循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:343

ストレス潰瘍予防目的のPPI、術後肺炎リスクを増大/BMJ

 冠動脈バイパス術(CABG)を受ける患者に対してストレス潰瘍の予防目的でしばしば投与される胃酸分泌抑制薬について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のほうがH2ブロッカーよりも、術後肺炎リスクが1.19倍とやや高いことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrian T Bateman氏らが、全米約500病院からの患者データが集積されているPremier Research Databaseを用いた後ろ向きコホート研究の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年9月19日号掲載の報告より。

PCI後の抗血小板薬2剤併用中止・休薬によって心血管イベント増加/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と心血管リスクとの関連について観察研究にて検証したPARISの結果が発表された。米国・マウントサイナイ医科大学のRoxana Mehran氏らによる報告で、心血管イベントの発生は、DAPT中断時の臨床状態、中断した理由に依拠し、中断時期が遅いほどリスクは低下することが明らかになった。また、イベントの大半はDAPT継続群で発生していたこと、中断群での早期イベントリスクは留置したステントタイプを問わないことも明らかになった。これまで、DAPT中断はPCI後の重大イベントリスクを増大することは知られていたが、中断までの時間や中断理由によりリスクが変動するかについては明らかではなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。

PCIを病院到着から90分以内に施行することで院内死亡率は改善したか?/NEJM

 米国では2005年~2009年の4年間で、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の、病院到着から経皮的冠動脈インターベンション(PCI)開始までの時間(door-to-balloon time)が16分短縮し、90分以内PCI開始率は23.4ポイント上昇した。しかし、院内死亡率は0.1ポイントの低下でほとんど変化していないことが、ミシガン大学のDaniel S. Menees氏らの調査で判明した。現行のACC/AHAガイドラインでは、STEMI患者に対し病院到着から90分以内のプライマリPCI施行開始を強く推奨(Class I)している。door-to-balloon timeは医療施設の評価指標とされ、地域および国による医療の質向上戦略の中心に位置づけられるが、実際にdoor-to-balloon timeの改善が死亡率の低下に結びついているかは、これまで検証されていなかったという。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告。

さすがに4剤を1つの配合剤にすると服薬継続率も良くなるだろう/JAMA

 心血管疾患(CVD)またはその高リスクを有する患者への降圧・脂質低下・抗血小板薬の固定用量配合剤投与(fixed-dose combinations:FDC)治療戦略は通常ケアと比較して、アドヒアランスを有意に改善すること、血圧と脂質の臨床値の改善は有意だがわずかであったことが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSimon Thom氏らによる無作為化試験「UMPIRE」の結果、示された。CVD患者の大半は、推奨薬物療法が長続きしない。FDCによるアドヒアランス改善効果はその他領域で報告されており、心血管系FDCについてはこれまで、プラセボあるいは未治療と比較した短期効果の検討は行われていた。JAMA誌2013年9月4日号掲載の報告より。

心原性ショック急性心筋梗塞へのIABP、12ヵ月死亡率も低下せず/Lancet

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞への大動脈内バルーンパンピング(IABP)は、12ヵ月後の死亡率を低減しないことが明らかにされた。ドイツ・ライプツィヒ大学のHolger Thiele氏らが、患者600例を対象とした非盲検無作為化比較試験「IABP-SHOCK II」の結果、報告した。すでにIABP-SHOCK IIの結果として、IABPによる30日死亡率の低下が認められないことが示されていた。しかし心原性ショックの先行研究において、延長フォローアップにおいてのみ死亡率のベネフィットが示されたことがあり、著者らは本試験についても6、12ヵ月の評価を行った。なお、最新の国際ガイドラインでは、レジストリデータに基づき心原性ショックを伴う急性心筋梗塞へのIABPの推奨ランクは引き下げられている。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告より。

「AMI急性期のPCIは責任病変だけにしろ!」と私は教えられました(コメンテーター:中川 義久 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(133)より-

 私が急性心筋梗塞(AMI)の治療について、これまで教えられ、自分自身も若手医師に教えていることは、「AMI急性期のPCIは責任病変だけにしろ!他の病変は落ちついてから日を改めて治療しろ!」でした。自分にとっては疑いもない正論と信じていた内容に疑問符を投げかける研究結果が発表されました。それが、PRAMI研究です。オランダのアムステルダムで開催されたESC 2013で発表され、同時にNEJM誌に掲載されました。

新規静注抗血小板薬の実力はいかに/Lancet

 新規静注P2Y12阻害薬カングレロール(国内未承認)について、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後30日間の有害心イベント予防に関する臨床ベネフィットが報告された。フランス・パリ第7大学のPhilippe Gabriel Steg氏らCHAMPION研究グループが、カングロレルの有効性と安全性について検証された3つの大規模二重盲検無作為化試験「CHAMPION-PCI」「CHAMPION-PLATFORM」「CHAMPION-PHOENIX」についてプール解析を行い報告した。解析の結果、カングレロールは対照群[クロピドグレル(商品名:プラビックス)またはプラセボ]と比較して、PCI周術期の血栓合併症を減少することが示された。一方で出血の増大も認められたという。カングレロールは、強力で急速、可逆的な抗血小板作用を特徴とする。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告より。

女性にも薬剤溶出ステントは有効か?/Lancet

 冠動脈疾患の男性患者だけでなく女性患者においても、薬剤溶出ステント(DES)はベアメタルステント(BMS)に比べ有効性と安全性が優れることが、スイス・ベルン大学病院のGiulio G Stefanini氏らの検討で確認された。冠動脈疾患の治療におけるDESの安全性と有効性はさまざまな無作為化試験で検討されているが、登録患者に占める女性の割合が約25%と低いため、女性におけるDESの有用性を評価する十分なパワーを有する単一の試験はないという。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告。

新旧抗凝固薬とアスピリンの効果比較:静脈血栓症の二次予防/BMJ

 近年発売された抗凝固薬と抗血小板薬は、プラセボや経過観察と比較して静脈血栓症(VTE)の二次予防効果が認められることが、カナダ・オタワ大学のLana A Castellucci氏らによる、12試験・被験者総数1万例超のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかになった。同解析において効果が最も高かったのは標準補正用量ビタミンK拮抗薬だったが、一方で重大出血リスクも最も高かった。また、効果が最も低かったのはアセチルサリチル酸であったという。これまで抗凝固薬・抗血小板薬の静脈血栓症二次予防効果については、意見が分かれていた。BMJ誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。