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事例64 悪性腫瘍特異物質治療管理料(その他2項目)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、胃がん、膵がんを疑い、D009腫瘍マーカー検査2項目を測定していたのでB001[3]悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定したところ、C事由(医学的理由による不適当)により査定となった。腫瘍マーカー検査そのものの復活は無く、静脈採血料が復活されていた。同管理料の留意事項には、「悪性腫瘍と既に確定診断された場合に腫瘍マーカー検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定できる」とある。事例では「疑い病名」のままで算定していたため同管理料の算定は不適当と判断された。また、レセプト上の検査などの実施状況から悪性腫瘍を強く疑った理由が読み取れないため、腫瘍マーカー検査の復活が認められなかったものと推測できる。再審査を考えるために、本来は悪性腫瘍が確定していたのではないかとカルテを確認したが、治療計画の記載など確定診断が読み取れる記載が確認できなかったため、再審査は行われなかった。同管理料と腫瘍マーカー検査は、査定例が多く、個別指導などでも指摘が多い項目である。算定要件に十分に留意して算定をお願いしたい。

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日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

 うつ病は、QOLへの影響が最も大きい消耗性疾患の1つであるが、うつ病患者のうち、適切な抗うつ薬治療により寛解を達成できるのは半分以下である。うつ病治療における、その他の有望な治療オプションに認知行動療法(CBT)がある。しかし、CBTの実施には、経験豊富なセラピストや多くの施行時間を要するため、普及は容易ではない。国立精神・神経医療センターの渡辺 範雄氏らは、薬物療法のみで反応不十分なうつ病患者に対し、抗うつ薬切り替えと同時にスマートフォンを用いたCBTプログラムを併用した際の有効性を検討するための研究(FLATT Project)を開始した。Trials誌2015年7月7日号の報告。 主な研究デザインは以下のとおり。・2014年9月より、多施設無作為化試験を実施。・スマートフォンを用いたCBTプログラムは、うつ病のための「こころアプリ」という名で開発され、その実行可能性は、先行のオープン試験で確認されている。・プログラムは、イントロダクション、6つのセッション、エピローグから構成され、患者が自身で9週間以内に完了できるよう設計されている。・対象患者は、DSM-5でうつ病と診断され、4週間以上の適切な抗うつ薬治療を行ったが無反応または部分反応であった164例。「こころアプリ」を抗うつ薬切り替えに併用した群(アプリ併用群)と切り替えのみを行った群(切り替え群)に割り付ける。・切り替え群では、9週間後に「こころアプリ」の全コンポーネントを受け取る。・主要評価項目は、評価者盲検にて電話評価で行う、9週間(第0、1、5、9週)を通じたPatient Health Questinnaire-9 (PHQ-9)の合計スコアの変化とした。・副次評価項目は、Beck Depression Inventory-IIの合計スコアの変化、Frequency, Intensity, and Burden of Side Effects Ratings (FIBSER)で評価した副作用の変化、および治療満足度とした。関連医療ニュース うつ病治療、行動療法の意義はどの程度か:京都大学 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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第2世代アンチセンス薬、リポ蛋白(a)を選択的に抑制/Lancet

 第2世代のアンチセンス薬ISIS-APO(a)Rxは、血漿リポ蛋白(a)(Lp(a))濃度を選択的かつ用量依存性に減少させ、安全性や忍容性も良好であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らの検討で示された。Lp(a)はアポリポ蛋白(a)(apo(a))がアポリポ蛋白B-100(apoB)と共有結合した分子で、心血管疾患や石灰化大動脈弁狭窄の独立のリスク因子とされる。apo(a)は肝細胞によって合成され、新たに合成されたapoBと共有結合してLp(a)を形成する。ISIS-APO(a)Rxは、肝におけるapo(a)の合成を減少させ、その結果として血漿Lp(a)濃度が低下するようデザインされている。Lancet誌オンライン版2015年7月22日号掲載の報告より。単回と複数回投与を評価する第I相試験 研究グループは、ISIS-APO(a)Rxの安全性と薬物動態、薬理学的効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化第I相試験を実施した(Isis Pharmaceuticals社の助成による)。対象は、年齢18~65歳、BMI<32、Lp(a)≧100mg/Lの健常成人であった。 被験者は、単回投与試験では4種の用量(50mg、100mg、200mg、400mg)またはプラセボを皮下注射する群に、複数回投与試験では3種の用量(100mg、200mg、300mg)またはプラセボを6回皮下注射(第1、3、5、8、15、22日)する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、単回投与試験が30日時、複数回投与試験は36日時の空腹時血漿Lp(a)濃度のベースラインからの変化率とした。安全性および忍容性の評価は投与終了後1週時に行い、単回投与試験は最大30日まで、複数回投与試験では12週まで継続した。 2013年2月27日~7月15日の間に47例が登録された。このうち単回投与試験は16例で、50mg群、100mg群、200mg群、400mg群にそれぞれ3例ずつが、プラセボ群には4例が割り付けられた。また、複数回投与試験は31例で、100mg群に8例、200mg群に9例、300mg群に8例が、プラセボ群には6例が割り付けられた。投与中止は2例、複数回投与で効果を確認 全体として、重篤および重度の有害事象は認めず、最も頻度の高い有害事象は軽度の注射部位反応だった。ISIS-APO(a)Rx投与群の37例のうち1例(3%、複数回投与試験の200mg群)が注射部位の有害事象で、1例(3%、同300mg群)はインフルエンザ様症候群で投与を中止したが、症状は長期化せず自然に回復した。 ISIS-APO(a)Rx投与群の10%以上に発現した他の有害事象として頭痛と疲労が認められたが、プラセボ群との間に有意な差はなかった。また、ISIS-APO(a)Rx投与群の間に、肝機能検査やその他の安全性評価にも有意な変化はみられなかった。 単回投与試験では、いずれの用量群も、ベースラインから30日時のLp(a)濃度が、プラセボ群と比較して減少しなかった。また、apoB上の酸化型リン脂質成分(OxPL-apoB)、OxPL-apo(a)、アポリポ蛋白AI(apoAI)上のOxPL(OxPL-apoAI)、プラスミノーゲン上のOxPL(OxPL-PLG)およびプラスミノーゲンにも有意な変化は認めなかった。 これに対し、複数回投与試験では、3種の用量群のいずれにおいてもベースラインから36日時の血漿Lp(a)濃度がプラセボ群よりも有意に低下した。すなわち、100mg群はプラセボ群に比べ39.6%減少し(p=0.005)、200mg群は59.0%(p=0.001)、300mg群では77.8%(p=0.001)低下した。3群とも、106日の時点(最終投与後84日)で、Lp(a)濃度がベースラインよりも低かった。 36日時のOxPL-apoBは、3種の用量群ともプラセボ群に比べ有意に減少し(100mg群:26.1%、p=0.020、200mg群:55.1%、p<0.001、300mg群:61.3%、p=0.008)、OxPL-apo(a)は2種の用量群で有意に低下した(200mg群:38.1%、p<0.020、300mg群:84.2%、p=0.001)。 著者は、「ISIS-APO(a)Rxの複数回投与は選択的かつ用量依存性に血漿Lp(a)濃度を減少させ、安全性や忍容性も良好であったことから、Lp(a)値上昇がみられる心血管疾患や石灰化大動脈弁狭窄の治療薬として開発の継続が支持される」と結論し、「本薬により、他のリポ蛋白に影響を及ぼさずにLp(a)を低下させることで治療効果がもたらされるとの仮説の検証が可能になるだろう」と指摘している。

