糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:122

腎疾患治療に格差、130ヵ国調査で明らかに/JAMA

 カナダ・アルバータ大学のAminu K. Bello氏らが、世界130ヵ国を対象に腎疾患への対応能力などについて調べた結果、地域間および地域内で、サービスや人的資源について顕著なばらつきが認められることが判明した。本研究は、「腎疾患は世界中で医療・公衆衛生上の重大な課題になっているが、ケアに関して入手できる情報は限定的である」として行われたが、結果を踏まえて著者は、「今回の調査の結果が、現在の各国の腎疾患治療の現状を正確に反映しているものならば、その質的改善に努めるよう知らしめるのに有用なものとなるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。

血清尿酸値が糖尿病性網膜症リスクと相関~日本人男性

 奈良県立医科大学の石井 均氏らの研究グループによる大規模レジストリ研究で、男性の2型糖尿病患者では、血清尿酸値が高いほど糖尿病性網膜症の発症リスクが増加することがわかった。この研究で、血清尿酸値が男性2型糖尿病患者の糖尿病性網膜症の発症リスクを予測する有用なバイオマーカーである可能性が示唆された。Diabetes/metabolism research and reviews誌オンライン版2017年4月26日号に掲載。

米の多摂取による糖尿病リスク、緑茶が抑える可能性

 最近の観察研究では、白米摂取と糖尿病リスクの間に正の相関関係が、また、緑茶・コーヒー摂取と糖尿病リスクの間に保護的な関連が示唆されている。しかし、これらの飲食物の相互作用は検討されていない。今回、九州大学の平田 明恵氏らが実施したわが国の高齢者における前向き研究において、米の摂取量と糖尿病リスクの正相関は女性でのみ認められ、その相関は緑茶を多く摂取することで抑制される可能性が報告された。Asia Pacific journal of clinical nutrition誌2017年5月号に掲載。

1次予防のスタチン対象、ガイドラインによる差を比較/JAMA

 スタチンによる動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の1次予防が推奨される患者は、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドライン2013年版よりも、米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)の2016年版勧告を順守するほうが少なくなることが、米国・デューク大学のNeha J. Pagidipati氏らの検討で示された。ACC/AHAガイドラインで対象だが、USPSTF勧告では対象外となる集団の約半数は、比較的若年で高度の心血管疾患(CVD)リスクが長期に及ぶ者であることもわかった。研究の成果は、JAMA誌2017年4月18日号に掲載された。1次予防におけるスタチンの使用は、ガイドラインによって大きな差があることが知られている。USPSTFによる2016年の新勧告は、1つ以上のCVDリスク因子を有し、10年間CVDリスク≧10%の患者へのスタチンの使用を重視している。

高齢者における潜在性甲状腺機能低下症への対応(解説:吉岡 成人 氏)-673

血中サイロキシン(T4)あるいは遊離サイロキシン(FT4)値は基準範囲にありながら、血中TSHのみが基準値上限を超えて高値を示している場合が潜在性甲状腺機能低下症である。血清TSHが10μU/mLを超え、血清FT4が基準値を下回っている場合は顕性甲状腺機能低下症と診断される。潜在性甲状腺機能低下症の診断には血清TSHの測定が最も重要であるが、TSH値の基準値の上限は加齢に伴い変化し、40歳以上では10歳ごとに0.3μU/mL上昇すると報告されており1)、日本人においても同様の傾向が確認されている2)。

1型DMの網膜症スクリーニング、適切な実施頻度は?/NEJM

 1型糖尿病患者への網膜症スクリーニングについて、当初の網膜症の程度と平均糖化ヘモグロビン値を鑑みることで、適切な実施頻度が明らかになった。現在、同患者には毎年の広角眼底検査が推奨されているが、それに比べて検診の頻度は約6割少なく済み、コスト削減にもつながるという。「糖尿病のコントロールと合併症に関する試験」(DCCT試験)とその長期追跡試験「糖尿病への介入と合併症に関する疫学試験」(EDIC試験)に参加した米国・マサチューセッツ総合病院のDavid M Nathan氏らDCCT/EDIC研究グループが、両試験結果に基づくモデルを検証した結果で、NEJM誌2017年4月20日号で発表した。

米国の若年発症糖尿病、10年間で有意に増加/NEJM

 米国の若年者における1型および2型糖尿病の発症は、2002~12年に有意に増加し、とくに少数人種・民族で増加率が高いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のElizabeth J Mayer-Davis氏らが行ったSEARCH for Diabetes in Youth Studyで明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年4月13日号に掲載された。若年期に診断された1型および2型糖尿病は、疾患管理の問題や急性期、慢性期の合併症のリスクによって臨床上および公衆衛生上大きな負担が生じる。研究グループは以前、2001~09年に有病率は1型、2型とも増加したことを確認しているが、糖尿病の最新の疾病負荷をより深く理解するには、発症動向のデータを要するという。

糖尿病合併乳がんの血糖値と生命予後を改善するには

 糖尿病を合併した乳がん患者は、糖尿病非合併患者と比べ予後が不良であると言われている。そのため、乳がんの転帰を改善するための抗糖尿病薬の評価が行われるようになった。メトホルミンは、主として肝臓の糖新生を抑制する抗糖尿病薬である。乳がん患者5,464人を対象とした最近のメタアナリシスでは、メトホルミン治療が、乳がん患者の全生存期間(OS)、がん特異的生存率の双方を改善することが報告されている。この研究は、HER2陽性乳がんのアジュバント患者を対象にしたラパチニブの第III相試験ALTTOのサブ解析として行われた。糖尿病合併患者の無病生存期間(DFS)、遠隔無病生存期間(DDFS)、OSを、メトホルミン投与の有無に分けて、糖尿病非合併患者と比較し、メトホルミンが糖尿病合併HER2陽性乳がん患者の転帰を改善するかを評価した。

スタチンで糖尿病患者の下肢切断リスクが低下

 主要な心血管イベントに対するスタチンの効果を裏付けるエビデンスはあるが、四肢のアウトカムにおける保護効果をみた研究はほとんどない。今回、台湾・国立陽明大学のChien-Yi Hsu氏らの観察コホート研究により、末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、スタチン使用者では非使用者に比べて、下肢切断および心血管死のリスクが低いことがわかった。The Journal of clinical endocrinology and metabolism誌オンライン版2017年4月7日号に掲載。