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緑内障のディープラーニングによる検出、感度良好

 中国・中山大学のZhixi Li氏らは、ディープラーニングを用い、カラー眼底写真で緑内障性視神経症を自動的に分類するシステムの開発、検証を行い、高い感度と特異度で緑内障性視神経症を検出できることを示した。偽陰性の主な原因は、強度または病的近視の合併であり、偽陽性となった理由で最も多かったのは生理的陥凹と病的近視であることも明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年3月2日号掲載の報告。 研究グループは、カラー眼底写真4万8,116枚を後ろ向きに集め、カラー眼底写真から緑内障性視神経症として検出するディープラーニングアルゴリズムを開発し、性能を検証した。 写真を分類するために、訓練された眼科医21人が参加した。視神経乳頭陥凹(Cup)と視神経乳頭(Disc)の垂直方向における最大径比(垂直C/D比)が0.7以上、およびその他の緑内障性視神経症の典型的な変化が認められた場合に、緑内障性視神経症として分類された。 3人の評価者が合意に達したものを標準とした。完全に評価できる眼底写真8,000枚を検証データセットとして別に分け、アルゴリズムの性能の評価に用いた。ディープラーニングアルゴリズムの有効性は、感度と特異度の受信者動作特性曲線下面積(AUC)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・検証データセットにおいて、このディープラーニングシステムの検出能は、感度95.6%、特異度92.0%で、AUCは0.986に達した。・偽陰性は87件で、主な理由は、病的または高度な近視(37件、42.6%)、糖尿病性網膜症(4件、4.6%)および加齢黄斑変性(3件、3.4%)などの合併(計44件、50.6%)であった。・偽陽性(480件)となった主な理由は、生理的陥凹(267件、55.6%)などその他の眼の状態(458件、95.4%)であった。・正常に見える眼底で偽陽性と誤って分類されたのは、22眼(4.6%)のみであった。

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認知症と自動車運転~高齢ドライバー5万人の診断にどう対処するか

 2017年3月の道路交通法改正により、75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、「認知症のおそれがある」と判断された場合、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受け、診断書を提出しなければならなくなった。高齢者による交通事故防止のため、認知症対策がより強化されたこの新制度により、医師による臨時適性検査および診断書作成の対象者は、5万人にまで膨れ上がっている。 法改正から1年。本稿は、先日開かれた日本精神神経学会のプレスセミナーで、池田 学氏(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)が、医療現場の現状と今後の見通しについて述べた内容をまとめたものである。かかりつけ医にも求められる認知症診断 2017年3月12日に施行された改正道路交通法により、新たな制度がスタートした。すべての75歳以上のドライバーを対象に、3年に1度の免許証更新時に認知機能検査を実施し、第1~3分類に分ける。このうち、第1分類(認知症のおそれがある者)に該当する人は5万人程度。旧制度では、診断書を求められるのが一定期間内での違反者や事故を起こした人に限定されていたため、年間おおむね1,200~1,500人程度だったが、新制度では認知機能検査で第1分類に該当した時点で、違反や事故の履歴に関係なく、運転をやめるか、医師の診断書を提出するか、どちらかを選択しなければならない。つまり、全員が運転継続を望むとすれば、第1分類に該当する5万人が診断書作成の対象となる。現在、認知症関連学会員(認知症診療の専門医)の数は約2,000人である。当然のことながら、専門医のみで対応できる人数ではないため、かかりつけ医にも診断を求めざるを得ないのが現状である。運転継続か返納かを決める難しい判断と曖昧な境界 現場の医師が最も迷うのが、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)か、初期段階の認知症かの見極めである。軽度認知障害であれば運転は続行できるが、認知症と診断された場合には、原則として運転免許証を返納しなければならない。したがって、両者いずれかの判断が重要となってくるが、きわめて流動的で、専門医であっても線引きは非常に難しいところである。 例えば「健忘型MCI」の場合、物忘れに関しては同年齢と比べても明らかで、本人も自覚しており、周囲の家族も気付いているケースが多い。しかし、それ以外の認知機能は正常範囲で、日常生活動作(ADL)は必ずしも障害されていないというのがポイントである。ただ、MCIが認知症に移行するリスクは確実に高く、1年で10~15%がアルツハイマー型認知症に移行することもこれまでの研究でわかっている。 老年期のうつ病との鑑別も重要である。壮年期のそれとは異なり、抑うつや悲哀などの訴えは主ではなく、心気的、身体的な訴え(肩こりや頑固な便秘、全身倦怠、睡眠障害など)が多いのが特徴で、悪化するとほぼ必発で認知機能の障害を伴う。しかしこれはあくまでも仮性認知症であり、免許更新時の診断には、こうした人を慎重に除外しなければ重大なミスにつながりかねないので注意が必要である。半数以上が「6ヵ月後の診断書」判断に 公安委員会に提出する診断書では、(1)アルツハイマー型認知症、(2)レビー小体型認知症、(3)血管性認知症、(4)前頭側頭型認知症、(5)その他の認知症(慢性硬膜下血腫など治療可能な疾患。6ヵ月後に要再検査)、(6)軽度認知障害、(7)認知症ではない、のいずれに該当するかを判断する。その際、ミニメンタルステート検査(MMSE)または改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)による認知機能検査を必ず実施し、検査が実施できなかった場合にはその理由を明記しなければならない。さらに、可能な限り画像検査を実施し、所見を記入することも求められている。つまり、限りなく専門医の診断書に近い様式となっており、専門外の医師にとってはかなりの負担であろう。 警察庁が取りまとめた改正法施行から半年時点でのデータによると、認知機能検査で第1分類に該当し、医師の診断を受けて免許取り消しや停止になった人は全体の9.3%、条件なしで免許証の所持を継続できた人が22.2%、そして6ヵ月後の診断書提出となった人は56.6%にも上った。この結果から、いかに多くの医師が診断に迷っているかがわかる。この中には治療可能な疾患の人もいるが、MCIか初期の認知症かの判断に迷うため、6ヵ月後に再検査となったケースが相当数あるとみられる。こうした「判断の先送り」が経年的に累積していけば、今後の大きな問題になる懸念があり、次善策を講ずる必要がある。 高齢者ドライバーの中には、免許更新の検査で初めて認知症疑いが指摘されるケースも少なくない。これを前向きに捉え、早期発見・治療の機会と考えられれば良いが、一方で患者は診断名を告げられる心の準備ができていない状況であるため、非常にセンシティブな問題をはらんでいる。かかりつけ医の場合には、これまで経験していない対応を迫られる機会が今後増えることも予測される。このため、日本医師会がかなり詳細な対応マニュアル(かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き)を作成しており、診断の際の参考にしてほしい。9割近くが新制度認識するも、ほとんどが臨時適性検査は未経験 ケアネットでは、昨年の道路交通法改正について、会員医師にアンケート調査を行った(内科医および精神科/心療内科医を対象に、2017年3月8~9日、インターネット上で実施。有効回答数500)。 このうち、「75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、認知機能検査において『認知症のおそれがある』と判断された場合、過去の違反・事故歴の有無を問わず、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受けなければならない」という新たな制度については、86%(430人)が認識していた。 また、「昨年3月の法改正以降、75歳以上のドライバーの免許更新に伴う臨時適性検査を実施した患者数」については、「0人」(76.8%)が最も多く、以下、「1~5人」(14.8%)、「6~10人」(3.2%)、「11~20人」(2.4%)、「31人以上」(1.6%)、「21~30人」(1.2%)となった。今回の調査では、大半の医師が臨時適性検査について未経験だった一方、この1年間で検査を実施した患者数が、すでに200人を超えているという人もわずかながらいた。

