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日本の外来患者、抗精神病薬の処方傾向を分析:京都大

 京都大学の河内 健治氏らは、精神科医療のコミュニティベースのアプローチに重点を置き、日本の外来患者に対する抗精神病薬処方の傾向を評価した。Pharmacoepidemiology and drug safety誌オンライン版2017年3月7日号の報告。 本研究は、全国の調剤薬局1,038施設からの処方箋データを用いた記述的疫学論文。2006~12年に、初めて抗精神病薬を処方された18歳以上の外来患者を評価した。単剤処方、多剤併用処方、抗精神病薬の用量、向精神薬の併用処方について年間の傾向を分析した。 主な結果は以下のとおり。・外来患者は、15万2,592例であった。そのうち、18~64歳は10万1,133例(成人群:66%)、65歳以上は5万1,459例(高齢者群:34%)であった。・成人群における2006年と2012年の処方傾向は以下のとおりであった。 ●第2世代抗精神病薬単剤処方:49%から71%へ増加 ●第1世代抗精神病薬単剤処方:29%から14%へ減少 ●抗精神病薬多剤併用処方:23%から15%へ減少・高齢者群における2006年と2012年の処方傾向は以下のとおりであった。 ●第2世代抗精神病薬単剤処方:64%から82%へ増加 ●第1世代抗精神病薬単剤処方:29%から12%へ減少 ●抗精神病薬多剤併用処方:7%から6%へ減少・研究期間中の抗精神病薬の用量は、成人群の80%超、高齢者群の90%超において、リスペリドン等価換算量6mg/日未満であった。・各種向精神薬の併用処方率は以下のとおりであった。 ●抗不安/鎮静薬:成人群70%、高齢者群43% ●抗うつ薬:成人群33%、高齢者群16% ●抗パーキンソン薬:成人群20%、高齢者群19% ●気分安定薬:成人群20%、高齢者群8% ●抗認知症薬:成人群0.3%、高齢者群16% 著者らは「大規模処方箋データより、日本の外来患者における抗精神病薬の高用量処方と多剤併用処方は、これまで考えられていたよりも広く行われていない」としている。関連医療ニュース 日本のデータベースから各種抗精神病薬のEPS発現を分析 抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大 各抗精神病薬、賦活系と鎮静系を評価

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適切なMg摂取でうつ病リスクが低下

 いくつかの疫学研究では、食事によるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)摂取と、うつ病リスクとの関連が評価されている。しかし、これらの研究結果は、依然として議論の余地が残っている。中国・Qingdao UniversityのBingrong Li氏らは、これらの関連性および食事によるMg摂取とうつ病リスクとの用量反応関係を調査するため、メタ解析を行った。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌2017年3月号の報告。 複数のデータベースより、2016年9月までに公表された文献を検索した。95%信頼区間(CI)のプールされた相対リスクは、ランダム効果モデルを用いて算出した。出版バイアスは、Egger検定とfunnel plotを用いて推定した。用量反応関係は、制限3次スプライン関数により評価した。 主な結果は以下のとおり。・現在のメタアナリシスには、12文献より17件の疫学研究が含まれた。・これらの研究のうち、Mg摂取とうつ病リスクとの関連を評価した研究は11件、Ca摂取との関連を評価した研究は6件であった。・最も高い摂取量と最も低い摂取量を比較すると、プールされた相対的うつ病リスクは、Mgで0.81(95%CI:0.70~0.92)、Caで0.66(95%CI:0.42~1.02)であった。・食事によるMg摂取量は、アジアで実施された研究(相対リスク:0.57、95%CI:0.44~0.74)、エネルギー摂取量の調整研究(相対リスク:0.73、95%CI:0.58~0.92)において、うつ病リスク低下と有意に関連していた。・用量反応分析では、食事によるMg摂取とうつ病リスクとの間に非線形関係のエビデンスが認められ、最大リスク低下は320mg/日で認められた。 著者らは「中等度のMg摂取がうつ病リスク低下と関連することが示された。この結果は、より大きなプロスペクティブコホート研究で確認する必要がある」としている。関連医療ニュース 魚を食べると認知症は予防できるのか たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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親の精神疾患を子供はどう思っているか

 重度の精神疾患リスクを有する無症候性の人(臨床ステージ0)に対する潜在的な介入研究は、遺伝子カウンセリングや確立された疾患を有する成人患者に焦点が当てられてきた。英国・NTW NHS TrustのJo Davison氏らは、双極性障害(BD)リスクを有する青年を対象にインタビューを行った。Early intervention in psychiatry誌オンライン版2017年2月11日号の報告。 両親がBDを有する無症候性の子孫(OSBD:7例)およびBDとは無関係な両親(PBD:6例)を対象に、対話による顕在的および潜在的な課題を調査するため、インタビューを定性的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・両群の中核課題は、自身のBD発症リスクの大きさに関して無知であり、自分よりも家族の健康に対する心配が大きかった。・両親は、子供にBDが遺伝するかどうかについての不確実性に対処するうえでの不安を示し、このリスクを減らそうとする願望は、部分的な罪悪感と両親の責任感によりもたらされた。PBDは、専門的な臨床OSBDサービスの導入を支持した。・対照的に、OSBDの優先事項は、BDを持つ両親の対処に関するアドバイスであった。OSBDは、一般的な非臨床的ピアサポートを好み、専門家によるケアよりも不名誉に感じないと考えていた。 著者らは「BDリスクを有する若者が求める介入は、日常的に相談を行う人と異なる可能性があり、そのことを表現できるようにすべきであることが強調された。注目すべきは、OSBDは両親のBDに関する臨床対話が、ストレスレベルを増加させるよりも、むしろ減少させると考えていることであった」としている。関連医療ニュース 双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は自殺リスク要因か 双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント うつ病から双極性障害へ移行しやすい患者の特徴

