皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:33

抗真菌薬の妊婦への処方は安全か?

 皮膚科医にとって難問の1つとなっている妊婦への抗真菌薬投与について、デンマークの全国規模の妊娠登録ベースコホートにおける研究結果が発表された。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのNiklas Worm Andersson氏らによる検討で、経口または局所テルビナフィンの投与と、主要な形成異常または自然流産のリスク増大の関連は特定できなかったという。テルビナフィンは一般的に使用される抗真菌薬だが、妊娠中の使用に関する安全性データは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年3月4日号掲載の報告。

乾癬患者、生物学的製剤の用量低減戦略vs.通常ケア

 「生物学的製剤は、乾癬治療に革命をもたらした」。では、次なる一手として、症状が安定した後の同製剤の用量低減戦略は、通常ケアに対して非劣性なのか。オランダ・ラドバウド大学医療センターのSelma Atalay氏らによる無作為化試験の結果、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアベースの評価では非劣性は示されなかったが、健康関連QOL(Dermatology Life Quality Index:DLQIなど)をベースとした評価では用量低減戦略の非劣性が示されたという。結果を踏まえて著者は、「リアルライフの設定で用量低減は可能だが、PASIとDLQIをモニタリングする厳格なスキームが不可欠である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年2月12日号掲載の報告。

レンバチニブ+ペムブロリズマブ、進行固形がんの成績/JCO

 新しいがん治療薬として期待される免疫チェックポイント阻害薬について、その活性を増強する研究報告が示された。米国・オレゴン健康科学大学のMatthew H. Taylor氏らは、血管新生阻害による血管内皮増殖因子を介した免疫抑制の調節が、免疫チェックポイント阻害薬の活性を増強する可能性が示唆されていることから、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法の第Ib/II相試験を実施。腎細胞がん、子宮内膜がんおよびその他の進行固形がん患者を対象とした同併用療法が、有望な抗腫瘍活性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年1月21日号掲載の報告。

胎児・乳児・小児期のタバコ曝露と小児乾癬のリスク

 タバコは成人の乾癬における関連要因として知られているが、小児の乾癬においても同様であることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のJonathan Groot氏らは、同国出生コホートから2万5,812例のデータを集め、胎児期、乳児期(月齢6ヵ月まで)、小児期(11歳まで)のタバコ曝露と小児乾癬の関連を調べた。その結果、胎児期のタバコ曝露が線形にリスクを増大することが示唆され、小児乾癬においてもタバコが発症原因の役割を果たす可能性が示されたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年1月20日号掲載の報告。

入園入学シーズン、食物アレルギーとアナフィラキシーから子供をどう守るか

 2020年2月21日、マイランEPD合同会社は4月の入園入学シーズンに合わせ、医師・教職員・保護者の立場から食物アレルギーを持つ子供を守るための知識を学ぶための「アナフィラキシー啓発メディアセミナー」を開催、この中でアレルギー専門医の佐藤 さくら氏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター病態総合研究部 病因病態研究室長)が食物アレルギーの病態や最新の関連ガイドラインについて講演を行った。  食物アレルギーの子供は年々増えている。東京都が3歳児健診時に行った調査によると「子供がアレルギーを持つ」と答えた保護者は、1999年には7.1%だったが2014年には16.1%まで増加しており、保育園・幼稚園や学校側は、給食を筆頭に、調理実習、修学旅行などの校外授業、小麦粉粘土の使用などのさまざまな面で対応が必要となっている。

花粉症重症度の自己チェックに有用なツール公開

 ノバルティスファーマ株式会社は2020年2月、重症花粉症の情報に特化したWEBサイトを全面リニューアルし、自分に合った花粉マネジメント法の理解や治療選択の一助となることを目的とした『重症花粉症ドットコム』を開設した。今回のサイトリニューアルに際し、自らも症状に悩み、その辛さをSNSなどで訴える川口 春奈さん(女優・モデル)が「重症花粉症」の啓発アンバサダーに就任。重い症状に悩む患者に自らの重症度を考えるきっかけを提供する。

皮膚がんの診断、スマホアプリは信頼できるか/BMJ

 現在のアルゴリズムベースのスマートフォンアプリケーション(アプリ)は、悪性黒色腫や他の皮膚がん患者の検出において信頼性がなく、実際には研究結果よりもさらに検査性能が劣る可能性があることが、英国・バーミンガム大学のKaroline Freeman氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2020年2月10日号に掲載された。皮膚がんは世界で最も頻度の高いがんの1つであり、罹患率は上昇している。アルゴリズムベースのスマートフォンアプリは、皮膚がんリスクを即時に評価し、より早期に発見して治療することで、生存の延長をもたらすと期待される。一方、これらのアプリの妥当性を検証した2つの研究に関するコクランレビューでは、皮膚がんを見逃す可能性が高いと示唆されている。

新規抗体薬bimekizumabは乾癬性関節炎に有効か?/Lancet

 活動性乾癬性関節炎患者において、IL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害するモノクローナル抗体bimekizumabの16mgまたは160mg投与(320mg負荷投与あり/なし)は、プラセボと比較しACR50改善率が有意に高く、安全性プロファイルは良好であることが認められた。米国・ロチェスター大学のChristopher T. Ritchlin氏らが、多施設共同48週間の無作為化二重盲検プラセボ対照第IIb相用量範囲試験「BE ACTIVE試験」の結果を報告した。今回の結果を受け著者は、「乾癬性関節炎の治療として、bimekizumabの第III相試験の実施が支持される」とまとめている。Lancet誌2020年2月8日号掲載の報告。

皮膚病理所見のオンライン提示、臨床病理医はその影響をどう見るか

 米国ではすでに多くの患者が、オンライン(patient portal)を介して、病理検査の結果報告にアクセスしている状況にあるという。米国・ワシントン大学のHannah Shucard氏らは、そうした状況について、病理医の観点での検証がほとんど行われていないとして臨床皮膚科病理医を対象とするサーベイ調査を行った。その結果、大半が「病理検査の結果をオンラインで利用できるようにすることはよい考えである」と評価しつつも、患者の心配と混乱が増大していることへの懸念を抱く病理医も多いことが明らかになった。著者は、「患者のオンラインアクセスが増えていく中で、患者の理解の改善や潜在的ネガティブコンセンサスを減少するために、どのような報告が最適かを考えることが重要だ」と指摘し、「患者と臨床医双方にとって、最善の行為および効果となるように留意して、さらなる研究を行う必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年1月29日号掲載の報告。

日焼けマシンの論文、業界と関連あると肯定的?/BMJ

 日焼けマシンに関する論文の大半は業界の資金提供を受けていないが、日焼けマシン業界と経済的関係が認められる論文は、日焼けマシンを支持する傾向が認められるという。米国・スタンフォード大学のLola Adekunle氏らが、日焼けマシン業界との経済的関係および日焼けマシンに関する論文の結論との関連性を検証したシステマティックレビューの結果を報告した。日焼けマシンに関する科学的論文で、危険性や有益性に注視したものはあるが、資金源と論文の結論との関連性については十分検証されていなかった。結果を踏まえて著者は、「公衆衛生専門家や研究者は、日焼けマシンに関するエビデンスを解釈する際、業界からの資金提供を考慮する必要がある」と提言している。BMJ誌2020年2月4日号掲載の報告。