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運動するのも緩和ケア?【非専門医のための緩和ケアTips】第61回

第61回 運動するのも緩和ケア?緩和ケアの専門家として、時々聞かれるのが「運動療法ってどんなことをするのですか?」というトピックです。確かに緩和ケアの教科書を見ると書いてありますからね。今回は緩和ケアにおける運動療法を考えてみましょう。今回の質問外来で診ているがん患者さん。痛みなどの身体症状は抑えられているのですが、不眠があり、気分も晴れないとのことです。こういった方に運動を勧めることをどう思われますか?外来通院されている患者さんに、少しでもできることがないかと考える姿勢が非常に伝わってくる質問ですね。まず、緩和ケア領域における運動療法についての一般論を共有します。がん患者への運動療法は世界的に議論され、研究領域の1つでもあります。その効果としては、倦怠感などの苦痛症状の緩和、身体機能やQOLの向上などが期待されています。運動の内容としては、日本緩和医療学会の編集による『がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)』(金原出版)に、これまでのエビデンスをまとめた推奨事項が記載されています。これによると「一般に成人(18~64歳)に対して、中等度の身体活動を週150分、高強度の有酸素運動を週75分、中~高強度の抵抗運動を週2回以上、行うことが推奨されている」(学会サイトから無料で閲覧可)。このように、緩和ケア領域における運動療法には一定の効果が期待できるわけですが、実践するうえでの注意点は何でしょう?それは、「適応」と「安全」です。「適応」としては、運動療法を検討している患者さんの症状や苦痛に対するアセスメントが重要です。今回の相談のケースでは、患者さんの気分の落ち込みがうつ病の症状かを考慮する必要があるでしょう。また、不眠も運動による改善が期待できますが、そもそもの不眠の原因を取り除くことも必要です。次に「安全」についてです。健康な人も同様ですが、がん患者であればなおさら過度な運動は禁物です。高齢の患者さんには持病のある人も多く、さらに安全に配慮する必要があります。骨転移のあるがん患者さんが転倒して骨折する、というのはよくあるケースですが、運動療法中に骨折すれば管理上の問題にもなります。そのほか、化学療法中の患者さんであれば、発熱や吐き気といった副作用が出ている時期や、骨髄抑制の期間中の運動は避けたほうがよいでしょう。以上、緩和ケア領域における運動療法を検討しました。「適応」と「安全」をしっかり考えながら、ケアに運動を取り込みましょう。今回のTips今回のTips緩和ケア領域の運動療法は、「適応」と「安全」を考えるのがポイント!

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クロザピン治療中の治療抵抗性統合失調症の喫煙患者、再発リスクにバルプロ酸併用が影響

 喫煙習慣とバルプロ酸(VPA)併用がクロザピンによる維持療法の臨床アウトカムに及ぼす影響を調査した研究は、これまでなかった。岡山県精神科医療センターの塚原 優氏らは、クロザピンを投与している治療抵抗性統合失調症患者の退院1年後の再発に対する喫煙習慣とVPA併用の影響を調査するため、本研究を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2023年9月8日号の報告。 日本国内の2つの3次精神科病院において入院中にクロザピン投与を開始し、2012年4月~2022年1月に退院した治療抵抗性統合失調症患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。再発の定義は、退院1年間の精神疾患増悪による再入院とした。喫煙習慣とVPA併用が再発に及ぼす影響の分析には、多変量Cox比例ハザード回帰分析を用いた。喫煙習慣とVPA併用との間の潜在的な相互作用を調査するため、サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者192例中、69例(35.9%)が再発基準を満たした。・喫煙習慣は、独立して再発リスクを増加させたが(調整ハザード比[aHR]:2.27、95%信頼区間[CI]:1.28~4.01、p<0.01)、喫煙習慣とVPA併用の有無との間に再発リスクに関する有意な相互作用が認められた(p-interaction=0.015)。・VPAの併用を避けることで、喫煙習慣に関連する再発リスク増加を効果的に修正する可能性が示唆された。・喫煙患者のうち、VPAを併用している患者(aHR:5.32、95%CI:1.68~16.9、p<0.01)では、併用していない患者(aHR:1.41、95%CI:0.73~2.70、p=0.30)と比較し、再発リスクが高かった。 著者らは「この結果により、喫煙習慣とVPA併用により、退院後の再発リスクが高まる可能性が示唆された。クロザピンの血中濃度低下など、これらの所見の根底にあるメカニズムを解明するためにも、さらなる研究が求められる」としている。

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治療抵抗性うつ病、esketamine点鼻薬vs.クエチアピン/NEJM

