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胃腸症状とうつ病との関連~米国健康栄養調査

 最近、多くの調査において、うつ病の病因としてのマイクロバイオームの役割がトピックスとなっている。調査結果によると、腸内細菌叢による一般的な症状である腸内尿毒症が胃腸症状の問題の根底にあり、これがうつ病と関連していることが示唆されている。米国・タフツ大学のSarah J. Eustis氏らは、胃腸症状の徴候が認められる人では、抑うつ症状のオッズ比(OR)が有意に高いかどうかを検証するため、本研究を実施した。Journal of the Academy of Consultation-Liaison Psychiatry誌オンライン版2021年8月27日号の報告。 2005~16年に実施された米国健康栄養調査(3万6,287人)より、成人3万1,191人のデータを分析した。アウトカムには、過去1ヵ月間の粘液性または液性の排便および胃疾患、過去1年間の下痢、1週間当たりの排便回数を含めた。本分析では、マイクロバイオームのサンプルは含まず、自己申告による胃腸症状のみとした。抑うつ症状は、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて評価した。中等度、中等度~重度、重度のスコアは、肯定的なアウトカムとしてレコード化した。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度の抑うつ症状を有する人は、抑うつ症状のない人と比較し、以下の胃腸症状のORが高かった。 ●腸粘液(OR:2.78、95%CI:1.82~4.24) ●腸液(OR:2.16、95%CI:1.63~2.86) ●胃疾患(OR:1.82、95%CI:1.31~2.53) ●下痢(時々あり対なしのOR:1.72、95%CI:1.30~2.29) ●便秘(時々あり対なしのOR:2.76、95%CI:2.11~3.62)・全体として、胃腸症状を有する人では、抑うつ症状を示す可能性が有意に高かった。 著者らは「複雑な脳腸軸(brain-gut axis)については、分子レベルで調査されている。そのような中で、抑うつ症状と腸内尿毒症の徴候との関連を示唆する本研究結果は、さらなるエビデンスの蓄積に貢献し、医療従事者や患者にとって有益な情報となる可能性がある」としている。

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男性の抑うつ症状や肥満の改善に対するeHealthプログラムの影響

 肥満とうつ病は、男性において相互に関連する健康上の問題であるにもかかわらず、これらの問題を管理するためのサポートは十分に行われていない。オーストラリア・ニューカッスル大学のMyles D. Young氏らは、セルフガイドのeHealthプログラム(SHED-IT:Recharge)が過体重または肥満の改善および抑うつ症状の改善に寄与するかについて、検討を行った。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌2021年8月号の報告。 抑うつ症状(PHQ-9スコア5以上)を有するBMI 25~42kg/m2の男性125例を対象に6ヵ月間のランダム化比較試験(RCT)を実施した。対象患者は、eHealthプログラム群62例または対照群63例にランダムに割り付けられた。3ヵ月間のプログラムは、印刷物およびオンライン(Webサイト、インタラクティブモジュールなど)を用いて実施した。プログラムは、エビデンスに基づく男性のダイエットプログラムにメンタルフィットネスを加えて行った。主要アウトカムは、3ヵ月後の体重および抑うつ症状の変化とした。評価は、ベースライン時、3ヵ月後、6ヵ月後に行った。プログラムのアウトカムを調査するため、治療企図(ITT)線形混合モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月後、体重および抑うつ症状の改善に対する中程度の効果が認められた。 ●体重(調整後平均差:-3.1kg、95%CI:-4.3~-1.9、d=0.9) ●抑うつ症状(調整後平均差:-2.4、95%CI:-4.0~-0.9、d=0.6)・これらの効果は、6ヵ月間持続しており、他の健康アウトカムの継続的な改善によりサポートされた。 著者らは「ダイエットプログラムとメンタルヘルスサポートを組み合わせたセルフガイドのeHealthプログラムの実施により、男性の抑うつ症状や肥満の改善が認められた。身体的および精神的な問題を抱える患者を対象とした統合的介入は、効果的な治療戦略である可能性が示唆された」としている。

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ベジタリアンのうつ病リスク~メタ解析

 いくつかの研究において、ベジタリアンはうつ病リスクが高いことが報告されている。しかし、これとはまったく逆の結果も報告されている。ドイツ・ルール大学ボーフムのSebastian Ocklenburg氏らは、これらの不一致性を考慮し、ベジタリアンとうつ病リスクとの間に有意な関連が認められるかを明らかにするため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年11月1日号の報告。 主要なデータベースより、ベジタリアンと非ベジタリアン(対照群)のうつ病スコアを報告した研究を検索した。条件付きランダム効果モデルに従ったRによるメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・重複を削除し、適格基準に照らし合わせたところ、13研究、4万9,889例(ベジタリアン:8,057例、対照群:4万1,832例)が分析に含まれた。・ランダム効果メタ解析では、ベジタリアンは、対照群と比較し、うつ病スコアの高さとの有意な関連が認められた。・研究間の異質性は高く、研究地域の地理的なばらつきは少なく、異文化間の比較は限られていた。 著者らは「ベジタリアンは、非ベジタリアンと比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。しかし、公表されている研究は、非常に不均一であり、最終的な結論を導き出すためには、より経験的な研究が求められる。また、より多くの国における実証的研究が望まれる」としている。