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高齢者への1次予防ICD移植は有用か/BMJ

 心不全やその他急性の併存疾患で入院した高齢者に対し、1次予防として植込み型除細動器(ICD)移植を行っても、長期の全死因死亡や心臓突然死のリスク低減にはつながらないことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院/ハーバード・メディカル・スクールのChih-Ying Chen氏らが、2万例超の高齢者について、後ろ向きコホート試験を行った結果、明らかにされた。BMJ誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。メディケア・メディケイドやACCレジストリなどのデータを分析 研究グループは、2004~2009年の米国公的医療保険メディケア・メディケイドの運営主体「CMS」の請求データや、米国心臓病学会(ACC)の全米心血管データレジストリ(NCDR)などを基に、心不全やその他急性併存疾患で入院し、1次予防ICD移植の適応である66歳以上高齢者2万3,111例について、後ろ向きコホート試験を行った。 1次予防ICDの有効性について分析し、主要評価項目は、全死因死亡と心臓突然死とした。補正後の全死因死亡、心臓突然死リスクともに両群で同等 結果、3年補正前死亡率は、入院中にICD移植を受けなかった人が60%に対し、ICD移植を受けた人は40%と低率だった。しかし、高次元傾向スコアで調整後は、移植後180日の全死因死亡リスク、心臓突然死リスクともにICD移植によるリスク低下は認められなかった(それぞれ、補正後ハザード比:0.91、同:0.82~1.00、同ハザード比:0.95、同:0.78~1.17)。この傾向は、移植後365日についても同様だった。 なお、ICD移植により総死亡や心臓突然死リスクを低減する可能性があるグループとして、心筋梗塞を40日以上前に発症した人や、左脚ブロック、血中B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)低濃度が認められる人にそうした傾向がみられたものの、いずれも有意差には至らなかった。 著者は結果を踏まえて、「今回の結果は、高齢者においてどのようなグループが、ICD移植のメリットを得られるのか、さらなる検討を行うべき根拠を示すものであった」と述べている。また、「それら非代償性心不全や非心臓性併存疾患のリスク因子がある患者の認識が、より良好なICD施術に結び付き、デバイスが最大の有益性をもたらし、有意義な生存延長をもたらすことになるだろう」とまとめている。

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欧州委員会、新コレステロール低下薬evolocumab(PCSK9阻害剤)承認

 アムジェン社は2015年7月21日、欧州委員会(EC)が、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下を必要とするコレステロールコントロール不良患者の治療薬として、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤、evolocumabの販売を承認したと発表した。 ECが承認した、evolocumabの治療対象は以下。■成人の原発性高コレステロール血症(家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体[HeFH]と非家族性高コレステロール血症)または混合型脂質異常症患者に対して行う治療として、食事療法に加え: ●スタチンの最大内服可能用量を投与してもLDL-C管理目標値に到達しない患者に対し、スタチン、もしくはその他の脂質低下療法と併用 ●スタチンに対する忍容性不良、もしくはスタチンが禁忌の患者に対し、単独、もしくは他の脂質低下療法と併用■成人あるいは12歳以上の家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)患者に対し、他の脂質低下療法と併せて行う治療 欧州ではハイリスク患者の60%以上が、スタチンをはじめ現在承認されている脂質低下薬を用いても、依然としてLDL-C値を十分に低下できていない状況である。とくに、リスクが高い患者においては、その比率は80%以上にまで上昇する。 evolocumabは、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害するヒトモノクローナル抗体。PCSK9は、LDL-Cを血中から取り除く肝臓の働きを低下させる。evolocumabは、PCSK9が肝細胞表面のLDL受容体と結合することを阻害することで効果を発揮する。10件の第III相試験のデータから、高コレステロール患者4,500人以上を含む約6,000人の原発性脂質異常症患者および混合型脂質異常症患者において、evolocumabにより一貫したLDL-C値の低下が示された。各試験では、evolocumab投与によりLDL-Cはプラセボと比較して約55~75%の有意に低下が認められている。FHホモ接合体患者では、evolocumabの投与によりプラセボと比較してLDL-Cに約15~30%の有意な低下が認められた。有害事象プロファイルは、全体的に対照群と同等であったが、evolocumab群の2%以上に発現、もしくは対照群と比較して発現頻度の高かった有害事象は、鼻咽頭炎、上気道感染症、背部痛、関節痛、インフルエンザおよび悪心であった。アムジェン社のプレスリリースはこちら。