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オランザピンの心血管副作用、メラトニンの保護可能

 第2世代抗精神病薬(SGA)は、患者の早期死亡の起因となる有害な心血管代謝系副作用と関連している。これら心血管代謝系副作用を引き起こすメカニズムは十分にわかっていないが、最近、3つの独立した研究において、メラトニンがSGA治療患者の心血管代謝リスクを防御していることが示された。循環するメラトニンの主要標的領域の1つである視交叉上核(SCN)が、SGA誘発性の早期心血管系効果に関連しているかを、メキシコ国立自治大学のFrancisco Romo-Nava氏らは、Wistarラットを用いて検討を行った。Journal of pineal research誌オンライン版2017年2月22日号の報告。 体内時計、室傍核および自律神経系におけるオランザピンとメラトニンの急性効果について、免疫組織化学、侵襲的心血管測定、ウエスタンブロットを用いて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・オランザピンは、SCNにおいてc-Fos免疫反応性を誘導し、続いて室傍核および迷走神経の背側運動核を誘導し、副交感神経緊張の強力な誘導を示した。・オランザピン投与後のSCN-副交感神経ニューロン経路の関与は、コレラトキシンB逆行性追跡および血管作動性腸管ペプチド免疫組織化学を用いてさらに記録された。・オランザピン誘発性の血圧低下と心拍数低下が裏付けられた。・メラトニンは、副交感神経経路および心血管作用を含むオランザピン誘発性SCN c-Fos免疫反応性を是正し、その一方、線条体、腹側被蓋野および側坐核を含むオランザピンの有益作用に関連する脳領域の活性化は維持された。・SCNにおいて、オランザピンはメラトニンが関与した体内時計の調整因子であるGSK-3βをリン酸化した。・SCNの両側病変は、オランザピンの副交感神経活性への影響を防御した。 著者らは「SCNは、心血管機能に対するオランザピンの初期効果を媒介する重要な領域である。さらなる調査が必要ではあるが、メラトニンは、その作用を是正し、潜在的な保護効果を有する可能性がある」としている。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学 オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか 統合失調症の病態にメラトニンが関与

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患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)における患者の発症前の性格特性とBPSD(behavioral and psychological symptoms in dementia:認知症の行動・心理症状)との関連について、旭川医科大学の田端 一基氏らが検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年2月8日号の報告。 対象は、DLB患者41例、AD患者98例。対象患者のBPSD評価には、NPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いた。各患者の中年期の性格特性は、NEO-FFI(NEO Five-Factor Inventory)を用いて、患者家族より評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・DLB患者の重回帰分析において、NPI総スコアおよび不安と病前の開放性、妄想と病前の協調性、興奮と病前の勤勉性が有意に関連していた。・AD患者のうつ症状と病前の情緒不安定性、興奮、無関心、過敏性と病前の協調性が有意に関連していた。 著者らは「病前性格は、DLBおよびADにおいて、BPSDに異なった影響を及ぼしていることが示された。BPSDに対する病前性格の影響差を考慮すると、これら症状を軽減するための介入を開発するには、さらなる研究が必要である」としている。関連医療ニュース 認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 統合失調症患者の性格で予後を予測

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うつ病スクリーニングがたった2つの質問で可能

 高齢者に対するうつ病のスクリーニングは推奨されている。中国・香港中文大学のKelvin K F Tsoi氏らは、高齢者における2項目スクリーン(Two-Question Screen)の診断精度を評価し、ほかのうつ病スクリーニング法と比較した。2項目スクリーンの質問項目は、「過去1ヵ月間で、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分、絶望的な気分になりましたか」および「過去1ヵ月間で、しばしば小さなことに悩まされたり、何をしても楽しくないと感じますか」である。The British journal of psychiatry誌オンライン版2017年2月16日号の報告。うつ病スクリーニングにおいて、2項目スクリーンが診断精度良好 高齢者における、うつ病スクリーニング法の診断精度を評価した研究の、文献検索を行った。主要アウトカムは、感受性と特異性を含む総合的な診断精度とした。潜在的なバイアスリスクと研究の質についても評価した。 うつ病スクリーニング法の診断精度評価の主な結果は以下のとおり。・133件の研究において、4万6,651例が16種類のスクリーニング法により評価されていた。・大部分の研究(64/133件)において、さまざまなバージョンの老年期うつ病評価尺度(Geriatric Depression Scale:GDS)が使用されており、2項目スクリーンは6件で使用されていた。・2項目スクリーンの総合感受性と特異性は、91.8%(95%CI:85.2~95.6)と67.7%(95%CI:58.1~76.0)であった。また、診断精度のAUCは90%であった。・2項目スクリーンは、臨床医評価尺度を含むほかの尺度と同等の精度を示した。・1項目スクリーンは、AUCが78%であり、診断精度が最も低かった。・サブグループ解析においても、うつ病のスクリーニングにおいて、2項目スクリーンの良好な診断精度が示された。 著者らは「2項目スクリーンは、うつ病スクリーニングのためのシンプルかつ簡便な診断法である。その診断精度は、ほかの診断法と同等であり、高齢者のスクリーニングプログラムに使用することが好ましい」としている。

