皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:15

SJS/TENの28%が抗菌薬に関連、その内訳は?

 抗菌薬に関連したスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)は、全世界における重大なリスクであることを、カナダ・トロント大学のErika Yue Lee氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。抗菌薬関連SJS/TENは、死亡率が最大50%とされ、薬物過敏反応のなかで最も重篤な皮膚障害として知られるが、今回の検討において、全世界で報告されているSJS/TENの4分の1以上が、抗菌薬関連によるものであった。また、依然としてスルホンアミド系抗菌薬によるものが主であることも示され、著者らは「抗菌薬の適正使用の重要性とスルホンアミド系抗菌薬は特定の適応症のみに使用し治療期間も限定すべきであることがあらためて示唆された」とし、検討結果は抗菌薬スチュワードシップ(適正使用)、臨床医の教育と認識、および抗菌薬の選択と使用期間のリスク・ベネフィット評価を重視することを強調するものであったと述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年2月15日号掲載の報告。

進行悪性黒色腫、術前・術後のペムブロリズマブは有効か/NEJM

 切除可能なIII/IV期の悪性黒色腫患者の治療では、ペムブロリズマブの投与を術前と術後の双方で受けた患者は、術後補助療法のみを受けた患者と比較して、無イベント生存期間が有意に長く、新たな毒性作用は検出されなかった。米国・テキサス大学MD AndersonがんセンターのSapna P. Patel氏らが実施した第II相無作為化試験「S1801試験」で示された。NEJM誌2023年3月2日号掲載の報告。  S1801試験は、米国の90施設で実施され、2019年2月~2022年5月の期間に患者の登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]とMerck Sharp and Dohmeの助成を受けた)。

紅皮症性アトピー性皮膚炎にもデュピルマブが有効

 紅皮症性アトピー性皮膚炎(AD)は、広範な皮膚病変によって定義され、合併症を引き起こし、場合によっては入院に至る重症ADである。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らは、デュピルマブの有効性と安全性を検討した6つの無作為化比較試験の事後解析において、紅皮症性AD患者に対するデュピルマブ治療は、全体集団と同様にADの徴候・症状の迅速かつ持続的な改善をもたらし、安全性は許容できるものであったと報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年2月1日号掲載の報告。  中等症~重症のAD患者を対象にデュピルマブの有効性と安全性を検討した6つの国際共同、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験について、事後解析が行われた。対象は、AD病変が体表面積(BSA)の90%以上かつ全般症状スコア(Global Individual Sign Score)の紅斑のスコアが1以上を満たした患者とした(紅皮症性AD)。

中等症~重症の化膿性汗腺炎、セクキヌマブ2週に1回投与が有効/Lancet

 中等症~重症の化膿性汗腺炎患者において、セクキヌマブの2週ごとの投与は安全性プロファイルが良好で、化膿性汗腺炎を速やかに改善し、投与52週後まで有効性が維持されることが示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAlexa B. Kimball氏らが、日本を含む40ヵ国219施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SUNSHINE試験」および「SUNRISE試験」の結果を報告した。中等症~重症の化膿性汗腺炎に対して利用可能な治療選択肢は、わずかしかないのが現状である。Lancet誌オンライン版2023年2月3日号掲載の報告。  SUNSHINE試験およびSUNRISE試験の対象は、1年以上、中等症~重症の化膿性汗腺炎(2ヵ所以上の解剖学的部位に、合計5つ以上の炎症性病変)を有する18歳以上で、試験期間中、市販の外用消毒剤を化膿性汗腺炎病変部位に毎日使用することに同意した患者を適格とした。ベースラインで20以上の瘻孔がある患者、併用禁止薬(全身性生物学的免疫調整薬、生ワクチン、または他の治験薬)による治療が必要な活動性皮膚疾患を有する患者などは除外した。  両試験において適格患者を、セクキヌマブ300mgを2週ごと皮下投与する群(2週ごと群)、同4週ごと皮下投与する群(4週ごと群)、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。  主要エンドポイントは、投与16週後のHiSCR(ベースラインと比較して膿瘍および炎症性結節の数が50%以上減少し、かつ膿瘍数の増加がなく、かつ排膿性瘻孔数も増加がない場合と定義)を達成した患者の割合とした。

