CT検査で右大脳基底核、右視床下部の脳梗塞を確認。神経内科の診察では右上下肢の軽度知覚障害、右バビンスキー反射陽性が確認された。6月8日(手術4日前)咳と喉の痛みが出現。6月9日(手術3日前)研修医が診察し、咳、痰、軽度の咽頭痛などの所見から上気道炎と診断し、イソジンガーグル®、トローチなどを処方。6月10日(手術2日前)研修医の指示で喀痰の細菌培養を提出(研修医から主治医への報告なし)。6月12日09:00~18:00ACバイパス手術施行。6月13日00:00~4:00術後の出血がコントロールできなかったため再開胸止血術が行われた。09:00体温38.7℃、白血球5,46013:00手術前に提出された喀痰培養検査でMRSA(感受性があるのはゲンタマイシン、ミノマイシン®のみ)が検出されたと報告あり。主治医は術後の抗菌薬として(MRSAに感受性のない)パンスポリン®、ペントシリン®を投与。6月14日体温38.6℃、白血球12,900、強い腹痛が出現。6月15日体温38.9℃、白血球11,490、一時的な低酸素によると思われる突然の心室細動、心停止を来したが、心臓マッサージにより回復。6月16日体温39.5℃と高熱が続く。主治医はMRSA感染をはじめて疑い、感受性のあるゲンタマイシンを開始。再度喀痰培養を行ったところ、術前と同じタイプのMRSAが検出された。6月17日顔面、口角を中心としたけいれんが出現し、意識レベルが低下。また、尿量が減少し、まもなく無尿。カリウムも徐々に上昇し最高値8.1となり、心室細動となる。スワンガンツカテーテル先端からもMRSAが検出されたが、血液培養は陰性。6月18日12:30腎不全を直接死因として死亡(術後6日目)。当事者の主張患者側(原告)の主張1.培養検査の結果を待たずに手術を行った過失今回の手術は緊急性のない待機的手術であったのに、喀痰検査の結果を確認することなく、さらにMRSAの除菌を完全に行わずに手術に踏み切ったのは主治医の過失である2.術後管理の過失手術直後からMRSA感染が疑われる状況にありながら、MRSAに効果のある薬剤を開始するのが4日も遅れたために適切な治療を受ける機会を逸した3.死亡との因果関係担当医の過失によりMRSA感染症による全身性炎症反応症候群からショック状態となり、腎不全を引き起こして死亡した病院側(被告)の主張1.培養検査の結果を待たずに手術を行った点について入院病歴から判断して狭心症重症度3度に該当する労作性狭心症であり、左冠状動脈前下行枝完全閉塞、右冠状動脈75%狭窄、心筋虚血のある状態ではいつ何時致命的な心筋梗塞が発症しても不思議ではなかったので、速やかに手術を行う必要があったまた、一般にすべての心臓手術前に細菌培養検査を実施する必要はないので、本件でも術前に行った喀痰培養の結果が判明するまで手術を待つ必要はなかった。確かに術前の喀痰検査でMRSAが陽性であったが、術前はMRSAの保菌状態にあったに過ぎず、MRSA感染症は発症していない2.術後管理について心臓手術後は通常みられる術後急性期の経過をたどっており、MRSA感染症を発症したことを考えるような臨床所見はなかった。そして、MRSAを含めた感染症の可能性を考えて、各種培養検査を行い、予防的措置として広域スペクトラムを持つ抗菌薬を投与するとともに術前の喀痰培養で検出されたMRSAに感受性を示す抗菌薬も開始した3.死亡との因果関係死亡に至るメカニズムは、元々の素因である脳動脈硬化性病変によりけいれん発作が出現し、循環動態が急激に悪化して急性腎不全となり、心停止に至ったものである。MRSAは喀痰およびスワンガンツカテーテルの先端から検出されたが、血液培養ではMRSAが検出されていないのでMRSA感染症を発症していたとはいえず、死亡とMRSA感染症は関係ない裁判所の判断緊急性のない心臓バイパス手術に際し、上気道炎に罹患していることに気付かず、さらに喀痰培養の検査中であることも見落として検査結果を待つことなく手術を行ったのは主治医の過失である。さらに術後高熱が続いているのに、術前の喀痰培養でMRSA、が検出されたことを知った後もMRSA感染症を疑わず、MRSAに感受性のある抗菌薬を投与したのは症状がきわめて悪化してからであったのは術後管理の明らかな過失である。その結果MRSA感染症からセプシスとなり、急性腎不全を併発して死亡するという最悪の結果を迎えた。