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魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か

 魚類の摂取やn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、うつ病予防に効果的であるといわれているが、賛否両論がある。イタリア・Ospedaliero-Universitaria Policlinico-Vittorio EmanueleのGiuseppe Grosso氏らは、食事による魚類やn-3PUFAの摂取とうつ病との関連を調査した観察研究の結果からシステマティックレビュー、メタ解析を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年8月16日号の報告。 主要な書誌より2015年8月までの観察研究を検索した。暴露および用量反応のメタ解析における最高摂取 vs.最低摂取(参照)カテゴリのランダム効果モデルを行った。 主な結果は以下のとおり。・31件の研究より、25万5,076人、うつ病2万人以上が抽出された。・魚類の摂取とうつ病との関連を調査した21件のデータセットの解析では、中程度の異質性が認められたが、線形の用量反応と有意なリスク低減を示した(RR:0.78、95%CI:0.69~0.89)。・プールされたうつ病のリスク推定値は、総n-3PUFAと魚類由来n-3PUFA(EPA、DHA)の両端カテゴリにおける最低摂取と比較して、最高摂取においてリスク低下をもたらした(それぞれ、RR:0.78、95%CI:0.67~0.92、RR:0.82、95%CI:0.73~0.92)。・用量反応解析では、ピークJ字型の関係はn-3PUFAを1.8g/日摂取によりリスクが減少することが明らかとなった(RR:0.30、95%CI:0.09~0.98)。・本解析では、食事によるn-3PUFA摂取量は、うつ病リスク低下と関連することが示唆された。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 うつ病にEPAやDHAは有用なのか 少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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統合失調症に対するヨガ効果、標準治療との比較

 ヨガや運動は、統合失調症の認知機能障害のための補助的介入として用いられるが、対照比較研究は不十分である。インド・RML病院のTriptish Bhatia氏らは、パイロット研究に基づき、ヨガや運動トレーニングが統合失調症患者の認知機能を向上させるかを評価するために単盲検ランダム化比較試験を行った。Acta neuropsychiatrica誌オンライン版2016年8月12日号の報告。 対象は、試験の同意を得ることができ、臨床的に安定した統合失調症成人外来患者286例。ベースライン評価完了後、通常治療(TAU)、TAU+ヨガトレーニング(YT)、TAU+運動トレーニング(PE)に無作為に割り付けた。パイロット研究に基づき、主要評価項目は、Pennコンピュータ神経認知バッテリーにおける「注意」認知領域の速度を指標とした。ベースライン時、21日目(トレーニング終了時)、トレーニング終了3、6ヵ月後に治療企図パラダイムで評価した。 主な結果は以下のとおり。・YT群における6ヵ月後の注意領域スピード指数は、PE群よりも大きく改善した(p<0.036、エフェクトサイズ:0.51)。・PE群では、6ヵ月後の注意領域精度指数が、単独TAU群よりも大きく改善した(p<0.025、エフェクトサイズ:0.61)。・他のいくつかの認知領域では、単独TAU群と比較し、YT群またはPE群で有意な改善が認められた(p<0.05、エフェクトサイズ:0.30~1.97)。 著者らは「統合失調症患者に対するヨガ、運動トレーニング補助療法は、ともにトレーニング終了後も注意、認知領域を改善した。また、注意領域のスピード指数に対するヨガ補助療法の有益な効果が示された」としている。関連医療ニュース 統合失調症へのヨガ補助療法、その有用性は “ヨガ”で精神症状とQOLが改善 ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか

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うつ病治療反応、心理テストで予測可能:弘前大

 気質と性格についての心理テスト[Temperament and Character Inventory(TCI)]は、パーソナリティ特性を評価する際、よく使用される。多くの研究において、うつ病患者の治療反応をTCIで予測する可能性が示唆されている。弘前大学の冨田 哲氏らは、以前の研究でTCIの10項目と治療反応との関連が示唆されていた。今回、同氏らは10項目を再分析し、カットオフ値を明らかにするため本検討を行った。BMC psychiatry誌2016年8月12日号の報告。 本研究は、以前に報告した研究の2次分析として行われた。対象患者は、パロキセチン10~40mg/日を6週間投与し、その後TCIを完了した73例。うつ病を評価するためMADRSを用いた。対象患者は、反応群と非反応群に分けられた。先行研究で、治療反応と最も強い関連を示した10項目について、カイ2乗検定を用いて再検定した。治療反応に関連する項目を「1」、非反応に関連する項目を「0」として評価した。10モデルを用いて予測スコアを算出した。各モデルは、最高1~10項目より1~10スコアで構成された。受信者動作特性(ROC)曲線解析を用いて、治療反応を予測するカットオフ値を定義した。 主な結果は以下のとおり。・治療反応との関連の強さでTCI項目を順位付けすると、174、137、70、237、106、191、34、232、161、215の順であり、TCIは有意に治療反応を予測した。・1~10モデルの予測スコアは、有意に治療反応を予測した。・モデル7の予測スコア閾値は3/4、AUC(曲線下面積)は0.825であり、本モデルは最高オッズ(19.3)と尤度比(8.86)を示した。関連医療ニュース 青年期うつ病を予測する小児期の特徴 双極性障害、治療反応は予測できるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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脳波に対する向精神薬の影響