 治療抵抗性うつ病に対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)との併用において、esketamine点鼻薬はクエチアピン徐放剤と比較して8週時の寛解率が有意に高かった。ドイツ・Goethe University FrankfurtのAndreas Reif氏らが、24ヵ国171施設で実施された第IIIb相無作為化非盲検評価者盲検実薬対照試験「ESCAPE-TRD試験」の結果を報告した。治療抵抗性うつ病(一般的に、現在のうつ病エピソード中に2つ以上の連続した治療で有効性が得られないことと定義される)は、寛解率が低く再発率が高い。治療抵抗性うつ病患者において、SSRIまたはSNRIとの併用投与下で、クエチアピン増強療法と比較したesketamine点鼻薬の有効性と安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌2023年10月5日号掲載の報告。SSRIまたはSNRIへのesketamine点鼻薬併用をクエチアピン増強療法と比較 試験対象者は、30項目の観察者評価によるうつ病症候学評価尺度(IDS-C)(スコア範囲:0~84、高スコアほど重症)のスコアが34以上、現在使用中のSSRIまたはSNRIを含め、少なくとも2つの異なるクラスの抗うつ薬による治療を2~6回連続して受けるも無効(症状の改善が25%未満)の、18~74歳の治療抵抗性うつ病患者であった。 研究グループは、被験者をesketamine群またはクエチアピン群に1対1の割合で割り付け、現在使用中のSSRIまたはSNRIと併用投与した(初期治療期8週間、維持期24週間、計32週間)。esketamine群への点鼻薬投与(鼻腔内噴霧)は可変用量(製品特性の概要に即して)にて、クエチアピン群には徐放剤を投与した。 主要エンドポイントは、無作為化後8週時点における寛解で、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)(範囲:0~60、高スコアほど重症)のスコアが10点以下と定義した。また、重要な副次エンドポイントは、8週時点で寛解後32週時まで再発がないこととした。 有効性解析対象集団は無作為化されたすべての患者(ITT)集団とし、治療を中止した患者は非寛解または再発とみなした。主要エンドポイントおよび重要な副次エンドポイントの解析は、年齢(18~64歳vs.65~74歳)および前治療数(2 vs.3以上)で調整したCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定を用い治療群間を比較した。8週時点の寛解率、esketamine群27.1%vs.クエチアピン群17.6% 2020年8月26日~2021年11月5日の間に、676例がesketamine群(336例)およびクエチアピン群(340例)に割り付けられた。 8週時の寛解率は、esketamine群27.1%(91/336例)、クエチアピン群17.6%(60/340例)であり、esketamine群が有意に高かった(補正後オッズ比[OR]:1.74、95%信頼区間[CI]:1.20~2.52、p=0.003)。また、8週時に寛解後32週時まで再発が確認されなかった患者も、esketamine群が336例中73例(21.7%)、クエチアピン群が340例中48例(14.1%)で、esketamine群が多かった(補正後OR:1.72、95%CI:1.15~2.57)。 32週間の治療期間において、寛解した患者の割合、奏効(MADRSスコアがベースラインから50%以上の改善、またはMADRSスコアが10点以下)した患者の割合、およびベースラインからのMADRSスコアの変化量も、esketamine群のほうが好ましい結果であった。 有害事象の発現率はesketamine群91.9%、クエチアピン群78.0%、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ5.7%および5.1%で、安全性プロファイルは既報と一致していた。

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内科系疾患を併発するうつ病患者への抗うつ薬の有用性~メタ解析

 内科的疾患を有する患者の3~6人に1人は、抗うつ薬が使用されているといわれている。しかし、通常の臨床試験では、併発疾患を有する患者は除外されている。抗うつ薬に関するメタ解析では、エフェクトサイズが小~中程度であることが示唆されているが、併発疾患がまん延している臨床現場において、一般化できるかは不明である。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、内科的疾患と併発するうつ病患者における抗うつ薬の有効性および安全性を明らかにするため、メタ解析エビデンスの包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、多くの内科的疾患では、大規模かつ質の高いランダム化比較試験(RCT)が少なかったものの、抗うつ薬は、併発疾患を有する患者のうつ病の治療および予防に対し効果的かつ安全に使用できることが示唆された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2023年9月6日号の報告。 2023年3月までに公表された、あらゆる医学的疾患に併発したうつ病の治療または予防に対する抗うつ薬の有能性および安全性を評価したRCTのメタ解析または非メタ解析のシステマティックレビューをPubMed、EMBASEより検索した。分析対象には、内科的疾患を有する患者のうつ病に対する抗うつ薬の影響を評価したプラセボ対照または実薬対照RCTのメタ解析を含めた。データ抽出と品質評価には、PRISMAガイドラインに従い、AMSTAR-2およびAMSTAR-Contentを用い、独立したレビューアーのペアにより行った。複数のメタ解析に同じ研究が含まれていた場合には、最も大規模のメタ解析を含めた。ランダム効果メタ解析により、主要アウトカム(有効性)、主な副次的アウトカム(受容性、忍容性)、追加の副次的アウトカム(治療反応、寛解)に関するプールされたデータを分析した。抗うつ薬の有効性は標準化平均差(SMD)、忍容性(副作用による中止)および許容性(すべての原因による中止)はリスク比(RR)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・参考文献6,587件のうち、43種類の医学的疾患に関する176件のシステマティックレビューが特定された。・全体として、27種類の医学的疾患に関する52件のメタ解析がエビデンスの統合に含まれた(AMSTRA-2品質平均スコア:9.3±3.1[最大値:16]、AMSTRA-Content平均スコア:2.4±1.9[最大値:9])。・内科的疾患全体では、抗うつ薬使用はプラセボと比較し、うつ症状の改善が認められた(SMD:0.42、95%信頼区間[CI]:0.30~0.54、I2=76.5%)。疾患別では、心筋梗塞でSMDが最も高く、腰痛および外傷性脳損傷で低かった。【心筋梗塞】SMD:1.38(95%CI:0.82~1.93)【機能性の胸痛】SMD:0.87(95%CI:0.08~1.67)【冠動脈疾患】SMD:0.83(95%CI:0.32~1.33)【外傷性脳損傷】SMD:0.08(95%CI:-0.28~0.45)【腰痛】SMD:0.06(95%CI:0.17~0.39)・抗うつ薬使用は、プラセボと比較し、許容性(24件のメタ解析、RR:1.17、95%CI:1.02~1.32)および忍容性(18件のメタ解析、RR:1.39、95%CI:1.13~1.64)が劣っていた。・抗うつ薬使用は、プラセボと比較し、治療反応率(8件のメタ解析、RR:1.54、95%CI:1.14~1.94)および寛解率(6件のメタ解析、RR:1.43、95%CI:1.25~1.61)が良好であった。・抗うつ薬使用は、プラセボと比較し、うつ病を予防する可能性が高かった(7件のメタ解析、RR:0.43、95%CI:0.33~0.53)。

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10月10日 世界精神保健デー【今日は何の日?】

【10月10日 世界メンタルヘルスデー】〔由来〕世界精神保健連盟が、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として1992年に制定。世界保健機関(WHO)も協賛し、国際記念日とされて、「シルバーリボン運動」として全世界でイベントが開催されている。関連コンテンツシネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~気分が落ち込むときの症状チェック【患者説明用スライド】モーニングコーヒーでうつ病リスクが低下自閉スペクトラム症と統合失調症の精神症状の比較リアルワールドにおける統合失調症ケアの実際と改善ポイント