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事例63 院外処方せん(有効期限切れ再発行)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、高血圧症患者の院外処方せんが、事由D(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)を理由に査定となった。病名に対して薬剤の適用はあり、投与日数は1ヵ月内に合計112日分が処方されている。「日数の過剰での査定であれば、事由B(過剰)であるが、なぜか」と問い合わせがあった。確認したところ、審査支払機関から「薬局で調剤されたのが、1処方せん56日分しかないため再発行していないか」と確認があったことが分かった。計算担当者は、カルテに「期限切れ再発行」と記載があったために、そのとおり返事をしていた。「有効期限切れの再発行は、患者の事情であるため保険適用できない」と査定となったものである。院外処方せんの期限は、発行の日を含めて4日間とされており、その日数には日曜や祝祭日が含まれる。よくある患者の勘違いであるが、診療報酬点数表の第5部 投薬通則8には、「天災地変の他やむを得ない場合を除き、保険医が薬剤を再交付した場合は、この薬剤の費用は、被保険者の負担とする」とある。よって、算定要件に合致しないとして事由Dが適用されたのであろう。これは、院外処方せんにも適用され、再発行費用は患者の自費となる。負担のトラブルを防ぐために、前もって院内にその旨の掲示を行っておくことが必要である。

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わかる統計教室 第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価する セクション3

インデックスページへ戻る第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション3 カプランマイヤー法の生存曲線を描いてみるセクション1 セクション2いよいよ前回の表を基にグラフを作ってみましょう。生存曲線のグラフというと難しいと思われる方も多いかもしれませんが、今回のように簡単なデータから取り組み、自身で描いてみれば、カプランマイヤー法の生存曲線がきちんと理解できるようになります。■必ず下り階段状になる生存曲線もう一度、前回計算した累積生存率の表をみてみましょう。下表が、観察期間8ヵ月間の患者数10例の「死亡」「打ち切り」を調べ、累積生存率を算出したものです。まず時期を横軸、累積生存率を縦軸にとり、値をプロットしてみましょう。そして、プロットする際の記号に「●」や「×」を使ってください。この時の「●」「×」には、次のようなルールが決められています。その時期に死亡が1例でも出現した場合は「●」、打ち切りが出現した時期は「×」です。その時期に死亡と打ち切りの両方が出現した場合は、死亡を優先します。0ヵ月では全員生存しているので生存率は100%で、その時の記号は「■」とします。次に進みましょう。「■」あるいは「●」を始点に、横線を引きます。終点は次の●がある時期です。そして縦線を引き、すべての線を結べば、生存曲線の出来上がりとなります。■プロットされる点が多い場合は?プロットされる点が多い場合は、「●」や「×」を省略したり、すべて「■」で描いたりする場合もあります。誰かが死亡するまでは、生存患者の数は一定になります。プロットした線は、階段の踏面(フミヅラ)状態、そして、死亡者が出現するとその時期は階段の蹴上(ケアゲ)状態になるということです。ここで1つ注意するポイントがあります。各時期での対象患者数(n数)を、必ず記載しなければなりません。これは忘れてはいけないポイントです。カプランマイヤー法を理解するためにも、ぜひ一度、簡単なデータを使ってご自身でグラフを作成することをお勧めします。一般的に医療現場で平均生存期間として使われる値は、カプランマイヤー法の生存曲線で生存率が50%になる時期です。これを専門用語では「生存期間中央値」といいます。この事例での生存期間中央値は、観察後6ヵ月目ということになります。■今回のポイント1)生存曲線の描き方は意外に簡単!2)各時期のn数は必ず記載すべし!インデックスページへ戻る

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抗精神病薬の単剤化は望ましいが、難しい

 統合失調症治療において、抗精神病薬の多剤併用を支持するエビデンスはほとんどなく、また診療ガイドラインでこれを推奨していないにもかかわらず、広く普及したままである。米国・サウスフロリダ大学のRobert J Constantine氏らは、2種類の抗精神病薬による治療で安定している患者を対象に、1種類の抗精神病薬への切り替え効果を検討するため、無作為化比較試験を行った。Schizophrenia research誌2015年8月号の報告。 7つの地域精神保健センターからエントリーした、2種類の抗精神病薬での併用治療により安定している成人統合失調症外来患者104例を対象に、多剤併用療法を継続する群(多剤継続群)と抗精神病薬の単剤療法に切り替える群(単剤切り替え群)に無作為に割り付けた。60日ごとに症状と副作用の評価を行い、1年間追跡した(合計7回評価)。評価項目は、症状(PANSS、CGI)と副作用(EPS、代謝関連、その他)の時間経過における違いとし、各群への割り当てと時間を関数として、ITT分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・単剤切り替え群は、多剤継続群と比較し、症状の増加がより大きかった。・これらの違いは、試験開始6ヵ月目に出現した。・試験期間1年間における全原因中止率は、単剤切り替え群(42%)のほうが、多剤継続群(13%)と比較して高かった(p<0.01)。・副作用に関しては、多剤継続群においてSimpson Angus合計スコアが単剤切り替え群と比べて大幅に減少した以外では、いずれの時点においても単剤切り替え群と比較して差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「2種類の抗精神病薬で安定している慢性期統合失調症患者に対する単剤療法への切り替えには、注意が必要である。多剤併用の中止にあたっては、多剤併用療法に移行する前に単剤療法で効果不十分な患者を対象とした、エビデンスに基づく治療(たとえばクロザピンや持効性注射剤など)の適切な試験が行われるべきである」とまとめている。関連医療ニュース 難治例へのクロザピン vs 多剤併用 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 抗精神病薬の変更は何週目が適切か  担当者へのご意見箱はこちら