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小児喘息の悪化初期に吸入ステロイド5倍量、その結果は?/NEJM

 小児の軽・中等症持続型喘息患者において、吸入ステロイドによる維持療法中に喘息コントロール悪化の初期徴候を認めた場合、吸入ステロイドを5倍量としても重症喘息増悪の発生率は低下せず、その他の喘息に関する評価項目の改善も確認されなかった。米国・ウィスコンシン大学のDaniel J. Jackson氏らが、STICS(Step Up Yellow Zone Inhaled Corticosteroids to Prevent Exacerbations)試験の結果を報告した。吸入ステロイドなどの喘息管理薬を定期的に使用していても、しばしば喘息増悪が起こり、臨床医は、喘息コントロール悪化の初期徴候を認めると吸入ステロイドを増量することが一般的である。しかし、この戦略の小児に対する安全性/有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2018年3月8日号掲載の報告。小児喘息患者約250例で、低用量と5倍量の投与を比較 STICS試験は、過去1年間に全身性ステロイド薬による治療を要した喘息増悪歴が1回以上ある、5~11歳の軽・中等症持続型喘息患者254例を対象とした。 試験は4週間の導入期と48週間の治療期からなり、導入期には全員に非盲検下でフルチカゾンプロピオン酸エステルの低用量(44μg/吸入)を投与。治療期は非盲検維持期として低用量を全員に投与しつつ、“7日間のイエローゾーン(喘息コントロール悪化の初期徴候を認める期間)”を認めた場合に、低用量投与を継続する群と5倍量(220μg/吸入)を投与する群(高用量群)に、盲検下で無作為に被験者を割り付けた。投与はいずれも1回2吸入、1日2回を投与した。 喘息コントロール悪化の初期徴候は、アルブテロール(サルブタモール)のレスキュー投与を6時間に2回(4吸入)、24時間に3回(6吸入)、またはアルブテロールのレスキュー投与を要した喘息による夜間覚醒、のいずれかの発生とした。 主要評価項目は、全身性ステロイド薬による治療を要した重症喘息発作発生率であった。高用量群と低用量群で重症喘息発作発生率に有意差なし 主要評価項目の重症喘息発作発生率は、高用量群0.48回/年、低用量群0.37回/年であり、両群間で有意差は確認されなかった(相対比:1.3、95%CI:0.8~2.1、p=0.30)。 初回増悪までの期間、治療失敗率、症状スコア、およびイエローゾーンでのアルブテロール使用についても、両群間に有意差はなかった。ステロイド総曝露量は、低用量群より高用量群で16%高値であった。 高用量群と低用量群で、身長の伸びの差が-0.23cm/年(p=0.06)認められた。 著者は研究の限界として、予想よりもイエローゾーンや全身性ステロイド薬による治療を受けた喘息発作発生率が少なかったことなどを挙げている。

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不動産は資産の王様【医師のためのお金の話】第6回

不動産は資産の王様こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回までは、忙しい医師であっても実践できる株式投資方法についてお話ししました。「投資=株式などの金融資産投資」と思っている方が多いと思います。しかし、経済的に自由な状況に到達するためには、避けて通れないものがあります。そう、それは「不動産」です。不動産は資産の王様昔から不動産は、資産の「王様」として君臨しています。世界的に有名な不動産投資家であるドルフ・デ・ルース氏の著書に、『世界の不動産投資王が明かす お金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ』( 東洋経済新報社)があります。ドルフ・デ・ルース氏はこの書籍の中で、「日本を含めた世界中の富裕層で、不動産と関わりのない人はほとんどいない」と述べています。彼自身が独学で富裕層研究を行った結果、次のような結論に達しました。何らかの方法で富裕層に到達した後、資産の保全のために不動産を活用している不動産経営(投資)を行い、財を築いて富裕層に到達したこのことに関しては、洋の東西や時代を問わず普遍の事実のようです。まさに、不動産は資産の「王様」なのです。不動産投資のメリット不動産を所有することで得られる賃料収入は安定的です。毎月決まった賃料が入ってくるので、継続的に収入を得ることができます。このように、一度顧客が付くと継続的に収入を確保できる形態を、「ストック型ビジネス」といいます。その代表例として、電力・ガス事業、鉄道事業、通信事業、医療事業が挙げられます。そして、不動産賃貸業も典型的なストック型ビジネスです。一方、その都度の取引で収入を得ている形態を、「フロー型ビジネス」といいます。フロー型ビジネスのフロー(flow)は流れという意味です。フロー型ビジネスの代表例としては、居酒屋やレストランなどの飲食店、コンビニエンスストアなどの小売店が挙げられます。フロー型ビジネスは各顧客との取引が一度きりであるため、顧客から継続的な収益を得ることができません。収入が安定しにくいのがフロー型ビジネスの特徴です。ビジネスモデルとしての安定度は、ストック型ビジネス>フロー型ビジネスとなります。不動産投資のメリットはたくさんありますが、一度賃借人を確保してしまえば、何もしなくても毎月のように賃料収入があることが最大のメリットです。また、不動産は時価で売却することも可能です。そういう意味では、不動産はお金が実物資産に変化したものと考えることも可能です。さらに、不動産を売却しなくても、不動産を担保にして銀行から融資を受けることもできます。まるで不動産は銀行のATMのようですね。このような理由から、不動産は資産形成を行ううえで必要不可欠な存在といえます。不動産投資の注意点一般的に不動産は高額な商品です。株式や仮想通貨のように、数万円ほどのお小遣いを使って投資する、といった芸当はできません。このため、「投資」といえども物件の目利き能力や不動産の運営能力を習得する必要があります。医師の場合は高属性を利用できるため、その気になればいきなり1億円を超えるような収益1棟マンションを購入できることもあります。しかし、ほぼ満額に近い金額を銀行融資で賄う場合には、うまく運営しないと破綻してしまう危険性が高まります。このため、事前に不動産投資手法を勉強することが必須といえるでしょう。

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健康状態に関係なく余暇身体活動で死亡率低下~アジア50万人調査

