皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

乾癬患者へのアプレミラスト、血管炎症、心臓代謝との関連は?

 海外ではすでに広く使用されている経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬アプレミラストについて、血管炎症および心臓代謝機能との関連を評価した米国・ペンシルベニア大学医学大学院のJoel M. Gelfand氏らによる第IV相非盲検非無作為化試験の結果が示された。  乾癬は代謝疾患および心血管疾患と関連する炎症性の疾患であり、アプレミラストによる治療では体重減少を引き起こす可能性が知られている。今回の検討で、大動脈血管炎症との関連性は中立的であること、心血管代謝バイオマーカーのサブセットと可変ではあるが概して有益な関連性があること、内臓脂肪・皮下脂肪の減少と関連することが示され、結果を踏まえて著者は、「アプレミラストは心血管代謝疾患および乾癬を有する患者に対して、全体としてベネフィットをもたらす可能性があることが示唆された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年9月21日号掲載の報告。

世界初・日本発、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」治療薬で患者QOLの早期改善に期待/マルホ

 2022年9月15日、マルホ主催によるプレスセミナーが開催され、同年8月に発売されたアトピー性皮膚炎(AD)のかゆみの治療薬、抗IL-31受容体A抗体ネモリズマブ(商品名:ミチーガ)について、京都大学医学研究科の椛島 健治氏が講演を行った。かゆみは、AD患者の生活の質(Quality of Life:QOL)を著しく低下させる。椛島氏は、「これまでADのかゆみを有効に抑えることが困難だった。かゆみを改善し、ADを早期に良くしていくことが本剤の狙いであり、画期的ではないか」と述べた。  ADは、増悪・寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を特徴とする慢性の皮膚疾患である。その病態は、皮膚バリア機能異常、アレルギー炎症、かゆみの3要素が互いに連動し、形成される(三位一体病態論)。国内には推計約600万人のAD患者がおり、年々増加傾向にある。このように身近な疾患であるADは、治療法も確立されているかのように見える。しかし、AD患者の悩みは深刻だ。

デュピルマブ、6歳未満のアトピー性皮膚炎にも有効/Lancet

 6歳未満のアトピー性皮膚炎患児の治療において、インターロイキン(IL)-4とIL-13を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体デュピルマブはプラセボと比較して、皮膚症状や徴候を有意に改善し、安全性プロファイルも許容範囲であることが、米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが実施した「LIBERTY AD PRESCHOOL試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年9月17日号に掲載された。  LIBERTY AD PRESCHOOL試験は、中等症~重症のアトピー性皮膚炎の幼児におけるデュピルマブの有効性と安全性の評価を目的とする第II/III相試験であり、今回は第III相の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験の結果が報告された(SanofiとRegeneron Pharmaceuticalsの助成を受けた)。本研究は、北米と欧州の31施設で行われ、2020年6月30日~2021年2月12日の期間に参加者が登録された。

皮膚扁平上皮がんの術前cemiplimab、病理学的完全奏効は5割以上/NEJM

 切除可能な皮膚扁平上皮がん患者の術前補助療法において、抗プログラム細胞死1(PD-1)モノクローナル抗体cemiplimabは、約半数の患者で病理学的完全奏効を達成し、安全性の新たなシグナルは特定されなかったことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのNeil D. Gross氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年9月12日号で報告された。  本研究は、皮膚扁平上皮がん患者の術前補助療法におけるcemiplimabの有効性と安全性の評価を目的とする検証的非無作為化単群第II相試験であり、2020年3月~2021年7月の期間に、オーストラリア、ドイツ、米国の施設で参加者の登録が行われた(Regeneron PharmaceuticalsとSanofiの助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、切除可能なStageII、III、IV(M0)の皮膚扁平上皮がんで、実臨床で手術が推奨されている患者であった。被験者は、治癒目的の手術を受ける前に、12週間でcemiplimab(350mg)を3週ごとに4回(1、22、43、64日目)、静脈内に投与された。