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うつ病の1次予防効果

 うつ病に対する1次予防は、疾患の経過を改善する可能性があるものの、その効果についてはよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのGonzalo Salazar de Pablo氏らは、うつ病の1次予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年11月1日号の報告。 2020年6月までに公表された研究を、PubMed、Web of Scienceよりシステマティックに検索した(PRISMA and RIGHT)。抑うつ症状(効果測定:標準化平均差[SMD])またはうつ病性障害(効果測定:相対リスク[RR])の1次予防のための介入について、メタ解析を実施した。結果は、年齢範囲、対象集団(一般および/またはリスクあり)、介入タイプにより層別化した。品質(AMSTAR/AMSTAR-PLUS content)および信頼性(高中低で評価)も評価した。推奨事項の評価には、USPSTF grading systemを用いた。 主な結果は以下のとおり。・46件のメタ解析(研究数:928件、患者数:28万6,429例、平均年齢:22.4歳、女性の割合:81.1%)を含めた。・エフェクトサイズは、抑うつ症状では0.08~0.53(SMD)、うつ病性障害では0.90~0.28(RR)であった。・RCTのみを含む感度分析では、結果に影響を及ぼさなかった。・AMSTAR中央値は9(IQR:8~9)、AMSTAR-PLUS content中央値は4.25(IQR:4~5)であった。・メタ解析のエビデンスの信頼性は、不十分/低が43件(93.5%)、中が2件(4.3%)、高が1件(2.2%)であった。・若年成人における心理社会的介入、プライマリケアにおける心理学的介入と教育学的介入の組み合わせは、抑うつ症状の軽減に対し中程度の信頼性を有していた。・脳卒中患者のうつ病性障害に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の予防投与は、高い信頼性を有していた。・本研究の限界として、介入の不均一性および長期的な有効性評価の欠如が挙げられる。 著者らは「うつ病に対する1次予防的介入は効果的な可能性がある。とくに、脳卒中後のSSRI予防投与や高リスク群(小児、青年、若年成人または出産前、周産期の女性)に対する心理社会的介入を検討する必要がある」としている。

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添付文書改訂:フォシーガにCKD追加/エンレストに高血圧症追加/リンヴォックにJAK阻害薬初の間節症性乾癬追加/リオナに鉄欠乏性貧血追加/ロナセンに小児適応追加【下平博士のDIノート】第83回

フォシーガ:SGLT2阻害薬で初のCKD適応追加<対象薬剤>ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(商品名:フォシーガ錠5mg/10mg、製造販売元:アストラゼネカ)<承認年月>2021年8月<改訂項目>[追加]効能・効果慢性腎臓病(CKD)ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く。<Shimo's eyes>わが国では現在、本剤を含めて6種類のSGLT2阻害薬が発売されています。本剤はイプラグリフロジン(商品名:スーグラ錠25mg/50mg)と共に、2型糖尿病だけでなく1型糖尿病にも適応があります。2020年11月にはSGLT2阻害薬で初めて慢性心不全の適応を取得し、さらに2021年8月にCKDの適応も取得しました。NEJM誌に掲載された国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験(第III相DAPA-CKD試験)の結果によると、本剤はプラセボと比較して、CKD患者の腎機能低下もしくは死亡などの複合リスクを有意に低下させました。これは、心不全の結果(DAPA-HF試験)と同様に、2型糖尿病合併の有無にかかわらず認められています。参考アストラゼネカ 医療関係者向けサイト フォシーガエンレスト:高血圧症の適応追加<対象薬剤>サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(商品名:エンレスト錠100mg/200mg、製造販売元:ノバルティスファーマ)<承認年月>2021年9月<改訂項目>[追加]効能・効果高血圧症[追加]用法・用量通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回200mgを1日1回経口投与します。年齢、症状により適宜増減しますが、最大投与量は1日1回400mgです。なお、本剤の投与により過度な血圧低下の恐れなどがあり、原則、高血圧治療の第一選択薬としては使えません。<Shimo's eyes>2020年6月に承認された「慢性心不全」に対する適応に加えて、今回「高血圧症」が適応追加されました。本剤は、新しいクラスであるARNIに分類され、ネプリライシン(NEP)とARBであるバルサルタンを分子内に持つ薬剤です。海外では2021年6月時点で、高血圧症に係る適応ではロシアと中国で承認、慢性心不全に関連する適応では欧米を含む110以上の国・地域で承認されています。なお、慢性心不全とは異なり、同錠50mgは適応追加の対象外となっています。参考ノバルティスファーマ 医療関係者向けサイト エンレストリンヴォック:JAK阻害薬で初めて間節症性乾癬の適応追加<対象薬剤>ウパダシチニブ水和物(商品名:リンヴォック錠7.5mg/15mg/30mg、製造販売元:アッヴィ合同会社)<承認年月>2021年5月、8月、9月<改訂項目>[追加]効能・効果関節症性乾癬(5月)、アトピー性皮膚炎(8月)[追加]剤形30mg錠(9月)<Shimo's eyes>本剤は2020年1月に関節リウマチの適応を取得し、2021年5月に関節症性乾癬、8月にアトピー性皮膚炎の適応が承認されました。また、同年9月に承認された30mgはアトピー性皮膚炎のみの適応です。関節症性乾癬の治療薬としては、関節炎に対してはNSAIDsが第一選択となり、活動性が高い場合はメトトレキサートなどのDMARDsが追加されます。それでも効果が不十分の場合は生物学的製剤が検討されますが、既存薬では寛解または疾患コントロールの目標と考えられる最小疾患活動性が達成できていない患者も多くいます。今回の適応追加により、機能障害を予防・軽減し、QOLを改善する新たな治療選択肢となることが期待されています。参考アッヴィ 医療関係者向け情報サイト リンヴォックリオナ:鉄欠乏性貧血の適応追加<対象薬剤>クエン酸第二鉄水和物(商品名:リオナ錠250mg、製造販売元:日本たばこ産業)<承認年月>2021年3月<改訂項目>[追加]効能・効果鉄欠乏性貧血[追加]用法・用量通常、成人には、クエン酸第二鉄として1回500mgを1日1回食直後に経口投与する。患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1回500mgを1日2回までとする。<Shimo's eyes>鉄欠乏性貧血は、最も頻度の高い貧血であり、動悸、息切れなどの貧血症状のほか、異食症や易疲労感などが認められます。治療としては、鉄欠乏を来す原因疾患の治療とともに鉄剤の投与が行われます。貧血と高リン血症は慢性腎臓病(CKD)の主要な合併症です。本剤は透析を受けているCKD患者の高リン血症治療薬として2014年に発売され、今回、鉄欠乏性貧血治療薬としても承認されました。本剤は胃腸管で食事に含まれるリン酸塩に結合し、リン酸第二鉄として不溶性の沈殿を形成させることでリンの消化管吸収を抑制するリン吸着剤です。鉄の一部が吸収されるため、ヘモグロビン濃度の上昇につながることから、本剤の投与により貧血の改善も期待できます。参考鳥居薬品 医療関係者向けサイト リオナ錠250mgロナセン:統合失調症治療薬として初の小児適応<対象薬剤>ブロナンセリン(商品名:ロナセン錠2mg/4mg/8mg、ロナセン散2%、製造販売元:大日本住友製薬)<承認年月>2021年3月<改訂項目>[追加]用法・用量小児:通常、小児にはブロナンセリンとして1回2mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量する。維持量として1日8~16mgを2回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は16mgを超えないこと。<Shimo's eyes>本剤は統合失調症治療薬として2008年に発売され、2019年には世界で初めて統合失調症を適応としたテープ剤(経皮吸収型製剤)も発売されています。さらに今回、わが国で初めて統合失調症の小児適応が追加されました。統合失調症は18歳より前に発症すると、その後の重症度が高く、成人で発症した場合と比べて神経認知障害がより重度になることがあります。米国児童青年精神医学会の指針では、小児であっても成人と同様に薬物療法と心理社会的療法を併用することが治療の基本とされています。参考大日本住友製薬 医療関係者向けサイト ロナセン

