サイト内検索|page:156

検索結果 合計:4939件 表示位置:3101 - 3120

3101.

意外と取れてる後発品加算【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第4回

2018年4月の調剤報酬改定から、後発医薬品調剤体制加算の算定基準や点数が変更になりました。ほかの薬局はどのくらい加算が取れているのか気になるところではないでしょうか。改定後の加算状況が報じられましたので、ご紹介します。2018年度調剤報酬改定で数量シェアの基準を引き上げ、2段階から3段階評価に切り替えた、薬局の「後発品調剤体制加算」について、(中略)全国の50%(2万8,923店舗)がいずれかの加算を算定していることがわかった。昨年7月時点では、全国の薬局の約63%(約3万7,000店舗)が算定していたが、その後の伸びも踏まえると、改定前後で約1万店舗が加算算定から“脱落”した格好だ。(2018年6月28日付 RISFAX)前回の算定基準では、加算1と加算2のどちらかを算定している薬局は約63%でしたが、今回の改定によって加算を算定する薬局が50%に減ったということで、この記事では加算から脱落した薬局の多さを強調しています。しかし、私個人としては、思っていたよりも加算を算定することができた薬局が多いなという印象です。17%の薬局が新たに後発医薬品使用割合75%を達成後発医薬品調剤体制加算に求められる後発医薬品使用割合は、2016年改定(2018年3月末まで)では加算1が「65%以上」で18点、加算2が「75%以上」で22点でした。それが2018年度の改定では、点数は同じままで加算1が「75%以上」、加算2が「80%以上」に引き上げられ、さらにその上に加算3として「85%以上」の26点が新設されています。低い基準を打ち切り、高い基準を新設することでより後発医薬品の使用を促進させようという意図がはっきりわかります。この算定基準の引き上げが公表されたとき、かなり厳しいという印象を受けたことを今でも覚えています。前述のとおり、今回75%以上を達成し、1~3のいずれかの加算を算定した薬局は全体の約50%でしたが、前回の算定基準で75%以上の加算2を算定した薬局は33%でした。このことから、その差である約17%の薬局、つまり全国の薬局約5万5,000店舗のうち約9,000超の薬局が後発医薬品の使用割合を増やし、新たに加算を算定できるようになったと考えられます。高いハードルであっても地道な努力によって使用割合を達成した薬局がこれほど多いということは、少し勇気をもらえる事実ではないでしょうか。後発医薬品の使用可否は医師や患者さんの意向も大きく、薬剤師だけではどうしようもないこともあります。しかし、手をこまねいているのではなく、先発医薬品から薬剤の味や使いやすさなどが改良されている後発医薬品もあるので、積極的に患者さんのメリットを紹介してみてはいかがでしょうか。今年4月から病院やクリニックの外来処方箋に対する「外来後発医薬品使用体制加算」も2段階から3段階に改められたのをネタに、医師や事務の方とお話ししてもいいかもしれません。

3102.

第3回 エラーバーはいつも対称とは限らない【統計のそこが知りたい!】

第3回 エラーバーはいつも対称とは限らない第1回「『標準偏差』と『標準誤差』の使い分けは」で、エラーバー(error bar)についても解説しました。通常よく目にする論文の図表では、エラーバーは代表値を中心に上下あるいは左右対称で同じ長さであることが多いかもしれません。しかし、エラーバーが必ずしも上下(左右)が対称ではなく、非対称、すなわち代表値を中心に同じ長さではない図表を目にすることもあるのではないでしょうか。今回は、どのような場合にエラーバーが上下(左右)非対称となっているのかを解説します。■平均値を示す際、エラーバーでバラツキを示す指標も表示するある試験を行った結果、毎回同じ結果が出るとは限りません。ですからデータをグラフ化する場合には、バラツキを示す指標もエラーバーで表示することが重要です。エラーバーは、データの誤差(エラー)の程度を表すためのもので、±標準偏差(SD)、±標準誤差(SE)、パーセンタイル(percentile)、95%信頼区間(confidence interval:CI)と使い分けられています。今回は純粋にデータのバラツキを示したい、あるいは比べたいというときに用いる標準偏差で説明します。■正規分布の場合と正規分布ではない場合臨床試験データの中には標準的な正規分布に従わない場合もあります。よく知られているのは、図1のようにわが国の各世帯の所得金額の分布は、標準的な正規分布ではなく、片対数正規分布であると言われています。臨床試験の結果がこのように標準的な正規分布ではなく、図2のように片対数正規分布に従うような場合は、エラーバーの上下(左右)は対称ではなく非対称になります。つまり長さが異なることもあります。具体例として学習用の架空のデータで、非対称のエラーバーを見てみましょう。図3は、ある薬剤の薬物動態を表したデータです。薬物投与後の血中濃度の推移を見ています。平均値±標準偏差により算出されるエラーバーの長さ(区間幅)は、片対数軸上では非対称となります。また、このグラフでの24時間値は平均値-標準偏差がマイナス値となるため、グラフに下側のエラーバーを表示することができない場合があります。このため、平均値+標準偏差のように上側のエラーバーのみが表示されることも多くみられますが、上側と下側の長さ(区間幅)が異なることにも注意して、論文の図表を見る必要があります。そして、得られたデータから標準的な正規分布が推定される場合は、上下対称の長さ(区間幅)のグラフを作図するときは、グラフの重なりなどで見にくくなるのを防ぐため、上側と下側どちらかのエラーバーのみを表示しても構いません。いずれの場合においても論文の図表でエラーバーをみた際は、記述をよく読んでエラーバーがどのような定義で作成されているのかを見極めることが大切です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション2 量的データは平均値と中央値を計算せよセクション3 データのバラツキを調べる標準偏差第4回 ギモンを解決! 一問一答質問3 標準偏差と標準誤差の違いは何か?

3103.

「偽造品問題で管理薬剤師に行政処分」は厳しすぎるか?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第3回

2017年1月、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合錠)」の偽造品が、薬局チェーンで発見された事件がありました。業界で大きな話題になったので、まだ記憶に新しいかと思います。この問題を受け、2018年6月、厚生労働省は、患者に偽造品を渡した薬局に勤務していた管理薬剤師に対し、薬剤師の業務停止3ヵ月の行政処分をしたと発表しました。この事件に関しては、別の店舗に勤務する管理薬剤師にも、昨年12月に3ヵ月間の業務停止処分が下されています。今回の処分について、処分理由の詳細な事実はわかりませんが、管理薬剤師が、外箱や添付文書などがない状態の該当薬の分譲を受け、勤務薬剤師に調剤させたことや、薬局開設者に必要な意見を述べなかったことなどが挙げられているようです。この事件については、薬局も以前に処分されていますが、その際の処分理由は以下のとおりでした。1.医薬品の仕入れ段階における検査が不十分であったため、偽造品を仕入れ、販売授与の目的で当該偽造品を貯蔵させた。(医薬品医療機器等法 第55条第2項違反)2.開設者は、薬局業務のうち医薬品の仕入業務や分譲業務について管理者に管理させていなかった。(医薬品医療機器等法 第7条第2項違反)3.仕入れ段階において箱や添付文書がない医薬品について疑義を持たないまま、適切な管理のために必要と認める医薬品の試験検査を管理者に行わせなかった。(医薬品医療機器等法 第9条第1項及び同施行規則 第12条違反)4.管理者は、上記業務があることは認識していたが、管理者として管理監督を行っていなかった。またそのことについて開設者への適切な意見具申を行わなかった。(医薬品医療機器等法 第8条第1項、第2項違反)この際も上記4番のとおり管理薬剤師の義務違反が問題となり、管理者変更命令の処分がされています。責任は管理薬剤師にある管理薬剤師には、以下の義務が医薬品医療機器等法で定められています。医薬品医療機器等法 第8条(管理者の義務)第八条 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない。2 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなければならない。管理薬剤師は、薬局の業務全般を管理しなければならず、問題があれば薬局開設者に意見を述べる義務があります。つまり、薬局開設者からの指示であるからといって、管理薬剤師がその指示に従っていたとしても、法律上では、薬局の管理監督に対する責任は管理薬剤師にあるということです。そのため、薬局開設者には、管理薬剤師の意見を尊重しなければならないという義務があります。医薬品医療機器等法 第9条2項薬局開設者は、第七条第一項ただし書又は第二項の規定によりその薬局の管理者を指定したときは、第八条第二項の規定による薬局の管理者の意見を尊重しなければならない。今回の事件の詳細な実体は明らかにされていないので、判断は難しいかもしれませんが、薬局開設者の指示で仕入れた、または薬局開設者が仕入れてきた医薬品の調剤を監督した管理薬剤師が、このような処分を受けるのは重いと感じる方もいるのではないでしょうか。わが国では、これまで薬局が扱う医薬品において、偽造が問題になったことはほとんどないので、管理薬剤師は、偽造品だと想像すらできなかった可能性があり、そう考えるとなおさらかもしれません。しかし、国はそのように考えていないということです。法律も上記のとおりですから、管理薬剤師にかかる薬局の管理監督に対する責任は重いと言わざるをえないでしょう。そのような意味では、管理薬剤師の重要性と責任の重さが示された処分とも言えるかと思います。実際には、管理薬剤師の意見が尊重されない、意見が言いづらい現場もあるかもしれません。万一そのような薬局があれば、その体制の見直しを検討する必要があります。これを機会に、管理薬剤師の立場・責任の見直しと法令遵守ができる体制の整備が期待されます。参考イーガブ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)