 向精神薬は、脳波(EEG)の読み取りに影響を与えることが知られている。米国・スタテンアイランド大学病院のRohit Aiyer氏らは、向精神薬がEEG変化に及ぼす影響に関する利用可能なすべてのデータを調査し、レビューを行った。Postgraduate medicine誌2016年9月号の報告。 PubMedを用いて、すべての出版済み、および印刷中の文献のシステマティックレビューを行った。検索に当たり、PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)ガイドラインで推奨する方法を使用した。検索キーワードは、EEGおよび向精神薬、気分安定薬、クロザピン、bupropion、SSRI、ラモトリギン、カルバマゼピン、リチウム、バルプロ酸、ハロペリドール、アリピプラゾール、メチルフェニデート、トピラマート、ガバペンチン、oxcarbamazepineとした。選択基準適用後、201件が対象となり、レビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・201件の文献の大規模レビューより、各種向精神薬のα波、β波、δ波、θ波への影響は互いに独立し、異なることが示唆された。・さらに、特定の薬剤(とくにハロペリドール、バルプロ酸)は、すべての波形で異なる結果が示された。 著者らは「本PRISMAシステマティックレビューでは、向精神薬がEEG活性に及ぼす影響についての利用可能なデータが存在することを示した。これらの知見について、患者の反応と向精神薬との臨床的相関を明らかにするさらなる研究が必要とされる」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬は脳にどのような影響を与えるのか 統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

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LAI切替時、ローディングでの副作用リスクは:山梨県立北病院

 長時間作用型抗精神病薬注射剤(LAI)を開始する際、一時的に経口抗精神病薬(OAP)と併用するローディング戦略は、安全性や忍容性の問題と関連している。山梨県立北病院の三澤 史斉氏らは、LAIのローディング戦略の安全性、忍容性を評価した。Schizophrenia research誌オンライン版2016年8月4日号の報告。 リスペリドンまたはパリペリドンを用いたLAIとOAPを比較した無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。主要アウトカムは、有害事象による治療中止とした。副次的アウトカムは、重篤な有害事象、死亡、1つ以上の有害事象、個々の有害事象発生率とした。 主な結果は以下のとおり。・RCT 16件より有害事象119件が報告された(4,902例、平均年齢:36.4歳、男性比:65.8%、統合失調症比:99.1%)。そのうち55件(46.2%)の有害事象は、正式なメタ解析を可能とする、2つ以上の研究より報告されていた。・全有害事象119件のうち115件は、LAIとOAPで有意な差は認められなかった(96.6%)。・LAIとOAPの有害事象による治療中止率、重篤な有害事象、全死亡、事故や自殺を除く死亡は同様であった。・OAPと比較し、LAIはアキネジア、LDLコレステロール変化、不安と有意に関連していた。・また、LAIはプロラクチン変化の有意な低さと関連していた。 著者らは「LAIとOAPでは、すべての重篤な有害事象や個々の有害事象の90%超で差が認められなかった。しかし、同一成分のLAIとOAPにおける、有害事象の頻度、重症度、時間コースについてより多くの研究が必要とされる。また、OAP中止後のLAIの有害事象のデータも必要とされる」としている。関連医療ニュース パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果 LAIは死亡率を上昇させるのか:藤田保健衛生大 LAIを適切に使用するための5つのポイント

