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抗うつ薬治療によるうつ病患者の症状の軌跡

 現代の精神医学において、うつ病診断は診断基準を用いて行われるが、治療により各症状がどのように推移するかはよくわかっていなかった。京都大学の田近 亜蘭氏らは、抗うつ薬治療によるうつ病患者の症状の推移について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年10月16日号の報告。 未治療のうつ病患者に対するセルトラリンおよび/またはミルタザピンによる25週間の実用的ランダム化比較試験の参加者2,011例を対象に、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて、9つの診断基準症状を反復評価した。反復測定による混合効果モデルを用いて、ベースラインからの変化を推定した。各症状の消失時間は、カプランマイヤー生存分析を用いてモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・PHQ-9合計スコアは、ベースライン時で18.5(SD:3.9、2,011例)であったが、1週目には15.3(SD:5.2、2,011例)、3週目には11.5(SD:5.9、1,953例)、9週目には7.8(SD:6.0、1,927例)、25週目には6.0(SD:5.9、1,910例)まで減少した。・自殺念慮と精神運動症状は、急速な改善が認められた。気力低下や睡眠障害についても、ゆっくりではあったが改善が認められた。・生存分析では、主要分析結果が確認された。 著者らは「新規うつ病患者では、抗うつ薬治療開始後、自殺念慮や精神運動症状は早期に消失するが、睡眠障害や気力低下の消失には時間を要する」としている。■「抗うつ薬比較」関連記事抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

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世界初、経皮吸収型の統合失調症治療薬「ロナセンテープ20mg/30mg/40mg」【下平博士のDIノート】第36回

世界初、経皮吸収型の統合失調症治療薬「ロナセンテープ20mg/30mg/40mg」今回は、抗精神病薬「ブロナンセリン経皮吸収型製剤(商品名:ロナセンテープ20mg/30mg/40mg)」を紹介します。本剤は、統合失調症治療薬として初めての経皮吸収型製剤であり、これまで経口薬での管理が困難だった患者のアドヒアランス向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、統合失調症の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年9月10日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはブロナンセリンとして40mgを1日1回貼付します。患者の状態により、1日量上限の80mgを超えない範囲で適宜増減することができます。本剤は、胸部、腹部、背部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えて使用します。<副作用>国際共同第III相試験における安全性解析対象例521例中、臨床検査値異常を含む副作用が310例(59.5%)に認められました。主な副作用はパーキンソン症候群(14.0%)、アカシジア(10.9%)、適用部位紅斑(7.7%)などでした。また、国内第III相長期投与試験における安全性解析対象例200例中、臨床検査値異常を含む副作用が137例(68.5%)に認められました。主な副作用は適用部位紅斑(22.0%)、プロラクチン上昇(14.0%)、パーキンソン症候群(12.5%)、適用部位そう痒感(10.0%)、アカシジア(9.0%)、不眠(8.0%)などでした。なお、同成分の経口薬では重大な副作用として、高血糖(0.1%)、悪性症候群、遅発性ジスキネジア、麻痺性イレウス、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、横紋筋融解症、無顆粒球症、白血球減少、肺塞栓症、深部静脈血栓症、肝機能障害、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)が認められているため、経皮吸収型製剤でも注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、脳内のドパミン、セロトニンなどのバランスを整えることで、幻聴、妄想、不安、緊張、意欲低下などの症状を和らげます。2.毎日同じ時間を目安に、前日に貼った薬を剥がしてから、前回とは異なる場所に新しい薬を1日1回貼ってください。3.胸部、腹部、背部のいずれにも貼付可能ですが、発疹、水ぶくれ、過度の日焼けやかゆみが生じることがあるので、貼付時~2週間程度は貼付部位が直射日光に当たらないようにしてください。4.使用後は、接着面を内側にして貼り合わせ、子供の手の届かないところへ捨ててください。5.眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下などが起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないでください。6.本剤の使用により、高血糖が現れることがあります。喉の渇き、過度の水分摂取、尿の量が多い、尿の回数が多いなど、いつもとは違う症状が現れた場合はすぐに受診してください。<Shimo's eyes>本剤は、世界で初めて統合失調症を適応として承認された経皮吸収型製剤です。本剤および同成分の経口薬(錠剤・散剤)は、非定型抗精神病薬のセロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)に分類され、既存のSDAとしては、リスペリドン(商品名:リスパダール)、ペロスピロン(同:ルーラン)、パリペリドン(同:インヴェガなど)があります。統合失調症の治療では、アドヒアランス不良による再発・再燃率の高さがしばしば問題となります。貼付薬である本剤には、貼付の有無や投与量を視認できるため、投薬管理が容易にできるというメリットがあります。また、食事のタイミングを考慮する必要がなく、食生活が不規則な患者さんや嚥下困難などで経口服薬が困難な患者さんへの投与も可能ですので、アドヒアランスの向上が期待できます。消化器系の副作用軽減も期待できますが、一方で貼付部位の皮膚関連副作用には注意が必要です。貼付薬は激しい動きによって剥がれることもありますが、患者さん自身が剥がしてしまうこともあります。かゆみなどの不快感で剥がしていることもありますので、理由や希望を聞き取るとよいでしょう。なお、薬物相互作用については経口薬と同様となっていますが、グレープフルーツジュースとの相互作用は主に消化管で生じるため、本剤では併用注意は設定されていません。経口薬から本剤に切り替える場合、次の投与予定時刻から本剤を使用することが可能です。一方で、本剤から経口薬へ切り替える場合には、添付文書の用法・用量に従って、1回4mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量する必要があります。患者さんが安心して治療継続できるよう、副作用や併用薬、残薬などの聞き取りを行い、しっかりサポートしましょう。

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統合失調症や双極性障害の認知機能に対する睡眠の影響

 精神疾患患者では、精神病性障害だけでなく睡眠障害や認知機能障害を併発し、機能やQOLに影響を及ぼす。ノルウェー・オスロ大学のJannicke Fjaera Laskemoen氏らは、統合失調スペクトラム障害(SCZ)および双極性障害(BD)において睡眠障害が認知機能障害と関連しているか、この関連性が睡眠障害のタイプ(不眠症、過眠症、睡眠相後退[DSP])により異なるか、この関連性が健康対照者と違いがあるかについて検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2019年10月5日号の報告。 対象は、ノルウェー精神障害研究センター(NORMENT)研究より抽出された797例(SCZ457例、BD340例)。睡眠障害は、うつ病症候学評価尺度(IDS-C)の項目に基づき評価した。いくつかの認知ドメインとの関連は、別々のANCOVAを用いてテストした。認知障害との関連性が睡眠障害のタイプにより異なるかをテストするため、three-way ANOVAを実施した。 主な結果は以下のとおり。・いくつかの共変量で調整した後、睡眠障害を有する患者では、睡眠障害のない患者と比較し、処理速度や認知抑制が有意に低いことが明らかとなった。・睡眠障害と認知機能との関連性は、SCZとBDで類似しており、不眠症と過眠症のいずれにおいても、処理速度や認知抑制への有意な影響が認められた。・健康対照者では、睡眠障害と認知機能に関連性は認められなかった。 著者らは「精神疾患患者における睡眠障害は、認知機能障害の一因となりうる。精神疾患患者の治療では、睡眠障害の治療が認知機能を保護するために重要であることを示唆している」としている。