3105.

第8回 訪問診療同行時に医師に尋ねられたこと【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。地域連携の会に参加したら知り合いばかり!先日、地域の認知症連携懇話会に参加したとき、100名の参加者のほとんどが関わりのある人達ばかりで驚きました。たくさんのケアマネさんや先生、訪問看護師さんが、色々な所で繋がっています。医師からはこんなことを尋ねられます医師の訪問診療に同行したときに医師から尋ねられたことを紹介します。アサコールの簡易懸濁は?Dr.:アサコールを簡易懸濁したい。溶解は?はらこし:腸溶錠なので、胃ろうからの注入はだめですが、腸ろうならばオッケーです。 取り出し後の湿気に注意する必要があります。フィルムは溶けません。pH7以上で放出、pH6.4では溶けません。カテーテルの太さはいくつですか?8Fr、14Frだと△です。詰まるかもしれませんし、フィルムが溶けないので取り除く必要があります。サラゾピリンの素錠であれば、8Frで○です。ペンタサは腸溶部分が溶けないため、カテーテルの入り口に詰まるとメーカーから聞いています。外用剤は何が一番効く?Dr.:外用剤は何が一番効く?湿布、抗真菌薬、抗炎症薬、それぞれ教えて。はらこし:それは難しいです...。外用剤は特に適正使用(方法、量)が重要だと思いますので、療養者の環境やADLを考慮して選んだり、質感の心地よいもの(クリームが好きな人、サラサラローションが良い人)などで継続しやすいものを、と考えて提案しています。麻薬処方箋には何を記載?Dr.:麻薬処方箋には何を記載するんだっけ?はらこし:患者住所と先生の免許番号です!こんな感じで、いろいろと医師とやりとりしています。専門が異なる他の医師の処方意図や薬剤の用法用量をお伝えすることもあります。医師同士の情報交換が頻繁にできない先生には参考になるようです。

3106.

第6回 医師家系の一例【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第6回 医師家系の一例近所の人たちに「将来は、お医者さんになるの?」と聞かれていた先生は少なくないと思います。私も幼稚園の頃、「オイシャサン」が何だか分からないものの、病院官舎へヨレヨレの白衣姿で戻ってくる父が、その人だとぼんやり認識していました。当時、某県の子ども病院へ医局派遣されていた父は、小児心臓外科の立ち上げのため、ICUに泊まり込むハードな日々を送っていたそうです。ほとんど家へ帰らない日々で、古い官舎へ戻ってくるのは着替えなど、ごく限られた時間でした。「どこかにパパがいる」と時々、病院の食堂で昼食を食べつつ、五感で学んでいました。おおらかな時代だったのか、入院中の小児患者さんたちと並んで食事ができる病院で、「ずいぶん元気そうなお子さんなのに、病気だなんてかわいそう…」と、母は周囲から何度も声をかけられたそうです。病院入口のスロープでは、小児患者の車椅子を一生懸命に押していた記憶もあります。祖父もまた胸部外科医であったことも、医療環境に幼くして馴染んだ理由かもしれません。曾祖父も内科の開業医でした。医師家系の場合、このように幼い頃から医師のリアルな姿に馴染みがあり、周囲からも跡継ぎを期待されて…という状況が珍しくないと思います。科や勤務形態は違っても、親・兄弟に医師が多くいたり、医師どうしが結婚して義理の両親も医師、という場合もあります。結婚式がまるで2つの医局の顔合わせ状態に、というのも“医師あるある”ではないでしょうか。どちらの教授から祝辞を述べてもらうか、仲人を立てるべきか、お車代はいくらにしようか、と悩んだ事例も少なくないでしょう。つまり、大人どうしの自然な恋愛で医師カップルが誕生する一方で、医師家系の継承という大前提が、相手選びに制限をもたらすことも起こりやすい。それらのメリットやデメリットを論じるのは難しいものの、“純粋な医療貢献を目指す人たち”という見方だけでは、医師家系の理解は難しいでしょう。職業が特殊であることは、キャリアも競争もごく限られたメンバー間で勝負していくことにつながります。高学歴者の集団ですから、医師業界の上位争いはとても厳しい。でも国家資格それ自体が、社会の信用を得る有効なツールであり続けます。多くの先人が築いてきた医療行為や研究成果によって、現在の私たちが社会の信認を受けていると言えるでしょう。さらに医師は富裕層の代表格として、いつもメディアで取り上げられる職業です。「社会的地位も名声もあり、稼ぎも良い。不景気でも失業しない」というイメージで、医学部人気が上昇するのは避けられず、偏差値が高止まりしている現状が、この職業の期待値をさらに高めていきます。「子供たちも医師になって欲しい」という親は、教育熱心にならざるを得ません。医師免許を取得できれば何とかなる、といった安易な風潮には懸念を持たざるを得ませんが、継承案件がある場合は切実です。「同族で継いでほしい」という気持ちから、「医師免許を取らせたい」という親なりの熱意が生まれやすくなります。昨今の医療は過去の医師たちが経験した事例とは、かなり異質な方向に発展を遂げています。WEBを中心に加速度的な進歩を遂げ、人工知能の活用やリアルワールドデータを用いた医療行為の品質改善など、数年後の状況すら現役医師が正確に予測できない事態です。世界に冠たる国民皆保険や診療報酬制度があるから大丈夫、という認識も揺るぎはじめ、既存の医業継承が将来可能なのか、見通しにくい経営環境となっています。「お子さんもお医者さんに?」と質問されたとき、医師という職業の将来を正確に予測できない点を、どのように相手へ伝えればよいのでしょうか? 余計なことは言わず、「はい、そのつもりです」と笑顔で答えれば問題ないのでしょうか? 私も子どもたちの将来を考えるとき、曾祖父以来100年以上続く医師家系を、いつどのように事実として伝えるべきか、しばし考えてしまいます。ちなみに100年以上前の医療の状況は、日本内科学会誌のアーカイブから閲覧できます。この1913年の第1巻には、巻頭で「腎臓炎」の論説が掲載されており、腎臓内科医の1人として、思わず読みふけってしまう底知れぬ魅力があります。保険診療を行う上で根拠となっている医学的な根拠は、こうして膨大な年数を経ながら、果てしない試行錯誤を先駆者たちが築いていった結果であり、今もそのアップデート中と実感できます。未知への家族的な挑戦が、医業の継承につながっている側面もあるのでしょう。私は医師家系を賞賛するわけでも否定するわけでもありませんが、実際にその一員として人生を過ごしていると、無視せずに当事者が考える複雑な意義があるとも思います。実は、古くて新しいテーマなのです。

3107.