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薬物療法から心理療法へ(解説:岡村 毅 氏)-585

 安価で単純な行動活性化療法が、高価で複雑な認知行動療法に劣るものではなく、医療経済的にも優れているという報告である。 これまでの精神科医療におけるパラダイムでは、薬物療法は副作用も多いが安価であり、認知行動療法などの心理療法は副作用は少ないが高価だ、とされてきた。つまり、薬物療法よりは心理療法をしたいが高いよね、というわけである。これに対して一石を投じる報告であり、社会的な視点からみても大変重要な論文と思われる。 わが国の文脈に照らし合わせてこの論文を眺めてみよう。わが国では精神科クリニックなどに行っても短時間の診察で(それこそ3分診療で)お薬を処方されるだけである、と長い間批判されてきた。つまり、薬物治療主体で、心理療法などの時間と手間のかかる治療法がないがしろにされてきたという批判である。そのとおりなのであるが…、その背景には悲しい事情があることは知っておいていただきたい。そもそも長時間の診察をしていては、そのクリニックが立ち行かない構造になっているので、じっくりと向き合っている時間が取りにくいのである。なお、精神科の病院の多くは、一般の病院の3分の1の医師で回す制度になっている。精神科なんかにお金を使えないよ、と国民から思われているのかもしれぬなどと被害妄想的になってしまうのでこの辺でやめておこう。 先に述べたように薬物療法には、副作用や治療中断(再発)リスクが高い、といった明らかな弱点がある。もちろんこうした状況でも、心あるドクターは短い診察時間で処方箋やカルテを書きながら患者さんと対話し、信頼関係を築くことでこのような不利益を回避しようとしてきた。つまり、短時間でコマドリのようにしゃべったり処方箋を書いたりするわけだが、これでは治療している側も心が落ち着かないだろう(外来中に患者さんに「先生、忙しくて大変だね、体壊さないでね」とねぎらわれたことのある精神科医も多いのではと思う。本当はフロイトのような診察スタイルをやってみたいものだが、だいたい皆さんもこんなものだろう)。 近年、わが国でも認知行動療法に医療保険が使えるようになり、状況は少しずつ改善しており、大変喜ばしいことである。だが、認知行動療法を行える人材は限られているし、患者さんは増える一方である。また、使える医療費は今後ますます制限されていくだろうから、現実的には障壁も大きいと思われる。こうしたなかで、安価で、効果も劣らない行動活性化療法もあるよ、というのが今回の報告であった。 時代の趨勢は、明らかに薬物療法一辺倒から心理療法へと向かっている。認知行動療法の高い効果や安全性は自明であるが、医療資源に制限のある社会で常に使える治療技法ではないのかもしれないので、より安価で、専門的な訓練が少なくてすむ行動活性化療法にエビデンスを与えるという、現実的な観点からの報告であった。 最後に感想だが、行動活性化療法の主旨とは異なる話になるが、うつ病の患者さんの多くは昼夜逆転し、身体的にも不活動で、コミュニティへの参加も少ない。食生活も貧困である。「きちんと食べて寝て運動すべし、友達と仲良くすべし」と自然と、説得力をもって教示してくれる主体がいるだけで、ずいぶん多くの方が(もちろん全員がそうだとはいわぬが)救われるのではないかと思う。そういう主体がいないのが現代社会の悲劇だろうか。

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クロザピン誘発性代謝系副作用への有効な介入は

 クロザピン治療患者では、代謝系合併症がよく認められる。この問題の管理に関するレビューは、複数の異なる抗精神病薬により治療を受けた患者を対象とした研究において、薬剤をグループ化することにより見出された結果である。英国・ケンブリッジ大学のJorge Zimbron氏らは、クロザピン誘発性の肥満やメタボリックシンドロームに対する薬理学的、非薬理学的治療についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。European neuropsychopharmacology誌2016年9月号の報告。 クロザピン誘発性の肥満やメタボリックシンドロームの治療に関する無作為化比較試験(RCT)を、2人の独立した研究者がPubMed、Embaseより検索を行った。すべての異なる薬剤による研究は除外し、クロザピン服用患者が50%以上のRCTは含んだ。 主な結果は以下のとおり。・15件のRCTが抽出された。・クロザピン誘発性の肥満やメタボリックシンドロームに対する効果的な薬物治療として、メトホルミン、アリピプラゾール、orlistat(男性のみ)が挙げられた。・3件のメタ解析研究より、メトホルミンが血糖値、トリグリセリド、HDLに影響することなく、BMI、腹囲を低下させることが示された。・クロザピン誘発性肥満に対するカロリー制限や運動などの非薬理学的介入の組み合わせ効果を示す研究は限られていた(ただし入院患者のみにおいて)。・他の抗精神病薬で治療された患者において有効性が報告されていたrosiglitazone、topiramate、sibutramine、phenylpropanolamine、モダフィニル、アトモキセチンは、有用であることが示されなかった。関連医療ニュース クロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院 オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか 抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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双極性障害と全般性不安障害は高頻度に合併

 不安障害は、単極性うつ病と同様に双極性障害(BD)と高率に合併していることが、最近のデータで示唆されているが、まだあまり注目されていない。全般性不安障害(GAD)は、他の精神疾患と高率で合併する最も一般的な不安障害の1つである。イタリア・カリアリ大学のAntonio Preti氏らは、GADとBDの合併頻度を評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。Evidence-based mental health誌2016年8月号の報告。 著者らは、BD患者におけるGADの有無に関する主要なデータが含まれるすべての研究を検索した。文献の選択と結果の報告は、PRISMAガイドラインに沿って行われた。メタ解析は、variance-stabilizing Freeman-Tukey double arcsine transformationを用いて、推定有病率を計算した。すべての研究におけるサマリ効果を推定するため、固定効果とランダム効果モデルを使用し、逆分散法を行った。不均一性を評価し、CochranのQ検定、I2を用いてそれぞれ測定した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析は、独立した研究データ28報より、ポイント有病率研究の合計患者2,975例、障害研究の患者4,919例を分析した。・BD患者におけるGADの全体的なランダム効果のポイント有病率は12.2%(95%CI:10.9~13.5%)、全体的なランダム効果の生涯推定値は15.1%(95%CI:9.7~21.5%)であった。・両推定値の有意な不均一性が報告された(各々、94.0%、94.7%)。・公表文献では、一般集団で報告された文献よりも、高不均一性で一貫して高い有病率が認められた。・GADの合併は、より重度なBDや自殺の増加と関連していると考えられるが、このような状態に対する最良の治療は不明である。関連医療ニュース 双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴 双極性障害患者の約半数が不安障害を併存 双極性障害で高率にみられる概日リズム睡眠障害:東医大

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スポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?

