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脳内脂肪酸と精神症状との関連を検証:富山大

 n-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルと精神障害との関連を調べた研究では、死後脳に関して、白質ではなく主に灰白質の分析に焦点が当てられてきた。富山大学の浜崎 景氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者の死後の脳組織において、PUFAレベルが白質の最大領域である脳梁に異常を示しているのかを調査した。European psychiatry誌オンライン版2016年11月4日号の報告。 対象患者は、統合失調症15例、双極性障害15例、うつ病15例、そして、コントロール15例とし、比較評価を行った。死後の脳梁におけるリン脂質中の脂肪酸は、薄層クロマトグラフィとガスクロマトグラフィにより評価した。 主な結果は以下のとおり。・これまでのいくつかの研究とは対照的に、患者とコントロールの脳梁内のPUFAまたは他の脂肪酸レベルとの間に有意な差は認められなかった。・性別によるサブ解析でも、同様の結果が得られた。・精神障害の診断の有無にかかわらず、自殺者と非自殺者の間のPUFAには有意な差は認められなかった。 著者らは「精神疾患患者では、健常コントロールと比較して、死後の脳梁におけるn-3PUFA欠損を示さず、脳梁はPUFA代謝異常に関連しない可能性がある。この分野における研究はまだ初期段階であり、さらなる調査が必要である」としている。関連医療ニュース 双極性障害エピソードと脂肪酸の関連を検証 EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か

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リスペリドン使用で乳がんリスクは上昇するか

 いくつかの抗精神病薬、とくにリスペリドンは、血清プロラクチンを増加させることが知られている。高プロラクチン血症は、動物実験において、乳腺腫瘍の発生に関連していることが知られている。スウェーデン・カロリンスカ大学のJohan Reutfors氏らは、リスペリドンまたは他の抗精神病薬を使用した女性の全国コホートにおける乳がんリスクを調査した。Schizophrenia research誌オンライン版2016年11月4日号の報告。 2006~12年にリスペリドンまたは他の抗精神病薬による治療を開始した18歳以上のすべての女性を、スウェーデン全国レジスターより抽出した。対象者は、3ヵ月以内に同じ抗精神病薬を2回連続で投与された、がんでない患者とした。なお、パリペリドン投与患者は含まなかった。最終コホートは、リスペリドン投与患者2万2,908例、他の非定型抗精神病薬投与患者2万4,527例、定型抗精神病薬投与患者8,544例の合計5万5,976例の女性となった。抗精神病薬と乳がんとの関連は、ハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)を推定するために、Cox回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・患者はプロスペクティブに追跡し、平均追跡期間は2.4~2.8年であった。・年齢調整後、リスペリドン投与患者の乳がんリスクは、他の非定型抗精神病薬投与患者(HR:0.94、95%CI:0.72~1.22)、定型抗精神病薬投与患者(HR:1.25、95%CI:0.94~1.66)と比較し、増加していなかった。・積極的治療経過時間を用いた腫瘍ステージ別に層別化された分析、または治療未経験患者のみの分析では、結果に顕著な変化は認められなかった。 著者らは「リスペリドンの使用は、他の抗精神病薬と比較し、短期的な乳がんリスク上昇を来すことはない」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は 高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か 各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較

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うつ病とビタミンDとの関連、どこまで研究は進んでいるのか

 ビタミンDの欠乏や不足がうつ病と関連しているのか、また、ビタミンD補充がうつ病の有効な治療法であるのかを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のGordon B Parker氏らが検討を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年10月11日号の報告。うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割 3つの検索エンジンとオンラインデータベース(PubMed、Google Scholar、コクランデータベース)を用いて、近年出版された経験的研究を抽出した。検索キーワードは、ビタミンD、うつ病、治療とし、ビタミンD欠乏/不足とうつ病との関連、うつ病治療薬としてビタミンDサプリメントやビタミンDを使用した文献を選択した。本レビューは、以前の研究も考慮したものの、2011年以降の最近の研究に比重を置いた。 主な結果は以下のとおり。・経験的研究では、ビタミンD欠乏とうつ病の関連、ビタミンD不足のうつ病患者に対するビタミンDサプリメントやビタミンD増強に関するエビデンスが増加していた。・多くの研究に関連する方法論的限界が述べられていた。・研究は、英語論文に限られており、出版バイアスは、肯定的な所見を持つ研究が多い可能性がある。・うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割を明らかにし、現在示唆されている関連が臨床的に適合されるのかを証明するために、横断的デザインを超え、無作為化された縦断研究を実施する必要がある。