脂質代謝遺伝子の発現を調節する高脂血症治療薬「パルモディア錠0.1mg」【下平博士のDIノート】第4回

脂質代謝遺伝子の発現を調節する高脂血症治療薬「パルモディア錠0.1mg」今回は、「ペマフィブラート錠0.1mg(商品名:パルモディア)」を紹介します。本剤は、フィブラート系薬に分類される高脂血症治療薬で、核内受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体PPARαに選択的に結合し、脂質代謝遺伝子の発現を調節することで、血中の中性脂肪(トリグリセライド:TG)を低下させるとともにHDL-コレステロール(HDL-C)を増加させる作用を有します。<効能・効果>高脂血症(家族性を含む)の適応で、2017年7月3日に承認され、2018年6月1日より販売されています。本剤は、選択的にPPARαに結合した後、PPARαの立体構造変化をもたらすことで、主に肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的にモジュレート(調節)して、脂質代謝を改善します。なお、本剤をLDL-コレステロール(LDL-C)のみが高い高脂血症治療の第1選択薬として用いることはできません。<用法・用量>通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与します。年齢・症状に応じて適宜増減可能ですが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までです。<禁忌>次の患者には投与しないこと重篤な肝障害、Child-Pugh分類B/Cの肝硬変のある患者あるいは胆道閉塞のある患者(肝障害の悪化、または本剤の血中濃度が上昇する恐れがある)胆石のある患者(胆石形成が報告されている)妊娠または妊娠している可能性のある患者シクロスポリン、リファンピシンを投与中の患者(併用により、本剤の血中濃度が著しく上昇する恐れがある)<臨床効果>第III相臨床試験であるフェノフィブラートとの比較検証試験において、TG高値かつHDL-C低値を示す脂質異常症患者223例に、本剤0.2mg/日または0.4mg/日を1日2回朝夕食後、もしくはフェノフィブラート錠106.6mg/日を1日1回朝食後で24週間投与しました。その結果、空腹時血清TGのベースラインからの変化率は、フェノフィブラート群が-39.685±1.942%であったのに対し、本剤0.2mg群は-46.226±1.977%、0.4mg群は-45.850±1.942%であり、本剤のフェノフィブラート群に対する非劣性が認められています(p≦0.01)。なお、TG高値を示す脂質異常症患者、2型糖尿病を合併した脂質異常症患者を対象とした長期投与試験において、52週にわたり空腹時血清TGの改善が維持されました。<副作用>承認時までに実施された臨床試験において、1,418例中206例(14.5%)に副作用が認められています。主な副作用は、胆石症20例(1.4%)、糖尿病(悪化を含む)20例(1.4%)、CK上昇12例(0.8%)でした。<患者さんへの指導例>1.中性脂肪を低下させ、善玉コレステロールを増やす薬です。2.足のしびれ・痙攣、力が入らない、覚えのない筋肉痛など、いつもと違う症状が現れたらすぐに連絡してください。3.禁煙・運動・食生活など、生活習慣の改善も併せて行いましょう。<Shimo's eyes>既存のフィブラート系薬は腎排泄型の薬剤であり、安全性の観点から腎機能障害患者、肝機能障害患者、スタチン系薬を服用中の患者では使用が制限されてきました。ペマフィブラートは、腎機能障害(eGFR:60mL/分/1.73m2未満)を有する高TG血症患者に1日0.4mgまで投与した場合であっても、正常腎機能被験者と比較して発現頻度が明らかに上昇するような有害事象は現時点では認められていません。また、本剤と各種スタチン系薬との相互作用が検討された臨床試験においても、併用による双方の薬剤の血中濃度には変化がなく、有害事象の発現頻度は上昇しなかったことが確認されています。これらのことから、本剤を腎機能障害患者が服用したり、スタチン系薬と併用したりすることによる横紋筋融解症の発現リスクは、ほかのフィブラート系薬と比較して低いことが予想されます。そのため、2022年10月に高度腎障害のある患者への禁忌が解除され、慎重投与に変更されました。本剤は胆汁排泄型の薬剤であるため、肝機能障害には注意が必要ですが、申請時資料において、フェノフィブラートに比べて肝機能障害の有害事象が少ないという可能性が示唆されるデータがあります。しかし、ペマフィブラートは、日本で開発された薬剤であり、海外では臨床試験が実施されているものの、まだ承認されていません。十分な臨床での使用経験がないため、今後の副作用報告に注視する必要があるでしょう。※2022年10月、添付文書改訂により一部内容の修正を行いました。

3109.

EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、1次治療としてEGFR-TKIが標準療法であるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は1年程度である。サバイバルのため、さまざまな併用療法が試みられている。そのようななか、エルロチニブとベバシズマブの併用は、第II相試験JO25569試験において、EGFR変異陽性NSCLCのPFS中央値を16.0ヵ月と有意に改善した。このエルロチニブ・ベバシズマブ併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験NEJ026の結果を、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科の古谷直樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は、化学療法歴のない術後再発あるいはStageIIIB~IVでPS 0~2のEGFR変異陽性NSCLCで、エクソン19欠失変異あるいはL858R点突然変異を有する患者。無症候性脳転移を有する症例は登録可能とした。患者は、ベバシズマブ3週ごと投与+エルロチニブ連日投与群(BE群)とエルロチニブ単独連日投与群(E群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間、安全性、QOLであった。 2015年6月3日~2016年8月31日に228例の患者が登録された(BE群、E群ともに114例)。追跡期間の中央値は12.4ヵ月で、PFS解析のデータカットオフ日は2017年9月21日。 主要評価項目であるPFS中央値は、BE群が16.9カ月(14.2~21.0ヵ月)、E群が13.3カ月(11.1~15.3ヵ月)で、BE群で有意な延長効果が確認された(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.0157)。 副次評価項目のうち、ORRはBE群が72.3%、E群が66.1%、DCRはBE群が94.6%、E群が96.4%で両群間に有意差はなかった。 Grade3以上の有害事象発現率は、BE群が56.3%、E群が37.7%でBE群のほうが高かった。Grade3以上の有害事象としてはBE群でベバシズマブに関連する高血圧症が22.3%、蛋白尿が7.1%とE群に比べて有意に高い発現率(高血圧症はp<0.001、蛋白尿がp<0.01)だったが、その他はエルロチニブに伴う皮疹(BE群が20.5%、E群が21.1%)などで両群間に差はなかった。また、全GradeではBE群で出血が25.9%と、E群に比べて有意に高い発現率だった(p<0.001)。 これらの結果から、古谷氏は「エルロチニブとベバシズマブの併用療法はエルロチニブ単独に比べ有意にPFSを延長しており、EGFR陽性NSCLCの新たな標準治療と考えられる」との見解を示した。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

3110.