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青年期うつ病と双極性障害の鑑別を予測するバイオマーカー

 双極性障害の約半数は、少年期または青年期に発症する。双極性障害の初期段階では、通常うつ病エピソードが認められ、うつ病と鑑別することが困難である。しかし、青年期の双極性障害とうつ病を鑑別するための客観的なバイオマーカーは限られている。中国・上海交通大学医学院のXiaohui Wu氏らは、青年期のうつ病と双極性障害の鑑別を予測するバイオマーカーについて、検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2021年8月25日号の報告。 2009~18年に双極性障害およびうつ病で精神科病棟に入院した患者を対象に、基本的な人口統計データおよび入院後最初の血液検査データを収集した。対象患者は、10~18歳の双極性障害およびうつ病患者261例(双極性障害:101例、うつ病:160例)。バイナリロジスティック回帰の変数増減法(Forward-Stepwise Selection)を使用して、性別ごとのサンプル全体とサブグループの予測モデルを構築した。中国の別の病院から一致させた255例を用いて、独立した外部検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・全体および男女のサブグループにおける回帰モデルの精度、曲線化面積(AUC)は以下のとおりであった。 ●青年期全体(精度:73.3%、AUC:0.785) ●男性(精度:70.6%、AUC:0.816) ●女性(精度:75.2%、AUC:0.793)・最終的に本モデルに含まれた予測因子は、年齢、直接ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ、遊離トリヨードサイロニン、C反応性蛋白であった。・外部検証において、鑑別に問題は認められなかった(AUC:0.714)。 著者らは「青年期の双極性障害とうつ病を鑑別するうえで、一般的な臨床検査値が役立つ可能性があることが示唆された」としている。

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うつ病患者の自殺リスク予測因子

 自殺の原因はさまざまであり、自殺リスクのある人を正確に特定することは困難である。米国・ボストン大学のTammy Jiang氏らは、機械学習を用いて、うつ病患者の自殺予測を試みた。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年8月11日号の報告。 本研究は、1995~2015年にデンマークにおいて実施されたケースコホート研究である。対象は、デンマークで自殺により死亡したすべてのうつ病患者2,774例。比較サブコホートは、ベースライン時のデンマーク人の5%ランダムサンプルであり、研究期間中にうつ病と診断された患者1万1,963例。自殺予測には、決定木およびランダムフォレストを用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病男性では、他の解熱鎮痛薬の使用(アセトアミノフェンなどの非オピオイド鎮痛薬)、催眠鎮静薬の使用、中毒症と診断された患者において自殺リスクが高かった(96例、リスク:81%)。・うつ病女性では、他の解熱鎮痛薬、抗不安薬、催眠鎮静薬が使用された患者で自殺リスクが高かったが、中毒症や脳血管疾患と診断された患者では関連が認められなかった(338例、リスク:58%)。 著者らは「精神障害とそれに関連する薬物療法は、自殺リスクとの関連が示唆された。とくに、慢性疼痛や疾患治療に用いられる抗炎症薬(アセトアミノフェンなど)の使用は、うつ病患者の自殺リスクとの関連が認められた」とし「機械学習は、自殺による死亡を予測する精度を向上させる可能性がある」としている。

