循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:210

高血圧予防食、痛風リスクを低減/BMJ

 DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食は男性の痛風リスクを低減するのに対し、西洋型の食事(Western diet)はこれを増加させることが、米国・マサチューセッツ総合病院のSharan K. Rai氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年5月9日号に掲載された。DASH食は、果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を多く摂取し、塩分、砂糖などで甘くした飲料、赤身や加工肉の摂取を抑えた食事法で、血圧を低下させ、心血管疾患の予防にも推奨されている。西洋型の食事(赤身や加工肉、フライドポテト、精製穀類、甘い菓子、デザート)は、血清尿酸値を上昇させ、痛風リスクを増加させる多くの食品から成るのに対し、DASH食は、最近の無作為化試験で高尿酸血症患者の血清尿酸値を低下させると報告されているが、痛風のリスクに関するデータはこれまでなかったという。

ブルガダ症候群におけるSCN5A遺伝子変異は心イベントの予測因子となるか

 ブルガダ症候群における遺伝子型形式と表現型の関連に関しては、依然として議論が続いている。国立循環器病研究センターの山形 研一郎氏ら研究グループは、SCN5A変異の有無により心イベントの発生率に差異がみられるかを検証するため、ブルガダ症候群発端者に限定したレジストリを構築し、長期追跡調査した。Circulation誌オンライン版3月24日号の掲載。

NSAIDで心筋梗塞リスクが増大?44万例の調査/BMJ

   NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)は急性心筋梗塞のリスクを増大させ、COX-2選択的阻害薬セレコキシブのリスクは従来型NSAIDと同等で、rofecoxib(米国で心血管系の副作用のため2004年に販売中止、日本では未発売)に比べて低いことが、カナダ・モントリオール大学のMichele Bally氏らの調査で明らかとなった。最初の1ヵ月が最もリスクが高く、用量が多いほど高リスクであることもわかった。研究の成果は、BMJ誌2017年5月9日号に掲載された。従来型およびCOX-2選択型NSAIDは、いずれも急性心筋梗塞のリスクを増大させることを示唆するエビデンスがあるが、用量や治療期間の影響、各薬剤のリスクの違いはよく知られていないという。

中等度リスクの患者に対する外科的大動脈弁置換術と経カテーテル大動脈弁留置術の比較(SURTAVI研究)(解説:今井 靖 氏)-681

大動脈弁狭窄症治療のゴールドスタンダードは外科的大動脈弁置換術であるが、高齢や心臓以外の合併疾患等の理由により開心術に耐えられないと判断された患者に対しては、対症療法しか手段がなかった。そのようななかで経カテーテル大動脈弁留置術(TAVR/TAVI)が登場し、外科手術がハイリスクと考えられる重症大動脈弁狭窄症に対して実施されるようになった。

スタチンのノセボ効果が明らかに/Lancet

 スタチン治療の有害事象について、いわゆる「ノセボ効果」が認められることが明らかにされた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAjay Gupta氏らが、ASCOT-脂質低下療法(LLA)試験の二重盲検試験期と非盲検延長試験期の有害事象について解析した結果、盲検下ではみられなかったが非盲検下において、すなわち患者も医師もスタチン療法が実施されていると認識している場合にのみ、筋肉関連有害事象が過剰に報告されたという。これまで、無作為化二重盲検比較試験ではスタチン療法と有害事象との関連は示唆されていなかったが、観察研究では盲検試験に比べてさまざまな有害事象の増加が報告されていた。Lancet誌オンライン版2017年5月2日号掲載の報告。

バイスタンダーによる蘇生処置が予後を大幅に改善/NEJM

 バイスタンダーによる心肺蘇生(CPR)および除細動の実施は、脳障害/介護施設入所や全死因死亡の1年リスクを、いずれも3~4割と有意に低減することが示された。デンマーク・オールボー大学のKristian Kragholm氏らが2,855例を対象に行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年5月4日号で発表した。院外心停止へのバイスタンダーによる介入と長期機能アウトカムとの関連について、これまで大規模に検討されたことはなかった。

ヒドロクロロチアジド使用量と口唇がんリスクが相関

 利尿薬であるヒドロクロロチアジドの使用により口唇がんリスクが高まることを示唆する報告がある。この関連を検討した南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らの症例対照研究において、ヒドロクロロチアジドの累積使用量と口唇がんリスクに強い相関が認められた。Journal of internal medicine誌オンライン版2017年5月8日号に掲載。

低LDL-Cが認知症リスクを低減する可能性/BMJ

 PCSK9遺伝子およびHMGCR(HMG-CoA reductase)遺伝子のバリアントに起因するLDLコレステロール(LDL-C)の低下は、認知症やパーキンソン病の発症リスクを増加させず、LDL-C値の低下によりアルツハイマー型認知症のリスクが低減する可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarianne Benn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月24日号に掲載された。コレステロールは脳のニューロンを取り囲むミエリンの主成分であるため、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患のリスクを増大させる可能性が指摘されている。

高感度心筋トロポニンT、非心臓手術後の死亡と関連/JAMA

 非心臓手術施行例では、術後3日間の高感度心筋トロポニンT(hsTnT)のピーク値が30日死亡リスクと関連することが、カナダ・マックマスター大学のP.J.Devereaux氏らが行ったVISION試験で示された。心筋虚血の臨床所見がみられない場合でも、hsTnT値上昇は30日死亡と関連したという。研究の成果は、JAMA誌2017年4月25日号に掲載された。非心臓手術後心筋障害(myocardial injury after noncardiac surgery:MINS)は、術後30日以内に発症した心筋虚血に起因する心筋障害と定義され、死亡との独立の関連が確認されている。非高感度心筋トロポニンTアッセイに基づくMINSの診断基準が確立されているが、米国食品医薬品局(FDA)は最近、hsTnTの使用を承認し、世界的に多くの病院でhsTnTアッセイが用いられている。

冠動脈カルシウムが認知症に関連

 米国の疫学研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)で、ベースライン時の冠動脈カルシウム(CAC)スコアが高いと、血管性危険因子、アポリポ蛋白E(APOE)-ε4、脳卒中発症に関係なく認知症リスクが有意に高かったことを、滋賀医科大学の藤吉 朗氏らが報告した。この結果は、血管損傷が認知症発症に関与するという仮説と一致する。Circulation: Cardiovascular Imaging誌2017年5月号に掲載。