第2回 「抜歯したら抗菌薬」は本当に必須か【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 先日、歯科医師の友人から、抜歯後に抗菌薬を処方しなかったことで薬剤師からクレームを受けた、という話を聞きました。次のような経緯だったようです。・某日午前、ある女性患者さんの上顎第3大臼歯(親知らず)の残根を抜歯し、術後疼痛対策としてアセトアミノフェンを処方したが、抗菌薬は処方しなかった。・同日夕方、救急外来にこの女性患者さんの旦那さんである薬剤師からクレームの電話が入り、「抜歯したのになぜ抗菌薬を処方しないのか」と言われた。はたして抜歯をする際は感染症を予防するための抗菌薬は必須なのでしょうか。今回は、抜歯時の抗菌薬の有用性について検討したコクランのシステマティックレビューを紹介します。Antibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.論文では、「抜歯処置を受ける患者さんが、術前あるいは術後に抗菌薬を服用すると、抗菌薬なしまたはプラセボ服用に比べて、感染症の発生リスクが下がるか」という疑問が検討されています。本論文で組み入れられた研究では、主にアモキシシリン(±クラブラン酸)、エリスロマイシン、クリンダマイシンなどが投与されています。なお、日本感染症学会、日本化学療法学会による「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―」でも、歯性感染症ではペニシリン系、リンコマイシン系、マクロライド系などが推奨されています。日本ではルーティンで第3世代セフェム系薬を処方する歯科医師が多いと感じていますが、これらは必ずしも歯性感染症に適するわけではないですし、概して吸収率も高くはありません。抗菌薬を服用すると12例中1例で感染予防さて、システマティックレビューの評価ポイントはいくつかあります。過去の研究を網羅的に集めているか、集めた研究の評価が適切になされているか、それらの研究の異質性は検討されたか、出版バイアスはないか、情報は適切に統合されたか、などの点を確認することが大切です。本論文では1948年~2012年1月25日までにMEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CHSSSといったデータベースに登録されている関連論文を網羅的に集めています。集められた試験のデザインはランダム化比較試験で、うち1件はインターバルが6週間以上のクロスオーバーランダム化比較試験です。クロスオーバーは同じ被験者がウォッシュアウト期間を十分に設けた後に、異なる介入を受けることを意味します。そう何回も抜歯をやるの? という疑問もあるかもしれませんが、スプリットマウスデザインという、同一被験者の口内の左右では条件差がさほどないことを利用して、左右の歯でウォッシュアウト期間をおいて抜歯を行ったものと考えられます。出版バイアスの有無はファンネルプロットを用いて検討されていますが、術後および術前・術後におけるプロットが少ないため判定がやや難しいところです。なお、コクランのハンドブックによれば、一般的にプロットの数が10個以下だとファンネルプロットの左右対称性から出版バイアスを見極めることは難しいとされています。集められた各研究の評価は、2人のレビュアーにより独立して行われ、解釈に食い違いが生じた場合には議論のうえで合意を形成しているため、一定の客観性があると考えてよさそうです。なお、レビュアー名を検索したところ、両名とも歯科医師のようです。最終的に、集められた研究のうち、18件(患者合計2,456例)の研究が採用され、15件がメタ解析されています。システマティックレビューの結果は、通常Summary of Findings(SoF)テーブルとフォレストプロットにまとめられているので、ここを真っ先に見るとよいでしょう。エンドポイントに関する結果を紹介します。抗菌薬を投与した場合、プラセボと比較して抜歯後の局所感染症を約70%減らす(相対リスク:0.29、95%信頼区間:0.16〜0.50)とあり、エビデンスの質としては中程度の確信となっています(p<0.0001)。これは、約12例で抗菌薬を服用すれば、1例は感染症を予防できるという割合です。痛み、発熱、腫れには有意差はありませんでした。有害事象に関しては、抗菌薬投与でほぼ倍増(相対リスク:1.98、95%信頼区間:1.10~3.59)しますが、軽度かつ一時的ということ以外の具体的な内容は本文献ではわかりません。抗菌薬の必要性は侵襲性の程度や患者要因で変わりうるシステマティックレビューは既存の知見を網羅的に集めて質的評価を行い、統計学的に統合することから、しばしばエビデンスの最高峰に位置付けられますが、統合することで対象患者などの細かいニュアンスが省略されるため、その結果を応用する際は外的妥当性を十分に考えねばなりません。本結果を素直に解釈すれば、感染予防のベネフィットがややあるものの、抜歯処置の侵襲性の程度や感染症リスクによっては抗菌薬が処方されないことも十分考えられます。もし服用を検討するのであれば、アレルギーや副作用歴がない限りはペニシリン系やクリンダマイシンなどが比較的妥当な選択となりそうです。現実には下痢の頻度や抗菌薬アレルギーのリスク、冒頭の例であれば歯科医師と患者の関係なども抗菌薬が必要かどうかの考慮事項となりうるでしょう。いずれにせよ、短絡的に抜歯=抗菌薬と断定するのではなく、患者の状態や歯科医師の意図をくみ取ったうえで適切なアクションをとりたいものです。画像を拡大するAntibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.

3111.