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うつ病患者への外来ケアサービスの試み

 うつ病入院患者は、退院後、外来ケアの非継続や有害事象のリスクが高い。米国・ミシガン大学のPaul N Pfeiffer氏らは、病院のモニタリングとうつ病のために強化された支援プログラムについてパイロット研究を行った。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2016年10月25日号の報告。 うつ病に関連した入院後のVeterans Affairs Medical Centerの患者48例は、家族・友人(19例)または認定ピアサポートスペシャリスト(29例)のいずれかを選択し、毎週の訪問または電話を6ヵ月間受けた。対象者は、抑うつ症状と抗うつ薬の服薬アドヒアランスを評価するため週1回の自動電話モニタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・90%以上の患者が、本ケアサービスに満足していた。・うつ症状のベースラインから6ヵ月の平均変化量は、家族・友人によるサポートを受けた患者では、患者の健康に関するアンケートで-7.9(p<0.05)、BDI-IIベック抑うつ質問票で-11.2(p<0.05)であった。ピアスペシャリストのサポートを受けた患者では、それぞれ-3.5(p<0.05)、-1.7(p>0.10)であった。 著者らは「精神科入院後の自動電話モニタリングと連携し、選択したサポートメンバーによるコンタクトの増加は、うつ病患者に受け入れられるサービスである。とくに家族・友人によるサポートを受けた患者では、うつ症状の減少が認められた」としている。関連医療ニュース 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 うつ病再発予防へ、インターネット介入の可能性は 近未来のうつ病治療に、会話システム「Help4Mood」

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うつ病治療歴があると早期乳がんの予後が悪い?

 デンマークの全国登録ベースのコホート研究より、うつ病治療歴のある初発早期乳がん女性では、ガイドラインで推奨されるアジュバント治療を受けないリスクがあり、それが全生存率および乳がん特異的生存率の低下につながっている可能性があることをデンマークがん協会研究センターのNis P. Suppli氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年11月14日号に掲載。 本研究は、1998~2011年にデンマークで早期乳がんと診断された女性4万5,325例を調査した。そのうち、744例(2%)は病院でのうつ病治療歴(入院もしくは外来)があり、6,068例(13%)は病院での治療歴はないが抗うつ薬による治療歴があった。著者らは、うつ病治療歴と、ガイドラインによるがん治療を受けないリスクとの関連を多変量ロジスティック回帰分析で評価し、全生存率・乳がん特異的生存率・自殺リスクについて乳がん発症前のうつ病治療の有無別に多変量Cox回帰分析で比較した。 主な結果は以下のとおり。・腫瘍のStageからは、うつ病治療歴のある女性における乳がん診断の遅れは示されなかった。・乳がん発症前に病院での治療歴がないが抗うつ薬による治療歴のある女性は、ガイドラインによるがん治療を受けないリスクが有意に増加し(オッズ比:1.14、95%CI:1.03~1.27)、全生存率(ハザード比:1.21、95%CI:1.14~1.28)と乳がん特異的生存率(ハザード比:1.11、95%CI:1.03~1.20)が有意に悪化した。病院でのうつ病治療歴のある女性においても、これらのリスクが有意ではないが増加した。・サブグループ解析では、必要とされるアジュバント療法を受けなかった女性で、とくにうつ病と生存率低下の関連が強かった。

