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側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに

 てんかん重積状態(SE)およびその後のてんかん発作を誘発するため、ラットの全身または脳内(海馬や扁桃体など)へのカイニン酸投与が広く行われている。しかし脳内投与では、特発性再発性てんかん発作が認められるラットの割合は低く、再発頻度も比較的低い。ドイツ・ハノーバー獣医科大学のMarta Rattka氏らは、ラットモデルにおける再発側頭葉てんかん発作時の、海馬内のカイニン酸の作用機序について明らかにした。Epilepsy Research誌2012年11月26日号の掲載報告。 特発性再発性てんかん発作の発現や頻度が低いという問題について、最近、カイニン酸を覚醒ラットの背側海馬に投与することで解決できるのはないかということが示唆されており、先行研究が報告されていた。Rattka氏らは、さらにこのモデルの特徴を詳述するため、覚醒ラットの片側の後側海馬のCA3にカイニン酸(0.4μg)を投与した。 主な内容は以下のとおり。・すべてのラットで、死亡例なく、辺縁系SE(範囲:4~20時間)が発生した。・SE後1~8ヵ月の1~2.5週の期間において、再発てんかんビデオ脳波モニタ(24時間/日、7日/週)を行った結果、91%のラットでてんかんが発症し、発作の頻度も有意に増大した。・てんかん発作は、興奮性を増し水迷路試験における学習記憶害を増大することが認められた。海馬の病理学的影響(同側海馬のCA3、歯状回門の広範囲のニューロン欠損や顆粒細胞の拡散によって特徴づけられる)によるものと思われた。・本試験のラットを用いたフェノバルビタールの試験では、すべてのラットが、特発性再発性てんかん発作の抑制に対する治療に反応を示した。・以上の結果より、覚醒ラットの脳内へのカイニン酸投与は、ヒト側頭葉てんかんの優れたモデルを提供するものであり、とくに抗てんかん薬や抗てんかん発作治療のターゲットとしての外傷性てんかんや共存症のメカニズムを検討するモデルとして優れている可能性があることが示された。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

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統合失調症患者の予後は?治療と生存率との関係

 統合失調症は過剰な死亡率や複数疾患の罹患率と関連しており、それは本疾患が心身複合疾患のため治療が困難であることと関連している可能性が示唆されている。米国・退役軍人省のJack Y Tsan氏らは、レセプトから11種類のガイドライン治療を解析し、それら治療と生存率との関連を評価した。その結果、高齢の統合失調症患者はガイドラインに即した治療が行われている割合が相対的に低く、長期の治療傾向と生存率との関連は非線形パターンを示すことなどが明らかにされた。BMC Medicine誌オンライン版2012年11月26日号の掲載報告。 全米4万9,173例の50歳以上退役軍人である統合失調症患者を対象に、2002~2009年の8年間にわたるガイドライン治療を調査した。退役軍人健康管理局(VA)の電子カルテから、被験者の人口統計学的および医学的な情報を収集し、2004米国精神医学会(APA)ガイドラインを基に、11種類の治療パターンを定め、クラスター解析を行った。治療タイプは、心血管系、代謝系、体重管理、ニコチン依存症、感染症、視覚系、メンタルヘルスカウンセリング(個人、家族、薬物/アルコール、薬物療法、作業療法)などであった。ケアパターンと生存率との関連について、臨床変数および人口統計学的変数で補正後に生存解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症に加えて、平均4つの慢性疾患がみられた。とくに高血圧症(43%)と脂質異常症(29%)が多くみられた。・対象コホートにおいて長期の治療傾向について3つのクラスターが同定された。「介入が高度」(毎年平均5.4種類の治療)、「介入が中程度」(平均3.8種類)、「介入が低調か減少」(平均1.9種類)。・対象患者の多くが、心血管治療(67~76%)、肝・腎機能アッセイ(79~84%)、個人カウンセリング(72~85%)、精神医学的コンサルト(66~82%)を受けていた(割合はクラスターグループによって異なっていた)。・年齢、ベースラインにおける共存症、その他共変量で補正後、「介入が低調か減少」群の生存率は、「介入が高度」群よりも高かった。「介入が高度」群は「介入が中程度」よりも生存率が高く、治療傾向と生存率の関連は非線形パターンを示した。・「介入が低調か減少」群は、最も高齢だったが、年齢およびその他変数で補正後の生存率は最も高かった。その理由として、より若く体調が優れない人と比べて、必要とした治療が少なく、共存症の負荷が顕著に低かったためと考えられた。・補正後モデルにおいて、体調が最も良くない人(共存症スコアが最も高い人で、障害度も高い人)のグループでは、ガイドライン治療を受けることによって、介入が中程度である群と比べた場合にのみ生存率が顕著に改善した。関連医療ニュース ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇 ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・統合失調症における長期転帰の予測因子は「男性」「顕著な陰性症状」

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統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上