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安静時の島皮質活性によるうつ病と双極性障害の鑑別~メタ解析

 うつ病エピソードが認められる双極性障害とうつ病の両疾患は、鑑別診断および治療選択において問題となることがある。双極性障害では、躁病エピソードよりもうつ病エピソードが頻繁に認められ、とくに診断時にはうつ病エピソードが主であることが診断を難しくする要因であり、やはり唯一信頼できる鑑別マーカーは躁病歴を把握することであると考えられる。安静時fMRIは、非侵襲性でタスクが少なく、忍容性が高い方法であり、自発的な神経活動から得られる診断マーカーを検出できる可能性がある。双極性障害とうつ病の鑑別に焦点を当てたこれまでの安静時fMRIの研究では、サンプル検出力が低く、サンプルの不均一性や分析方法の多様化により、一貫した結果が得られていない。チェコ・カレル大学のMartin Pastrnak氏らは、賦活尤度推定(activation likelihood estimation)メタ解析を用いて、双極性障害とうつ病の安静時活動の違いについて調査を行った。Scientific Reports誌2021年8月20日号の報告。 2000年1月~2020年8月に公表された、うつ病患者とうつ病エピソードの双極性障害患者を比較した全脳安静時fMRI研究を、各種データベース(PubMed、Web of Science、Scopus、Google Scholar)より検索した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者234例、うつ病患者296例を含む10件の研究が分析に含まれた。・メタ解析によると、双極性障害患者と比較し、うつ病患者では左島皮質と隣接領域での活動増加が認められた。 著者らは「島皮質は、安静時の神経活動パターンと関連しており、双極性障害とうつ病を鑑別するバイオマーカーとして利用できる可能性が示唆された」としている。

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ADHD児の睡眠問題と母親のメンタルヘルスとの関連

 小児の注意欠如多動症(ADHD)では、一般の小児と比較し、睡眠障害が多く認められる。また、ADHD児の両親は、メンタルヘルスに問題を抱える割合が高いことが知られている。この関連は横断研究では報告されているものの、縦断研究は実施されていなかった。オーストラリア・ディーキン大学のChristina A. Martin氏らは、ADHD児の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題(全体的なメンタルヘルス、うつ病、不安、ストレス)との潜在的な双方向の関連を12ヵ月間調査した。Journal of Attention Disorders誌2021年9月号の報告。 5~13歳のADHD児379例の母親に対し、子供の睡眠状態(子供の睡眠習慣質問票)および自分自身のメンタルヘルス(うつ病不安ストレススケール)について、12ヵ月間で3度(ベースライン、6ヵ月、12ヵ月)の調査を行った。子供の年齢、性別、ADHD症状の重症度、ADHD治療薬の使用、併存疾患(自閉スペクトラム症、内在化障害、外在化障害)、母親の年齢、社会経済的状況でコントロールし、自己回帰クロスラグパネル分析を用いてデータ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・子供の睡眠障害と母親のメンタルヘルス問題は、12ヵ月間にわたり非常に安定して認められた。・長期的な関連は明らかであり、6ヵ月時の子供の睡眠障害は、12ヵ月時の母親の全体的なメンタルヘルスおよび不安の予測因子であった。・しかし、6ヵ月時の子供の睡眠障害は、12ヵ月時の母親のうつ病やストレスを予測しなかった。・母親のメンタルヘルス問題が、調査期間を通じて子供の睡眠障害を予測することは、ほとんどなかった。 著者らは「ADHD児の睡眠問題が、その後の母親のメンタルヘルス問題に影響を及ぼすことが示唆された。そのため、子供の睡眠を改善するための介入は、時間とともに母親のメンタルヘルスの改善につながる可能性があると考えられる。そして、睡眠障害を有する子供を持つ母親では、潜在的なメンタルヘルス問題を抱えている可能性があることを認識する必要がある」としている。

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統合失調症患者の早期再発に関連する要因

 統合失調症は、再発を繰り返して進行する慢性的な精神疾患である。再発リスクに影響を及ぼす可能性のある多くの因子を特定することは、再発を予防するうえで重要である。トルコ・Gulhane Training and Research HospitalのIbrahim Gundogmus氏らは、統合失調症患者の早期再発率とそれに関連する可能性のあるリスク因子を特定するため、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年8月19日号の報告。 統合失調症患者308例を対象に、自然主義的観察デザインのプロスペクティブ研究を実施した。早期再発のカットオフ値は、1年と定義した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は37.38±12.28歳、男性の割合は66.6%(205例)であった。・早期再発率は、38.3%であった。・早期再発の独立したリスク因子は、以下のとおりであった。 ●35歳未満(ハザード比[HR]:2.313、95%信頼区間[CI]:1.518~3.526、p<0.001) ●向精神薬の使用(HR:2.200、95%CI:1.407~3.440、p=0.001) ●自殺企図の既往歴(HR:1.565、95%CI:1.028~2.384、p=0.037) ●治療アドヒアランス不良(HR:3.102、95%CI:1.358~7.086、p=0.007) ●エピソード数(HR:1.088、95%CI:1.043~1.134) ●臨床全般印象評価尺度(CGI)の有害事象スコア(HR:1.826、95%CI:1.357~2.458、p<0.001)・早期再発リスクの減少と関連が認められた因子は、以下のとおりであった。●長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用(HR:0.534、95%CI:0.351~0.812、p=0.003)●非定型抗精神病薬の併用(HR:0.326、95%CI:0.131~0.807、p=0.015) 著者らは「統合失調症の早期再発に対する変更可能な予測因子として、治療アドヒアランス不良、向精神薬の使用、LAI抗精神病薬の未使用、非定型抗精神病薬を併用しない定型抗精神病薬の使用が挙げられる」としている。