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非薬物療法でもスポンサーバイアスは存在するか

 心理療法などの非薬物療法におけるスポンサーバイアスは、十分に研究されていない。ルーマニア・Babes Bolyai UniversityのIoana A Cristea氏らは、うつ病に対する心理療法と薬物療法を直接比較したランダム化比較試験における企業の資金調達と著者の利益相反(COI)について調査した。The British journal of psychiatry誌オンライン版2016年11月3日号の報告。 企業出資の有無、著者の金銭的COIの有無による臨床試験を比較し、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・45件の研究が抽出された。・ほとんどの分析によると、企業出資による試験において、薬物療法は一貫して心理療法を上回る有意な有効性を示していた(g=-0.11、95%CI:-0.21~-0.02)。・企業出資の有無による臨床試験の差は有意であり、感度分析において結果は部分的に確認されただけだった。・金銭的COIを報告していなかった元文献の著者は5例特定された、 著者らは「企業出資によるうつ病の臨床試験では、心理療法よりも薬物療法を好む傾向がある。製薬企業からのすべての出資の開示が奨励されるべきである」としている。関連医療ニュース 抗うつ薬の有害事象、学術論文を鵜呑みにしてよいのか 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か 晩年期治療抵抗性うつ病の治療戦略に必要なものとは

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血清ナトリウム192mEq/Lの食塩中毒【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第79回

血清ナトリウム192mEq/Lの食塩中毒 >FREEIMAGESより使用 食塩を大量に摂取するのは至難の業です。もちろん、あまりにしょっぱくて随意的にできるものではないからです。久々に日本の文献を紹介したいと思います。 泉谷義人ほか. 食塩過剰摂取により食塩中毒を来した1例 日救急医会誌. 2016;27:251-255. この症例報告は、統合失調症の患者さんが食塩約200gを5~6時間かけてゆっくり摂取し、自宅で嘔吐しているところを家族に発見されたのが始まりです。救急搬送時、血液検査で血清ナトリウム値192mEq/L、血漿浸透圧385mOsm/Lと、とんでもないデータを示していました。通常高ナトリウム血症の場合、ゆるやかにナトリウム値を下げるのが望ましいとされていますが、本症例では補正速度を 2mEq/L/時間以内に調整しました。入院してから10時間後血清ナトリウム値は170mEq/Lと救急搬送時よりは20mEq/L以上の低下がみられたものの、自発呼吸は消失し、瞳孔は散大し、著明な脳浮腫がみられたそうです。賢明な治療が続けられましたが、入院30日目の時点で脳機能停止と判断され、その1週間後に亡くなりました。過去の症例報告では、Carlbergらが1クォート(約1リットル)のしょうゆを飲用し、血清ナトリウム値が190mEq/L以上に陥った19歳男性の事例がよく知られています1)。この症例は、30分で6リットルもの点滴が行われ、希釈によるナトリウム降下治療によって救命できたそうです。本症例報告の考察によれば、脳細胞は浸透圧性物質を細胞内に産生することで浸透圧較差を是正し、脳浮腫に対する防御機構が数時間~2日間で成立するとされています。防御機構が成立した後に急激なナトリウム補正を行うと、再び細胞内外の浸透圧較差が生じて脳浮腫を来すとされています。そのため、数時間~2日以内であれば急激な補正は理論上可能ということになり、致死的な食塩中毒では防御機構が成立する前に早期に血清ナトリウム値を正常範囲内に戻すことが需要であると書かれています。参考資料1)Carlberg DJ, et al. J Emerg Med. 2013;45:228-231.インデックスページへ戻る

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カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

 東京都医学総合研究所の宮下 光弘氏らのこれまでの研究では、カルボニルストレスが統合失調症と密接に関連していることが示唆されていた。内因性分泌型終末糖化物質受容体(esRAGE)は、AGER遺伝子のスプライス変異であり、RAGEの可溶性形態の1つである。esRAGEは、終末糖化産物(AGE)閉じ込めることにより、カルボニルストレスの負担を軽減するための重要な物質であると考えられている。本研究では、AGERに焦点を当て、遺伝子関連解析を行った。Biochemical and biophysical research communications誌2016年10月21日号の報告。 統合失調症患者群212例と対照群214例の比較を行った。また、患者群104例と対照群89例でのesRAGEレベルを比較し、さらに、患者群25例と対照群49例の全循環可溶性RAGE(sRAGE)の測定を行った。 主な結果は以下のとおり。・遺伝子関連研究では決定的な結果が得られなかったが、重回帰分析では、特定のハプロタイプは、完全な連鎖不平衡(r2=1)であるrs17846798、rs2071288、63bpの欠損が示された。また、rs2070600(Gly82Ser)は、血清esRAGEレベルの著しい減少と有意に関連していた。・統合失調症患者は、対照群と比較して、esRAGEレベル(p=0.007)とsRAGEレベル(p=0.03)が有意に低かった。・これは、血清esRAGEレベルが、AGERで新規に同定された特定のハプロタイプにより調整され、統合失調症患者が、カルボニルストレスに対して脆弱であることが示された最初の研究である。関連医療ニュース 統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学