 アジア各国の協力のもと、東アジアにおける向精神薬処方調査(REAP)が1999年より実施されている。今回、Yu-Tao Xiang氏らは、アジア各国における高齢の統合失調症入院患者における抗精神病薬の多剤併用状況と人口統計学的および臨床的相関について検討し、報告を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2012年12月号掲載。 対象は2001~2009年のREAPデータベースより抽出した、中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾など6ヵ国・地域における55歳以上の統合失調症入院患者1,439例。社会人口統計学的および臨床的な特性と抗精神病薬の処方箋を標準化されたプロトコルとデータ収集手法により集積した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬が多剤併用処方されていた頻度は51.6%であった。・抗精神病薬が多剤併用処方されていた患者では、抗精神病薬の投与量が多く、第一世代抗精神病薬の処方割合が高かった(多重ロジステック回帰分析)。関連医療ニュース ・日本における抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は?

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日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学

 救急医療機関における自殺企図患者は、何かしらの精神疾患を抱えているケースが少なくない。岩手医科大学 肥田篤彦氏らは統合失調症患者における自殺企図の特徴を、うつ病患者と比較し、検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2012年11月3日号の報告。統合失調症患者は重篤な自殺未遂方法を選択する傾向 対象は、8年間に岩手医科大学精神科救急部門においてICD-10で統合失調症(F2)と診断された患者260例、およびうつ病(F3)と診断された患者705例。対象患者は24歳以下、25~44歳、45歳以上の3群で比較した。自殺未遂方法の重篤度に関連する因子は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて同定した。 統合失調症患者における自殺企図の特徴を検討した主な結果は以下のとおり。・25歳以上の統合失調症患者は、うつ病患者と比較し、平均年齢がより若く、1年以内の自殺企図、過去の自殺企図を有する割合が高かった。・統合失調症患者では、年齢にかかわらず、幻覚・妄想に起因する自殺未遂が圧倒的に多く、高所からの飛び降り、対向列車への投身、自分自身に火をつけるなどの重篤な自殺未遂方法を選択する傾向にあった。・45歳以上の患者では、独居者の割合が高かった。・すべての年齢層において、失業者が多かった。また統合失調症患者では、うつ病群と比較し、LCU(Life Change Unit:生活変化単位)スコアが低値であった。・25~44歳の統合失調症患者では、より高いBPRS(簡易精神症状評価尺度)スコアとより低いGAS(総合評価尺度)スコアが認められた。・自殺未遂方法の重篤度に影響を与える要因として、1年以内の自殺企図の既往が重篤度を上昇させ、教育年数と重篤度にも相関が認められた。また、統合失調症患者、うつ病患者の双方で、GASにおける全体的な健康の低スコアが重篤度を上昇させることが示された。

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長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与

 大塚アメリカファーマシューティカル社のSteve Offord氏らは、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院と再発の状況を評価した。その結果、長時間作用型注射製剤による治療は入院回数、入院日数とも著明に減少させることを報告した。Journal of Medical Economics誌オンライン版2012年11月28日号の掲載報告。 本研究の目的は、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院および再発の発生を比較検討することであった。民間医療保険およびメディケアの保険請求を含む大規模データベースを用いて、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者を抽出。治療開始前のベースライン期間(12ヵ月)と治療開始後のフォローアップ期間(12ヵ月)における入院の状況と再発率を比較検討した。また、多変量解析を用いて、ベースライン期間とフォローアップ期間の入院回数および入院期間の差に及ぼす両製剤の影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・長時間作用型注射製剤の抗精神病薬を開始した民間医療保険加入患者(394例)において、治療開始前と比べて治療開始後は入院回数、入院期間とも有意に減少した。 全原因による入院回数:1.60±1.66 vs 0.70±1.20、p < 0.001 入院期間:16.9±20.7 vs 6.6±14.4日、p 

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呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学

 日本医科大学精神神経科の大森 中氏らは、臨床研修医の統合失調症患者に対する潜在的な態度と患者と接する上での影響について調べた。また、精神科での臨床トレーニング前後の態度と接し方の変化についても評価した。統合失調症患者とその家族は、スティグマに非常に苦しんできた。名称変更など偏見やスティグマを根絶するためのさまざまな努力にもかかわらず、いまだ医療従事者においてすら偏見にとらわれている者がいる。また、臨床研修医が患者とどのように向き合っているのかについてはほとんど知られていなかった。BioMed Central Psychiatry誌オンライン版2012年11月22日号の掲載報告。 研究グループは、臨床研修医について、統合失調症に関する日本語の名称変更の影響を評価した。また、精神科での1ヵ月間の臨床トレーニング前後の統合失調症に対する態度を比較し、それらの統合失調症患者と接する上での影響を評価した。評価は、IAT(Implicit Association Test)とLinkスティグマ尺度にて行った。主な内容は以下のとおり。・51人の臨床研修医が参加した。・トレーニング前、旧名称である「精神分裂病」は新名称「統合失調症」よりも、犯罪と結び付く傾向が強かった。・ところがトレーニング後、まったく予想に反して、旧名称よりも新名称についてより強く犯罪と結び付ける傾向が強まった。・Linkスティグマ尺度とIATとには有意な相関性は認められなかった。・統合失調症への名称変更は、臨床研修医における統合失調症の負のイメージを減少したが、統合失調症患者とのコンタクトが、予想に反してネガティブな態度への変化を増長した。・これらの結果は、統合失調症に関するネガティブな態度の形成を理解することに寄与し、懸念される偏見やスティグマを減らすための精神科での適切なトレーニングを開発する一助となるだろう。関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用 ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