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性機能に対するボルチオキセチンの影響~ランダム化比較試験

 性機能障害はうつ病患者においてよくみられるが、抗うつ薬の一般的な副作用として認められるtreatment-emergent sexual dysfunction(治療に起因する性機能障害)の評価は、一部の患者において抑うつ症状の治療と混同される可能性がある。米国・Takeda Development Center AmericasのPaula Jacobsen氏らは、ボルチオキセチンの性機能に対する影響を評価するため、健康なボランティアを対象に、性機能障害を誘発することが知られているパロキセチンおよびプラセボとの比較を行った。The Journal of Sexual Medicine誌2019年10月号の報告。 本研究は、フェーズIVランダム化多施設二重盲検プラセボ対照4アーム固定用量head-to-head試験として実施された。性機能が正常な18~40歳の健康なボランティア(自己報告によるChanges in Sexual Functioning Questionnaire Short-Form[CSFQ-14]において男性は47点超、女性は41点超)に、ボルチオキセチン(1日1回10mgおよび20mg)、パロキセチン(1日1回20mg)、プラセボを5週間投与し、性機能障害の比較を行った。治療コンプライアンス不良を調整する2つの修正された完全分析セットを事前に指定した。主要エンドポイントは、5週間後のパロキセチンと比較したボルチオキセチンのCSFQ-14総スコアの変化とした。副次エンドポイントは、プラセボと比較したボルチオキセチンのCSFQ-14スコアの変化、CSFQ-14サブスケール、患者の全体的な印象度とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は361例(平均年齢:28.4歳)。内訳は、白人約57%、黒人またはアフリカ系米国人34%、アジア系4%であった。・ボルチオキセチン10mgでは、パロキセチンよりも治療に起因する性機能障害が有意に少なかった(平均差:+2.74点、p=0.009)。・ボルチオキセチン20mgでは、パロキセチンよりも治療に起因する性機能障害が少なかったが(平均差:+1.05点)、統計学的に有意な差は認められなかった。・とくにパロキセチンおよびボルチオキセチン20mgでは、コンプライアンス不良が結果に影響を及ぼしている可能性が示唆された。・パロキセチンは、プラセボよりも治療に起因する性機能障害が有意に多かったが、ボルチオキセチンでは認められなかった。・ボルチオキセチンは、パロキセチンよりもCSFQ-14で測定した性機能障害の3つのフェーズおよび5つのディメンションにおいて良好な結果が認められた。・本試験では、健康なボランティアを対象とすることにより、結果に影響を及ぼすうつ症状の状態などのリスクが軽減された。 著者らは「健康なボランティアにおいて、ボルチオキセチンはパロキセチンよりも治療に起因する性機能障害が少なく、性機能障害が懸念されるうつ病患者のマネジメントにおいてボルチオキセチンが選択薬となりうることが示唆された」としている。■「ボルチオキセチン」関連記事ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

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万引き家族(前編)【年金の財源を食いつぶす!?「障害年金ビジネス」とは?どうすればいいの?】Part 3