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重度の精神疾患に対する入院リハビリテーションの有用性

 精神疾患や気分障害は、重度の機能障害、早期死亡リスク、社会的および経済的負担と関連している。イタリア・"G. D'Annunzio" UniversityのStefania Chiappini氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者と気分障害患者を対象に、イタリアの精神科入院施設で実施された心理社会的、心理的、リハビリテーション的な介入の有効性を評価した。その結果、重度の精神疾患患者に対する入院リハビリテーション介入は、効果的かつ有用である可能性が示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年8月30日号の報告。 本件は、イタリア・ローマの精神科病院であるVilla Maria Piaにおいて、2022年に実施されたレトロスペクティブ観察研究である。ICD-9-CMで統合失調症スペクトラム障害および気分障害と診断された患者を対象に、入院時と治療終了時に簡易精神症状評価尺度(BPRS)および機能の全体的評価尺度(GAF)を用いて評価を行った。介入には、学術的チームが関与して行われ、個人および集団による介入を分析に含めた。群間の連続変数の比較は、独立サンプルによるt検定を用い、変数間の相関はスピアマン相関係数を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・研究対象患者数は141例(平均年齢:51.3±12.4歳、男性患者:73例、女性患者:68例)であった。・心理社会的介入およびリハビリテーション介入に積極的に参加した患者は85例(60.3%)であり、参加していない患者と比較し、退院時に機能や症状の改善が認められた(delta GAFは、心理社会的介入に参加した参加者において有意に高かった。t=-2.095、p=0.038)。・介入回数/入院日数を指標とし分析すると、心理社会的介入の頻度は、活動に参加したサンプルにおける患者の機能の改善と正の相関が認められた(r=0.272、p=0.012)。とくに、心理療法(r=0.202、p=0.017)と集団サポート(r=0.188、p=0.025)において、顕著であった。・統合失調症スペクトラム障害(37例)と気分障害(48例)をそれぞれ評価すると、GAFの改善と心理社会的介入との正の相関は、統合失調症スペクトラム障害のみで認められた。・BPRSに関しては、全体または疾患別において、これらの相関が認められなかった。 著者らは「重度の精神疾患患者に対する入院リハビリテーション介入の長期的なQOL、社会機能への効果を明らかにするためには、さらなる調査が求められる」としている。

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COVID-19パンデミックによる面会制限は産後うつ病リスクと関連するか

 COVID-19パンデミックによる面会制限は産後うつ病のリスク因子であるかどうかを明らかにするため、舞鶴共済病院の工藤 渉氏らは調査を行った。その結果、著者らは「COVID-19パンデミック中に出産した女性は、入院期間中の家族面会制限が行われていたものの、産後1ヵ月のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)スクリーニングスコアの悪化が認められず、一部の女性では、精神状態の安定が認められた」としている。BMC Pregnancy and Childbirth誌2023年9月9日号の報告。 COVID-19パンデミック中に出産した女性(面会制限群)とパンデミック前に出産した女性(対照群)を比較したケースコントロール研究を実施した。産後うつ病の評価には、EPDSを用いた。出産後2週間、1ヵ月時点でのEPDSを評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、面会制限群200例、対照群200例。・面会制限群(8.5%)は、対照群(18.5%)と比較し、EPDS陽性率が有意に低かった(p=0.002)。・1ヵ月検診におけるEPDS陽性を目的変数とした多変量解析の結果では、EPDSスクリーニング陽性のリスク増加に影響を及ぼす因子は、面会制限(オッズ比[OR]:0.35、95%信頼区間[CI]:0.18~0.68)、新生児の入院(OR:2.17、95%CI:1.08~4.35)、分娩延長(OR:2.87、95%CI:1.20~6.85)であった。