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グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット

 グルタミン酸作動性システムについては、とくにグルタミン酸とNMDA受容体の異常が大うつ病の病態生理に関与していることを示すエビデンスが数多く報告され、グルタミン酸作動性神経伝達の不均衡がNMDAアゴニズムの活性に寄与し、大うつ病に関連する脳内の興奮活性を亢進する可能性が示唆されていた。しかし、NMDA受容体阻害薬が抗うつ病薬のような活性を備えていることが示されたにもかかわらず、依然として異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達の基底にある分子的な変化は十分に解明されていなかった。そのような中、グルタミン酸作動性システムが、大うつ病に対する効果的な治療介入ターゲットであることが、イタリア・ローマ大学サピエンツァ校のGianluca Serafini氏らによる最新のレビュー研究によって明らかにされた。Current Pharmaceutical Design誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。 研究グループは、大うつ病でNMDA受容体をターゲットとしているグルタミン酸作動薬の主要な薬理学的特性と影響に焦点を合わせ、最新文献のレビューを行った。文献の検索は、PubMed/Medline、ScienceDirect databasesにて、グルタミン酸、うつ病、大うつ病性障害をキーワードに行った。 主な内容は以下のとおり。・大半のグルタミン酸受容体作動薬は、臨床および前臨床研究いずれにおいても、抗うつ作用の活性を示す生化学的な影響を示した。また、最新の神経画像診断や遺伝学により、これら薬物の抗うつ作用性が確認されていた。・NMDA受容体阻害薬などヒトを対象とした試験が、結果に混乱を生じさせていた。・全体的には、グルタミン酸作動性受容体の調節機能は、ヒトのうつ病に対する治療反応と関連している神経伝達物質の放出と同じように、ニューロン幹細胞の増殖(ニューロン形成)を容易にする可能性がある。ただし、認知機能に対する副作用と精神障害の発現性があり、臨床への適用および有用な薬剤開発を難しくしている。・NMDA受容体をターゲットするグルタミン酸作動薬(神経伝達物質の放出を阻害したり、シナプス後部反応を調節する)は、特異的な抗うつ作用を持つ分子モジュレーターとして役立つ可能性がある。関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

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統合失調症患者における「多飲」その影響は?:奈良県立医大

 統合失調症において多飲傾向を認める患者は多い。多飲による過度な水分摂取は、低ナトリウム状態を誘発したり、水中毒につながることもある。奈良県立医科大学 永嶌 朋久氏らは、統合失調症患者の多飲と神経心理学的障害や脳の構造的変化との相関を検討した。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月26日号の報告。 対象は多飲を認める統合失調症患者、多飲を認めない統合失調症患者、健常対象者の各々8例。すべての被験者はMRIと神経心理学的テストを施行した。構造異常は、ボクセルベース形態計測(VBM)を用いて分析した。患者の神経心理学的機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・両患者間で臨床的特徴の有意な差は認められなかった。・多飲を認める統合失調症患者は、健常者と比較して、広範囲な脳容積の減少と神経心理学的障害を示した。・多飲を認める統合失調症患者は、多飲を認めない患者と比較し、左側島皮質の有意な減少を示した。・多飲を認めない統合失調症患者における神経心理機能テストの結果は、他の2つのグループの中間であった。・統合失調症患者における多飲は、左側島皮質の減少により、深刻な神経心理学的障害を誘発する可能性があることが示唆された。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは

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鎮静目的のハロペリドール単独使用のエビデンスは蓄積されたのか?

