循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:121

PCI後のDAPT終了後、クロピドグレル単剤が有効/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)として薬剤溶出ステント(DES)留置術を施行され、6~18ヵ月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を受けた後、抗血小板薬単剤による長期の維持療法を要する患者において、クロピドグレルはアスピリンと比較して、死亡や血栓性疾患、出血を含む複合エンドポイントのリスクが低いことが、韓国・ソウル大学病院のBon-Kwon Koo氏らが実施した「HOST-EXAM試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。

術中左心耳閉鎖術併用で、脳卒中/塞栓症リスクが低減/NEJM

 多くが経口抗凝固薬の投与を受けている心房細動の患者集団において、冠動脈バイパス術や弁置換術などの心臓手術の術中に左心耳閉鎖術を併用すると、これを併用しない場合と比較して、虚血性脳卒中/全身性塞栓症のリスクが低下することが、カナダ・ハミルトン総合病院のRichard P. Whitlock氏らが実施した「LAAOS III試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年5月15日号掲載の報告。  本研究は、心臓手術時の脳卒中予防における左心耳閉鎖術の有効性と安全性の検証を目的とする無作為化試験であり、2012年7月~2018年10月の期間に、27ヵ国105施設で患者登録が行われた(カナダ健康研究所などの助成による)。

非責任病変へのPCI追加、FFRガイドvs.血管造影ガイド/NEJM

 多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、梗塞関連病変へのPCI成功後の非責任病変の完全血行再建は、冠血流予備量比(FFR)ガイド下と血管造影ガイド下で有益性に差は認められなかった。フランス・パリ大学のEtienne Puymirat氏らが、Flow Evaluation to Guide Revascularization in Multivessel ST-Elevation Myocardial Infarction(FLOWER-MI)試験の結果を報告した。ただし、イベント発生率が予想より低く統計学的検出力が計画より低下したため、著者は、「FFRガイド下治療の有意な効果は認められなかったが、主要評価項目のハザード比の95%信頼区間(CI)が0.78~2.23と非常に広く、これはFFRガイド下治療により相対的に22%リスクが低下または123%リスクが上昇することを表しており、今回の結果を結論付ける解釈はできない」との見解を示している。非責任病変へのPCI追加による完全血行再建が、責任病変単独治療より優れているが、FFRガイド下治療が血管造影ガイド治療より優れているかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。

厳格降圧vs.標準降圧:SPRINT最終報告/NEJM

 糖尿病や脳卒中の既往がない心血管イベント高リスク患者では、収縮期血圧目標を120mmHg未満とする厳格降圧が同目標を140mmHg未満とする標準降圧より、無作為割り付けされた治療を受けている期間と試験終了後の両方で、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に低下させることを、米国・アラバマ大学バーミングハム校のCora E. Lewis氏らがSPRINT試験の最終報告として示した。ただし、低血圧等の有害事象の発現率は、厳格降圧群で高かった。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。

バダデュスタットの貧血改善効果とMACEによる心血管安全性をダルベポエチンを対照薬として非劣性試験にて評価(解説:栗山哲氏)-1394

バダデュスタット(Vadadustat:Vad)は、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)の阻害薬であり、HIFを安定化し内因性エリスロポエチン(EPO)の産生を刺激する。これに対して、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)であるダルベポエチンα(DA)は遺伝子組み換えEPOである。1990年代初頭から使われているESAは、腎性貧血改善による輸血量減少や患者QOL改善に加え、Cardio-Renal-Anemia(CRA:心・腎・貧血)症候群の改善が示唆されている。一方、HIF-PH阻害薬のCRA症候群に与える影響は現時点では不明である。