ASCO2018レポート 消化器がん

レポーター紹介本年度の米国臨床腫瘍学会年次総会が、2018年6月1日~5日まで例年どおり米国シカゴで開催された。消化器がん領域における注目演題についてレポートする。とくに胃がん領域においては、本邦より2人もの演者がoralで発表されており、日本人として大変誇らしく感じた。JACCRO GC-07 trial本邦の実臨床に最もインパクトがあった演題として、pStageIII胃がんにおけるドセタキセル+S-1(DS)併用療法のS-1療法に対する優越性が証明されたJACCRO GC-07 trialをまずは報告する。本邦では、pStageIII胃がんに対する術後補助化学療法として、S-1療法1年またはCapeOX療法6ヵ月を行うことが標準治療として位置付けられている。しかしながら、ACTS-GC試験のサブグループ解析では、手術単独群に対するS-1療法群の全生存期間におけるHR(ハザード比)がpStageIIIAで0.67、StageIIIBで0.86と報告されており、いずれも効果が不十分と考えられてきた。そこで、根治切除(胃切除+D2郭清)を行ったpStageIII胃腺がんを対象として、S-1療法に対するDS療法の優越性を検証したJACCRO GC-07 trialが行われた。主要評価項目は3年無再発生存(RFS)であり、S-1療法群の3年RFSを62%、HRを0.78とし、両側検定α=5%、検出力80%を確保するために、必要な症例数は1,100例と算出された。2回目の中間解析において(登録患者915例、イベント数216)、3年RFSがS-1療法群49.5%vs.DS療法群65.9%(HR=0.632、p=0.007)と、DS療法群で有意に良好であったことから、2017年9月に効果安全評価委員会において有効中止の勧告がなされた。登録された両群の患者背景には明らかな差が認められず、また明らかな交互作用は観察されなかった。再発部位は、リンパ節、腹膜、血行性転移いずれもDS療法群で少ない傾向であった。有害事象に関しては、白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症がDS療法で多かったもののマネージメントは十分可能な範囲であった。演者らは、本試験の結果をもって、根治切除後のpStageIII胃がんに対して、DS療法は新たな術後補助療法の標準治療として推奨されると結論付けた。会場では、S-1療法群の成績が従来の本邦からの報告よりやや悪いことが指摘されていた。個人的には、本邦で行われた良質な第III相試験であること、昨年公表された欧州での第III相試験でFLOT療法(DTX+5FU+L-OHP)の有効性が示されていること、エビデンスレベルという点からも、術後DS療法は標準治療として位置付けられると考えられ、今後は実地臨床にも広く用いられることになるだろう。また、用量強度やOSのupdate解析などの報告にも注目したい。KEYNOTE-061試験現在、本邦では胃がん領域においても2017年9月から免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが実地臨床で用いられている。また、米国においては、ペムブロリズマブが既治療の胃がんに対してFDAで承認を受けている。本試験は、切除不能進行再発胃がん/食道胃接合部がんにおける2次化学療法として、ペムブロリズマブ療法とパクリタキセル療法をHead-to-Headで比較した第III相試験として実施された。当初は、PD-L1発現の有無にかかわらず患者が登録されたが、登録途中でPD-L1陽性(CPS≧1)のみを登録することに変更となった(CPS:combined positive score、PD-L1陽性の細胞数[腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージ]/全生存細胞数×100)。主要評価項目は、PD-L1陽性例におけるOSとPFSとし、試験全体の片側α=0.025、OSにおける優越性を示すにはp<0.0135を達成する必要がある統計設計で実施された。登録された患者背景に両群で差は認めなかった。PD-L1陽性例における生存期間中央値(MST)は、ペムブロリズマブ療法9.1ヵ月vs.パクリタキセル療法8.3ヵ月、HR 0.82、片側p=0.042であり、両群で有意差はなかった。ただし、解析時点でペムブロリズマブ群では15例が投与継続(パクリタキセル群は0例)されており、実際に12ヵ月生存割合は39.8%vs.27.1%、18ヵ月生存割合は25.7%vs.14.8%とペムブロリズマブ群で長期生存例が多かった。PD-L1発現別の解析では、CPSが高いほどペムブロリズマブの効果が高まることが示された。また、MSI-High例(全体の5%)では、ペムブロリズマブ療法群でOS、奏効割合がともに良好であった(OSは未達、奏効割合46.7%)。主要評価項目であるPD-L1陽性例におけるOSにおいて、統計学的有意差は示せない結果となった。ただし、今後の進行胃がんの化学療法を考えるうえでは、非常に重要かつ示唆に富む結果が得られたと個人的に感じている。具体的には、先のATTRACTION-2試験(ニボルマブとプラセボを比較した、胃がんにおけるSalvage lineの第III相試験)では、PD-L1発現の有無ではニボルマブの効果予測は困難であったが、CPSというPD-L1陽性の定義を用いると免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ができるかもしれない点や、既報と同様にやはりMSI-Hでは胃がんであっても高い奏効割合、治療効果が示される点などである。ディスカッサントからも指摘があったように、今後は、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法や化学療法との併用療法などの結果が注目され、胃がん化学療法の進歩に期待したいところである。なお、本結果は発表同日にLancet誌に掲載され、インパクトあふれる発表であった。PRODIGE 24/CCTG PA.6試験膵がんの術後補助化学療法は、従来はゲムシタビン療法が標準治療として位置付けられていたが、近年、本邦で実施されたJASPAC-01試験の結果から本邦ではS-1療法が、欧米ではゲムシタビン+カペシタビン療法が確立された。また、遠隔転移を有する膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法(5-FU+LV+イリノテカン+L-OHP)が標準治療として用いられている。そこで、切除後膵がんに対する術後補助療法としてのゲムシタビン療法に対するFOLFIRINOX療法の優越性を検証する第III相試験が計画された。本試験で用いられているFOLFIRINOX療法は、毒性の点からmodified FOLFIRINOX療法(mFFX、5-FU 2,400mg/m2+ロイコボリン400mg/m2+イリノテカン180mg/m2+オキサリプラチン85mg/m2、2週ごと、12サイクル)が採用された。主要評価項目は無病生存(DFS)期間として、3年DFS率のHRを0.74、両側α=0.05、検出力80%として必要な症例数は490例と算出された。なお、開始後30例でGrade3以上の下痢を20%に認めたため、以降はイリノテカンの用量が150mg/m2に変更されている。2012年4月~2016年10月までに493例が登録され、2018年2月に効果安全評価委員会において早期結果公表が勧告されたため、今回、データが発表された。登録された患者背景では、リンパ管腫瘍塞栓のみ群間差を認めたがその他は両群に有意な差は認めなかった。DFS期間の中央値は、mFFX療法群21.6ヵ月、ゲムシタビン療法群12.8ヵ月、HR 0.58(p<0.0001)であり、mFFXで有意に良好であった。OSの中央値は、mFFX療法群54.4ヵ月、ゲムシタビン療法群35.0ヵ月、HR 0.64(p=0.003)であった。有害事象として、好中球減少、発熱性好中球減少に差はなかったが、mFFX療法群でG-SCF使用の割合が有意に高かった。また、非血液毒性として、下痢、末梢性感覚ニューロパチー、疲労、嘔吐、口内炎がmFFX群で有意に高かった。以上から、演者らは、mFFX療法は、毒性が増すものの、全身状態が良好な患者における欧米における標準治療と結論付けている。本邦で行われたという点においては、JASPAC-01試験の結果から、毒性の点から、S-1療法は本邦における標準治療としての位置付けは揺るがないだろう。しかしながら、JASPAC-01試験、本試験ともに大規模第III相試験から得られた結果という点では、同等のエビデンスとも考えられ、すでに転移性の膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法は実地診療で行われている。とくに、本試験のサブグループ解析では、mFFX療法でR1切除、N1切除の成績が良好であったことから、予後不良な症例にはmFFXは期待できるのかもしれない。

3112.

ストレス関連障害は、自己免疫疾患のリスク/JAMA

 ストレス関連の障害は、自己免疫疾患発症リスクを有意に増大することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによる、スウェーデンの集団・兄弟姉妹適合コホートを対象とした後ろ向き研究の結果、明らかにされた。生活をするうえでのストレッサーに対する精神医学的な影響は誰にでもみられる。その影響が免疫機能不全をもたらす可能性が示唆されているが、自己免疫疾患のリスクに関与しているかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「さらなる研究を行い、根源的メカニズムを解明することが必要だ」とまとめている。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。ストレス関連障害曝露群を、適合非曝露群および兄弟姉妹群と比較 研究グループは、1981年1月1日~2013年12月31日に、スウェーデン生まれの住民を対象とした集団および兄弟姉妹適合後ろ向きコホート研究を行い、ストレス関連の障害が自己免疫疾患発症と関連しているかを調べた。コホートには、ストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、およびその他のストレス障害)と診断された10万6,464例(曝露群)と、それら診断歴のない適合集団106万4,640例(非曝露群)および曝露群の兄弟姉妹12万6,652例が含まれた。 ストレス関連障害と自己免疫疾患は、全国患者登録で特定した。また、Coxモデルを用いて、ストレス関連障害の診断後1年超で発症が認められた41の自己免疫疾患に関するハザード比(HR)を、多数のリスク因子で調整して、95%信頼区間(CI)とともに算出した。非曝露群と比較した曝露群の自己免疫疾患リスクのハザード比は1.36 ストレス関連障害と診断された年齢中央値は41歳(四分位範囲:33~50)、曝露群の男性の比率は40%であった。 平均追跡期間10年間の自己免疫疾患罹患率は、1,000人年当たり、曝露群9.1、非曝露群6.0、兄弟姉妹群6.5であった。曝露群の、非曝露群に対する絶対率差は3.12(95%CI:2.99~3.25)、兄弟姉妹群に対する同差は2.49(95%CI:2.23~2.76)であった。 非曝露群と比較して、ストレス関連障害患者では、自己免疫疾患のリスクが高かった(HR:1.36、95%CI:1.33~1.40)。また、PTSD患者のHRは、あらゆる自己免疫疾患の発症リスクが1.46(95%CI:1.32~1.61)であり、複数(≧3)の自己免疫疾患のリスクは2.29(95%CI:1.72~3.04)であった。 これらの関連性は、兄弟姉妹ベースの比較においても認められた。 相対リスクの上昇は、若年患者群においてみられることが確認された。HR(95%CI)は、≦33歳群で1.48(1.42~1.55)、34~41歳群1.41(1.33~1.48)、42~50歳群1.31(1.24~1.37)、≧51歳群1.23(1.17~1.30)であった(相互作用のp<0.001)。 なお、PTSD診断後1年間にSSRI薬を服用していた場合、服用継続期間が長いほど自己免疫疾患発症リスクの有意な低下が認められた。HR(95%CI)は、≦179日では3.64(2.00~6.62)、180~319日では2.65(1.57~4.45)、≧320日では1.82(1.09~3.02)であった(傾向のp=0.03)。

3113.