 ハロペリドール単独での精神疾患による攻撃性や興奮症状に対する鎮静効果に関するレビューの結果、他のあらゆる選択肢がない場合に筋注投与は救命手段になりうるが、副作用を相殺する併用薬が入手可能であるにもかかわらず単独投与する場合は、極限の非常事態であっても非倫理的とみなされる可能性があることなどが明らかにされた。英国・マンチェスター大学のMelanie J Powney氏らにより報告された。Cochrane Library 2012年11月14日の発表報告。 精神疾患による攻撃性や興奮状態に対してはハロペリドールの単独投与が推奨されている。同薬は入手がしやすく、同時にリソースが限られる地域では唯一利用可能な抗精神病薬だが、研究グループは、その治療効果のエビデンスについて調査を行った。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2011年6月1日)により文献検索を行い、興奮あるいは攻撃性(または両方、いずれも精神疾患によると思われるもの)を呈する人が関与し、ハロペリドール単独急速投与(経口、筋注、静注)と他の治療を比較していた無作為化試験(RCT)を選択した。アウトカムには、鎮静あるいは30分以内睡眠、24時間以内の急速鎮静のための再投与、特異的行動(他者/自身に対する脅威や傷害行為)、副作用を含んだ。レビュワーが独立的に、試験の方法論的質と抽出データを選択し評価した。「所見サマリー」部分からエビデンス等級と、可能な限り適正な絶対効果を割り出した。 主な内容は以下のとおり。・レビューには、32試験(ハロペリドールと他の治療18とを比較)を組み込んだが、ほとんどの研究は臨床を反映したものではなく著しい例外を内包しており、また大半は小規模な試験で、かなりのバイアスリスクを含むと思われた。・そのうえで、プラセボとの比較の結果、ハロペリドール群のほうが、2時間後に眠りに就いていた人がより多かった[2試験、220例、リスク比(RR):0.88、95%信頼区間(CI):0.82~0.95]。また、ジストニアの頻度が高かった(2試験、207例、7.49、0.93~60.21)。・アリピプラゾールとの比較で、ハロペリドール群のほうが、注射剤を要した人は少なかった(2試験、473例、0.78、0.62~0.99)。ジストニアの頻度はハロペリドール群のほうが高かった(2試験、477例、6.63、1.52~28.86)。・ジプラシドンとの試験は大規模試験が3件あったが、試験デザインと報告の不備が大きくデータが散在している状態のままであった。・ズクロペンチキソール酢酸塩との比較は、ハロペリドール群のほうが3回以上注射投与を受けた人がより多かった(1試験、70例、2.54、1.19~5.46)。・ハロペリドールとロラゼパムとの比較試験は3試験であった(205例)。・投与後1時間時点で眠りに就いていた被験者数に関する有意な群間差は認められなかった(1試験、60例、1.05、0.76~1.44)。しかし、3時間時点までの比較では、ロラゼパム群のほうが有意に多いことが示された(1試験、66例、1.93、1.14~3.27)。・複数回の注射投与を要したかについての差異はみられなかった(1試験、66例、1.14、0.91~1.43)。・ハロペリドールの副作用はロラゼパムの追加投与によって相殺されなかった(たとえばジストニア:1試験、67例、8.25、0.46~147.45、抗パーキンソン病薬を要する:2.74、0.81~9.25)。・プロメタジンの追加投与については、大規模かつ質の良好な1試験が行われていた(316例)。・ハロペリドール群の多くが、20分時点までに安穏あるいは睡眠に就くことはなかった(RR:1.60、95%CI:1.18~2.16)。・ハロペリドール群のほうが有意に多く1回以上の副作用を経験した(RR:11.28、95%CI:1.47~86.35)。・ハロペリドール単独投与に割り付けられた被験者は急性ジストニアの頻度が高く、中間解析以降にも認められた(RR:19.48、95%CI:1.14~331.92)。・他のいずれの選択肢もなければ、ハロペリドールの単独投与が救命になりうる。・副作用を相殺する追加薬が入手可能であるにもかかわらず、ハロペリドールを単独投与することは、たとえ極限の非常事態場面で強制投与が求められているような場面であっても、非倫理的であるとみなされるであろう。・プロメタジンの追加による鎮静は、無作為化試験からエビデンスが良好であることが支持された。・選択的抗精神病薬の投与は、断片的で不良なエビデンスしかなく部分的な支持にとどまった。・新世代抗精神病薬の投与のエビデンスは、旧タイプのものと比べて強力ではなかった。・ハロペリドールへのベンゾジアゼピン系薬の追加投与は、有効性および追加によって生じるリスクに関する強力なエビデンスはなかった。・急速な鎮静のための緊急投与がなされるようになって60年を経ているが、臨床に役立つ良質で独立した試験が依然として必要とされている。関連医療ニュース ・破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用 ・統合失調症に対するベンゾジアゼピン、最新レビュー知見 ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う?

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てんかん患者のうつ病有病率は高い

 てんかんはうつ病と有意に関連しており、うつ病はてんかんを持つ人(PWE)において高頻度に認められることが、カナダ・カルガリー大学のKirsten M Fiest氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は、「この所見は、PWEでのうつ病の適切な診断と治療の重要性を強調するものである」と結論している。Neurology誌オンライン版2012年11月21日号の掲載報告。てんかんを持つ人のうつ病有病率は23.1% 研究グループは、MEDLINE(1948~2012年)、EMBASE(1980~2012年)、PsycINFO(1806~2012年)をデータソースに、てんかんとうつ病について報告した住民ベースのオリジナル研究を包含基準としたシステマティックレビューを行った。関連論文の文献リスト、カンファレンスアブストラクトも検索対象とし、その他に専門家への聞き取りも行った。要約の検索とデータ抽出は2人の独立したレビュワーにより行われ、PWEにおけるうつ病の有病率と、てんかんとうつ病の関連を推定した[報告された推定オッズ比(OR)]。 てんかんとうつ病の関連を解析した主な内容は以下のとおり。・7,106件のアブストラクトがスクリーニングされ、14の特色あるデータソースにおいて23件の論文が報告されていた。・9試験・PWE 2万9,891例の報告において、アクティブなうつ病(現在あるいは昨年)有病率は23.1%(95%CI:20.6~28.31)であった。・14試験・121万7,024例のうち5試験で報告されていたPWEにおけるアクティブなうつ病のオッズ比は、2.77(95%CI:2.09~3.67)であった。・生涯うつ病について、4試験・PWE 5,454例の報告では有病率13.0%(95%CI:5.1~33.1)であり、3試験・被験者4,195例で報告されたPWEの生涯うつ病オッズ比は2.20(95%CI:1.07~4.51)であった。