原告側合計3億257万円の請求に対し、1億5,320万円の判決考察MRSAがマスコミによって大きく取り上げられ社会問題化してからは、多くの病院で「院内感染症対策マニュアル」が整備され、感染症対策委員会を設けて病院全体としてMRSAをはじめとする院内感染に細心の注意を払うようになったと思います。今回の大学病院でも積極的に院内感染症対策に取り組み、緊急の場合を除いて感染症の所見があれば(たとえ軽症であっても)MRSA感染の有無を確認し、もしMRSA感染が判明すれば侵襲の大きい手術は行わないという原則が確立していました。こうしたMRSAに対する十分な配慮が行われていたにもかかわらず、なぜ今回のような事故が発生したのでしょうか。その答えとして真っ先に思い浮かぶのが、「院内のコミュニケーション不足」であると思います。今回の手術に際して、患者さんと頻繁に接していたのはネーベンである研修医であったと思います。その研修医が患者さんから手術の3日前に「喉が痛くて咳や痰がでる」という症状の申告を受けたため、イソジンガーグル®によるうがいを励行するように指導し、トローチを処方しました。そして、「念のため」ではあると思いますが、痰がでるという症状に対し細菌感染を疑って喀痰培養を指示しました。以上の対応は、研修医としてはマニュアル化された範囲内でほぼ完璧であったと思います。ところが、この研修医はオーベンである主治医に培養検査を行ったことを報告しなかったうえに(実際には報告したのにオーベンが忘れていたのかもしれません)、おそらく培養検査を提出したこと自体を失念したのでしょうか、検査結果がでるのを待たずに予定通り手術が行われてしまいました(通常の培養検査は結果が判明するまでに3~4日はかかりますので、手術の2日前に培養検査を提出したのであれば、培養結果の報告は早くても手術当日か手術直後になることを当然予測しなければなりません)。その背景として、複数の患者を受け持つ一番の下働きである研修医は、日常のオーダーを出すだけでもてんてこ舞いで、寝る時間も惜しんで働いていたであろうことは容易に想像できます。そのためにたかが風邪に対する喀痰培養検査に重きを置かなかったことは、同じ医師としてやむを得ない面はあると理解はできます。一方で、研修医に間違いがないかどうかをチェックするのがオーベンの重要な仕事であるのに、今回のオーベンは術前に喀痰培養検査が行われたことなどつゆ知らず、ましてや手術の翌日に「術前喀痰培養でMRSA陽性」と判明した後も何ら対策をとりませんでした。おそらく、「MRSAが検出されたといっても、院内に常在する細菌なので単なる「保菌状態」であったのだろう、術前には大きな問題はなかったのでまさかMRSA感染症にまで発展するはずはない」と判断したのではないかと思います。つまり本件では、「術前に喀痰培養を行ったので、手術をするにしても培養結果がでてからにしてください」とオーベンにいわなかった研修医と、「研修医が術前に喀痰培養を行った」ことをまったく知らなかった(普段から研修医の出す指示をチェックしていなかった?)オーベンに問題があったと思います(なお裁判では監督責任のあるオーベンだけが咎められて、研修医は問題になっていません)。心臓手術のように到底一人の医師だけではすべてを担当できないような病気の場合には、チームとして治療に当たる必要があります。つまり一人の患者さんに対して複数の医師がかかわることになりますので、医師同士のコミュニケーションをなるべく頻繁にとり、たとえ細かいことであってもできる限り情報は共有しておかなければなりません。そうしないと今回の事例のような死角が生じてしまい、結果として患者さんはもちろんのこと、医師にとってもたいへん不幸な結果を招く可能性があるという、重要な教訓に与えてくれるケースであると思います。感染症

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ペイフォーパフォーマンス、小規模診療所でも効果/JAMA

