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クエチアピン徐放製剤とオランザピンの日本人双極性うつ病に対する有効性の違い

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、日本人双極性うつ病患者におけるクエチアピン徐放製剤300mg/日(QUEXR300)とオランザピン5~20mg/日(OLZ)との有効性および安全性の違いについて、比較検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。クエチアピンとオランザピンの双極性うつ病患者への有効性に有意差なし 日本におけるQUEXR300とOLZの第III相臨床試験のデータを用いて、ベイズ分析を行った。アウトカムは、寛解率(主要)、奏効率、Montgomery Asbergうつ病評価尺度および17項目のハミルトンうつ病評価尺度スコアの改善、中止率、有害事象発生率とした。連続データと二値データについて、標準化平均差(SMD)、リスク比(RR)、95%信頼区間(CI)をそれぞれ算出した。 クエチアピン徐放製剤とオランザピンの日本人双極性うつ病患者における有効性の違いを比較した主な結果は以下のとおり。・有効性に関して、QUEXR300とOLZでは有意な差は認められなかった。・安全性に関しては以下のとおりであった。 ●QUEXR300はOLZよりも、傾眠の発生率が高かった(RR:5.517、95%CI:1.563~19.787)。 ●OLZはQUEXR300よりも、体重増加が重度で(SMD:-0.488、95%CI:-0.881~-0.089)、血中プロラクチン濃度が高かった(SMD:-0.642、95%CI:-1.073~-0.213)。 ●OLZはQUEXR300よりも、HDLコレステロールレベルの減少がより大きかった(SMD:-0.408、95%CI:-0.785~-0.030)。 著者らは「両剤の有効性に違いは認められなかったが、OLZはメタボリックシンドロームのリスクを、QUEXR300は傾眠リスクを上昇させた。本結果を確認するためには、日本人双極性うつ病患者に対する両剤の直接比較試験が必要である」としている。

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妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病リスク

 これまでの研究において、妊娠中の抗うつ薬使用に関連する妊娠糖尿病について中程度のリスクが観察されている。しかし、これは適応症による交絡の可能性も考えられる。米国・ワシントン大学のPaige D. Wartko氏らは、交絡を考慮したうえで、妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病との関連性および血糖値の評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2019年7月12日号の報告。 電子健康データとリンクしたワシントン州の出生記録を用いて、Kaiser Permanente Washington(総合医療提供システム)に登録されている女性のうち妊娠前6ヵ月間で抗うつ薬を処方されていた女性を対象に、2001~14年の間に単胎児出生のレトロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠中も抗うつ薬を使用していた女性を継続群(1,634例)、使用していなかった女性を中止群(1,211例)とした。妊娠糖尿病の相対リスク(RR)およびスクリーニング時の血糖値の平均差を算出するため、治療重み付け逆確率を用いた一般推定式を使用した。ベースライン特性にはメンタルヘルス状態および重症度の指標が含まれる。 主な結果は以下のとおり。・中止群と比較し、継続群の妊娠糖尿病リスク(RR:1.10、95%CI:0.84~1.44)および血糖値(平均差:2.3mg/dL、95%CI:-1.5~6.1mg/dL)は、同程度であった。・特定の抗うつ薬についてもほぼ同様の結果が観察された。セルトラリン(RR:1.30、95%CI:0.90~1.88)およびベンラファキシン(RR:1.52、95%CI:0.87~2.68)に関連する妊娠糖尿病リスクの潜在的な影響が認められたが、いずれも統計学的に有意ではなかった。 著者らは「妊娠中に抗うつ薬を使用している女性では、妊娠糖尿病や高血糖リスクが高いわけではないことが示唆された。セルトラリンとベンラファキシンについては、さらなる研究が必要かもしれない」としている。

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精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサント1週間投与のオープンラベル試験

 精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサントの有効性および安全性に関する報告は、これまで行われていなかった。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、精神疾患患者を対象に、不眠症に対するスボレキサントの1週間プロスペクティブ臨床試験を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。 試験開始の前週に不眠症状(総睡眠時間[TST]6時間未満、入眠時間[TSO]30分以上、入眠後2回以上の中途覚醒エピソードのいずれか)を4夜以上経験した精神疾患患者57例を対象に、スボレキサント固定用量による1週間の単一群プロスペクティブ臨床試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は49.4±17.3歳、女性の割合は54.4%、うつ病患者49.1%、試験完了率77.2%であった。・スボレキサント投与は、ベースラインスコア(試験開始前2日間の平均スコア)と比較し、1週目のTST、TSO、中途覚醒、患者睡眠満足度の有意な改善と関連が認められた。・有害事象が発現した患者は43.9%であった。主な有害事象は、眠気(28.8%)、疲労感(11.5%)、悪夢(5.8%)、頭痛(3.8%)、めまい(3.8%)、嘔吐(1.9%)であった。 著者らは「スボレキサントは、精神疾患患者の不眠症治療に有用な薬剤である。しかし、本研究は短期間であり、対象患者数も少数であったことから、より大規模な長期試験が必要とされる」としている。