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重度な精神疾患+物質使用障害、自殺リスクへの影響

 重度の精神疾患患者における物質使用障害(SUD:substance use disorder)と自殺や自殺企図との関連性について、デンマーク・コペンハーゲン大学のMarie L D Ostergaard氏らが評価を行った。Addiction誌オンライン版2017年2月13日号の報告。 時間変動を共変量して、SUDの調整されたCox回帰を用いた、デンマークにおけるレジストリベースのコホート研究として実施した。対象者は、1955年からデンマークで生まれた統合失調症患者3万5,625例、双極性障害患者9,279例、うつ病患者7万2,530例、パーソナリティ障害患者6万3,958例。アルコールおよび非合法物質のSUD治療、自殺企図は、治療レジストリより確認した。自殺は、死亡原因レジストリより確認した。共変量は、診断時の性別および年齢とした。 主な結果は以下のとおり。・いずれかのSUDを有する患者は、非SUDと比較して、自殺リスクが3倍以上であった。・アルコールの乱用は、ハザード比(HR)1.99(95%CI:1.44~2.74)~2.70(95%CI:2.40~3.04)のすべての集団において、自殺リスク増加と関連していた。・他の非合法物質は、双極性障害を除く集団において、自殺リスクの2~3倍の増加と関連していた。大麻は、双極性障害患者における自殺企図リスクの増加とのみ関連していた(HR:1.86、95%CI:1.15~2.99)。・アルコール(HR:3.11[95%CI:2.95~3.27]~3.38[95%CI:3.24~3.53])および非合法物質(HR:2.13[95%CI:2.03~2.24]~2.27[95%CI:2.12~2.43])は、それぞれ自殺企図と強い関連性を示した。・大麻は、統合失調症患者の自殺企図とのみ関連していた(HR:1.11、95%CI:1.03~1.19)。関連医療ニュース 双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント 日本成人の自殺予防に有効なスクリーニング介入:青森県立保健大 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か

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テロ襲撃後のPTSDやうつ病、2年前のバルド国立博物館襲撃事件より

 2015年3月18日、2人の武装勢力がチュニジア・チュニスのバルド国立博物館を襲撃し、23人の外国人観光客が犠牲となった。チュニジア・University of Tunis El ManarのFeten Fekih-Romdhane氏らは、人口統計学的要因および社会的支援に関連した、襲撃4~6週間後の博物館勤務者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)とうつ症状を評価し、PTSDとうつ症状の決定要因および予測因子を分析した。Community mental health journal誌オンライン版2017年2月7日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・回答者の68.6%は心的外傷後ストレス症状のカットオフ値(IER-Sスコア33超)を上回っており、40.6%は重度のうつ症状(DASS-うつ病スコア20超)を報告した。・男女間で、症状の重症度に有意な差はなかった。・PTSDおよびうつ症状の最も良い予測因子は、社会的支援の低さであった。・テロ襲撃後の被害者にとって、ソーシャルネットワーク内の結びつきを強化する介入は、とくに有用であることが示唆された。関連医療ニュース 東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大 震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 震災による被害で認知症リスク増加

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抗うつ薬の適応外処方、普及率はどの程度

 プライマリ・ケアにおける抗うつ薬の適応外処方を調査し、適応外処方の科学的サポートレベルについて、カナダ・マギル大学のJenna Wong氏らが、検討を行った。BMJ誌2017年2月21日号の報告。 効能・効果ベースの電子処方箋システムを用いた、プライマリ・ケア医による抗うつ薬の処方に関する記述的研究。対象施設は、カナダ・ケベック州の2つの主要都市センター周辺のプライマリ・ケア施設。対象は、2003年1月~2015年9月に対象医師を受診し、電子処方箋システムにより抗うつ薬を処方された18歳以上の患者。主要アウトカムは、クラスおよび個々の抗うつ薬の適応外処方の普及率とした。抗うつ薬の適応外処方は、以下の各カテゴリにおける処方割合として測定した。(1)各適応症に対する処方薬使用をサポートする強力なエビデンス、(2)処方薬の強力なエビデンスはないが、同クラスの他剤使用をサポートする強いエビデンス、(3)処方薬および同クラスの他剤使用をサポートする強力なエビデンスがない。不眠症に対するトラゾドンの使用が抗うつ薬の適応外処方で最も多い 抗うつ薬の適応外処方を研究した主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬の処方箋は、医師174人より2万920例の患者に対する10万6,850件であった。・クラス別では、三環系抗うつ薬の適応外処方が最も高かった(81.4%、95%CI:77.3~85.5%)。とくにアミトリプチリンが高かった(93%、95%CI:89.6~95.7%)。・不眠症に対するトラゾドンの使用は、抗うつ薬の最も一般的な適応外処方であり、すべての適応外処方の26.2%(21.9~30.4%)を占めていた。・すべての適応外処方のうち、わずか15.9%(13.0~19.3%)が、それぞれの適応症に対する強い科学的エビデンスを有していた。・処方薬の強力なエビデンスはないが、同クラスの他剤使用をサポートする強いエビデンスを有する適応外処方は、39.6%(35.7~43.2%)であった。・処方薬および同クラスの他剤使用をサポートする強力なエビデンスがない適応外処方は、44.6%(40.2~49.0%)であった。 著者らは「プライマリ・ケア医による抗うつ薬の適応外処方は、同薬剤の科学的エビデンスは少ないまでも、同クラスの強いエビデンスを有することが多かった。処方の決定を最適化するために、抗うつ薬の適応外使用に関するエビデンスを生成し、プライマリ・ケア医に提供することが重要である」としている。関連医療ニュース うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は FDAの承認が抗精神病薬の適応外処方に与える影響 自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割

