循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:149

RA系阻害薬、COVID-19の重症度に関連みられず/JAMA Cardiol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院中、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を服用している高血圧患者が、COVID-19の重症度や死亡リスクを上昇したかどうかを中国・武漢市の華中科技大学のJuyi Li氏らが検討した。その結果、これらのRA系阻害薬の服用はCOVID-19の重症度や死亡率と関連しないことが示唆された。JAMA Cardiology誌オンライン版2020年4月23日号に掲載。  本研究では、2020年1月15日~3月15日に武漢中央病院に入院したCOVID-19患者1,178例を後ろ向きに調査した。

RCTの事前登録順守率、インパクトファクターと相関/BMJ

 世界保健機関(WHO)は2008年にヘルシンキ宣言を改訂し、その後2015年に臨床試験登録国際プラットフォームを設置して、臨床試験の事前登録を勧告している。カナダ・トロント総合病院のMustafa Al-Durra氏らによる検討の結果、勧告にのっとり事前登録した試験の割合は、全登録試験の約42%と低いことが明らかになった。無作為化試験(RCT)の事前登録は、試験結果の選択的な報告を減らすものと見なされている。これまで行われた研究では、RCTの事前登録の順守率は低いものでは4%、高いものでは77%と報告されていた。BMJ誌2020年4月14日号掲載の報告。

血圧変動と認知症リスク~コホート研究

 血圧の来院時変動と一般集団における認知症発症率および認知症サブタイプとの関連を調査するため、韓国・Seoul National University HospitalのJung Eun Yoo氏らは、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hypertension誌2020年4月号の報告。  韓国国民健康保険データベースを用いて、2005~12年に3回以上の健康診断を受けた認知症既往歴のない784万4,814例を対象とした。血圧変動性(BPV)は、平均、変動係数、SDとは独立した変動性を用いて測定した。

がん患者のVTE治療、アピキサバンは低分子ヘパリンに非劣性/NEJM

 がん患者の静脈血栓塞栓症(VTE)の治療において、直接経口抗凝固薬(DOAC)アピキサバンは、低分子ヘパリン(LMWH)ダルテパリン皮下投与と比較して、VTE再発に関して非劣性で、消化管の大出血のリスクを増加させないことが、イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らが行った「Caravaggio試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。現行の主要なガイドラインでは、がん患者のVTE治療にはLMWHが推奨され、最近、DOACであるエドキサバンとリバーロキサバンの使用の考慮が追加されたが、これらのDOACは出血のリスクが高いため有益性は限定的だという。

今、私たちは冠動脈疾患治療の分岐点にいる(解説:野間重孝氏)-1219

至適内科治療(optimal medical therapy:OMT)という言葉がある。虚血性心疾患は典型的な複合因子的疾患であり、単に血圧を下げるとか禁煙してもらうというだけでは発症予防(1次予防)もその進展の予防(2次予防)もできない。主立った因子をすべてコントロール、それもエビデンスのある薬剤・方法を用いて複合的にコントロールすることによって虚血性心疾患の1次・2次予防をしようという考え方である。90年代の半ば過ぎに確立され、その後種々の改良・改変を加えられたが、その大体の考え方は変わっていない。そこに至るには危険因子の徹底的な洗い出し、それに対する対処とそのエビデンスの蓄積があったことは言うまでもない。世紀をまたぐころにはOMTは虚血性心疾患治療の基礎として確立されたばかりでなく、血行再建術の代替えにもなりうるとも考えられるまでになった。心筋梗塞、不安定狭心症などのいわゆる急性冠症候群(ACS)では血行再建術が絶対適応となっているが、安定狭心症に対しては血行再建術と同程度の治療効果が得られることが期待されるまでになった。この方面での治験のエンドポイントは死亡+非致死的心筋梗塞の発生に置かれることが多いが、いろいろな比較試験でコントロールにされたOMT群の発症率はいずれにおいても20%を切る結果(18%~19%程度)が示されている。