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FAAH阻害薬、第I相で発現した重度神経障害/NEJM

 可逆的経口脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)阻害薬「BIA 10-2474」の第I相臨床試験で1日50mg、5~6日投与した結果、脳死状態を含む急性重度神経障害の発現が報告された。フランス・レンヌ大学病院のAnne Kerbrat氏らによる試験の結果で、NEJM誌2016年11月3日号で発表した。FAAH阻害薬は、動物試験では鎮痛作用や抗炎症作用が報告されており、第I相・II相の臨床試験もいくつか行われているが、有効性の検出力が低く、第III相試験には至っていなかった。BIA10-2474を、累積250~300mg投与 研究グループは、健常ボランティア84例を対象に、BIA10-2474を単回投与(0.25~100mg)と反復投与(2.5~20mgを10日間)をそれぞれ投与する連続コホート試験を行った。その結果、重度の有害事象の報告はなかった。 同グループはまた、別のコホート試験の被験者を、プラセボ(2例)またはBIA10-2474(50mg/日、連続5~6日投与、6例)に割り付け、それぞれ投与した。このうちBIA10-2474群の4例について、臨床・放射線画像データの公表に関する同意を得た。脳死状態、記憶障害、小脳症候群が残る その結果、投与開始後5日目から、BIA10-2474群の4例中3例で、急性・急速進行性の中枢神経系障害が発現した。 主な臨床的特徴は、頭痛、小脳症候群、記憶障害、意識障害だった。 MRI検査で主に橋と海馬に微小出血や、また脳髄液信号抑制反転回復(FLAIR)法や拡散強調画像シーケンスによって、両側対称性の脳病変が認められた。 3例のうち1例は、脳死状態となった。残りの2例は、その後症状が改善したが、1例は記憶障害の症状が残り、もう1例は小脳症候群が残った。 なお、残りの1例では、いずれの症状も発現しなかった。 研究グループは、この有害な脳症候群の発生機序は不明だとしている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第33回