 余暇身体活動(LTPA)と死亡リスクの関連を評価する研究は、ほとんど欧州系の健康人で実施されている。今回、米国・Vanderbilt-Ingram Cancer CenterのYing Liu氏らが東アジアの健康人および慢性疾患患者のコホートで調査を実施し、アジアの中高齢者において、定期的なLTPAが健康状態にかかわらず死亡率低下と関連していることが示唆された。International journal of epidemiology誌オンライン版2018年2月27日号に掲載。 本研究では、アジアコホートコンソーシアムに含まれる9件の前向きコホートに参加した東アジアの46万7,729人でプール解析を行い、LTPAと全死因および原因別死亡率の関連を調べた。年齢、性別、教育、婚姻状況、喫煙状況の調整後、Cox比例ハザード回帰を用いてLTPAに関連するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間の13.6年に、6万5,858人の死亡が確認された。・LTPAが1時間/週未満の人と比較したところ、LTPA量と全死因および原因別死亡率との間に逆相関が認められた(傾向のp<0.001)。・逆相関は、心血管疾患による死亡、がん以外による死亡で強かった。・LTPAと全死因死亡率との逆相関については、重度でしばしば生命を脅かす疾患である、がん、脳卒中、冠動脈疾患の患者(低LTPAに対する高LTPAのHR:0.81、95%CI:0.73~0.89)と、糖尿病や高血圧などのその他慢性疾患患者(低LTPAに対する高LTPAのHR:0.86、95%CI:0.80~0.93)で認められた。・性別、BMI、喫煙状況による明らかな修飾効果は確認されなかった。

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名刺交換はなしということで【Dr. 中島の 新・徒然草】(211)

二百十一の段 名刺交換はなしということである日の夜。病院のロビーで人と待ち合わせをしていたところ、1人の職員に呼びとめられました。職員「あっ、中島先生。ちょうど良かった!」中島「『ちょうど良かった』って、飛んで火にいる夏の虫かいな、僕は」職員「そうともいえますね」そう言いつつ、そばにいた男性と女性の二人組に紹介してくれました。職員「こちらは意見書を書いてくれた中島先生です」二人組「素早い作成、ありがとうございました!」中島「どういたしまして。良く分からんけど」職員「行政の人ですよ、こないだの虐待カンファレンスで対象となった方を管轄している・・・」中島「ええっと先週の分かな? いや、先々週の分?」職員「先週の方です」二人組「たくさんあるんですね」私は虐待防止委員会の委員になっているので、時々招集がかかります。対象となる患者さんごとに担当者がいて、集まるメンバーもケースによって違っています。私に求められる役割も医師としての見解を述べたり、超特急で診断書や意見書を作成したり、とくに決まったものがあるわけではありません。要するに、必要に応じて何でもしているのです。二人組「先生がすぐに意見書を書いてくれたので、こちらもスムーズに保護することができます」職員「ご対応よろしくお願いします」二人組「ええ。本当にどうもありがとうございました」中島「なんだか分からないけど、よろしく」虐待にもいろいろなパターンがあります。よく知られているのは子供に対する親の虐待ですが、その他に同居するパートナーに対するもの、高齢者に対するものなどなど。子供の場合は虐待が確認できた時点で有無を言わせず保護、パートナーの場合は被害者自身が判断することになりますが、高齢者の場合は被害者の事理弁識能力によって対応が変わってくる、というのが私の理解です。せっかく苦労して保護したとしても加害者に見つかって連れ戻されたら元の木阿弥です。なので、どの施設に保護されたのかが病院に知らされることはありません。そうすれば、加害者に問い詰められても答えられないですから。私自身は、念のため、行政機関や担当者の名前すら尋ねないよう気をつけています。「すみません。とりあえず名刺交換はなしということでお願いします」と薄暗いロビーに立っている二人組に心の中で呟きました。こういった数多くの無名の人たちが日本の社会を支えているのだな、と改めて思わされた次第です。保護の対象となった患者さんが、これからは幸せに暮らしていけることをお祈りいたします。最後に1句知らぬ人 チームを組んで 黙々と

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小児てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性比較

 新規にてんかんを発症した小児の半数以上は、既知の脳波・臨床症候群に適合しない非症候性てんかんの脳波および臨床的特徴を有する。レベチラセタムおよびフェノバルビタールは、小児のてんかんに対し最も一般的に処方される薬剤ではあるが、これらの有効性の比較についてはよくわかっていない。米国・ワイルコーネル大学のZachary M. Grinspan氏らは、小児の非症候性てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性の比較を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2018年2月12日号の報告。 本研究は、2012年3月~2015年4月に実施されたプロスペクティブ多施設共同観察コホート研究である小児てんかん研究(Early Life Epilepsy Study)である。対象は、米国メディカルセンター17施設において、生後1ヵ月から1歳までに初めて無熱性発作を経験した非症候性てんかんの小児。初回発作から1年以内に初回単剤療法としてレベチラセタムまたはフェノバルビタールを使用した。2値アウトカムは、6ヵ月における単剤療法からの離脱とした(他の抗てんかん薬が処方されず、治療開始から3ヵ月以内に発作が認められないと定義)。アウトカムは、人口統計、てんかんの特徴、神経系の病歴、傾向スコア加重を用いた観察可能な選択バイアス、一般化された推定式を用いた中心内相関(within-center correlation)にて調整された。 主な結果は以下のとおり。・対象患者155例(女児:81例、男児:74例)の年齢中央値は4.7ヵ月(四分位範囲:3.0~7.1ヵ月)であった。・レベチラセタム治療患者(レベチラセタム群)117例、フェノバルビタール治療患者(フェノバルビタール群)38例であった。・レベチラセタム群の初回発作時の年齢中央値は、5.2ヵ月(四分位範囲:3.5~8.2ヵ月)であり、フェノバルビタール群の3.0ヵ月(四分位範囲:2.0~4.4ヵ月)より高かった(p<0.001)。・その他においては、両群に有意な差が認められなかった。・単剤療法からの離脱は、フェノバルビタール群(6例、15.8%)と比較し、レベチラセタム群(47例、40.2%)の方が多かった(p=0.01)。・レベチラセタム群のフェノバルビタール群に対する優位性は、共変量、観察可能な選択バイアス、中心内相関で調整した後も持続していた(オッズ比:4.2[95%CI:1.1~16]、NNT:3.5[95%CI:1.7~60])。 著者らは「レベチラセタムは、小児の非症候性てんかんに対する最初の単剤療法として、フェノバルビタールと比較し、優れた有効性を示す。100人の小児にフェノバルビタール治療の代わりにレベチラセタム治療を実施した場合、単独療法からの離脱は、この研究の推定値16例から44例に増加すると考えられる。これらの知見を確認するためには、無作為化臨床試験が必要である」としている。■関連記事抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証小児外傷後てんかんの予防にレベチラセタムは有用難治性てんかんに対するレベチラセタムの評価:群馬大

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新規分子標的薬ラロトレクチニブ、TRK融合遺伝子陽性がんに奏効/NEJM