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薬剤師業務 対物から対人業務へ 第8回日本在宅薬学会学術大会

 7月19・20日、第8回日本在宅薬学会学術大会が幕張メッセ国際会議場(千葉県千葉市)で開催された。2日間で1,184人が参加し、「理論から実践へ」をテーマに、8シンポジウム34演題と一般演題78題が発表された。 基調講演には厚生労働省の鈴木 康裕氏が登壇した。団塊の世代が75歳以上となる2025年問題に触れ、高齢者の割合増加に伴い生活習慣病患者の割合が増え、服薬の機会が増加していくという社会環境の変化について説明した。それにより深刻化が懸念される残薬問題に関しては効果や安全面だけでなく、医療費の有効活用の面からも課題であるという見解を示した。また、国は今後病床数を増やさない方針であるため、在宅医療や介護人材の確保が急務であり、3~4年以内に体制をつくる必要性について説明した。 医薬分業の現状については、期待されてきた薬局の「かかりつけ機能」が十分に発揮されていない状況を指摘し、薬剤師業務は物販業務から対人業務へ転換が求められているとした。そして、来年の調剤報酬改定以降、医薬品の供給に関する点数を減らし、かかりつけ機能や在宅サービスに関わる業務の評価を上げていく方向性を示した。 日本医師会と合同開催されたシンポジウム1では、医師、看護師、薬剤師がそれぞれの立場から地域包括ケアに求められる連携について意見を述べた。在宅医療に取り組む薬剤師からは、薬剤師が処方提案したことで褥瘡が改善されたケースや減薬につながった症例が報告された。また、医師や看護師からは、患者本人の能力を超える薬剤管理が必要な処方がされた症例や、複数の医療機関からの多剤併用による有害事象などのケースについて発表がされ、より積極的な薬剤師の介入を求める声が聞かれた。また、退院支援の協力事例や病院と薬局の合同勉強会による知識や情報共有の改善事例の発表がされ、病診連携や薬薬連携強化の重要性が確認された。 学会理事長の狭間 研至氏は会見にて、薬剤師の在り方が変わるということは薬剤師だけの問題ではなく、治療方針や治療結果に関わることであるため、医師をはじめ、他職種の人々と共に考えていく必要があるとの考えを示した。そして、今回日本医師会より後援を受け、合同シンポジウムを開催できたことを評価し、来年度以降も議論を続けていきたいとした。 また、今年1月に17名が認定された在宅療養支援認定薬剤師制度について触れ、認定要件の1つとして課された症例報告から薬剤師が介入することで在宅医療の結果が変わってきていることや、学会のホームページに公開されている認定薬剤師の情報から、実際に在宅医との連携が始まったことを例に挙げ、薬剤師による在宅療養支援が実践の時代に入ってきているという所感を述べた。一方で、薬剤師の在宅業務が軌道に乗っている例はまだ少数であるため、求められる知識・技能教育の提供に加え、今後は経営面での課題解決支援や、公的な形で行政や教育機関へ実態をフィードバックしていく方針を示した。

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事例62 トリガーポイント注射の査定【斬らレセプト】

解説事例では、左手の痛みにドゥクルバン腱鞘炎と診断。L104 トリガーポイント注射を施行したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす: 過剰)を理由に、腱鞘周囲注射(G000 筋肉内注射を準用)に査定となった。トリガーポイント注射の留意事項には、「圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を注射する手技(後略)」とある。ここで注意すべきは、ドゥクルバン腱鞘炎の圧痛点は腱鞘であり、腱鞘に対する注射には「腱鞘周囲注射」と「腱鞘内注射」の項目が明確に設定されていることである。よって、トリガーポイント注射の算定では、過剰請求であると判断されたものである。さらに、腱鞘炎に対してあえてトリガーポイント注射を算定したのは、腱鞘内に針先が入っていないことを示すと判断され、腱鞘内注射ではなく腱鞘周囲注射に査定となったものであろう。同じような手技・行為であっても、施行する部位によって報酬項目が異なる場合があることに留意が必要である。

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【解説】Dr.平島のフィジカル教育回診 第1回「入院直後の肺炎球菌性肺炎。これからの病態評価」

症例解説、その前にフィジカルの基本について最初に、基本編としてフィジカルのレクチャーを中心にした平島 修 氏の解説をご覧ください。症例の詳しい解説は、その下の動画になりますが、合わせてご覧になると効果的です。本症例の解説 この患者さんに当てはめてみよう典型的な肺炎球菌性肺炎の患者さんのフォローに関して、いかがだったでしょうか。 選択肢いずれの所見も参考にできれば、参考にした方が良いものですが、フィジカル教育回診の視点で参考にすべき所見は、次の通りとなります。出題者、平島 修 氏の熱い、わかりやすい解説をご覧ください。愛され指導医・Dr.志水が語る「フィジカルの面白さ」設問1入院翌日に、参考にすべき所見は何でしょうか?(参考にすべきものを選択ください)解答C. 呼吸音の変化D. 喀痰グラム染色の変化※解答選択肢は、平島 修 氏の個人的見解にて選ばれたものです。

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臨床統計の基本を身につける J-CLEAR夏季セミナーのご案内

 NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、7月25日に夏季セミナー「基本を身につけよう! 臨床統計の読み方、考え方」を開催する。医療関係者を対象に、バイオ統計学の専門家である折笠 秀樹氏(J-CLEAR評議員/富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・臨床疫学教授)が、臨床統計の読み方や考え方を基本からやさしく解説する。 開催概要は以下のとおり。【日時】2015年7月25日(土)13:30~16:30【場所】東京大学医学部 教育研究棟13階 第6セミナー室地図はこちら【対象】医師、医療関係者【セミナー内容】《第1部》 セミナー司会:景山 茂氏  (J-CLEAR理事/東京慈恵会医科大学 特任教授、臨床研究支援センター長)「基本を身につけよう! 臨床統計の読み方、考え方」  講師:折笠 秀樹氏(富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・臨床疫学 教授)  《第2部》 公開討論:seeding trialをめぐって司会:桑島 巌氏(J-CLEAR理事長/東京都健康長寿医療センター 顧問)   内山 真一郎氏(国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授)・基調講演「seeding trial:それは販促? それとも反則?」   桑島 巌氏・徹底討論   桑島 巌氏   植田 真一郎氏  (J-CLEAR副理事長/琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御分野 教授)   後藤 信哉氏  (J-CLEAR副理事長/東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授)   【参加費】無料(※J-CLEAR会員以外の方もご参加いただけます。)【お申し込み方法】「J-CLEAR夏季セミナー参加希望」とご記入のうえ、氏名、連絡先をFAXまたはEメールにて事務局宛にお送りください。【お問い合わせ/主催】NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)〒160-0008 東京都新宿区三栄町8-37 四ッ谷ビジネスガーデンTEL:03-3358-1926/FAX:03-3358-1954E-mail:japanjclear@gmail.comURL:http://j-clear.jpJ-CLEAR夏季セミナーの詳細はこちら

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事例61 「初診料 休日加算」の査定【斬らレセプト】

解説事例では、5月5日の「こどもの日」の休診日に来院した初診患者に対して、休日加算を算定したところB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす: 過剰)を理由に査定となった。休日加算の留意事項には、「当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病等やむを得ない理由により受診した患者」に算定するとある。時間的算定要件は満たしているものの、初診料以外に診療行為がなく「急病等やむを得ない理由」を満たす判断をする材料がない。よって、事例の休日加算は、「過剰」と判断されたものであろう。再審査の検討にカルテをみた。「昨日に虫刺 来院前、発赤かゆみ(++)来院時、発赤残るもかゆみ軽く」のみの記載があった。虫の種類も刺された部位も不明であり、緊急性が読み取れないため再審査は断念した。患者が緊急に来院する理由はさまざまであるが、医師の休日診察は事実である。カルテには、緊急性を再現できるように記載をお願いした。その一方で、事例のように緊急性が読み取れないレセプトには、「緊急応診をしたが、回復」などの補記をすることとした。

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わかる統計教室 第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価する セクション2

インデックスページへ戻る第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション2 カプランマイヤー法で累積生存率を計算してみるセクション1今回は、簡単な事例で、カプランマイヤー法を用いて累積生存率を計算してみましょう。この図は、観察期間8ヵ月間において10例の患者の死亡、打ち切りを調べたものです。観察開始から死亡あるいは打ち切りまでの期間を直線で表記し、直線の終点が黒丸の場合は死亡、黒丸がない場合は打ち切りを表しています。■累積生存率を計算する方法カプランマイヤー法を用いた累積生存率は、次の4つのステップで求められます。(1)観察データ表の変更観察データの観察開始時点をそろえ、観察期間が短い順に並べ替えます。▼(2)期別死亡率の算出観察時期別の対象患者数、死亡数を確認し、期別死亡率を算出します。▼(3)期別生存率の算出100%から期別死亡率を引くことで、期別生存率を算出します。▼(4)累積生存率の算出期別生存率を掛け合わせて、累積生存率を算出します。(1)観察データ表の変更観察開始時期をそろえて、観察期間の短い順に並べ替えます(下表を参照ください)。まず、観察開始時点をそろえ、それから観察期間を短い順に並べ変えると、イメージがつかみやすくなります。(2)期別死亡率の算出ここで大事なのは観察時期別の対象となる、患者数と死亡数の確認です。先ほどの表では、時期別の患者数や死亡数がすぐにわかるようで、実はわからないので、一般的に次のような集計表を作成します。このように死亡や打ち切りをアウトカムとして整理します。そして、その横に観察期間を書きます。次に、下図のように試験の観察期間ごとの患者数を整理します。観察期間が2ヵ月目の期別患者数は2例、3ヵ月目は1例、4ヵ月目は3例となっていることが、表にするとわかりやすくなります。観察期間が3ヵ月目の調査で、対象の患者数が全部で何例になるかを計算するには、観察期間が3ヵ月目の調査対象患者数が、その時点で何例いるかを調べればいいのです。観察期間が2ヵ月目では1例が死亡し、1例が打ち切りになっているので、3ヵ月目では2例いなくなっています。したがって、調査対象患者数は10例から2例を除いた8例となります。観察期間が4ヵ月目ではどうなるかを計算してみましょう。2ヵ月目で2例、3ヵ月目で1例いなくなっているので、10例-2例-1例=7例となります。このようにとても簡単に理解ができるようになります。実は、各調査時期の調査対象患者数は、算出したい時期の1つ前の時期までの死亡や打ち切りを足し合わせた数を、調査対象全体(今回の事例では患者10例)から引いた数になるのです。次の表を参照してください。たとえば、観察期間が7ヵ月目の場合、調査対象患者数は2例となります。2ヵ月目で終了が2例、3ヵ月目で終了が1例、4ヵ月目で終了が3例、5ヵ月目で終了が1例、6ヵ月目で終了が1例となり、2+1+3+1+1=8例となります。調査対象患者は、10例-8例=2例です。これが生存曲線のグラフ上に表記されるn数となります。そして、期別死亡率の算出は簡単です。先ほどのアウトカムに記載された「1」(死亡)の数を、期別に数えればいいだけです。つまり、2ヵ月目は1例、3ヵ月目はゼロ、4ヵ月目は2例……となります。期別死亡数は下表を参照ください。(3)期別生存率の算出期別死亡率の算出が終わり、いよいよ、期別生存率、累積生存率を求めるところにきました。これもサクサク簡単に計算できるので、やってみましょう。最初に、先ほど求めた期別の対象患者数と死亡数を下表の(a)と(b)に転記してみてください。そして順を追って表の(c)(d)(e)を埋めてみましょう。期別死亡率は、期別死亡数を対象患者数で割ることで求めることができます。そして、死亡率がわかれば生存率も簡単にわかります。期別生存率は100%から時期別死亡率を引くだけでいいのです。(4)累積生存率の算出期別生存率を掛け合わせれば累積生存率が算出できます。このように、ご自身で簡単な事例を使って実際に計算してみると、簡単にできることがわかると思います。観察期間8ヵ月間で生存率は21.4%です。そして、この生存率を正確には「累積生存率」というのです。ここまで理解できれば、カプランマイヤー法の基本的な考え方をマスターできたということです。■今回のポイント1)被験者ごとにバラバラな観察期間と観察終了理由に注目!2)生存曲線グラフのn数は「死亡」と「打ち切り」を除外した数値になる!3)期別の死亡数と対象患者数がわかれば、ひたすらカリカリ単純計算!インデックスページへ戻る