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統合失調症患者の自殺企図の頻度~観察研究のメタ解析

 自殺企図は、自殺および将来の潜在的な死亡リスクに影響を及ぼす重要な指標である。しかし、自殺企図の有症率は、研究間でばらつきがある。中国・マカオ大学のLi Lu氏らは、統合失調症患者の自殺企図の有症率を調査するため、メタ解析を実施した。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 各データベース(Embase、PsycINFO、PubMed、Web of science、Cochrane)よりシステマティックに検索を行った。統合失調症患者の自殺企図の有症率に関するデータを、ランダム効果モデルを用いてプールした。 主な結果は以下のとおり。・対象は、35研究、統合失調症患者1万6,747例であった。・自殺企図のプールされた生涯有症率は26.8%(95%CI:22.1~31.9%、I2=97.0%)であり、発症後1年間、1ヵ月、全体の自殺企図の有症率は、それぞれ3.0%(95%CI:2.3~3.7%、I2=95.6%)、2.7%(95%CI:2.1~3.4%、I2=78.5%)、45.9%(95%CI:42.1~49.9%、I2=0%)であった。・自殺企図の有症率の有意な高さと関連していた因子は、早期発症(Q=4.38、p=0.04)、高所得国(Q=53.29、p<0.001)、北米、ヨーロッパ、中央アジア(Q=32.83、p<0.001)であった。 著者らは「統合失調症患者の自殺企図は、とくに発症年齢が若く、高所得の国や地域で生活する人に多く見られる。臨床ケアの一部として、定期的なスクリーニングや効果的な予防法が実施されるべきである」としている。

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日本における青年期うつ病のマネジメント

 日本において、小児うつ病患者に対し承認されている抗うつ薬治療は、今のところ存在しない。北海道大学の齊藤 卓弥氏らは、日本で治療を受けている青年期うつ病の有病率を推定し、その際に使用される薬理学的治療、さらに小児うつ病治療の専門医の中で満たされていないニーズについて調査を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2019年7月3日号の報告。 本調査は、臨床診療における医師間のインターネット調査として、2014年11月に実施した。青年期うつ病患者を治療する可能性のある医師731人と、過去12ヵ月間で青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人を対象とした。青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人の内訳は、内科医60人、精神科医73人、日本児童青年精神医学会、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会のいずれかの認定専門医28人であった。対象者は、うつ病患者、薬物療法、処方薬に関するアンケートに回答した。 主な結果は以下のとおり。・有病率データの推定では、日本には異なる医療専門分野に約55万人の青年期うつ病患者がおり(うつ病患者全体の10%)、これらの患者の約64%が薬物療法を受けていた。・青年期うつ病に対する薬物療法は、主に精神科医により行われていた(62%)。・最も一般的な第1選択薬は、セルトラリン(23%)であり、次いで抗不安薬(17%)、フルボキサミン(13%)であった。また、抗精神病薬は7%であった。 著者らは「日本における青年期うつ病の有病率は、高いことが示唆された。青年期うつ病患者は多くの医療分野で診察されており、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬を含むさまざまな薬物療法が一般的に行われている。日本人青年期うつ病に対し承認された治療法の医学的ニーズがあると考えられる」としている。

