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「MASLD診療ガイドライン」改訂、脂肪肝を全身疾患として再定義/日本消化器病学会

 2026年4月、「MASLD診療ガイドライン」が改訂された1)。2020年に発刊した前版の「NAFLD/NASH診療ガイドライン」から6年ぶりの改訂で、第3版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、改訂ポイントを解説するパネルディスカッションが開催された。 今改訂の最大のトピックスは、疾患名の変更とその定義だ。従来、脂肪性肝疾患に用いられてきた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」の疾患名は国際的コンセンサスに基づき、2023年に「MASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」「MASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)」に変更された。日本でも日本消化器病学会・日本肝臓学会がこれに賛同し、2024年8月に「MASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」「MASH:代謝機能障害関連脂肪肝炎」との日本語名を発表している。改訂版ガイドラインでは、これらの新たな疾患名・定義を踏まえた診断・診療体系が提唱された。疾患定義:世界的な名称変更 NAFLDという名称は1980年代に提唱され、その後40年以上にわたり使用されてきた。しかし「non-alcoholic(非アルコール性)」という否定形表現や、「fatty」という言葉が患者へのスティグマにつながるとの指摘が国際的に強まっていた。これを受け、脂肪性肝疾患を「SLD(steatotic liver disease)」という1つの大きな疾患群として捉え直し、そのなかで心代謝系危険因子(CMRF)の有無、飲酒量、その他(薬物、ウイルス、遺伝子など)の要因に応じて疾患を再分類したうえで、その中心的な病態としてMASLDが位置付けられた。従来のNAFLD/NASHとMASLD/MASHの臨床像や診断アルゴリズムはおおむね一致しており、従来のエビデンスは引き続き活用される。診断フローチャート:新たに「MetALD」を設定 新たな疾患分類では、SLDを認めた患者に対し、まず、CMRFの有無を評価する。ガイドラインではCMRFとして 1)肥満:BMI≧23kg/m2 or 腹囲男性>94cm・女性>80cm 2)血糖:空腹時≧100mg/dL or 食後2時間≧140mg/dL or HbA1c≧5.7% or 2型糖尿病 or その治療 3)血圧:収縮期≧130mmHg or 拡張期≧85mmHg or 降圧薬内服 4)中性脂肪:≧150mg/dL or 脂質異常症治療薬内服 5)HDL:男性≦40mg/dL、女性≦50mg/dL or 脂質異常症治療薬内服の5項目を採用している。これらのリスク因子が1つ以上あり、かつ飲酒量が基準未満(純エタノール量:男性30g/日未満・女性20g/日未満)であればMASLDと診断される。 今回のガイドラインでは、新たな疾患カテゴリとして、CMRFが1つ以上の中等量飲酒例(男性30~60g/日・女性20~50g/日)を「MetALD(代謝機能障害アルコール関連肝疾患)」として独立して規定した。これを超える飲酒量であれば「ALD(アルコール関連肝疾患)」となる。MetALDは従来ではNAFLDから除外されていた群だが、近年、代謝異常とアルコール双方が病態進展に関与すると示されたことを背景に設定され、MASLDよりも肝関連イベントリスクが高いことが報告されている。さらに心血管イベントも増加するとの報告もあることがFRQで示され(FRQ1-1)、今後はこれらの病態に応じた治療法やサーベイランス法の開発が重要となる。診断:肝生検が「必須」から外れる BQ4-1 MASLDの診断に肝生検は必須か? MASLDの診断に肝生検は必須ではない。 今回の改訂で大きな変更点が、確定診断にあたって「肝生検は必須ではない」とされた点だ。これは近年のNIT(非侵襲的検査)の発達によるもので、NITには血液検査による肝線維化マーカー、年齢と検査値を組み合わせたスコアリングシステム(FIB-4 indexなど)、画像検査、そしてこれらの組み合わせがあり、非侵襲的かつ繰り返し評価できることが大きなメリットとなる。とくに複数の線維化マーカーが保険収載されているのは世界中で日本だけであり、この点に関するエビデンスを蓄積することも求められている。一方、肝生検を必要とするケースも依然として存在しており、高リスクMASHの確定診断、炎症の程度の把握が必要なケース、複数のNITの不一致例などが挙げられている。 今回、診断フローチャートのほかに「肝疾患高リスク症例の絞り込み・フォローアップのフローチャート」が作成された。これはNITと肝生検を組み合わせて高リスク症例を絞り込む手順と、その検査や重症度別の患者のフォローアップをかかりつけ医と専門医でどう分担すべきか、という2軸のマトリクスからなる。NITを使った2段階のハイリスク症例の絞り込み、2次リスク評価で使用できるNITのリストアップ、肝生検・超音波エラストグラフィ・MRエラストグラフィによる最終評価と治療方針の決定、その後のリスクに応じたフォローアップ体制など、診断の全体像と医師の役割分担の提唱が可視化されている。非専門医が押さえるべきポイント・従来、「飲酒歴を確認し、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害を除外した残り」としてNAFLDを診断していたが、MASLDにおいてはBMI、糖代謝異常、高血圧、脂質異常症などのCMRFの確認が診断プロセスの中心となる。・飲酒評価の重要性も増した。とくにMetALD概念の導入により、「少量飲酒であれば問題ない」と一律に扱うことは難しくなった。ガイドラインではMASLDを男性30g/日未満、女性20g/日未満、MetALDを男性30~60g/日、女性20~50g/日の飲酒群として整理しているが、実際にはMASLD基準内の少量飲酒でも線維化リスク上昇が報告されており、診療現場では飲酒量を細かく聴取することが重要になる。・「MASLD患者の消化器科へのコンサルテーション基準は?」という設問(BQ4-2)に対しては、「FIB-4 index>2.67(65歳以下の場合)」の高リスク群を紹介基準とし、同1.3~2.67の中間リスク群でも「血小板数<20万/μL」「AST値・ALT値が持続高値」「画像検査で肝硬変の所見を認める」場合には紹介が望ましいとされている。全身疾患としてのMASLD MASLDは多くの疾患と関連するが、診断基準となるCMRF関連4疾患である「2型糖尿病、脂質異常症、肥満、高血圧」についてはBQが設定され、相互補完関係にあることが示されている(BQ3-1~3-4)。さらに、慢性腎障害、内分泌異常、睡眠時無呼吸症候群など、多様な合併症との関連も整理された(BQ3-5、3-6)。また、肝臓以外の悪性腫瘍リスク上昇についても大腸がんを中心に、胃がん、食道がん、婦人科がんとの関連が解説された(BQ3-7)。中でも心血管疾患はMASLD患者の主要死因の1つであり、大規模メタ解析では、MASLD患者の心不全新規発症リスクは一般人口の約1.5倍と報告されている。一方で、肝線維化が心血管リスクを上昇させる独立した因子であるかについては現時点ではまだ明確ではなく、今後探索していくべき課題とされた(FRQ3-1、3-2)。 治療面では、生活習慣介入が中心である点は従来と変わらないが、「単純性脂肪肝だから経過観察のみ」という従来型対応は見直されつつある。肥満、糖尿病の合併例、線維化進展を伴う例では、早期から積極的介入を行う方向性がより明確になっている。GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬など代謝改善薬への期待も高まっており、今後の承認に向けての動きやエビデンス蓄積が注目される。

