統合失調症の再発までの期間と再発歴との関係

統合失調症は、再発を繰り返すことが多い疾患であり、このことはしばしば患者にとって悪影響を及ぼす。過去の再発歴は、今後の再発を予測する強力な因子であるといわれているが、この関連性は十分に定量化されているわけではない。デンマーク・ルンドベック社のKristian Tore Jorgensen氏らは、統合失調症の再発までの期間と患者の再発歴との関連を定量化するため、スウェーデンの実臨床データを用いて検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年12月21日号の報告。
スウェーデン国立患者レジストリと処方薬レジストリのデータを用いて、2006~15年に初めて登録された統合失調症患者の再発について、再発のプロキシ定義を用いて検討した。主要なプロキシは、7日以上の精神科入院を再発と定義した。その後、各再発リスクについてハザード比(HR)を算出し、Aalen-Johansen推定量を用いて、次の再発までの期間を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数2,994例、再発エピソード5,820件のデータを分析した。
・過去の再発回数が多いと、次回再発までの期間が短くなる傾向が認められた。
・再発歴のない統合失調症患者の半数は、フォローアップから1.52年以内に最初の再発エピソードに遭遇すると推定された。
・1回目の再発を経験した統合失調症患者の半数は、1.23年以内に2回目の再発を経験すると推定された。
・次の再発までの期間は、2回の再発経験を有する患者では0.89年に減少し、10回の再発経験を有する患者では0.22年に減少した。
・研究母集団の異なる包括除外基準と再定義された再発プロキシを用いた補足分析では、次の再発までの期間の短縮に関連する過去の再発歴の回数の多さは、一時分析で観察された結果を反映していた。
著者らは「再発は、統合失調症の疾患進行を加速させる傾向を示し、再発回数が多くなると、より短い期間で再発することが明らかとなった。このことから、統合失調症患者の個々のニーズをよく理解し、早期に効果的かつ忍容性の高い治療を提供することが重要であると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)
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