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自殺企図後も生き続けるためのプロセス

 うつ病は、自殺や自殺企図の強力な危険因子である。これまでの研究では、自殺企図へのパスウェイについて検討されてきたが、自殺克服のために重要な点について検討した研究はほとんどない。スウェーデン・ルンド大学のLisa Crona氏らは、自殺企図後、生き続けるための個人の戦略について検討を行った。BMC psychiatry誌2017年2月13日号の報告。 理論に基づく定性的なアプローチを用いた。1956~69年に重度のうつ病と診断された元入院患者13例を対象に、最後の自殺企図(21~45歳時に経験)から42~56年フォローアップを行った。2013年6月~2014年1月までに1度、半構造化インタビューを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・自殺企図へのパスウェイは「抵抗できないほどの状況に追い込まれた」と定義した。・回復プロセスは「プロフェッショナルケア」「個人の状況での緩和」「生き続ける決断」の3つのカテゴリで構成されていた。・これらのカテゴリから「コントロールを取り戻すことによって自分自身をケアする」とラベルされたコアカテゴリが浮かび上がってきた。・うつ病からの回復とは無関係に自殺の克服が起こっていた。 著者らは「自殺企図後のケアは、非常に長期的であり、回復プロセスは多面的かつ変動的である。適切な治療、他者とのつながり、意思決定問題の克服が必要となる」としている。関連医療ニュース 日本成人の自殺予防に有効なスクリーニング介入:青森県立保健大 双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント 自殺予防に求められる、プライマリケア医の役割

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抗精神病薬のプロラクチンへの影響、ARPとQTPどちらが低い

 高プロラクチン血症は、抗精神病薬により問題となる副作用の1つである。これまで、高プロラクチン血症に関する第2世代抗精神病薬間での直接比較を行った臨床事例はほとんどない。スペイン・カンタブリア大学のBenedicto Crespo-Facorro氏らは、プロラクチンへの影響が少ないといわれている第2世代抗精神病薬の種類によりプロラクチンレベルに違いがあるか、それは性別により影響を受ける可能性があるかを検討した。Schizophrenia research誌オンライン版2017年2月17日号の報告。 初回エピソードの非感情性精神病(non-affective psychosis)患者のプロラクチン血漿レベルに対し、プロラクチンへの影響が少ないといわれている3種類の抗精神病薬(アリピプラゾール、クエチアピン、ziprasidone)の1年間の治療効果の違いを調査した。2005年10月~2011年1月まで、無作為化プロスペクティブオープンラベル研究を行った。対象患者141例は、アリピプラゾール群(56例)、クエチアピン群(36例)、ziprasidone群(49例)に無作為に割り付けられた。主要アウトカムは、3種類の抗精神病薬の1年間の追跡調査におけるプロラクチン血漿レベルの差とした。プロラクチンレベルは、分布に偏りがあったため、統計解析前にログ変換を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール群の男性は、プロラクチン血漿レベルの増加リスクが低かった(n=71、F=12.645、p<0.001)。・男性では、プロラクチンの平均変化量が小さく、性差の影響が認められた。・アリピプラゾール群の高プロラクチン血症リスクは19.6%で、クエチアピン群(44.4%)、ziprasidone群(32.7%)と比較し、減少していた(p=0.038)。男性において非常に類似した所見が認められた(p=0.040)。・女性では、有意な差が認められなかった。・軽度のプロラクチン過剰率は、アリピプラゾール群14.3%、クエチアピン群36.1%、ziprasidone群18.4%であった(χ2=6.611、p=0.037)。関連医療ニュース 統合失調症に対する増強療法、評価が定まっている薬剤はこれだけ 高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か リスペリドン誘発性高プロラクチン血症、減量で軽減するのか

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日本成人の自殺予防に有効なスクリーニング介入:青森県立保健大