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市中肺炎への抗菌薬、3~4日vs.5日以上

 市中肺炎(CAP)に対する治療において、抗菌薬投与期間の短縮により有害事象や薬剤耐性リスクが抑制される可能性がある。一方、入院患者における3~4日間の短期治療を支持する実臨床データは限られている。そこで、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのGeorge Doumat氏らの研究グループは、CAPで入院し、抗菌薬投与3日目までに臨床的安定が得られた患者を対象として、3~4日間の抗菌薬治療と5日間以上の抗菌薬治療をtarget trial emulationの手法を用いて比較した。その結果、短期抗菌薬治療の適格基準を満たした患者は全体の10.1%にとどまっていた。また、この集団では3~4日間と5日間以上の治療で30日死亡や再入院などの評価項目に明確な差はみられなかった。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載された。 研究グループは、米国ミシガン州の67施設のデータを用い、2017年2月23日~2024年7月31日にCAPで入院した成人患者5万5,517例を対象として、観察研究を実施した。対象患者のうち、入院1~2日目に抗菌薬治療を受けて抗菌薬投与3日目までに解熱し、臨床的に安定した短期抗菌薬治療の適格患者について解析した。解析対象患者を抗菌薬投与3日目以降に0~1日追加された短期治療群(総治療期間3~4日)、2日以上追加された長期治療群(総治療期間5日以上)に分類した。両群の比較には、target trial emulationの手法を用いた。主要評価項目は30日死亡とした。その他の評価項目として、30日以内の再入院、救急外来・緊急受診、Clostridioides difficile感染症を評価した。 主な結果は以下のとおり。・CAPで入院した5万5,517例のうち、短期抗菌薬治療の適格基準を満たしたのは5,620例(10.1%)であった。・適格患者5,620例の年齢中央値は68.2歳、男性の割合は54.3%であった。Charlson併存疾患指数の中央値は2、CURB-65スコアの中央値は2であり、中等度の重症度を有する集団であった。・適格患者における抗菌薬総投与期間の中央値は7日であり、3~4日間の短期治療を受けた患者は444例(7.9%[3日間4.4%、4日間3.5%])にとどまった。・エンピリック治療として多く使用された抗菌薬は、セフトリアキソン(89.3%)、アジスロマイシン(76.9%)であった。退院時に抗菌薬が処方された患者は80.8%で、退院時処方薬として多かったのは、経口セファロスポリン系薬(39.4%)、アジスロマイシン(34.2%)、アモキシシリン・クラブラン酸(19.9%)などであった。・30日死亡は短期治療群で3例(0.7%)、長期治療群で37例(0.7%)に発生した。短期治療群の長期治療群に対する30日死亡の調整リスク比(aRR)は0.89(95%信頼区間[CI]:0.01~2.25)であった。・30日以内の再入院は短期治療群40例(8.8%)、長期治療群417例(8.1%)に認められた(aRR:1.07、95%CI:0.81~1.42)。・緊急受診は短期治療群37例(8.1%)、長期治療群458例(8.8%)であった(aRR:0.94、95%CI:0.70~1.28)。・Clostridioides difficile感染症は、短期治療群1例(0.2%)、長期治療群11例(0.2%)に認められた(aRR:1.01、95%CI:0.18~5.68)。・抗菌薬に関連する有害事象は全体で131例(2.3%)に発現し、各群の発現割合は短期治療群3.3%、長期治療群2.2%であった。 本研究結果について、著者らは「CAPで入院した患者のうち、短期治療の適格基準を満たしたのは10.1%にとどまった。この集団では、死亡率は短期治療群、長期治療群のいずれにおいても低く、その他のアウトカムについても、短期治療と長期治療の間に差は認められなかった」とまとめた。

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うつ病治療戦略、第2世代抗精神病薬増強療法はどのタイミングで検討すべきか

 重篤な疾患を有する患者では、うつ病が頻繁に認められる。重篤な疾患に合併するうつ病は、日常生活に支障を来し、多くの場合、迅速な改善が求められる。従来の抗うつ薬では、効果が現れるまでに数週間かかることが課題となっていたが、第2世代抗精神病薬(SGA)は、一般的な精神疾患患者において、より迅速な効果発現と強力な増強効果を示すことが示唆されている。米国・エモリー大学のGregg Robbins-Welty氏らは、一般的な精神疾患および重篤な疾患を有する患者のうつ病に対するSGAの単剤療法および増強療法としての使用に関するエビデンスのレビューを実施した。Journal of Pain and Symptom Management誌オンライン版2026年3月21日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・精神医学的エビデンスでは、SGAの増強療法は、奏効率および寛解率を改善し(オッズ比:1.34~2.93、治療必要数:7~13)、その効果は1~2週間以内に認められた。・単剤療法は、忍容性が低く、ガイドラインでは推奨されていなかった。・重篤な疾患を有する患者におけるうつ病に対するSGAの有効性を特異的に評価したランダム化比較試験は存在しなかった。しかし、多くの悪性腫瘍の臨床試験において、悪心、食欲不振、その他の症状に対するSGAの安全性が支持されていた。・重篤な疾患に特化した精神医学的臨床試験は実施されていなかった。しかし、SGAは増強療法の中で最も強力なエビデンスを有しており、予後や症状の重症度から迅速な改善が求められる場合には、好影響をもたらす可能性が示唆された。 著者らは「SGAの増強療法は、複数の抗うつ薬が無効であった場合だけでなく、早期に低用量での導入を検討すべきである。とくに、SGAは緩和ケアに関連して併発する身体症状にも効果を発揮する可能性がある」としている。

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薬剤性過敏症症候群〔DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)は、発熱と多臓器障害を伴う重症型薬疹の1つである。抗けいれん薬など特定の薬剤を内服開始後、遅発性に発症し、原因薬剤を中止しても症状の再燃や遷延化がみられることが特徴である。多くの場合、発症後3週間前後でヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)に代表されるヘルペスウイルスの再活性化を伴うことから、薬剤アレルギーとヘルペスウイルス感染症が複合して生じる新たな病態として認識されている(図1)。DIHSのもう1つの特徴として、回復期に1型糖尿病や慢性甲状腺炎などの自己免疫疾患を発症することが知られている。なお、欧米を中心にDRESS(drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms)という疾患概念が用いられるが、DRESSの診断基準にはヘルペスウイルスの再活性化については言及されておらず、DIHSよりも広い範囲の薬疹が含まれる。図1 DIHSの病態の仮説■ 疫学2021年の全国調査によれば、年間受療患者数は人口100万人当たり2.82人と推計されている。男女比は1:1で、発症年齢は40~60代(中央値58歳)が最多である。原因薬剤は比較的限定的であり、カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミドなどの抗てんかん薬のほか、アロプリノール、ジアフェニルスルホン、サラゾスルファピリジン、メキシレチンなどが代表的である。DIHSの致死率は約10%程度と高く、死因の多くはサイトメガロウイルス(CMV)肺炎やニューモシスチス肺炎などの感染症である。■ 病因本症は、原因薬剤を通常2~6週間(平均1ヵ月)内服した後に発症する。病態は、T細胞を主体とする薬物アレルギー反応とヘルペスウイルスの再活性化が中心である。急性期にはTARC/CCL17の著明な上昇や好酸球増多に象徴されるTh2反応の亢進がみられる。また、急性期には制御性T細胞(Treg)の増加がみられるが、経過中にその機能やバランスが崩れることが、ウイルス再活性化や後遺症としての自己免疫疾患発症に関与すると考えられている。さらに、急性期には末梢血のCD4陽性T細胞表面にHHV-6の受容体であるCD134/OX40の発現が亢進しており、これがウイルスの効率的な感染拡大を許容する一因である可能性が示唆されている。■ 症状初期症状として発熱、頸部リンパ節腫脹、顔面や躯幹の紅斑が生じる。皮疹は播種状紅斑丘疹型や多形紅斑型で始まり、急速に拡大してしばしば紅皮症状態に移行する(図2)。特徴的な顔貌として、顔面の浮腫を伴う紅斑、眼周囲の蒼白、鼻孔・口周囲に鱗屑・痂皮を伴う丘疹や小膿疱がみられる(図3)。肝機能障害や腎機能障害などの内臓病変や、異型リンパ球の出現、好酸球増多、白血球増多などの血液学的異常を伴う。図2 DIHSにおける紅皮症状態画像を拡大する図3 DIHSに特徴的な顔貌■ 予後原因薬剤を中止しても皮疹や臓器障害が遷延し、経過中に再燃を繰り返す。発症3~5週間前後にCMVの再活性化が生じ、肺炎、腸炎、消化管出血、肝障害などの致死的な合併症を引き起こすことがある。また、DIHSの症状が軽快した数ヵ月から数年後に、橋本病、劇症1型糖尿病、円形脱毛症、白斑などの自己免疫疾患を発症することがあり、長期的な経過観察が必要である。2 診断診断は、厚生労働省研究班による診断基準(2005年)(表)に基づいて行う。表 薬剤性過敏症症候群(DIHS)診断基準(2005)■ 概念高熱と臓器障害を伴う薬疹で、薬剤中止後も遷延化する。多くの場合、発症2~3週間後にHHV-6の再活性化を生じる。■ 主要所見1. 限られた薬剤投与後に遅発性に生じ、急速に拡大する紅斑、多くの場合紅皮症に移行する。2. 原因薬剤中止後も2週間以上遷延する。3. 38℃以上の発熱4. 肝機能障害5. 血液学的異常:a、b、cのうち1つ以上a. 白血球増多(11,000/mm3以上)b. 異型リンパ球の出現(5%以上)c. 好酸球増多(1,500/mm3以上)6. リンパ節腫脹7. HHV-6の再活性化典型DIHS1~7すべて非典型DIHS1~5すべて、ただし4に関しては、その他の重篤な臓器障害をもって代えることができる。■ 参考所見1. 原因医薬品は、抗けいれん薬、ジアフェニルスルホン、サラゾスルファピリジン、アロプリノール、ミノサイクリン、メキシレチンであることが多く、発症までの内服期間は2~6週間が多い。2. 皮疹は、初期には紅斑丘疹型、多形紅斑型で、後に紅皮症に移行することがある。顔面の浮腫、口囲の紅色丘疹、膿疱、小水疱、鱗屑は特徴的である。粘膜には発赤、点状紫斑、軽度のびらんがみられることがある。3. 臨床症状の再燃がしばしばみられる。4. HHV-6の再活性化は、(1)ペア血清でHHV-6 IgG抗体価が4倍(2管)以上の上昇、(2)血清(血漿)中のHHV-6 DNAの検出、(3)末梢血単核球あるいは全血中の明らかなHHV-6 DNAの増加のいずれかにより判断する。ペア血清は発症後14日以内と28日以降(21日以降で可能な場合も多い)の2点で確認するのが確実である。5. HHV-6以外に、サイトメガロウイルス、HHV-7、EBウイルスの再活性化も認められる。6. 多臓器障害として、腎障害、糖尿病、脳炎、肺炎、甲状腺炎、心筋炎も生じうる。■ 早期診断の補助検査診断基準項目に「中止後2週間以上の症状の遷延」や「発症2~3週間後のHHV-6再活性化」が含まれるため、発症早期の確定診断は困難である。早期にDIHSを疑う指標として、急性期の血清TARC値の測定が有用であり(4,000pg/mL以上で疑う)、2023年に「DIHS/DRESSの診断の補助」としての保険適用が追加された。■ 鑑別診断と原因薬剤の特定通常の薬疹や、麻しん・風しんなどのウイルス性発疹症との鑑別を要する。DIHSを疑う臨床的ポイントとして、原因薬剤が比較的限られていることから、詳細な薬剤内服歴(2~6週間の服用歴)の聴取が不可欠である。また、原因薬剤中止後も皮疹や臓器障害が遷延・悪化することも、他の薬疹との重要な鑑別点となる。特有の顔貌(図3)や、皮疹が急速に紅皮症化する経過(図2)も診断の有力な手掛かりとなる。HHV-6の再活性化は、一般に末梢血液中のHHV-6 DNAの定量(リアルタイムPCR法)によって判断するが、現時点では保険適用外の検査である。被疑薬の特定には、薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)やパッチテストが有用である。ただし、DLSTは発症早期には偽陰性となりやすく、発症後5週目以降の回復期に実施する必要がある。なお、重症化リスクを考慮し、薬剤の再投与試験(誘発試験)は行わない。3 治療■ 治療の実際DIHSを疑った場合は、第一に被疑薬を中止し、原則として入院加療とする。病初期に起こる全身症状と臓器障害の寛解を目指し、副腎皮質ステロイドの全身投与が治療の基本となる。中等~高用量(プレドニゾロン換算0.5~1mg/kg/日)で開始し、症状が十分に改善するまで(通常7~14日間)維持する。その後は、症状をみながら1~2週間ごとに5~10mg/日ずつ緩徐に漸減する。急激なステロイドの減量は、免疫再構築症候群を招きCMV感染症を顕在化させるリスクがあるため避けるべきである。臓器病変を伴わない軽症例に対しては、ステロイド全身投与を行わず、局所ステロイド外用や補液などの支持療法(supportive therapy)で経過観察することもある。ステロイドパルス療法は、CMVの再活性化や自己免疫疾患の発症に関与するとの否定的見解が主流であり、重篤な臓器障害への進展など特殊な状況に限り検討される。■ CMV感染症への対応発症3~5週前後にCMVが再活性化し、ステロイドの減量を契機として突然、肺炎や消化管出血などの致死的合併症を発症することがある。経過中は常にCMVのモニタリングを行い、顕性感染症を認めた場合には、抗ウイルス薬(ガンシクロビル)の投与による積極的な介入を行う。■ 多剤感作への配慮DIHSの経過中は多剤感作を引き起こしやすいため、解熱や感染予防目的での非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗菌薬の新たな投与は可能な限り避けるべきである。4 今後の展望DIHSの病態については、HHV-6やCMV再活性化の病態への関与について多くの知見が得られてきたものの、依然として未解明な点が残されている。とくに、最適なステロイド減量プロトコールの確立は急務であり、大規模な症例レジストリに基づくエビデンスの蓄積と治療指針の更新が期待される。また、回復期に発症する自己免疫疾患などの遅発性合併症は、患者の長期予後を左右する重要な課題である。今後は、これらの合併症を予測するバイオマーカーの同定や、その発症を制御する新たな介入法の開発が望まれる。5 主たる診療科皮膚科(重篤な臓器障害を伴うため、十分な検査と全身管理を行える施設への早期のコンサルテーションが重要である)。6 参考になるサイト診療、研究に関する情報薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン 2023(日本皮膚科学会/重症多形滲出性紅斑に関する厚労省調査研究班)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)医薬品副作用被害救済制度(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)  (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2026年5月12日

