サイト内検索|page:103

検索結果 合計:2851件 表示位置:2041 - 2060

2041.

うつ病治療の助けとなるか、うつ病認知再評価ツール

 うつ病について、セルフガイドのWebベース介入は有望な結果を示すが、脱落率が高く、使用者との結び付きが低い。オンライン・ピア・サポート・ネットワークは、結び付きは強いが、さまざまな結果を示し、根拠に基づくコンテンツが不足している。米国・マサチューセッツ工科大学のRobert R Morris氏らは、Webベースのピア・ツー・ピアのうつ病認知再評価プラットホームを開発し、有効性の評価を行った。結果、同プラットホォームは、うつ病患者のうち、とくに自身で再評価テクニックを十分に活用できない人に有用であることが示されたという。検討の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、長期的な有効性を調べ、また多様な集団が使用できるよう普遍化できないかを検討する必要がある」とまとめている。Journal of Medical Internet Researchオンライン版2015年3月号の掲載報告。 研究グループは、新たなWebベースのピア・ツー・ピア認知再評価プラットホームを開発し、評価を行った。プラットホームは根拠に基づくテクニックを促進するようデザインされおり、(1)プラットホームの反復使用により再評価が増え、うつ病が減る、(2)クラウドを通じた社会的相互関与が関わりを強化する、との仮説について検討した。 18~35歳の参加者をオンラインで集めて、治療群(「Panoply」、84例)またはアクティブ対照群[オンラインで筆記開示(express writing)を行う、82例]に無作為に割り付けた。いずれも、自動Webベースのプラットホームであった。参加者は、1週間に最低25分間、3週にわたってそれら割り当てられたプラットホームを使用するよう依頼された。いずれも、ストレスを感じていること、および状況について説明を送信することが必要だった。Panoply群の参加者は、送信後に(中央値9分後)、クラウドを介した再評価サポートを受けた。また、同群の参加者は、他の使用者によって提出されたストレスを感じている状況について、再評価の実践を行うこともできた。ベースラインと、3週時点でオンライン・アンケートを行い、抑うつ症状、再評価、固執思考について評価した。関わりの評価は、自己報告、セッション・データ、アクティブレベルにより行われた。 主な結果は以下のとおり。・Panoplyプラットホームの使用前と比べて使用後は、抑うつ(p=0.001)、再評価(p<0.001)、固執思考(p<0.001)が有意に改善した。・対照群も、抑うつ(p=0.02)、固執思考(p<0.001)は有意に改善したが、再評価は改善しなかった(p=0.45)。・介入後の、抑うつや固執思考の測定において、両群に有意な差はみられなかった。しかし、再評価スコアが、Panoply使用者は対照群と比較して有意に上昇した(p=0.02)。・また、治療の相互作用による群間の有意差も認められた。・うつ症状の高い人は、抑うつ(p=0.02)、固執思考(p=0.008)について、Panoply使用で、より大きなベネフィットを得たことが示された。・ベースラインで再評価の障害があった人は、抑うつ(p=0.002)、固執思考(p=0.002)について、Panoply使用で、より大きなベネフィットを得たことが示された。・対照の筆記開示ではみられなかったが、再評価の変化にはPanoplyの効果が介在し、これは抑うつ(ab=-1.04[SE 0.58]、95%信頼区間[CI]:-2.67~-0.12)、固執思考(同-1.02[0.61]、-2.88~-0.20)の両アウトカムにも影響を及ぼした。・試験からの脱落率は両群で同程度であった。一方で、Panoply群のほうが有意に使用頻度が高く(p<0.001)、使用者数も有意に多かった(p<0.001)。関連医療ニュース これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか うつ病患者の疲労感を評価する新ツール スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は  担当者へのご意見箱はこちら

2042.

抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

 従来抗精神病薬(CAP)と非定型抗精神病薬(AAP)で、虚血性脳卒中のリスクに違いがあるのか。韓国医薬品安全性・リスク管理研究所のJu-Young Shin氏らは、高齢者を対象にCAPとAAPの虚血性脳卒中リスクを比較した。その結果、CAPであるクロルプロマジンおよびハロペリドールの虚血性脳卒中リスクが高いことが示された。CAPとAAPにおける虚血性脳卒中リスクの差に対する関心が高まっているが、今回示された結果を受けて著者は、「所見は、AAPに伴う重篤な有害事象を考慮してCAPを高齢者に処方する場合、とくに注意を払う必要性があることを示すものであった」とまとめている。PLoS Oneオンライン版2015年3月19日号の掲載報告。 本研究では、CAPまたはAAPを投与した高齢患者の虚血性脳卒中リスクを比較した。新規にCAP(ハロペリドールまたはクロルプロマジン)およびAAP(リスペリドン、クエチアピン、オランザピンのいずれか)を処方した高齢患者7万1,584例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。健康保険審査評価院(HIRA)によるNational Claims Databaseにおいて2006年1月1日から2009年12月31日までのデータを使用した。虚血性脳卒中発症例を特定し(ICD-10, I63)、AAP、CAPそして各抗精神病薬のハザード比(HR)を、多変量Cox回帰モデルを用い、リスペリドンを基準として算出した。 主な結果は以下のとおり。・合計7万1,584例のうち、リスペリドンが2万4,668例、クエチアピンが1万5,860例、オランザピンが3,888例、ハロペリドールが1万9,564例、クロルプロマジンが7,604例に処方されていた。・クロルプロマジン処方例のリスクがかなり高く(HR:3.47、95%信頼区間[CI]:1.97~5.38)、次いで、ハロペリドール(同:2.43、1.18~3.14)、クエチアピン(1.23、0.78~2.12)、オランザピン(1.12、0.59~2.75)の順であった。・クロルプロマジンの150日以上の長期処方は、それ以下の短期間投与に比べリスクが高かった(HR:3.60、95%CI:1.83~6.02)。・クロルプロマジンおよびハロペリドール使用例は、リスペリドン使用例に比べ、虚血性脳卒中のリスクが大きかった。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

2043.