 自殺予防にスクリーニング介入が有効であることが示唆されている。しかし、中年期の自殺による死亡など、アウトカム対策への影響について報告された研究はほとんどない。青森県立保健大学の大山 博史氏らは、日本のコニュニティベースにおける介入群と対照群の自殺率の比較を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年2月14日号の報告。 日本のコニュニティベースの介入を行った自治体(介入群)と対照群をマッチさせた準実験的な並列クラスタ設計を用いた(総適格人口:9万人)。介入群の住民には、一般的なうつ病スクリーニングとその後のケアサポートを行った。40~64歳成人を対象に、実施前後4年間の自殺率の変化を、介入群、対照群、全国と比較した。アウトカム発生率比(IRR)の算出には、年齢、性別、相互作用で調整し、混合効果陰性2項回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングの手続きは52%で行われ、そのうち61%が実施期間中にレスポンスがあった。・介入群は、対照群と比較し、自殺率が低下した(IRR:0.57、95%CI:0.41~0.78、F 1,36=12.52、p=0.001)。また、全国と比較し、自殺率が低下した(IRR比:1.64、95%CI:1.16~2.34、F 1,42=8.21、p=0.006)。・1次分析結果は、感受性分析により確認された。・実施期間中の対照群と比較し、スクリーニングに対するレスポンダー、非レスポンダー共に自殺率が低かった。 著者らは「自殺予防のためのうつ病のスクリーニング介入は、自殺率を低下させるであろう」としている。関連医療ニュース 双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント 自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割 うつ病や自殺と脂質レベルとの関連

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双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント

 双極性障害(BD)のとくに疾患フェーズに関連する自殺企図の発生率やリスク因子を調査した長期的な研究は少ない。フィンランド・National Institute of Health and WelfareのSanna Pallaskorpi氏らは、双極I型障害(BD-I)および双極II型障害(BD-II)患者の長期プロスペクティブコホート研究において、BDのさまざまなフェーズにおける自殺企図の発生率とうつ病エピソード期における自殺企図のリスク因子について調査した。Bipolar disorders誌オンライン版2017年2月8日号の報告。 Jorvi Bipolar Study(JoBS)では、BD-IおよびBD-II患者191例を対象に、ライフチャート法を用いて追跡した。異なる疾患フェーズの患者177例(92.7%)の自殺企図に関するプロスペクティブな情報は、最大5年が利用可能であった。自殺企図の発生率およびその予測因子は、ロジスティック回帰、ポアゾン回帰モデルを用いて調べた。うつ病エピソード期に発生する自殺企図のリスク因子には、2項ランダム切片ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・5年間のフォローアップ期間中に、718患者年当たり90件の自殺企図が発生した。・発生率は、混合状態で最も高く、正常状態より120倍以上であった(765/1,000人年、95%CI:461~1,269人年)。また、うつ病エピソード期でもとても高く、正常状態より約60倍高かった(354/1,000人年、95%CI:277~451人年)。・うつ病エピソード期の自殺企図リスクの重要な予測因子は、うつ病エピソードの持続期間、うつ病の重症度、クラスターCのパーソナリティ障害であった。 著者らは「この長期にわたる研究により、自殺企図は、混合状態およびうつ病フェーズで起こることが確認された。自殺企図の発生率の変動は、正常状態と病期の間で顕著に大きく、BD患者の自殺リスクは、“だれ”よりも“いつ”に関連する可能性が高いことが示唆された。しかし、うつ病エピソードのリスクは、パーソナリティ要因の影響を受ける可能性が高い」としている。関連医療ニュース 自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割 うつ病から双極性障害へ移行しやすい患者の特徴 双極性障害の再発エピソード、持効性注射剤の効果は

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日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

 不眠症の患者数は、高齢化社会に伴い急速に増加している。認知機能、情動機能、ADL機能に対する不眠症の影響は十分に研究されていない。岡山大学の菱川 望氏らは、日本人高齢者の不眠の有病率や認知機能、情動機能、ADL機能に対する影響について、性別、年齢により比較した。Neurological research誌オンライン版2017年2月9日号の報告。 対象は、地方行政の健康診断を受けた高齢者コミュニティ住民142人。対象者は、MMSEを含む認知機能、情動機能、ADL機能テストを行った。アテネ不眠尺度(AIS)スコアに基づいて2つのサブグループに分類し(AIS 3以下とAIS 4以上)、性別、年齢による認知機能、情動機能、ADL機能を比較した。 主な結果は以下のとおり。・主観的な不眠症(AIS 4以上)は、36.2%で認められ、男性よりも女性で多かった。・AISサブグループ間での認知機能に差は認められなかった。・男女ともに、老年期うつ病評価尺度(GDS)スコアは、AIS 3以下群よりもAIS 4以上群で有意に高かった。・やる気(Apathy Scale)スコアは、AIS 4以上群の男性で有意に高かった。・AISサブスケールのうち「日中の眠気」は、男性よりも女性で有意に高く(p<0.01)、とくに75歳以上で顕著であった(p<0.01)。・この高齢女性群は、Trail Making Testスコアが有意に低かった(p<0.05)。 著者らは「不眠症は、日本人高齢者コミュニティにおいて36.2%に認められた。不眠症患者では、抑うつ症状が多く認められ、男性ではやる気の低下を示した。75歳以上の女性における最も特徴的な点は、日中の眠気の頻度が高いことで、注意や執行機能の低下に関連する可能性がある」としている。関連医療ニュース 不眠症になりやすい食事の傾向 一般開業医でも不眠症治療を効果的に行うためには 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは