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調剤報酬改定から読み解く「かかりつけ薬剤師」と「後発医薬品」【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第169回

2026年度の調剤報酬改定が6月1日から施行されます。薬剤師になって20年以上経ちますが、私が経験した調剤報酬改定の中で今回の改定内容は3本の指に入るインパクトのある改定なのではないかと思っています。加算や制度が新設されたときには「何かが変わる!」という期待を抱きます。しかし、実は始まるとき以上に、何回かの改定を経て試行錯誤されてその役割を終えるときのほうが大きなインパクトを感じます。「次のフェーズに変わるんだ!」という意思を感じるからです。今回の場合、「かかりつけ薬剤師」と「後発医薬品」に関する加算がそれに当たります。かかりつけ機能は「同意」から「何を行ったか」へかかりつけ薬剤師指導料が始まったのが2016年。以来、さまざまな改定を経て、10年にわたり薬局の対人業務の柱となっていた「かかりつけ薬剤師指導料」と「かかりつけ薬剤師包括管理料」が今回廃止され、服薬管理指導料の枠組みに統合されることになりました。実は、患者さんの同意を得るだけで加算が得られる仕組みには私も少なからず疑問を抱いていました。今後は来局後の継続フォローや患家訪問といった、患者の生活場面に踏み込んだ関与を評価する加算が設けられ、制度の重心は「同意の取得」から「実際に何を行ったか」へ移ります。一方で、「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算」など、ポリファーマシー介入、在宅対応についての加算は新設されています。以上のことをみると、かかりつけ機能そのものが否定されたわけではなく、日常の服薬管理や継続支援の中で薬剤師がどのような役割を果たしたかを評価する方向に再設計されたと捉えるのが大事なのではないかと思います。後発医薬品調剤体制加算は廃止に今回の改定では、後発医薬品調剤体制加算が廃止になります。後発医薬品の使用率を上げることを目的に20年間ほど設けられてきた加算ですが、現在の供給不安を除けば、後発医薬品の使用率は財務省が目標としてきた90%超にすでに到達しています。気が付けば後発医薬品を使用することが当たり前になったという意味では、ひと時代が終わったのかなという気持ちになります。後発医薬品が抵抗なく日常で使用されるようになった今の状況は、薬局や薬剤師の存在なしでは語れないでしょう。現在起きている供給不安については、薬価制度も含めた安定供給の土台作りを官民一体となって取り組んでもらい、解決してほしいなと切に願います。冒頭に加算の新設時より廃止時のほうがインパクトを感じると述べたのは、「こんな取り組みをしたな」「こんな話し合いをしたな」という自分の経験があるからこそ、廃止のときにインパクトを感じるのだろうと思います。そうやって新しい取り組みを経験するのは大変ではありますが、それらが積み重なって薬剤師と薬局の力になっていると信じています。今回は、この2つの加算の変化にちょっと感慨深くなってしまいましたが、2026年調剤報酬改定の方向性や、改定の裏にある薬剤師や薬局への期待について語りたいことは尽きないのでまた書きます!

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ストレスや悲しみはがんリスクと関連しない

 長年にわたり、強い心理的ストレスや悲しみ、あるいはネガティブな性格はがんを引き起こし得ることが、ウェルネス分野や医療現場で広く信じられてきた。しかし、大規模な国際研究により、個人の精神状態はがんの発症とほとんど関係がない可能性が示された。フローニンゲン大学医療センター(オランダ)のLonneke van Tuijl氏らによるこの研究は、「Cancer」に3月23日掲載された。 この研究では、複数コホートを統合した大規模データベースであるPsychosocial Factors and Cancer Incidence(PSY-CA)コンソーシアムを用いて、心理社会的要因とがん(乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、喫煙関連がん、アルコール関連がん)の発症との関連が検討された。対象は、ベースライン時に少なくとも1つの心理社会的要因が測定されていた42万1,799人。検討された要因は、知覚された社会的支援(perceived social support;PSS)、喪失体験、パートナーの有無(既婚、離婚、独身など)、神経症傾向、全般的な精神的苦痛であった。 その結果、対象とした心理社会的要因と全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がん、アルコール関連がんとの間に有意な関連は示されなかった。一方、最近の喪失体験、PSS低値、およびパートナーがいないこと(独身や離婚者など)は、肺がんリスクのわずかな上昇と関連していた。しかし、関連因子を調整すると、知覚されたPSS低値とパートナーがいないことについては関連が弱まる、または消失した。一方で、パートナーがいないことと喫煙関連のがんとの関連は、因子の調整後も認められた。神経症傾向および全般的な精神的苦痛は、いずれのがんとも関連を示さなかった。 研究グループは、ストレスそのものが細胞をがん化させるわけではないが、ストレスに対する対処行動は影響し得ると結論付けている。例えば、困難な状況にある人は、喫煙や飲酒、不健康な食生活に陥りやすく、これらが実際のがんリスクの主要因であると考えられる。Van Tuijl氏は、「さらに、観察された小さな影響の多くは、不健康な行動によって説明されることが多い」と述べている。 メンタルヘルスを良好に保つことは、生活の質(QOL)や疾病からの回復において重要であるが、本研究は、それががん発症の主要な要因ではないことを示した。Van Tuijl氏は、「PSY-CAコンソーシアムはここ数年、メンタルヘルス不調やその他の心理社会的ストレスががん発症リスクを高めるという広く信じられている考えを検証してきた。本研究の結果は、この広く信じられている考えを明確に支持するものではなかった」とニュースリリースでコメントしている。 研究グループはさらに、この結果は、がん患者が自身の病気を過去のストレスに結び付けて罪悪感や自責の念を抱くことを防ぐ一助となる可能性があると指摘している。