第33回:アルコール使用障害のある患者への薬物療法監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 タバコの害は国民全員が知るようになりつつありますが、アルコールの害は日本文化の中で過小評価されている印象があります。ニコチン依存症が1,800万人1) 、アルコール使用障害が593万人2) 、ギャンブル依存症が536万人3) と推定されています。 嗜好に対する行き過ぎた行為にどのように関わるか、人々の日常生活にも密接に関わっている医師にとっても大きな課題だと考えます。最近の枠組みの変化として、DSM5ではアルコール乱用とアルコール依存の区別をなくしてアルコール使用障害として統合を行い、軽度、中等度、重度という表現に変更しています4) (日本でのアルコール医療はICD-10を主に用いており、飲酒量や心身の有害性に応じて危険な飲酒、有害な飲酒、アルコール依存症の診断に分かれています)。 問診でアルコール量が多いなと感じた患者には、積極的にAUDIT(The Alcohol Use Disorders Identification Test)やCAGE(Cut down,Annoyed,Guilty feeling,Eye-opener)を用いていきたいですね。 以下、American Family Physician 3月 15 日号より5) よりUSPSTF(The U.S. Preventive Services Task Force)は、すべての成人に対してアルコール使用障害のスクリーニングと、リスクの高い人や危険な飲み方をする人に対して、アルコール摂取を減らすための簡単なカウンセリングをすることを勧めている。しかし現状は、ハイリスクなアルコール使用障害の一部の大人しか治療を受けていない。FDAに認可を受けた3つの薬は、アルコール使用障害を改善することが証明された:アカンプロサート(商品名:レグテクト:通常用量 333mg6錠分3)、ナルトレキソン(国内未承認)、ジスルフィラム(同:ノックビン:通常用量0.1~0.5g分1~3、アルコールを含む食品を含め併用禁忌)である。アカンプロサートとナルトレキソンはアルコールの消費量を減らして、断酒率を上げるが、効果は中等度である。またジスルフィラムは数十年来販売されているが、効果を裏付けるエビデンスは十分でない。ほかにアルコール使用障害を改善するのに有効かもしれない薬もある。トピラマート(同:トピラ)やガバペンチン(同:ガバペン)などの抗てんかん薬もアルコール摂取を減らすが、長期の研究がない。気分障害がある場合は抗うつ薬もよく、セルトラリン(同:ジェイゾロフト)やフルオキセチン(日本未承認)はうつ病患者のアルコール消費量を減らすかもしれない。オンダンセトロン(同:ゾフラン)は一部の人にとっては、アルコールの消費を減らすかもしれない。さらに、遺伝子を標的とした治療や、必要に応じてすぐ受けられる治療法に対する研究も進められている。※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 厚生労働省研究費補助金・第3次対がん総合戦略事業 2) Osaki Y, et al. Alcohol Alcohol. 2016; 51: 465-473. 3) 厚生労働省の研究班(研究代表者=樋口進・久里浜医療センター院長) 4) DMS-5 Substance Related and Addictive Disorders(物質関連および嗜癖の障害) 5) Winslow BT, et al. Am Fam Physician. 2016;93:457-465.

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統合失調症への補助療法、その影響は:昭和大

 統合失調症患者における非薬理学的介入(NPI)と末梢脳由来神経栄養因子(BDNF)との関係を調査した研究はいくつかある。昭和大学の真田 健史氏らは、統合失調症(統合失調感情障害を含む)患者を対象に末梢血清および血漿BDNFにおいてNPIの有効性を確認するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。International journal of molecular sciences誌2016年10月24日号の報告。 研究には、289例を含む6件のランダム化比較試験を用いた。メタ解析では、NPI群と対照群間の標準化平均差(SMD)を用いて血中BDNFレベルにおけるNPIの効果を調べた。 主な結果は以下のとおり。・6件の研究のうち、5件は運動、身体的トレーニング、ダイエット製品を使用し、1件は認知トレーニングを使用していた。・NPI群の末梢BDNFレベルは、対照群と比較し増加していた(SMD:0.95、95%CI:0.07~1.83、p=0.03)。・サブグループ分析では、末梢BDNFレベルにおいて非運動介入の有益な効果が示された(SMD:0.41、95%CI:0.08~0.74、p=0.01)。・メタ回帰分析では、完了率にSMDの変数が影響することが示唆された(p=0.01)。 著者らは「不十分なエビデンスであるとしながらも、統合失調症患者に対する補助療法としてのNPI(とくに非運動介入)は、血清または血漿BDNFに良い影響を及ぼすことが示唆された」としている。関連医療ニュース 統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大 統合失調症患者への健康増進介入はやはり難しい 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法

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うつ病患者のベンゾジアゼピン使用、ミルタザピン使用で減少:千葉大