精神科医の「ブラックボックス」治は捕まった後に取り調べの刑事にのらりくらりと答えます。信代はいかに自分たちが悪くないかを刑事に切々と語ります。しかし、刑事たちは彼らの矛盾点を突き、思惑をすべて見破っています。ここでまた仮定の話です。治と信代が、社労士の指南のもと、精神科医に年金の診断書の作成を迫った時、精神科医はどうするでしょうか? 刑事と同じことができるでしょうか?最後に、精神科医の「ブラックボックス」を3つに分けてみましょう。(1)確かめようがない-良識年金の等級を決定付けるのは、日常生活能力がどれくらい落ちているかでほぼ決まります。これは、食事管理、清潔管理、金銭管理などの生活面で、どれくらいできないことがあるかで判定されます。ここで、患者が「できないことばかりだ」と言い張り、具体的にできないことを社労士がリストアップした「病状報告書」を持ってきたら、精神科医はどう思うでしょうか?1つ目は、確かめようがないという心理です。身体障害と違って、精神障害は、客観的な検査による根拠が基本的にありません。診断基準は、数値化されておらず、明確になっていません。どうしても、患者の訴えを根拠にするウェートが大きくなります。もちろん、明らかに矛盾した病状は却下できます。しかし、「できない」と言い張る患者に対して、「できる」と精神科医が言い返すには、実際に患者の自宅に精神科医が住み込んで、その様子を確かめるしかありません。また、患者の発言が90%の可能性で虚偽だと思っても、残りの10%で真実の可能性もあります。精神科医が責任を問われるのは、圧倒的に、患者を信じてだまされることよりも、だまされまいとして患者を信じないことです。なぜなら、患者は「弱者」だからです。そして、医師をはじめとする援助職は、基本的に「性善説」のスタンスで仕事をするべきと思われているからです。逆に言えば、これが精神科医の「弱み」です。つまり、良識的な精神科医ほど、なかなか患者の訴えを否定しないです。(2)争いたくない-平和主義精神科医は、どんな患者もどんな状況をも受容する姿勢で診療を行っています。つまり、基本的に患者の味方で、物ごとの白黒をはっきり付けないかかわりを好みます。なぜなら、それが病状を良くするからです。しかし、一方で、急に患者が社労士とタッグを組んで、障害年金を必死にとりにやって来たら、精神科医はどう思うでしょうか?2つ目は、争いたくないという心理です。なぜなら、精神科医は、白黒はっきりさせる刑事ではないからです。もともと味方に徹していただけに、年金の話になると、急に敵対的になるのは、やるせないです。そして、何より、その切り替えが難しいです。また、精神科医は、「心」を扱うだけに、明らかなウソを除いて、ウソっぽく聞こえても、表向きだけでも信じたふりをします(受容)。なぜなら、信頼関係を損ねたくないからです。そして、信頼関係が病状の安定につながるからです。とくに、開業医の場合は、「患者を失いたくない」「悪い噂を立てられたくない」「トラブルを避けたい」という心理もあるでしょう。これは開業医の「泣き所」です。つまり、平和主義の精神科医ほど、なかなか患者の訴えの真偽の白黒を付けないです。(3)時間がない-事なかれ主義精神科医は、ほかの科の医師と比べると、比較的に診療の時間に余裕があります。しかし、カルテをはじめとする書類作成は、ほかの科の医師と比べて、圧倒的に多いです。そんな中、患者と押し問答となり、何度も説明の時間を取られたり、何度も社労士から診断書の書き直しを迫られたら、精神科医はどう思うでしょうか?3つ目は時間がないという心理です。持久戦に持ち込まれると、精神科医は、これ以上時間を取られたくないので、確信犯的に「患者を信じる」という大義名分に逃げてしまうのです。なぜなら、先ほど説明した平和主義は、裏を返せば、事なかれ主義だからです。これでは社労士の粘り勝ちです。とくに、開業医は狙われます。なぜなら、もともと時間がないからです。開業医によっては、最初からスタッフに診断書の作成を任せて、最後にサインをするだけの場合もあります。この状況で、社労士から「診断書原案」が送られてきたら、ありがたくいただき、丸写しさせるでしょう。これは、社労士の「思うつぼ」です。つまり、事なかれ主義の精神科医ほど、患者の訴えを鵜呑みにしてしまいます。「障害年金ビジネス」の問題点は?精神障害年金の不正受給は、不正に年金を手に入れたい患者がいて、それを指南する社労士がいて、それに言いなりになる精神科医がいることで成り立つことが分かりました。これは、もはや「障害年金ビジネス」と呼べるでしょう。「貧困ビジネス」や「自立支援ビジネス」とからくりは同じです。これらが、表向きには「貧困をなくす」「ひきこもりを脱する」と言っておきながら、貧困者を貧困のままに、ひきこもりをひきこもりのままにすることで利益を追求します。これと同じように、「障害年金ビジネス」は、表向きには「障害者の権利を守る」と言っておきながら、障害者を「障害がある」ままにすることで利益を追求しています。このビジネスの問題点を、大きく3つあげてみましょう。(1)結局、患者のためにならない1つ目は、結局、患者のためにならないことです。たとえば、精神科医と患者の信頼関係を揺るがすことはすでに説明しました。これは、精神科医だけでなく、患者にとってもマイナスです。また、精神科医が言いなりにならなければ、その精神科医を代えるよう社労士が薦めることもマイナスです。そして何より、患者は、実は「障害がある」わけではなくなっているのに、「障害がある」ままにされることで、「病気だからしかたない」「障害があるから働かない」などと病人になりきってしまう心理を強め、その状況に甘んじて、リハビリや就労に消極的になることです(シックロール)。また、このビジネスモデルは、「もらえないはずの年金をもらえるようにしてあげますよ(だって精神科医の診断書に働きかけるから)」と患者の欲をあおることですが、実はもう1つあります。それは、「このままではもらえるはずの年金がもらえないかもしれないですよ(だって精神科医の診断書はいい加減だから)」と患者の不安をあおることです。つまり、もともと社労士の介入がなくても、もらえるはずの年金についても、あたかも社労士の介入によって「勝ち取った」という体裁にすれば、「成功報酬」を堂々と受け取ることができます。精神科医が障害年金についての理解や関心が乏しいとの指摘は、社労士による指南書に書かれています。確かに、この指摘は、精神科医が肝に命じるべきことです。しかし、両方とも、患者に揺さぶりをかけるという点では、やはり不適切であり、患者のためになりません。(2)不正で不公平である2つ目は、不正で不公平であることです。これは、当たり前の話になります。たとえば、「障害がある」ふりをする患者は、そうしない患者よりも、毎月6万5千円(基礎年金2級相当)を手にします。「障害がある」よう指南する社労士は、そうしない社労士よりも、1件あたり10万~50万円の高額報酬を手にします。そして、「障害がある」ことに言いなりになる精神科医のクリニックには、そうしない精神科医のクリニックから、不正に年金を手に入れたい患者が流れて増えていきます。これまで、社労士は、インターネットなどで知ってやってきた患者にしか介入してきませんでした。しかし、最近では、社労士が精神科クリニックに直接提携を持ちかけるという話を耳にします。これは、精神科医が年金診断書を希望する患者を社労士に紹介する見返りに、社労士が精神科医に紹介料を支払うというシステムです。そうすることで、社労士はこのビジネスの「取りこぼし」を減らすことができます。精神科医は、年金診断書の作成代行をしてもらえるばかりか、紹介料をもらえます。この提携は、精神科医が虚偽記載のリスクが高まる一方、社労士は「ノーリスクハイリターン」のままになります。これは、社労士にとって新たなビジネスモデルになりうるでしょう。(3)年金の財源を圧迫する現時点で、障害年金の受給者は、老齢年金に比べると、かなり少ないです。ただし、年金の財源が、危ういのは周知の通りです。今後、この「障害年金ビジネス」が広がったら、どうなるでしょうか?3つ目は、年金の財源を圧迫することです。端的に言えば、財源を食いつぶすことです。このビジネスの次のマーケットとして掘り起こされる可能性が高いのは、ひきこもりです。ひきこもりは、それ自体は精神障害とは認められておらず、年金の受給対象ではありません。働いていないとは言っても、日常生活に取り立てて制限はありません。ただし、社労士が指南をすれば、「うつ病」の診断で、2級(毎月6万5千円)が取れるでしょう。精神科医にとって、この「患者」の手ごわい点は、もともと就労していないこと、そして長年自宅にこもっているという状況証拠があることです。それに加えて、初診から、「うつ病」の症状を一貫して訴えられたら、そして実際には内服しないであろう抗うつ薬の処方をその「患者」が希望し続けたら、年金診断書を書かないわけには行かなくなります。つまり、このビジネスで圧倒的に損をするのは、国です。なぜなら、本来ないはずの支出が、「障害がある」ふりをした患者に支払った分(その一部はそれを指南した社労士に間接的に支払われるわけですが)、増えていくからです。また、一方で本当に「障害がある」患者は損をします。なぜなら、本来あるはずの受給金が、社労士に支払った分、減ってしまうからです。果たして、このような状況は、障害年金の制度として成り立つと言えるでしょうか? どうすれば良いの?それでは、一体どうすれば良いでしょうか? 今度は、精神科医、年金制度、社会の3つの立ち位置に分けて、それぞれの取り組みを一緒に考えてみましょう。<< 前のページへ