 高選択性トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬larotrectinibによる「年齢・腫瘍非依存的治療(“age- and tumor-agnostic”therapy)」は、TRK融合遺伝子陽性がん患者において、年齢や腫瘍の種類にかかわらず著明かつ持続的な抗腫瘍活性を示すことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2018年2月22日号に掲載された。3種類のTRK(TRKA、TRKB、TRKC)の1つを含む融合遺伝子が、小児と成人の多様ながんで同定されている。これらの融合遺伝子は、原発組織にかかわらず、がん遺伝子中毒(oncogene addiction)を引き起こし、全固形がんの最大1%への関与の可能性が示唆されている。3つのプロトコールの統合解析 研究グループは、TRK融合遺伝子陽性の腫瘍を有する成人と小児患者において、larotrectinibの有効性と安全性の評価を行った(Loxo Oncology社などの助成による)。 対象は、各施設がルーチンに行っている分子プロファイリング法でTRK融合遺伝子陽性と判定された局所進行・転移性固形がんで、全身状態(ECOG PS)が0~3の患者であった。被験者は、次の3つのプロトコールのいずれかに登録された。1)成人が対象の第I相試験、2)小児が対象の第I/II相試験、3)思春期の小児と成人が対象の第II相試験。 主要エンドポイントは、独立評価委員会(IR)の判定による全奏効率とし、3つのプロトコールの統合解析を行った。副次エンドポイントには、奏効期間、無増悪生存、安全性などが含まれた。全奏効率はIR判定で75%、担当医判定で80% 2015年3月~2017年2月の期間に55例が登録された。年齢中央値は45.0歳(範囲:生後4ヵ月~76歳)であり、男性が29例であった。全身化学療法歴は、0~1レジメンが27例、2レジメンが9例、3レジメン以上が19例だった。 解析には、17種の特異なTRK融合遺伝子陽性腫瘍が含まれた。唾液腺腫瘍(12例)が最も多く、次いでその他の軟部組織肉腫(筋周皮腫、非特定型肉腫、末梢神経鞘腫瘍など11例)、乳児線維肉腫(7例)、甲状腺がん(5例)、結腸がん(4例)、肺がん(4例)、悪性黒色腫(4例)、GIST(3例)などの順であった。 IR判定による全奏効率は75%(95%信頼区間[CI]:61~85)で、そのうち完全奏効(CR)が13%、部分奏効(PR)が62%であり、安定(SD)は13%、病勢進行(PD)は9%、4%が評価不能であった。また、担当医判定の全奏効率は80%(95%CI:67~90)で、そのうちCRが16%、PRが64%であり、SDは9%、PDは11%だった。奏効例は、腫瘍の種類、年齢、TRK融合の特性にかかわらず認められた。 奏効までの期間中央値は1.8ヵ月(範囲:0.9~6.4)であった。1年時に、奏効例の71%で奏効が持続しており、全患者のうち55%が無増悪を維持していた。奏効期間中央値と無増悪生存期間中央値は未到達だった。また、追跡期間中央値9.4ヵ月時に、奏効例の86%(38/44例)が治療を継続しているか、根治を目的とする手術を受けていた。 有害事象は、多くがGrade 1であった。担当医判定によるGrade 4の薬剤関連有害事象はみられず、Grade 3の発現率はいずれも5%以下であった(ALTまたはASTの上昇:5%、めまい:2%、悪心:2%、貧血:2%、好中球数の減少:2%)。また、薬剤関連有害事象により治療を中止した患者は認めなかった。 著者は、「これらのデータにより、TRK融合遺伝子は、治療標的として妥当であるだけでなく、larotrectinibに対する腫瘍非依存性の感受性をもたらすことが示された」とし、「ベネフィットを得る可能性のある患者を同定するには、TRK融合遺伝子を検出するスクリーニング戦略が必要となるだろう」と指摘している。

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夢遊病に関するシステマティックレビュー

 夢遊病を誘発する薬剤は、患者自身だけでなく他人に対しても傷害のリスクをもたらし、服薬アドヒアランスに対しても影響を及ぼす。オーストラリア・南オーストラリア大学のHelen M. Stallman氏らは、夢遊病リスクを高める可能性のある薬剤を特定するため、文献のシステマティックレビューを行った。Sleep medicine reviews誌2018年2月号の報告。 夢遊病(「sleepwalking」「somnambulism」)をキーワードとして、CINAHL、EMBASE、PsycINFO、PubMed、ScienceDirectより検索を行った。83件が抽出され、そのうち基準を満たした62件をレビュー対象とした。 主な結果は以下のとおり。・主に以下の4クラス(29薬剤)が、夢遊病のトリガーであると同定された。 (1)ベンゾジアゼピン受容体アゴニストおよび他のGABAモジュレーター (2)抗うつ薬および他のセロトニン作動薬 (3)抗精神病薬 (4)β遮断薬・薬剤誘発性夢遊病の最も強力なエビデンスは、ゾルピデムとsodium oxybateであった。・その他すべての関連は、症例報告に基づいていた。 著者らは「本研究は、臨床試験のリスクプロファイルにおける夢遊病の重要性を示唆しており、とくにGABAA受容体でのGABA活性およびセロトニン作動活性の増強、β遮断薬によるノルアドレナリン活性の遮断を伴う薬剤で注意が必要である。薬剤による夢遊病リスクの懸念がある場合には、患者に対し安全な睡眠環境についての教育を行い、夢遊病の発症または悪化を報告することが推奨され、発症した際の代替治療の検討を行うべきである」としている。■関連記事夢遊病にビペリデンは有望!?がん患者の悪夢に有効な治療法はベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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011)国試会場での思い出【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第11回 国試会場での思い出しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今年から2日間になった医師国家試験。今年の傾向など詳しいことは把握していませんが、自分のときの(遠いおぼろげな)記憶を辿りつつ、今回は試験会場での思い出を漫画にしました!デルぽんは、県外からの遠征だったため、会場近くに宿をとっての受験となった訳ですが。ほんとうに消耗し、脳が溶け出るかと思われた、あの3日間!もはや過去すぎて細かいことは忘れましたが、思い出すのはしょうもないエピソードばかり・・・です。とくに、試験前夜に某バラエティ番組の収録会場を路上で見かけたことと、試験3日目の最終試験終了後に、後ろの席の男子が隣の女子をナンパしていたことが印象に残っています。(いずれも試験関係なし)男というものは、いかなる状況でもナンパを止めない生き物なのでしょうか・・・。念のために補足すると、デルぽんは「女医」ですよ。フフフ(よく勘違いされる)。国試の3日間しんどかったですけど、不思議と楽しかったような記憶にすり替えられつつある試験の思い出でした~!(専門医試験のほうがもっと暗黒でした☆)では、また次回! バーイ☆