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事例60 在宅自己注射指導管理料(アナフィラキシー)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、エピペン®ならびにC101在宅自己注射指導管理料が、A事由(医学的に適応と認められないもの: 病名不足)にて査定となった。カルテを見ると「患者は小学生、複数回の蕁麻疹の既往、4月にはアナフィラキシー発現で他院を受診、RAST検査で牛肉がクラス6であったと、家族が患者を伴い、診療情報提供書を持参して来院、アドレナリン注射による救命措置があることを伝えて緊急時の注射方法を指導して処方した」と記載されていた。病名欄にアナフィラキシーの記載はなかった。同指導管理料の留意事項には、「アドレナリン製剤については、蜂毒、食物及び毒物等に起因するアナフィラキシーの既往のある患者(中略)に対して、定量自動注射器を緊急補助的治療として用いた場合に限り算定する」とあり、アナフィラキシーの病名が必要であることがわかる。医師と算定者双方には「蕁麻疹のみでは算定対象とならない」ことを申し伝えた。

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健康づくり支援薬局 資質ある薬剤師常駐が要件

 7月2日、厚生労働省は第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会(座長:昭和薬科大学 学長 西島 正弘氏)を開催した。今回は、健康づくり支援薬局の要件について話し合いが行われ、厚労省の提案に対し、各構成員から大きな反論はなかった。 まず、前回までの議論1)を踏まえ、積極的に健康サポート機能を発揮する薬局の暫定的な略称として、「健康づくり支援薬局」を用いることが提案された。また、健康づくり支援薬局の基盤となる、かかりつけ薬局の機能は主に「薬剤情報の一元管理」「24時間対応、在宅対応」「医療機関との連携」の3つとされた。健康づくり支援薬局の定義としては、一般用医薬品等に関する助言や健康相談応需、受診勧奨を行うことだけでなく、率先して具体的に健康づくりを支援する薬局とされた2)。 健康づくり支援薬局の要件としては、薬剤師の資質、薬局設備、医薬品供給体制、連携体制構築など8項目が検討された。複数の構成員から、住民から信頼されるかかりつけ薬剤師がいることを前提とすべきだという意見が出され、「健康づくり支援薬局に必要なかかりつけ薬剤師の資質」が議論の中心となった。 厚労省からは、必要な資質を、一般用医薬品等の情報提供や相談応需、受診勧奨など求められる機能を発揮するための研修を修了することによって担保することが提案された。これに対し、介護予防の項目や、薬学的な専門性を生かすために「薬と健康」などの項目を入れるべきではという意見が出た。また、厚労省は資質担保の方法として研修制度を想定しており、新たな専門制度などといった資格化は検討していないとした。 日本薬剤師会の森 昌平氏は、機能を発揮するには何が必要なのかを明確にする必要があり、一般目標を設定すべきと提案した。また、日本薬剤師会の生涯学習支援システムJPALS、および薬剤師に求められるプロフェッショナルスタンダードについて触れた。そのうえで、地域住民の健康増進に関する領域においては、今後さらに充実した研修を行い、必要に応じて地域包括ケアに関する項目をプロフェッショナルスタンダードに含めていきたいとした。 設備要件に関しては、個人情報配慮のための個室の設置は難しい場合も考えられるが、音響や消音装置を活用するなど工夫することで、限られたスペースでも対応可能であるという意見が出された。また、健康相談の記録については、要指導医薬品等の販売内容や相談内容を、薬歴等と同様に一定年数保存することを要件に含めるべきという意見が出された。 供給体制については、森氏より一般用医薬品の品目数は、薬効分類の大分類18、中分類80を目安として考慮することが提案された。選択肢を確保するためにも、中分類の各分類の製品をそれぞれ2品目程度そろえることで、地域の最低限のニーズに応えられるのではと説明した。 また、産経新聞社の佐藤 好美氏より、利用者が健康相談をするのは「サプリメントを飲んでみようかな」などと考えるときであるため、ある程度の一般用医薬品やサプリメント、介護用品、衛生材料などをそろえるべきではという意見が出された。とくに、介護食やとろみ調整剤、おくすり服用ゼリーはかかりつけ薬局には必要だという考えを示した。 日本保険薬局協会の二塚 安子氏は品目数だけでなく、気軽に行きやすいかどうかという視点が重要であり、見栄えや見せ方、入りやすさという観点も要件に入れるべきだと提案した。最後に、健康づくり支援薬局は変化する住民の多様なニーズに応えられる薬局になっていく必要があると強調した。【参考】1)かかりつけ機能を基に薬局を地域の健康窓口へ~「健康情報拠点薬局」第2回検討会2)厚生労働省第3回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会