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第183回 認知症を阻止するらしい神経細胞2種類を同定

認知症を阻止するらしい神経細胞2種類を同定アルツハイマー病(AD)の病変であるアミロイド蓄積がたとえあっても認知機能が維持されて認知症になりにくいことと関連する脳の神経細胞2種類が同定されました1,2)。それらの神経細胞が死なないようにする手段を新たな成果を頼りに開発できるかもしれません。ねばねばしたアミロイドタンパク質の脳での蓄積がADの病因と広く言われています。その蓄積がやがて垢のような塊になって神経を死なせ、ついには記憶や意識を損なわせるという考えです。しかし認知機能障害を被る高齢者の誰もが脳にアミロイド塊を有するというわけではありませんし、脳にアミロイドが蓄積していると必ずADが生じるというわけでもありません。それはなぜなのかを調べるべく米国・ピッツバーグ大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは数千人の高齢者の認知や振る舞いの推移を1994年から追っている試験・Religious Orders Study/Memory and Aging Project(ROSMAP)に目を向けました。AD病変や認知機能障害の程度がまちまちな死亡被験者427例の脳組織の前頭前皮質の細胞が活動遺伝子の配列を頼りに分類され、どこにどの細胞があるかを示す地図が作られました。その結果、認知機能全般がすこぶる良好な人に多く、逆に低下している人では乏しい細胞の集団2つが同定されました。その1つは統合失調症などの脳疾患と関連するタンパク質・リーリン(reelin)の遺伝子が発現している神経細胞、もう1つは体のあちこちの営みを調節するホルモン・ソマトスタチン(somatostatin)の遺伝子を発現する神経細胞です。認知機能が損なわれていない人ではADの特徴である脳のアミロイド大量蓄積があったとしてもそれらの神経細胞が脳に豊富に残っており、それらの細胞はAD発症を防ぐ役割をどうやら担うようです。ADの研究では電気信号を伝えて別の神経を活性化する興奮性神経細胞がもっぱら注目されてきました。しかし今回の研究で見つかった2種は興奮性神経とは正反対の抑制性神経です。抑制性神経は神経間の通信を止める働きを担います。少なくともいくらかの人のそれらリーリン/ソマトスタチン発現抑制性神経はAD病変によってとりわけ壊れやすいのではないかと研究者は考えています。今年の早くにNature Medicine誌に掲載されたリーリン遺伝子変異の報告3)はその考えを支持しています。リーリンの機能を底上げするその変異を有する男性は脳のアミロイド蓄積が半端なく大量にもかかわらず67歳になっても認知機能が正常でAD症状を示しませんでした。そういう先立つ成果があるのでリーリン発現神経に辿りついた今回の成果はそれほど驚くものではなく、一貫した成果が得られていることに安心していると研究者は言っています4)。これまでAD治療手段の開発といえば脳のアミロイド蓄積をどうにかする手段にもっぱら目が向けられていました。今回の結果はそうではなくADで壊れやすい脳細胞を守る手段を見つける取り組みを後押しするでしょう。個々の細胞の配列を読み取ってそれらの地図(atlas)を作った今回の成果は最新技術の賜物であるとカリフォルニアの研究所Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Instituteの神経科学者Jerold Chun氏は言っています4)。AD患者は神経が発火しすぎて生じる発作を生じやすいことが知られますが、それは抑制性神経損失のせいかもしれないと同氏は想定しています。今回の研究で作られた脳細胞の地図はどの研究者も使えるように公開5)されており、それを出発点にして研究の裾野が一層広まるでしょう。参考1)Mathys H, et al. Cell. 2023;186:4365-4385.2)Decoding the complexity of Alzheimer’s disease / Massachusetts Institute of Technology3)Lopera R, et al. Nat Med. 2023;29:1243-1252.4)The brain cells linked to protection against dementia / Nature5)Single-cell transcriptomic atlas of the aged human prefrontal cortex

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統合失調症うつ病の治療ガイドライン普及に対するEGUIDEプロジェクトの効果

 国立精神・神経医療研究センターの長谷川 尚美氏らは、「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)」を活用することによる、精神疾患の診療ガイドラインに関する教育のリアルワールドにおける効果を検証するため、本研究を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年9月8日号の報告。 EGUIDEプロジェクトは、「統合失調症薬物治療ガイドライン」と「うつ病治療ガイドライン」を日本国内で実践するための全国的なプロスペクティブ研究である。2016~19年、精神科病棟を有する176施設に所属する精神科医782人がプロジェクトに参加し、診療ガイドラインに関する講義を受講した。プロジェクト参加病院の統合失調症患者7,405例およびうつ病患者3,794例を対象に、ガイドラインが推奨する治療の実施割合を、プロジェクト参加者と非参加者から治療を受けている患者間で比較した。プロジェクト参加病院より毎年4~9月に退院する患者の臨床データおよび処方データも分析した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症に対する3つの質的指標(他の向精神薬の使用とは無関係の抗精神病薬単剤療法、他の向精神薬を使用しない抗精神病薬単剤療法、抗不安薬や睡眠薬の使用なし)の割合は、プロジェクト参加者のほうが非参加者よりも高かった。・うつ病治療ガイドラインでも同様な結果が得られた。・ガイドラインの推奨治療の普及におけるEGUIDEプロジェクトの有用性が確認された。 著者らは結果を踏まえて「精神疾患の診療ガイドラインに関する教育を実施することで、精神科医の治療に関連した行動を改善可能であることが示唆された。メンタルヘルス治療のギャップを解消するためには、EGUIDEプロジェクトのような教育ベースの戦略が重要であろう」としている。

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第64回 これから「糖尿病」をどう表記するのか?

英語病名は定着しにくいジンクスUnsplashより使用もう皆さんご存じの話だと思いますが、「糖尿病」の新しい呼称として「ダイアベティス」が提案されたというニュースが話題です。日本糖尿病協会と日本糖尿病学会で進められてきたプロジェクトで、いくつかヒアリング等を経て呼称としてはこれに着地するということのようです。何人かの医師インフルエンサーから「糖代謝異常症」「高血糖症」のほうがよかったのでは…と声が上がっています。確かに、「ダイアベティス」が定着しやすいかと問われると、難しいかもしれません。痴呆→認知症、精神分裂病→統合失調症のように成功した事例も多いため、漢字混じりの日本語表記のほうが定着しやすいかもしれません。実際、フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームなど、とにかくカタカナの名称啓発は難航しております。とはいえ、メタボリックシンドロームのように成功した事例もあるので、ダイアベティスが馴染む可能性もゼロではありません。スティグマは病名のせい?この名称変更、糖尿病に対する偏見と差別をなくすことが目的なのですが、本当に病名が悪いのでしょうか。この疾患そのものの啓発がうまくいっていないことが背景にあって、決して病名のみが悪いわけではありません。病名を変更することも確かに1つの策ですが、疾患に関する正確な情報を社会に発信する施策のほうが重要なのではないかと考えます。病名に含まれる狭義をできるだけ排して、一般的な病名にすることで、逆に啓発が阻害されるという現象はよくみられます。たとえば、肺気腫というのは、「肺」「気」「腫」という言葉がそれぞれ何となく意味を発していて、身体に害のあるものを吸ってはいけないんだなという啓発がしやすいのですが、「慢性閉塞性肺疾患」だと、ふわっとしすぎて何の病気かわかりません。アンケートについてアンケートで5件法を適用する場合、たとえそれが定量化できない項目であっても、項目間の定量値をできるだけ「等間隔にする」というのが原則だと理解しています。リッカート尺度では、両極に位置する「1点」「5点」の選択肢の間に「2~4点」の選択肢を配置します。このとき、2~4点が極端に5点に偏った選択肢にならないよう注意しなければ、恣意的なアンケートとなってしまいます。今回の「ダイアベティス問題」で使われたアンケートは、以下のようなものです1)。Q1 「糖尿病」という病名をどう思いますか?(1)何とも思わない(2)少し気になる(3)抵抗がある(4)とても抵抗がある(5)不愉快であるたとえばこのアンケート調査のすべてが(1)~(5)に均等に分散した場合、(2)~(5)が「深い・抵抗感がある」と定義された場合、8割の人がこれに該当することになります。中立の立場でアンケート調査を行うなら、(3)に「何とも思わない」を配置したほうがよかったかもしれません。まとめ―――いずれにしても、もし病名が変更になってもしばらくは「ダイアベティス(糖尿病)」のように併記しなければ伝わらないでしょう。TwitterがXに変わって久しいですが、いまだに「X(旧Twitter)」という並列表記が当たり前になっています。コピーライターの糸井 重里氏は「俺はもう、ひとまず決めたね。『旧』とか付けずに『ツイッター』って呼ぶわ。『X』になったのはわかってるけど、『ツイッター』で通じるうちは『ツイッター』でいく」とおっしゃっており、私も共感しました。両者、非常に似ている問題だと思います。参考文献・参考サイト1)日本糖尿病学会・日本糖尿病協会合同 アドボカシー活動:「糖尿病」病名に関するアンケート