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初発統合失調症、陰性症状の経過と予測因子

 初回エピソード統合失調症(first-episode schizophrenia:FES)の2年以上のフォローアップにおける陰性症状の経過とその安定性、フォローアップ後の陰性症状の重症度を予測する因子について、スペイン・Hospital Clinic de BarcelonaのGisela Mezquida氏らが検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年2月6日号の報告。 本検討は、2年間のプロスペクティブフォローアップ研究。対象患者は、FES患者268例(DSM-IV診断)。3回以上の診察で陰性症状の変化についてフォローアップを完了した患者を分散分析により評価した。2年間のフォローアップにおける陰性症状との相関および潜在的な予測因子の検討には、回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・陰性症状は、FES1年間後のフォローアップでは重症ではなく、2年まで安定しており、時間に対する有意な効果が認められた(Time1>Time2>Time3、F(2,151)=20.45、p<0.001)。・発症前の調整の不十分さ(p=0.01)、ベースライン時の高い陰性症状(p<0.001)は、FES2年後の陰性症状の重症度の変化に有意に寄与した(R2=0.21、p<0.001)。 著者らは「本検討より、FES1年後に陰性症状の軽減が認められた。この変化は、2年間安定していた。統合失調症の経過において初期段階で陰性症状が存在し、発症前の調整が不十分だと、中間アウトカムでより重度な陰性症状を予測する」としている。関連医療ニュース 統合失調症に対する増強療法、評価が定まっている薬剤はこれだけ 抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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活動性潰瘍性大腸炎への糞便移植療法―無作為化試験(解説:上村 直実 氏)-650

 わが国で患者数16万人と推定されている潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関しては、活動性UCの寛解導入および寛解維持を目的として、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、ステロイド製剤、免疫調節薬、抗TNF製剤、血球成分除去療法などが使用されているが、最近、「腸内フローラ」の調整を目的とした抗生物質療法や糞便移植療法に関する報告が散見されるようになっている。 糞便移植療法は、再発性のClostridium difficile感染症に対する有用性が確立されているが、今回、活動性UCに対する有効性と安全性を検証した臨床研究結果がLancet誌に掲載された。オーストラリアでの多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験(RCT)の結果、非血縁者複数の糞便移植を、最初は回腸末端から施行し、その後、週に5回、8週間の自己注入した糞便移植群の有効率(41例中11例:27%)がプラセボ群(40例中3例:8%)と比較して有意に高率であった。なお、“有効”とは内視鏡的活動性の低下および症状緩和に対するステロイドの依存率の低下であった。 本邦における糞便移植療法は1回のみの糞便移植であり、数施設で臨床研究が開始されたばかりで薬事承認もされていない。この報告に対して正直にコメントすると、「有効率がもっと高率でなければ、これほど面倒な治療を日本の臨床現場ですぐには使えない」である。 一方、16S rRNA解析による腸内細菌叢の検討から、フゾバクテリウム属種の出現が活動性UCの寛解を阻害する結果が本研究でも得られたが、Ohkusa氏らによるフゾバクテリウムをターゲットとした抗菌薬治療の有用性を示す研究結果を考慮すると、今後、UCの中で腸内フローラに影響を受けるグループの亜分類が存在する可能性が示唆された。 この「腸内フローラ」に関しては、便秘や肥満、糖尿病など代謝に関係する疾患や、うつ病やアレルギーさらには悪性腫瘍との関連についても注目されており、日本における研究の推進が期待される。■「糞便移植」関連記事糞便移植は潰瘍性大腸炎の新たな治療となるか/Lancet

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自殺予防に求められる、プライマリ・ケア医の役割

 自殺リスクの高い患者を特定するための効果的なスクリーニングシステムは、韓国のプライマリ・ケアにおいて存在しない。韓国・中央大学のYoon-Joo Choi氏らは、プライマリ・ケア患者の自殺念慮とうつ病の有病率を調査し、プライマリ環境において自殺念慮とうつ病の患者を診察する医師の認識およびマネジメント戦略の割合を調査した。International journal of mental health systems誌2017年2月7日号の報告。 プライマリクリニックおよびその勤務医師を受診した患者に対する、2部構成の調査として実施された。(1)患者への調査は、2つの地域で17日以上にわたり実施し、社会人口統計学的調査、健康行動調査、自殺念慮とうつ病の有病率を評価した。対象者は、外来患者1,363例(都市部在住:848例、農村部在住:515例)であった。(2)自殺念慮とうつ病患者に対する医師の認識およびマネジメント状況を調査した。対象者は、ローカル診療所15ヵ所(都市部:8ヵ所、農村部7ヵ所)の勤務医師18人であった。 主な結果は以下のとおり。・プライマリ環境における自殺念慮の有病率は18.3%(95%CI:16.2~20.3)、うつ病の有病率は13.9%(95%CI:12.6~15.7)であった。・自殺念慮とうつ病の割合は、一般人口と比較し、それぞれ約2.4倍、約1.4倍であった。・15ヵ所の診療所勤務医師のうち、自殺念慮を認識していなかったのは10ヵ所(69.7%)、うつ病を認識していなかったのは4ヵ所(26.7%)であった。・自殺念慮を認識していた医師6人中5人(83.3%)と、うつ病を認識していた医師14人中4人(38.6%)は、紹介準備なしで精神科紹介のみを行った。 著者らは「本知見は、プライマリ環境において、自殺念慮やうつ病を有する患者の多くは、十分な診断や治療がされていないことを示唆している。プライマリ・ケア環境の医師は、自殺念慮とうつ病の診断やマネジメントに関する教育、トレーニングを利用できるようにすべきである」としている。関連医療ニュース うつ病や自殺と脂質レベルとの関連 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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高齢者のケアでは人とのつながりを重視したケアが有効か(解説:岡村 毅 氏)-649