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第1回稲門医学会学術集会を開催

 2018年1月28日、早稲田大学校友の医療者で組織する稲門医師会が新たに立ち上げた稲門医学会*は、早稲田大学で初めての学術集会を開催した。当日は、全国より医療関係者が多数参集。基礎医学、臨床医学、社会医学など幅広い分野にわたり、シンポジウムや口演が開催された。*稲門医師会は2016年に設立された早稲田大学公認の校友会。早稲田大学校友(中退含む)で、医師・歯科医師・看護師・薬剤師のいずれかの資格者と学生で構成(2017年7月現在で会員数345名)。会員同士の親睦・交流に留まらず、医療に関する社会への情報発信、健康分野における研究・教育面で大学との連携、地域稲門会・学生・校友との連携など、さまざまな観点からの活動の展開を目標としている。次代の医師に必要な力とは? 学術集会では3題の基調講演が行われ、初めに「これからの医師に求められること(日本・アジアでの在宅医療・遠隔医療・ICTシステムの開発の経験から)」をテーマに武藤 真祐氏(鉄祐会 祐ホームクリニック理事長 )が、医師が今後おかれる環境について語った。 武藤氏は、循環器内科の臨床家としての顔だけでなく、過去に医療系コンサルタントとして活躍した経歴を持つ臨床医である。2010年より在宅医療を提供するクリニックを運営し、東日本大震災の直後には、甚大な被害のあった石巻の医療の空白を埋めるべく、祐ホームクリニック 石巻を立ち上げ、医療・生活支援を現在も行っている。 こうした在宅診療所の成功の裏には、医師が診療に集中できるための仕組み作りが欠かせないと語る。たとえば、ICTを活用したハードウェアの導入、メディカルクラークによる医師負担の軽減がある。そして、在宅医療を行って感じた課題として、「医療へのアクセス」「患者の理解度のばらつき」「患者のアドヒアランス」があると指摘。これらを解決する手段としてICTの活用は欠かせないと提案した。また、今後、本格的に導入されると思われる医師と患者の遠隔診療について「YaDoc」を開発し、現在、福岡で従来の対面診療の補完として試行をしていると紹介。今後こうしたシステムが、日本型の地域包括ケアの一形態となり、患者を見守る仕組みとして普及していくと展望を述べた。 武藤氏は最後に、「医師が、今後増え続ける膨大な医療情報を覚え理解することは不可能に近い。そこで、これからの医師には『人間力が必要だ』」と語る。「たとえば、『患者に寄り添う力』は人工知能(AI)にはできないことであり、次代の医師にはこうした力をつけて欲しい」と述べ、講演を終えた。2035年の日本の医療の姿 次に「医療の将来と医師の働き方」をテーマに渋谷 健司氏(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授)が、2015年に厚生労働省が発表した「保健医療2035」を題材に、医療のこれからの在り方と医師の働き方改革への提言を行った。 高齢化が進む日本で、高齢者の平均寿命の延びに伴い、健康寿命の延伸も政府の目標となっているが、国内では地域により寿命格差がすでに生じていると指摘する。こうした環境の中で、保健や医療は患者個々の要求に合わせる時代へと入り、今までのトップダウン型からボトムアップ型への体制変革が求められていると、新しい保健医療制度の必要性を強調した。 そして、新しい制度の概念として、医療経済では規制の強化と市場原理の導入という相反する考え方のバランスを考慮すること、健康が当たり前の社会となるように予防医学などにも力を入れることなど具体策を提案した。 また、医師の働き方については、現在の行政の問題設定に苦言を呈し、「まず実態を把握し、それに基づいた問題設定をしないと解決は難しく、医師不足だから増員や強制配置では解決にならない」と渋谷氏は指摘した。たとえば医師の偏在であれば、「各地域で必要とされる機能を確認し、配置を考えないといけない」と提案を行い、講演を終えた。かかりつけ医が患者を支える地域医療へ向けて 最後に「地域医療体制の再構築に向けて」をテーマに横倉 義武氏(日本医師会会長、世界医師会会長)が、医師会の役割と今後の展望、そして地域医療の将来を語った。 医師会は学術団体であり、会員は常に倫理・品性の確立と医療知識の習得、技術の向上を図っている。地域の医師会では、行政協力も盛んであり、まさに住民の健康を支えていると医師会の役割について述べた。また、世界医師会は、患者や医師にとって重要なステートメントである「リスボン宣言(患者の権利)」や「ヘルシンキ宣言(医の倫理)」などを発し、世界の医療の向上に貢献をしていると説明した。 次いで、今後の地域医療について解説し、高齢化社会の現在、持続可能な社会保障のための提言と解決策として、外来では「かかりつけ医」を主体に適切な受診行動や地域包括ケアができること、コスト意識を持った処方をガイドラインへの掲載を通じて行うこと、長期処方の是正はかかりつけ医の服薬管理で行うことなどの提案を行った。また、高齢化社会における医療提供体制の構築については、地域医療構想調整会議を経て計画・調整されつつあり、2025年の医療需要に焦点をあて策定されると説明した。そのほか、切れ目のない医療・介護の提供のため、かかりつけ医を中心とした仕組み作りを推進。地域の医療・介護資源に応じた対応を、行政、専門医療機関、多職種間の連携により実施していきたいと展望を語った。 横倉氏は最後に、「より良い医療を国民と医師とで考えながら、今後も医療全体の向上に寄与していきたい。また、昨年、医師会の設立記念日の11月1日を『いい医療の日』と制定した。今後もいい医療の提供にまい進していきたい」と語り、講演を終えた。■参考稲門医学会

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高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連

 効果に比べ有害事象のリスクが高い薬剤は高齢者に向いているといえず、これらの薬剤はPIM(Potentially Inappropriate Medication)と呼ばれている。一部の抗うつ薬はPIMであると考えられるが、抗うつ薬とその後の認知症との関連については、これまでの研究で明らかになっていない。ドイツ・ボン大学のKathrin Heser氏らは、抗うつ薬(とくにPriscusリスト[ドイツ版のビアーズリスト]でPIMとみなされている抗うつ薬)の服用が、認知症発症を予測するかについて検討を行った。Journal of affective disorders誌2018年1月15日号の報告。 非認知症のプライマリケア患者3,239例(平均年齢:79.62歳)におけるプロスペクティブコホート研究のデータを用いて、Cox比例ハザードモデルの計算を行った。12年間で8回以上のフォローアップにおけるその後の認知症リスクは、抗うつ薬服用および共変量に応じて推定した。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬服用は、その後の認知症リスク増加と関連が認められた(HR:1.53、95%CI:1.16~2.02、p=0.003[年齢、性別、教育で調整後])。・年齢、性別、教育、うつ症状で調整したモデルにおいて、PIMとみなされている抗うつ薬は、その後の認知症リスク増加と関連が認められた(HR:1.49、95%CI:1.06~2.10、p=0.021)。一方、その他の抗うつ薬は、関連が認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.66~1.66、p=0.863)。・ベースライン時に全体的な認知機能がコントロールされた場合、有意な関連は消失した。 著者らは「選択バイアスや自己報告による薬物評価など、方法論的な限界が本結果に影響を及ぼした可能性がある」としながらも、「PIMとみなされる抗うつ薬だけが、その後の認知症リスク増加と関連していた。これは、抗コリン作用が、原因の可能性がある。そして、この関連は、ベースライン時の全体的な認知機能を統計学的にコントロールした後に消失した。そのため、医師は可能な限り、高齢者へのPIMとみなされる抗うつ薬使用を避けるべきである」としている。■関連記事注意が必要、高齢者への抗コリン作用抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響うつ薬の適応外処方、普及率はどの程度