うつ病と双極性障害を見分けるポイントは

 大うつ病性障害(MDD)と双極性障害(BP)の鑑別は、患者の予後や治療において重要な意味を持っている。これまでの研究で、これら2つの疾患で異なる臨床的特徴が同定されているが、不均一性および再現性の欠如により限定的であった。米国・ジョンズホプキンス大学のA K Leonpacher氏らは、再現性を持つ大規模サンプルを用い、MDDとBPを鑑別するために、うつ関連の特徴の特定を試みた。Psychological medicine誌オンライン版2015年4月8日号の報告。 研究グループは、MDDおよびBPを有する患者データを適宜、収集・確認するために大規模なデータを用い、1,228例(BP-I:386例、BP-II:158例、MDD:684例)の被験者からなる初期開示データセットから、診断カテゴリー間で試験するためのうつ関連の臨床的特徴を34件選択した。ROC分析により、BPに関連付けられる有意な特徴を1,000例のBP-Iケースと1,000例のMDDケースの独立したサンプルを用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・MDDと比較して、BP-Iとの有意な相関が認められたのは以下の7つの特徴であった。 ■妄想 ■精神運動遅滞 ■無能力 ■混合症状の多さ ■エピソード数の多さ ■エピソード期間の短さ ■うつ病治療後の躁経験歴・これら7つの要因を含むモデルのROC解析では、独立したデータセットにおいて、BP-IとMDDを識別する有意なエビデンスが示された(曲線下面積:0.83)。・混合症状数と抗うつ薬投与後の躁気分の2つの特徴のみにおいて、MDDに対しBP-IIとの関連が認められた。・これらの要素は、新たな診断バイオマーカーの評価におけるベースラインの項目として組み込まれるべきである。関連医療ニュース うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は  担当者へのご意見箱はこちら

2044.

統合失調症患者、どんな剤形を望んでいるのか

 統合失調症に対する抗精神病治療のベネフィットとリスクに関連した患者の選好を定量化し、治療の特性やアドヒアランスの相対的重要性を評価することを目的とした研究を、米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメント社のBennett Levitan氏らが実施した。その結果、統合失調症の病識がある患者は陽性症状の改善が最も重要な治療効果であると考えていること、また、アドヒアランス良好の患者は月1回注射剤より経口剤のほうが好ましいと考え、逆にアドヒアランス不良の患者は経口剤より月1回注射剤のほうが好ましいと考えていることが明らかになった。Psychiatric Services誌オンライン版2015年3月16日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症と医師に診断されたと自己申告した米国住民を対象に、離散選択実験(discrete-choice experiment)という手法を用いた調査を行った。陽性症状・陰性症状・社会的機能の改善という3つの特徴と体重増加・錐体外路症状(EPS)・高プロラクチン血症・高血糖の出現という矛盾する仮想のシナリオおよび薬剤の剤形を提示し、その選択における患者の選好度を算出した。 主な結果は以下のとおり。・最終的な解析対象は、271例であった。・最も重要な治療ベネフィットとは、陽性症状の完全消失(相対的重要度スコア10)で、次いで高血糖の消失(3.6、95%信頼区間[CI]:2.6~4.6)、陰性症状の改善(3.0、1.6~4.3)、体重増加の減少(2.6、1.2~4.0)、高プロラクチン血症の回避(1.7、0.9~2.6)、社会的機能の改善(1.5、0.4~2.5)、EPSの回避(1.0、0.3~1.8)の順であった。・アドヒアランスが良好の患者は、3ヵ月ごとの注射剤より月1回注射剤のほうが、月1回注射剤より毎日の錠剤のほうがより好ましいと判断していた(いずれもp<0.01)。・アドヒアランスが不良の患者は、毎日の錠剤より月1回注射剤のほうがより好ましいと判断していた(p=0.01)。・最も重要な有害事象として挙げられたのは、高血糖であった。関連医療ニュース 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ  担当者へのご意見箱はこちら

2045.

注意が必要、高齢者への抗コリン作用

 高齢者への薬物治療において、しばしば問題となる抗コリン作用。オーストラリア・フリンダース大学のKimberley Ruxton氏らは、抗コリン作用を有する薬剤と高齢者の認知機能障害や転倒、全死因死亡との関連をシステマティックレビューおよびメタ解析で検証した。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2015年3月2日号の報告。 65歳以上を対象とし、抗コリン作用を有する薬剤(DACEs)の使用と転倒、認知機能障害、全死因死亡との関連を検討したランダム化比較試験、前向きおよび後ろ向きコホート研究、ケースコントロールスタディを、CINAHL、Cochrane Library、EMBASE、PubMedのデータベースを使用し検索した。期間は2013年6月以前に公表されたものとした。抗コリン薬への曝露は、薬物クラス、DACEスコアリングシステム(anticholinergic cognitive burden scale [ACB]、anticholinergic drug scale [ADS]、anticholinergic risk scale [ARS]、anticholinergic component of the drug burden index [DBIAC])または各DACEsの評価により調べた。メタ分析は、個々の研究から結果をプールして行った。 主な結果は以下のとおり。・18報の研究が選択基準を満たした(合計参加者12万4,286例)。・DACEsへの曝露は、認知機能障害のオッズ増加と関連していた(OR 1.45、95%CI:1.16~1.73)。・オランザピンとトラゾドンは、転倒のオッズおよびリスクの増加と関連していた(各々OR 2.16、95%CI:1.05~4.44;RR 1.79、95%CI:1.60~1.97)。しかし、アミトリプチリン、パロキセチン、リスペリドンでは関連が認められなかった(各々RR 1.73、95%CI:0.81~2.65;RR 1.80、95%CI:0.81~2.79;RR 1.39、95%CI:0.59~3.26)。・ACBスケールの単位増加は、全死因死亡のオッズ倍増と関連していた(OR 2.06、95%CI:1.82~2.33)。しかし、DBIACまたはARSとの関連は認められなかった(各々OR 0.88、95%CI:0.55~1.42;OR 3.56、95%CI:0.29~43.27)。・特定のDACEsまたは全体的なDACE曝露の増加は、高齢者の認知機能障害や転倒リスク、全死因死亡率を増加させる可能性がある。関連医療ニュース長期抗コリン薬使用、認知症リスク増加が明らかに統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響

2046.