 アスリートに精神科薬物を処方する場合、副作用や安全上の懸念、そしてアンチドーピングポリシーをとくに考慮することが重要であるものの、アスリートと連携した精神科医の処方設定を解説しているのは2000年の1報だけである。米国・ウィスコンシン・スクール・オブ・メディスン・アンド・パブリック・ヘルス大学のClaudia L Reardon氏らは、アスリートと連携したプライマリケア医、精神科医、その他の臨床医の処方を扶助するため、前述の報告をアップデートした。The Physician and sportsmedicine誌オンライン版2016年8月2日号の報告。 2016年に国際スポーツ精神医学会(ISSP)の医師会員に対し、さまざまな精神状態のアスリートと連携した精神科薬物の処方選択について、匿名のWebベース調査をメールで依頼した。 主な結果は以下のとおり。・ISSP医師会員の40%(40/100人)が調査を完了した。・アスリートに使用されたカテゴリ別トップ薬剤は以下のとおり。 不安や双極スペクトラム障害のないうつ病:bupropion 全般性不安障害:エスシタロプラム 不眠症:メラトニン ADHD:アトモキセチン 双極スペクトラム障害:ラモトリギン 精神症状:アリピプラゾール・アスリートに処方された精神科薬物は、比較的活力的であり、沈静、体重増加、心臓系副作用、振戦を起こす可能性が低い薬剤が好まれる傾向にあった。・アスリートへの処方は、一般患者への処方傾向とは逸脱しており、さまざまな要因が考慮されている。関連医療ニュース トップアスリートは、うつ病の頻度が高い アスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加 ADHD児に対するスポーツプログラム

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難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大

 抗精神病薬治療に起因するドパミン過感受性精神病(DSP)は、治療抵抗性統合失調症(TRS)と関連しているが、その治療法はまだ確立されていない。リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)によりドパミンD2受容体の安定的な占有の維持は、治療のための1つの戦略と考えられる。千葉大学の木村 大氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に対するRLAI補助療法の効果を検討した。Journal of psychopharmacology誌8月号(オンライン版2016年7月1日号)の報告。 RLAIは、経口抗精神病薬から部分的に切り替え、補助薬として用いた。RLAIを用いた治療抵抗性統合失調症患者108例を対象に、1年間のフォローアップを含む2年間の研究を行った。DSP歴を有するDSP群72例とDSP歴のない非DSP群36例について効果の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・両群ともに、フォローアップ期間中のBPRSスコアの有意な改善を示したが、非DSP群よりも、DSP群においてより大きな改善が認められた。・高用量(クロルプロマジン換算850mg超)では、両群ともに研究期間中の有意な変化は認められなかったが、DSP群のみで、遅発性ジスキネジアを含む錐体外路系副作用の有意な改善が認められた。 著者らは「とくにDSP歴を有する難治性統合失調症患者に対し、RLAIへの部分的切り替えは効果的であることが示された」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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てんかん患者の喫煙率は

 てんかん患者における喫煙率に関するデータはあまり存在しない。スイス・ジュネーブ医科大学のOmar Torriani氏らは、フランス語圏のスイスに在住する成人てんかん患者を対象に調査を行った。Journal of neurology誌オンライン版2016年7月14日号の報告。 対象は、フランス語圏のスイスに在住する成人てんかん患者429例。過去6ヵ月間で少なくても1日1本のタバコの利用を現在喫煙者として定義した。てんかんタイプやタバコの消費量に関する質問が含まれたアンケートは、信頼性の高い診断を確実にするため、神経内科医付き添いのもとプロスペクティブに調査した。調査データは、毎年異なる言語地域におけるスイス人のタバコ利用習慣に関する詳細な情報を調査した「Tabakmonitoring」のデータ収集と比較した。 主な結果は以下のとおり。・てんかん患者の現在喫煙率は、32.1%であった(女性:28.8%、男性:35%)。また、同期間におけるフランス語圏スイス人の一般的な喫煙率は19.0%であった(OR:2.0、CI:1.6~2.5、p<0.001)。・特発性(素因性)全般てんかん患者の喫煙率は44.3%で最も高かった(その他のてんかん患者:27.8%、p=0.03)。・てんかん患者の喫煙率は、有意に高かった。・てんかんとニコチン中毒に共通する遺伝的感受性、てんかんに関連付けられるストレスやうつ病を介する間接的な併存疾患、てんかんに対するニコチンの有益な効果などの因果関係は不明なままであり、さらなる研究が求められる。関連医療ニュース 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 成人てんかんに対するガイドライン準拠状況は てんかん患者の性的問題の現状