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第6回HBOCコンソーシアム学術総会レポート 前編

本年(2018年)1月21日(日)、第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会(会長:山内 英子氏/聖路加国際病院副院長)が、「実戦! THE NEXT STEP HBOC診療」をテーマに、聖路加看護大学アリスホールで開催された。ここでは、4つのシンポジウムで構成された当総会を2回に分けてレポートする。今回は、前編として、シンポジウム1「チーム医療」の概要を紹介する。HBOCのチーム医療の現況…6施設の報告から当シンポジウムでは、6施設が、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のチーム医療の現況を報告した。引き続き、来場者参加型の投票システムを用いて、HBOC診療に関する質問への回答を即座に集計してスクリーンに掲示することで、HBOC診療の現状を広く共有し、議論を深める試みがなされた。最初に報告を行った関西ろうさい病院(兵庫県尼崎市)では、臨床遺伝専門医、遺伝カウンセラー、各種専門看護師を中心とした遺伝カウンセリング外来を設置して遺伝性腫瘍の診療を行っている。また、乳腺科や婦人科などとの連携を常に意識して診療に当たっている。臨床試験に頼らずにHBOCの拾い上げを行うことが今後の課題であり、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の基幹施設になることが目標だという。東京医療センター(東京都目黒区)では、HBOC診療において、乳腺科・婦人科との連携から、臨床遺伝センターでの遺伝カウンセリング、遺伝学的検査、各科のサーベイランス、予防切除術まで、一貫して行える体制を整備してきた。HBOC疑い例の拾い上げには、問診票を用いているが、かかりつけ医からの紹介なども重要だという。そのため、かかりつけ医を対象とする講演会を実施し、リーフレットを作製して保健所や福祉センター、区役所に送付するなど、地域連携を積極的に進めている。北野病院(大阪府大阪市)では、遺伝性疾患サポートチームを中心に、複数の診療科などが連携している。HBOC疑い例の拾い上げを重視し、乳腺外科では初診患者に対し初診問診票を用いて、婦人科では卵巣がんと診断された患者に対し遺伝性腫瘍に特化した問診票を用いて家族歴を聴取している。最近、消化器内科と乳腺外科との連携による、膵がんへの取り組みも開始した。また、地域の他施設医療者への遺伝性腫瘍セミナーや、市民公開講座を開催し、院外からの遺伝カウンセリングや、リスク低減手術の依頼にも応じている。今後は、HBOC診療に関わる診療科を増やすとともに、人材育成、保険診療の実現に向けた学会からの働きかけを推進する予定だという。名古屋市立大学病院(愛知県名古屋市)では、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーから成る臨床遺伝医療部が、他科との連携のもとで遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングを行っている。今後は、消化器内科、外科、泌尿器科との連携を強化し、認定遺伝カウンセラーの雇用条件の改善と増員、遺伝子パネル検査の導入を進める予定だ。新潟大学医歯学総合病院(新潟県新潟市)は、新潟県立がんセンター新潟病院(新潟県新潟市)との共同でHBOC niigata meetingを組織した。両施設の連携のもと、症例の拾い上げからカウンセリング、BRCA遺伝子検査、リスク低減手術、サーベイランスまで、包括的なHBOC診療の取り組みを開始している。当面の課題として、県内のほかの地域の施設との連携強化、リスク低減手術を含めたHBOC診療の県内での完結、とくに乳がんからの拾い上げ基準の確立などを目指している。四国がんセンター(愛媛県松山市)では、遺伝性がん診療科を中心にHBOC診療を進めている。最近、看護師や遺伝カウンセラーが、卵巣がん患者、子宮体がん患者から家族歴を聴取し、家系図の作成に取り組んだ。この経験を踏まえ、HBOCを考慮した問診票を作成し、家系図の作成に活用する試みを開始している。今後は、このアプローチをよりよく継続するための工夫を重ね、HBOC診療に関わる多職種の連携の円滑化を図りたいという。来場者参加型アンケート調査の結果来場者参加型の投票システムを用いたアンケート調査の主な結果は、以下のとおりであった。同一施設所属者が複数いること、HBOC診療に興味を示す者であること、誤操作した可能性などがあり、一般調査結果とは異なると予想されるが、参考値として紹介する。質問1)拾い上げの基準はどのように設定しているか?NCCNガイドラインに準拠:18%NCCNガイドラインを参考に一部改変して使用:40%NCCNガイドライン以外の基準を参考にしている:3%施設内で検討した基準を使用:14%検討中:24%質問2)一次拾い上げをする人は主に誰か?主治医:62%臨床遺伝専門医:1%外来看護師:12%病棟看護師:2%認定遺伝カウンセラー:16%その他:6%質問3)主治医がどのくらい遺伝カウンセリングに関わっているか?主治医が遺伝カウンセリングをしている:18%主治医はまったく関わっていない:36%状況に応じて:46%質問4)RRM(リスク低減乳房切除術)は実施しているか?実施している:29%実施していない:25%準備中:28%導入する予定はない:8%その他:10%質問5)RRSO(リスク低減卵巣卵管切除術)は実施しているか?実施している:48%実施していない:17%準備中:19%導入する予定はない:6%その他:9%質問6)リスク低減手術の合併症の治療は保険か自費か?保険:14%自費:29%症例に応じて:12%準備中:45%

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大腸がん手術、精神疾患患者での特徴

 精神医学的状態が存在すると、複雑な臨床像や治療的考慮のため、大腸がんの外科的治療のアウトカムに影響を及ぼす可能性がある。今回、米国University Hospitals Cleveland Medical CenterのVanessa P. Ho氏らの研究により、精神医学的疾患(PSYCH)の診断を受けた患者において、閉塞、穿孔および/または腹膜炎の存在下で実施される手術(OPP手術)の割合が有意に高かったことがわかった。著者らは、PSYCH と診断された大腸がん患者において、診察時の進行した大腸がんについての臨床的意味をさらに明らかにするため、さらなる検討が必要であるとしている。Journal of Surgical Research誌2018年3月号に掲載。 著者らは、2007~11年のNational Inpatient Sampleのデータを用いて、大腸がんの診断を受け、手術を受けた患者を同定した。National Inpatient Sampleに記載されている身体的併存疾患に加えて、統合失調症、せん妄/認知症、発達障害、アルコール/薬物乱用、その他の精神医学的状態を含むPSYCH患者を同定するためにClinical Classification Softwareを使用した。本研究のアウトカムはOPP手術とした。記述的解析に加え、患者の人口統計および身体的併存疾患の調整後にPSYCH状態とOPP手術のそれぞれの独立した関連性を、多変量ロジスティック回帰分析により分析した。 主な結果は以下のとおり。・本研究集団において、手術を受けていた大腸がん患者は59万1,561例で、そのうち、65歳以上が60.6%、女性が49.4%、併存疾患を5つ以上有する患者が6.3%、PSYCH患者が17.9%であった。・OPP手術を受けた患者の割合は、研究集団においては13.9%であったが、統合失調症(19.3%)、せん妄/認知症(18.5%)、発達障害(19.7%)、アルコール/薬物乱用(19.5%)の患者では有意に高かった。・多変量解析では、統合失調症、せん妄/認知症、アルコール/薬物乱用は、それぞれOPP手術率の増加に関連していた。

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敗血症性ショックに対するグルココルチコイドの投与:長い議論の転機となるか(解説:吉田 敦 氏)-813