NIRS、抗うつ効果の予測マーカーとなりうるか:昭和大

 最近の研究で、近赤外分光法(NIRS)が大うつ病性障害(MDD)の診断支援ツールとして臨床使用可能であることが示されている。しかし、認知タスク施行中のNIRSシグナルの変化がうつ病の状態に依存しているのか、あるいはうつ病の特性に依存しているのか、またNIRSにより治療反応の神経学的予測が可能か否かは明らかとなっていない。昭和大学の富岡 大氏らは、うつ病の診断と治療におけるNIRSの使用意義を明らかにするため、MDD患者を対象に、抗うつ薬治療後の機能的神経画像の縦断的研究を行った。その結果、NIRSシグナルの変化がうつ病の疾患特異的マーカーになりうること、および抗うつ薬の効果を予測するバイオマーカーになり得る可能性を示した。PLoS One誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、52チャンネルNIRSを使用し、薬物未治療のMDD患者における抗うつ薬治療後の前頭部血行動態の変化を、縦断研究にて調べた。薬物未治療のMDD患者25例および健常対照(HC)62例を対象とした。抗うつ薬治療前後にNIRSスキャンを実施し、治療後の言語流暢性課題(VFT)実施中のオキシ-ヘモグロビン濃度[oxy-Hb]の変化を測定した。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者では、ベースライン期の両側前頭葉および側頭葉におけるVFT実施中の[oxy-Hb]値が、HCに比べ有意に減少した。・MDD患者は抗うつ薬投与後にうつ症状が有意に改善したにもかかわらず、抗うつ薬治療前後で[oxy-Hb] 値に変化は認められなかった。・MDD患者では、ベースライン期の両側下前頭回および中側頭回におけるVFT実施中の平均[oxy-Hb]値とうつ症状改善との間に有意な関連が認められた。・これらの結果は、VFTに対応する前頭葉機能低下は、うつ病の状態像マーカーというよりも、うつ病の疾患特異的マーカーとなる可能性を示唆する。・さらに、治療開始前のNIRSシグナルが、患者の抗うつ薬治療に対する臨床反応を予測するバイオマーカーとなりうる可能性が相関分析により示された。・本研究により、NIRSがうつ病の診断と治療に応用可能であることを支持するさらなるエビデンスが提供された。 関連医療ニュース うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 アルツハイマー病とレビー小体型認知症、共通のバイオマーカー  担当者へのご意見箱はこちら

2047.

認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加

 抗精神病薬治療は認知症高齢者における死亡率上昇と関連がある。しかし、無治療またはその他の向精神性の薬剤と比べた場合のリスクに対する絶対的影響については明確にされていない。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬による死亡リスクを明らかにするため、後ろ向きケースコントロール研究を実施した。その結果、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬による治療は、無治療および抗うつ薬治療と比べ死亡リスクが大きく、用量依存的に死亡リスクが増大することを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、無治療、あるいは抗うつ治療と比較した認知症患者における抗精神病薬、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、抗うつ薬使用における、絶対死亡リスクの上昇と有害必要数(NNH)(何人の患者を治療するごとに死亡1例が発生するかを示す指標)を明らかにする検討を行った。1998年10月1日~2009年9月30日に、米国退役軍人健康庁(VHA)にて後ろ向きケースコントロール研究を実施した。対象は、65歳以上の認知症患者9万786例で、最終分析は2014年8月に実施された。抗精神病薬(ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、あるいは抗うつ薬の新規処方(薬剤使用者4万6,008例)について検討した。フォローアップ期間180日における死亡リスクおよびNNHの絶対変化を、複数のリスク因子をマッチングさせた非薬剤治療患者と比較した。薬剤治療開始患者では、各薬剤関連の死亡リスクを、年齢、性別、認知症罹患年数、せん妄の有無、その他の臨床的・人口学的特性を調整したうえで、抗うつ薬投与群を対照として用い、比較した。副次的分析ではオランザピン、クエチアピン、リスペリドンそれぞれに関する用量調整絶対死亡リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・各要素をマッチさせた非薬剤治療群との比較において、ハロペリドール群では死亡リスクが3.8%(95%信頼区間[CI]:1.0~6.6%、p<0 .01)増加し、NNHは26(95%CI:15~99)であった。・次にリスペリドンの3.7%(同:2.2~5.3%、p<0 .01)、NNH 27(同:19~46)と続き、オランザピンは増加率2.5%(0.3~4.7%、p=0 .02)、NNH 40(21~312)、クエチアピンは2.0%(0.7~3.3%、p<0 .01)、NNH 50(30~150)であった。・抗うつ薬使用患者との比較において、死亡リスクの上昇およびNNHはハロペリドール群の増加率12.3%(8.6~16.0%、p<0 .01)およびNNH 8(6~12)から、クエチアピン群の3.2%(1.6~4.9%、p<0 .01)およびNNH 31(21~62)までの範囲にあった。・非定型抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)のグループ全体では、高用量群における死亡率が低用量群に比べて3.5%高く(0.5~6.5%、p=0 .02)、死亡リスクにおける用量反応関係が示された。・クエチアピンとの直接比較において、リスペリドン(1.7%、95%CI:0.6~2.8%、p=0 .003)およびオランザピン(1.5%、95%CI:0.02~3.0%、p=0.047)はいずれも用量調整死亡リスクの増加を認めた。・以上より、認知症高齢者における抗精神病薬の死亡率に与える絶対的影響は、これまでの報告より大きく、用量に伴い増加する可能性が示された。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

2048.

