糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:80

糖尿病診療ガイドライン2019を公開~日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、『糖尿病診療ガイドライン2019』を発行し、同会のホームページ上で公開を始めた。  糖尿病診療ガイドラインは、エビデンスに基づく糖尿病診療の推進と糖尿病診療の均てん化を目的に3年ごとに改訂されて、今回の第6版が最新版となる。  糖尿病診療ガイドライン2019の記載方式は2016年版と同様に「CQ・Q方式」とし、推奨グレードも策定委員の投票で決定し、合意率も記載されている。また、今般では、CQ・Qの各項目を適宜見直すとともに、必要に応じ新たなCQ・Qを設定している。  糖尿病診療ガイドライン2019の内容としては、新しい文献をできうる限り引用し、これらの知見を取り上げているほか、付録としてわが国における大規模臨床試験「J-DOIT 1〜3」「JDCP study」「J-DREAMS」を紹介している。とくに食事療法に関しては、従来の標準体重の代わりに目標体重という概念を取り入れ、より個々の症例に対応可能な柔軟な食事療法が示されている。もちろん日本動脈硬化学会や日本高血圧学会の最新のガイドラインを参考に、これらとの齟齬がないような改訂が行われている。

腎機能低下糖尿病患者にメトホルミンは使用可能か/JAMA

 腎機能が低下した2型糖尿病患者の薬物療法では、メトホルミンはSU薬に比べ、主要有害心血管イベント(MACE)のリスクが低いことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのChristianne L. Roumie氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年9月24日号に掲載された。従来、安全性に関する懸念から、腎臓病を有する糖尿病患者ではメトホルミンの使用が制限されていたが、2016年4月、米国食品医薬品局(FDA)は軽症~中等症の腎臓病患者におけるメトホルミンの安全性のエビデンスに基づいてガイダンスを変更し、軽度腎機能障害(eGFR:45~60mL/分/1.73m2)および中等度腎機能障害の一部(30~45mL/分/1.73m2)では安全に使用可能としている。一方、腎機能が低下した糖尿病患者の臨床転帰に及ぼすメトホルミンの効果は明らかにされていないという。

高リスク2型糖尿病の心血管リスク、リナグリプチンvs.グリメピリド/JAMA

 心血管リスクが高い比較的早期の2型糖尿病患者の治療において、DPP-4阻害薬リナグリプチンはSU薬グリメピリドに対し、心血管死、非致死的な心筋梗塞・脳卒中の複合のリスクが非劣性であることが、米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが行ったCAROLINA試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年9月24日号に掲載された。2型糖尿病は心血管リスクを増加させる。リナグリプチンの心血管安全性を評価したプラセボ対照比較試験では非劣性が示されているが、実対照薬との比較試験は実施されていなかった。

甲状腺機能低下症患者に対する補充療法(解説:吉岡成人氏)-1120

甲状腺機能低下症は、日常の診療の中できわめて高頻度に遭遇する内分泌疾患である。日本においては臨床症状を伴う顕性甲状腺機能低下症の頻度は0.50~0.69%、TSHのみが上昇する潜在性甲状腺機能低下症の頻度は3.3~6.1%であり、女性に多い疾患である(志村浩巳. 日本臨床. 2012;70:1851-1856.)。TSHは加齢に伴い上昇することが知られており、潜在性甲状腺機能低下症の頻度は加齢とともに増加する。甲状腺機能低下症の原因としては、慢性甲状腺炎による原発性甲状腺機能低下症が大部分を占める。しかし、最近ではアミオダロン、炭酸リチウムなどの薬剤に加えて、免疫チェックポイント阻害薬によって発症することも、まれならず経験される。