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双極性障害に対する抗うつ薬使用の有効性および安全性評価

 双極性うつ病に対する抗うつ薬の使用は、精神薬理学の中で最も議論の余地がある問題の1つである。抗うつ薬は、双極性うつ病の一部の患者において有用ではあるが、それ以外の患者に対しては使用すべきではないと考えられる。この問題に関して、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のElie Cheniaux氏らがレビューを行った。Expert Opinion on Drug Safety誌2019年10月号の報告。 本レビューでは、双極性うつ病に対する抗うつ薬使用について、公表されている臨床試験を検討し、その臨床的有効性、副作用発現率、躁転、サイクル加速、自殺行動の評価を行った。メタ解析およびレビュー記事についても検討を行った。 主な専門家の意見は以下のとおり。・双極性うつ病に対して承認されている治療選択肢は、治療反応率がそれほど高くなく、副作用発現率が高かった。・双極性うつ病に対する抗うつ薬使用の治療反応は、不均一である。・一部の患者では有意な改善が認められる。しかし、とくに治療誘発性の躁症状を有する患者またはラピッドサイクラーの患者では、躁転やサイクル加速のリスクが高まる。 著者らは「真の問題は、双極性うつ病に対し抗うつ薬を使用すべきかどうかではなく、どの患者で抗うつ薬が有用であるか、どの患者で問題が起こるのかを明らかにすることである。双極スペクトラムの概念や双極性または単極性に関するアプローチが、抗うつ薬の不均一な治療反応を理解するうえで役立つ可能性がある」としている。

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急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール切り替え療法

 他の抗精神病薬からブレクスピプラゾールへの切り替え時のクロスタイトレーションスケジュールの忍容性および有効性を評価するため、米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らは、ブレクスピプラゾール試験のデータを用いて比較検討を行った。CNS Spectrums誌2019年10月号の報告。 対象の統合失調症患者は、1~4週間の非盲検期間中に、他の抗精神病薬からブレクスピプラゾールへクロスタイトレーションされ、その後、単盲検ブレクスピプラゾール治療試験に移行した。切り替え期間に応じて、対象患者を4群に分類した。中止率、治療により発生した有害事象(TEAE)、効果(PANSS)について、群間比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾール治療を行った404例のうち、72%は切り替え期間が22~33日であった。・効果不十分または有害事象による中止率は、いずれの切り替え期間においても低かった。・8週間のブレクスピプラゾール治療へ切り替えが完了した292例における切り替え期間の内訳は、1~7日が2.4%、8~14日が6.5%、15~21日が11.0%、22~33日が80.1%であった。・8週間のTEAE発生率は、22~33日で切り替えを行った群(44.4%)が他群(62.5~84.2%)よりも低かった。しかし、切り替え期間の短い群は症例数が少ないため本知見は制限される。・各群において、PANSS合計スコアの改善が認められた。 著者らは「ブレクスピプラゾールへの切り替えは、多くの患者において22~33日間かけて行われていた。患者のニーズに対する最適な切り替え方法を選択するうえで、短期切り替えに関する追加データが役立つと考えられる」としている。

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第30回 抗精神病薬による体重増加、薬剤ごとに差【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗精神病薬による体重増加、脂質異常症や高血糖などの代謝障害は比較的よく知られている副作用で、とくに第1世代に比べて第2世代の抗精神病薬で高頻度に報告されています。治療継続の妨げになったり、長期的な心血管イベントのリスクが上昇したりすることがあるため、長期間服用するためには体重や検査値のチェックが欠かせません。今回は、体重増加の機序や薬剤による違い、対処方法について紹介します。体重増加の機序体重増加の原因は特定されておらず、薬剤の影響で食欲が亢進して過剰に摂食したというだけでなくさまざまな説があります。実際、自覚的な食事量が変わらなくても体重が増加しているケースもあるように思います。その機序として、脂質酸化の減少と炭水化物酸化の増加、セロトニン/ドパミン/ヒスタミンなどの各種受容体への作用、視床下部ペプチドによって食欲亢進や満腹感低下が生じる可能性が指摘されています。さらに、摂食やエネルギー代謝に関わるペプチドであるアディポネクチンの減少、抗精神病薬により脂肪組織から放出されるホルモンであるレプチンに対する耐性がカロリー摂取量の増加と脂肪組織の増加の機序として考えられています1)。ダイエットに関心がある患者さんで、アディポネクチンやレプチンを知っている方にお会いしたことがありますので、そういう患者さんに詳しく説明し過ぎるとアドヒアランスに影響しかねないため注意が必要な場合もあると思います。総脂肪率増加の程度1つ以上の精神障害や攻撃性のため精神病薬を検討している6~18歳の患者144例を、経口アリピプラゾール(49例)、オランザピン(46例)またはリスペリドン(49例)にランダムに割り付けて12週間治療し、総体脂肪率およびインスリン感受性を調べた試験があります。12週時点で、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)で測定した総脂肪率は、リスペリドンで1.18%増加、オランザピンで4.12%増加、アリピプラゾールで1.66%増加しました。インスリン刺激によるグルコース消失率の変化は、リスペリドンで2.30%増加、オランザピンでは29.34%減少、アリピプラゾールで30.26%減少となっており、薬剤間で有意差はありませんでした。MRIによる腹部脂肪測定では、皮下脂肪はリスペリドンまたはアリピプラゾールよりもオランザピンで有意に増加していました。なお、すべての治療群で行動の改善がみられています2)。体重増加の薬剤間比較体重増加の程度は薬剤によって異なりますが、とくにクロザピンやオランザピンでその程度が大きいことが示唆されています。第2世代抗精神病薬で治療された患者の体重、コレステロールおよびグルコースの変化を評価した48のランダム化比較試験のシステマティックレビューの結果は次のとおりです3)。クロザピンはリスペリドンと比較して体重が増加した(平均差[MD]:2.86kg、95%信頼区間[CI]:1.07~4.65、459例の患者を対象とした4試験の分析)。オランザピンは以下の薬剤よりも有意に体重が増加した。○アミスルプリド※(MD:2.1kg、95%CI:1.29~2.94、671例の患者を対象とした3試験の分析)○アリピプラゾール(MD:3.9kg、95%CI:1.62~6.19、患者656例を対象とした2試験の分析)○クエチアピン(MD:2.68kg、95%CI:1.1~4.26、患者1,173例を対象とした7試験の分析)○リスペリドン(MD:2.44kg、95%CI:1.61~3.27、2,302例の患者を対象とした16試験の分析)○ジプラシドン※(MD:3.82kg、95%CI:2.96~4.69、1,659例の患者を対象とした5試験の分析)※国内未承認体重増加の対処方法日本神経精神薬理学会が作成した『統合失調症薬物治療ガイドー患者さん・ご家族・支援者のためにー』において、体重増加の対処方法の例として薬剤変更が挙げられています4)。実際に、心血管疾患の危険因子を改善するために、オランザピン、クエチアピンまたはリスペリドンからアリピプラゾールに切り替えた非盲検のランダム化比較試験がありますので見てみましょう5)。上記3剤のいずれかにより治療されている統合失調症ないし統合失調感情障害を有する患者215例(平均年齢41歳)を、アリピプラゾールへの切り替え群(109例)またはそのまま継続した群(106例)にランダムに割り付けて24週間経過をみています。全患者が、BMI≧27kg/m2および非HDLコレステロール≧130mg/dLで、プライマリアウトカムは非HDLコレステロール値の変化です。両群を比較した結果は、平均体重減少は3.6kg対0.7kg(p<0.001)、平均非HDLコレステロール減少は20.2mg/dL対10.8mg/dL(p=0.01)、トリグリセライドは25.7mg/dL減少対7mg/dL増加(p=0.002)であり、切り替えに一定の効果を認めています。安易に薬剤を切り替えたり中止したりすることは避けなければなりませんが、体重や体脂肪率増加の理由、程度、発現時の代替案などを聞かれる機会もあるかと思いますので、参考にしていただければと思います。1)Maayan L, et al. Expert Rev Neurother. 2010;10:1175-1200.2)Nicol GE, et al. JAMA Psychiatry. 2018;75:788-796.3)Rummel-Kluge C, et al. Schizophr Res. 2010;123:225-233.4)日本神経精神薬理学会編. 統合失調症薬物治療ガイドー患者さん・ご家族・支援者のためにー. 日本神経精神薬理学会;2018.5)Stroup TS, et al. Am J Psychiatry. 2011;168:947-956.