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この耳鳴りは治療が必要な耳鳴りか

 2019年7月18日、『耳鳴診療ガイドライン 2019年版』の発刊に寄せ、金原出版はメディアセミナーを都内で開催した。 一般外来でも耳鳴の主訴は多いが、自然に改善することもあるために放置されるケースもあり、見過ごされている。しかし、高齢社会となり、耳鳴にともなう難聴や生活・認知機能への影響なども指摘され、これらへの対応として今回、耳鳴診療ガイドラインが日本聴覚医学会耳鳴研究会により編集された。ガイドラインが「強く推奨する」耳鳴りの治療法 講演では、「耳鳴りに悩む患者さんたちへ~標準的な診断と治療~」をテーマに神崎 晶氏(慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科学教室 専任講師)を講師に迎え、耳鳴の診療とともにガイドラインの概要が説明された。 耳鳴患者の有病者数は全人口の15~20%(うち65歳以上が約30%)とされ、わが国では2~3%(約300万人)いると推定されている。診断では一般的な問診のほか耳鳴苦痛度質問表での評価、耳内の所見観察、純音聴力検査、耳鳴検査などが行われる。また、臨床では非拍動性の耳鳴が多く、その多くは加齢に伴う難聴と診断される場合が多いという。専門医への紹介のメルクマールとしては、難聴の有無がその1つとされ、患者が生活への支障を訴えた場合も治療介入の対象になる。 現在の標準的治療としては、教育的カウンセリングが行われ、次に音響療法や認知行動療法、そして条件付きながら薬物療法として抗うつ薬、抗不安薬などの処方、サウンドジェネレーターの装着、人工内耳の手術などが行われる。また、教育的カウンセリングと認知行動療法は、耳鳴診療ガイドラインの中で「実施を強く推奨する」に位置付けられている(ただし認知行動療法は現時点で保険未適応)。耳鳴診療ガイドラインに記載されたCQ つぎに耳鳴診療ガイドラインの内容について、「クリニカルクエスチョン(CQ)は10項目が記載され、システマティックレビューは1,214の文献を抽出。MINDS診療ガイドラインに準拠した作成がされている」と説明を行った。 たとえばCQ3「それぞれの治療の長所と短所は何か」では、「薬物療法は、エビデンスが低く、副作用を伴うものもあり」とされ、「耳鳴り順応療法、補聴器、音響療法は、デバイスによる効果と補聴器による難聴への有効性がある」とされる。 CQ6では「薬物療法(漢方を含む)は耳鳴に効果があるか」では、「エビデンスがなく不適当としながらも、併存するうつ病、不眠、不安障害を軽減する」としているほか、「間接的に治療効果を高める可能性がある」などが記載されている。耳鳴診療ガイドラインの効果の検証が課題 最後に同氏は今後の課題として、耳鼻科領域で大規模臨床研究が遅れているわが国の現状から「新しい治療に関するエビデンス収集のための他施設大規模調査の必要性」、「本ガイドラインの効果の検証」、「治療選択アルゴリズムの作成」、「わが国における認知行動療法の開発とエビデンスの集積」、「複合補聴器の効果の検証」、「治療における費用対効果の検証」と6項目を挙げ、「今後、知見の集積ができれば、ガイドラインの改訂を行うこともある」と展望を示し、講演を終えた。

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統合失調症患者の再入院までの期間、持効性抗精神病薬vs.経口抗精神病薬

 統合失調症患者の再入院までの期間に、退院後の持効性抗精神病薬(LAI)治療または経口抗精神病薬治療によって違いがあるのか、台湾・高雄医学大学のChing-Hua Lin氏らが比較検討を行った。さらに、LAI処方率の傾向についても併せて調査を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年7月1日号の報告。 2006~17年に試験の実施施設から退院した統合失調症患者1万3,087例を対象に、退院後、自然主義的な条件下でフォローアップを行った。主要アウトカムは、再入院までの期間とした。LAIと経口抗精神病薬および第1世代LAIと第2世代LAIの比較において、生存分析を用いて評価した。LAIの処方率に関する時間的傾向の存在は、単純線形回帰およびコクラン・アーミテージ傾向検定を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・退院後1年間では、LAI群は、経口抗精神病薬群と比較し、再入院率が有意に低く、再入院までの期間が有意に長かった。・第1世代LAI群と第2世代LAI群では、再入院率および再入院までの期間に有意な差は認められなかった。・第1世代LAI群では、第2世代LAI群と比較し、抗コリン薬を投与された割合が有意に高かった。・LAI処方率は、2006~17年にかけて、年平均0.5%の有意な増加が認められた。 著者らは「再入院リスクの低減において、LAIは経口抗精神病薬よりも有意に優れていたが、第1世代LAIと第2世代LAIでは同等であった。しかし、第2世代LAIは、第1世代LAIよりも抗コリン薬併用率が低かった。LAI処方率の増加は、臨床医がLAIによる患者の治療で経験を積み、成功体験を重ねたことに起因すると考えられる」としている。