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統合失調症患者における10年間の心血管疾患リスク

 心血管疾患(CVD)は、統合失調症患者の最も頻度の高い死亡原因の1つである。トルコ・Kahta State HospitalのYasar Kapici氏らは、統合失調症患者における10年間のCVDリスクと臨床症状との関連を調査した。その結果、統合失調症患者の罹病期間、BMI、陰性症状の重症度はCVDのリスク因子である可能性が示唆された。Noro Psikiyatri Arsivi誌2023年1月13日号の報告。 対象は、統合失調症と診断された患者208例。統合失調症の症状および重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。10年後のCVDリスクの算出には、QRISK3モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者の10年間のCVDリスクは、7.4%であった。・患者の平均健康心臓年齢(QAGE)は、53.1歳であった。・統合失調症患者の10年間のCVDリスクと正の相関が認められた因子は、罹病期間(r=0.57)、BMI(r=0.37)、陰性症状の重症度(r=0.49)であった。・罹病期間、BMI、陰性症状の重症度は、統合失調症患者の10年間のCVDリスクの予測因子であった。 ●罹病期間:t=4.349、p<0.001 ●BMI:t=2.108、p=0.037 ●陰性症状の重症度:t=2.836、p=0.006

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精神的苦痛の大きい白斑患者の特徴

 米国・Incyte CorporationのKristen Bibeau氏らが17ヵ国の白斑患者を対象に、白斑とQOL、メンタルヘルスとの関連性を調べる定性的研究を行った。その結果、世界的に白斑患者は、感情的幸福感(emotional well-being)、日常生活、心理社会的健康に大きな影響を受けていることが示された。その負荷は体表面積(BSA)5%超の病変を有する患者、肌の色が濃い患者、顔や手に病変がある患者で最も大きかった。また、本研究から、患者が振る舞いを変えたこと、明らかな不満を表出していたこと、うつ病と一致する症状を有していたことが示唆され、著者らは、これらが過小診断されている可能性があるとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。 2021年5月6日~6月21日の期間において、17ヵ国のオンラインパネルから白斑患者を募集した住民ベースの定性的研究「Vitiligo and Life Impact Among International Communities(VALIANT)試験」が実施された。 白斑の診断を受けた18歳以上の成人5,859例のうち、3,919例(66.9%)が調査を完了し、3,541例(60.4%)が解析に組み入れられた。対象患者は、Vitiligo Impact Patient scale(VIPs)を用いて、QOLやメンタルヘルスなどの感情的幸福感について質問を受けた。また、Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)を用いてうつ症状が評価された。なお、本試験で用いられたVIPsスコアの範囲は0~60で、スコアが高いほど心理社会的負担が大きいことを示した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者3,541例の年齢中央値は38歳(範囲:18~95)、男性は1,933例(54.6%)、BSA 5%超の病変を有する患者は1,602例(45.2%)、FitzpatrickスキンタイプIV~VI(肌の色が濃い)は1,445例(40.8%)であった。・VIPsスコアの合計点(平均値±標準偏差[SD])は、全体では27.3±15.6点であり、インドの患者が40.2±14.1点と最も高スコアであった(すなわち最も負荷が大きかった)。・VIPsスコアに基づくQOL負荷は、BSA 5%超の病変を有する患者(平均32.6点[SD 14.2])、肌の色が濃い患者(31.2点[15.6])、病変が顔にある患者(30.0点[14.9])または手にある患者(29.2点[15.2])で大きかった。・白斑が日々の生活に大きな影響を及ぼしていると報告したのは、少なくとも全体の40%を占めた(衣服の選択に影響がある:55.2%[1,956/3,541例]など)。・白斑をメイクや衣服でよく隠すと報告した割合は59.4%であった。・精神科疾患の診断を受けていた割合は58.7%であった(不安症[28.8%]、うつ病[24.5%]など)。・PHQ-9に基づく中等度~重度のうつ症状は、55.0%に認められた。インドの患者(89.4%[271/303例])、BSA 5%超の病変を有する患者(72.0%[1,154/1,602例])、肌の色が濃い患者(68.3%[987/1,445例])、顔や手に病変がある患者(59.3%[1,607/2,712例])で高率に認められた。

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強迫症併発双極性障害に対する補助療法、アリピプラゾールvs.リスペリドン

