循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:305

ステント内再狭窄の至適治療戦略は?/Lancet

 ステント内再狭窄(ISR)の経皮的治療について、エベロリムス薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈介入(PCI)と薬剤コーティングバルーン(drug-coated balloons:DCB)治療の2つが、考慮すべき治療戦略であることが、スイス・ベルン大学病院のGeorge C M Siontis氏らによるネットワークメタ解析の結果、示された。その理由について著者は、「前者は、血管造影の径狭窄率が最も良好である。後者は、新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるからだ」と述べている。薬剤溶出ステントを用いたPCIは、未治療の冠動脈狭窄症の標準治療となっている。しかし、これまでベアメタルステントや薬剤溶出ステントのISRに対する至適治療は確立されていなかなった。Lancet誌2015年8月15日号掲載の報告より。

がん患者の再発VTEへのtinzaparin vs.ワルファリン/JAMA

 急性静脈血栓塞栓症(VTE)を呈した担がん(active cancer)患者に対し、低分子ヘパリン製剤tinzaparinは、ワルファリンとの比較においてVTE再発を抑制しなかったことが報告された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のAgnes Y. Y. Lee氏らが、900例を対象とした国際多施設共同無作為化試験の結果、報告した。複合アウトカム評価による本検討では、全死因死亡と重大出血抑制との関連は示されなかったが、臨床的に意味のある非重大出血の抑制は認められた。著者は、「再発VTリスクが高い患者で結果が異なるかについて、さらなる検討を行う必要がある」と述べている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。

抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか

 特定の抗精神病薬は、補正QT間隔(QTc)の延長リスクを高め、その結果torsades de pointes(TdP:トルサードポワン)や心臓突然死(SCD)のリスクを高める。また、薬剤誘発性ブルガダ症候群(BrS)もSCDと関連している。そして、ほとんどのSCDは、さらなる心リスク因子を有する患者において発生する。これまで、QTc延長リスクが高いトルサードハイリスク患者に対するアリピプラゾールの心臓への安全性に関する評価は行われていなかった。デンマーク・オールボー大学病院のChristoffer Polcwiartek氏らは、アリピプラゾールの心臓への安全性を評価するため、メタ分析的アプローチによるシステマティックレビューを行った。Psychopharmacology誌2015年9月号の報告。

長時間労働は、冠動脈心疾患よりも脳卒中のリスクを高める/Lancet

 長時間労働を行う労働者は、標準時間労働の場合よりも脳卒中のリスクが高く、冠動脈心疾患のリスクは脳卒中に比べると低いことが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMika Kivimaki氏らIPD-Work Consortiumの検討で示された。長時間労働は心血管疾患や冠動脈心疾患のリスクを増大させることが、日本の調査を含むいくつかの研究で示され、標準時間労働と比較した相対リスク(RR)は約1.4倍に上昇することが知られている。一方、これらの研究の問題点として以下の点が挙げられるという。(1)出版バイアス(結果が肯定的な研究は、否定的な研究に比べ公表される可能性が高い)、(2)逆因果関係(進行性の器質的心血管疾患があるために、イベント発生前の期間の労働時間が短くなった)、(3)交絡関係(長時間労働は社会経済的地位が高い職種で多いが、心血管疾患は地位が低い職種のほうが高頻度)、(4)重要な心血管エンドポイントである脳卒中のリスクを検討した試験がほとんどない。Lancet誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告より。

医療機器では市販後臨床試験が重要になりつつある(解説:折笠 秀樹 氏)-404

薬剤溶出性ステントなどのハイリスクな医療機器で、米国FDAが2010年と2011年に承認した28品目について、機器の一生(Total product life cycle)を調査した。クラス分類で言うとクラスIIIあるいはIVに相当すると思われる。米国ではPMA(Premarket approval)により機器は承認され、その後PAS(Post approval studies)が実施される。機器の一生とは、このPMAとPASで実施される臨床試験として定義する。

トランス脂肪酸だけが健康に悪いのか/BMJ

 飽和脂肪酸の摂取と、全死因死亡、心血管疾患(CVD)、冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連は認められなかったが、そのエビデンスは限定的であることが示された。一方、トランス脂肪酸の摂取は、全死因死亡、総CHD発生、CHD死と関連していたが、それは工業型トランス脂肪酸の摂取が反すう動物由来トランス脂肪酸の摂取よりも多いためであることが示唆された。カナダ・マックマスター大学のRussell J de Souza氏らが、観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。

テストステロンの補充は動脈硬化を進展させるか/JAMA

 テストステロンの長期投与がアテローム性動脈硬化に及ぼす影響は確立されていない。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShehzad Basaria氏らは、今回、TEAAM試験において、加齢に伴いテストステロン値が低下した高齢男性に対するテストステロンの3年投与は、アテローム性動脈硬化を進展させず、性機能や健康関連QOLを低下させないことを示した。近年、米国ではテストステロンを使用する高齢男性が増加しているが、長期投与のベネフィットやリスクは明らかではなく、心血管イベントとの関連については相反する結果が報告され、前臨床研究でも矛盾するデータが示されているという。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。

トロポニンT値、2型糖尿病患者の心血管リスク予測に有用/NEJM

 心筋トロポニンT値は、2型糖尿病と安定虚血性心疾患の合併患者において、心血管系が原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中の独立した予測因子であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrendan M. Everett氏らによる検討の結果、明らかにされた。また、迅速血行再建術でメリットが得られる患者はトロポニンT値14ng/L未満であることも示された。心筋トロポニン値は、急性冠症候群患者において、緊急血行再建が有効の可能性がある患者を同定するために用いられている。研究グループは、安定虚血性心疾患患者においても、心筋トロポニン値を用いて心血管イベントリスクの高い患者を同定し、迅速な冠血行再建によるベネフィットを得られることが可能であるとの仮説を立て、その検証試験を行った。NEJM誌2015年8月13日号掲載の報告より。