第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは

 抗精神病薬は作業記憶(ワーキングメモリ)での重要な鍵の役割を担う神経伝達物質システムをターゲットとしている。それゆえに、抗精神病薬はこれらの神経伝達物質受容体での働きを介して、認知機能を調整することが期待されている。しかし、作業記憶に対する抗精神病薬の正確な作用は、明らかにされていない。英国キングス・カレッジ・ロンドンのRhianna Goozee氏らは、機能的MRI研究を行い、健常者の作業記憶中における脳活性化について、ハロペリドールとアリピプラゾールの1回投与での即時および特異な作用を立証した。結果を踏まえて著者は、「正確なメカニズムは不明だが、このハロペリドールとアリピプラゾールの作用の違いが、異なる受容体親和性プロファイルを反映する可能性が示唆される」とまとめている。Schizophrenia Research誌2015年3月13日号(オンライン版2015年2月23日号)の掲載報告。 研究グループは、健常者17人を対象に、N-back課題を使用して、作業記憶能に関する2つの抗精神病薬の効果を調べるため、完全にバランスの取れた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照比較試験を実施した。参加者は3回にわたって、プラセボ、ハロペリドール、アリピプラゾール(順不同)の投与下において、機能的MRI検査を受け、それぞれの状態での作業記憶能を検査した。そして、主な作業記憶能と線形負荷を調べるために、神経活性化の図解はランダム効果一般線形回帰分析で考察した。各介入で脳活性化の変化領域を得るため、ボクセル・ワイズと関心領域(ROI)分析を実施した。 結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは、プラセボと比較して神経活性化の変化にはつながらなかった。しかし、正しい反応への反応時間はプラセボ(p=0.046)とハロペリドール(p=0.02)の両方と比較して、アリピプラゾールでは有意に増加した。・アリピプラゾールとは対照的に、プラセボと比較して、ハロペリドールは頭頂部(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.005;FWE-corr. right:p=0.007)と前額部(前頭葉を含む;BA9/44/46;left:FWE-corr. p=0.009;right:FWE-corr. p=0.014)の各大脳皮質と、左被殻(FWE-corr. p=0.004)の活性化を遅らせた。・ハロペリドールは、アリピプラゾールと比較すると、頭頂皮質(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.034;right:FWE-corr. p=0.045)と左被殻(FWE-corr. p=0.015)の活性化を遅らせた。・ハロペリドールはプラセボと比較して作業記憶パフォーマンスへの影響はなかった。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響  担当者へのご意見箱はこちら

2049.

認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか

 死亡診断書や処方箋データを用いた研究によると、認知症患者に対するハロペリドールによる治療は、心臓突然死のリスク増大と関連していることが示唆されている。ルーマニア・トランシルバニア大学のPetru Ifteni氏らは、ハロペリドールで治療した認知症患者の突然死例において心臓突然死率が高いかどうかを、剖検所見を用い調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2015年3月19日号の報告。 1989年から2013年までに、精神科病院に入院した行動障害を伴う認知症患者1,219例のうち、65例(5.3%)が突然死していた。突然死後、剖検を完了したのは55例(84.6%)であった。剖検例のうち27例(49.1%)が、経口ハロペリドール単剤(2.2㎎±2.1㎎/日)治療を受けていた。多変量比較および多変量回帰分析を用い、心臓突然死および非心臓突然死であった患者群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・死亡の主な原因は、心臓突然死(32.7%)、心筋梗塞(25.5%)、肺炎(23.6%)、脳卒中(10.9%)であった。・心臓突然死患者と解剖学的に死亡原因が特定された患者では、ハロペリドールの治療率に差はなかった(p=0.5)。・心臓突然死患者では、アルツハイマー型認知症(p=0.027)、心臓病の既往歴(p=0.0094)の割合が高く、気分安定薬による治療率が低かった(p=0.024)。しかし、これらはいずれも心臓突然死の独立した危険因子ではなかった。・剖検データによる本調査では、精神科入院認知症患者に対する経口ハロペリドールの使用は、心臓突然死リスクと関連しないことが示唆された。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

2050.

統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか

 ホルモンの調節不全は、さまざまな精神障害における自殺の危険因子と関連している。甲状腺ホルモンやプロラクチンは、統合失調症の病態生理に影響を及ぼしている。インド・ジャワハルラール医学教育研究大学院研究所のJancy Jose氏らは、統合失調症患者における甲状腺ホルモンとプロラクチンレベルを分析し、疾患の重症度や自殺リスクとの関連を調査した。Clinica chimica acta; international journal of clinical chemistry誌オンライン版2015年2月10日号の報告。 本研究は、統合失調症群38例とコントロール群38例で実施された。全例で、血清甲状腺ホルモンとプロラクチンを測定した。疾患の重症度はPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)を用い、自殺念慮はC-SSRS(コロンビア自殺評価尺度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症群では、コントロール群と比較して血清プロラクチン(p=0.004)、遊離T4(p=0.029)が有意に高かった。・血清プロラクチンは、PANSS陰性尺度スコアの高さと有意に関連していた(r=0.418、 p=0.008)。PANSS陽性尺度、総合精神病理尺度のスコアとの関連は認められなかった。・甲状腺ホルモンと疾患重症度との関連は認められなかった。・自殺念慮は、遊離T4の高い統合失調症患者でより多くみられたが、プロラクチンレベルとの関連は認められなかった。関連医療ニュース プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大

2051.