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ポルノ依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連

 男性がポルノ関連情報に触れる機会は、過去10年間で大きく変化しており、インターネットポルノ(IP)依存症やそれに関連する性機能障害の有症率は増加している。DSM-Vのコンセンサスや正式な認識が欠如していることにより、IP依存症の定義は明らかとなっていない。現在得られているIP依存症や性機能障害に関連するエビデンスの多くは、消費者、ケーススタディ、定性研究からの情報に限られている。経験的な測定が用いられることにより、研究者は、性的反応に関するさまざまなアウトカムを発見したが、これらのデータは、IPの利用と自己認識しているIP依存症との混同、性機能障害の臨床診断による性的反応の正常な変動と関連している可能性がある。そのため、IPの利用や自己認識しているIP依存症の両方が男性の性機能に及ぼす影響を評価するためには、さらなる経験的な解明が求められる。オーストラリア・マッコーリー大学のGeorgina Whelan氏らは、IP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連について調査を行った。The Journal of Sexual Medicine誌オンライン版2021年8月13日号の報告。 この研究の目的として、次の3つについて評価を行った。(1)IP単独利用と勃起不全、早漏、性的満足度との関連(2)自己認識しているIP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連(3)IPの利用または自己認識しているIP依存症が男性の勃起不全、早漏、性的満足度の予測因子であるか 米国のオンライン掲示板RedditのIPサブグループが行ったオンライン調査に参加した18~44歳の異性愛者男性942人を対象に、相関分析および回帰分析を実施した。主要アウトカムの指標として、Cyber-Pornography Use Inventory(IPの利用尺度)、International Index Erectile Dysfunction(勃起不全の尺度)、The Checklist for Early Ejaculation Symptoms(早漏の尺度)、New Sexual Satisfaction Scale(性的満足度の尺度)、Depression Anxiety Stress Scale-21(うつ病、不安、ストレスの尺度)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・IPの利用と勃起不全、早漏、性的満足度との関連は認められなかった。・自己認識しているIP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との間には、小~中程度の相関が認められた。・自己認識しているIP依存症は、勃起不全、早漏、個人の性的不満の増加に対する独立した予測因子であることが示唆された。・予想に反して、自己認識しているIP依存症は、性的パートナーに対する性的不満を予測しなかった。 著者らは「IPの利用自体が性機能障害を予測するわけではなく、IP依存の増加に対する自己認識が、性的にネガティブな影響と関連していることが示唆された。そのため、IPの利用に対する主観的な解釈が、男性の性的問題の原因であると考えられる。臨床医は、自己認識しているIP依存症が、性機能障害の原因である可能性を考慮する必要がある」としている。

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便秘からがんを疑うアラームサインを読み取る【Dr.山中の攻める!問診3step】第6回

第6回 便秘からがんを疑うアラームサインを読み取る―Key Point―大腸がんを疑うアラームサインに注意しよう薬剤が便秘の原因となっていることは多い下剤を処方する際、「酸化マグネシウム」は腎機能低下時に高マグネシウム血症を起こすので要注意!症例:76歳男性主訴)排便困難現病歴)12日前から便が突然出なくなった。4日前に近医で浣腸をしてもらったが排便なし。酸化マグネシウムと大腸刺激性下剤の処方を受けたが、やはり排便がないため当院を受診した。嘔吐はあるが腹痛はない。既往歴)老人性難聴薬剤歴)定期内服薬なし生活歴)たばこ:10本/日 x 55年間、酒:1合/日身体所見)意識清明、体温36.7℃、血圧120/50mmHg、心拍数92/分、SpO2:95%[室内気]直腸診を施行したところ、肛門から8cm、12時方向にカリフラワー様の約4×4cmの腫瘤を触知し易出血性であった。結局、直腸癌と診断され人工肛門増設のため緊急手術となった。大腸イレウスは珍しいが、穿孔すれば腹膜炎となるので緊急処置が必要となることも念頭に入れておくべき。◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!大腸がんを疑うアラームサイン1) ―大腸がんの可能性はないのか鉄欠乏性貧血体重減少便潜血陽性血便便の狭小化高齢者の急性便秘大腸がんの家族歴50歳以上で大腸内視鏡検査を受けたことがない【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】二次性の便秘を考える薬剤は二次性便秘の最大の原因である。薬剤歴の正確な聴取が大切である便秘を起こす薬剤2)3)はこちら降圧薬(カルシウム拮抗薬、利尿薬)、麻薬抗コリン薬(ブチルスコポラミン、抗うつ薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬)抗ヒスタミン薬、NSAIDs、鉄剤高齢者の鉄欠乏性貧血は消化管の悪性腫瘍をまず考える便の狭小化+腹痛+液状便はS状結腸から直腸にかけての高度狭窄が示唆される症状である。大腸内視鏡の前処置で腸閉塞や腸管穿孔をきたす可能性があるため、腹部レントゲン検査と腹部CT検査を検査前にオーダーする甲状腺機能低下症、自律神経障害を起こす糖尿病やパーキンソン症候群、低カリウム血症、高カルシウム血症、うつ病、妊娠は便秘の原因となる【STEP3】治療1)を検討しよう毎日排便がないのは異常であるというイメージが TVコマーシャルなどによって作られているが、週に3回または1日3回の排便は正常である週3回以上排便があれば、病的ではないことを伝える。水分と食物繊維を十分にとる。朝食後15分間はトイレに座り、力まずに排便するよう指導する。改善がなければ、ポリエチレングリコール(商品名:モビコール)または酸化マグネシウムを処方する。酸化マグネシウムは腎機能低下時に高マグネシウム血症(嘔気・嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、意識障害)を起こす。効果が不十分ならルビプロストン(商品名:アミティーザ)を少量から検討する。大腸刺激性薬剤(センノシド、ピコスルファート)は習慣性や依存性が強いので頓用で用いる<参考文献・資料>1)山中 克郎企画. 総合診療 ヤブ化を防ぐ!総合診療基本のき. 医学書院.2019. p.1089-1091.(中野弘康 便秘)2)John P, et al. MKSAP18 Gastroenterology and Hepatology. 2018 .p.35-38.3)日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編. 慢性便秘症診療ガイドライン. 2017.