 強迫症は、慢性的な強迫症状の増減を伴う精神疾患であり、双極性障害に併発した強迫症の治療については、依然として困難である。イラン・Babol University of Medical SciencesのFaezeh Khorshidian氏らは、強迫症を併発する双極性障害患者の躁、うつ、強迫症の治療において、バルプロ酸ナトリウムの補助療法としてのリスペリドンおよびアリピプラゾールの安全性および有効性を比較するため、本研究を実施した。その結果、強迫症併発双極性障害に対するアリピプラゾールまたはリスペリドン補助療法は、どちらも効果的であり、生命を脅かす重篤な副作用は認められず、とくにアリピプラゾールは、リスペリドンよりも効果的な薬剤である可能性が示唆された。Health Science Reports誌2023年8月27日号の報告。 強迫症併発双極性障害患者64例を対象に、第III相二重盲検ランダム化比較試験を実施した。精神科医による診断面接は、精神疾患の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)の基準に基づき行われた。強迫症、躁病、うつ病の重症度の評価には、Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)をそれぞれ用いた。患者は、2つの並行群にランダムに割り付けられた。両群ともにバルプロ酸ナトリウムを投与し、補助療法としてアリピプラゾールまたはリスペリドンのいずれかを投与した。データ分析には、SPSSソフトウェア(ver.22)、χ2検定、t検定、反復測定による分散分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・両群(投与量、投与期間)ともに、各評価尺度の平均スコアの有意な低下が確認された。・両群間の比較では、HAM-D、YMRSスコアに有意な差は認められなかったが、Y-BOCS平均スコアは、アリピプラゾール群で有意に低かった(p<0.001)。・副作用に関しては、リスペリドン群で有意な体重増加(p<0.001)、アリピプラゾール群で有意な睡眠障害(p<0.05)が認められた。

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うつ病における早期睡眠改善と薬物療法への治療反応との関連

 不眠症とうつ病は相互に関連しており、抗うつ薬治療の初期段階で睡眠の改善が認められれば、うつ病治療においても良好な治療アウトカムが得られる可能性が高まる。オランダ・フローニンゲン大学のCornelis F. Vos氏らは、精神病性うつ病患者の早期不眠症改善が、その後の治療アウトカムが予測可能であるかを調査し、これが治療特異的であるかを評価するため、早期不眠症改善と治療タイプとの関連を検討した。その結果、精神病性うつ病患者に対する早期不眠症改善は、治療薬の種類とは関係なく、良好な治療アウトカムと関連していたと報告。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2023年8月31日号の報告。 精神病性うつ病患者114例を対象に抗うつ薬(ベンラファキシン、イミプラミン)と抗精神病薬併用(ベンラファキシン+クエチアピン)による7週間の治療を比較したランダム化比較試験の2次解析として実施された。早期不眠症改善の定義は、2週間後の不眠症状20%以上減少とした。うつ症状の評価には、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D-17)を用いた。早期不眠症改善と治療アウトカムとの関連性を評価するため、ロジスティック回帰を用いた。また、相互の影響を評価するため、早期不眠症改善と治療タイプとの関連を評価した。早期不眠症改善の予測値と全体的なうつ病に対する早期治療反応(2週間後のHAM-D-17スコア20%以上低下)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・早期不眠症改善は、治療反応、うつ病寛解、精神症状寛解と関連が認められた。【治療反応】オッズ比(OR):7.9、95%信頼区間(CI):2.7~23.4、p≦0.001【うつ病寛解】OR:6.1、95%CI:1.6~22.3、p=0.009【精神症状寛解】OR:4.1、95%CI:1.6~10.9、p=0.004 早期不眠症改善と治療タイプとの間に、うつ病の治療転帰に対する相互の影響は認められなかった。 著者らは、これらの結果を踏まえて「早期不眠症改善と全体的なうつ病に対する早期治療反応は、治療アウトカムに対する同等の予測能を有していた。早期不眠症改善の一般性を検討するには、今後の研究が必要である」としている。

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心房細動患者のうつ・不安の改善、アブレーションvs.薬物療法/JAMA

 症候性心房細動(AF)を有する患者において、不安や抑うつなど精神症状の改善はカテーテルアブレーション施行患者では観察されたが、薬物療法のみの患者では認められなかったことを、オーストラリア・Royal Melbourne HospitalのAhmed M. AI-Kaisey氏らが、医師主導の無作為化評価者盲検比較試験「Randomized Evaluation of the Impact of Catheter Ablation on Psychological Distress in Atrial Fibrillation:REMEDIAL試験」の結果、報告した。AFカテーテルアブレーションがメンタルヘルスに及ぼす影響についてはよくわかっていなかった。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。AF患者100例を、カテーテルアブレーション群と薬物療法のみ群に無作為化 研究グループは、2018年6月~2021年3月にオーストラリアのAFセンター2施設において、発作性または持続性AFを有し少なくとも2種類の抗不整脈薬治療の対象となる18~80歳の患者を登録。アブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、AFカテーテルアブレーションが薬物療法のみと比較して、精神的苦痛を改善するかどうかを、評価尺度を用いて調べた。 薬物療法群では洞調律を維持するため最適な抗不整脈薬治療が行われ、アブレーション群では無作為化後1ヵ月以内にカテーテルアブレーションが行われた。 主要アウトカムは、12ヵ月時の病院不安抑うつ尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale:HADS)スコア、副次アウトカムは重度の精神的苦痛(HADS合計スコア>15)を有する患者の割合、HADS不安スコア、HADSうつ病スコア、うつ病自己評価尺度(Beck Depression Inventory-II:BDI-II)スコアであった。不整脈再発およびAF負荷のデータも解析した。 計100例(平均[±SD]年齢59±12歳、女性31例[32%]、発作性AF54%)が登録され、アブレーション群(52例)および薬物療法群(48例)に割り付けられた。このうち、4例(それぞれ3例および1例)が追跡不能または脱落となり、96例が試験を完遂した。アブレーション群の全例(49例)で肺静脈隔離に成功した。アブレーション群で、12ヵ月時の病院不安抑うつ尺度の合計スコアが有意に低下 12ヵ月時(主要アウトカム)のHADS合計スコア(平均±SD)は、アブレーション群7.6±5.3、薬物療法群11.8±8.6、群間差は-4.17(95%信頼区間[CI]:-7.04~-1.31、p=0.005)であり、アブレーション群が薬物療法群より有意に低かった。なお6ヵ月時もそれぞれ8.2±5.4、11.9±7.2で、有意差が認められた(p=0.006)。 アブレーション群と薬物療法群において、重度の精神的苦痛を有する患者の割合はそれぞれ6ヵ月時14.2%、34%(p=0.02)、12ヵ月時10.2%、31.9%(p=0.01)であり、HADS不安スコアは6ヵ月時4.7±3.2、6.4±3.9(p=0.02)、12ヵ月時4.5±3.3、6.6±4.8(p=0.02)であった。HADS抑うつスコアは3ヵ月時3.7±2.6、5.2±4.0(p=0.047)、6ヵ月時3.4±2.7、5.5±3.9(p=0.004)、12ヵ月時3.1±2.6、5.2±3.9(p=0.004)。また、BDI-IIスコアは6ヵ月時7.2±6.1、11.5±9.0(p=0.01)、12ヵ月時6.6±7.2、10.9±8.2(p=0.01)であった。 AF負荷の中央値も、アブレーション群0%(四分位範囲[IQR]:0~3.22)、薬物療法群15.5%(1.0~45.9)であり、アブレーション群が有意に低かった(p<0.001)。