 効率的で質の高い医療に対して高い報酬を支払うというペイフォーパフォーマンス(P4P)プログラムについて、電子カルテ(electronic health records)を導入する小規模診療所(大半が医師1、2人のいわゆる一人医師診療所)でも適度に効果があることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNaomi S.Bardach氏らによる無作為化試験の結果で、通常ケアと比較してP4Pを導入した診療所のほうが心血管疾患治療のプロセスとアウトカムについて、わずかだが改善が認められたという。これまでP4Pの効果に関する評価は、大部分が大規模なグループ診療所を対象としたもので、米国人の大半が治療を受けている小規模診療所については明らかでなかった。また、慢性疾患の管理に関して電子カルテとP4Pを導入した同診療所をサポートするかも検証されていなかった。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告より。特別報酬とベンチマークテストを課す施設と四半期報告のみの施設に無作為化し検証 試験は2009年4月~2010年3月の間、ニューヨークの小規模診療所(医師10人未満)を対象としたクラスター無作為化試験であった。参加施設には、市のプログラムと、同一の電子カルテソフト(診療方針の決定、患者レジストリ機能を有する)、および技術的アシストを行う質改善スペシャリストが提供された。 研究グループは、参加施設を介入群(特別報酬と四半期報告に基づくベンチマークテストを受ける)と対照群(四半期ごとの報告のみ)に無作為化した。 報酬は、パフォーマンスの適格基準に達した患者ごとに支払われたが、共存症を有するメディケイド被保険者、または無保険者にはより高額の報酬が支払われた(最大200ドル/患者、10万ドル/診療所)。 主要評価項目は、パフォーマンス改善の違いの比較で、試験開始時と終了時の比較、また対照群と介入群の比較をアスピリンまたは抗血栓薬の処方、血圧コントロール、脂質コントロール、禁煙介入について行った。P4Pにより抗血栓薬処方、血圧コントロール、禁煙介入が改善 参加施設(各群42施設)のベースラインでの特性は類似していた。介入群の平均患者数は4,592人(中央値2,500人)、対照群は3,042人(同2,000人)であった。 介入群は、抗血栓薬処方率の補正後絶対的改善が認められた(12.0%対6.1%、格差:6.0%、95%信頼区間[CI]:2.2~9.7%、相互作用p=0.001)。 また、血圧コントロールについても改善がみられた。共存症なし例で9.7%対4.3%(格差:5.5%、95%CI:1.6~9.3%、相互作用p=0.01)、糖尿病あり例9.0%対1.2%(同:7.8%、3.2~12.4%、p=0.007)、糖尿病または虚血性疾患あり例9.5%対1.7%(同:7.8%、3.0~12.6%、p=0.01)であった。また禁煙介入でも改善がみられた(12.4%対7.7%、同:4.7%、-0.3~9.6%、p=0.02)。 介入群は、メディケイド被保険者または無保険者に関する指標についても、脂質コントロールを除いて、パフォーマンスが、統計的有意差はなかったが良好であった。 結果を踏まえて著者は、「電子カルテ導入の小規模診療所において、P4Pプログラムは通常ケアと比較して、心血管疾患治療のプロセスとアウトカムをわずかであるが改善した。大半のP4Pプログラムは1年以上続けることを目的とするものなので、今回明らかになった効果が時間とともに増減するかについて、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか

 オーストラリア・カンバーランド病院のDonna Gillies氏らは、急性精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の有用性についてレビューを行った。その結果、ベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬と併用した場合の効果が、抗精神病薬単独または同薬併用、あるいは抗精神病薬と抗ヒスタミン薬などの併用と比べて、症状改善に差がないことを報告した。ただし、今回の評価の結果について著者は、ベンゾジアゼピンの単独または併用使用に関するエビデンスが弱く現段階では不明確であり、質の高い研究が必要だと指摘している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年9月18日の掲載報告。 