抗うつ薬の副作用発現を予測するために

 抗うつ薬の代謝において、シトクロムP450酵素は重要な役割を担っている。これら酵素の高度に多様な性質は、抗うつ薬の代謝率の変動と関連しており、P450の遺伝子型判定を利用した推奨治療の決定につながる可能性がある。しかし、P450遺伝子の違いが治療効果に影響を及ぼすかどうかは明らかになっていない。英国のキングス・カレッジ・ロンドンのKaren Hodgson氏らは、P450遺伝子型および抗うつ薬の血清濃度と副作用との関連を検討した。Psychopharmacology誌オンライン版2015年3月12日号の報告。 本研究では、P450遺伝子型と抗うつ薬の血清濃度、副作用との関連および投与中止との関連を調査した。ゲノムワイド遺伝薬理学研究のうつ病プロジェクト(GENDEP)のデータを用い抽出した、エスシタロプラムまたはノルトリプチリンで治療されたうつ病患者868例を対象とした遺伝薬理学的研究。対象患者は、CYP2C19とCYP2D6の遺伝子型を特定し、抗うつ薬と1次代謝物の血清濃度を治療8週間後に測定した。副作用は毎週評価した。 主な結果は以下のとおり。・P450遺伝子型は、すべての副作用発現(ノルトリプチリン:251例、p=0.5638、β=-0.133、SE=0.229;エスシタロプラム:340例、p=0.9627、β=-0.004、SE=0.085)、投与中止(ノルトリプチリン:284例、HR 1.300、p=0.174;エスシタロプラム:376例、HR 0.870、p=0.118)、特定の副作用のいずれも予測しなかった。・抗うつ薬の血清濃度は、少数の特定の副作用(口内乾燥、めまい、下痢)とのみ関連していた。・本試験では、臨床的判断により抗うつ薬の投与量を決定していたため、P450遺伝子型によって抗うつ薬の副作用発現を説明することはできなかった。関連医療ニュース うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない 各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮

2052.

ペルフェナジン、他の抗精神病薬との違いは

 ペルフェナジンはハロペリドール同様、古典的なフェノチアジン系抗精神病薬で、長年にわたり使用されており、北部ヨーロッパおよび日本での使用頻度が高い。ドイツ・デュッセルドルフ大学のBenno Hartung氏らは、統合失調症患者に昔から使用されているペルフェナジンの有効性と安全性を明らかにするため、これまでの研究をレビューした。その結果、検討した試験はすべて非常に質の低いエビデンスであったが、ペルフェナジンが他の抗精神病薬と同様の有効性と安全性を示すことを報告した。そのうえで、安価で使用頻度の高いペルフェナジンの特性を明確にする、さらなる研究の必要性を指摘した。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年3月6日号の掲載報告。 研究グループは、ペルフェナジンの統合失調症患者および統合失調症様障害患者に対する臨床的効果および安全性を検討した。オリジナル検索をCochrane Schizophrenia Group's register(2013年9月)を用いて、参考文献とともにアップデートし、さらなる試験を得るため製薬会社や包含した試験の著者に問い合わせを行った。試験の選択基準は、統合失調症統合失調症様障害(あるいはその両方)患者に対する治療として、ペルフェナジンを他の治療法と比較検討しているすべての無作為化対照試験とした。ペルフェナジンのデポ剤による治験は除外した。 主な結果は以下のとおり。・31件の研究が選択基準を満たし、対象患者は計4,662例(うち4,522例は研究グループが実施した比較試験に関連する薬剤を使用)であり、少なくとも1つの比較に関する使用可能なデータを提示した。・試験実施機関はヨーロッパ(とくにスカンジナビア)、日本、北アメリカに位置していた。・ペルフェナジンとプラセボとの比較において、主要アウトカムである臨床反応に関して、ペルフェナジン群がより良好の結果を示した。プラセボ群のほうが、全身状態に関して「良好ではない、または増悪した」患者が有意に多かった(RCT 1件、61例、RR:0.32、95%CI:0.13~0.78、エビデンスの質は非常に低い)。・再発はプラセボ群がより多かったが、統計的に有意ではなかった(RCT 1件、48例、RR:0.14、95%CI:0.02~1.07、エビデンスの質は非常に低い)。・ペルフェナジンとプラセボの比較試験において、死亡例の報告はなかった。・ジストニアの発現において、明確な群間差は示されなかった(RCT 1件、48例、RR:1.00、95%CI:0.07~15.08、エビデンスの質は非常に低い)。なお、今回の比較試験では、重篤な有害事象、経済的アウトカム、サービス利用や入院などのアウトカムは報告されていなかった。・ペルフェナジンと他の抗精神病薬との比較において、薬剤間に事実上の有効性の違いは認められなかった。・「良好ではない、または増悪した」と考えられた患者に関して、群間の有意差は認められなかった(RCT 17件、1,879例、RR:1.04、95%CI:0.91~1.17、エビデンスの質は非常に低い)。・精神状態のアウトカムについて、試験薬剤による「効果なし」との判定に関しても群間差は認められなかった(RCT 4件、383例、RR:1.24、95%CI:0.61~2.52、エビデンスの質は非常に低い)。・分析に含んだ試験すべてにおいて、死亡例の報告はなかった。・ペルフェナジンと他の抗精神病薬とにおいて、ジストニア発現率に有意差はなく(RCT 4件、416例、RR:1.36、95%CI:0.23~8.16、非常に質の低いエビデンス)、重篤な有害事象に関しても有意差は認められなかった(RCT 2件、1,760例、RR:0.98、95%CI:0.68~1.41、エビデンスの質は非常に低い)。 レビューの結果を踏まえて著者らは、「50年以上にわたり、ペルフェナジンは無作為化試験の対象薬とされてきたが、試験報告は不十分であり、使用された比較対照薬が多彩で、明確な結論を導けずにいた。今回のレビューにおいて、主要アウトカムに関するデータはすべて非常に質の低いエビデンスであった。したがって言えることは、ペルフェナジンは他の抗精神病薬と同様の有効性と有害事象を示したということだけである。ペルフェナジンは安価で、使用頻度の高い製剤であり、さらなる研究を行い、この古典的な抗精神病薬の特性を明確にする必要がある」とまとめている。関連医療ニュース いま一度、ハロペリドールを評価する スルピリドをいま一度評価する フルフェナジンデポをレビューする  担当者へのご意見箱はこちら

2053.

オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか

 統合失調症患者では、抗精神病薬で誘発される代謝異常の頻度が高い。そして、そのために心血管疾患を生じやすい。このことを念頭に、インド・スリナガル医科大学のRayees Ahmad Wani氏らは、オランザピンでメタボリックシンドロームを発症した安定期統合失調症患者における、アリピプラゾール切り替え後のさまざまな代謝パラメータへの影響を、非盲検試験で調査した。Neuropsychiatric disease and treatment誌オンライン版2015年3月13日号の報告。 対象は、オランザピンで安定しており、NCEP ATP III(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III)の基準でメタボリックシンドロームを発症した統合失調症患者62例。対象患者は、アリピプラゾール切り替え群とオランザピン継続群に1:1で無作為に割り付けられた。アリピプラゾール切り替え群は、1ヵ月にわたる漸減漸増にて切り替えを行った。代謝パラメータは、ベースラインおよび試験開始8週および24週時点で評価した。有効性は、ベースラインおよび24週目におけるPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)、ベースラインのCGI-S(臨床全般印象・重症度尺度)と24週時点のCGI-I(臨床全般印象・改善度尺度)にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・メタボリックシンドロームのすべてのパラメータ(腹囲、血圧、トリグリセリド値、空腹時血糖値、HDLコレステロール)は、アリピプラゾール切り替え群の継続的な改善と比較して、オランザピン継続群では悪化したままであった。・研究終了時点で、NCEP-ATP-III基準を満たすメタボリックシンドロームを有する患者の割合は、オランザピン継続群100%(26例)、アリピプラゾール切り替え群42.8%(15例)であった。・PANSS総スコアやCGI-Iスコアで示された精神病理学的変化は、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった。・本結果から、代謝異常が認められるオランザピン使用中の安定期統合失調症患者では、アリピプラゾールへ漸減漸増で切り替えることにより、有効性を維持したまま、代謝異常を改善できることが示唆された。関連医療ニュース 本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか 抗精神病薬の代謝への影響、男性でとくに注意 オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

2054.

男性更年期障害、うつ病との関連は

 男性更年期は、中年期の男性における身体的、精神的、情緒的健康の変化を経験する状態である。しかし、男性更年期とうつ病などの精神症状との関連はまだ明らかになっていない。イラン・テヘラン大学のShahla Khosravi氏らは、男性更年期の症状(AMSスケールで評価)とうつ病との関連を検討した。Aging clinical and experimental research誌オンライン版2015年3月12日号の報告。 521人の高齢男性を対象とした横断的研究。データ収集にあたり、うつ病のスクリーニングのためAMS(Aging Males Symptoms Scale)と患者健康質問票(PHQ-2、PHQ-9)を使用し、さらに背景と生殖能力に関する質問を行った。重回帰分析により、男性更年期症状とうつ病との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・本結果とAMSスコアより、対象の51.5%はアンドロゲンによる臨床症状を有しており、3.7%は重度の症状を有していた。・AMSスコアとうつ病には強い相関が認められた。・人口統計や身体測定、喫煙、疾患を変数とした多変量モデルで調整後も、うつ病、糖尿病、喫煙、配偶者の年齢は、有意な関連を示していた。・正の予測因子として、うつ病はAMSと最も強い関連が認められた。 以上、AMSスコアの増加はうつ病の重症度と関連しており、更年期障害の症状とうつ病との間には直接的な関連性が認められた。このことからも、男性更年期の症状を評価するにあたり、うつ病スクリーニングの必要性が示唆された。関連医療ニュース うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない うつ病患者の疲労感を評価する新ツール うつになったら、休むべきか働き続けるべきか  担当者へのご意見箱はこちら

2055.

統合失調症へのECT、アジア諸国での実態調査

 2001~2009年のアジア人統合失調症患者に対する電気痙攣療法(ECT)の使用について、中国・澳門大学のYu-Tao Xiang氏らは調査を行った。その結果、過去10年間で中国において使用が増大していた一方、その他アジアの国および地域では低調に推移していた実態を報告した。結果について著者は、「アジアにおけるこの使用のばらつきの原因について、さらなる調査を行う必要がある」とまとめている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年2月23日号の掲載報告。 アジア人統合失調症入院患者に対するECTの使用については、ほとんど明らかになっていない。研究グループは、2001~2009年間における使用の傾向と、人口統計学的および臨床的な相関があるか調べた。調査はアジアの9つの国と地域から、1ヵ月間のインタビューもしくはカルテレビューによって6,761例の統合失調症入院患者のデータを集めて行われた。患者の社会-人口統計学的および臨床的特性、処方されていた向精神薬、ECT使用について、標準化プロトコルおよびデータ収集法により記録して分析した。 主な結果は以下のとおり。・ECT使用率は、全サンプル中3.3%であった。・2001年は1.8%、2004年は3.3%、2009年は4.9%と有意に増大していた(p<0.0001)。・しかし、そうした増大傾向は、もっぱら中国におけるECT使用頻度の有意な増大(p<0.0001)と2009年時にサーベイに含まれたインドの使用頻度データの影響によるものであった。・国家間のばらつきが大きく、たとえば2001年は香港0%から中国5.9%、2004年はシンガポール0%から中国11.1%、2009年は香港0%に対し、インド13.8%、中国15.2%であった。・全サンプルの多変量ロジスティックス回帰分析の結果、ECTを受けた患者は非ECT患者と比べて、35~64歳群では少ないこと、直近の入院期間が短く陰性症状が少ないこと、第2世代抗精神病薬治療を受けている人が多い傾向が判明した(R2=0.264、p<0.001)。関連医療ニュース ECTが適応となる統合失調症患者は? 電気けいれん療法での麻酔薬使用、残された課題は? うつ病治療に対する、電気けいれん療法 vs 磁気けいれん療法  担当者へのご意見箱はこちら

2056.