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安定期統合失調症患者の再発予防に対する適切な抗精神病薬投与量~メタ解析

 統合失調症の再発予防に対し、どの程度の抗精神病薬の投与量が必要かは明らかになっていない。ドイツ・ミュンヘン工科大学のStefan Leucht氏らは、この疑問を解決するため、ランダム化臨床試験のメタ解析を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2021年8月18日号の報告。 Cochrane Schizophrenia Group's Study-Based Register of Trials(2020年3月9日)、PubMed(2021年1月1日)、過去のレビューを通じて該当研究を特定した。追加情報は、筆頭著者および/または製薬会社に問い合わせ、収集した。2人の独立したレビュアーにより、安定期統合失調症患者の再発予防に対し、固定用量の第2世代抗精神病薬、ハロペリドール、フルフェナジンを比較したランダム化臨床試験を抽出した。PRISMAガイドラインの優先報告項目に従って重複するすべてのパラメータを抽出し、頻度論的(frequentist)用量反応変量効果メタ解析を実施した。主要評価項目は、研究で定義された再発とし、再入院、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)の合計スコアのベースラインからの減少、すべての原因による中止、有害事象による脱落についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・26件の研究(4,776例)より得られた、72種類の用量群に関するエビデンスを分析した。・有用性については、用量反応曲線は双曲線形状であり、リスペリドン換算5mg/日まで再発率の急激な低下が認められたが(相対再発リスク:0.43[95%CI:0.31~0.57]、PANSS合計スコアの標準化平均差:-0.55[95%CI:-0.68~-0.41])、その後は平板化した。・有害事象による脱落については、対照的に5mg/日を超えるにつれ増加が認められた(5mg/日の相対リスク:1.38[95%CI:0.87~2.55]、15mg/日の相対リスク:2.68[95%CI:1.49~4.62])。・寛解患者におけるサブグループ解析では、約2.5mg/日で早期に安定状態に達していた。 著者らは「安定期統合失調症患者に対する抗精神病薬投与では、リスペリドン換算5mg/日超で再発予防にベネフィットがもたらされる一方、用量を増やし過ぎると有害事象の増加につながる可能性がある。寛解期の患者または強力な第1世代抗精神病薬で治療している患者においては、より低用量の2.5mg/日で十分である可能性が示唆されたが、低用量にし過ぎると有効性の減弱につながる可能性もあり注意が必要である。また、本結果はあくまで観察結果の平均値であり、代謝スピード、年齢、罹病期間、併存疾患、薬物相互作用などさまざまな要因を考慮した用量調節が必要である」としている。

754.

分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、母親の自殺などを含む健康への悪影響と関連している。分娩様式は、産後うつ病のリスク因子といわれているが、この関連を調査した大規模コホート研究は、あまり行われていなかった。大阪大学の馬場 幸子氏らは、出産1ヵ月後および6ヵ月後における分娩様式と産後うつ病リスクとの関連を調査した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年7月31日号の報告。帝王切開は1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められた 単生児出産の母親8万9,954人を対象とした全国調査のデータを用いて、出産方法と産後うつ病との関連を調査した。産後うつ病の評価は、出産1ヵ月後および6ヵ月後にエジンバラ産後うつ病評価尺度(13点以上)を用いて測定した。産後うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、出産前の身体的、社会経済的、精神的要因で調整した後、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 出産方法と産後うつ病との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・産後うつ病の発症率は、出産1ヵ月後で3.7%、6ヵ月後で2.8%であった。・帝王切開は、自然分娩と比較し、1ヵ月後の産後うつ病リスクとわずかな関連が認められたが(調整OR:1.10、95%CI:1.00~1.21)、6ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は認められなかった(調整OR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。・1ヵ月後の産後うつ病リスクとの関連は、出産前に心理的苦痛を有する女性において、より顕著であった(調整OR:1.15、95%CI:1.03~1.28)。・乳児に対する授乳方法で調整した後、これらの関連性が弱まることが示唆された。 著者らは「出産前に心理的苦痛が認められ、帝王切開により出産した女性では、産後うつ病のモニタリングを強化する必要がある」としている。

755.