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ソーシャルメディア使用時間とうつ病や大量飲酒との関連

 思春期のソーシャルメディアの使用は、さまざまな否定的なアウトカムにつながっているが、この関連性については明らかとなっていない。ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのGeir Scott Brunborg氏らは、ソーシャルメディアに費やされた時間の変化が、思春期のうつ病、問題行動、一過性の大量飲酒と関連しているかを、一階差分(first-differencing:FD)モデルを用いて検討を行った。Journal of Adolescence誌7月号の報告。 ノルウェーの青年763人(男性の割合:45.1%、平均年齢:15.22±1.44歳)を対象に、6ヵ月間隔で2つのアンケートを実施した。ソーシャルメディアに費やされた時間の変化とうつ症状、問題行動、一過性の大量飲酒との関連性は、すべての時系列の要因を効果的にコントロールする統計手法であるFDモデルを用いて推定した。また、スポーツの頻度、教師不在でのレジャーの頻度、友人関係の問題の3つを経時的推定交絡因子として検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・3つの推定交絡因子で調整した後、ソーシャルメディアに費やされた時間の増加は、うつ症状(b=0.13、95%CI:0.01~0.24、p=0.038)、問題行動(b=0.07、95%CI:0.02~0.10、p=0.007)、一過性の大量飲酒(b=0.10、95%CI:0.06~0.15、p<0.001)の増加と関連が認められた。・しかし、これらの関連に対するエフェクトサイズは、あまり大きくはなかった。 著者らは「思春期においてソーシャルメディアに費やされた時間が増加すると、うつ症状、問題行動、一過性の大量飲酒の増加と、わずかではあるが関連することが示唆された」としている。

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双極性障害患者における日中の光曝露とうつ症状との関連

 光療法などの人工的な光曝露は、双極性うつ病に有効であるが、双極性障害(BD)患者におけるコントロールされていない日中の光曝露とうつ症状との関連は、明らかとなっていない。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、日常生活におけるBD患者の日中の光曝露とうつ症状との関連について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2019年9月号の報告。 本研究は、BD患者181例を対象とした横断的研究である。平均日中光強度および照度1,000ルクス以上の総時間を、周囲光を測定するアクチグラフを用いて、7日間連続で測定した。うつ症状はMontgomery Asbergうつ病評価尺度を用いて評価し、8点以上をうつ状態と定義した。 主な結果は以下のとおり。・うつ状態の患者は、97例(53.6%)であった。・平均日中光強度の三分位で最も高かった群では、うつ状態の割合が有意に低かった(p for trend=0.003)。・年齢、雇用状態、BD発症年齢、ヤング躁病評価尺度のスコア、就寝時刻、身体活動で調整後の多変量解析では、平均日中光強度の三分位で最も高かった群は、最も低かった群と比較し、うつ状態のオッズ比(OR)が有意に低かった(OR:0.33、95%CI:0.14~0.75、p=0.009)。・同様に、照度1,000ルクス以上の総時間の三分位で最も高かった群は、最も低かった群と比較し、うつ状態のORが有意に低かった(OR:0.42、95%CI:0.18~0.93、p=0.033)。 著者らは「BD患者では、日常生活における日中の光曝露の増加が、うつ症状の軽減と関連していることが示唆された」としている。

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日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤の長期試験

 日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピン徐放性製剤(XR)の有効性および安全性は、8週間のランダム化プラセボ対照二重盲検試験で示された。しかし、双極性障害は継続的な治療が必要とされる慢性疾患である。九州大学の神庭 重信氏らは、クエチアピンXRの長期的な有効性および安全性について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年6月26日号の報告。 8週間のクエチアピンXR二重盲検試験を完了した日本人双極性うつ病患者を対象に、長期的な有効性および安全性を評価するため、52週間のオープンラベル非対照延長試験を行った。有効性の評価には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床的全般改善度-双極性障害重症度(CGI-BP)を用いた。安全性の評価では、有害事象、臨床検査値、バイタルサイン、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均MADRS合計スコアは、ベースライン時の30.9(SD 6.9)から8週目で16.1(SD 10.6)、52週目で9.1(SD 8.7)まで低下した。・クエチアピンXR治療の長期的な有効性は、HAM-D17合計スコア、CGI-BPの重症度および変化量において認められた。・最も一般的な有害事象は、傾眠、鼻咽頭炎、口渇であった。・クエチアピンXRによる長期的な治療は、臨床検査値パラメータを含む安全性プロファイルに影響を及ぼさず、新たな安全性の懸念も認められなかった。 著者らは「日本人双極性うつ病患者に対するクエチアピンXRの有効性は、長時間持続し、新たな安全性の懸念も認められなかった」としている。

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非定型抗精神病薬治療に対する精神科医と精神科薬剤師の考え方