 うつ病とまではいえないものの、元気のない高齢者の健康維持やうつ病予防に、collaborative care(よく使用されている訳語はないと思われ、タイトルは意訳です)が効果的とする報告である。具体的には、精神保健の専門家であるケースマネジャーが本人と顔のみえる関係を結び、かかりつけ医や専門家と協働し、尺度やエビデンスに基づいたケアをするという介入である。ここでは行動の活性化を志向している。また、抗うつ薬の内服は問わない。 一般的に高齢期には、健康問題を有し、配偶者や友人との喪失体験を有し、社会的な役割は少なくなり、日常生活の自由度は低下し、収入も減るものだ。もちろん、豊穣なる老年期を送られる方もおられる。しかし、老年精神医学の専門医・指導医として多くの高齢者の方と歩んだ経験からは、老年期は素晴らしいものだなどと無責任なことはいえない。「老」「病」「死」は、誰にとっても平等に訪れる試練である。それが人間というものだ。このことは、本研究の普遍性を示すだろう。つまり、精神的に健康な人生を歩んだ高齢者にとって他人事ではない報告なのだ。 ところで、本報告は大変素晴らしいものであるが、当たり前の結果にも思える。その人自身に対して責任をもってケアしてくれる人がいて、かかりつけ医などとの調整もしてくれるとなれば、つらい老年期を過ごしている人もきっと元気になることだろう。人を救うのは、人である。 話は変わるが、わが国では1998年をピークとして高齢者の自殺率は顕著に減少している。その関連要因として、私のような専門家が思いつくのは、2000年の介護保険法、2005年の地域包括支援センター創設である。孤独で、生きる意欲を失った高齢者は精神科外来で「治療する」ものではなく、もちろん入院させれば自殺は防げるというのは乱暴な解決だろう。介護保険を使ってヘルパーさんが来るだけで「死なないでおこう」と思う人はいるし、地域包括支援センターから職員が家まで来てくれたことをきっかけに、再び元気になる人が多い。あまり言う人がいないので言うが、厚生労働省の施策は非常に効果を上げているに違いない。違いないと書いたのは、エビデンスを寡聞にして知らないからである。RCTを行えるわけもないが、(学者の空想かもしれぬが)この事業が科学的に検証されていれば人類の英知となったのではと思う。本論文の考察の最後に「死亡率も減少したが、今後報告する」とさらっと書いてあったので触れた。これは重大な知見であり、おそらく再び一流ジャーナルに出してくるのであろう。 なお、介護保険でいうところのいわゆるケアマネジャーは、collaborative careにおけるそれとは質的に異なると思われることは付記しておく。

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統合失調症に対する増強療法、評価が定まっている薬剤はこれだけ

 統合失調症における抗精神病薬の多剤併用は、その有効性や安全性が不明瞭であることが一般的でコストがかかるため、多くの議論がなされている。ドイツ・シャリテ大学のBritta Galling氏らは、統合失調症に対するセカンドチョイスの抗精神病薬増強療法と継続的な抗精神病薬単独療法とを比較した無作為化試験のシステマティック文献検索とランダム効果メタ解析を行った。World psychiatry誌2017年2月号の報告。 共主要アウトカムは、総症状の減少、試験で定義されたレスポンスとした。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の増強療法は、単独療法と比較し、総症状の減少に関して優れていた(16試験、694例、SMD:-0.53、95%CI:-0.87~-0.19、p=0.002)。・しかし、優位性はオープンラベルと低クオリティの試験でのみ明らかで(各:p<0.001)、二重盲検(p=0.120)、高クオリティ試験(p=0.226)では検出されなかった。・試験で定義されたレスポンスは、抗精神病薬増強療法と単独療法で同様であり(14試験、938例、RR:1.19、95%CI:0.99~1.42、p=0.061)、二重盲検、高クオリティ試験とも有意ではなかった(各:p=0.990)。・クロザピンと非クロザピン増強療法の研究で結果が再現された。・全原因/特定原因による中止、臨床全般印象度(CGI:clinical global impression)、陽性症状、総合的症状、うつ症状に関して差は認められなかった。・増強療法により陰性症状の改善が認められたが(18試験、931例、SMD:-0.38、95%CI:-0.63~-0.13、p<0.003)、それはアリピプラゾール増強療法の研究のみであった(8試験、532例、SMD:-0.41、95%CI:-0.79~-0.03、p=0.036)。・いくつかの副作用に関する違いとして、D2アンタゴニスト増強療法は、不眠の少なさと関連していたが(p=0.028)、プロラクチン値の上昇が多かった(p=0.015)。アリピプラゾール増強療法は、プロラクチン値の低下(p<0.001)、体重減少(p=0.030)と関連していた。 著者らは「これらのデータより、統合失調症に対する抗精神病薬増強療法の一般的な実践は、アリピプラゾール増強療法による陰性症状の改善を除き、有効性に関する二重盲検、高クオリティ試験のエビデンスが不足している」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大 各抗精神病薬、賦活系と鎮静系を評価 高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か