第7回 チーム医療における薬剤師の役割とは・・・【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。参加している緩和ケア委員会からの宿題「チーム医療における薬剤師の必要性」。ずーーーっと悩んでいました。そして当日。遅刻しました...。在宅訪問が長引いてしまい、間に合わないーーー!と電動自転車を飛ばして戻ると、薬局の2階にある無菌室前に委員会メンバーがずらり。そう、今日は薬剤師が主役なのです!薬局で初めて開催されることになった緩和ケア委員会。やっと、やっと、チームのメンバーに薬局内を見てもらえました。まずは... 1. 薬局設備の見学と説明無菌室の説明、無菌調製の流れをiPadで撮影した写真とともに説明していきます。当薬局では原則フィルター使用ですが、その除去率などもお伝えしました。続いて、やってきました!前回委員会に頂いたお題、頭の片隅に常にある思い、そして発表までのもやもやした緊張感...さあ、解放される時です!つぎに... 2.チーム医療における薬剤師の役割について~現状の報告と展望~薬局からは、「外来での緩和ケア関連の対応について」「在宅訪問での対応について」の2テーマを発表しました。具体的には...。外来での緩和ケア関連の対応について限られた投薬時間での、緩和ケア、抗がん薬や医療用麻薬(以下、麻薬)の管理、外来と在宅の連携(訪問専任の私がレスキューのコンプライアンス不良をご自宅に訪問した際に確認し、窓口に薬を取りに来た家族への服薬指導により改善を図った症例)などこの症例は、主治医より服薬指導依頼があったのですが、ご本人から「外来に通えているし、必要ない」、「お金がかかる」と言われ訪問薬剤管理指導は入っていませんでした。しかし、Performance Status と麻薬使用量が合わないなど主治医も違和感をもっており、気にしていました。そんな中、薬局で麻薬の在庫が足りなくなったので、これはチャンス!とお渡しできなかった分の麻薬を持って、お宅に訪問しました。ゆっくりとお話ししたことで、コンプライアンス不良が判明。麻薬の貼付薬を貼ったり貼らなかったり、体調が悪化すると数枚貼ったり...。「医療費が高くて...」と。もちろん主治医に伝えることもなく、「大丈夫」と言い続けた結果、痛みの評価がきちんとできていないこともわかりました。患者さんのコンプライアンス不良の原因、改善案(貼付薬から薬価の低い内服への変更)を主治医に伝えたところ、疼痛管理ノートが開始され、ご家族も認識を深め、のちの外来での指導もうまくいくと感じていました。その後、ご本人の体調が悪化し、奥様と診療所を緊急受診され、主治医に診察室に呼ばれました。介護申請もしていませんでしたので、診療所所属のケアマネさんが呼ばれ、今後の方針などについて、その場で調整、麻薬の処方量調節、そして訪問服薬指導が始まりました。発表しながら当時のことを思い出し、薬局から急いで診療所に向かい、緊張した記憶がよみがえりました。在宅訪問での対応について薬、在宅とは、現在の業務内容と今後取り組むべきこと薬局の外に出て分かったことを中心に発表しました。療養者の生活と服薬できていない現実生活や環境を考慮した服薬管理の重要性を認識したこと上記に基づく処方提案や残薬管理、OTCや栄養も含めた指導(服薬指導の拡大)、療養者や家族と一緒に考える姿勢(協働)を持ち、薬物治療に主体的に関わることチームにフィードバックすることで治療やケアの向上=QOL維持に貢献することができること!参加メンバーは、うんうん、と頷きながら発表を聞いていました。その間も、医師や看護師さんのPHSが鳴り、指示が飛びます。医療介護に休みはなし。ケアマネさんが「色々あるんやね~」とポツリ...。窓口からは見えてこない薬剤師業務をイメージしていただけたようです。お互いの認識を深め、さらなる相乗効果を生み出すための一歩になったかな。最後に、所長より最後に、所長より「現状と問題点の把握」として、外来緩和ケアについての問題提起がありました。外来緩和ケアは患者と医者だけになってしまい、情報共有が難しい。緩和ケア外来などの時間がつくれるか?緩和ケアのためのメーリングリストを開始してみてはどうか?などなど。よりよい医療を提供するための方法をみんなで考えていく...。「じゃあ今日はこれで終わり、その前に...」所長の言葉に皆、注目「今回から、正式に薬局スタッフを緩和ケア委員会のメンバーとします」そう、今まで、オブザーバーとしての参加でした。診療所の受付にオレンジサークル※を見つけたとき、理事長に委員会を見学したい、とお願いしたとき、緩和ケア委員長(所長)がいつでもどうぞ、と迎えてくれた日、カタカナ専門用語が飛びかう中、必死にメモして調べて...。病院薬剤師を経験したことのない私にとって、学びの多い、幸せな日々の連続でした。ぞろぞろ薬局から、病棟、外来・・・と戻って行くメンバーたち。2階の窓からメンバーを見送った後。来月の委員会も気を引き締めて行くぞーっ!と決意を新たにしたのでした。「オレンジサークル」とは、"がんの痛みを取り除くことで、患者さんが、がんそのものと取り組む気力や体力を得る" という考え方を実践する医療チームの活動をサポートするJPAP®(JapanPartners Against Pain®)の取り組みで、医療チームからの登録申し込みに基づきJPAP®が認定している。

3114.

015)学会でありがちなこと【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第15回 学会でありがちなことしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆日本皮膚科学会の総会は、毎年6月頃に開催されるので、これに関連して、「学会あるある」を漫画にしてみました☆皮膚科の専門医制度は、ポイント(単位)取得制です。ということで、学会に参加したら「とりあえずビール」ならぬ「とりあえずカード(=参加登録)」は必須任務!!会員証(カード)を機械に通して参加費を払ったら、自動的にポイントが付与される仕組みです。とくに年1回の総会は、参加する先生方も多く(もらえるポイントも1番大きい)、昔馴染みの仲間が集まり、プチ同窓会的なシーンが繰り広げられることも・・・。(しかし、2018年度から新専門医制度への移行があり、カードを「ピッ」するだけで、単位取得が済む時代は終わりつつあります・・・。キビシイィ~!!)学会は何日間か開催されるので、各々で参加する日程はもちろん異なる訳ですが、開催地が、飛行機の本数が少ない地域だったりすると、さぁ大変!帰りは、決して広くない空港ラウンジで、各大学のグループと共に同じ飛行機を待ち、いざ搭乗の際には、並み居る教授の集団(ビジネスクラス)をすり抜けて、エコノミークラスまでたどり着かなければならないという・・・。「全員、皮膚科☆」という安易なテロップが、一瞬頭をよぎります。笑今年の総会は遠方で参加できなかったので、ぜひ、来年は参加したいデルぽんなのでした~☆それでは、また~!

3115.

装置での処方薬交付がOK! 「ピックアップターミナル」って何?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第3回