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「消化性潰瘍診療ガイドライン」改訂、ポストピロリ時代に対応/日本消化器病学会

 2026年4月、「消化性潰瘍診療ガイドライン」が改訂された。2021年から5年ぶりの改訂で、第4版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、「日常臨床の現場に残された消化性潰瘍の解決すべき課題 ポストピロリ時代におけるガイドラインの改訂」と題したパネルディスカッションが行われ、各セクションを担当したガイドライン作成委員会委員から、改訂のポイントが紹介された。 冒頭では、ガイドライン作成委員会委員長を務めた鎌田 智有氏(川崎医科大学)が基調講演を行った。ガイドライン改訂総論/鎌田 智有氏(川崎医科大学) 今回のガイドラインの改訂の骨子は、以下となっている。1)近年H.pylori感染率の低下や除菌治療のさらなる普及を背景に、H.pylori関連の消化性潰瘍の頻度は減少傾向にある。一方で、薬物性潰瘍や非H.pylori、非NSAIDs潰瘍、特発性潰瘍が増加傾向にある。こうした現状に即したガイドラインにした。2)ボノプラザン(P-CAB)が上市されて10年が過ぎ、さまざまなデータが蓄積してきた。再度P-CABを含めたシステマティックレビューを行い、予防を含めたこの薬剤の位置付けを広く検証した。 対象疾患は胃と十二指腸にできる潰瘍であり、成人18歳以上に対する診療を基礎とした。GRADEシステムに準拠し、エビデンスの確実性(A〜D)と推奨強度(強い推奨/弱い推奨)を明確に提示した。Clinical Question(CQ)25項目に加え、Background Question(BQ)51項目、Future Research Question(FRQ)7項目を設定し、現時点のエビデンスと今後の課題を整理した。専門医のみならず非専門医、看護師、保健師など多職種の方、学生教育、市民の方などにもわかりやすいステートメントを書くように心掛けたので、ぜひご一読いただきたい。H.pylori除菌治療/伊藤 公訓氏(広島大学)CQ3-1 プロトンポンプ阻害薬に比してボノプラザンで除菌率は向上するか?(二次除菌を含む)・一次除菌治療時にはボノプラザンを使用することを推奨する。(推奨の強さ:強[合意率100%]、エビデンスレベル:A)・二次除菌治療時にはアモキシシリン-メトロニダゾール療法に併用する酸分泌抑制薬はプロトンポンプ阻害薬、ボノプラザンのいずれかを提案する。(推奨の強さ:弱[強い推奨合意率66.7%、弱い推奨合意率33.3%]、エビデンスレベル:B) 除菌治療パートの大きな改訂点としては、一次除菌におけるP-CABの推奨がある。メタアナリシスにより、PPIに比して除菌率が有意に高いことが示されており、副作用発現率に有意差は認められなかった。一方、二次除菌ではPPIとP-CABの有効性に有意差はなく、いずれの使用も許容される「提案」としている。CQ3-2  一次除菌前にはクラリスロマイシン耐性の有無を検査すべきか?・一次除菌前には可能ならクラリスロマイシン感受性検査を行い、最も高い除菌率が期待される除菌レジメンを選択することを推奨する。(推奨の強さ:強[合意率100%]、エビデンスレベル:A) 本改訂で最も重要な変更点の1つが、感受性検査によるクラリスロマイシン耐性確認と、その結果を考慮した個別化除菌の推奨である。H.pylori除菌治療不成功の最大の原因はクラリスロマイシン耐性であり、日本における耐性率は35.5%に上る。根拠としたメタアナリシスでは個別化治療のほうが除菌率が高く、これは臨床の経験からも妥当な結果と考えられるだろう。感受性の場合はP-CAB+アモキシシリン+クラリスロマイシン、耐性の場合はPPI/P-CAB+アモキシシリン+メトロニダゾールの3剤併用療法が推奨となる。 一方で、日本ヘリコバクター学会が会員医師を対象に行ったアンケート調査では、「除菌治療前に感受性試験を行っている」と回答した医師は15%に過ぎなかった。検査には手間と費用がかかり、全例に実施するのは困難であることは想定できる。さらに、感受性試験は保険適用とされているにもかかわらず、社会保険診療報酬支払基金から査定される場合があり、その点も実施が躊躇される要因となっていた。しかし、今年2月に厚労省から「ピロリ菌の感受性検査によるクラリスロマイシン耐性の存在が明らかで」ある場合には、一次除菌としてP-CAB+アモキシシリン+メトロニダゾールの使用を認めるとの通達が出ており、保険診療による感受性検査の妥当性が裏付けられたという点は強調したい。検査ができなかった場合のレジメンについてもCQに記載した。FRQ3-3 泥沼除菌とは何ですか?泥沼除菌の際に気をつけることはありますか?・泥沼除菌とは、除菌治療が成功しているにもかかわらず、尿素呼気試験で偽陽性となり不必要な除菌治療を追加する医療行為を指す。自己免疫性胃炎症例で見られることが多く、注意が必要である。 除菌後の尿素呼気試験偽陽性により、不必要な除菌治療が繰り返される「泥沼除菌」について新たにFRQとして提示した。背景として自己免疫性胃炎の関与が指摘されており、診断精度の向上が求められる。 薬物性潰瘍の治療と予防/千葉 俊美氏(岩手医科大学) 薬物性潰瘍の章は、1)NSAIDs潰瘍、2)選択的NSAIDs(COX-2選択的阻害薬)潰瘍、3)低用量アスピリン(LDA)潰瘍、4)抗凝固薬などその他の薬物潰瘍、5)PPI/P-CAB有害事象の5つの項目を設け、20のBQ、9つのCQ、1つのFRQを設定した。全体としてP-CABのエビデンスが蓄積したため、各項目で推奨に入れている。BQ5-12 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍の治療はどのように行うか?・非ステロイド性抗炎症薬は中止し、抗潰瘍薬を投与する。・非ステロイド性抗炎症薬中止が不可能な場合、第一選択薬としてボノプラザンまたはプロトンポンプ阻害薬を投与する。 NSAIDs継続下でのPPIとP-CABの潰瘍治癒効果の比較についてメタアナリシスの結果、潰瘍治癒効果においてP-CABのPPI(ランソプラゾール)に対する非劣性が示されたため、第1選択薬はP-CABまたはPPIとした。CQ5-2 潰瘍既往歴、出血性潰瘍既往歴がある患者が非ステロイド性抗炎症薬を服用する場合、再発予防はどうするか?・(潰瘍既往歴ありの予防)ボノプラザンまたはプロトンポンプ阻害薬の投与を推奨する。(推奨の強さ:強[合意率100%]、エビデンスレベル:B)・(出血性潰瘍既往歴ありの予防)COX-2選択的阻害薬にボノプラザンまたはプロトンポンプ阻害薬の併用を提案する。(推奨の強さ:弱[強い推奨合意率33.3%、弱い推奨合意率66.7%]、エビデンスレベル:B) NSAIDs誘発性潰瘍において、潰瘍既往歴を有する患者は再発リスクが高く、予防的介入が必要である。PPIの潰瘍再発予防効果については、複数のRCTおよびメタアナリシスにより、プラセボと比較して有意に再発率を低下させることが示されている。また、P-CABはPPIと比較して強力な酸分泌抑制作用を有しており、NSAIDs潰瘍の再発予防においてPPIに対する非劣性が示されている。したがって、P-CABもPPIと同様に再発予防薬として使用可能と判断された。 これらのBQ・CQでP-CABの推奨を明確にしたほか、CQ5-5、5-6では低用量アスピリン服用者における予防として潰瘍既往歴なしの場合はPPI、既往歴ありの場合はP-CABまたはPPIを第一選択とした。 さらに、FRQ5-1では「プロトンポンプ阻害薬/ボノプラザンの長期投与により胃腫瘍などの粘膜病変は生じるか?」という項目を設定した。この分野におけるエビデンスは観察研究が大半であり、まだ確定した推奨はできないため、「さまざまな胃粘膜病変が生じる可能性があることから、長期投与は慎重に行うべきである」としている。臨床医に関心の高い設問であり、新たな試験を経て、次の改訂ではCQへの格上げを期待したい。その他のポイント このほか、「非H.pylori・非NSAIDs潰瘍」「球後部十二指腸潰瘍出血」「NHPH(Non-Helicobacter pylori Helicobacters)」などについて解説が行われた。総括/丹羽 康正氏・愛知県がんセンター総長 従来の消化性潰瘍はH.pylori/NSAIDsが主因だったが、現在ではH.pylori感染率低下、高齢化、抗血栓薬使用の増加などを背景に特発性の潰瘍が増加し、感染症モデルから多因子疾患モデルへと移行しつつある。本ガイドラインはその流れを汲むものであり、今後は「除菌療法の最適化」「薬物性潰瘍の予防戦略」「出血/穿孔などの合併症管理」「非H.pylori潰瘍の体系化」といった点が求められる。