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高齢の閾値下うつ病、協働ケアで改善/JAMA

 高齢の閾値下うつ病患者の治療において、協働ケア(collaborative care)は通常ケアに比べ、うつ症状を短期的に改善する可能性があることが、英国・ヨーク大学Simon Gilbody氏らが行ったCASPER試験で示された。英国では、閾値下うつ病の1次治療における抗うつ薬の有効性のエビデンスはほとんどないため推奨されておらず、心理療法は高強度の治療形態として、より重度の病態の治療として留保されるのが一般的だという。協働ケアは、メタ解析で閾値を満たすうつ病への効果が示されている。JAMA誌2017年2月21日号掲載の報告。プライマリ・ケアでの有効性を通常ケアと比較 CASPER試験は、閾値下うつ病の高齢患者を対象に、プライマリ・ケアにおける協働ケアによる介入の、症状緩和および重症化の予防効果を評価するプラグマティックな多施設共同群間並行無作為化試験(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢65歳以上、標準化された簡易2項目質問法(brief 2-item case-finding tool)でうつ症状がみられ、精神疾患簡易構造化面接法(MINI ver. 5.0)でDSM-IV基準の閾値下うつ病と診断された患者であった。 被験者は、協働ケアを受ける群または通常のプライマリ・ケアを受ける群に無作為に割り付けられた。協働ケアは、気分症状に関連する機能障害の評価を行うケースマネジャーが調整した。患者は行動活性化プログラムに参加し、週1回の研修を平均6回受けた。ケースマネジャーは、必要に応じてプライマリ・ケア医や精神科医の指導を受けた。 主要評価項目は、フォローアップ期間4ヵ月時の患者報告によるうつ病の重症度とし、患者健康質問票(PHQ)-9スコア(0~27点、点が高いほどうつ病が重度)で評価した。 2011年5月24日~2014年11月14日に、英国の32のプライマリ・ケア施設に705例が登録された。協働ケア群に344例が、通常ケア群には361例が割り付けられた。評価項目は全般に優れるが、試験参加維持率が低い ベースラインの全体の平均年齢は77(SD 7.1)歳、女性が58%を占めた。平均PHQ-9スコアは、協働ケア群が7.8(SD 4.71)、通常ケア群は7.8(SD 4.64)だった。4ヵ月時までに協働ケア群の24%(82/344例)、通常ケア群の10%(37/361例)がフォローアップできなくなり、試験参加維持率は83%だった。主要評価項目の解析は、それぞれ274例、327例で行われた。 4ヵ月時の平均PHQ-9スコアは、協働ケア群が5.36点と、通常ケア群の6.67点に比べ有意に低かった(平均差:-1.31、95%信頼区間[CI]:-1.95~-0.67、p<0.001)。この差は、12ヵ月時にも保持されていた(5.93 vs.7.25点、平均差:-1.33、95%CI:-2.10~-0.55、p=0.001)。 4ヵ月時までにうつ病基準(PHQ-9スコア≧10点)を満たした患者(新規にうつ病と診断された患者)の割合は、協働ケア群が17.2%(45/262例)、通常ケア群は23.5%(76/324例)であり、有意な差は認めなかった(差:-6.3%、95%CI:-12.8~0.2、相対リスク[RR]:0.83、95%CI:0.61~1.27、p=0.25)が、12ヵ月時には協働ケア群が有意に低かった(15.7 vs.27.8%、差:-12.1%、95%CI:-19.1~-5.1、RR:0.65、95%CI:0.46~0.91、p=0.01)。 抗うつ薬の使用率は、4ヵ月時(9.9 vs.14.3%、RR:0.73、p=0.08)、12ヵ月時(9.8 vs.15.7%、RR:0.84、p=0.33)とも両群に差はなかった。また、健康関連QOLの評価では、SF-12の身体機能(4ヵ月時:p<0.001、12ヵ月時:p=0.02)および心の健康(4ヵ月時:p=0.009、12ヵ月時:p=0.007)が、いずれも協働ケア群で有意に良好であった。 不安症状の評価では、全般性不安障害評価尺度(GAD-7)が、4ヵ月時(p<0.001)、12ヵ月時(p=0.001)とも、協働ケア群で良好だった。また、12ヵ月間に、協働ケア群の5例(1.5%)、通常ケア群の18例(5.0%)が死亡し、有意な差がみられた(p=0.008)。 著者は、「協働ケアの効果は12ヵ月時も持続していたが、症例の減少率が高いため結果の信頼性には限界があり、長期的な効果の評価にはさらなる研究を要する」としている。

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