皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:35

アトピー児のタクロリムス、がんリスク増大のエビデンスなし

 アトピー性皮膚炎(AD)児におけるタクロリムス外用薬の使用は安全なのか。長期安全性を前向きに検討した「APPLES試験」から、米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らによる、タクロリムス外用薬を6週間以上使用したAD児におけるその後10年間のがん罹患率のデータが示された。観察されたがん罹患率は、年齢・性別等を適合した一般集団で予想された割合の範囲内のものであり、著者は「タクロリムス外用薬がAD児の長期がんリスクを増大するとの仮定を支持するエビデンスは見いだされなかった」と報告している。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年4月1日号掲載の報告。

免疫チェックポイント阻害薬、再投与における免疫関連AE再発率/JAMA Oncol

 免疫関連有害事象(irAE)発現後の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)再投与の安全性に関するデータが示された。フランス・ノルマンディー大学のCharles Dolladille氏らによる世界保健機関(WHO)のデータベース「VigiBase」を用いた医薬品安全性監視(pharmacovigilance)コホート研究の結果で、著者は、「適切なモニタリングとともに、有害事象を特定し治療する標準的な治療アルゴリズムを用いることにより、特定の患者にはICI再投与を考慮できるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年4月16日号掲載の報告。

ハンセン病、低中所得国では家庭内接触者の検出介入が必須

 歴史的に最も古くから知られる感染症といわれるハンセン病は、今では治療法が確立し、最も感染力の弱い感染症ともいわれている。ブラジル・Fundacao Oswaldo CruzのCamila Silveira Silva Teixeira氏らは、ハンセン病の発生は世界的には減少傾向にあるが、低中所得国では依然として対策が必要な感染症であるとして、同国における新規症例の状況と家庭内感染の実態を、1億人規模の住民ベースのコホート研究から明らかにした。ハンセン病患者の家庭内接触者(とくに多菌型ハンセン病患者が家族にいる接触者、および高齢の接触者)は、ハンセン病のリスクが増大する可能性が示唆されたという。結果を踏まえて著者は「コンタクトスクリーニング(接触者の検出)といった保健衛生上の介入が、とくにそのような集団をターゲットとして必要と思われる」とまとめている。JAMA dermatology誌オンライン版2020年4月15日号掲載の報告。

AI活用の皮膚がんスクリーニング、患者の受け止めは?

 COVID-19パンデミックを受け、国内では、時限措置ながら初診からのオンライン診療が解禁され、対面診療至上主義に大きな風穴を開けた。患者サイドの不安・不満が気になるところだが、人工知能(AI)による皮膚がんのスクリーニングについて、医師・患者の人間的な関係性が担保された状態ならば許容されうることが、米国・イェール大学医学大学院のCaroline A. Nelson氏らによる皮膚がん患者を対象とした質的研究結果によって示された。AIの利用は医学のあらゆる領域に及んでおり、皮膚科領域では、皮膚病変を分類するdirect-to-patientおよびclinician decision-supportのAIツールに関する評価が行われている。患者の受診行動を変えるAIの態勢はできているが、患者側からの観点はまだ十分に理解されていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年3月11日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ術後療法の効果が、免疫関連有害事象の発現と関連/JAMA Oncol

 免疫チェックポイント阻害薬の術後補助療法において、免疫関連有害事象(irAE)の発現は有効性に影響を及ぼすのか。フランス・パリ・サクレー大学のAlexander M. M. Eggermont氏らが、完全切除後の高リスクStageIII悪性黒色腫患者を対象に術後補助療法としてのペムブロリズマブの有効性および安全性をプラセボと比較した、国際多施設共同二重盲検第III相試験「EORTC 1325/KEYNOTE-054試験」の2次解析で明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2020年1月2日号掲載の報告。

腫瘍遺伝子変異量(TMB)高値固形がんに対するペムブロリズマブ、FDAに承認申請

 Merck社は、2020年4月7日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブの新たな生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理され、優先審査項目に指定されたことを発表した。この申請では、治療後に進行し、他に十分な治療選択肢のない、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-High、FDAに承認された検査において10変異/megabase以上)の切除不能または転移を有する固形がんの成人および小児患者に対する単独療法としてペムブロリズマブの迅速承認を目指している。

ステロイド恐怖症、教育介入で改善するか?

 ステロイド恐怖症(steroid phobia)は、服用薬はもとより外用薬に対しても例外ではない。皮膚科部門では、コルチコステロイドの副作用に対する恐れが一般的にみられ、そのことが治療のノンアドヒアランスを招いている。これらを背景に、シンガポール・National University Health SystemのEllie Choi氏らは教育介入による、ステロイド外用薬恐怖症の軽減効果を調べる二重盲検無作為化試験を行った。不安評価尺度TOPICOP(TOPIcal COrticosteroid Phobia)を用いた評価において、知識ドメインについて改善は認められたが、恐怖ドメインについては認められなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年3月11日号掲載の報告。

画像診断での深層学習 vs.専門医、前向き研究やRCT少ない/BMJ

 画像診断に関する前向き深層学習(deep learning)研究や無作為化試験は少なく、非無作為化試験のほとんどは前向き研究ではなく、バイアスのリスクが高く、既存の報告基準から逸脱していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMyura Nagendran氏らの検討で示された。また、多くの研究は、データやコード(データの前処置とモデル化に使用)を利用できず、比較群の専門医数が少ないことも明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2020年3月25日号に掲載された。近年、人工知能(AI)の一部門である深層学習に関する研究の報告が、急速に増加している。これに伴い、AIは医師より能力が優れるとするメディアの見出しが、人々を誇大な宣伝であおり、その加速度的な推進が強く求められている。

抗真菌薬の妊婦への処方は安全か?

 皮膚科医にとって難問の1つとなっている妊婦への抗真菌薬投与について、デンマークの全国規模の妊娠登録ベースコホートにおける研究結果が発表された。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのNiklas Worm Andersson氏らによる検討で、経口または局所テルビナフィンの投与と、主要な形成異常または自然流産のリスク増大の関連は特定できなかったという。テルビナフィンは一般的に使用される抗真菌薬だが、妊娠中の使用に関する安全性データは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年3月4日号掲載の報告。

乾癬患者、生物学的製剤の用量低減戦略vs.通常ケア

 「生物学的製剤は、乾癬治療に革命をもたらした」。では、次なる一手として、症状が安定した後の同製剤の用量低減戦略は、通常ケアに対して非劣性なのか。オランダ・ラドバウド大学医療センターのSelma Atalay氏らによる無作為化試験の結果、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアベースの評価では非劣性は示されなかったが、健康関連QOL(Dermatology Life Quality Index:DLQIなど)をベースとした評価では用量低減戦略の非劣性が示されたという。結果を踏まえて著者は、「リアルライフの設定で用量低減は可能だが、PASIとDLQIをモニタリングする厳格なスキームが不可欠である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年2月12日号掲載の報告。