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統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大

 統合失調症の病態生理には、カテコールアミン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、サイトカインが関与するといわれている。産業医科大学の堀 輝氏らは、非定型抗精神病薬単独療法で治療された統合失調症患者における認知機能と血清BDNFレベル、血清カテコールアミン代謝物、サイトカインとの関連を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月13日号の報告。 統合失調症患者146例と年齢、性別をマッチさせた健常対照群の抹消生物学的マーカーおよび神経認知テストを調査した。 主な結果は以下のとおり。・血清BDNFレベルは、言語記憶、注意、処理速度のスコアだけでなく、陰性症状とも正の相関が認められた。・血漿ホモバニリン酸(HVA)レベルと運動機能に負の相関、血漿3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)レベルと注意、処理速度に正の相関が認められた。・インターロイキン6(IL-6)またはTNF-αと認知機能との間に有意な相関は認められなかった。・HVA、MHPG、サイトカインの血漿レベルと臨床症状との間に有意な相関は認められなかった。 統合失調症患者において、言語記憶・注意の減退と血清BDNFレベル、また運動機能と血漿HVAレベル、また注意と血漿MHPGレベルについて、それぞれ相関が認められた。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 統合失調症治療、ドパミン調節の概念が変わる 統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大

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統合失調症の再入院、剤形の違いで差はあるのか

 長時間作用型注射用抗精神病薬(LAI)または経口抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者における退院後の再入院率について、米国・Precision Health EconomicsのJoanna P MacEwan氏らは検討を行った。Psychiatric services誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 重度な精神疾患により初回入院(2007年10月~2012年9月)し、第1世代または第2世代抗精神病薬を処方された統合失調症患者(18~64歳)の医療費請求を、Truven Health MarketScan Multi-State Medicaid Databaseのデータを基に分析した。統合失調症単独診断患者1,450例、および双極性障害やうつ病を併せて診断された患者を含むすべての統合失調症患者1万5,556例を分析した。初回入院30日後、60日後における全原因による再入院率は、多変量ロジスティック回帰と傾向スコアマッチング(PSM)法を用い評価した。PSMモデルは、LAI群と経口抗精神病薬群で、年齢、LAIまたは短時間作用型注射剤の使用、併存疾患でマッチした。 主な結果は以下のとおり。・LAI群では、経口抗精神病薬群と比較し、統合失調症単独診断患者(調整オッズ比:0.60、95%CI:0.41~0.90)および全患者(調整オッズ比:0.70、95%CI:0.52~0.95)において、60日後の再入院率が有意に低かった。・全患者におけるLAI群の再入院率の絶対差は、経口抗精神病薬群と比較し、60日後で5.0%有意に低かった。関連医療ニュース 統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響 精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

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双極性障害で高率にみられる概日リズム睡眠障害:東医大

 最近の研究によると、双極性障害(BD)と概日リズム睡眠障害との間に病態生理学的関連が認められることが示唆されている。しかし、BD患者における概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)の有病率を明らかにした研究はなかった。東京医科大学の高江洲 義和氏らは、BD患者におけるCRSWDの有病率と関連する要因を調査した。PLOS ONE誌2016年7月21日号の報告。 対象は、寛解期BD外来患者104例。対象者は、人口統計学的変数、BDの臨床経過、精神疾患と自殺の家族歴に関するアンケートに回答した。BDの重症度は、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いて評価した。CRSWDは、睡眠ログと睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)を用い、臨床面接により診断した。 主な結果は以下のとおり。・CRSWD基準を満たした患者は、35例(32.4%)であった。・調査時点とBD発症時点の年齢は、CRSWD群において非CRSWD群よりも低かった。・精神疾患と自殺の家族歴を有する割合は、CRSWD群において非CRSWD群よりも高かった。・多重ロジスティック回帰分析では、CRSWDはBDの若年発症、自殺の家族歴との関連が認められた。・CRSWDの有病率は、BD患者ではきわめて高い可能性がある。関連医療ニュース 双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている 双極性障害、ベンゾジアゼピン系薬の使用実態は 双極性障害の簡便な症状把握のために

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高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か