 千葉大学の橋本 佐氏らは、うつ病エピソードの第1選択薬としてSSRIの代わりにミルタザピンを選択することで、うつ病患者のベンゾジアゼピン使用を低下させることが可能かを評価した。また、臨床的反応と血清成熟型脳由来神経栄養因子(BDNF)、前駆体proBDNFの関係を同時に調査した。Annals of general psychiatry誌2016年10月19日号の報告。 日常的な精神科診療の設定でオープンラベル無作為化比較試験を行った。うつ病外来患者77例を対象に、ランダムにミルタザピン群またはSSRI(セルトラリンまたはパロキセチン)群に割り付けた。主要アウトカムは、6、12、24週目におけるベンゾジアゼピン使用率の群間比較とした。治療反応は、ベースラインからのハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)50%以上減少と定義した。ベースライン、6、12、24週目に血液サンプルを収集した。 主な結果は以下のとおり。・処方開始日よりベンゾジアゼピンが処方された65例の主要アウトカムを分析した。・ベンゾジアゼピン使用者は、6、12、24週目において、ミルタザピン群においてSSRI群よりも有意に低かった(6週目:21.4vs.81.8%、p<0.001、12週目:11.1vs.85.7%、p<0.001、24週目:12.5vs.81.8%、p=0.0011)。・HDRSスコアの変化においては、群間差は認められなかった。・血清proBDNFレベルは有意に減少した(χ2=8.5、df=3、p=0.036)。血清成熟型BDNFレベルは、両群の治療反応者において24週目に、一時的に有意に減少した(F=3.5、df=2.4、p=0.027)。・本研究では、うつ病エピソードに対する第1選択薬としてのミルタザピンの使用は、うつ病患者のベンゾジアゼピン使用を減少させることが実証された。関連医療ニュース 抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか

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アリピプラゾール補助療法、有効性と安全性は

 統合失調症治療において、他の抗精神病薬にアリピプラゾールを追加した際の有効性、安全性を評価するため、中国・広州医科大学のWei Zheng氏らは、無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2016年12月号の報告。 システマティックサーチより、55件、4,457例が抽出された(アリピプラゾール(14.7±7.0mg/日)vs.プラセボ18件、vs.抗精神病薬37件)。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは、精神スケールに基づいた比較介入を有意に上回った。 (1)43件(3,351例)のRCTにおける総スコアのSMD;-0.48(95%CI:-0.68~-0.28、p<0.00001、I=88%) (2)30件(2,294例)のRCTにおける陰性症状スコアのSMD:-0.61(95%CI:-0.91~-0.31、p<0.00001、I=91%) (3)13件(1,138例)のRCTにおける総合精神病理スコアの加重平均差(WMD):-4.02(95%CI:-7.23~-0.81、p=0.01、I=99%)。ただし、29件(2,223例)のRCTにおける陽性症状スコアのSMDは、-0.01(95%CI:0.26~0.25、p=0.95、I=88%)であった。・精神スケールに基づく総スコアの差は、非盲検デザインRCT31件におけるプラセボ使用よりも、抗精神病薬の使用によるものと説明できる。・アリピプラゾールは、9件のRCTにおける体重のWMDが-5.08(95%CI:-7.14~-3.02、p<0.00001、I=35%)、14件のRCTにおけるBMIのWMDが-1.78(95%CI:-2.25~-1.31、p<0.00001、I=54%)であり、比較介入を上回っていた。・BMIのメタ回帰分析では、アリピプラゾールと低BMIとの関連は、女性でより強かった。・補助的アリピプラゾールの安全性は示されたが、より良いランダム化比較試験により、有効性を実証する必要がある。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か 本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか

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統合失調症患者の性格で予後を予測

 臨床症状や患者背景は、統合失調症における機能レベルやQOLを予測する。しかし、統合失調症のQOLや全体的な機能に対する性格特性の影響を検討した研究は少ない。性格特性は発症以前の特性であり、統合失調症発症を予測可能である。米国・ヴァンダービルト大学のCaitlin Ridgewell氏らは、性格特性と神経症および外向性とQOL、機能性における、個別的で付加的な影響を検討した。Schizophrenia research誌オンライン版2016年10月13日号の報告。 統合失調症スペクトラム障害患者153例、健常対照者125例を対象に、性格とQOLアンケートを実施した。全体機能は、臨床医の構造化されたインタビューにより評価した。神経症と外向性スコアは、連続変数やカテゴリ両端の両方を分析した(高レベルvs.普通レベル神経症、低レベルvs.普通レベル外向性)。 主な結果は以下のとおり。・QOLは、神経症、外向性、神経症×診断、外向性×診断の相互作用と有意に関連していた。・患者群では、低神経症スコア(正常範囲内)は対照群と同等のQOLスコアと関連していた。一方、高神経症スコアは最も低いQOLスコアと関連していた。・全体的な機能については、診断のみが有意な影響を示していた。関連医療ニュース 統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学 治療抵抗性統合失調症は予測可能か 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター

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軽度認知障害とうつの併存は認知症リスク大

 軽度認知障害(MCI)の高齢者は、認知症に進行するリスクが有意に高い。国立長寿医療研究センターの牧迫 飛雄馬氏らが、MCIの地域在住高齢者が認知症を発症する危険因子を検討したところ、MCIとうつ症状が併存すると認知症発症リスクがより高いことがわかった。Journal of Alzheimer's disease誌2016年10月18日号に掲載。 この研究は、地域在住高齢者3,663人を24ヵ月間追跡した前向き縦断的研究である。MCIの診断は、コンピュータによる総合的な認知尺度(記憶、注意/遂行機能、情報処理速度を含む)を使用し、年齢および教育で調整された客観的な認知障害により行った。うつ症状は、15項目の老年期うつ病評価尺度(GDS)で6点以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・24ヵ月の追跡期間中、72人(2.0%)が認知症を発症した。・ベースラインでのMCIは、年齢・性別・教育・処方薬剤・歩行速度による調整後、認知症発症リスクの増加と有意に関連していた(ハザード比[HR]:3.2、95%信頼区間[CI]:1.8~5.5)。しかし、うつ症状は認知症発症リスクとの関連は有意ではなかった(HR:2.0、95%CI:1.0~4.2)。・ベースライン時にMCIとうつ症状が併存していた参加者は、認知症発症リスクがより高かった(HR:4.8、95%CI:2.3~10.5)。

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高齢者への抗精神病薬投与、中止までの期間を解析

 ニュージーランドや全世界で適応可能なコンセンサスガイドラインでは、統合失調症や長期間の治療が必要とされる重度の精神症状を有する精神疾患でない限り、抗精神病薬の曝露期間は12週間を超えないことが推奨されている。しかし、第2世代抗精神病薬(SGA)の初回中止までの期間(time-to-first discontinuation:TTFD)について、高齢者における実臨床の情報は限られている。ニュージーランド・オタゴ大学のHenry C Ndukwe氏らは、65歳以上のSGA新規処方患者におけるTTFD、アドヒアランス、持続性を比較した。Journal of clinical psychopharmacology誌2016年12月号の報告。 SGA新規処方患者3万297例を対象に、2006年1月1日~2012年12月31日までの抗精神病薬中止状況を追跡した。経口製剤のデータは、ニュージーランド健康省の健康医療データベースを使用し、抽出した。TTFDは91日以上のギャップを分配、アドヒアランスは投薬所持率0.8以上、持続性は91日未満のギャップ期間と定義した。カプランマイヤー曲線、Cox回帰分析を推定し、結果を調整するために使用した。 主な結果は以下のとおり。・SGA新規処方患者の全体的なTTFDは192.3日(95%CI:177.6~206.9)、平均年齢80.9歳(SD:8.1歳)女性率60.3%であった。・TTFDは、リスペリドン68.3日(95%CI:43.7~92.9)で、クロザピン101.3日(95%CI:85.0~117.7、p=0.03)と比較し最も短かった。・調整後の全原因によるTTFDは、クロザピンと比較し、リスペリドン(ハザード比:0.54)、オランザピン(ハザード比:0.29)、クエチアピン(ハザード比:0.22)、ziprasidone(ハザード比:0.08)において有意に低かった。・ノンアドヒアランス群では、アドヒアランス群と比較し、TTFDリスクが3倍以上であった。関連医療ニュース FDAの承認が抗精神病薬の適応外処方に与える影響 警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか 抗精神病薬の過量投与は減少しているのか