急性精神疾患、とくに興奮性または攻撃性の行動が認められる場合は精神安定剤や鎮静剤による緊急治療が必要となる。こうした状況に対し、いくつかの国ではベンゾジアゼピン単独またはベンゾジアゼピンと抗精神病薬の併用がしばしば行われている。本研究は、行動のコントロールならびに精神症状の軽減に対するベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬との併用における効果を、プラセボまたは抗精神病薬単独または抗精神病薬と抗ヒスタミン薬を併用した場合の効果と比較検討することを目的としたものであった。 2012年1月現在のCochrane Schizophrenia Group's registerを検索し、適格試験を詳細に調べ、代表的な試験の著者らを調査した。急性精神疾患患者を対象とし、「ベンゾジアゼピン単独またはベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「抗精神病薬単独または抗精神病薬+その他の抗精神病薬、ベンゾジアゼピンまたは抗ヒスタミン薬」を比較したランダム化臨床試験(RCT)をすべて適格とした。 忠実な方法で試験を選択し、それらの質を評価してデータを抽出した。バイナリ(2値)アウトカムに対しては、固定効果モデルを用いて標準推定相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。連続アウトカムに対しては、群間の平均差(MD)を算出した。不均質性を認めた場合はランダム効果モデルを用いて探索した。 主な結果は以下のとおり。・21試験、1,968例を評価の対象とした。・「ベンゾジアゼピン」と「プラセボ」を比較した1試験において、大半のアウトカムで有意差は認められなかったが、プラセボ群のほうが「中期(1~48時間)の改善なし」のリスクがより高かった(1試験、102例、RR:0.62、95%CI:0.40~0.97、エビデンスの質:きわめて低い)。・「ベンゾジアゼピン」と「抗精神病薬」の比較において、中期に改善を認めなかった被検者数に差はみられなかった(5試験、308例、同:1.10、0.85~1.42、低)。ただし、ベンゾジアゼピン群では中期に錐体外路作用(EPS)が少ない傾向にあった(8試験、536例、同:0.15、0.06~0.39、中)。・「ベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「ベンゾジアゼピン単独」の比較において、有意差は認められなかった。・「ベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「同一抗精神病薬単独」との比較(すべての試験でハロペリドールであった)において、中期の改善に群間差は認められなかったが(3試験、155例、同:1.27、0.94~1.70、きわめて低い)、併用療法群で鎮静が得られた患者が多い傾向にあった(3試験、172例、同:1.75、1.14~2.67、きわめて低い)。・しかし、「ベンゾジアゼピン+ハロペリドール」群は、オランザピン群(1試験、60例、同:25.00、1.55~403.99、きわめて低い)またはジプラシドン(国内未承認)群(1試験、60例、同:4.00、1.25~12.75、きわめて低い)に比べ、中期の改善を認めた被検者が少なかった。・「ハロペリドール+ミダゾラム」は、オランザピンと比較して改善、鎮静、行動において優れているという若干のエビデンスが認められた。・以上のように、ベンゾジアゼピン単独使用に関して、良い結果は得られなかった。 良質なデータが非常に少なく、大半の試験はポジティブあるいはネガティブな差を検出するには母集団が少なすぎた。その他の薬剤へのベンゾジアゼピン追加による明らかなメリットはみられず、不要な有害事象の可能性があった。従来の抗精神病薬単独使用(抗コリン薬非併用)の妥当性を評価することは厳しいと思われる。本分野においては、より質の高い研究が求められる。関連医療ニュース 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか?  担当者へのご意見箱はこちら

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