 高プロラクチン血症は、抗精神病薬の悪影響として重要な問題でありながら、しばしば見逃されている。いくつかの研究によると、アリピプラゾールへの切り替えや追加により、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症が改善することが報告されている。しかし、これら2つの治療法の有効性、安全性を直接比較した報告はなかった。韓国・NHIC Ilsan HospitalのHui Woo Yoon氏らは、高プロラクチン血症に対するアリピプラゾールの切り替えと追加の効果について比較検討を行った。Clinical neuropharmacology誌オンライン版2016年7月19日号の報告。 対象は、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症を有する患者52例。軽度の高プロラクチン血症(血清プロラクチン値:50ng/mL未満)を有する患者にアリピプラゾール投与を行った。重度の高プロラクチン血症(血清プロラクチン値:50ng/mL超)を有する患者は、アリピプラゾール追加群(前治療薬にアリピプラゾールを追加)とアリピプラゾール切り替え群(前治療薬からアリピプラゾールへ切り替え)に無作為に割り付けられた。血清プロラクチン値、月経障害、性機能障害、精神病理学、QOLを、0、1、2、4、6、8週目に調査した。 主な結果は以下のとおり。・両群ともに、有意な血清プロラクチン値や月経障害の低下および性機能障害の改善が認められた。・重度の高プロラクチン血症を有する患者において、切り替え群の高プロラクチン血症患者数、月経障害患者数は、追加群と比較し、8週目で有意に低かった。 著者らは「抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症や月経障害、性機能障害を含む高プロラクチン血症に関連する有害事象に対し、アリピプラゾールへの切り替え、追加のどちらでも有効であった。さらに、アリピプラゾールへの切り替えは、追加よりも、統合失調症患者の高プロラクチン血症や関連する有害事象の改善に有効であることが示唆された」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 統合失調症患者、そもそもプロラクチン値が高い

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うつ病女性に対する避妊法に関するレビュー

 うつ病や双極性障害の女性は、望まない妊娠をするリスクが高い。米国疾病対策予防センターのH Pamela Pagano氏らは、うつ病や双極性障害女性に対するホルモン避妊法の安全性を検討した。Contraception誌オンライン版2016年6月27日号の報告。 2016年1月までに発表された論文を対象に、うつ病や双極性障害を有する女性のうち臨床的診断またはスクリーニングツールによる検証で閾値レベル以上であった女性における、任意のホルモン避妊法を使用した際の安全性に関する論文を検索した。症状変化、入院、自殺、薬物療法の変更(増量、減量、薬剤変更)をアウトカムとした。 主な結果は以下のとおり。・2,376件中、6件が選択基準を満たした。・臨床的にうつ病や双極性障害と診断された女性に対する研究は以下のとおり。 1)経口避妊薬(OCs)は、双極性障害女性の月経周期全体にわたって気分を変動させなかった。一方、OCsを使用しなかった女性では月経周期全体にわたって気分が有意に変動した。 2)デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン(depot medroxyprogesterone acetate:DMPA)、子宮内避妊用具(IUDs)、不妊手術を用いた女性における精神科入院頻度に有意な差は認められなかった。 3)OCsの使用有無にかかわらず、fluoxetine、プラセボのどちらの治療群においても、うつ病女性のうつ病尺度のスコア増加は認められなかった。・スクリーニングツールでの測定によりうつ病の閾値を満たした女性における結果は以下のとおり。 1)OCsを併用した思春期女性は、プラセボ群と比較し、3ヵ月後のうつ病スコアが有意に改善した。 2)OC使用者は、非使用者と比較し、フォローアップ時にうつでなかった割合は同程度であった。 3)OC併用者では、IUD使用者と比較して、11ヵ月にわたりうつ頻度が少ないことが示唆された。 著者らは「6件の限られた研究から得られた結果によると、OC、レボノルゲストレル放出IUD、DMPAを使用したうつ病または双極性障害の女性では、ホルモン避妊法を使用しなかった女性と比較して、症状の臨床経過の悪化との関連はみられなかった」としている。関連医療ニュース 妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

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統合失調症の維持治療では剤形変更を検討すべきか

 抗精神病薬による維持療法について、長時間作用型注射剤(LAI)と経口剤(AMT)における統合失調症患者の主観的ウェルビーイング、薬物に対する姿勢、QOLの違いを実臨床での証拠を提示するために、イタリア・フィレンツェ大学のF Pietrini氏らは検証を行った。European psychiatry誌オンライン版2016年7月18日号の報告。 対象は、オランザピンまたはパリペリドンを処方された統合失調症外来患者20例。維持療法での経口剤からLAIへの切り替え患者(LAI-AMT群)の選択は、切り替え前に行った。対照群は、主要な社会人口学的、臨床的および治療変数がマッチした、経口AMT治療統合失調症患者20例(経口AMT群)とした。参加者の治療アウトカムは、客観的(PANSS、YMRS、MADRS)および主観的(SWN-K、DAI-10、SF-36)な観点で、ベースライン(T0)と6ヵ月後(T1)に評価した。 主な結果は以下のとおり。・LAI-AMT群は、経口AMT群と比較しPANSS総合精神病理尺度、DAI-10、社会的統合を除くSWN-Kの項目において、有意に高い改善率を示した。・LAI-AMT群では、6ヵ月後の健康関連QOLと日常生活のほぼすべての機能について良好であった。・対照的に経口AMT群では、感情と社会的機能に関する健康関連QOLの悪化が報告された。 結果を踏まえ、著者らは「主観的経験の観点から、統合失調症維持治療におけるLAIの処方は、経口剤を上回る利点を示している」としている。関連医療ニュース LAIを適切に使用するための5つのポイント 錠剤埋め込み型服薬管理システムは、安全なのか パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