ビルダグリプチン+メトホルミン早期介入が新規2型DMに有効/Lancet

 最大解析(full analysis)は、割り付けられた試験薬を1つ以上服用し、無作為化後の有効性に関する項目の評価を1回以上受けた被験者を対象とした。安全性の解析は、割り付けられた試験薬を1投与量以上服用した全被験者を対象とした。  登録は2012年3月30日に開始され、2014年4月10日に完了した。4,524例がスクリーニングを受け、このうち2,001例がビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群(998例)および単剤群(1,003例)に無作為に割り付けられた。2,001例のうち、ビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群および単剤群でそれぞれ811例(81.3%)および787例(78.5%)の計1,598例が5年の治療期を完遂した。

インスリン療法開始時の選択肢にも有用ーゾルトファイ配合注

 インスリン療法時の低血糖回避が血糖コントロール不良を招き、心疾患の発症に影響を及ぼすことがある。このようなジレンマを新たな薬剤が解決してくれるかもしれない-。  2019年9月26日、ノボノルディスクファーマがゾルトファイ配合注フレックスタッチの発売を記念してプレスセミナーを開催。綿田 裕孝氏(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学 教授)が「インスリン デグルデク/リラグルチド(IDegLira):2型糖尿病治療の新たな選択肢」と題して、新薬の有用性について語った。

EF低下心不全へのダパグリフロジン、心不全増悪・心血管死リスク大幅減/NEJM

 駆出率(EF)が低下した心不全患者に対し、標準治療に加えたSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの投与は、糖尿病の有無にかかわらず、心不全増悪および心血管死のリスクを有意に低下することが示された。英国・グラスゴー大学のJohn J. V. McMurray氏らが、 4,744例の患者を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化試験で明らかにした。2型糖尿病(DM)患者では、SGLT2阻害薬が心不全の初発入院リスクを低下することが示されている。その機序はグルコースとは独立していると考えられており、研究グループは、2型DMの有無を問わず、EF低下心不全患者におけるSGLT2阻害薬の作用に関するデータを集めるため本試験を行った。NEJM誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。

CKD治療抵抗性高血圧症、patiromer併用でスピロノラクトン服薬率上昇/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の慢性腎臓病(CKD)患者に対し、カリウム吸着薬patiromerを用いることで、より多くの患者が高カリウム血症を呈することなくスピロノラクトンによる治療が継続可能なことが示された。米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。スピロノラクトンは、治療抵抗性高血圧症で血圧コントロール不良の患者において、降圧効果があることが示されている。しかし、CKDが併存する患者では高カリウム血症を呈することからスピロノラクトンの使用は制限される場合があることが課題となっていた。Lancet誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。

適切な治療法を届けたい、「バセドウ病治療ガイドライン2019」

 バセドウ病は1,000~2,000人に1人に発症する疾患であり、日常診療において遭遇率の高い疾患の1つである。なかでも、若い女性では約300人に1人が罹患しているとされ、妊娠中の検査で判明することも少なくない。  2019年5月、日本甲状腺学会によるバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂。本書は専門医だけではなく非専門医やそのほか医療者のバイブルになることを目的として作成されていることから、吉村 弘氏(伊藤病院/バセドウ病治療ガイドライン作成委員会委員長)に一般内科医にも知ってもらいたい改訂ポイントや「バセドウ病治療ガイドライン2019」の特徴について聞いた。

糖尿病と食道腺がんリスク(プール解析)/Cancer

 糖尿病とさまざまながんの関係が研究されているが、食道/食道胃接合部の腫瘍との関係は明らかになっていない。米国国立がん研究所(NCI)のJessica L. Petrick氏らは、2,309例の食道腺がん(EA)、1,938例の食道胃接合部腺がん(EGJA)、1,728例のバレット食道(BE)、および1万6,354例の対照を含む、国際バレットおよび食道腺がんコンソーシアム(International Barrett's and Esophageal Adenocarcinoma Consortium:BEACON)の13の研究データを統合し、糖尿病とEA、EGJA、BEの関連についての研究固有のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、ロジスティック回帰を用いて推定した。Cancer誌オンライン版2019年9月6日号掲載の報告。