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卵巣明細胞がんの新規経口薬「ハイツエキシン錠10mg」【最新!DI情報】第62回

卵巣明細胞がんの新規経口薬「ハイツエキシン錠10mg」今回は、PI3Kα阻害薬「リソバリシブメシル酸塩水和物(商品名:ハイツエキシン錠10mg、製造販売元:海和製薬、販売元:大鵬薬品工業)」を紹介します。卵巣明細胞がんは治療選択肢が限られる希少がんであり、従来の治療法に抵抗性を示す卵巣明細胞がんに対する新たな治療選択肢として期待されています。<効能・効果>がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がんの適応で、2026年3月23日に製造販売承認を取得しました。なお、投与にあたっては、コンパニオン診断薬であるAmoyDx PIK3CA変異検出キットを用いて遺伝子変異の有無を確認する必要があります。<用法・用量>通常、成人にはリソバリシブメシル酸塩として1回40mgを1日1回空腹時に経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。本剤は食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けます。<安全性>重大な副作用として、間質性肺疾患(8.6%)、高血糖(89.2%)による糖尿病性ケトアシドーシス(1.1%)、多形紅斑(2.2%)などの重度の皮膚障害、血小板減少症(35.5%)、重度の下痢(6.5%)、体液貯留(末梢性浮腫[26.9%]、顔面浮腫[15.1%]、低アルブミン血症[5.4%]、腹水[1.1%]など)、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(1.1%)などの重篤な感染症、QT間隔延長(2.2%)があります。その他の副作用として、発疹(72.0%)、口内炎(68.8%)、悪心(52.7%)、疲労(41.9%)、食欲減退(38.7%)、下痢(36.6%)、体重減少(35.5%)、嘔吐、蛋白尿(いずれも20%以上)、腹痛、低カリウム血症、貧血、好中球減少症、ALT増加、AST増加、高クレアチニン血症(いずれも10~20%未満)、腹部膨満、便秘、腹部不快感、レッチング、排便回数増加、高コレステロール血症、低ナトリウム血症、発熱、白血球減少症、γ-GTP増加、血中ビリルビン増加、血中アルカリホスファターゼ増加、頭痛、味覚不全、浮動性めまい、皮膚乾燥、湿疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、そう痒症、皮膚亀裂、皮膚炎(いずれも10%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、PI3Kα阻害薬であり、がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞がんに用いられます。 2.下記の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。 咳、息切れ、息苦しさ、発熱などが現れた場合 のどが渇く、多飲(お水をたくさん飲む)、多尿(トイレの回数が増える)、体重が減る、 疲れやすい・だるいなどが現れた場合 皮膚に発疹、発赤、乾燥、かゆみなどが現れた場合 便が泥状か、完全に水のようになる、便意切迫感がある、トイレから離れられないほど頻回の下痢などが現れた場合 手足のむくみ、靴が履きにくい、体重が増える、お腹の張り、息切れなどが現れた場合 動悸、胸の痛み、胸部の不快感、冷や汗、全身倦怠感、めまい、失神などが現れた場合 <ここがポイント!>卵巣がんは早期発見が困難で、症状が現れたときには進行していることが多いため「サイレントキラー」とも呼ばれ、婦人科の悪性腫瘍の中でもとくに治療が困難な疾患の1つです。卵巣がんは、組織学的に漿液性、類内膜、粘液性および明細胞の4つの主要な型に分類されます。このうち卵巣明細胞がんは、欧米では卵巣がん全体の約8%とまれですが、日本では約25%と高頻度に認められ、発生率に人種差が存在します。卵巣明細胞がんは、子宮内膜症を背景に発生することが古くから知られており、多くの症例がStageIで診断されます。しかし、早期発見にもかかわらず、他の組織型と比較して予後不良であることが大きな特徴です。その主要因は、卵巣がんの標準的化学療法である白金製剤をはじめとする抗がん薬に対して治療抵抗性を示すことにあります。卵巣明細胞がんの病態において、PIK3CA遺伝子の点突然変異は極めて重要な役割を果たしています。PIK3CA遺伝子変異は、患者の30~40%という高頻度で認められ、これは他の上皮性卵巣がんと比較して最も高い割合です。PIK3CA遺伝子は、細胞の増殖・生存などのコントロールにおいて中心的役割を担うPI3Kα(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼアルファ)の触媒サブユニットをコードしています。とくにエクソン9およびエクソン20領域は変異のホットスポットとして知られ、これらの活性化変異や遺伝子増幅は腫瘍の発生・進行・維持に深く関与し、さらに薬剤耐性にも寄与すると考えられています。リソバリシブメシル酸塩水和物は、PI3KαのATP結合部位に結合してキナーゼ活性を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。投与対象は白金系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法歴を有する患者であり、成人には1日1回空腹時に経口投与します。本剤は、従来の治療法に抵抗性を示す卵巣明細胞がんに対する新たな治療選択肢として期待されています。化学療法歴のあるPIK3CA遺伝子変異陽性の卵巣明細胞がん患者を対象とした国際共同第II相試験(CYH33-G201試験)において、主要評価項目である盲検下独立評価委員会評価による奏効率(RECISTv1.1に基づく)は、有効性評価対象全体において34.5%(95%信頼区間[CI]:24.48~45.69)であり、95%CIの下限はヒストリカルコントロールの8%を上回ることが示されました。

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脳ドックのガイドライン2026

日本脳ドック学会がまとめる最新ガイドライン脳ドックの水準と有効性の向上を目指し、日本脳ドック学会がまとめるガイドラインの最新版。各項目の内容を刷新し、最新の知見をもとにまとめました。脳卒中や認知症の予防など、日常診療にも大いに役立ちます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する脳ドックのガイドライン2026定価5,720円(税込)判型A4判頁数150頁発行2026年2月編集脳ドックのガイドライン2026 改訂委員会/一般社団法人 日本脳ドック学会-脳卒中・認知症予防のための医学会-ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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低用量アスピリン併用は統合失調症や双極症治療の切り札となるか

 精神疾患の病態生理学的メカニズムに、炎症が関与している可能性を示唆する膨大なデータが存在する。低用量アスピリンが向精神薬の治療効果を高める可能性が示唆されている。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのLior Stern氏らは、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、向精神薬と低用量アスピリンの併用レジメンの安定性およびその他の治療効果と関連しているかどうかを検討した。Pharmaceuticals誌2026年3月8日号の報告。 本レトロスペクティブ研究では、イスラエルのClalit Health Services' Southern Districtのデータベースより、2017〜19年に治療を行った1,924例の患者データを分析した。低用量アスピリンと向精神薬の併用療法で治療されたLDA群、向精神薬のみで治療された対照群での比較を行った。研究アウトカムは、自殺企図および薬物療法に関連する有害事象(向精神薬の増量、増強、変更)とした。 主な結果は以下のとおり。・LDA群は137例(男性の割合:55%、年齢:63.3±12.3歳)、対照群は1,787例(男性の割合:60%、年齢:47±16.9歳)。・ほぼすべてのアウトカムにおいて、統計学的に有意な差が認められ、LDA群において良好な結果が示された。・LDA群は、薬剤投与量の増加率が低く(40例[29%]vs.726例[40.5%]、p=0.01)、向精神薬の変更および/または追加も少なかった(37例[26.9%]vs.778例[43.5%]、p<0.001)。また、有意差は認められなかったものの、自殺企図率も低かった(0例[0%]vs.16例[0.9%]、p=0.53)。 著者らは「全体として、低用量アスピリン併用療法は、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、より良好な臨床転帰と関連していた。向精神薬と低用量アスピリンの併用療法の治療効果を検証するためには、大規模な疫学調査およびプロスペクティブランダム化臨床試験によるフォローアップ調査が求められる」としている。

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医師でリスクの低いがんは?~日本人の職業とがんリスクの大規模研究

 日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査した、東海大学の深井 航太氏らによる大規模症例対照研究の結果、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかった。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示された。Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載。 本研究は、労働者健康安全機構の有する病職歴データベース(ICOD-R、2005〜23年度)を活用した多施設共同、病院ベース症例対照研究である。14万6,994例のがん症例と、年齢・性別・入院年をマッチングした27万8,244例の対照群を対象に分析した。喫煙、飲酒、肥満、シフトワークなどの生活習慣・背景因子を調整したうえで、一般事務従事者を基準とした職業別の調整オッズ比を算出した。 主な結果は以下のとおり。<男性>・がん全体では、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、教師などの専門職およびホワイトカラーの職業においてリスクが低い一方で、肉体労働、サービス業、輸送関連の職業ではリスクが高い職業が多かった。・肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんは、医師などの専門職でリスクが低かったが、販売、飲食物調理、接客サービス、自動車運転、建設、土木、金属製品、運搬の職業では、肺がん、大腸がん、肝がんのリスクが高かった。・木製品製造従事者は胆道がんリスクが高かった。・建築家、土木技術者、測量士、音楽家、化学製品製造従事者は膀胱がんリスクが高かった。・前立腺がんは多くの職種で一般事務職よりもリスクが低かったが、これは潜在的な発症率の差というより、受診行動やPSA検査を含む検診受診率における職業間の差異を反映している可能性がある。<女性>・がん全体では、職業分類による差は男性ほど顕著ではないが、特定の部位で関連が認められた。・電気機械組立従事者は、肺がん、胆道がん、胃がんのリスクが有意に高かった。・胃がんは、事務機器操作、商品販売、家庭生活支援サービス、衣服・宝石製品製造の従事者の間でリスクが高かった。・大腸がんは、教師、芸術家、デザイナー、写真家や、映像操作、販売類似職業、家庭支援サービス、介護サービス、農業の従事者でリスクが低かった。・乳がんは、保健師、助産師、看護師、その他の医療従事者、介護サービス従事者が、一般事務職と比較して有意にリスクが低かった。