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魚類や多価不飽和脂肪酸摂取と産後うつ病リスク~JECS縦断研究

 妊婦は、胎児の成長に必要なn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)のレベルを高める必要がある。母親の魚類やn-3 PUFAの摂取が、産後うつ病リスクを低下させることを示唆するエビデンスが報告されているが、その結果に一貫性はない。富山大学の浜崎 景氏らは、日本人女性における妊娠中の魚類やn-3 PUFAの摂取と産後うつ病リスクとの関連について調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年9月19日号の報告。 日本人集団において、出産後6ヵ月までの母親の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下に、妊娠中の魚類やn-3 PUFAの食事での摂取が関連しているかについて調査を行った。JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)の10万3,062件のデータより除外と重複処理を行った後、出産後6ヵ月は8万4,181人、1年間は8万1,924人について評価を行った。リスク低下の評価には、多変量ロジスティック回帰および傾向テストを用いた。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月間では、産後うつ病リスクの低下が認められ(魚類およびn-3 PUFA摂取の五分位:第2~第5五分位)、傾向テストでも有意な線形関連が認められた。・1年後では、重篤な精神疾患リスクの低下が認められ(魚類の五分位:第2~第5五分位、n-3 PUFAの五分位:第3~第5五分位)、傾向テストでも有意な線形関連が認められた。 著者らは「魚類やn-3 PUFA摂取量の多い女性では、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下が認められた」としている。

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統合失調症の治療反応とグルタミン酸およびGABAレベルとの関連

 ドパミン作動性抗精神病薬に対する治療反応不良は、精神疾患の治療における大きな課題であり、初発時に治療反応不良患者を特定するマーカーが求められている。これまでの研究で、初発時の治療反応不良患者では治療反応患者と比較し、グルタミン酸(Glu)およびγ-アミノ酪酸(GABA)レベルが増加していることがわかっている。しかし、健康対照群の参照レベルを用いて、治療反応不良患者を特定できるかはよくわかっておらず、デンマーク・コペンハーゲン大学のKirsten B. Bojesen氏らが検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年9月16日号の報告。 抗精神病薬未使用の初回エピソード精神疾患患者群39例、マッチさせた健康対照群36例を対象に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および3T磁気共鳴分光法を用いて、繰り返し評価を行った。Glu/総クレアチニン(Cr)レベルは、前帯状皮質(ACC)および左視床で測定し、GABA/CrレベルはACCで測定した。6週間後、アリピプラゾール単独療法患者群32例および健康対照群35例を再検査し、26週間後に、自然主義的な抗精神病薬治療患者群30例および健康対照群32例を再検査した。治療反応不良の定義には、Andreasenの基準を用いた。 主な結果は以下のとおり。・治療前では、患者群全体において視床におけるGlu/Crレベルが高かったが、治療後には正常化した。・ACCにおけるGlu/CrおよびGABA/Crレベルは、すべての評価時で低く、治療による影響は認められなかった。・健康対照群と比較すると、6週目(19例)および26週目(16例)の治療反応不良患者は、ベースライン時の視床におけるGlu/Crレベルが高かった。・さらに、26週目の治療反応不良患者は、ベースライン時のACCにおけるGABA/Crレベルが低かった。・治療反応患者と健康対照群では、ベースライン時のレベルに違いは認められなかった。 著者らは「抗精神病薬未使用の精神疾患患者におけるGlu作動性およびGABA作動性の異常は、抗精神病薬に対する治療反応不良を引き起こすと考えられる。このことは、初回エピソード精神疾患患者の臨床的予後を予測するために役立つ可能性がある」としている。

1151.

医師の認知症リスク~コホート研究

 より良い医療知識を多く有している医師は、認知症リスクが低いのではないだろうか。この疑問を明らかにするため、台湾・Chi-Mei Medical CenterのLi-Jung Ma氏らが検討を行った。Aging Clinical and Experimental Research誌オンライン版2019年8月19日号の報告。 医師2万9,388人、一般集団5万人、医師以外の医療従事者3万446人を含む、全国規模の人口ベース調査を実施した。2006~12年の病歴を追跡し、3群間および医師のサブグループ間で認知症有病率の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、頭部外傷、甲状腺機能低下、高血圧、糖尿病、脳卒中、血管疾患、心房細動、高コレステロール血症、うつ病、アルコール依存症で調整した後、医師は、一般集団と比較し、認知症有病率が低かった(調整オッズ比[AOR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.47~0.67)。・医師以外の医療従事者は、一般集団と比較し、認知症有病率が低かった(AOR:0.46、95%CI:0.36~0.60)。・医師と医師以外の医療従事者における認知症有病率に有意な差は認められなかった(AOR:0.98、95%CI:0.71~1.36)。・認知症有病率の高かった医師のサブグループは、高齢、小児科専門医、地方病院およびクリニック勤務であった。 著者らは「医師の認知症有病率は、一般集団よりも低かった。医師の中でも、特定のサブグループにおいて認知症有病率が高いことから、さらなる研究が必要とされる」としている。