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Dr.たけしの本当にスゴい症候診断

第1回 動悸第2回 胸痛第3回 呼吸困難第4回 失神第5回 発熱第6回 体重減少 患者の訴える主な症状に対してどんな鑑別疾患を挙げ、どのように問診し、いかに身体所見・検査値を評価し、疾患を絞り込んでいくか?医師としてあたりまえの「診断」を、膨大なエビデンスを綿密かつ公正に分析して行うのがDr.たけし流。その“スゴさ”はご自分の目でお確かめください。このシリーズでは、6症候:動悸・胸痛・失神・呼吸困難・発熱・体重減少について取り上げます。研修医はもちろんのこと、診察を行うすべての医師必見の番組です。問診と身体診察を駆使して、必要な検査を適切に選び、迅速かつ正確に診断できるスキルを身につけましょう。第1回 動悸動悸の原因は不整脈、洞性頻脈、精神疾患と3つに大きく分けて考えます。その上で、病歴聴取や身体診察から原因を探っていきましょう。特に診断に重要なのは、「病歴」です。病歴から診断や、除外診断できるものを豊富なエビデンスを参照しながら導き出していきましょう。第2回 胸痛よくある症状の“胸痛”ですが、原因疾患は多岐にわたり、また、重篤な疾患が隠れていることもあります。胸痛を訴える患者に対して、どんな鑑別疾患を挙げ、どのように疾患を絞り込んでいきますか?胸痛を来す疾患を挙げ、重症度、遭遇頻度で分類し、致死的3大疾患を中心に解説していきます。その他に重症度は低いけれど知っているとちょっと役に立つ疾患“Precaudial catch”、“Bornholm disease”“肋軟骨炎”などについても見ていきます。第3回 呼吸困難呼吸困難の原因は、心疾患と肺疾患が大きく占めていますが、それ以外でも、貧血、心因性などのさまざまな原因があります。まずはキーワードから原因疾患を探っていきましょう。そして、原因疾患の中でも重要度の高い、“心不全”と“慢性閉塞性肺疾患(COPD)”について取り上げ、詳しく見ていきます。これらの診断に必要な身体所見は何か?そしてその所見は検査結果のどこにつなげて考えていけばよいのか。身体診察のスキルアップのためのヒントが満載です。第4回 失神失神とは脳血流の低下によって起こる一過性意識消失発作のことで、まずはてんかんなどと区別することから始めましょう。そして予後から考え、脳血管障害、心原性、起立性低血圧、薬剤性、神経介在性の順に鑑別を行なっていきます。失神の原因を導き出すために考慮すべき検査をそれぞれの原因ごとに提示していきます。でも結局は病歴と身体診察に勝る検査はありません。第5回 発熱発熱はもっともコモンな症候ですが、原因が多岐にわたり、対応には膨大な知識が必要となります。今回はその中から、とくに“すぐに対応しなければならない発熱”、“不明熱”をピックアップして解説します。原因を絞り込むためには、どんな材料が必要なのか。症状、検査、病歴など、さまざまな切り口から整理していきましょう。第6回 体重減少臨床の場でよくみられる体重減少。12ヵ月に5%以上の体重減少があった場合は、原因を精査することが必要となります。鑑別には、まず、「食」と「薬」を除外してから疾患を絞り込んでいきます。さまざまな疾患が体重減少の原因となりますが、その中でも、重要度の高い5大疾患群を詳しく解説していきます。

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【JSMO2015見どころ】最新のがん免疫療法

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。 いま最も注目されているがん免疫療法については、北野 滋久氏(国立がん研究センター中央病院 先端医療科)より、免疫チェックポイント阻害薬の開発状況や注目演題などが紹介された。 がん医療の進歩に貢献してきた「手術療法」「放射線療法」「化学(薬物)療法」の3大治療に続き、第4の治療として「がん免疫療法」への期待がますます高まっている。わが国でも昨年、「免疫チェックポイント阻害薬」の1つである抗PD-1抗体療法が進行悪性黒色腫に対して承認された。現在、非小細胞がんに対しても国内承認の期待が高まり、さらに他の多くのがん種においても後期臨床試験が実施されている。  「がん免疫療法」の中でも臨床開発が最も成功し、世界的な注目を集めている「免疫チェックポイント阻害薬」の開発状況は、以下のようである。●メラノーマ・進行メラノーマに対して、抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)が2011年3月に米国FDA承認済みで、国内でも承認(2015年7月3日)。・進行メラノーマに対して、抗PD-1抗体(ニボルマブ)が2014年7月国内承認、次いで米国FDAがペムブロリズマブ、ニボルマブの順で承認。・B-raf変異陰性進行メラノーマに対して、1次治療として抗PD-1抗体がダカルバジンを上回る臨床効果を認められた。●肺がん・進行扁平上皮肺がんに対して抗PD-1抗体(ニボルマブ)が2015年3月にFDA承認。国内申請中。・進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対して抗PD-1抗体がFDA承認申請。・既治療進行非小細胞肺がんに対して、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の第III相試験が施行されている。・進行非小細胞肺がんに対する1次治療として、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の第II相試験が実施または計画中。●その他・既治療の腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、膀胱がんなどにおいて、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体の第III相試験が施行または準備されている。 また、JSMOでのがん免疫療法に関する注目演題は以下の通り。・Special LectureImmune checkpoint inhibitors日時:2015年7月17日(金)8:45~9:30会場:Room1(ニトリ文化ホール)・ESMO/JSMO合同シンポジウムImmune checkpoint blockade in cancer therapy: new insights, opportunities, and prospects for a cure日時:2015年7月17日(金)9:30~11:30会場:Room1(ニトリ文化ホール)・プレナリーセッションPS-2 A Phase III Study (CheckMate 017) of Nivolumab (NIVO; anti-programmed death-1) vs Docetaxel (DOC) in Previously Treated Advanced or Metastatic Squamous (SQ) cell Non-small Cell Lung Cancer (NSCLC)PS-3 Phase III study of pembrolizumab (MK-3475) versus ipilimumab in patients with ipilimumab-naïve advanced melanoma日時:2015年7月17日(金)14:05~15:20会場:Room1(ニトリ文化ホール)・教育講演EL-23 免疫チェックポイントの基礎日時:2015年7月18日(土)10:30~11:00会場:Room11(札幌市教育文化会館1F大ホール)EL-24 使って分かる免疫チェックポイント阻害薬日時:2015年7月18日(土)11:00~11:30会場:Room11(札幌市教育文化会館1F大ホール)・シンポジウムSY-5 がん免疫制御の現況と次なるホープ日時:2015年7月16日(木)9:00~11:00会場:Room6(ロイトン札幌2Fハイネスホール)SY-6 がん幹細胞の分子標的・免疫制御の新展開日時:2015年7月16日(木)12:30~14:30会場:Room6(ロイトン札幌2Fハイネスホール)・セミナーCAR-T細胞療法セミナー 基礎と臨床日時:2015年7月17日(金)16:00~17:30会場:Room6(ロイトン札幌2Fハイネスホール)【第13回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2015年7月16日(木)~18日(土)■会場:ロイトン札幌・ホテルさっぽろ芸文館・札幌市教育文化会館■会長:秋田 弘俊氏(北海道大学大学院医学研究科 腫瘍内科学分野 教授)■テーマ:難治がんへの挑戦 医学・医療・社会のコラボレーション第13回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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インスリンポンプ、1型糖尿病の心血管死抑制/BMJ