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統合失調症に対するベンゾジアゼピン、最新レビュー知見

 統合失調症に対するベンゾジアゼピンの有効性と安全性について、システマティックレビューの結果、単独療法あるいは併用療法ともに投与に関する確実なエビデンスは現時点では確認できなかったことが、ドイツ・ミュンヘン工科大学付属病院Rechts der Isar ClinicのMarkus Dold氏らにより報告された。ベンゾジアゼピンの超短時間の鎮静効果、および急性期の興奮状態の統合失調症患者に対し鎮静のための投与を考慮すべきであるというエビデンスの質は低かったことが示されたという。Cochrane Library 2012年11月14日の発表報告。 研究グループは2011年2月に、以前に行った文献調査(2005年3月)のアップデートを行った。文献検索はCochrane Schizophrenia Groupの試験レジスターを対象とし(言語の規制なし)、関連研究の参考文献調査や、不明データを入手するため論文著者への連絡なども行った。選択適格基準は、統合失調症統合失調症様精神病(両方またはどちらか)の薬物療法として、ベンゾジアゼピン(単独、併用含む)と抗精神病薬またはプラセボを比較した全無作為化試験とした。解析はMDとCLのレビュワーが独立的に行った。二分変数アウトカムについてリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、連続データを平均差(MD)と95%CIを用いて解析し、組み込んだ試験(バイアスリスクツール適用)からの事前選択アウトカムをそれぞれ評価した。 主な内容は以下のとおり。・レビューには、34試験(2005年解析より3試験増)、2,657例が組み込まれた。大半の試験は、サンプル数が少なく、短期試験で、アウトカムデータが不完全であった。・プラセボと比較したベンゾジアゼピン単独療法に関する試験は8試験であった。・重大臨床的効果がみられなかった被験者の割合は、ベンゾジアゼピン群とプラセボ群で有意な差はみられなかった(382例、6試験、RR:0.67、95%CI:0.44~1.02)。評価結果は、全身・精神状態のさまざまな評価スケールが用いられており整合性がなかった。・抗精神病薬単独療法とベンゾジアゼピン単独療法とを比較した試験は14試験であった。・重大臨床的効果の評価において、統計的に有意な差がみられた試験グループはなかった[(30分)44例、1試験、RR:0.91、95%CI:0.58~1.43、(60分)44例、1試験、0.61、0.20~1.86、(12時間)66例、1試験、0.75、0.44~1.30、(プール短時間試験)112例、2試験、1.48、0.64~3.46]。・抗精神病薬群と比べてベンゾジアゼピン群のほうが、20分、40分時点で至適な鎮静を得られた被験者が有意に多かった。全身・精神状態や副作用の発生について、有意な群間差は確認できなかった。・抗精神病薬+ベンゾジアゼピンを併用した増強療法と抗精神病薬単独療法とを比較した試験は20試験であった。重大臨床的効果があり統計的に有意な改善が示される可能性があったのは、併用療法での最初の30分だけであった[(30分)45例、1試験、RR:0.38、95%CI:0.18~0.80、(60分)45例、1試験、0.07、0.00~1.03、(12時間)67例、1試験、0.85、0.51~1.41、(プール短時間試験)511例、6試験、0.87、0.49~1.54]。・全身・精神状態の解析は、30分、60分時点での至適な鎮静を除いて、群間差は示されなかった[(30分)45例、1試験、RR:2.25、95%CI:1.18~4.30、(60分)45例、1試験、1.39、1.06~1.83]。・ベンゾジアゼピン治療に対する忍容性は、全体に漸減率が測定されたことで問題はないようであった。副作用は概してあまり報告がなかった。統合失調症でのベンゾジアゼピン治療(とくに長期的な併用戦略)のエビデンスを明らかにするために、さらなる質の高い規模の大規模な研究プロジェクトが求められる。関連医療ニュース ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う? ・ベンゾジアゼピンと認知症リスクの関連