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第12回 痛みの治療法【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第12回 痛みの治療法これまで11回にわたって、痛みの基本的概念から身体各部の痛みについて述べてまいりました。この<痛み>シリーズの最終回として、今回は痛みの治療法を概説いたします。痛み治療は末梢→中枢が原則、治療法は多岐に基本的な痛みの治療方針としては、神経の末梢部位から攻めていきます。たとえば神経ブロックにおきましても、罹患部分が末梢であれば痛みのトリガーポイントからブロックしていきます。効果が見られなければ、順次中枢部へと進んでいきます。末梢神経ブロックの次には、硬膜外ブロックが適応となります。その次には、脊髄や脳組織もターゲットとなります。電気神経刺激療法におきましても、体表の末梢神経から始めまして、脊髄電気刺激、脳電気刺激などへ移行し、鎮痛効果が見られなければ、神経ブロック同様に刺激部位を上位中枢へと移動していきます。大脳皮質を刺激する電気痙攣療法(ECT)は、うつ病に効果が認められておりますが、難治性慢性疼痛の治療にも応用されています。ECTによって嫌な記憶を忘れることも、疼痛の緩和をもたらすからです。低出力レーザー治療を含む光線療法も広く応用されてきております。レーザー治療は、神経ブロックの効果には多少及ばないものの、高齢患者を想定すると副作用が少ないために安全で有用性も高いと考えられております。患者参加型の疼痛治療法も試みられております。痛みは患者本人にしかわからないために、患者が痛みを感じた時に痛み治療薬を患者自身で投与する方法です。Patient Controlled Analgesia (PCA:自己調節鎮痛法)と呼ばれておりますが、ディスポーザブルセットからコンピュータ内蔵機器まで様々な装置が使用されております。主として鎮痛薬の静脈投与ですが筋肉投与も可能です。経口投与による頓服投与スタイルもPCAの一種ですが、あらかじめ基本となる鎮痛薬をベースとしまして、痛い時に使用する頓服用の鎮痛薬を、痛みが強くなるようであれば患者自身の判断で服用してもらいます。インターベンショナルな痛みの治療法も様々考案されております。そのうち、仙骨硬膜外腔癒着剥離術は腰痛治療にも応用されております。ビデオガイドカテーテルを仙骨裂孔から挿入し、ディスプレイ画面にて、癒着部を確認しながら、剥離を行っていきます。それと同時に生理食塩水で炎症部を洗浄し、発痛物質を洗い出すことによって、鎮痛を得る方法です。近年、分子生物学的手法の進展によって、痛みに関連する神経の受容体が次々と発見され、複雑な痛みの機序が徐々に解明されてきております。また、個々の患者さんによって、その疼痛機序は異なっておりますので、責任受容体や痛みの機序を容易に見つけ出すためのテストが必要になってきました。このためにドラッグチャレンジテスト(DCT)を活用することによって有効的な薬物を見出して、より効果的な薬物療法を施行していくことが大切です。使用される薬物としては、ケタミン、ATP(アデノシン3燐酸)、チオペンタール、ミダゾラム、モルヒネ、リドカイン、フェントラミンなどです。ケタミンはN-メチル‐D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の拮抗薬であり、NMDA受容体の活性化が原因の痛みに効果的です。ATPは脊髄A1受容体を介する神経調節機構に働きます。チオペンタールは、抗痙攣作用や精神的原因などの中枢神経抑制作用によって、痛みを軽減する効果を持っています。ミダゾラムも、チオペンタールと同様の作用を持っておりますが、筋緊張の改善作用もありますので、疼痛も緩和されます。モルヒネは、脊髄オピオイド受容体に作用するとともに、下行性抑制系も賦活して、強い鎮痛効果を発揮します。リドカインは、痛み神経の異常興奮を抑制する作用を有しておりますので、神経が原因となる神経障害性疼痛に効果がみられます。フェントラミンは、痛みの機構に交感神経系の関与があるときに効果があります。このようにして、それぞれの患者の痛みの機構を解明することによって、関連する薬物の投与や、脊髄・脳電気刺激療法などの適応が考慮され、治療法が重点的に応用されるために患者の負担が少なくなる上、より良い効果が早く得られるため、有効率もそれだけ高くなります。難治性疼痛の患者さんには、認知行動療法、マインドフルネスなどの心理療法も活用されております。運動療法を含む理学療法にも効果が見られております。最近、痛み患者の遺伝子の解析も試みられております。痛みが残存する人、しない人などの遺伝子の違いが解明されれば、痛み治療対象者や治療対象薬の選定にも有用となります。人生100年時代への対策の一つとして、2,000万人と言われる慢性疼痛の患者さんが、痛みを軽減することによって、患者さん自身で完結できる人生を歩んでいただければ、この上ない喜びです。<CareNet.com編集部よりお知らせ>本連載は、今回でいったん完結となります。2020年1月より、花岡一雄先生執筆による新連載を開始予定です。痛みの治療法をより具体的に掘り下げ、密度の濃い内容でお届けいたします。ぜひ、ご期待ください!

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ボルチオキセチン治療中のうつ病患者における睡眠と抑うつ症状との関係

 うつ病患者では、睡眠障害が頻繁に認められる。治療反応と睡眠の質や変化との関連性に対するボルチオキセチンの影響について、中国・西南大学のBing Cao氏らが調査を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年9月18日号の報告。ボルチオキセチンを8週間投与した睡眠の変化を評価 本研究は、うつ病患者におけるTHINC統合ツールによる認知機能変化に対する感受性を評価した臨床試験の事後分析として実施された。対象は、DSM-Vにおける中等度または重度のうつ病と診断された患者92例(18~65歳)および健康対照群54例。すべての患者に対し、オープンラベルでボルチオキセチン(10~20mg/日、フレキシブルドーズ)を8週間投与した。主要アウトカムは、0、2、8週目の睡眠の変化とした。睡眠の評価には、ピッツバーグ睡眠質問票、エプワース眠気尺度、不眠症重症度指数を用いた。副次的評価として、睡眠の変化と抑うつ症状の重症度との関連も調査した。ボルチオキセチンによる抑うつ症状改善は睡眠の改善と有意な関連 ボルチオキセチンによる治療反応と睡眠の変化の主な結果は以下のとおり。・うつ病患者は、対照群と比較し、0、2、8週目の各睡眠スコアが有意に不良であった(p<0.05)。・うつ病患者は、0週目から8週目までの間に各睡眠スコアの有意な改善が認められた(p<0.05)。・各睡眠スコアの改善と抑うつ症状の改善に、有意な関連が認められた。 著者らは「ボルチオキセチンで治療されたうつ病患者の抑うつ症状改善は、睡眠の改善と有意な関連が認められた。また、睡眠の改善は抗うつ薬治療反応の予測因子であると考えられ、全体的な抑うつ症状の重症度改善と直線的な相関が認められた」としている。