 統合失調症や双極性障害の治療選択は、その治療効果の不均一性により複雑化する。米国・イリノイ大学のDaniel R. Touchette氏らは、統合失調症および双極性障害への非定型抗精神病薬の治療選択に、臨床家の考え方や健康システム/保険政策がどのように影響するか検討を行った。Journal of Pharmacy Practice誌オンライン版2019年6月25日号の報告。 American College of Clinical Pharmacy(ACCP)およびCollege of Psychiatric & Neurologic Pharmacists(CPNP)のメンバーを対象に横断的調査を実施した。非定型抗精神病薬の有効性および安全性、薬剤選択に対する併存疾患の影響、非定型抗精神病薬の治療選択に影響を及ぼす因子に関する考え方を評価した。非定型抗精神病薬を選択する際に有効性と安全性は同程度に重要視 非定型抗精神病薬の治療選択への影響を検討した主な結果は以下のとおり。・対象は、精神科薬剤師24人および精神科医18人。・平均年齢は39.6歳、女性の割合は57.1%であった。・薬物療法の有効性と安全性を同程度に重要視していた臨床家は64.3%、安全性をより重要視していた臨床家は26.2%、有効性をより重要視していた臨床家は9.4%であった。・統合失調症における最も重要な薬剤特性は、陽性症状の軽減(92.7%)、入院の減少(87.8%)であった。・双極性障害における最も重要な薬剤特性は、躁病エピソードの軽減(87.8%)、再発の減少(53.7%)、入院の減少(53.7%)であった。・最も注意すべき懸念点は、無顆粒球症(78.1%)、不整脈(70.7%)、錐体外路系副作用(68.3%)であった。・処方制限は、抗精神病薬の選択(80.5%)、服薬アドヒアランス(55.0%)、治療結果(53.4%)に影響を及ぼすと考えられていた。 著者らは「非定型抗精神病薬を選択する際に、有効性と安全性は同程度に重要視されていた。処方制限は、治療選択や治療結果に影響を及ぼすと考えられている」としている。

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うつ病に対する森田療法~許容性に関する定性的研究

 日本において森田療法は広く認知されているが、英国ではほとんど知られていない。英国・エクセター大学のHolly Victoria Rose Sugg氏らは、英国における森田療法の許容性について検討を行った。BMJ Open誌2019年5月29日号の報告。 フレームワークアプローチで分析した治療後の半構造化面接により、森田療法と通常ケアについてランダム比較パイロット研究を実施した。英国・デボン州のGeneral Practiceデータより検索を行い、森田療法を受けた患者16例を抽出し、分析のために目的に応じてサンプリングした。 主な結果は以下のとおり。・患者の意見や森田療法の経験の違いにより、モデルとなる5つのテーマを特定した。・全体として、これまで経験した他の治療法との比較において、森田療法の価値を理解した患者の多くで受け入れられた。・これらの患者では、自然現象としてどう困難を受け入れ許容しているか、症状から外部要因へ注意を移行するか、などが強調され、症状軽減およびエンパワーメント感覚の促進が認められた。・治療に対する患者の期待と照らし合わせ、森田療法の原理を理解することが、森田療法の許容と有意に関連していることが認められた。・また調査結果は、森田療法の原理と実践の違いを強調しており、患者は安静時の恐怖や不快感などの治療プロセスの取り組み、セラピストからの十分な支援の必要性、治療コミットメントなどに注目していた。 著者らは「英国において、森田療法は受け入れられ、そのアプローチは有益かつ斬新であると思われる。したがって、森田療法の大規模研究が進行することは、臨床プロトコールの微修正につながるであろう。患者の期待や治療への理解が森田療法の許容に重要な役割を果たしており、今後の研究において、これら潜在的因子を調査する必要がある」としている。

1193.

アリピプラゾールやハロペリドールによる神経突起病変保護作用

 ドパミンD2受容体(D2R)の機能亢進は脳の発達に変化を及ぼし、その後、統合失調症に類似した症状を引き起こす。D2RがDISC1遺伝子(Disrupted in schizophrenia 1)と相互作用を示すことが知られているが、細胞内シグナル伝達や神経突起におけるこれらの相互作用の影響は、明らかとなっていない。オーストラリア・ウーロンゴン大学のPeng Zheng氏らは、皮質ニューロンにおけるAkt-GSK3βシグナル伝達および神経突起形態に対するD2R過剰活性の影響について検討を行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年6月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・D2R過剰活性は、皮質ニューロンにおけるプロテインキナーゼB(Akt)およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)リン酸化の減少と関連した神経突起損傷を引き起こした。・アリピプラゾールは、ハロペリドールと比較し、神経突起病変の予防において、より有効であった。・アリピプラゾールは、ハロペリドールと異なり、D2R機能亢進によって誘導されるホスホ(p)Akt-pGSK3βのダウンレギュレーションを保護し、このことは異なる経路の関与が示唆された。・DISC1突然変異マウスの皮質ニューロンにおいて、D2Rの機能亢進が認められ、これはキンピロール処置した皮質ニューロンにおいて、より重度の神経突起損傷を引き起こした。・Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)の蛍光免疫染色法では、皮質錐体神経細胞がD2R機能亢進誘導の神経突起損傷と関連していることが確認された。・D2R機能亢進が、pGSK3βシグナル伝達を変化させたD2R-DISC1複合体形成をもたらすことが、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)技術を用いて明らかとなった。 著者らは「D2R機能亢進誘導のD2R-DISC1複合体形成が、pAkt-pGSK3βシグナル伝達の減少と関連しており、神経突起障害を引き起こすことが示唆された。アリピプラゾールとハロペリドールは、神経突起病変を予防したが、異なる細胞内シグナル伝達経路を介していると考えられる」としている。

