循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:224

リバーロキサバン、 非心房細動・冠動脈疾患併発の心不全増悪に有効か/NEJM

 心不全は、不良な予後が予測されるトロンビン関連経路の活性化と関連する。フランス・Universite de LorraineのFaiez Zannad氏らCOMMANDER HF試験の研究グループは、慢性心不全の増悪で入院し、左室駆出率(LVEF)の低下と冠動脈疾患がみられ、心房細動はない患者の治療において、ガイドラインに準拠した標準治療に低用量のリバーロキサバンを追加しても、死亡、心筋梗塞、脳卒中の発生を改善しないことを示した。リバーロキサバンは、トロンビンの産生を抑制する経口直接第Xa因子阻害薬であり、低用量を抗血小板薬と併用すると、急性冠症候群および安定冠動脈疾患の患者において、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の発生が低減することが知られている。NEJM誌オンライン版2018年8月27日号掲載の報告。

EBMの威力を痛感させたGLOBAL LEADERS試験(解説:後藤信哉氏)-914

ステント留置後の血栓性閉塞にはアスピリン・チクロピジン併用療法が画期的効果を示した。その後、多くの抗血小板薬が冠動脈インターベンション、急性冠症候群を対象として開発された。血栓イベントを恐れるあまり、欧米では大容量の抗血小板薬が使用され、出血イベントが増えた。その結果、抗血小板薬の早期中止を求めて「必要期間短縮」を目指すランダム化比較試験が計画された。本研究でも12ヵ月のアスピリン・P2Y12受容体阻害薬(クロピドグレルまたはチカグレロル)を標準治療として、アスピリン・チカグレロル1ヵ月使用後、チカグレロル単剤にするプロトコールと比較された。実臨床に近い試験としてエンドポイントは冠動脈の閉塞を反映するQ波性心筋梗塞と総死亡とされた。

アスピリンは、糖尿病患者にとって有益か有害か/NEJM

 アスピリンは、糖尿病患者において重篤な血管イベントを予防するが、大出血イベントの原因にもなることが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが行ったASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。糖尿病により、心血管イベントのリスクが増加する。アスピリンは、閉塞性血管イベントのリスクを抑制するが、糖尿病患者の初回心血管イベントの予防におけるその有益性と有害性のバランスは不明とされる。

ω-3脂肪酸、糖尿病患者の重篤な血管イベント抑制に効果?/NEJM

 糖尿病患者にω-3脂肪酸の栄養補助を行っても、重篤な血管イベントのリスクは、プラセボに比べ改善しないことが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが実施したASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。観察研究では、ω-3脂肪酸の摂取量の増加にともない、心血管疾患のリスクが低減することが報告されているが、これまでに、この知見を確証した無作為化試験はなかった。また、ω-3脂肪酸の栄養補助が、糖尿病患者の心血管リスクに便益をもたらすかは不明とされる。

80歳以上の高齢者、朝の家庭血圧と脳卒中が相関~J-HOP研究

 自治医科大学の苅尾 七臣氏らによるJ-HOP研究において、80歳以上の日本人の家庭血圧と心血管イベントとの関連を検討したところ、早朝家庭血圧が心血管イベント、とくに脳卒中で正の線形関連を示した。この関連は診察室血圧または就寝前家庭血圧では観察されなかった。American Journal of Hypertension誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。

QRS≦110msの慢性AF患者への房室結節アブレーション+CRT vs.レートコントロール【Dr.河田pick up】

 洞調律維持を諦めた永続性心房細動症例でレートコントロールが困難な場合、房室結節のアブレーションを行ったうえで、心臓再同期療法(CRT)を植込む両心室ペーシングが必要となることがある。この研究では、永続性心房細動でQRS幅が狭い症例において、房室結節アブレーションとCRTによる治療がレートコントロールよりも心不全を改善し、入院を減らすという仮説を検証した。イタリアのBrignole M氏らによるEuropean Heart Journal 誌オンライン版8月26日号掲載の報告。

リバーロキサバン、退院後投与の血栓予防効果は?/NEJM

 静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い内科疾患による入院患者に対し、退院後45日間のリバーロキサバン投与はプラセボと比較して、大出血の発生率は低かったが、症候性VTEおよびVTEに起因する死亡リスクを有意に低下させることはなかった。米国・Northwell Health at Lenox Hill HospitalのAlex C. Spyropoulos氏らが、リバーロキサバンの退院後VTE予防効果を検証した多施設共同無作為化二重盲検試験「MARINER試験」の結果を報告した。内科疾患で入院した患者には退院後のVTEリスクが残るが、こうした患者における血栓予防療法の延長が果たす役割については議論の的になっていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。

高リスク心臓手術の輸血戦略、6ヵ月後の転帰は?/NEJM

 死亡リスクが中等度~高度の心臓手術を受ける成人患者において、制限的赤血球輸血は非制限的輸血と比較し、術後6ヵ月時点でも複合アウトカム(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全)に関して非劣性であることが認められた。カナダ・セント・マイケルズ病院のC. David Mazer氏らが、多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「TRICS III」の最終解析結果を報告した。同試験の術後28日時の解析でも、退院または術後28日までの複合アウトカムについて、非制限的輸血戦略に対する制限的赤血球輸血の非劣性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。

安定胸痛への標準治療+CTA、5年アウトカムを改善/NEJM

 安定胸痛の患者に対し、標準治療に加えCT冠動脈造影(CTA)を行うことで、5年間の冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞の発生リスクは約4割低下することが示された。侵襲的冠動脈造影や冠血行再建術の5年実施率は、いずれも増加は認められなかったという。英国・エジンバラ大学のDavid E. Newby氏らによる、Scottish Computed Tomography of the Heart(SCOT-HEART)試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。安定胸痛の患者への評価では、CTAにより診断の確実性が増すことが示されていたが、5年後の臨床アウトカムに及ぼす影響は不明であった。