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グラム陰性菌の菌血症、迅速抗菌薬感受性試験は臨床的に有効か/JAMA

 グラム陰性桿菌による血流感染症患者において、迅速抗菌薬感受性試験(AST)の追加は標準ASTと比較し、「desirability of outcome ranking(望ましい順位のアウトカム):DOOR」による評価では優越性は認められなかったことが、米国・Vanderbilt University Medical Center大学のRitu Banerjee氏らが行った「FAST試験」の結果で示された。血液培養時の陽性血液培養ボトルを用いて直接、感受性の表現型を評価する迅速ASTについて、その結果に基づき抗菌薬治療を行うことで臨床アウトカムを改善するかどうか、臨床的意義は不明であった。著者は、DOORでは差がなかったものの副次アウトカムや事前に規定した探索的アウトカムでは差がみられたことから、「今回の知見は、他の有効性および安全性のアウトカムと併せれば、迅速ASTの使用に関して役立つ可能性がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年4月18日号掲載の報告。主要アウトカムは、より望ましいアウトカムが得られる確率 FAST試験は、多剤耐性グラム陰性菌の有病率が高い4ヵ国の7施設(ギリシャ2、インド1、イスラエル3、スペイン1)で実施された無作為化非盲検優越性試験。 対象は、血液培養でグラム陰性桿菌が検出され、かつ血液培養の結果通知時点で入院中の患者で、年齢は問わなかった。ただし、直近7日以内のグラム陰性桿菌検出、血液培養結果通知時点で死亡、血液培養グラム染色でグラム陽性桿菌・グラム陽性球菌・グラム陰性球菌・酵母菌・真菌・複数の形態のグラム陰性桿菌を認めた患者などは除外した。 研究グループは、血液培養判定から16時間以内に対象患者を迅速AST群または標準AST群に無作為に割り付け、迅速AST群では各施設の標準ASTに加えVITEK REVEAL(bioMerieux製)を用いて迅速ASTを行った。 両群とも、全例、各施設の抗菌薬適正使用プログラムによる評価を受け、臨床チームで治療変更や抗菌薬の選択、用法および用量などを決定した。 主要アウトカムは、無作為化後30日時点のDOORであった。DOORは「有害イベントなしで生存」、「1つ以上の有害イベントを伴う生存」、「死亡」の3段階で順位付けし、有害イベントは入院継続または退院後30日以内の再入院、臨床効果なし、望ましくない事象(腎不全、多剤耐性菌の院内感染など)と定義した。迅速AST群で標準AST群より良好なDOORが得られる確率の95%信頼区間の下限が50%を超えた場合に、標準AST群に対する優越性が認められることとした。 副次アウトカムは、30日死亡、30日までの入院期間、集中治療室入室、院内感染、3日以内の有効な抗菌薬治療開始までの時間、3日以内の抗菌薬の増量または減量などであった。カルバペネム耐性菌感染症患者で、有効な抗菌薬治療開始までの時間が早まる 2023年12月~2025年5月に899例が無作為化され、このうち850例が解析対象集団となった(迅速AST群413例、標準AST群437例)。年齢中央値72歳、女性が43%であった。 迅速AST群で標準AST群より良好なDOORが得られる確率は48.8%(95%CI:45.3~52.4)であり、優越性は示されなかった。 有効な抗菌薬治療開始までの時間の中央値は両群で差はなく、抗菌薬の増量または減量までの時間の中央値は迅速AST群(22時間)が標準AST群(36時間)より14時間(95%信頼区間[CI]:6~22)短かった。その他の副次アウトカムは両群で差は認められなかった。 事前に規定されたサブグループ解析では、カルバペネム耐性菌感染症患者集団において有効な抗菌薬治療開始までの時間の中央値は迅速AST群で9.5時間、標準AST群で28時間であった(群間差:-18時間、95%CI:-42~6)。

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進行期パーキンソン病で昇圧薬を中止したら意識消失を繰り返す事態に…【うまくいく!処方提案プラクティス】第72回

 今回は、進行期パーキンソン病(以下「PD」)における起立性低血圧の管理に介入した症例を紹介します。血圧が安定しているから昇圧薬を中止しようという判断が、結果として患者さんに意識消失を繰り返させてしまうことになり、私自身の反省を踏まえた事例です。進行期PDにおける自律神経障害の理解と、降圧薬・昇圧薬の適切な管理について、一緒に整理していただければ幸いです。患者情報79歳、男性(施設在宅)介護度要介護2基礎疾患パーキンソン病(発症70歳)、レビー小体型認知症、前立腺がん(既往)、陳旧性脳梗塞(既往)ADL歩行・食事は一部介助、排泄はオムツ使用(一部介助)、両下肢の筋力低下あり服薬管理施設スタッフが管理薬学的管理開始時の処方内容1.レボドパ・ベンセラジド配合錠 4錠 分3 毎食後(朝2・昼1・夕1)2.ドロキシドパOD錠100mg 3錠 分3 毎食後3.ミドドリン錠2mg 3錠 分2 朝夕食後(朝2・夕1)4.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後5.ソリフェナシンOD錠5mg 1錠 分1 夕食後本症例のポイント介入当初、レボドパ・ベンセラジド配合錠とドロキシドパ、ならびに昇圧薬のミドドリンが処方されていました。起立性低血圧の既往があるとの情報は得ていたものの、血圧は安定(110~140/60~80台で推移)していると施設職員から報告を受けていました。血圧が落ち着いているなら、ミドドリンは継続する必要がないのではないかと考え、担当医師にミドドリンの中止を提案しました。医師も同意して中止となりましたが、これが誤りの始まりでした。見落とした進行期PDと起立性低血圧の関係パーキンソン病は運動症状だけでなく、さまざまな非運動症状も呈します。進行期には自律神経障害が高頻度に出現し、とくに起立性低血圧は約3分の1の患者に認められるとされています1)。起立性低血圧の背景には、パーキンソン病の神経変性がノルアドレナリン系にも及び、心臓交感神経の脱落が関与していることが知られています。ドロキシドパは生体内でノルアドレナリンに変換されることで、進行期PDにおけるすくみ足・無動・姿勢反射障害だけでなく、起立性低血圧の改善にも有効とされています2)。本症例では、「現在の血圧が安定している=昇圧薬は不要」と表面的に判断してしまい、昇圧薬がその安定を支えていた可能性を考慮できていませんでした。連鎖した処方変更ミドドリン中止から2週間後、血圧の乱高下が出現しました。朝の収縮期血圧が170mmHg台まで上昇することもあると施設の看護師から相談があったので、今度は降圧薬のオルメサルタン10mgを提案・追加しました。しかし、その約1週間後から食後を中心に起立性低血圧が頻発するようになりました。施設の看護師から「血圧がずっと低くなっている」「何度も意識消失を繰り返している」と緊急の相談が入り、事態の深刻さを初めて認識しました。問題の整理ミドドリン中止により昇圧作用が喪失し、血圧が不安定化(とくに食後の低下)。朝の高血圧を起立性低血圧の代償反応として読めず、降圧薬を追加。進行期PDでは臥位高血圧と起立性低血圧が共存しやすい病態であるにもかかわらず、その特性を理解していなかった。医師への提案と経過施設看護師から相談を受けたのち、速やかに医師に状況を報告し、以下を報告しました。(1)ミドドリン中止後から血圧が不安定となり、食後の低血圧が顕著(2)オルメサルタン追加後から起立性低血圧が頻発、意識消失が複数回発生(3)進行期PDにおける自律神経障害(食後低血圧・起立性低血圧)が主因と考えられるそのうえで、オルメサルタンの中止&フルドロコルチゾン0.5錠(0.05mg)の追加を提案しました。パーキンソン病診療ガイドライン2018によれば、起立性低血圧の非薬物療法として塩分摂取の増加や急激な体位変換の回避などが挙げられており、薬物療法としてはミドドリンやフルドロコルチゾンが用いられます1)。とくに臥位高血圧を認める患者では、半減期の短いミドドリンを日中に使用することが推奨されています。しかし、本患者は薬を増やしたくないという希望があり、施設職員の服薬管理の負担軽減の観点からも1日1回朝食後の投与で済むフルドロコルチゾンを提案しました。医師への提案はすぐに採用され、フルドロコルチゾン0.5錠(0.05mg)を朝食後に追加することになりました。その後、施設の看護師から血圧が安定し、意識消失がなくなったとの報告があり、患者さんは落ち着いた経過をたどっています。考察:この事例から学んだこと1.進行期PDにおける起立性低血圧は「管理すべき症状である」起立性低血圧は進行期PDの非運動症状の代表です。進行期にはほぼ必発ともいえる重要な症状であり、転倒・失神・QOL低下の大きな要因となります。「今は血圧が安定している」という状況だけで薬剤を中止するのではなく、なぜ安定しているのか(=薬が効いているから安定している)という視点を持つことが欠かせません。2.臥位高血圧と起立性低血圧の共存進行期PDでは、自律神経障害により臥位では血圧が高く、立位では低くなるという、相反する病態が共存することがあります。朝の高収縮期血圧をみて安易に降圧薬を追加すると、日中の体動時や食後に重篤な低血圧を招くリスクがあります。3.処方変更は1つずつ丁寧に本症例では、ミドドリン中止→血圧乱高下→降圧薬追加→低血圧悪化という連続した処方変更が事態を複雑にしました。変更の際は1つずつ、十分なモニタリング期間を設けることが原則です。4.施設職員・看護師との連携の重要性施設看護師からの速やかな報告がなければ、意識消失の連発に気付くのが遅れていました。日常的に施設スタッフとの情報共有の関係を築いておくことが、重大な有害事象の早期発見につながります。1)日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」作成委員会. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院;2018.2)大村友博ほか. パーキンソン病薬. In:薬局:南山堂;2021.p.138-165.