安定冠動脈疾患、侵襲的戦略と保存的戦略に有意差なし/NEJM

 中等度~重度の虚血を有する安定冠動脈疾患患者の初回治療では、侵襲的介入+薬物療法と薬物療法単独のアウトカムの違いは明確でないという。米国・スタンフォード大学のDavid J. Maron氏らは、5,000例以上の安定冠動脈疾患患者を対象とする国際的な臨床試験「ISCHEMIA試験」で、侵襲的戦略は保存的戦略に比べ、虚血性冠動脈イベントや全死因死亡のリスクを抑制しないことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2020年4月9日号に掲載された。  本研究は、日本を含む37ヵ国320施設が参加した無作為化試験であり、2012年7月~2018年1月の期間に患者登録が行われた(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。

エピジェネティック制御薬は心血管疾患の残余リスクを低下させない(解説:佐田政隆氏)-1217

冠動脈疾患に対する薬物療法の進歩には目を見張るものがあり、患者の長期予後を大きく改善させた。その中でも高用量のストロングスタチンは心血管イベントを3割から4割低下させるという数々のエビデンスが積み重ねられて、現在、標準的治療となっている。しかし、逆にいうと6割から7割の人が至適な薬物療法を行っても心血管イベントを起こしてしまうことになる。これが残余リスクとして非常に問題になっている。

TAVI後の出血リスク、抗凝固薬単独vs. 抗血小板薬併用/NEJM

 経口抗凝固薬内服中に経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を受ける患者において、術後1ヵ月または12ヵ月にわたる重篤な出血の発生率は、経口抗凝固薬+抗血小板薬(クロピドグレル)併用療法と比較し経口抗凝固薬単独療法のほうが低いことが示された。オランダ・St. Antonius HospitalのVincent J. Nijenhuis氏らが、欧州の17施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検並行群間比較試験「POPular TAVI試験」の2つのコホートのうち、コホートBの結果を報告した。TAVI後の抗凝固療法については、抗凝固薬の単独療法または抗血小板薬との併用療法の役割に関する検証がこれまで十分ではなかった。NEJM誌オンライン版2020年3月29日号掲載の報告。

血行再建術後のPAD患者へのリバーロキサバン併用は?/NEJM

 下肢血行再建術を受けた末梢動脈疾患(PAD)患者において、リバーロキサバン+アスピリン併用療法はアスピリン単独療法と比較して、急性下肢虚血・血管疾患による大切断・心筋梗塞・虚血性脳卒中・心血管死の複合エンドポイントの発生率を有意に抑制したことが報告された。ただし、Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)分類による大出血の発生率は両群間で有意差はなく、国際血栓止血学会(ISTH)分類による大出血の発生率は、アスピリン単独療法と比較してリバーロキサバン+アスピリン併用療法で有意に上昇した。米国・Colorado Prevention Center(CPC)Clinical ResearchのMarc P. Bonaca氏らが、日本を含む世界34ヵ国の542施設で実施した第III相二重盲検比較試験「VOYAGER PAD試験」の結果を報告した。下肢血行再建術を受けたPAD患者は主要有害下肢/心血管イベントのリスクが高いが、このような患者におけるリバーロキサバンの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2020年3月28日号掲載の報告。

血栓回収療法前の再灌流に対するtenecteplase増量の効果(解説:中川原譲二氏)-1214

EXTEND-IA TNK試験において、tenecteplase 0.25mg/kgによる血栓溶解療法は、アルテプラーゼと比較し、脳梗塞患者に対する血栓除去術施行前の再灌流を改善することが示された。これを受けて、EXTEND-IA TNK Part 2試験は、tenecteplase 0.40mg/kgが、0.25mg/kgと比較して、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善するかどうか確定することを目的に行われた。本試験は、オーストラリアとニュージーランドの27施設で、2017年12月~2019年7月の期間に登録された患者に対し非盲検下で治療を行い、画像診断および臨床転帰の評価は盲検下で実施した無作為化臨床試験である。対象は、標準的な静脈血栓溶解療法の適格基準である発症後4.5時間未満で内頸動脈/中大脳動脈/脳底動脈の閉塞を有する脳梗塞成人患者300例とした。tenecteplase 0.40mg/kg(最大40mg)群(150例)または0.25mg/kg(最大25mg)群(150例)に無作為化し、それぞれ血管内血栓除去術の前に投与した。