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うつ病に対するボルチオキセチン治療と自殺リスク

 米国・BlackThorn TherapeuticsのAtul R. Mahableshwarkar氏らは、成人うつ病患者に対するボルチオキセチン治療に関連する自殺念慮や自殺行動のリスクを評価するため検討を行った。CNS Spectrums誌オンライン版2019年6月14日号の報告。 自殺関連事象は、2つの試験プール(短期[6~8週間]プール試験:10ランダム化プラセボ対照試験、長期[52週間]プール試験:3オープンラベル拡大試験)を用いて事後評価した。自殺関連事象の評価には、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)および治療下で発現した有害事象(TEAE)のデータを用いた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、短期プール試験においてC-SSRSの自殺念慮または自殺行動が報告された患者の割合は、プラセボ(14.7%)と同程度であった(ボルチオキセチン5mg:19.8%、ボルチオキセチン10mg:13.0%、ボルチオキセチン15mg:11.2%、ボルチオキセチン20mg:13.7%、デュロキセチン:13.2%)。また、6~8週間の治療期間を通じて変化は認められなかった(プラセボ:17.0%、ボルチオキセチン5mg:19.3%、ボルチオキセチン10mg:13.5%、ボルチオキセチン15mg:12.6%、ボルチオキセチン20mg:15%、デュロキセチン:11.3%)。・短期プール試験でのTEAEに基づく自殺関連事象の発生率は、プラセボ0.4%、ボルチオキセチン5mg:0.2%、ボルチオキセチン10mg:1.0%、ボルチオキセチン15mg:0.7%、ボルチオキセチン20mg:0.7%、デュロキセチン:0.7%であった。・52週間のボルチオキセチン治療後での発生率は、C-SSRSの自殺念慮9.8%、C-SSRSの自殺行動0.2%、TEAEに基づく自殺関連事象1%未満であった。・いずれの研究においても、自殺は完遂されなかった。 著者らは「うつ病患者の自殺念慮や自殺行動リスクの増加に、ボルチオキセチンは影響を及ぼさないことが示唆された」としている。■「ボルチオキセチン」関連記事ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

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前立腺がんのアンドロゲン除去療法と認知症~15万例の解析

 アンドロゲンの低下は、除脂肪体重の減少や糖尿病、心血管疾患、うつ病など、アルツハイマー病や認知症の危険因子を増大させる可能性がある。前立腺がんにおけるアンドロゲン除去療法(ADT)は認知機能に影響するのだろうか。今回、米国ペンシルバニア大学のRavishankar Jayadevappa氏らが、15万例超の高齢前立腺がん患者のデータを分析したところ、アンドロゲン除去療法を受けた後少なくとも10年間は、アルツハイマー病や認知症の診断と関連することが示された。JAMA Network Open誌2019年7月3日号に掲載。アンドロゲン除去療法の曝露:非曝露で認知症は21.6%:15.8% 本研究は、米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)-Medicare Linked Databaseを用いた後ろ向きコホート研究で、1996~2003年に新たに前立腺がんと診断された65歳以上の男性29万5,733例のうち、研究基準を満たした15万4,089例が対象。分析は2018年11月1日~2018年12月31日に行われた。著者らは、前立腺がんの診断から2年以内にアンドロゲン除去療法を受けた患者を同定し、生存期間分析でアンドロゲン除去療法曝露と追跡期間におけるアルツハイマー病または認知症の診断との関連を検討した。 アンドロゲン除去療法と認知症の関連についての主な研究結果は以下のとおり。・15万4,089例のうち、前立腺がん診断の2年以内に6万2,330例(平均年齢:76.0[SD:6.0]歳)がアンドロゲン除去療法を受け、9万1,759例(平均年齢:74.3歳[SD:6.0])がアンドロゲン除去療法を受けていなかった。平均追跡期間は8.3年(SD:4.7)であった。・アンドロゲン除去療法曝露はアンドロゲン除去療法非曝露と比較して、アルツハイマー病(13.1% vs.9.4%、差:3.7%、95%CI:3.3~3.9%、p<0.001、ハザード比[HR]:1.14、95%CI:1.10~1.18)と認知症(21.6% vs.15.8%、差:5.8%、95%CI:5.4~6.2%、p<0.001、HR:1.20、95%CI:1.17~1.24)の診断と関連していた。・NNT(number needed to harm)は、アルツハイマー病で18例(95%CI:17~19)、認知症で10例(95%CI:9.5~11)であった。

