統合失調症発症予測に喫煙が関連

米国バージニア・コモンウェルス大学のKenneth S. Kendler氏らは、喫煙と将来の統合失調症または非感情性精神病リスクとの関連を明らかにするため、スウェーデンの出生および徴兵登録より収集したデータを検討した。その結果、喫煙が統合失調症の将来リスクを予測しうることを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年6月5日号の掲載報告。
研究グループは、スウェーデンの出生および徴兵登録より収集した女性141万3,849例、男性23万3,879例の喫煙状態を基に、統合失調症あるいは非感情性精神病の診断に対する将来リスクを予測した。予測に際しては、Cox比例ハザードおよび相関コントロールモデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・喫煙評価時の平均年齢は、女性27歳、男性18歳であり、追跡終了時の平均年齢は女性46歳、男性26歳であった。
・統合失調症初発に対するハザード比は、軽度喫煙群[女性2.21(95%信頼区間[CI]:1.90~2.56)、男性2.15(同:1.25~3.44)]、重度喫煙群[女性3.45(同:2.95~4.03)、男性3.80(同:1.19~6.60)]のいずれにおいても増大がみられた。
・喫煙評価打ち切りから3~5年後に統合失調症の発症を評価した際も、これらハザード比が低下することはなかった。
・年齢、社会経済的状況、薬物乱用で調整した後も、ハザード比はどちらのサンプルにおいてもわずかな低下を認めるだけであった。
・妊娠後期まで喫煙していた女性は妊娠早期に禁煙した女性に比べ、統合失調症リスクが高かった。
・一般集団、親類、異母(異父)兄弟姉妹(half siblings)、両親とも共通の兄弟姉妹(full siblings)において、重度喫煙の状況が異なる場合の非感情性精神病の予測ハザード比はそれぞれ2.67、2.71、2.54、2.18であった。
・all relative pairsを用いたモデルによると、喫煙状態の異なる一卵性双生児のうち重度喫煙者の非感情性精神病に対する予測ハザード比は、1.69(95%CI:1.17~2.44)であった。
著者らは、「喫煙と統合失調症発症との関連性は、統合失調症の前駆症状出現期の喫煙開始により生じるものではない。また、明らかに用量反応関連がみられた」と述べた。また、家族形態(父母のうちどちらかが共通の兄弟姉妹など)により非感情性精神病リスクが異なることも明らかになったことを踏まえ、「所見は、喫煙と統合失調症の関係に対するさまざまな病因学的仮説の妥当性を評価するうえで有用と思われる」とまとめている。
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