薬局の開局時間外の患者さん対応は、悩ましい問題の1つです。患者さんの不安や不便を解消してあげたい気持ちはあるけれど、従業員の勤務時間や業務量など、さまざまな問題が絡んでいるのが現状です。そんな時間外対応について、行政から新たな見解が示されました。経済産業省は11日までに、調剤薬局の営業時間外に、調剤済み医薬品を薬剤師や従業員ではなく専用の「装置」で患者に渡す新たなサービスについて、薬局管理者の義務を定めた医薬品医療機器法第8条の「規定に抵触しない」とする厚生労働省の見解を公表した。企業が実施したい事業が違法であるかどうかなどを個々に確認する「グレーゾーン解消制度」を通じ、事業者(非公表)から照会を受けていた。(RISFAX 2018年6月12日付)この「グレーゾーン解消制度」とは、事業者が新規事業を計画したけれど既存の規制に抵触するか不明確な場合に、事業が発展するという目的があれば、事業所管省庁を窓口として照会し、関連省庁に確認してもらえる制度です。今回の照会内容は、「薬剤師があらかじめ処方内容を監査、対面での服薬指導を実施した後、薬剤を自動搬入・払出装置に保管してピックアップターミナルを介して交付するサービスが医薬品医療機器等法第8条に抵触するかどうか」でした。つまり、対面ではなく装置を介した薬剤の交付の可否を確認しています。「直接の授与と同視」できる方法なら規制に抵触しない前もって処方監査や服薬指導をしているという点と、ピックアップターミナルという装置を介して患者さんに薬を交付するという点がポイントのように思います。まず、薬剤師は薬剤の調製前に残薬や他剤の使用状況の確認、監査を行い、必要があれば疑義照会します。そして対面で服薬指導して、問題がないことを確認し、あとは薬を調剤して交付するだけの状態にします。次に、調剤した薬剤を調剤室内の自動搬入・払出装置に保管します。患者さんはこの自動搬入・払出装置とつながっているピックアップターミナルから薬を受け取ります。ピックアップターミナルはいわば「薬の取り出し口」で、患者さん本人へ確実に交付される仕組みです。待合室内や薬局の外への設置が想定されていて、すでに米国では実施されています。イメージとしては、調剤室とつながっている宅配ボックスのようなものでしょうか。今回の厚生労働省の見解により、「ピックアップターミナルは薬剤師による患者への直接の授与と同視しうる程度に、当該薬剤の品質の保持や、患者本人への確実な授与を確保するとしていることから、医薬品医療機器等法第8条の規定に抵触しない」とされました。温度管理はどう担保されているのか、本人確認はどうするのか、装置の値段はいくらか、本当に外に置いてもいいのか―など、気になることも多々ありますが、開局時間外対応のバリエーションは増えそうです。「調剤室は閉めるけど、その近くまで患者さんが立ち入りできる所」が考えられるので、まずはショッピングモールや駅ビルなどの薬局でしょうか。薬局のサービスに関する照会はこれまでにもありました。2017年には「薬剤師が患者に薬剤の調製前に服薬指導を行い、その後、調剤した薬剤の郵送などを行うサービス」が規制に抵触しないことが明らかになり、実際にそのサービスを展開している薬局もあります。薬局や薬剤師の業務が法律で規定されているため、サービス拡大は簡単ではありませんが、患者さんへの薬の交付が「直接の授与と同視しうる程度」の質を確保することによって、サービスを広げられる可能性がありそうです。

3116.

全年齢で注意!「熱中症」の怖さ…死亡や後遺症も高率

 2000~16年に発表された熱中症関連文献のレビューによると、熱中症90例のうち、約2割が死亡、約2割が長期の神経学的後遺症を患っていたことが、オーストラリア・Royal Adelaide HospitalのEmily M. Lawton氏らによる調査で明らかになった。また、神経学的障害のある患者の7割以上が長期の小脳機能障害を有しており、小脳構造が熱に弱いことが示唆された。さらに、永久的神経学的障害を認めた症例の多くが若くて健康だったことから、著者らは、「年齢や合併症に関係なく、熱中症の予防および治療に積極的な介入が必要である」と強調した。Emergency medicine Australasia誌オンライン版2018年5月31日号の報告。熱中症の23.3%が長期の神経学的後遺症を患っていた 地球温暖化の影響で、気温が上昇している。暑さが熱中症などの有害な健康被害をもたらすことはよく知られているが、熱中症による後遺症などの長期的な影響についての報告は少ない。 そのため、本研究では、2000~16年に発表された熱中症関連の医学文献(症例報告)をOvid MedlineおよびEmbaseで検索し、熱中症の神経学的な転帰について調査した。 熱中症による後遺症などの長期的な影響を調査した主な結果は以下のとおり。・関連性が高いと判断された論文が71件あり、90例について検討を行った。・急性神経症状を呈した症例が100%、非神経学的症状を呈した症例が87.8%であった。・44.4%が完全回復、23.3%が死亡、23.3%が長期の神経学的後遺症を患っていた。8.9%は長期のフォローアップができなかった。・死亡および神経学的後遺症を有する患者の57.1%は、合併症がなかった。・神経学的障害には、運動機能障害66.7%、認知障害9.5%、運動・認知障害19%、その他4.7%が含まれていた。・神経学的障害のある患者の71.4%が長期の小脳機能障害を有していた。・神経学的障害のある患者で転帰が判明している生存者のうち、永久的神経学的障害を認めたのは34.4%で、その多くは若くて健康な症例であった。

3118.

地中海食は心血管イベントを抑制する/NEJM

 心血管リスクが高い集団を対象とした試験で、低脂肪食事療法に割り付けた群よりも、エキストラヴァージンオリーブオイル(EVOO)またはナッツを一緒に補充する地中海式食事療法に割り付けた群のほうが、主要心血管イベントの発生率は低いことが、スペイン・バルセロナ大学のRamon Estruch氏らによる多施設共同無作為化試験「PREDIMED試験」の結果、示された。これまで行われた観察コホート研究や2次予防試験では、地中海式食事療法の順守状況と心血管リスクについて負の相関が示されている。PREDIMED(Prevencion con Dieta Mediterranea)試験の結果は2013年にジャーナル発表されたが、無作為化割り付けに関する分析方法の不備から著者らが同論文を取り下げ、今回あらためて修正解析の結果を発表した。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。被験者の適格要件を厳格化し地中海食における心血管イベント発生を再解析 スペインで行われたPREDIMED試験は、地中海式食事療法による心血管イベントの1次予防効果を検証する多施設共同無作為化試験。心血管リスクが高いが登録時に心血管疾患を有していなかった7,447例の被験者(55~80歳、女性57%)を、地中海式食事療法+EVOO群(2,543例)、地中海式食事療法+ミックスナッツ群(2,454例)、対照食事療法群(食事性の脂肪を減らすようアドバイス、2,450例)の3つの食事療法群に割り付けて行われた。被験者は全員、年4回の教育セッションを受けるとともに、食事療法の経済的負担が生じないよう、地中海食+EVOO群には、1世帯1週当たり1LのEVOOを供与し、1人当たり大さじ4杯/日を消費することを勧告。地中海食+ミックスナッツ群には、1人当たり30g/日のミックスナッツ(くるみ15g、ヘーゼルナッツ7.5g、アーモンド7.5g)を供与した。対照群には、食品ではない小さな贈り物を与えた。 主要エンドポイントは、主要心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中または心血管系が原因の死亡)。フォローアップ中央値4.8年後に、事前規定の中間解析の結果に基づき試験は中止され、主要エンドポイントの結果は2013年にジャーナル報告されたが、その後、著者らが、非無作為化家族の登録、11試験地のうち1試験地(サイトD)の複数被験者が非無作為化試験群に割り付けられていたこと、その他試験地(サイトB)での乱数テーブルの明らかに一貫性のない使用といったプロトコール逸脱を認め、同報告を取り下げていた。今回、被験者が全員無作為に割り付けられたという前提に依らず解析を行い、修正した推定効果を発表した。地中海式食事療法群の主要心血管イベント発生のハザード比は0.70 主要エンドポイントは、288例に発生した。地中海食+EVOO群は96例(3.8%)、地中海食+ナッツ群83例(3.4%)、対照群109例(4.4)であった。 intention-to-treat解析(全被験者を包含およびベースライン特性、傾向スコアで補正後)の結果、対照群と比較した地中海食+EVOO群のハザード比(HR)は0.69(95%信頼区間[CI]:0.53~0.91)、地中海食+ナッツ群のHRは0.72(同:0.54~0.95)であった。地中海食+EVOO群と地中海食+ナッツ群を複合した地中海式食事療法群の対照群に対するHRは0.70(同:0.55~0.89)であった。 この結果は、参加試験地が判明しているか世帯家族であって被験者とは認められない1,588例を除外後の解析でも類似していた。サイトD被験者と世帯家族を除外した解析では、対照群と比較した地中海食+EVOO群のHRは0.66(95%CI:0.49~0.89)、地中海食+ナッツ群のHRは0.64(同:0.47~0.88)で、複合地中海式食事療法群の対照群に対するHRは0.65(同:0.50~0.85)であった。 著者は、「われわれが行った試験の結果は、地中海式食事療法が心血管疾患の1次予防効果があることを支持するものであった」とまとめている。

3119.