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うつ病への認知行動療法 vs.行動活性化療法/Lancet

 成人うつ病患者に対し、認知行動療法(cognitive behavioural therapy:CBT)よりも簡便な行動活性化療法(behavioural activation:BA)で、CBTに劣らない効果が得られることが、英国・エクセター大学のDavid A Richards氏らによる無作為化対照非劣性試験の結果、明らかにされた。CBTは最もエビデンスに優れた治療だが複雑でコストを要する。今回の結果を踏まえて著者は、「うつ病の効果的な治療は、コストを要せずとも、また高度な訓練を受けた専門家でなくても実施可能なようだ」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月22日号掲載の報告。行動活性化療法と認知行動療法を12ヵ月時点のPHQ-9によるうつ病重症度で比較 研究グループは、英国のデヴォン、ダラム、リーズ各都市のプライマリケアおよび精神科治療サービス部門でDSM-IVの大うつ病性障害の基準を満たした18歳以上成人を対象に試験を行った。精神科治療を受けている人、アルコール/薬物依存症の人、直近2ヵ月で自殺企図/未遂を図った人、認知障害、双極性障害、精神病/精神病性障害の人は除外した。 被験者を、コンピュータを用いて無作為に1対1の割合で2群に割り付け、一方には精神療法の専門的訓練を受けていない下級の精神保健従事者(junior mental health workers)による行動活性化療法を、もう一方には心理セラピスト(psychological therapists)による認知行動療法を行った。なお割り付け時に、Patient Health Questionnaire 9(PHQ-9)スコアで評価したうつ病重症度別(スコア19未満群と19以上群)の層別化も行った。無作為化は研究者にはマスキングされ、治療は非盲検下で行われたが、アウトカム評価者には知らされなかった。 主要アウトカムは、12ヵ月時点のPHQ-9で評価したうつ症状だった。解析は、無作為化を受け完全データが揃っていたすべての人を対象に(修正ITT[mITT])、また、割り付けを受け完全データが揃っていた8セッション以上治療を受けた人(per protocol[PP])について行った。安全性はmITT集団で評価した。非劣性マージンはPHQ-9スコアで1.9ポイントとした。行動活性化療法の認知行動療法に対する非劣性が示された 2012年9月26日~2014年4月3日にかけて、BA群に221例(50%)、CBT群に219例(50%)を無作為に割り付けた。mITT集団(主要アウトカム)評価が可能だったのは、BA群175例(79%)に対してCBT群189例(86%)だった。PP集団はそれぞれ135例(61%)に対して151例(69%)だった。 結果、行動活性化療法の認知行動療法に対する非劣性が示された。mITT解析でのPHQ-9スコアはCBT群8.4(SD 7.5)ポイント、BA群8.4(SD 7.0)ポイント、平均差0.1ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.3~1.5、p=0.89)だった。PP解析では、CBT群7.9(SD 7.3)ポイント、BA群7.8(SD 6.5)ポイント、平均差0.0ポイント(95%CI:-1.5~1.6、p=0.99)だった。 試験に関連しない死亡が2例(1%)(多剤毒性によるBA群1例[1%]、がんによるCBT群1例[1%])、うつ病関連の治療に関連していない重篤有害事象15件(BA群3件、CBT群12件)が報告された。15件は、BA群の被験者3例(2%)(過剰摂取2例[1%]、自傷行為1例[1%])、およびCBT群8例(4%)(過剰摂取7例[4%]、自傷行為1例[1%])で発生したものだった。