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スマホゲームで慢性期統合失調症患者の認知機能が改善

 中国・安徽医科大学のShengya Shi氏らは、慢性期統合失調症患者の認知機能改善に対するビデオゲームの有効性を調査し、認知機能に対するビデオゲームのバイオマーカーを評価するため、予備的研究を行った。その結果、ビデオゲーム介入は、慢性期統合失調症患者の認知機能を改善することが示唆され、血清BDNFレベルがこの効果を予測するバイオマーカーである可能性を報告した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2023年8月18日号の報告。 ゲーム群には、1人用のスマートフォンビデオゲームを1時間/日、週5回プレーを6週間行った。対照群は、1時間/日、週5回のテレビ視聴を6週間行った。認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)およびストループ色彩単語検査(SCWT)を用いた。臨床症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、機能の全体的評価尺度(GAF)、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSE)、モバイルゲーム依存アンケート(PMGQ)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ゲーム群では、試験期間中にRBANS合計スコアの改善が認められた。・すべてのSCWTスコアにおいて、両群間の差は認められなかった。・ゲーム群では、PANSSの陰性症状およびGAFの全体的機能のより大きな改善が認められた。・PMGQスコアは、両群ともにすべての時点において、カットオフスコアよりも低値であった。・PHQ-9およびGSEスコアは、両群間で差は認められなかった。・6週間のビデオゲーム介入後、ゲーム群では、血清BDNFレベルが有意に高かった。・すべての参加者において、血清BDNF レベルとRBANS合計スコアとの正の相関が認められた。

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うつ病や不安症における人生の目的が果たす役割

 人生の目的は、自身の活動に関しての意味と目的の感覚、そして人生には意味があるという全体的な感覚により構成されている。オーストラリア・ニューイングランド大学のIan D. Boreham氏らは、人生の目的とうつ病や不安症との関連を、包括的に評価した。その結果、人生の目的レベルが高いほど、うつ病や不安症レベルが低いことが報告された。Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2023年8月12日号の報告。 人生の目的とうつ病や不安症との関連を調査するため、メタ解析を実施した。メタ解析には、99の研究、6万6,468例を含めた。 主な結果は以下のとおり。・いずれのサンプルにおいても、人生の目的レベルが高いほど、うつ病や不安症レベルが有意に低かった。・人生の目的とうつ病および不安症との加重エフェクトサイズの平均値は以下のとおりであった。 【うつ病】r=-0.49、95%信頼区間(CI):-0.52~-0.45、p<0.001 【不安症】r=-0.36、95%CI:-0.40~-0.32、p<0.001・人生の目的とメンタルヘルスとの関連性は、とくに不安症との関連において、臨床集団のほうが強かった。・目的と精神病理との関係において、アプローチの欠如や回避動機が役割を果たしていると考えられ、目的が大きくなるほど回避傾向が制限され、うつ病や不安症への影響が軽減される可能性がある。・うつ病や不安症における人生の目的の役割を理解することは、これら疾患の概念に新たな気づきを与え、治療アウトカムの改善に役立つ可能性がある。

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脳トレゲームで認知症を防げるか?【外来で役立つ!認知症Topics】第9回

