皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

アダリムマブ、バイオシミラーへの切り替えでアウトカムは?

 2021年4月現在、日本では15種のバイオシミラー(バイオ後続品)が承認されており1)、アダリムマブ(先発品:ヒュミラ)もその1つだが、アダリムマブバイオシミラーへの切り替え後のアウトカムについて、デンマークの乾癬患者に関するコホート研究の結果が、同国・コペンハーゲン大学のNikolai Loft氏らにより示された。切り替え群と非切り替え群の計726例を対象とした検討で、両群間の1年治療継続率の有意差はなかったという。アダリムマブバイオシミラーの有効性は、臨床試験で先発品と同等であることが示されているが、リアルワールドにおけるデータは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年4月7日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。

TNF阻害薬治療中のIBD患者でCOVID-19感染後の抗体保有率低下

 生物学的製剤であるTNF阻害薬を巡っては、これまでの研究で肺炎球菌やインフルエンザおよびウイルス性肝炎ワクチン接種後の免疫反応を減弱させ、呼吸器感染症の重症化リスクを高めることが報告されていた。ただし、新型コロナ感染症(COVID-19)ワクチンに対しては不明である。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのNicholas A Kennedy氏らは、炎症性腸疾患(IBD)を有するインフリキシマブ治療患者のCOVID-19感染後の抗体保有率について、大規模多施設前向きコホート研究を実施した。その結果、インフリキシマブ治療群では、コホート群と比べ抗体保有率が有意に低いことがわかった。著者らは、「本結果により、COVID-19に対するインフリキシマブの免疫血清学的障害の可能性が示唆された。これは、世界的な公衆衛生政策およびTNF阻害薬治療を受ける患者にとって重要な意味を持つ」とまとめている。Gut誌オンライン版2021年3月22日号の報告。

オマリズマブ、免疫チェックポイント阻害薬および抗HER2薬のそう痒症を改善/Ann Oncol

 IgE阻害薬オマリズマブ(商品名:ゾレア)はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのそう痒症に有効である。がん領域におけるそう痒関連皮膚有害事象(paCAE)は、免疫チェックポイント阻害薬や抗HER2薬で多くみられる。これらの薬剤による難治性paCAEを伴うがん患者に対してオマリズマブを評価する多施設後ろ向き研究の結果が発表された。

中等~重症アトピー性皮膚炎、abrocitinib vs.デュピルマブ/NEJM

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において、abrocitinibは1日1回200mgまたは100mgのいずれの用量でも、プラセボと比較し12週および16週時の所見および症状を有意に改善した。デュピルマブに対しては、abrocitinib 200mgは2週時のそう痒の改善に関し優越性が認められたが、同100mgは認められなかった。ドイツ・ボン大学病院のThomas Bieber氏らが行った無作為化二重盲検第III相試験「JADE COMPARE試験」で示された。インターロイキン(IL)-4およびIL-13のシグナル伝達を抑制する経口ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬abrocitinibは、アトピー性皮膚炎の治療薬として検討されているが、デュピルマブのようなIL-4受容体を阻害するモノクローナル抗体とJAK1阻害薬を比較検証したデータには限りがあった。NEJM誌2021年3月25日号掲載の報告。

抗LAG-3抗体relatlimab+二ボルマブ、未治療の黒色腫の主要評価項目PFSを達成(RELATIVITY-047)/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年3月25日、未治療の切除不能な悪性黒色腫を対象に抗LAG-3抗体relatlimabとニボルマブの固定用量配合剤とニボルマブ単剤を比較した第II/III相RELATIVITY-047(CA224-047)試験の主要結果を発表。relatlimabと二ボルマブの併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成した。副次評価項目である全生存期間(OS)の追跡調査は進行中である。固定用量の併用療法の忍容性は良好で、併用療法群およびニボルマブ単剤療法とも新たな安全性シグナルは報告されなかった。これらは、抗LAG-3抗体を評価した試験で報告された初めての第III相データである。

円形脱毛症リスク、地毛の色で有意差

 円形脱毛症と地毛の色には有意な関連がみられ、より暗い色(黒髪や暗褐色の髪)のほうが有意にリスクが高い。米国・ウェストバージニア大学のAhmed Yousaf氏らが、英国の白人種男女を対象とした適合ケースコントロール試験の結果を報告した。円形脱毛症は、複合的な免疫異常によって非瘢痕性脱毛を引き起こすとされている。  先行研究では、病変部における白髪を形成する毛包の色素細胞、非色素細胞を標的とした報告がされ、メラノサイトおよびケラチノサイトにおけるメラニン形成に関連したタンパク質の免疫標的化が、円形脱毛症の成長期の毛髪を標的とする炎症のメカニズムを表すものと示唆されていた。著者は、「われわれの結果はそうしたモデルを支持するものである。ただし、円形脱毛症と髪の色の免疫原性の関連性をより正確に解き明かすには、さらなる研究が必要だ」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年3月10日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ、TMB-High固形がんに国内承認申請/MSD

 MSDは、2021年3月11日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (商品名:キイトルーダ)について、がん化学療法後に増悪した進行・再発の腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High)を有する固形がんに対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいた承認申請としては、2018年に承認を取得した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんに次いで、2件目の申請となる。  腫瘍遺伝子変異量(TMB)とは、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量で、ゲノムコーディング領域1メガ塩基 (megabase) 当たりの非同義体細胞遺伝子変異数として示され、10変異/megabase以上である状態をTMB-Highと定義している。TMB-Highの腫瘍では、ネオアンチゲンがより多く誘導され、免疫チェックポイント阻害薬に対して良好に反応する可能性があるとされ、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、大腸がん、子宮内膜がんなどで比較的多く見られると報告されている。

経口脱毛治療薬は安全か

 脱毛治療に用いる低用量経口ミノキシジル(LDOM)の安全性について、多施設共同大規模コホートにおける研究結果が報告された。スペイン・Ramon y Cajal University HospitalのS. Vano-Galvan氏らが1,404例を対象とした検討の結果、全身性の有害事象はまれであり、有害事象のため治療を中止した患者は1.7%だった。結果を踏まえて著者は、「LDOMの安全性プロファイルは良好である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年2月24日号掲載の報告。  研究グループは、LDOMに関する主要な懸念は全身性の副作用であったことから、大規模患者コホートにおける安全性について検討した。脱毛症のタイプを問わず、治療としてLDOMを3ヵ月以上受けていた患者を対象に、レトロスペクティブな多施設共同研究を行った。

トランスジェンダー、ホルモン療法でにきび有病率が大きく上昇

 思春期男子の悩みの1つににきびがあり、原因には男性ホルモンが関連しているためとされる。同様の悩みは男性化ホルモン療法(MHT)を受ける性同一性障害患者においてもあるというが、そうしたケースにおける発症リスクや有病率の詳細が明らかにされた。米国・ボストン大学のNick Thoreson氏らが988例を対象とした後ろ向きコホート研究の結果、MHT開始前後で、にきびの有病率は6.3%から31.1%へと大きく上昇し、年齢的には18~21歳の患者に多い傾向が認められたという。これまで、MHTを受ける性同一性障害患者のにきびのリスクについて大規模な研究は行われていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。