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みんなの症候診断

第1回「経過にこだわろう!」第2回「“急に”と言われても…」第3回「反復するということは?」 第1回「経過にこだわろう !」症候診断において最も重要な「病歴」。しかし、症例は教科書通りのものばかりではありません。患者さん側も診断に必要な情報を順序立てて話してくれるわけではなく、経験の浅い医師にとってはついつい時間がかかるばかりで、肝心の診断がつかないことも間々あります。 「マニュアルで診療はできないんです」と講師の前野先生。さまざまな情報から必要なものを選び出して頭の中で鑑別診断リストを作り、効率的な質問を投げかけながらリアルタイムで診断を絞り込んでいく。瞬時にこれらのことができる訓練をしなければいけません。この思考ロジックを、前野先生が研修医の皆さんと一緒にたどっていきます。第1回の症例は「頭痛」。ありふれた症例ですが、問診でのポイントは何処にあるのでしょう?第2回「“急に”と言われても…」今回のケースは“急におなかが痛くなった”患者さんです。漠然とした訴えにどうしたらいいのか悩んでしまいますが、どう対応したらいいのでしょう。番組では、症状のどこに注目して、何を聞いたらいいのか、そして重篤な疾患を見逃さないコツは何なのかを、詳しく解説していきます。ゲーム感覚で楽しく学べる診療のコツをどうぞお楽しみください。第3回「反復するということは?」今回取り上げるのは「胸痛」を訴える患者さん。胸痛と言えば当然、狭心症、心筋梗塞などの見逃せない疾患の主訴ですね。すぐに心電図!とあなた。しかし、異常は見当たらずホッと安心…はもちろんできません。ホルター心電図でさえ捉えられないことも間々ある心臓の虚血…。さあ、どうしましょう? 心エコー? 心カテ? やっきになって検査をやみくもに繰り返してしまうのが、新人の先生が陥りやすいワナです。 「胸が痛いと言う患者さんにはもちろん心電図は重要な検査です」しかし、「心電図だけでは虚血は診断できないことが多々あります」と前野先生。そんな時重要なのは、「やはり病歴」。そしてそれは「それほど難しいことではないんです」。病歴から分かる病態生理は、診断の大きな手がかりになるだけでなく、それを説明することで患者さんを安心させることもできるというスグレモノ。胸痛だけでなく様々な疾患に応用できる問診のコツ、ベテランの先生も必見!

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カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]

第1回「困った人たちとの遭遇」第2回「うつ病に関する必要最小限の知識」 第1回「困った人たちとの遭遇」精神科非専門医であっても決して避けては通れない、さまざまなメンタル関連の諸問題を、カリスマ精神科医・春日武彦先生が切れ味鋭く解説していきます。第1回は「(境界性)人格障害」への対応について。医師に対して理不尽な怒りをぶつけたり、クレームをつけたり、脅したりという「困った患者さん」に悩まされた経験はありませんか?彼らは意識が清明で幻覚妄想はなく、責任能力が十全であるにも関わらず、理性的な対応を受け付けられずにトラブルを繰り返してばかりいます。 そんな患者と折り合いをつけて付き合っていくためのポイントを詳しく解説します。第2回「うつ病に関する必要最小限の知識」精神科の医師ではなくても、うつ病を併発した(あるいは、その疑いがある)患者を診る機会は少なくないでしょう。そこで、現代の流行病ともいうべき「うつ病」に関して、必ず知っておかなければならない「必要最小限の知識」を凝縮してお届けします。ひとくちにうつ病といっても様々なタイプがあり、例えば身体的な訴えが強くて精神症状を隠蔽してしまうタイプは、非常に多く、早期発見と適切な治療の妨げとなっています。一通りの知識がある方でも、春日先生の含蓄のある解説を聞けば、難解なうつ病をより深く理解できるはずです。

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Dr.林の笑劇的救急問答4

第1回「一皮むけるECGのTips」第2回「熱性痙攣はコワイ?」 第1回「一皮むけるECGのTips」今回のテーマは心電図について。とはいっても教科書的な心電図の読解ではなく臨床で役に立つ、知っているとちょっと自慢になるようなTipsとピットフォールについてお届けします。 53歳男性 「胃が重い」と救急外来を受診。心電図で心筋梗塞を疑い研修医はMONAを実施したが突然患者の血圧が低下 ! さぁどうする !? 40歳男性 重度うつ病で入院中。自殺企図が強いためトイレと洗面以外は抑制されていたが前日から2度にわたり失神を起こしたため救急外来を受診。主治医は肺炎を疑い胸部X線を実施したが影はない。第2回「熱性痙攣はコワイ?」小児の救急車要請の頻度が最も高い疾患として熱性痙攣があります。医師として誰もがきちんと診ることができなければならない疾患ですが、実際に痙攣を起こしている患児をみると、どうしても慌ててしまう事も多いでしょう。その為あまりにも慎重になり過ぎたり、逆に何度も経験すると「たかが熱性痙攣」と甘くみてしまい、思わぬ落とし穴にハマることにもなりかねません。 そこで、腰椎穿刺を行うべき症例や、そこまで必要のない症例の見分け方のポイントを学びます。今回の症例ドラマもツブ揃いの名演技、どうぞお見逃しなく! 1歳3ヶ月男児 自宅で痙攣を起こし救急車搬送された。痙攣は初発であるとの事。研修医は髄膜炎の鑑別診断のため腰椎穿刺を実施しようとするが母親に拒否され…。 8歳男児 数日前から風邪をひいていたが夜中に痙攣を起こしたため救急車搬送された。熱性痙攣の既往ありという母親の言葉を研修医は鵜呑みにしてしまうが指導医であるDr.林の診断は!?