心房細動後1年以内のリズムコントロールで心血管転帰良好/BMJ

 心房細動の診断から1年以内の患者では、リズムコントロール治療の早期開始により、レートコントロールに比べ有害心血管イベントのリスクが有意に低下したが、この関連性は心房細動を発症して1年以上経過した患者では認められなかった。韓国・延世大学校医科大学のDaehoon Kim氏らが、長期観察コホート研究の結果を報告した。心房細動患者の予後に対するレートコントロールとリズムコントロールの効果の比較については結論が得られておらず、最近発表されたEAST-AFNET 4試験では、発症後1年以内の心房細動患者の場合、リズムコントロール治療は通常治療より有害心血管イベントのリスクが低いことが示されていた。BMJ誌2021年5月11日号掲載の報告。

心不全の2人に1人は予防できる!(解説:有馬久富氏)-1393

高齢者の増加に伴い、心不全患者さんが大幅に増加する「心不全パンデミック」が訪れると予想されている。心不全パンデミックを避けるためには、心不全の発症予防が急務である。 今回、Framingham研究・PREVEND研究およびMESA研究の統合解析から、年代別に心不全発症の危険因子およびその集団寄与危険割合を検討した結果がBMJに報告された。その結果、すべての年代において、男性・肥満・高血圧・糖尿病・喫煙・心筋梗塞および心房細動の既往が重要な危険因子であり、それらすべての集団寄与危険割合は75歳未満で75~77%、75歳以上で53%であった。つまり、75歳未満における心不全の4分の3、75歳以上では2分の1が、これらの危険因子により引き起こされているということが明らかになった。

非虚血性心筋症に対する左脚ペーシングは有効か【Dr.河田pick up】

 左脚ブロックを改善させて、心室再同期を図るヒス束ペーシングは実現可能な方法であるが、リード留置が容易ではなく、閾値が高くなるという問題がある。本研究は、左脚ブロックを伴った非虚血性心筋症患者に対する心室再同期療法(CRT)の手段として、比較的新しい中隔アプローチによる左脚ペーシング(LBBP)が現実的に可能で有効な方法かを評価するために、中国・温州医科大学のWeijian Huang氏が米国や英国の研究チームと共に実施したもので、JACC誌に掲載された。

日本循環器協会が発足―予防啓発や人材育成など7つの事業を柱に

 5月10日、循環器病の新たな団体として『日本循環器協会』が発足した。代表理事に小室 一成氏(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授)、平田 健一氏(神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野教授)を迎え、各都道府県などと連携を取ることで、患者の心不全予防の啓発に力をいれていく。  循環器病による国内死亡率は近年の高齢化に伴いがんよりも高い。また、健康寿命にも大きく影響を及ぼしており、平均寿命に対し、健康寿命は男性で8.84年、女性で12.35年も短く、国としての大きな問題になっている。そこで、2016年から「脳卒中・循環器病克服5ヵ年計画」や「脳卒中・循環器病対策基本法」が、昨年10月には「循環器病対策推進基本計画」が動き出したことで、各都道府県でも基本計画が実行されていくことになる。これまでも循環器病領域には歴史のある日本循環器学会や日本心臓財団が存在するが、いずれも患者やサポート企業、自治体との連携が限定的であったことを踏まえ、市民により近い距離での情報発信や患者・家族サポートなどの活動を行うための新たな組織が必要となり設立に至った。

RA系阻害薬は、COVID-19入院患者に継続してよい?

 COVID-19入院患者において、レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬の継続有無による転帰の差はないことが、米国・ペンシルベニア大学のJordana B. Cohen氏によって明らかにされた。RA系阻害薬は、COVID-19入院患者でも安全に継続できるという。The Lancet. Respiratory Medicine誌2021年3月号の報告。  RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)の服用は、COVID-19の重症度に影響を与える可能性が示唆されている。世界7ヵ国20の大規模な委託病院において、前向き無作為化非盲検試験REPLACE COVID試験(ClinicalTrials.gov:NCT04338009)を実施し、RA系阻害薬の継続と中止がCOVID-19入院患者の転帰に影響を与えるかどうか、検証した。