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医師の働き方改革後、労働時間と収入はどう変わった?/医師1,000人アンケート

 ケアネットは2026年3月、会員医師1,000人を対象に「年収に関するアンケート」を実施した。最後の質問では、2024年4月からスタートした「医師の働き方改革」以降で、年収と労働時間がどう変化したかについて尋ねた。年収は「変化なし」7割、アップ1割、ダウン2割 2024年度以降の年収の変化では、「変わらない」が73%、「増えた」が9%、「減った」が18%だった。年代別では、「年収が増えた」の割合は35歳以下では14%、36~45歳では16%だった一方で、56~65歳は5%、66歳以上は1%と、年代が上がるにつれて減る傾向だった。若手は職位変化や専門医取得などの昇給機会が多いのに対し、ベテラン医師はそうした機会が少なく、体力面からアルバイト・副業なども減らす傾向にあることが背景にあるようだ。同様に「年収が減った」との回答割合も高齢層になるほど高かった。 診療科別(回答数30人以上の科)では、小児科は「収入が減った」の割合が33%と高く、消化器内科も25%と4分の1が減収と回答した。一方、「収入が増えた」の割合は呼吸器内科が21%と最も高く、続いて糖尿病・代謝・内分泌科の19%であった。労働時間、「減った」のは大学病院勤務が最多 労働時間の変化では、「変わらない」75%、「増えた」11%、「減った」14%と、年収とほぼ同様の割合という結果だった。年代別では、35歳以下では「減った」が24%、「増えた」が7%と労働時間の減少傾向が見られたが、36~45歳、46~55歳では「増えた」と「減った」が共に1割強と拮抗しており、若手の労働時間減少分の一部を中堅層が肩代わりしている状況が推察された。 男女別では、「労働時間が減った」割合は男性13%に対し女性21%と、女性のほうが減った割合が高かった。勤務先別では、大学病院勤務者が「減った」の割合が16%と最も高く、医師の働き方改革の実行の度合いが伺える結果となった。「年収アップで労働時間減」の理想型はわずか1% 年収と労働時間の変化の組み合わせでは、「いずれも変化なし」が63%と最も多く、医師の働き方改革が現場に与えた影響は、さほど大きくはない状況がみえた。「労働時間は減ったが、年収も減った」パターンが8%、「労働時間は増えたが、収入も増えた」パターンが4%、「労働時間は増えたのに、年収は減った」という厳しいパターンも2%存在した。理想的な「年収は増え、労働時間は減った」という医師はわずか1%であった。 収入や労働時間に関する自由回答では、収入増加のための行動として投資(有価証券、不動産など)、転職、アルバイト増加(当直、産業医など)が挙げられた。また、節税対策やふるさと納税の活用もみられた。「年収がアップしても税金が増えるだけなので、モチベーションが湧きにくい」という不満の声も複数寄せられた。総じて30~40代の医師は転職や自己研鑽、専門医取得などで収入アップを図るという声が目立ったが、50代以降では「現状で満足」「体力的に厳しいのでバイトを減らす」といった声もあった。「大学病院の給料をもっと上げるべき」「定年後の再任用で給与が激減するのを緩和してほしい」といった提言・要望も目立った。第1回のアンケート結果で紹介したように、この10年間、医師の給与はほとんど上がっておらず、物価高が続く中、さまざまな道を模索する医師の姿がうかがえる結果となった。アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な結果については、以下のページに掲載している。医師の年収に関するアンケート2026【第4回】働き方改革による変化

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診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴

迷いのない診断、日常診療に潜む誤診の回避体験を読んで積み上げる臨床は知識と経験に基づく連続したタスクであり、状況によって変化する。そのため正確な診断には常に誤診のリスクが付きまとう。本書は国立成育医療研究センターの医師60人が総力を挙げて執筆。診断エラーを回避するため、コミュニケーション技術に基づく問診、身体診察、検査、家族説明、鑑別疾患、診断のステップを通して、落とし穴の回避術をシステマティックに展開。収載された、教科書では得られないニアミス症例、ピットフォール症例が心に刻み込まれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する診断エラーを防ぐ-小児科の落とし穴定価4,400円(税込)判型A5判(並製)頁数296頁発行2026年3月編集窪田 満(国立成育医療研究センター)/永井 章(国立成育医療研究センター)ご購入はこちらご購入はこちら

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他者の感じ方が自分の痛みや負担感に影響

 予防接種の順番を待っているとき、接種を終わらせた人が、注射の痛さを口にしながらよろよろと出てきたとする。そのような言葉を聞くと、自分が受ける注射の痛みも強く感じるのだろうか。新たな研究で、その答えは「イエス」である可能性が示された。他者の感じ方は、身体的な痛みであれ認知的負荷の高い課題であれ、自分自身の感覚の形成に影響を与え得ることが明らかになった。米ダートマス大学心理・脳科学科のAryan Yazdanpanah氏らによるこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月9日掲載された。Yazdanpanah氏は、「今回の研究では、人間は社会的な情報によって予期が形成されると、その予期を維持する傾向があり、その結果、自分の感じ方に持続的な影響を及ぼす可能性が示唆された」とニュースリリースで説明している。 この研究でYazdanpanah氏らは、111人の参加者を対象に実験を行い、社会的手がかりが予期や実際の感じ方にどう影響するかを検討した。実験ではまず、他の参加者10人の評価とされる視覚的な手がかりを参加者に提示した。この情報は、実はランダムに表示されたものであり、実際の評価を反映していなかった。この手がかりを見た上で参加者は、以下の3種類の課題を実施した。それらは、1)身体的痛みとして腕に熱刺激を加える課題、2)代理的痛みとして他人が痛がる動画を視聴する課題、3)認知的負荷として、頭の中で2つの3D物体を回転させて同一のものかどうかを判断する課題であった。参加者は、課題実施の前後でその課題がどれだけ痛いか、または困難かを評価した。 その結果、他者の評価が熱刺激によって極度の痛みを感じたことを示した場合、たとえ実際の熱刺激が弱くても、参加者は痛みを強く感じる傾向が示された。他者の痛みの程度を判断する場合も同様で、予期が「強い痛み」であれば、参加者もそのように判断した。 Yazdanpanah氏は、「これらの結果は、人々が他者の経験をどのように解釈するかについて理解する上で重要な意味を持つ。例えば、ある人が実際には強い痛みを感じているにもかかわらず、周囲がそれを深刻ではないと考えている場合、そのような社会的な認識によって、その人の苦しみを過小評価したり見過ごしたりしてしまう可能性がある」と指摘している。同氏はまた、「同様に、数学の問題を解くといった課題について、他者がその大変さについて話していると、同じ課題がより精神的負荷の大きなものとして感じられる可能性がある」とも述べている。  研究グループによると、これには「確証バイアス」が関与している可能性があるという。共著者であるダートマス大学心理・脳科学科のAlireza Soltani氏は、「人は自分の考えに一致する証拠を優先し、一致しない情報は無視したり軽視したりする傾向がある」と言う。さらに、知覚が予期の影響を受けると、このようなバイアスは修正が難しくなるという。Yazdanpanah氏は、「例えば、腰痛の経験がある人は、体を曲げると痛みが生じることを予期するかもしれない。たとえ身体が生理学的には回復して体を曲げることが安全であっても、そのような予期が実際に感じる痛みを強め得る。その結果、本来は安全な動作であっても痛みを感じ、こうした考えを更新するために必要なシグナルが弱まってしまうのだ」と説明している。 この研究結果は、ソーシャルネットワークやソーシャルメディアによって絶えることなく人々の認識が形成されている現代社会において重要な意味を持つ可能性があると研究グループは指摘している。上席著者であるダートマス大学心理・脳科学科のTor Wager氏は、「われわれの研究結果は、裏付けとなる証拠がなくても予期が持続する理由を解明する一助になるかもしれない」と述べている。さらに同氏は、「今回の研究で観察されたダイナミクスは自己成就的予言、すなわち慢性疼痛や疲労といったさまざまな健康状態、さらには他者に対する考え方にも影響を及ぼすフィードバックの循環を生み出す可能性がある」と説明している。

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医療者の携帯電話が多剤耐性菌を広める!?