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これならデキル!内科医のための精神科的対応“自由自在”

第4回「MAPSOとは?その②『不安障害』と『精神病症状』」第5回「治療編 その①『うつと診断したら・・・』」第6回「治療編 その②『自殺を防ぐには・・・』」 第4回「MAPSOとは?その②『不安障害』と『精神病症状』」MAPSOとは、患者さんの心理コンディション(M:うつ・躁エピソードチェック、A:不安5種、P:精神病症状、S:アルコール、O:器質的)の聴取方法のことです。MAPSOをマスターすることにより、まず用語と疾患概念が内科臨床の中で使えるように整理できます。そしてパターン認識により素早く疾患の存在に気づけるようにもなります。第4回では、「M」の後のAnxiety、Psychoses、Substances、Organicについて一気に解説します。内科一般診療で診る精神科疾患を理解するために必要な精神科用語解説もあります。第5回「治療編 その①『うつと診断したら・・・』」前回までのMAPSOによって、患者さんの心理コンディションを把握できるようになったところで、いよいよ治療について解説します。 うつと診断された場合の具体的な指導の仕方や非精神科医にとって最も苦手とされる精神科系の薬物治療などに関して詳細に説明します。翌日からの診療に自信を持って望めるように、パターンをしっかりアタマに入れておきましょう。 今回は、主にうつ病に対する投薬のポイントを解説。内科医にもできる心理療法を、井出先生の実体験に基づいて伝授します。第6回「治療編 その②『自殺を防ぐには・・・』」「自殺を止める責務はプライマリ・ケア医にあります」という井出先生の信念の下に、いかに自殺をブロックするか、有効な説得法を井出先生が自ら体験したリアルな教訓とともに解説します。 その他、「躁転した!」と判断するためのチェックポイントや有効な対処法、“不安の治療”において、その安直な薬剤投与でごまかさないようにするための留意点などについて触れます。特に、井出先生と模擬患者さんによる“自殺をさせないための”ロールプレイング演習は必見です。

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プライマリケアでよく見る精神症状の診方と対応のコツ

第1回「これで安心!パニック障害と過換気症候群」第2回「そうだったのか!うつ病治療の最新エビデンス」第3回「現代型うつ病大流行!?プライマリ・ケア医の心得」 第1回「これで安心 ! パニック障害と過換気症候群」心の病に関する最新の知見を、わかりやすく噛み砕いてお送りします。「1億総うつ病化時代」とも呼ばれる現代。「うつ病」をはじめとする精神症状の正しい理解、患者や家族に対するアプローチ方法など、豊富な臨床経験から導き出された診断方法と対応のコツを紹介します。「うつ病」に対する様々な偏見や誤解を見事に覆し、プライマリ・ケア医としていかにうつ病を診断するか、そのポイントと専門医への紹介までをお届けします。パニック障害の診断基準と疫学、さらに、パニック障害と間違われやすい「過換気症候群」についても取り上げ、この二つの症例の見極め方も紹介します。第2回「そうだったのか ! うつ病治療の最新エビデンス」うつ病の具体的な症状を取り上げ、診断につなげるまでの手順について紹介します。さらに治療で第一に用いられる薬剤の薬理効果と並行して、世間に蔓延する抗うつ薬に対する偏見を撥ね退けてわかりやすく解説します。第3回「現代型うつ病大流行 ! ? プライマリ・ケア医の心得」近年増加を続ける「現代型うつ病」を取り上げます。従来のうつ病とは症状の異なる現代型うつ病の特徴を紹介し、「うつ病セレブ」と「うつ病難民」といった患者層の広がりについて、鋭く警鐘を鳴らします。また、自院でうつ病の患者に出会った際の精神科への依頼指針を示し、見落としがちな「双極性障害」への理解も促します。さらに、医師の側でもうつ病を発症するケースが増えていることから、医師が自らリラックスできる方法も考案します。プライマリ・ケア医必見です。