うつ病リスクに対するシフト勤務の影響

 シフト勤務は、多くの健康問題、とくにメンタルヘルスの問題と関連していることが報告されている。さまざまな人口統計、ライフスタイル、仕事に関連する要因を考慮し、シフト勤務と抑うつ症状との関連を明らかにするため、ドイツ・ルール大学ボーフムのThomas Behrens氏らは、プロスペクティブHeinz Nixdorf Recall Studyを実施した。Chronobiology International誌オンライン版2021年8月12日号の報告。 抑うつ症状は、うつ病自己評価尺度(CES-D)、Patient Health Questionnaire(PHQ)、抗うつ薬の処方状況により評価した。CES-Dのカットオフ値は、高度と評価される17点以上、PHQのカットオフ値は、9点以上とした。シフト勤務の定義は、7:00~18:00以外の勤務時間を含むものとし、夜間勤務の定義は、0:00~5:00の勤務時間を含むものとした。相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、フォローアップ時の年齢、日周指向性(クロノタイプ)、世帯収入、教育で調整し、ロバスト標準誤差を有するポアソン回帰分析を用いて検討を行った。性別により層別化し、分析した。結果のロバスト性を評価するため、さまざまな感度分析と層別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、45~73歳のうつ病歴のない就労者1,500人を調査した。・フォローアップ期間が5年間であった就労者は896人、10年間であった就労者は486人であった。・ほとんどの分析において、統計学的に有意なレベルに達しなかったが、PHQでの評価によると、夜間勤務の女性において抑うつ症状リスクの増加傾向が認められ(RR:1.78、95%CI:0.71~4.45)、とくに20年以上の夜間勤務の場合、この傾向がより顕著であった(RR:2.70、95%CI:0.48~15.4)。・年齢別に層別化した場合、60歳以上の女性では、リスクの増加が認められなかった。・層別化分析では、オーバーコミットメントが女性の抑うつ症状リスクの高さと関連していることが示唆された([CES-D]RR:4.59、95%CI:0.95~22.2、[PHQ]RR:12.7、95%CI:2.89~56.1)。・感度分析を目的としたサブグループの除外により、女性での関連性は上昇したが、男性のシフト勤務就労者におけるうつ病リスクとの関連は、ほとんど消失していた。 著者らは「女性のシフト勤務就労者では、うつ病リスクに対する悪影響が示唆された。男性では、この関連性が一貫して増加することは確認されなかった」としている。

756.

統合失調症患者におけるCOVID-19罹患率と死亡リスクへの影響

 精神疾患患者は、身体的健康アウトカムが不良であることが知られており、とくに統合失調症スペクトラム障害患者では、大きな問題となっている。最近の研究において、統合失調症患者では、とくにCOVID-19による影響が大きいともいわれている。ギリシャ・テッサリー大学のSokratis E. Karaoulanis氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者におけるCOVID-19のアウトカム不良リスクに関して、システマティックレビューを行った。Psychiatriki誌オンライン版2021年8月5日号の報告。 統合失調症スペクトラム障害患者におけるCOVID-19の罹患および/または死亡率を調査したすべての研究を特定するため、PRISMAガイドラインに従ってPubMed、PsycINFO、Scopusのデータベースを用いて、システマティックレビューを実施した。スクリーニングプロセス実施後、選択基準を満たした研究は7件であった。これらの研究結果は、オッズ比または調整済みオッズ比を用いて報告されていた。 主な結果は以下のとおり。・全体的な結果として、統合失調症患者では中程度ではあるが、より高い感染率に対する統計学的に有意な影響およびより高い死亡率に対する強力な統計学的に有意な影響が認められた。・統合失調症患者は、一般集団と比較し、COVID-19への罹患リスクが高く、死亡率が有意に高いことが示唆された。・しかし、集中治療室の利用頻度など他のアウトカムについては、矛盾した結果が認められた。 著者らは「統合失調症患者は、COVID-19への罹患リスクが高く、死亡率が上昇する可能性があるものの、集中治療室の利用頻度はそれほど高くないことが示唆された。統合失調症患者に対するCOVID-19ワクチン接種プログラムの優先順位の見直しや迅速な集中治療室の利用などヘルスケアへのアクセスを改善する必要がある」としている。

757.

麻酔を用いた出産と産後うつ病との関連~JECS研究

 産後うつ病は、出産後の女性が経験する最も一般的な精神疾患の1つであり、多くは1年以内に発症する。名古屋市立大学の鈴森 伸宏氏らは、日本において麻酔を用いた分娩が産後うつ病リスクの減少に影響を及ぼすかについて、検討を行った。BMC Pregnancy and Childbirth誌2021年7月23日号の報告。 麻酔を用いた分娩には、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下硬膜外麻酔、傍頸管ブロックを含めた。日本におけるプロスペクティブコホート研究であるJECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)に登録された日本全国15地域の胎児記録データ10万4,065件を用いて検討を行った。麻酔の有無にかかわらず分娩様式と出産後1、6、12ヵ月の産後うつ病との関連について調整オッズ比(aOR)を算出するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・麻酔を用いた普通分娩は、麻酔を使わない普通分娩と比較し、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクが高かった(aOR:1.233、95%信頼区間:1.079~1.409)。・しかし、このリスクは出産後1年で低下した。・麻酔を用いた出産を希望した妊婦において、妊娠第1三半期前のうつ病に関連するK6スコアの陽性率は5.1%であり、これは麻酔を使わない普通分娩(3.5%)と比較し、有意に高かった(p<0.001)。 著者らは「麻酔を用いた普通分娩は、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクを上昇させる可能性が示唆された。日本では、麻酔を用いた出産の希望はまれであるが、希望する女性では、根底にある母親の環境状態の影響により産後うつ病を発症する可能性が高まる」としている。

758.