 敗血症性ショックにおいてグルココルチコイドの投与が有効であるかについては、長い間議論が続いてきた。グルココルチコイドの種類・量・投与法のみならず、何をもって有効とするかなど、介入と評価法についてもばらつきがあり、一方でこのような重症病態での副腎機能の評価について限界があったことも根底にある。今回大規模なランダム化比較試験が行われ、その結果が報告された。 オーストラリア、英国、ニュージーランド、サウジアラビア、デンマークのICUに敗血症性ショックで入室し、人工呼吸器管理を受けた18歳以上の患者3,800例を、無作為にヒドロコルチゾン(200mg/日)投与群とプラセボ投与群とに割り付けた。この際、SIRSの基準を2項目以上満たすこと、昇圧薬ないし変力作用のある薬剤を4時間以上投与されたことを条件とした。ヒドロコルチゾンは200mgを24時間以上かけて持続静注し、最長で7日間あるいはICU退室ないしは死亡までの投与とした。ランダム化から90日までの死亡をプライマリーアウトカム、さらに28日までの死亡、ショックの再発、ICU入室期間、入院期間、人工呼吸器管理の回数と期間、腎代替療法の回数と期間、新規の菌血症・真菌血症発症、ICUでの輸血をセカンダリーアウトカムとし、原疾患による死亡は除いた。 患者の平均年齢は約62歳、外科手術が行われた後に入室した患者は約31%、感染巣は肺(35%)、腹部(25%)、血液(7%)、皮膚軟部組織(7%)、尿路(7%)の順であり、介入前の基礎パラメーターや各検査値に2群間で差はなかった。なおショック発症からランダム化までは平均約20時間、ランダム化から薬剤投与開始までは0.8時間(中央値)であり、ヒドロコルチゾンの投与期間は5.1日(中央値)であった。 まずプライマリーアウトカムとしての90日死亡率は、ヒドロコルチゾン投与群では27.9%(1,832例中511例)、プラセボ投与群では28.8%(1,826例中526例)であり、有意差はなかった。次いでセカンダリーアウトカムでは、ショックから回復するまでの期間も、ICU退室までの期間も、さらに1回目の人工呼吸器管理の期間もヒドロコルチゾン投与群で有意に短かった(それぞれ3日と4日、p<0.001、10日と12日、p<0.001、6日と7日、p<0.001)。ただし再度人工呼吸器管理が必要な患者もおり、人工呼吸器を要しなかった期間としてみると差はなかった。輸血を要した割合も前者で少なかったが(37.0%と41.7%、p=0.004)、その他、28日死亡率やショックの再発率、退院までの日数、ICU退室後の生存期間、人工呼吸器管理の再導入率、腎代替療法の施行率・期間、菌血症・真菌血症発生率に差はなかった。 これまでの検討では、グルココルチコイドは高用量よりは低用量のほうが成績がよかったものの、二重盲検ランダム化比較試験では一致した結果が得られなかった1,2)。現行のガイドラインでも“十分な輸液と昇圧薬の投与でも血行動態の安定が得られない例”に対し、エビデンスが弱い推奨として記載されている3)。本検討は、上記のランダム化比較試験よりも症例数がかなり増えているのが特徴であり、2群で比較が可能であった項目も多い。したがって、グルココルチコイド投与の目的—改善を目指す指標—をより詳しく評価できたともいえる。一方で21例対6例と少数ではあるが、グルココルチコイド群で副作用が多く、中にはミオパチーなど重症例も存在した。グルココルチコイドとの相関の可能性を含んで、この結果は解釈したほうがよいであろう。本検討は、これまでの議論の転機となり、マネジメントや指針の再考につながるであろうか。これからの動向に注目したい。

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インデックス投資で果実を得る方法【医師のためのお金の話】第5回

インデックス投資で果実を得る方法こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)をドル・コスト平均法で購入するという、世界の株式に毎月定額で投資する方法をお話ししました。最初に毎月定額購入する設定にしてしまえば、あとは何も考える必要がないため、簡単で楽な投資手法だなと思っている先生も多いことでしょう。しかし、海千山千の猛者が跋扈する投資の世界は、そんなに甘くありません。インデックス投資は60点の投資手法前回お話したように、VTは約8,000銘柄で構成される世界株価指数をベンチマークにしているETFです。このような特定の株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法をインデックス投資といいます。私が金融資産投資を開始したのは2000年ですが、当時はまだ一般的ではありませんでした。その頃に、VTを運営しているバンガード社の創始者であるJ・C・ボーグル著『インデックス・ファンドの時代』(東洋経済新報社)という書籍を読んで、感銘を受けた記憶があります。それからリーマンショックを経て、一般の個人投資家の間でもインデックス投資がはやるようになりました。インデックス投資は市場平均(≒株価指数)を目指す投資手法なので、大勝ちできないものの大負けすることはありません。そのうえ、維持コストが安価なので「負けにくい」投資方法として注目を集めています。勝てないまでも負けなければ良いのではないのか? と思う方が多いと思います。しかし、ここに大きな落とし穴があります。それは、株価指数は常に割高な銘柄の影響を強く受ける点です。わかりやすい例が日経平均株価です。日経平均株価は日本を代表する株価指数であり、日経平均=日本経済とイメージする方も多いと思います。しかし実際には、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ソフトバンク、ファナックの3社だけで日経平均株価の16~20%も占めています(平成30年1月現在)。この3社は優良企業ですが、さすがに3社だけで日本経済の16~20%も占めているはずがありません。このように株価指数は割高な銘柄の影響を強く受けるため、インデックス投資を実践すると常に割高な買い物をしていることになります。そして、日経平均株価ほど酷くはないものの、VTもやはり割高な銘柄の影響を受けています。このようなことから、私はインデックス投資を60点(及第点)の投資だと考えています。ドル・コスト平均法の問題点ドル・コスト平均法はまずまずの投資手法ですが、やや机上の空論的なところがあります。この投資手法の最大の問題点は、単なる高値掴みの投資法になってしまう可能性が高いことです。理論的には相場暴落時に購入する株数が多くなるため、ドル・コスト平均法は有利な投資手法に見えます。しかし、ほとんどの人は暴落時に投資をストップしてしまうのが現実です。たとえば、2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマンショックでは、金融市場が阿鼻叫喚の状況となりました。価格のつかない自由落下のような相場環境において、冷静に投資を続けることができた人はどれほどいたことでしょうか? 不謹慎ですが、北朝鮮の核爆弾が日本に投下されたとしても、ドル・コスト平均法を続けることができる人はどれほど居るでしょう? このように考えると、普通の人がドル・コスト平均法を敢行することは、少しハードルが高いと言わざるを得ません。それでもやはり「VT+ドル・コスト平均法」がお勧めここまでVTをドル・コスト平均法で投資する手法は、けっして手放しでお勧めできるものではないことを説明しました。しかし、医師のように忙しい職種の人にとって、魅力的な投資手法であることに間違いはありません。この投資手法で大きな果実を得るためには、「(1)何があっても (2)毎月定額のVTを (3)購入し続ける」ことを誓うべきでしょう。

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イスラム圏の健康状態、国家間格差の要因は?/Lancet