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第2世代抗精神病薬、認知機能に対する影響を検証

 抗精神病薬は、精神疾患や気分エピソードに有効であるが、認知機能への影響はよく知られていない。ノルウェー・オスロ大学のNils Eiel Steen氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者における第2世代抗精神病薬の血清レベルと認知機能との関連を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年10月7日号の報告。 DSM-IVで統合失調症、他の精神病性障害(SCZ:373例)、または双極性障害(BD:122例)と診断され、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、リスペリドンで治療した患者を対象に、神経心理学的なテストと同時に薬物血中濃度を測定した。関連分析には、線形回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・注意は、オランザピン濃度と正の関連を示した(標準化されたβ係数[β]:0.19、p=0.006)。・短期言語記憶と言語の流暢性は、クエチアピン濃度(β:-0.24、p=0.004)、リスペリドン濃度(β:-0.37、p=0.007)と負の関連を示した。 著者らは「今回の結果によると、第2世代抗精神病薬の血清濃度は、注意に対する良い効果(軽度)と言語記憶、言語の流暢性に対する悪い効果(中程度)が示唆された。本知見は、第2世代抗精神病薬の認知機能に対する影響の概念と一致し、重度の記憶や執行に対する問題を有する患者に対し、慎重に投与するべきであることを示唆している」としている。関連医療ニュース 精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに 統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン

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うつ病エピソードと緯度との関連とは

 カナダにおける緯度と年間のうつ病エピソードの有病率との関連について、カナダ・カルガリー大学のScott B Patten氏らが検討を行った。Canadian journal of psychiatry誌オンライン版2016年10月11日号の報告。 2つの全国調査プログラム(The National Population Health Survey、the Canadian Community Health Survey)のデータより、1996~2013年に収集した10個のデータセットを使用した。両プログラム合わせて回答者92万2,260例、そのうち49万5,739例はComposite International Diagnostic Interview1/2ショートバージョン(8研究)とCanadian adaptation of the World Mental Health version(2研究)を用いてうつ病エピソードを評価されていた。大まかな緯度は、郵便番号データとの連携により決定した。データは、ロジスティック回帰を用い分析し、個々レベルのメタ分析を用いて、調査全体でプールした。 主な結果は以下のとおり。・連続変数としての緯度経度標高モデルでは、有病率の増加と緯度の増加の間に統計学的に有意な関連が認められた。・この関連は、既知の危険因子で調整後も認められた。・緯度勾配は、あまり大きくなく、うつ病エピソード/緯度の有病率オッズで、1~2%の増加が観察された。・低密度なデータであったため、この勾配は、主要な人口重心を越えて一般化することができなかったが、北緯55度未満で発生する傾向があった。・本断面解析では、病因を確認することができず、光曝露、気象パターン、社会的要因のような潜在的な変数を評価することができなかった。関連医療ニュース 低緯度地域では発揚気質が増強される可能性あり:大分大学 性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大 出生地が双極性障害発症時期に影響

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統合失調症や双極性障害、ビタミンD欠乏の有病率は

 いくつかの研究において、ビタミンD低レベルと統合失調症との関連が示唆されている。現時点で、双極性障害患者におけるビタミンD欠乏症の有病率に関する研究のみが存在する。オランダ・Mental Health Care Organisation Noord-Holland-NoordのRemco Boerman氏らは、ビタミンD欠乏症は、統合失調症や統合失調感情障害患者より、双極性障害患者で一般的であるとの仮説と一般オランダ人よりも、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害患者で一般的であるとの仮説について検証を行った。なお、これまでの研究では入院患者を対象としていたが、本研究では唯一、外来患者を含み検討を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年9月21日号の報告。 双極性障害センターおよび3つのフレキシブル包括型地域生活支援チームのすべての外来患者に対し、本横断的研究への参加を依頼した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者118例、統合失調症または統合失調感情障害患者202例が研究に参加した。・ビタミンD濃度は、30.3%の患者で欠乏していた(95%CI:25.5~35.6)。・精神疾患の種類は、ビタミンD欠乏症の予測因子ではなかった。・試験集団とオランダ白人集団の欠乏リスクの絶対差は23.8%であった(95%CI:18.3~29.3%)。・精神疾患外来患者のビタミンD欠乏症は、一般集団と比較し4.7倍多かった。 結果を踏まえ、著者らは「双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害患者では、ビタミンDレベルが低い危険性が高く、骨、筋力の健康維持や骨粗しょう症予防の観点から、年1回の定期的測定が重要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学 統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証

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