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急性期抗うつ薬治療中に悪化しやすい患者像

 適切な抗うつ薬治療を行っているにもかかわらず、症状が悪化するうつ病患者の割合を調査した研究は、これまでほとんどなかった。名古屋市立大学の明智 龍男氏らは、うつ病患者を含む多施設無作為化比較試験での抗うつ薬治療中における、うつ病悪化の割合とその予測因子について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年9月9日号の報告。 うつ病悪化の定義には、抗うつ薬治療中の急性期うつ病患者を評価するために用いた0~9週目までの総PHQ-9スコアを使用した。うつ病の悪化に対する潜在的な予測因子として、ベースライン時の人口統計学的および臨床的データ、0~3週目までのPHQ-9スコアの変化、3週時点での副作用を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,647例中99例(6.0%)で、うつ病の悪化が認められた。信頼性の高い変化指標基準を適用した場合、この割合は小さくなった。・ロジスティック回帰分析により、以下の因子がうつ病の悪化と有意に関連していることが明らかとなった。 ●初回うつ病エピソードの発症年齢が若い ●現在、高齢である ●0~3週目までのPHQ-9スコアの大幅な増加・本研究の限界として、プライマリエンドポイントまでの期間が十分に長くなかった点、プラセボ群が含まれておらず、潜在的に関連する予測因子を包括的に調査できていない可能性がある点などが挙げられる。 著者らは「少数の患者で、急性期の抗うつ薬治療中に、うつ症状を悪化させることがある。初回エピソードの発症年齢、現在の年齢、抗うつ薬治療での早期ネガティブレスポンスは、その後の症状悪化の有用な予測因子である可能性が示唆された」としている。

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初回エピソード統合失調症に対するコンピューター化認知機能改善療法~ランダム化比較試験

 統合失調症患者は、社会的機能低下に関連する認知機能障害を呈する。コンピューター化された認知機能改善療法は、慢性期統合失調症の認知機能と機能障害の両方に対する改善効果が知られているが、これらのアプローチを統合失調症の初期段階に用いた場合の効果については、あまり知られていない。スペイン・Universidad Miguel HernandezのLorena Garcia-Fernandez氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象にコンピューター化認知機能改善療法の効果について検証を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2019年9月7日号の報告。 特定のプログラムを受けている初回エピソード統合失調症患者86例を対象に、REHACOMのコンピューター化認知機能改善療法群またはアクティブ対照群(2回/週、24の1時間セッション)にランダムに割り付けた。臨床的特徴、認知機能および機能障害について、ベースライン時、治療介入後、介入完了6ヵ月後に評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・認知機能改善療法群36例、対照群50例が割り付けられた。・全体として神経認知機能および機能障害の有意な改善が認められ、治療介入後およびフォローアップ後で、両群間に差は認められなかった。・社会認知を除くすべての認知機能領域において、研究期間中にSD範囲0.5~1程度の改善が認められた。 著者らは「初回エピソード統合失調症外来患者に対するREHACOMのコンピューター化認知機能改善療法は、対照群と比較し、認知機能と機能障害の改善に効果的であることは証明されていない」としている。

1156.

初回エピソードうつ病患者における発症年齢と皮質の厚さとの関連

 以前の研究で、早期発症成人うつ病(EOD)患者と遅発性成人うつ病(LOD)患者では、脳灰白質の体積変化に違いがあることが示唆されていた。中国・昆明医科大学のZonglin Shen氏らは、皮質の厚さ(CT)がうつ病の発症年齢の影響を受けるかについて検討を行った。Neuroreport誌オンライン版2019年9月9日号の報告。 EOD患者54例、LOD患者58例、若者対照群57例、高齢対照群58例の高解像度MRI画像より検討を行った。うつ病の重症度は、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HDRS17)を用いて評価した。患者のCTと臨床スコアとの関連について分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・診断における主要な影響は、左吻側前帯状皮質(rACC)、右下側頭回、右外側部前頭眼窩野(lOFC)、両側脳梁周において有意に認められた。・rACCおよび両側尾側前帯状皮質(cACC)において、CTに対する発症年齢の影響が顕著に認められた。・診断による発症年齢の相互作用の影響は、両側rACCおよび右lOFCで認められた。・EOD患者では、若者対照群と比較し、両側rACCにおけるCTの萎縮が観察された。・LOD患者では、高齢対照群と比較し、lOFCにおけるCTの肥大が観察された。・EOD患者では、LOD患者と比較し、右cACCおよび後帯状皮質(PCC)において皮質の萎縮が認められた。・右cACCまたはPCCと症状重症度または罹病期間との間に有意な関連は認められなかった。 著者らは「うつ病患者は、発症年齢が異なると、CT変化に明確な違いが生じており、EODとLODの病理学的メカニズムが異なる可能性が示唆された」としている。

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統合失調症患者に対する長時間作用型抗精神病薬治療と機能的および臨床的寛解との関連

 機能的寛解は、統合失調症の主要な治療目標となってきたが、良好なアウトカムの割合は、15~51%の範囲で大きなばらつきがある。また、臨床的寛解が機能的寛解の前提条件であるかについてもよくわかっていない。フランス・パリ大学のPhilip Gorwood氏らは、急性期エピソード後に長時間作用型持効性注射剤(LAI)による治療を開始した統合失調症患者の機能的および臨床的寛解との関連性を評価するため、プロスペクティブ観察研究を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年9月7日号の報告。 対象は、急性期エピソード後にLAI抗精神病薬による治療を開始したフランスの統合失調症患者。機能的および臨床的寛解を、FROGSおよびAndreasen基準を用いて評価し、臨床的寛解の役割および機能的寛解の予測因子について評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者(DSM-IV診断基準)303例を対象に、12ヵ月間フォローアップを行った。・12ヵ月間で、機能的寛解が認められた患者は45.1%、臨床的寛解が認められた患者は55.1%であった。・臨床的寛解により、機能的寛解の促進が認められた(OR:14.74)。とくに、5年未満の統合失調症患者では顕著であった(OR:23.73)。・その他の予測因子として、家族環境、教育レベル、雇用状況、ベースライン時の機能レベルおよび病識と関連が認められた。 著者らは「LAI治療を行った統合失調症患者の約半数において、1年間のフォローアップ後に機能的寛解が認められた。臨床症状の軽減および臨床的寛解の達成は、主に機能的寛解と関連が認められた。これらの結果から、機能的寛解を達成し、リカバリーの機会を最大化するためには、継続的かつ適切な対症療法が重要であると考えられる」としている。

1158.