抗うつ効果に文化的背景は影響するか

 大うつ病性障害(MDD)を有するラテン系アメリカ人は、非ラテン系白人と比べ、薬物療法へのアクセス、薬物治療開始、服用、治療維持など、どの定義においても、抗うつ療法の実施が低調である。こうした差異がみられる理由の1つとして、ラテン系アメリカ人の薬物療法に対する文化的適合性が低い可能性が挙げられる。そこで、南カリフォルニア大学のSylvanna M. Vargas氏らは、ラテン系アメリカ人のうつ病と抗うつ療法に対する認識を明らかにする調査を行った。その結果、うつ病を有していないラテン系アメリカ人には、うつ病およびその治療に対して批判的な意見があること、その一方、うつ病患者は抗うつ療法に関心はあるものの、薬物中毒や薬物依存への懸念があることがわかったという。著者は「ラテン系アメリカ人の抗うつ療法への関わり方を改善するには、処方医がそうした見解や懸念に着目していかなくてはならない」と指摘している。Transcultural Psychiatry誌オンライン版2015年3月3日号の掲載報告。 研究グループは、ラテン系アメリカ人のうつ病および抗うつ療法に対する見解を調査した。抗うつ療法を始めようとしているラテン系アメリカ人の外来患者30例に対し、半構造化された治療遵守および維持に関する質問票を用いて、初回治療前に質的インタビューを実施した。ベースラインでのインタビューは、ラテン系アメリカ人のうつ病外来患者の治療参加を高める新たな介入を検証する無作為化対照試験で収集されたデータより、ランダムに選択された。聞き取った内容はグラウンデッド・セオリーに基づくオープン・コーディングおよび反復解析的アプローチを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・患者は、彼らが同じ社会集団に属する非患者から受けるスティグマを気にかけていることが認められた。・大半の被験者はそうした見解に対して、うつ病の経験を説明することで直接的に反論した。・また、抗うつ療法についても明らかにスティグマを意識していたが、被験者はそうした見解に対しては反論しない傾向がみられた。むしろ、抗うつ薬に関する懸念を表出し、精神科医療を求めることへの葛藤が認められた。・一方で被験者は、抗うつ療法に対する懸念に対処するため臨床医と患者が協力する方法があることを示唆した。・薬物中毒や薬物依存への懸念といった文化的見解は、乗り越えられる治療障壁であると思われた。・処方を行う医師は、ラテン系アメリカ人の抗うつ療法への関与を改善するために、文化的見解や懸念に対処する必要があると思われた。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ うつ病患者とかかりつけ医、認識のギャップが浮き彫りに 呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日医大  担当者へのご意見箱はこちら

2057.

ガイドラインでは薬物相互作用を強調すべき(解説:桑島 巌 氏)-322

 わが国と同様、世界の先進国は超高齢化社会を迎えている。一方において、各国は主要な疾患に対してガイドラインを制定して、標準的治療の推進を呼びかけているという事実がある。実は、この2つは大きな矛盾も抱えているのである。すなわち超高齢化社会の最大の特徴は多様性であり、画一的な集団での研究から得られた臨床研究の結果であるガイドライン、あるいは標準的治療とは必ずしもそぐわないのである。 NICEガイドラインは、イギリスの国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence)によって策定された治療指針であり、治療法や臨床運用のみでなく、それぞれの医療技術の費用対効果も盛り込むなど、世界的に最も洗練された評価の高いガイドラインである。 超高齢者では腎機能障害を有する例が多いことと、多疾患であることも特徴であり、この点は高齢者で薬物治療を行うに当たって最大の注意を払うべきポイントである。 本論文は、NICEが策定した12のガイドラインのうち、高齢者に多い2型糖尿病、心不全、うつ病の3疾患と、11の一般的症状または併存疾患との関連について、薬剤誘発性疾患あるいは薬物間相互作用を詳細に分析した報告である。 その結果によると、重篤な薬物-疾患相互作用や薬物間作用についての記述は数多く認められてはいるものの、強調されているとはいえないとして、ガイドライン作成者は他疾患を併存する場合を想定した、薬物相互作用あるいは薬物誘発性疾患について系統的アプローチを考慮すべきと結論付けている。 翻ってわが国の、たとえば「高血圧治療ガイドライン2014」をみてみると、薬物相互作用についての記載はごくわずかであり、きわめて一般的なことに限定されており、腎機能障害などとの関連についての記載は非常に乏しい。 とくに最近登場した新規抗凝固薬(NOAC)や、新規糖尿病治療薬による有害事象が頻発しているが、ガイドラインでは、これらの新薬に関して腎機能との関連や薬物相互作用にはもっとページを割くべきであった。

2058.