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高齢者のうつ病と近隣の緑地との関係

 近隣に緑地や植物があることは、健康やウェルビーイングの指標と関連しているが、高齢者のうつ病との関連は、あまり研究されていない。うつ病における環境要因を明らかにすることは、予防および治療の両面において、これまでのうつ病介入を補完する可能性がある。米国・マイアミ大学のTatiana Perrino氏らは、フロリダ州マイアミ・デイド郡の高齢者を対象に、近隣の緑地とうつ病診断との関連について調査を行った。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年6月13日号の報告。 メディケア(高齢者向け公的医療保険制度)に登録されている24万9,405人を対象に分析を行った。対象者は、2010~11年の2年間、マイアミの同じ場所に居住していた65歳以上。マルチレベル分析では、近隣の緑地(衛星画像による平均ブロックレベル正規化植生指標で評価)とうつ病診断(メディケアデータで評価)との関連を評価した。共変量は、年齢、性別、人種/民族、併存疾患数、近隣の平均世帯収入とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と診断された患者は、9%以上であった。・人口統計および併存疾患で調整した後においても、高レベルの緑色度は、うつ病の低リスクと関連が認められた。・三分位で近隣の緑色度が最も低かった住民と比較し、中程度の住民はうつ病オッズ比が8%低く(OR:0.92、95%CI:0.88~0.96、p=0.0004)、最も高かった住民ではうつ病オッズ比が16%低かった(OR:0.84、95%CI:0.79~0.88、p<0.0001)。 著者らは「高レベルの緑色度は、高齢者のうつ病リスクを低下させる可能性がある。中程度であったとしても、緑が増加することは、健康促進へのアプローチ強化につながる可能性がある」としている。

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強迫症患者における双極性障害合併率

 強迫症(OCD)患者は、主に不安障害や情動障害などの併存疾患を有することが多く、このことがOCDの経過や援助要請、治療反応に影響を及ぼす。これまで、OCD患者における双極性障害(BD)の併存についての研究が行われているが、多くは小規模サンプルで実施されていた。ブラジル・パウリスタ大学のMariana S. Domingues-Castro氏らは、大規模サンプルを用いて、OCD患者のBD生涯有病率を推定し、BD併存の有無における人口統計学的および臨床的特徴について比較を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年6月7日号の報告。 強迫性スペクトラム障害に関するブラジル調査コンソーシアム(C-TOC)より、成人OCD患者955例を対象とした横断的研究を実施した。評価尺度には、Yale-Brown強迫観念・強迫行為尺度(Y-BOCS)、ディメンジョン別強迫症状重症度尺度(DY-BOCS)、ベックうつ病自己評価尺度(BDI)、精神科診断面接マニュアル(SCID)を用いた。記述的および二変量解析に続いてロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・OCD患者におけるBDの生涯有病率は、7.75%(74例)であった。・BD併存と独立して関連していた因子は、広場恐怖症を伴うパニック症、衝動制御障害、自殺企図であった。 著者らは「BDを併発したOCD患者は、自殺リスクが高いなど、より重症な臨床的特徴を有するため、両疾患に対する適切な治療を行うためにも、慎重な治療アプローチが求められる」としている。

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統合失調症治療における多剤併用療法の単剤療法への切り替え~メタ解析