統合失調症に対する抗精神病薬未使用と死亡リスク

 抗精神病薬の使用が統合失調症患者の死亡率の上昇または低下と関連しているかは、よくわかっていない。大規模登録研究では、抗精神病薬を使用しないと死亡リスクが増加することが示唆されているが、プロスペクティブ研究での報告は十分ではない。ノルウェー・Haukeland University HospitalのMaria Fagerbakke Stromme氏らは、統合失調症の死亡率と抗精神病薬未使用との関連を調査するため、オープンコホート研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年7月21日号の報告。 対象は、ノルウェー・ベルゲンのHaukeland University Hospital精神科急性期病棟に10年間入院し、退院診断を受けた統合失調症患者696例。各患者における抗精神病薬の使用期間と未使用期間での比較を行うため、抗精神病薬の使用を時間依存変数としCox重回帰分析を行った。性別、入院時の年齢、精神科急性期病棟への入院数、アルコールおよび違法薬物の過剰使用、ベンゾジアゼピンおよび抗うつ薬の使用で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ中に68例(9.8%)の死亡が確認された。・死亡患者のうち40例(59%)は自然死、26例(38%)は不自然死であった。・抗精神病薬未使用は、使用と比較し、死亡リスクが2.15倍高かった(p=0.01、信頼区間:1.24~3.72)。・抗精神病薬の使用と未使用との死亡リスクの差は、年齢に依存しており、若年患者においてリスクの差が最も大きかった。 著者らは「統合失調症患者に対する抗精神病薬未使用は、死亡リスクを2倍増加させる可能性が示唆された」としている。

759.

アルツハイマー病患者の抑うつ症状に対する抗うつ薬治療の有効性~メタ解析

 抑うつ症状は、アルツハイマー病(AD)患者でみられる最も一般的な神経精神症状の1つである。現在の臨床現場では、AD患者の抑うつ症状に対する第1選択治療として、抗うつ薬治療が行われている。中国・Maoming People's HospitalのYanhong He氏らは、AD患者の抑うつ症状の治療における抗うつ薬の有効性に関するエビデンスをシステマティックに調査した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2021年7月9日号の報告。 ランダム化比較試験のメタ解析を行うため、Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、Embase、CNKIデータベースよりシステマティックに検索した。主要アウトカムは、平均うつ病スコアおよび安全性とし、副次的アウトカムは、認知機能とした。さまざまな治療による順位確率を推定するため、surface under the cumulative ranking curveを用いた。 主な結果は以下のとおり。・14薬剤を含む25件の研究が選択基準を満たした。・ミルタザピン(標準化平均差[SMD]:-1.94、95%信頼区間[CI]:-3.53~-0.36、p<0.05)およびセルトラリン(SMD:-1.16、95%CI:-2.17~-0.15、p<0.05)による治療は、プラセボと比較し、抑うつ症状の治療に対する優れた有効性が認められた。・クロミプラミンは、プラセボよりも有害事象リスクが高かった(オッズ比:3.01、95%CI:1.45~4.57、p<0.05)。・認知機能については、抗うつ薬治療とプラセボとの間に統計学的有意差は認められなかった。 著者らは「全体として短期治療に関するデータではあるものの、AD患者の抑うつ症状の治療では、セルトラリンおよびミルタザピンによる治療を考慮すべきであることが示唆された。今後、大規模サンプルやより長いフォローアップ期間を設定した高品質な試験が求められる」としている。

760.

うつ状態の変化が喫煙量に及ぼす影響

 韓国の喫煙率は、この10年間さまざまな喫煙コントロール政策が行われてきたにもかかわらず、わずか3%しか減少していない。そのため、喫煙者の心理学的特徴を考慮した政策を考える必要がある。一方、禁煙が失敗する要因として、うつ病との関連が示唆されている。韓国・延世大学校のSoo Hyun Kang氏らは、喫煙者のうつ状態の変化が1日の喫煙量(DCA)に及ぼす影響について、調査を行った。BMC Public Health誌2021年7月3日号の報告。 Korea Welfare Panel Study(KoWePS)のウェーブ3(2008年)~13(2018年)より抽出したサンプルを用いて検討を行った。調査時に1日で喫煙した紙巻きタバコの本数をDCAと定義した。うつ状態の評価には、うつ病自己評価尺度(CESD-11)を用いた。うつ症状の変化がDCAに及ぼす影響を評価するため、一般化推定方程式を用いた。うつ状態の変化により「NO→NO」群、「NO→YES」群、「YES→NO」群、「YES→YES」群に分類し評価した。 主な結果は以下のとおり。・2008年のベースライン時のサンプル数は、1,821人(男性:1,645人、女性:176人)であった。・男性において「YES→NO」群は、「NO→NO」群と比較し、DCAの有意な低下が認められた唯一の群であった(β:-0.631、p=0.0248)。・19歳以前に喫煙を開始した男性において「YES→NO」群は、「NO→NO」群と比較し、DCAの有意な低下が認められた(β:-0.881、p=0.0089)。 著者らは「うつ状態から非うつ状態への変化および非うつ状態からうつ状態への変化は、男性のDCA減少および増加とそれぞれ関連していた。19歳以前に喫煙を開始した喫煙者の場合、うつ状態から非うつ状態へ変化した群では、一般喫煙者と比較し、DCAが非常に低かった。禁煙プログラムに参加した人の治療において、カウンセラーはうつ症状を確認し、うつ病治療を併せて行うことを推奨する必要がある」としている。

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