抜け毛を気にしているのは女性に多い/アイスタット

 「毛髪の悩み」は古今東西、どの年代でも共通する悩みである。日々の生活でも「育毛」や「ウイッグ」のコマーシャルをみない日はないほど一般的だ。そこで、「薄毛の人」と「そうでない人」では違いに何があるのだろうか。株式会社アイスタットは、9月16日に一般の人の「薄毛・抜け毛」に関する意識調査を行った。アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~59歳の300人が対象。

血管腫・血管奇形ガイドラインが5年ぶりに改訂

 第18回日本血管腫血管奇形学会学術集会(2022年9月16~17日)において、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン改訂について」(科研製薬共催)と題したセミナーが開催され、秋田班ガイドライン改訂統括委員長を務める新潟大学大学院小児外科学分野の木下 義晶氏が解説した。  今回のガイドラインは、第1版である「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」、第2版である「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」に次いだ第3版となり、名称は「血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022」となる見込みという。本ガイドラインの作成は2020年から開始され、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017に則して作成されている。

低用量メトトレキサート、悪性黒色腫リスク増大と関連?

 メトトレキサート(MTX)は関節リウマチを含む炎症性疾患の治療で幅広く使用されているが、低用量MTX曝露は悪性黒色腫のリスク増大と関連することが、オーストラリア・アルフレッド病院のMabel K. Yan氏らが行ったシステマティック・レビューとメタ解析の結果、示された。ただし、著者は結果を踏まえて、「リスク増大の絶対値は取るに足らないもので、現実的な影響は無視できるものだ」としている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月31日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎、JAK阻害薬はVTE発生と関連するか?

 アトピー性皮膚炎(AD)患者、とくにJAK阻害薬による治療を受ける患者は、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高くなるなのか。これまで明らかになっていなかったこの懸念について、台湾・台北栄民総医院のTai-Li Chen氏らがシステマティック・レビューとメタ解析を行い、現状で入手可能なエビデンスで、ADあるいはJAK阻害薬とVTEリスク増大の関連を示すものはないことを明らかにした。著者は、「今回の解析結果は、臨床医がAD患者にJAK阻害薬を処方する際の参考となるだろう」としている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月24日号掲載の報告。  研究グループは、ADとVTE発生の関連を調べ、JAK阻害薬治療を受けるAD患者におけるVTE発生リスクを評価した。

サル痘患者に遭遇する前に…押さえておきたい鑑別方法とワクチン接種の注意点

 国内でも症例がじわじわと増えているサル痘。皮膚病変だけではなく、扁桃炎や口腔病変が報告され、ペットからの感染リスクも出てきているというから、医療者はいつ自分が感染者対応に追われるかわからない。そんな時のためにもサル痘やそのワクチンの知識を蓄えておく必要がありそうだ。8月2日にはKMバイオロジク社の天然痘(痘そう)ワクチンLC16「KMB」にサル痘の効能追加が承認され、順次、感染リスクの高い医療者への接種が見込まれる。しかしこのワクチン、添付文書の用法・用量を見てみると“二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種”となかなか特徴的である。

サル痘+コロナ+HIVのトリプル感染が初報告、臨床経過は?

 サル痘、COVID-19、HIV感染症に同時に感染した症例がイタリアで報告された。患者の男性は、発熱や咽頭痛などが生じてSARS-CoV-2陽性の診断を受け、皮膚病変が発現・悪化したため入院し、サル痘ウイルスとHIVの陽性が判明した。イタリア・カターニア大学のSanti Nolasco氏らによる、The Journal of infection誌オンライン版2022年8月19日号掲載の報告。  本患者は、イタリア人の男性(35歳)で、スペインに2022年6月16日~20日の5日間滞在していた。その間、避妊具なしで男性と性交渉を行ったという。主な臨床経過は以下のとおり。