臨床ガイドラインは複数疾患併存患者への考慮を/BMJ

 英国・ダンディー大学のSiobhan Dumbreck氏らは、英国立医療技術評価機構(NICE)の12の臨床ガイドラインにおける複数疾患を有する患者に関する潜在的に重篤な薬物-疾患(drug-disease)および薬物間(drug-drug)相互作用の記述について、システマティックレビューを行った。その結果、患者が慢性腎臓病(CKD)を併存している場合を除き薬物-疾患相互作用の記述はまれにしかみられない一方、薬物間相互作用については多くの記述がみられたこと、ただしいずれもガイドラインでは強調されていないことを明らかにした。臨床ガイドラインを、複数疾患を併存する患者についてより考慮したものにすべきとの認識が増している。しかし、研究グループは「多くのガイドラインで薬物療法を推奨しているが、そのような患者を設定した薬物-疾患および薬物間相互作用に関する勧告はあまりみられないと思われる」として本レビューを行った。BMJ誌オンライン版2015年3月11日号掲載の報告より。12のNICEガイドラインにおける薬物-疾患および薬物間相互作用をレビュー 研究グループは、臨床ガイドラインのうち、3つの典型的な疾患・症状に関するガイドライン(2型糖尿病、心不全、うつ病)と、複数の症状を対象としたと思われる9つのガイドラインを選択してレビューした。 これらのガイドラインで推奨される薬物について、2型糖尿病、心不全、うつ病(以上3つを評価指標と設定)と、11の併存疾患または症状(2型糖尿病、うつ病、心不全、心筋梗塞、CKD、心房細動、COPD、疼痛障害、リウマチ、認知症、高血圧症)について、重篤な可能性のある薬物-疾患および薬物間相互作用の記述をシステマティックに特定し、定量化と層別化を行った。薬物-疾患相互作用については、CKD併存以外はほとんどない レビューの結果、12のガイドラインで推奨される処方について、潜在的に重篤な薬物作用に至ると思われる記述があった。 具体的に、2型糖尿病に関連したガイドラインでは32件の潜在的に重篤な薬物-疾患相互作用の記述が認められた一方で、うつ病に関連したガイドラインでは6件、心不全に関連したガイドラインでは10件であった。このうち2型糖尿病ガイドラインにおける27件(84%)とうつ病・心不全ガイドラインのすべてが、推奨薬物とCKDとの間の相互作用に関するものであった。 重篤な薬物間作用についての記述は、2型糖尿病ガイドラインでは133件、うつ病ガイドラインでは89件、心不全ガイドラインでは111件が特定された。 しかし、2型糖尿病、心不全、うつ病の3つの評価指標に関するガイドラインで、薬物-疾患または薬物間相互作用に関する強調はほとんどみられなかった。 以上を踏まえて著者は薬物-疾患相互作用について、「患者がCKDを併存していた場合の相互作用の記述以外はほとんどみられなかった。ガイドライン開発者は、そのガイドラインが注視する疾患を有する人々の併存疾患の疫学知見に基づき、より系統的アプローチを考慮すべきである」と述べている。また、薬物間作用について「対照的に、推奨薬とさまざまな疾患・症状との相互作用の記述はよくみられた。臨床医や複数疾患を有する患者が、十分な情報に基づく薬物選択ができるように、ガイドラインの策定と普及が求められ、そのための革新的な双方向性のアプローチが必要である」と述べている。

2059.

自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか

 自殺は公衆衛生上の大きな問題であるが、自殺のリスクを有する患者について、自殺念虜の減少を目的として実施された無作為臨床試験はほとんどない。そうした中で現在行われている「Reducing Suicidal Ideation Through Insomnia Treatment:REST-IT」試験について、米国ジョージア・リージェンツ大学のWilliam Vaughn McCall氏らは2年目の状況をまとめ報告した。その結果を受けて著者は、「選択基準および除外基準、ならびに他の安全策を慎重に考えることによって自殺のリスクを有する成人患者を対象とした無作為化試験を安全に行うことができる」との見解を示している。Clinical Trials誌オンライン版2015年3月1日号の掲載報告。 REST-ITは、不眠や自殺念虜を有するうつ病の成人外来患者を対象に、SSRI薬への睡眠導入剤追加併用の臨床効果をプラセボと比較するようデザインされた、多施設ランダム化臨床試験であった。また、2001年に米国国立衛生研究所(NIH)が発表した、自殺ハイリスク患者が参加する介入試験に関するガイドラインに即した安全策が講じられている。試験は4年間の予定で行われており、本稿では登録開始後2年目の成績が報告された。 概要は以下のとおり。・584例が電話によるスクリーニングを受け、67%はスクリーニング段階で失敗した(失敗例の26%は自殺念虜が認められなかったことによる)。・試験開始時の対面評価(ベースライン評価)を受けたのは115例であった。このうち40例が、評価前に、効果のない向精神薬を徐々に減量し完全に中止していた。・115例中74例(64%)は無作為化ができなかった(その大半は臨床的に重要な自殺念虜が認められなかったことによる)。・1例は、試験に参加する代わりに精神科への入院を提案され受け入れた。・これまでのところ40例が無作為化され、このうち88.7%が予定どおり通院している。SSRIのアドヒアランスは93.8%、睡眠導入剤またはプラセボの併用アドヒアランスは91.6%である。・無作為化された40例において、入院を要した患者や自殺企図例は認められていない。関連医療ニュース 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大  担当者へのご意見箱はこちら

2060.

統合失調症の治療成績にD2/3結合能は影響するか

 これまでの統合失調症研究で確認された最も優れた知見の1つが、陽性症状におけるドパミンD2受容体遮断と抗精神病薬効果の関連性である。デンマーク・コペンハーゲン大学のSanne Wulff氏らは、統合失調症初回エピソード未治療患者における線条体D2/3結合能(BPp)と治療アウトカムの相関性について調べた。結果、両者間の相関性を確認し、低BPp患者は高BPp患者と比べて治療反応が良好であること、またドパミン受容体遮断が高レベル時に機能が低下する可能性がある示唆が得られたことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年2月18日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症初回エピソードの抗精神病薬未治療患者集団で、ベースライン時の線条体D2/3受容体BPpと治療アウトカムとの相関性を調べることが目的であった。また、線条体ドパミンD2/3受容体遮断と陰性症状の変化および機能、主観的幸福感との関連についても調べた。線条体D2/3受容体BPpは、123I-IBZM-SPECT法による画像診断にて調べた。被験者は、D2/3受容体拮抗薬アミスルピリドによる6週間の治療の前後に評価を受けた。 主な結果は以下のとおり。・研究には、抗精神病薬未治療の統合失調症患者28例と対照26例が含まれた。・全患者群において、ベースライン時の線条体D2/3受容体BPpと陽性症状改善には負の相関が認められた。・さらに、治療に反応した患者は反応しなかった患者と比べて、ベースライン時のBPpが有意に低かった。・フォローアップ時に患者は、遮断と機能について負の相関を示した。しかし、遮断と陰性症状、主観的幸福感については関連がみられなかった。・以上、統合失調症初回エピソードの抗精神病薬未治療患者において、ドパミンD2/3受容体の線条体BPpと治療反応には相関性があることが認められた。・低BPp患者は高BPp患者と比べて治療反応が良好であった。・結果はさらに、ドパミン受容体遮断の高レベル時に機能が低下する可能性があることを示唆するものであった。関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 統合失調症治療、ドパミンD3の可能性は セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学  担当者へのご意見箱はこちら

検索結果 合計:2851件 表示位置:2041 - 2060