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聖路加GENERAL 【心療内科】

PART1 「プライマリケアで診る不眠症」PART2 「難しくない ! うつ病の診断」PART3 「今日からできるうつ病治療」 PART1「プライマリケアで診る不眠症」ジェネラリストの疑問にエキスパートが答える「聖路加GENERAL」シリーズ、心療内科編です。例えば高血圧や高脂血症で診ている患者さんから「先生、最近眠れないんです」と言われることもよくあると思います。簡単な不眠であれば、心療内科に紹介する前に何とかしてあげたいと思うのが人情ですが、では具体的にどうすればいいのかというと、悩みどころでしょう。今回は心療内科の「黒帯Doctor」山田宇以先生を迎えて、簡単にできる不眠への対応、そしてお勧めの睡眠薬の処方を紹介していただきます。「ただ睡眠薬を出せばいいのか?」「睡眠障害ってどんなタイプがあるの?」「生活指導はどうしたらいい?」「睡眠薬への依存は大丈夫?」などの疑問に明解にお答えします。PART2「難しくない ! うつ病の診断」 PART3「今日からできるうつ病治療」プライマリ・ケアを訪れる患者が心因性の疾患であることは少なくありません。その中でも特に多いのがうつ病です。しかし、診断や治療に自信のないという先生方が多いのも事実です。うつ病の診断基準を使いこなすのは一般診療では少々難しいのではないでしょうか。今回は、「疑わしい患者には何をどう聞いたらいいのか?」「治療を始めるときも、うつ病に抵抗感を持つ患者をどう治療に導入したらいいのか?」「薬物療法はどういった処方がいいのか?」などの疑問に分かりやすくお答えします。患者さんへの具体的な言葉や薬剤の処方など、今日から使えるコツが満載です !

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抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

 抗精神病薬は、自律神経失調症を引き起こす要因と考えられており、統合失調症患者の潜在的な致死的不整脈を予測すると報告されている。しかしながら、抗精神病薬や他の向精神薬の用量依存的な効果が自律神経系(ANS)の活動に及ぼす影響に関しては、依然として不明なままである。横浜市立大学 岩本 洋子氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬と他の臨床的因子の用量依存効果がANSの活性に及ぼす影響について検討した。その結果、著者らは「統合失調症患者の心血管系に関連する有害事象を避けるためには、抗精神病薬の投与量を最適化する必要がある」としている。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月14日号の報告。 対象は、日本人統合失調症患者211例および健常者44例。各々における抗精神病薬による治療や、さまざまな臨床的要因を調査した。ANS活性は心拍変動(HRV)パワースペクトル解析を用いて評価した。患者群は抗精神病薬の投与量により3つのサブグループに分けて評価し、サブグループ間のHRVを比較した。主な結果は以下のとおり。・患者群では、対照群と比較し、HRVの低域と高域成分の有意な減少が認められた。・抗精神病薬の高用量投与群では、中用量投与群よりも有意に低いHRVが認められ、低用量投与群と比較するとさらに低いHRVが認められた。・HRVと抗精神病薬の投与量との有意な関連が認められた(重回帰分析)。・HRVは、年齢、性別、BMI、罹病期間、他の向精神薬の投与量との関連は認められなかった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増! ・統合失調症における長期転帰の予測因子は? ・検証!向精神薬とワルファリンの相互作用

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認知症の原因疾患のひとつ「シェーグレン症候群」その関連は?

 認知症の原因疾患のひとつであるシェーグレン症候群(SS)は、外分泌腺が関与する自己免疫疾患で、目が乾く、口が乾燥するなどといった症状が認められる。高齢者の1.9~3.0%が発症すると言われており、20%の患者で認知症などの中枢神経系疾患を合併する。星ヶ丘厚生年金病院 吉川 健治氏らは、メモリークリニックを受診している患者におけるSSの有病率と影響を明らかにしようと試みた。Journal of the neurological sciences誌オンライン版2012年11月15日号の報告。 対象は2007~2010年にメモリークリニックを受診した認知機能障害を有する症例。認知症の検査に加え、抗SSA抗体および抗SSB抗体レベルを測定した。また、必要に応じてシルマーテストや口唇生検(両方またはどちらか)を追加した。SSの診断は米欧のコンセンサス基準に基づき実施した。 主な結果は以下のとおり。・試験を完了した276例のうち、265例は認知機能の低下が確認されなかった(男性97例、女性168例、平均年齢:77.9歳、MMSEスコアの中央値:23)。・抗SSA陽性は16例(6.3%)、抗SSB陽性は7例(2.7%)であった。・20例は一次性シェーグレン症候群と診断された(平均年齢:77.2歳、MMSEスコアの中央値:21)。そのうち、以前MCIと診断された症例は7例(VCIND:5、aMCI:2)、認知症と診断された症例は13例であった。・すべての症例においてSPECTで非対称の局所的な低灌流が認められ、18例はMRIで皮質下の病変が認められた。・認知症治療中の症例12例(治療期間中央値:2.1年)は、MMSEスコアが有意に改善していた(MMSEスコアの中央値:26、p=0.0019)。また、SSでない症例のMMSEスコアは減少していた(126例、MMSEスコアの中央値:22)。・シェーグレン症候群の有病率は、メモリークリニックを受診する認知機能低下症例の7.5%を占めており、皮質下白質病変と非対称の血流低下の特徴を有する。関連医療ニュース ・認知症の前駆症状は?うつ病との関係 ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う? ・せん妄はアルツハイマー病悪化の危険因子!

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