乾癬の発症にPCSK9が関与か

 脂質異常症の治療薬として用いられているPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害薬について、乾癬予防に使用できる可能性が指摘された。英国・マンチェスター大学のSizheng Steven Zhao氏らによる1万2,116例の乾癬患者を対象としたメンデルランダム化解析において、乾癬の発症へのPCSK9の関与が示唆された。脂質経路は乾癬の発症に関与しており、スタチンなどの一部の脂質低下薬は疾患修飾の特性を有すると考えられている。しかし大規模集団での研究はほとんど実施されておらず、従来の観察研究の結果に基づく因果関係の解釈は、交絡因子の存在により限界があった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年1月25日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎、抗IL-13抗体薬のステロイドへの上乗せは有用か?

 中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)の青少年・成人患者において、インターロイキン13(IL-13)をターゲットとする高親和性モノクローナル抗体lebrikizumab(LEB)と局所コルチコステロイド(TCS)の併用は、TCS単独と比べてアウトカムの改善が認められた。米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らが第III相無作為化試験「ADhere試験」の結果を報告した。安全性は先行試験の報告と一致していた。LEB単剤の有効性と安全性は、第IIb相試験の16週単独投与期間中および2件の52週の第III相試験で示されていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年1月11日号掲載の報告。

皮膚科の次世代型医療:Z世代の医学部生を中心に開発

 東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野では、志藤 光介氏の研究グループの協力のもと、医学部5年生の柳澤 祐太氏が主体となり、スマートフォンなどで簡便に撮影された画像から病変部位を認識し、その病変部位を検出し着目させる病変部抽出システムを、深層学習を用いて開発することに成功した。デジタル環境で育ったZ世代の医学部生の目線で作成された皮膚科関連AI研究である。東北大学 2023年1月26日付プレスリリースの報告。

ルキソリチニブクリーム、アトピー性皮膚炎への長期安全性・有効性は?

 アトピー性皮膚炎(AD)に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤の安全性・有効性について、長期評価の結果をカナダ・Clinical Research and Probity Medical ResearchのKim Papp氏らが報告した。必要に応じて投与が行われた(as-needed)44週の治療期間中の疾患コントロールと忍容性は本治療が有効であることを示すものであったという。ルキソリチニブクリームのAD治療については、2つの第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験(TRuE-AD1試験とTRuE-AD2試験)で検討が行われ、8週時に安全性と有効性が示されていたが、著者は「今回の試験で8週の結果を確認することができた」とし、また「安全性の所見では、ルキソリチニブの血漿中濃度は低く既知のリスク因子が反映されており、生理学的に重大な全身性のJAK阻害の可能性は非常に低いと考えられる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2022年11月26日号掲載の報告。

重症度に関係なく残る罹患後症状は倦怠感、味覚・嗅覚異常/大阪公立大学

 2022~23年の年末年始、全国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性者数の激増や1日の死者数の最高数を記録するなどCOVID-19は衰えをみせていない。また、COVID-19に感染後、その罹患後症状(いわゆる後遺症)に苦しむ人も多いという。わが国のCOVID-19罹患後症状の様態はどのようなものがあるのであろう。井本 和紀氏(大阪公立大学大学院医学研究科 臨床感染制御学 病院講師)らの研究グループは、COVID-19の罹患後症状に関し、285例にアンケート調査を実施。その結果、感染した際の重症度と関係なく、倦怠感や味覚・嗅覚の異常などが、COVID-19感染後約1年を経過していても、半数以上の人に罹患後症状が残っていることが明らかとなった。

mRNA-4157/V940・ペムブロリズマブ併用で悪性黒色腫患者に対する主要評価項目達成/モデルナ・メルク

 Moderna(米国)は2022年12月13日付のプレスリリースで、完全切除後の再発リスクが高いStageIII/IVの悪性黒色腫患者において、研究中の個別化mRNAがんワクチンであるmRNA-4157/V940と抗PD-1治療薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を併用した場合、ペムブロリズマブ単剤療法と比較して、疾患の再発または死亡のリスクが統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示すことが示されたと発表した。