 統合失調症における抗精神病薬の多剤併用療法は、単剤療法よりも優位性があることが最近のメタ解析で報告されているが、単剤療法への切り替えは、副作用に関して有益である。東京女子医科大学の松井 健太郎氏らは、抗精神病薬の多剤併用療法を受けている患者に対し、単剤療法への切り替えを行うべきか、多剤併用療法を継続すべきかについて、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年6月7日号の報告。統合失調症患者の多剤併用療法、単剤療法への切り替えと併用継続を比較 これまでのメタ解析から、多剤併用療法を受けていた統合失調症患者を対象に、単剤療法への切り替えと多剤併用療法の継続について比較したランダム化比較試験(RCT)をシステマティックに選択した。さらに、MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを用いて、最新のシステマティック文献検索を行った。試験中止、再発、精神病理学、神経認知機能、錐体外路症状、体重、BMIに関するデータを抽出し統合した。 統合失調症患者の多剤併用療法について、単剤療法への切り替えと併用継続を比較した主な結果は以下のとおり。・6件のRCT(341例)が抽出された。・すべての研究において、2種類の抗精神病薬から単剤への切り替えが検討されていた。クロザピン治療を受けていた患者が含まれていた研究は3件であった。・多剤併用療法の継続は、すべての原因による試験中止に関して、有意に優れていた(6 RCT、341例、RR:2.28、95%CI:1.50~3.46、p<0.001)。・再発、精神病理学、神経認知機能、錐体外路症状、体重、BMIに関しては、有意な差が認められなかった。・エビデンスの質は、非常に低かった。 著者らは「本結果は、臨床医が2種類の抗精神病薬で治療後に単剤療法への切り替えを行う際には、患者の状態を注意深く監視すべきであることを示唆している。全体的なエビデンスの質が非常に低いことを考慮すると、本結果は暫定的なものであると考えるべきである」としている。

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抑うつ症状と燃え尽き症候群との関係

 燃え尽き症候群とうつ病との間に重複する概念が存在するのか、あるいは互いに異なるのかについては、継続的に議論されており、入院患者における精査は行われていない。この関連性を明らかにするため、スイス・ベルン大学のKathleen Schwarzkopf氏らは、3つの異なるうつ病尺度を用いて検討を行った。さらに、抑うつ症状と燃え尽き症候群との関連における心理的苦痛、知覚されたストレスおよび睡眠の質への影響についても調査を行った。Zeitschrift fur Psychosomatische Medizin und Psychotherapie誌2019年6月号の報告。 対象は、職業性ストレス関連障害治療の専門病院に紹介された23~82歳の入院患者723例(女性の割合:51.2%)。評価には、燃え尽き症候群評価尺度(Maslach Burnout Inventory)、ベック抑うつ質問票、Hospital Anxiety and Depression Scale(HAD)、Brief Symptom Inventory、知覚されたストレス尺度(Perceived Stress Scale)、ピッツバーグ睡眠質問票を用いた。 主な結果は以下のとおり。・燃え尽き症候群の合計スコアやサブスケール(情緒的消耗感、脱人格化、達成感の低下)とうつ症状(うつ病尺度にかかわらず)との間に有意な相関関係が認められた。・共分散は、1.1~19.4%であった。・燃え尽き症候群のレベルは、認知情動的症状と直接的な関連が認められた。程度は低いものの、身体的情動的症状とうつ病との関連も認められた。・多変量解析では、燃え尽き症候群が有意に多かった因子は、うつ症状、若年、男性、精神的苦痛やストレスレベルの高さであった。 著者らは「燃え尽き症候群とうつ病は、同様な精神病理学を示すものではないが、2つの構成要素には重複する部分が多く、この程度は使用するうつ病評価尺度により変化する可能性が示唆された」としている。

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統合失調症における抗精神病薬減量モデル~パイロット研究

 精神科医と統合失調症患者は、再発することを恐れ、抗精神病薬の減量をためらっているのではないか。このようなジレンマの克服を目的とし、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のChisa Ozawa氏らは、個々の患者のドパミンD2受容体占有率に対応した経口投与量を算出するモデルを開発した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年6月10日号の報告。 本パイロット研究では、リスペリドンまたはオランザピンの単剤治療で臨床的に安定している統合失調症患者35例を対象に、減量群(17例)または維持群(18例)にランダムに割り付けた。減量群では、モデルを使用してランダムに収集した血漿濃度から算出したトラフ値D2占有率65%に対応するよう、抗精神病薬の減量を行った。 主な結果は以下のとおり。・投与量は、減量群においてリスペリドン4.2±1.9mg/日から1.4±0.4mg/日へ、オランザピン12.8±3.9mg/日から6.7±1.8mg/日へ減量した。維持群では、リスペリドン4.3±1.9mg/日、オランザピン15.8±4.6mg/日であった。・試験完了患者は、減量群で12例(70.5%)、維持群で13例(72.2%)であった(p=0.604)。臨床的な悪化が認められ脱落した患者は、減量群で3例(18.8%)であったが、維持群では認められなかった。・両群間で陽性・陰性症状評価尺度PANSSスコアの変化に有意な差は認められなかったが、臨床全般印象度(CGI-S)の陽性症状サブスコアで差が認められた(減量群:0.4±0.7、維持群:-0.1±0.7、p=0.029)。 著者らは「本モデルを用いた抗精神病薬の減量戦略は、脱落率の点では維持群と同等であったが、安全性の観点については、さらなる検討が必要である」としている。

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