 乳幼児と妊産婦の健康改善を目標とした、ミレニアム開発目標(MDG)の項目4および5の推進は、世界的には大きな成果をもたらした。しかし、南アジア・中東・アフリカの多くのイスラム国家では、遅れをとっていることも明らかになっている。カナダ・トロント小児病院のNadia Akseer氏らは、イスラム国家間における、生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、その進展状況を評価する検討を行った。その結果、国家間の格差が認められ、そうした格差に関して、地域性や慣習の影響は認められなかったという。Lancet誌オンライン版2018年1月30日号掲載の報告。47のイスラム国家について調査 検討でとくに目的としたのは、イスラム国家における生殖や妊産婦・新生児・小児・青少年の健康状態および、それらの進展の現状と、開発が進んでいる先進イスラム国家における小児生存の決定因子を明らかにすることであった。そのために、イスラム国家と非イスラム国家の健康におけるアウトカムの差とキー決定因子を探るとともに、MDG4/5の達成程度(最良/不良/中程度)が異なるイスラム国家間の公的医療サービスのカバー率および決定因子を調べた。 具体的には、1990~2015年の複数の公表データ・レポジトリを基に、47のイスラム国家について調査した。そのうち26ヵ国が、Countdown to 2015 countriesと呼ばれるMDG4/5介入の最優先対象国(計75ヵ国)であった。これら26ヵ国について、非イスラムのCountdown国家48ヵ国と比較した。また、MDG4を達成するなど、小児生存率が大きく改善した、最も達成度が高かった8ヵ国の特徴も調べた。 青少年、妊産婦、5歳未満児、新生児の死亡率、死産率、死因別死亡、基本的な医療サービスのカバー率、決定因子の推算は、標準的手法を用いて行われた。 また、低所得および中所得のイスラム国家における、5歳未満児の死亡率と新生児の死亡率の決定因子について、階層的多変量解析も行った。貧しい国でも健康アウトカムの進展がみられる 1990~2015年の死亡率は、世界的には顕著な減少がみられたにもかかわらず、イスラム国家では全世界の推計値と比較して高く、Countdown国家間(イスラム国家と非イスラム国家)の比較においても高かった。基本的な公共医療サービスのカバー率も平均以下で、とくにリプロダクティブ・ヘルス、妊婦管理、出産・分娩、小児ワクチンの指標が低かった。 イスラム国家間において、死亡率および、生殖、妊産婦、新生児、小児、青少年に関する多数の健康アウトカム指標で、かなりのばらつきがあることが認められた。Countdown国家間の比較においては、構造的因子およびコンテキスト因子のうち、とくにガバナンス、コンフリクト、女性・少女のエンパワメント指標が、非イスラム国家と比較してイスラム国家では有意に不良であった。また、それらと小児・新生児の死亡率には、低所得および中所得のイスラム国家では強い関連性が認められた。 調整後の階層的モデルにおいて、その他の因子に関しても有意な関連性が認められている。イスラム国家における5歳未満児の死亡率は、難民の発生状況が高い国では上昇しているが(β=23.67、p=0.0116)、政情が安定しテロのない国(β=-0.99、p=0.0285)、政治力が強く政府が機能している国(β=-1.17、p<0.0001)、1人当たりの国民総所得が改善している国(β=-4.44、p<0.0001)、成人のリテラシーが高い国(β=-1.69、p<0.0001)、成人女性のリテラシーが高い国(β=-0.97、p<0.0001)、中等教育への進学者が男子よりも女子が多い国(β=-16.1、p<0.0001)においては低かった。 最良のパフォーマンスを示したイスラム国家は、アゼルバイジャン、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、キルギス、モロッコ、ニジェール、セネガルで、パフォーマンスが中程度または不良のイスラム国家と比べて、家族計画介入や新生児あるいは小児のワクチン接種のカバー率が高く、またコンテキスト因子の大半で優れていた。 結果について著者は、「ニジェールやバングラデシュのように、貧困国でも進展がみられた」と指摘し、「今回の検討から得られたキー所見を政策やプログラムに適用し、統治者や政策立案者、開発パートナー、資金提供者、イスラム協力機構(Organization of the Islamic Cooperation)が優先的な割り当てを行うことで、2015年以降のイスラム国家の健康アウトカムのスケールアップおよび改善が可能になるだろう」とまとめている。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問25

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問25 F検定とは?前回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明してきました。今回は、相関比「F検定」についてご説明いたします。■相関比(F検定)質問10(その2)で相関比について学びました。F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法です。その方法を説明します。2つの母集団があり、両者の相関比は0(無相関)とします。この母集団にサンプルサイズnの標本調査を行い、次に示す検定統計量Tを求めます。上の数式のVA、VE の求め方は後ほどご説明します。現実的にはありえませんが、無相関である母集団について標本調査を無限回繰り返し行い、無限個のT値を得たとします。T値の度数分布を作成し、度数分布に近似曲線を当てはめます。近似曲線は、統計学が定めた理論的分布(F分布)になることが、理論的にも実験的にもわかっています。F分布は、カイ2乗分布同様に左に偏った形状の分布です。どちらも、サンプルサイズが大きくなるほど、左右対称の分布に近づきます。T値がF分布になることを実験によって確認できます。F分布を適用する検定を「F検定」といいます。では、一般的な事例で説明していきます。■検定統計量T検定統計量T値の求め方を説明します。医学的なデータだと難しくなりがちですので、なじみやすい一般的なデータでご説明していきます。表1は、「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均です。表1 「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均血液型とホームラン数は関連性があるかを調べてみましょう。次の方法によって、表2に全体変動、群間変動、誤差変動、それぞれの偏差平方和を求めます。表2 全体変動の元データ画像を拡大する全体変動の偏差平方和:ST=1,167群間変動の偏差平方和:SA= 807誤差変動の偏差平方和:SE= 360自由度を求めます。全体変動の自由度:fT=n-1=12-1=11群間変動の自由度:fA=血液型カテゴリー数-1=4-1=3誤差変動の自由度:fE=n-血液型カテゴリー数=12-4=8留意点:必ず、ST=SA+SE、fT=fA+fE となります。不偏分散を求めます。全体変動の不偏分散:VT=ST/fT=1,167÷11=106.1群間変動の不偏分散:VA=SA/fA=807÷3=269.0誤差変動の不偏分散:VE=SE/fE=360÷8=45.0分散分析表計算された結果を表3のようにまとめた表を分散分析表といいます。分散比を求めます。分散比が検定統計量T値です。F分布の有意水準5%の棄却限界値を求めます。Excel関数 =FINV(有意水準,fA,fE)=FINV(0.05,3,8)→ Enterキー → 4.07F分布のT値=5.98となるp値を求めます。Excel関数 =FDIST(T値,fA,fE)=FDIST(5.98,3,8) → Enterキー → 0.019表3 分散分析表相関比は次によって求められます。●公式【相関比無相関の検定】F検定帰無仮説:母集団の相関比は0である対立仮説:母集団の相関比は0でない留意点 この解析は一元配置法とも呼ばれ、下記の仮説にも適用できる帰無仮説:母集団のカテゴリー平均はすべて等しい対立仮説:母集団のカテゴリー平均は異なる1)T値による検定T値=分散比>棄却限界値帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる2)p値による検定p値<有意水準帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる今回のポイント1)F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法!2)関連性判定1)T値による方法T値=分散比>棄却限界値のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!3)関連性判定2)p値による方法p値<有意水準のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!インデックスページへ戻る

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