 医療従事者の多くが勤務時間中に仕事関連と個人的な目的の両方で携帯電話を使用しており、患者との接触とデバイスの操作を頻繁に切り替えている。しかし、感染予防の観点からみた高頻度接触表面としての携帯電話の役割については、十分に解明されていない。ドイツ・Goethe University FrankfurtのDaniel Hack氏らは、大学病院で医療従事者が使用する携帯電話上の多剤耐性菌の保有率および分子疫学を評価し、非医療従事者が使用する端末との比較検討を行った。Antimicrobial Resistance & Infection Control誌2026年4月4日号掲載の報告。 30ヵ月間にわたる横断研究において、医療従事者の携帯電話232台および非医療従事者の携帯電話241台を対象に、多剤耐性菌の保有率および総細菌数を評価した。医療従事者は患者と直接接する者(医師、看護師およびその他の医療者)、非医療従事者は患者と直接接触しない者(臨床実習前の医学生、事務職)と定義された。一部の端末については、アルコール含有ワイプによる清拭消毒の前後で評価を実施した。クローナルクラスターを同定するため、全ゲノム解析およびそれに続くcore genome multilocus sequence typing(cgMLST)解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・多剤耐性菌の保有率は、非医療従事者の携帯電話と比較して、医療従事者の携帯電話で有意に高かった(0.4%vs.15.1%、p<0.001)。・医療従事者間でのサブグループ解析の結果、一般病棟よりも集中治療室(ICU)で使用される端末(11.9%vs.23.4%)、個人用よりも共有の端末(9.1%vs.23.0%)において保有率が有意に高かった(p<0.05)。・医師と看護師の間およびスマートフォンとキーパッド式携帯端末の間で、多剤耐性菌の保有率に有意な差は認められなかった。・バンコマイシン耐性Enterococcus faeciumおよびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が、それぞれ11.2%および4.7%の端末から検出された。一方で、多剤耐性グラム陰性菌(MDRGN)は検出されなかった。・cgMLST解析により、クローナルな多剤耐性菌株は主として同一病棟内で認められ、病棟間を越えて認められることはまれであった。・総細菌数は多剤耐性菌検出の予測因子ではなかった。・アルコール含有ワイプによる清拭により、評価を実施したすべての端末から多剤耐性菌が確実に除菌された。 著者らは、携帯電話は多剤耐性菌伝播における重要なリザーバーとなりうるとし、とくに共有端末およびICUの端末に対する標準化されたルーチン消毒を感染予防策として組み込むことが検討されるべきとしている。

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イプタコパンがIgA腎症の腎機能障害を有意に抑制(解説:浦信行氏)

 イプタコパンは補体代替経路の補体B因子の経口阻害薬であり、2025年2月のNEJM誌(Perkovic V, et al. N Engl J Med. 2025;392:531-543.)に9ヵ月時点での有意な蛋白尿減少効果が報告されている。今回は最終24ヵ月までの推算糸球体濾過率(eGFR)の変化度をプラセボ群と対比した。結果の概要はCareNet.comの2026年4月14日配信の記事に示されているが、イプタコパン群のeGFRの変化は-3.10mL/分/1.73m2/年とプラセボ群の-6.12mL/分/1.73m2/年に比較して腎機能障害進行の程度が半減していた。有害事象はやはり感染関係が多かったが、有害事象の発生率と重篤な有害事象の発生率に差はなかった。サブグループ解析では、年齢、性別、アジア人と非アジア人、尿蛋白の程度、eGFRの程度、血尿の有無、SGLT2阻害薬使用の有無で効果に差はなかった。わが国では発症が多いとされるIgA腎症であるが、効果は同様に期待でき、またSGLT2阻害薬使用下でも同様の効果があることから併用療法の有効性もあるものと考えられる。 近年はIgA腎症の病態の一端が徐々に明らかとなり、その病態の各段階に作用する薬剤の開発が盛んに行われ、多くの開発中の薬剤の尿蛋白低減効果が報告されている。しかし、長期の腎機能保護効果を報告するものは少なく、また長期とは言っても24ヵ月程度の成績である。現時点では腸管に限定的に作用するグルココルチコイドのブデソニドはやはり腎機能障害の程度は有意に半減したが、エンドセリンとアンジオテンシン両者の受容体阻害効果を示すsparsentanは減少の傾向にとどまった。その他の新規開発薬剤もこれから報告が相次ぐと思われるが、より長期の保護効果に関する成績や、組織的にも有意な改善があるかの検討も待たれる。なお、現時点での成績では腎機能障害の程度は半減しているが、それでも毎年eGFRが3mL/分減少するため末期腎不全までの進行は避けられない。この減少が1mL/分/1.73m2/年以内にとどまれば言うことはないのだが。

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6割超が年収2,000万円以上を適正と回答したのは◯◯科/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。そのなかで、自身の年収額を妥当と感じるか尋ねたところ、60.2%(そう思う、ややそう思うの合計)が妥当と考えていた。また、自身の業務内容・仕事量に見合った適正年収を尋ねたところ、2,000万円以上と回答した割合は36.3%であった(実年収2,000万円以上は24.0%)。現在の年収、「妥当」と感じる医師は約6割 年収額の妥当性について、自身の年収額が妥当だと思うかという問いに対し「そう思う」が25.8%、「ややそう思う」が34.4%であり、合計すると60.2%となった。2016年もそれぞれ25.2%、36.4%で合計61.6%となり、大きな変化はみられなかった。年代が上がるほど年収の納得感が高い 年代別にみると、年代が上がるほど自身の年収を妥当と感じる割合が高くなる傾向がみられた。「そう思う」「ややそう思う」の割合は、35歳以下がそれぞれ20.5%、33.0%、合計53.5%であったのに対し、66歳以上はそれぞれ32.5%、40.5%、合計73.0%となった。大学病院勤務は年収の納得感が低い 勤務先別にみると、大学病院に勤務する医師は自身の年収を妥当と感じる割合が低い傾向がみられた。「そう思う」「ややそう思う」の割合は、一般診療所がそれぞれ33.9%、33.9%、合計67.8%と最も高かった。一方、大学病院はそれぞれ15.8%、28.3%、合計44.1%と低かった。診療科別の年収の納得感の傾向は? 「そう思う」「ややそう思う」と回答した医師の割合が70%以上、50%以下であった診療科は以下のとおりであった(30人以上の回答が得られた診療科を抽出)。<70%以上>・糖尿病・代謝・内分泌科(31人):74.2%(35.5%、38.7%)・呼吸器内科(34人):70.6%(32.4%、38.2%)<50%以下>・消化器外科(34人):29.4%(5.9%、23.5%)・小児科(52人):50.0%(19.2%、30.8%)適正年収2,000万円以上は36.3% 自身の業務内容・仕事量に見合った適正年収について尋ねた結果、「2,000万~2,500万円」が16.1%、「2,500万~3,000万円」が7.8%、「3,000万円以上」が12.4%で合計すると36.3%となった。2016年もそれぞれ17.1%、6.7%、10.9%で合計34.7%となり、大きな変化はみられなかった。実年収より高い額を適正年収として回答した割合は52.9%であり、実年収別にみると、実年収よりも適正年収を高く回答した割合は1,200万~1,400万円の集団(69.7%)が最も高かった。男性のほうが適正年収を高く回答 男女別にみると、男性のほうが自身の適正年収を高く回答する傾向がみられた。「2,000万~2,500万円」「2,500万~3,000万円」「3,000万円以上」の割合(括弧内は実年収の割合)は、男性がそれぞれ17.7%(14.9%)、8.4%(5.8%)、13.6%(5.3%)、合計41.7%(26.0%)であったのに対し、女性はそれぞれ4.3%(4.3%)、3.4%(4.3%)、3.4%(0%)、合計11.1%(8.6%)となった。消化器外科、脳神経外科は半数以上が適正年収2,000万円以上と回答 「2,000万~2,500万円」「2,500万~3,000万円」「3,000万円以上」と回答した医師の割合が50%以上、30%以下であった診療科は以下のとおりであった(30人以上の回答が得られた診療科を抽出)。<50%以上>・消化器外科(34人):64.7%(32.4%、20.6%、11.8%)・脳神経外科(37人):56.7%(21.6%、10.8%、24.3%)<30%以下>・内科(197人):29.4%(16.8%、2.0%、10.7%)・精神科(78人):29.5%(7.7%、6.4%、15.4%)アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な年収分布については、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2026【第3回】年収の妥当性・適正年収

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