ブロナンセリンのドパミンD3受容体への作用

 ブロナンセリンは、リスペリドンやオランザピンなどの他の抗精神病薬と異なり、セロトニン5-HT2A受容体よりもドパミンD2/D3受容体に対する高い親和性を有する薬剤である。名城大学の竹内 佐織氏らは、動物モデルで観察された社会的欠損に対するブロナンセリンの効果へのドパミンD3受容体の関与を調査し、その作用の分子メカニズムの解明を試みた。Neurochemistry International誌2019年9月号の報告。ブロナンセリンのドパミンD3受容体アンタゴニスト作用が新規治療戦略として有用 マウスに、非競合的N-メチル-d-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるフェンシクリジン(PCP、10mg/kg、皮下注射)を1日1回14日連続投与した。その後、これらのマウスにおける社交性(社会的相互作用テスト)およびGluN1サブユニット(NMDA受容体の必須サブユニット)の発現を評価した。 ブロナンセリンの効果へのドパミンD3受容体の関与を調査した主な結果は以下のとおり。・ブロナンセリンでは、PCP誘発性社会的欠損の有意な改善が認められたが、オランザピンとハロペリドールでは認められなかった。・ブロナンセリンのこの作用は、7-OH-DPAT(ドパミンD3受容体アゴニスト)およびSCH23390(ドパミンD1受容体アンタゴニスト)によって拮抗された。・しかし、ブロナンセリンの改善効果は、DOI(セロトニン5HT2A受容体アゴニスト)によって阻害されなかった。・PCP誘発性社会的欠損は、U99194(ドパミンD3受容体アンタゴニスト)およびSKF38393(ドパミンD1受容体アゴニスト)によっても改善が認められ、7-OH-DPATまたはSCH23390によって拮抗された。・ブロナンセリンは、PCP投与マウスの前頭前野のプロテインキナーゼA(PKA)によるSer897でのGluN1リン酸化レベルの低下を有意に抑制した。 著者らは「ブロナンセリンのPCP誘発性社会的欠損の改善効果は、GluN1サブユニットのSer897リン酸化によるNMDA受容体活性(前頭前野のドパミンD3受容体アンタゴニスト作用を介したドパミンD1受容体PKAシグナル伝達)が関与していることが示唆された。そしてこの結果は、ブロナンセリンのドパミンD3受容体アンタゴニスト作用が新規治療戦略として有用であり、統合失調症患者でみられる社会的欠損にドパミンD3受容体が新規治療標的分子となりうることを示唆している」としている。

1159.

統合失調症の認知機能に対する身体能力の影響

 統合失調症患者では、神経認知機能と身体能力が低下することがわかっているが、これら2つの因子の関連性を示すエビデンスは十分ではない。韓国・翰林大学校のJiheon Kim氏らは、統合失調症患者のさまざまな身体的パフォーマンスと認知機能との関連について、他の障害に関連する臨床症状を考慮したうえで、調査を行った。European Psychiatry誌2019年9月号の報告。 対象は、統合失調症患者60例。心肺持久力と機能的可動性の評価には、それぞれ踏み台昇降、supine-to-standing(STS)テストを用いた。実行機能とワーキングメモリの評価には、それぞれストループ課題、スタンバーグワーキングメモリ(SWM)課題を用いた。臨床症状の評価には、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、うつ病自己評価尺度(BDI)、特性不安尺度(STAI)を用いた。神経認知に関連する予測因子を特定するために、関連する共変量で調整し、多変量解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・重回帰分析では、踏み台昇降は、ストループ課題(β=0.434、p=0.001)およびSWM課題(β=0.331、p=0.026)の時間と強い関連が認められ、STSテスト時間は、ストループ課題(β=-0.418、p=0.001)およびSWM課題(β=-0.383、p=0.007)の精度と強い関連が認められた。・他の臨床的相関を制御した後、総コレステロール値は、ストループ課題の精度と関連が認められた(β=-0.307、p=0.018)。・臨床症状とストループ課題またはSWM課題との関連は認められなかった。 著者らは「統合失調症患者の身体能力と神経認知機能との関連が示唆された。これらの因子は、修正可能であることを考慮すると、統合失調症患者に対する運動介入は、認知機能改善に役立ち、それにより機能や予後の改善につながる可能性がある」としている。

1160.

新しい抗うつ薬の出現(解説:岡村毅氏)-1117

 まったく新しい機序の抗うつ薬に関する臨床からの報告である。まずは抗うつ薬についておさらいしてみよう。1999年にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使えるようになり、うつ病の薬物療法に革命的な変化が起きた。それまでの古典的抗うつ薬には抗コリン作用(便秘など)や抗ヒスタミン作用(眠気など)などが伴ったが、SSRIには消化器症状(吐き気など)以外は比較的少なかったからである。 また、このころ(製薬業界にとっては黒歴史かもしれないが)うつはこころの風邪というキャンペーンがなされたりして、精神科・心療内科の敷居がずいぶん低くなった。うつはこころの風邪という言説は、今ではすっかり疾病喧伝(薬を売るために変な宣伝をしたという批判)の文脈で引用されるが、個人的には物事には両面があると思う。今では信じられないかもしれないが、「うつは弱い人がなるものだ」「精神科に行くなんて人生の破滅だ」と信じて、誰にも助けを求められずに重篤化する人もいたので、このキャンペーンによって救われた人もいただろう。 もちろん操作診断が使われるようになり、専門家が経験と知識に基づいて診断する「うつ病」から、いくつかの基準を満たしたときに診断される「うつ病エピソード」として捉えられるようになったことも大きいだろう。 ともあれ、20世紀から21世紀になるころ、うつ病は特殊で恐ろしい精神疾患ではなくなり、僕らの生活世界に現れた。人々は、かつてはそう簡単には「わたし、うつっぽいかも」とは言わなかったが、いまやずいぶん簡単に言うようになった。あれから20年間、いち臨床医としての意見であるが、SSRIが出たときのような革命的変化をもたらした薬剤は出ていない。 これは実は、統合失調症についてもいえる。1996年に同じく副作用が少ない非定型抗精神病薬が使えるようになって(もちろん、ないわけではない)、革命的な変化が起きた。具体的には新たな長期入院者はほとんど見なくなった。その後いくつかいい薬は出たが、破壊的イノベーションは起きていない。そして人々は「トウシツ」などと気軽に言うようになった。 おそらく50年前には、うつ病統合失調症を経験した友達がいる人は少なかったであろう。今では、たぶん普通のことだ。 いずれにせよ、うつ病の薬物治療は20年程度、革命的な進歩はない。よく言えば漸進している状態である。むしろ、うつ病として治療すべき状態と、そうではない状態(たとえば生活習慣の乱れをまずは治すべき状態)などの、薬物治療以前の仕分けがしっかりなされるようになってきている。また人的資源の少ないわが国でも認知行動療法もようやく行われつつある。修正型電気けいれん療法(m-ECT)もいまや広く行われている。薬物療法以外が拡充しているのだから、健全なことだと思う。 さて、うつ病の薬物治療で現在のところ期待されている薬剤は「ケタミン」と「GABA受容体作用薬」であろう。本論文は、後者についての明らかな臨床効果を報告するものである。 これが、革命を起こしたSSRI以来の20年間に出現した「その他大勢」の新薬の末席に連なることになるのか、ブレークスルーになるのかは、もうしばらく見てみないとわからないだろう。 なお、筆者は抗うつ薬が常に必要だとは思わない。うつ病の治療には薬物治療、精神療法、環境調整の3つの柱があり、とくに軽症の場合は薬物を使わなくてもよい場合も多い。一方で、医学はしょせん人間の営みであり、苦しむ人を支援するためには、3つの柱を総動員しなければならない。また、こころを込めて治療をしても治らないときもある。とはいえ、この3つの柱はがんの「標準治療」みたいなものであり、奇妙な代替療法に患者さんが迷い込まないことを祈りたい。

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