 1型糖尿病患者に対するインスリンポンプ療法は、インスリン頻回注射療法よりも心血管死のリスクが低いことが、デンマーク・オーフス大学のIsabelle Steineck氏らによる、スウェーデン人を対象とする長期的な検討で示された。糖尿病患者では、高血糖と低血糖の双方が心血管疾患(冠動脈心疾患、脳卒中)のリスク因子となるが、持続的皮下インスリン注射(インスリンポンプ療法)はインスリン頻回注射療法よりも、これらのエピソードが少なく、血糖コントロールが良好とされる。一方、これらの治療法の長期的予後に関する知見は十分ではないという。BMJ誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告。約1万8,000例を約7年フォローアップ 研究グループは、1型糖尿病の治療において、インスリンポンプ療法が心血管疾患や死亡に及ぼす長期的な影響の評価を目的とする観察研究を行った(欧州糖尿病学会[EASD]の助成による)。 Swedish National Diabetes Registerに登録された1型糖尿病患者1万8,168例(インスリンポンプ療法:2,441例、インスリン頻回注射療法[MDI]:1万5,727例)のデータを解析した。被験者は、2005~2007年に初回受診し、2012年12月31日までフォローアップされた。 臨床的背景因子、心血管疾患のリスク因子、治療法、既往症の傾向スコアで層別化し、Cox回帰モデルを用いてアウトカムのハザード比(HR)を算出した。平均フォローアップ期間は6.8年(11万4,135人年)であった。 ポンプ療法群はMDI群よりも若く(38 vs.41歳)、収縮期血圧がわずかに低く(126 vs.128mmHg)、男性(45.0 vs.57.1%)や喫煙者(10.5 vs.13.5%)が少なかった(いずれもp<0.001)。また、ポンプ療法群は身体活動性の低い患者が少なかった(21.8 vs.24.0%、p=0.01)。 さらに、ポンプ療法群は、アルブミン尿(20.7 vs.24.0%)や腎機能が低い患者(10.4 vs.11.7%)が少なく、降圧薬(32.0 vs.36.7%)や脂質低下薬(21.0 vs.26.4%)、アスピリン(15.0 vs.18.8%)の使用例が少なかった(腎機能p=0.04、その他p<0.001)。また、心血管疾患(5.4 vs.8.0%)や心不全(0.9 vs.2.3%)の既往例が少なく、教育歴が高い患者(37.3 vs.27.6%)や既婚者(40.3 vs.36.5%)が多かった(いずれもp<0.001)。致死的冠動脈心疾患、致死的心血管疾患、全死因死亡リスクが著明に低下 Kaplan-Meier法による解析では、すべてのアウトカム(致死的/非致死的冠動脈心疾患、致死的/非致死的心血管疾患、致死的心血管疾患、全死因死亡)が、ポンプ療法群で有意に優れていた(いずれもp<0.001)。 ポンプ療法群のMDI群に対する主要エンドポイントの補正後HRは、致死的/非致死的冠動脈心疾患が0.81(95%信頼区間[CI]:0.66~1.01、p=0.05)、致死的/非致死的心血管疾患は0.88(0.73~1.06、p=0.2)であり、ポンプ療法群で良好な傾向がみられたものの有意な差はなかった。 一方、致死的心血管疾患(冠動脈心疾患、脳卒中)の補正後HRは0.58(0.40~0.85、p=0.005)、全死因死亡は0.73(0.58~0.92、p=0.007)であり、いずれもポンプ療法群で有意に良好であった。 また、副次エンドポイントである致死的冠動脈心疾患の補正後HRは0.55(95%信頼区間[CI]:0.36~0.83、p=0.004)と有意差を認めたが、致死的脳卒中は0.67(0.27~1.67、p=0.4)、心血管疾患以外による死亡は0.86(0.64~1.13、p=0.3)であり、有意な差はなかった。 致死的冠動脈心疾患の1,000人年当たりの未補正絶対差は3.0件であり、致死的心血管疾患は3.3件、全死因死亡は5.7件であった。また、低BMI(<18)および心血管疾患の既往歴のある患者を除外したサブグループ解析を行ったところ、結果は全症例とほぼ同様であった。 著者は、「インスリンポンプ療法の生理学的作用や、使用者が受ける臨床的管理、ポンプ使用の教育的側面が、これらの結果に影響を及ぼしているかという問題は未解明のままである」としている。

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