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うつ病患者に対する継続ECTの新たな戦略

 米国・マウントサイナイ医科大学のCharles H Kellner氏らは、うつ病高齢者に対する寛解延長を評価したthe Prolonging Remission in Depressed Elderly(PRIDE)研究のフェーズ2において、フェーズ1でECT成功後のうつ病高齢患者を対象として継続ECTと薬物療法併用の有効性と忍容性を、薬物療法単独と比較し、評価した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 PRIDEは、2相マルチサイト研究である。フェーズ1は、右片側性刺激でのultrabrief Pulse ECTとベンラファキシン増強の急速コースであった。フェーズ2では、薬物治療単独群(ベンラファキシンとリチウムを24週間)とECTに薬物治療併用群(4連続ECTを1ヵ月以上、必要に応じて追加、アルゴリズムベースの長期的ECT [STABLE] アルゴリズム、ベンラファキシンとリチウムを継続)の2つの無作為化治療群を比較した。intention-to-treat集団は、フェーズ1における寛解例120例を含んでいた。有効性の主要評価項目は、24項目ハミルトンうつ病評価尺度スコア(HAM-D)とし、副次的有効性評価は、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S)とした。ほかで報告された神経認知パフォーマンスにより測定された忍容性は、MMSEのような包括的認知機能尺度である大規模試験バッテリーを用いて評価した。有効性や包括的認知機能アウトカムをECTと薬物療法併用群と薬物治療単独群を比較するため、長期混合効果反復測定モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・24週時点で、ECTと薬物療法併用群は、薬物療法単独群よりも統計学的に有意に低いHAM-Dスコアを示した。・試験終了時点での調整平均HAM-Dスコアの差は4.2(95%CI:1.6~6.9)であった。・ECTと薬物療法併用群では、薬物療法単独と比較し、CGI-Sで「まったく病気ではない」と評価された患者が有意に多かった。・MMSEスコアは、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった。・追加ECT後の寛解は、多くの患者の気分改善を維持するうえで有益であった。関連医療ニュース うつ病へのECT、ケタミン併用の検討が進行 精神疾患患者に対するECT後の転帰を予測することは可能か 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

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向精神薬継続のカギは「薬への不安と期待のバランス整調」にあり

 精神疾患における薬物療法で課題となるのが、抗うつ薬のアドヒアランス低下にどう対処するかであり、医療者が少なからず頭を悩ませるところである。先月、日本精神神経学会が都内で開いたプレスセミナーにおいて、向精神薬の現状と課題をテーマに専門医3氏が講演を行った。本稿では、菊地 俊暁氏(杏林大学神経科学教室)による講演「薬物療法にまつわる患者の気持ち~患者が抱く期待と不安~」を取り上げる。期待と不安に揺れる患者の心理 精神疾患に対する薬物療法は、目に見える形で効果を実感しづらい。だからこそ患者は薬に対する期待と不安がない交ぜになるのだ、と菊地氏は語る。症状が良くなったことで服薬を中止するのならばやむを得ないが、実際にはそうではない理由で中止するケースが多いのだという。2009年の国内研究によると、初診のうつ病患者367人のアドヒアランスを追跡したところ、抗うつ薬を服用して6ヵ月の時点で、約5~6割の患者は、治療途中にもかかわらず服薬を中止していることがわかった。 なぜ服薬をやめてしまうのか。菊地氏はフィンランドの研究データ(2005年)を引いて説明する。それによると、抗うつ薬のアドヒアランス低下の理由として最も多かったのが「薬物依存への恐怖心」(43%)であり、次いで「副作用への恐怖心」(41%)が多くを占めた。アドヒアランス低下の3因子 さらに別の研究データによると、アドヒアランス低下の理由には、大きく3つの因子が考えられるという。すなわち、(1)病気の否定(病識の欠如、疾病の否認、自責・自己否定)、(2)治療継続の負担(服薬習慣やモチベーション維持、服薬スケジュールの順守、副作用や治療コスト、周囲の援助の欠如など)、(3)治療への不安(依存や副作用・治療効果への不安、家族の否定的な捉え方、不調な患者-医師関係)、である。なかでも、治療への不安の背景には、服薬をめぐる医師と患者のコミュニケーションのずれがある。医師と患者のコミュニケーションは、アドヒアランスを大きく左右するカギとなっているが、「医師が思うほど患者には説明が十分に伝わっていない」という認識のずれは、アドヒアランス低下の見過ごせない要因であるという。 JAMA 誌2002年9月号に掲載された論文によると、うつ病患者538人とその担当医師に対する調査で、72%の担当医師が「服薬が少なくとも6ヵ月以上は必要であることをその都度説明している」と報告しているのに対し、「医師からそのように説明を受けた」と認識している患者は34%(137人)にとどまり、56%(228人)については「何も説明を受けていない」と答えている。この認識のずれが、適切なコミュニケーションにより是正されれば、患者の不安軽減につながり、ひいては治療継続につながるため非常に重要なポイントである。プラセボにも“一定の効果”あり 一方で、薬に対する患者の期待が大きいことも事実である。菊地氏は、過去の臨床試験からみる薬の治療効果について、興味深いデータを紹介した。それによると、抗うつ薬服用群とプラセボ服用群で比較すると、治療開始から40日経過後、抗うつ薬服用群では約8割で治療効果がみられ、プラセボ服用群においても約6割で好転反応がみられたという。この結果からわかることは、うつ病治療の臨床では、治療において薬の効果とそれ以外の効果が少なからずあるということである。また、このプラセボ効果は、薬物療法のみならず精神療法でも期待できるのだという。 菊地氏は、「医療者は、患者が抱える不安と期待のバランスをいかに整えていくかが非常に重要。適切なコミュニケーションにより不安を和らげ、期待を適切な状態に保つことが、アドヒアランスの向上および治療継続のカギになる」と述べた。

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