デジタル化で急成長を遂げた「脳トレ」市場「脳トレ」は、今では日本におけるいわば現代用語として定着した観がある。大型書店に行けば、幅が数メートルになるような「脳トレ」コーナーの展示棚もある。そうした本をめくってみると、四字熟語、算数、間違い探し、点つなぎなどが主流である。これらは、どうも懐かしさや、勉強したという満足感をその読者に与えるようだ。実際、学習塾系や受験参考書を扱う出版社から発行されたものが少なくない。蛇足ながら、山川出版の日本史の教科書、研究社の『新々英文解釈研究』なども同じような意味からか、高齢者がよく購入すると聞く。いずれにしても、こうした脳トレ関連現象は日本独自なものかとも思われる。ところで認知症予防や軽度認知障害(MCI)・認知症の治療としての脳トレはさておき、記憶の鍛錬法には歴史がある。たとえば、記憶術として指や場所を用いるもの、記憶を高める儀式や香などは紀元前からあったようだ。筆者が1980年代以降の欧米や日本で経験したものでは、見当識障害を改善し現実認識を深めることを目的とするリアリティ・オリエンテーションや、場所法と呼ばれる記憶術などがあった。もっともどれもその実行は容易ではなかった。多くは紙を媒体としたドリル、またメモ書きとその習慣的見返しなどの指導が行われてきた。個人的には、どれもそう簡単に身に付くものではなかったという印象がある。現在、欧米における脳トレの主体はBrain TrainingとかCognitive Trainingと呼ばれ、その多くはインターネットを媒体とする。これらはComputer Based Cognitive Training (CBCTとか CCTと略)と総称される。そして高齢者のみならず働く現役世代も広く対象としている。加えて、うつ病統合失調症のような精神疾患にみられる認知機能障害への効果も数多く報告されている。ゲームを製造する欧米の主立った会社は2000年以降に創立されたが、産業としての脳トレは短期間に急成長している。2005年当時にはわずかに200万ドルであった市場規模が、2013年には13億ドル、2022年には78億ドルの巨大産業にのし上がっている。脳トレによる認知症予防の検証が活発にとくに高齢者の認知症予防はこの市場の中でも大きな部分を占めるだろう。その大きな契機となったのが、2016年7月の国際アルツハイマー病学会(AAIC)で米国国立衛生研究所(NIH)と民間会社であるPosit Science社が行ったアメリカ国内での臨床試験の報告だろう。そこでは脳エクササイズである「スピードトレーニング」により、認知症のリスクが半減したと報告された。その後にも、退役軍人協会の会員を対象に運転技術についての効果が検証されている。ここでもこうしたトレーニングをやることで自損事故が半減したと報告されたのである。さて過去20年ほどの間に、高齢者を対象に多くのCCTによる介入研究がなされてきた。一言で高齢者と言っても、対象は認知症やMCIの人、あるいは知的健康人である。最近ではこうした研究のレビューやメタアナリシスも報告されている1,2,3)。その結果、概して「小さいながらも統計学的に有意な効果」が報告されている。そしていくつかに分類される認知機能のうち、非言語性の記憶、言語性記憶、作動記憶、視空間技術、処理速度に効果があるとされる。しかし遂行機能や注意については、有意な効果はほぼ得られていない。一方で、CCTの運営・実施方法についても検討されている。やっぱり、と思うのは、グループでやるトレーニングに比べ、個別トレーニングでは効果がないということである。一体感とか競争心などが大切だということだろう。また一見逆説的ながら、週に3回以上のトレーニングは3回以下に比べて効果が劣るとのことである。筋トレなどでも類似の注意をする指導者がいる。これは毎日のようにやると、飽きて新鮮味がなくなり、注意力や集中力が欠けてくるということなのだろうか?長期的な介入、認知機能分野の複合的な効果に期待一方で多くの問題点や課題も指摘されている。まず介入期間の問題である。多くはせいぜい3ヵ月程度であり、例外的に長いものでも1年程度である。これでは短期的な効果はともかく、年単位の長期効果、まして認知症予防効果などにはとても言及できない。次にタスク、つまり介入の内容や問題は、伝統的に、注意、記憶、地誌的機能など神経心理学的な観点に基づいて作成されてきた。そこでわかっているのは、たとえば注意のタスクをやれば注意の機能で改善があるというように、やった分野は確かに伸びることである。しかし注意をやれば記憶というほかの認知機能分野も伸びるのかといったトランスファー(転移)効果の問題が注目されてきた。これまでのところ、この効果は難しそうだと考えられている。そうしたことから、タスクは伝統的な個々の神経心理学的分野から発展させた複合的なものが、より効果的だと考えられつつある。終わりに、2018年にアメリカの神経学会によりなされたMCIについてのガイドライン4)では、具体的な対応法として2つだけが述べられている。まず、週2回、6ヵ月以上の運動である。そして「数は少ないが、認知トレーニングの有効性も報告されている」と記されている。このようなことから「脳トレ」には、臨床医学としてさらなる成長が期待される。参考1)Lampi A, et al. Computerized cognitive training in cognitively healthy older adults: A systematic review and meta-analysis of effect modifiers. Pros Med 2014;11: e1001756.2)Bonnechere B, et al. The use of commercial computerised cognitive games in older adults: a meta-analysis. Sci Rep. 2020;10:15276.3)Lampit A, et al. Computerized Cognitive Training in Cognitively Healthy Older Adults: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. medRxiv. 2020 Oct 11.4)Petersen RC, et al. Practice guideline update summary: Mild cognitive impairment: Report of the guideline development, dissemination, and implementation subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology. 2018;90:126-135.

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ブレクスピプラゾール治療、統合失調症患者からどう評価されているか

 藤田医科大学の横井 里奈氏らは、ブレクスピプラゾールによる抗精神病薬治療に対する統合失調症患者の主観的評価を調査した。Fujita Medical Journal誌2023年8月号の報告。 本研究は、14週間のプロスペクティブ観察研究として実施した。対象は、2019年2月~2020年1月に本研究に参加した統合失調症患者19例。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾール治療開始時の患者の平均年齢は40.6±14.2歳、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアの平均値は4.6±1.2であった。・14週間のブレクスピプラゾール治療により、抗精神病薬治療下主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版の日本語版(SWNS-J)合計スコアの有意な改善が認められた(p=0.0084)。 【SWNS-J合計スコア】68.1±22.3(2週目) → 79.5±21.0(14週目)・SWNS-Jの下位尺度であるセルフコントロール(p=0.0053)および社会的統合(p=0.012)においても、有意な改善が認められた。 【SWNS-Jセルフコントロールスコア】14.0±4.7(2週目) → 17.0±4.7(14週目) 【SWNS-J社会的統合スコア】13.9±6.0(2週目) → 16.0±5.1(14週目)・観察期間中、他のSWNS-J下位尺度または薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)スコアの有意な改善は認められなかった。・SWNS-J合計スコアとDAI-10(r=0.31、p=0.19)またはCGI-Sスコア(r=-0.18、p=0.47)との相関が認められなかった。 結果を踏まえて著者らは、「ブレクスピプラゾール治療は、統合失調症患者の主観的なウェルビーイングを改善する可能性が示唆された。服薬アドヒアランスを高めるためには、患者の主観的な評価を長期にわたり実施することが重要である」としている。

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