第6回 チーム医療での薬剤師の立場って...?【はらこしなみの在宅訪問日誌】

在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。遠慮は無用。良い人ではダメチーム医療・・・最近、毎日考えながら過ごしています。チーム医療の中での薬剤師ってなんでしょうか?何を期待され、何ができるのか。なぜそんなことを考えているのかと言うと・・・。【きっかけ1】在宅業務では、多くの医療スタッフやケアスタッフと顔を合わせたり、連絡を取り合ったり、最近は、メールを使用した情報共有も試みたり、診療所の在宅部へも頻繁に行くようになりました。関係が密になると、遠慮もなくなり、意見が活発になります。指導されることも多いです。ありがたいことです。先日、在宅を担当している看護師さんとお話ししている姿を、診療所所長の医師に後から指摘されました。「気を使いすぎ」だと。「もっとそこは怒ってほしかった」「その程度のことしかしていないの?」「あなたにとって、在宅医療とは何ですか?」「あなたの信念は?」ず~~ん。はぁ(涙)看護師や医師に気を使うのではなく、患者さん本位で思っていることをしっかり言わなければ。人が良いのではダメです。在宅医療の理念や私にとって在宅医療とは・・・を、なんとなく心に留めて過ごすようになりました(遅い??)薬局で調製してもらう必要ってありますか?【きっかけ2】「チーム医療の中での薬剤師とはなにか」悩み始めたきっかけ2つめ。先日の緩和ケア勉強会でのことでした。病棟看護師さんの「薬局で混注する必要ってありますか?」との発言。意見を求められたときしか言葉を発しない私。でも薬剤師として、ここは言わねば!「お家の中の雑菌が万が一輸液に入ったら、栄養満点の輸液の中で増殖し、直接バリアのない静脈へ...無菌調剤は必要だと思います!!」(キット製品などもありますので、それなら薬局での混注の必要はないです...というのは後から言うことにして...)緊張で心臓がバクバクしている間に...所長の医師のお言葉が。「僕は薬剤師は必要だと思う。チーム医療の中で薬剤師の必要性はいうまでもない、関わってほしい。薬局は設備が整っているし、利用すべきであり、必要としている患者さんもいる」と...。泣きました...(心の中で)薬剤師をそのように思ってくれている先生の発言に感動し、さらなる緊張感が。期待に応える仕事をしなければ。チーム医療における薬剤師って・・・?以前、この医師からは在宅医療における薬局での無菌調製の重要性を聞いていました。病院には無菌室がなく、注射薬は毎回病棟で混合している。それほど問題ないが、本来は無菌が望ましいと考えていること。在宅になると「保管」が必要になるため、無菌調製が必要だということ。勉強会で発言された病棟看護師さんは在宅の状況をご存じなく、「病院と同じように毎回家で混ぜたらよい」と考えられていたようです。「混合を誰がする?」「毎日訪問看護師が行けるのか?」「薬剤師が毎日行けば?」などの話になりました。(この委員会のあと、医師から「うちの職員の教育が足りずに申し訳ない」と謝られました)そして、「次回の緩和ケア委員会の議題を決めた。」といわれたときなんとなく嫌な予感...いつもは、次回の開催通知がくるだけなのに。次回のテーマは、「チーム医療における薬剤師の必要性」。病棟薬剤師、薬局薬剤師が発表することになりました。医師からは「言いたいこと、たくさんあるでしょ(笑)」って...大きな宿題をいただいてしまいました。は~、どうしよう。皆さんはチーム医療、チームの中の薬剤師、どのように考えられますか?

3120.

新規作用機序SDAMが特徴的な統合失調症治療薬「レキサルティ錠1mg/2mg」【下平博士のDIノート】第3回

新規作用機序SDAMが特徴的な統合失調症治療薬「レキサルティ錠1mg/2mg」今回は、「ブレクスピプラゾール錠1mg/2mg(商品名:レキサルティ)」を紹介します。本剤は、セロトニン-ドパミン・アクティビティ・モデュレーター(SDAM)と呼ばれる新しいタイプの非定型抗精神病薬で、統合失調症の治療継続に影響を及ぼす代謝性障害や錐体外路系症状を軽減し、陽性症状・陰性症状・認知機能障害を改善することが期待されています。<効能・効果>統合失調症の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年4月18日より販売されています。本剤は、セロトニン5-HT1A受容体およびドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして働き、またセロトニン5-HT2A受容体に対してはアンタゴニストとして働きます。<用法・用量>通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて1日1回2mgへ増量します。なお、海外では1日4mgまで処方可能ですが、有効性は確立していないため、わが国においては2mgが維持量です。本剤は主にCYP2D6およびCYP3A4で代謝されますので、CYP2D6阻害薬(キニジン、パロキセチンなど)、強いCYP3A4阻害薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する場合や、CYP2D6の活性が欠損している患者では以下の用量調節が規定されています。《1回1mgを1日1回》CYP2D6阻害薬および強いCYP3A4阻害薬の両方を併用する場合CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者で、強いCYP3A4阻害薬を併用する場合<臨床効果>統合失調症患者458例を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、本剤2mgを1日1回6週間投与した結果、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総スコアのベースラインからの変化量は、プラセボが-7.63±2.11であったのに対し、本剤は-14.95±2.00と有意な改善を示しました(p=0.0124)。なお、日本人患者を対象とした長期投与試験において、52週にわたり精神病症状の改善が維持されました。<副作用>国内の臨床試験において、臨床検査値の異常を含む副作用が578例中233例(40.3%)に認められています。主な副作用は、アカシジア(5.7%)、高プロラクチン血症(4.0%)でした。<患者さんへの指導例>1.脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、気持ちの高ぶりや不安感を鎮めるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。2.治療を開始した直後や再開・増量したときに、めまい、立ちくらみなどが現れることがあります。症状が続く場合や、重度の場合は相談してください。3.血糖値が上がることがあるので、激しい喉の渇きを感じたり、尿の回数や量が増えたりしたら連絡してください。4.眠気、注意力の低下が起こる可能性があるので、自動車の運転など危険を伴う操作は行わないようにしてください。5.興奮しやすい、他人に敵意を持つ、自分がすごい人だと思うような気分になった場合は相談してください。<Shimo's eyes>第2世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)は、第1世代抗精神病薬(定型抗精神病薬)に比べて、アカシジアなどの錐体外路症状が比較的軽減されています。しかし、非定型抗精神病薬においても、体重増加、高脂血症や糖尿病などの代謝性障害などによって治療を中断せざるを得ないことがありました。セロトニン-ドパミン・アクティビティ・モデュレーター(SDAM)に分類されるブレクスピプラゾールは、セロトニン系の受容体へ強く作用することで、統合失調症における陰性症状(意欲減退、感情鈍麻など)の改善が期待できます。一方、ドパミンD2受容体には部分アゴニストとして働き、ドパミンを適度に調節することから、陽性症状(幻覚、妄想など)への効果も期待でき、 錐体外路症状の軽減が見込まれます。海外の製造販売後調査において、本剤服用中に賭博に対する激しい衝動が発現して制御できない可能性があると報告されています。頻度は低いですが、衝動的で強迫的な制御不能の性欲亢進、消費行動、暴食・過食などの報告もあります。患者さんには異常な行動であるという認識がない可能性があるので、薬剤師がこのような徴候を察知したら、すぐに医師に報告して今後の対応を相談しましょう。

検索結果 合計:4939件 表示位置:3101 - 3120