循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:113

mRNAワクチン後の心筋炎、日本でも10~20代男性で多い傾向/厚労省

 ファイザー社および武田/モデルナ社ワクチン接種後、アナフィラキシーは若年女性で、心筋炎関連事象については若年男性で報告頻度が高いことが示された。9月10日開催の第68回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(第17回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と合同開催)の報告より。同会では他に使用の見合わせ・自主回収の対応が行われている該当ロットの武田/モデルナ社ワクチン接種後死亡例についての現時点での評価結果、継続実施中のコホート調査の最新結果も報告された。

低Na塩の利用で血管イベント・全死亡が減少/NEJM

 脳卒中の既往者または60歳以上の高血圧症の患者において、通常の塩の代わりに、塩化ナトリウムの成分含有が75%の代替塩を使うことで、脳卒中率や主要心血管イベント率、および全死因死亡率が低下したことが示された。オーストラリア・George Institute for Global HealthのBruce Neal氏らが、中国農村部600村に住む2万例超を対象に行った、非盲検クラスター無作為化試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2021年8月29日号で発表した。代替塩は、ナトリウム値を低下させ、カリウム値を上昇させ、血圧を低下させることが示されている。しかし、心血管への有効性や安全性アウトカムへの影響は明らかになっていなかった。  研究グループは2014年4月~2015年1月にかけて、中国農村部の600村を対象に、脳卒中の既往者または60歳以上で高血圧症の患者2万995例を対象に試験を開始した。  試験対象村を無作為に2群に分け、一方の村の被験者は代替塩(質量で塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%)を、もう一方の村の被験者は通常塩(塩化ナトリウム100%)を、それぞれ使用した。

エドキサバン、TAVR後の心房細動でビタミンK拮抗薬に非劣性/NEJM

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の成功後に心房細動がみられる患者(主に慢性心房細動)の治療において、経口直接第Xa因子阻害薬エドキサバンは、ビタミンK拮抗薬に対し有効性の主要アウトカムが非劣性であるが、優越性は不明であり、消化管出血が多いことが、オランダ・エラスムス大学医療センターのNicolas M. Van Mieghem氏らが実施した「ENVISAGE-TAVI AF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年8月28日号で報告された。  本研究は、日本を含む14ヵ国173施設が参加した非盲検無作為化試験であり、2017年4月~2020年1月の期間に参加者の登録が行われた(Daiichi Sankyoの助成による)。  対象は、年齢18歳以上、重症大動脈弁狭窄症に対するTAVRが成功した後に、30秒以上持続する慢性または初発の心房細動がみられる患者であった。被験者は、エドキサバン(60mgまたは30mg、1日1回)またはビタミンK拮抗薬(ワルファリン、フェンプロクモン、アセノクマロール、フルインジオン)の投与を受ける群に無作為に割り付けられた。

中国人でも積極的降圧の有用性を証明するも、論文としての粗さも目立つ~STEP試験(解説:桑島巖氏)

SPRINT試験は、年齢を問わずより積極的降圧が心血管イベントを抑制することを2015年に発表し、世界の高血圧治療の在り方を一変させた。中国でも負けじと2021年、ほぼ同規模の症例を対象としたSTEP試験の結果をNEJM誌で発表した。降圧目標値を収縮期血圧110~129mmHgとする積極治療群と130~149mmHgの標準治療群にランダム化して、3.34年追跡し、脳心血管合併症を主要評価項目として、その発症率を比較した大規模臨床試験である。結果としてはSPRINT試験同様に、積極的降圧群のほうが標準降圧群よりも有意に脳心血管合併症を抑制した。

ILRによる心房細動の検出は、脳卒中の予防に有効か/Lancet

 脳卒中のリスク因子を持つ集団において、脳卒中の予防を目的とする植込み型ループレコーダ(ILR)による心房細動のスクリーニングは、心房細動の検出と抗凝固療法の開始をそれぞれ約3倍に増加させるものの、脳卒中や全身性動脈塞栓症のリスク低減には結び付かず、大出血の発生も抑制しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院RigshospitaletのJesper Hastrup Svendsen氏らが実施した「LOOP試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年8月27日号に掲載された。

肺動脈圧遠隔モニタリングによる心不全管理、COVID-19影響分析の結果/Lancet

 肺動脈圧遠隔モニタリングによる血行動態ガイド下の心不全管理は、通常治療のみと比較して、試験全体では全死因死亡と心不全イベントの複合エンドポイントを改善しないものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を考慮した感度分析の結果に基づくpre-COVID-19影響分析では統計学的に有意に良好との研究結果が、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJoAnn Lindenfeld氏らが実施したGUIDE-HF試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年8月27日号に掲載された。  本研究は、症状の重症度が広範囲にわたる心不全患者において、肺動脈圧遠隔モニタリングによる血行動態ガイド下の心不全管理は、心不全イベントや死亡を低減するかの評価を目的とする単盲検無作為化対照比較試験であり、2018年3月~2019年12月の期間に、米国の114施設とカナダの4施設で患者登録が行われた(米国・Abbottの助成による)。  対象は、NYHA心機能分類クラスII~IVの心不全患者で、左室駆出率の値は問われなかった。また、試験前にナトリウム利尿ペプチドの上昇がみられるが、心不全による入院歴のない患者なども含まれた。

血小板減少症/血栓症リスク、コロナワクチン接種後vs. 感染後/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のChAdOx1 nCoV-19ワクチン(Oxford-AstraZeneca製)の初回接種後には血小板減少症や静脈血栓塞栓症、まれな動脈血栓症のリスクが上昇し、BNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech製)初回接種後には動脈血栓塞栓症や虚血性脳卒中のリスクの増加が認められるが、これらのイベントのリスクは、ワクチン接種後と比較して同一集団における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染後のほうがはるかに高く、長期に及ぶことが、英国・オックスフォード大学のJulia Hippisley-Cox氏らの調査で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2021年8月26日号で報告された。  本研究は、イングランドにおけるCOVID-19ワクチンと血液学的/血管系イベントとの関連の評価を目的とする自己対照ケースシリーズ研究であり、2020年12月1日~2021年4月24日の期間に実施された(英国研究技術革新機構[UKRI]の助成による)。

軽症高血圧患者の認知症リスクに対する血圧コントロールの影響

 高血圧は、認知症リスクを上昇させるといわれているが、低リスクの軽症高血圧患者における認知症リスクに関する研究は、これまでほとんど行われていなかった。韓国・延世大学校のChan Joo Lee氏らは、グレードIの高血圧患者の認知症リスクに対する血圧コントロールの影響について調査を行った。Journal of Hypertension誌2021年8月1日号の報告。  National Health Insurance Service National Health Examinee cohortより、2005~06年にグレードI高血圧(140~159/90~99mmHg)と診断された患者12万8,665例を対象とした。対象患者は、血圧コントロール群(フォローアップ期間中の平均血圧:140/90mmHg未満)と非血圧コントロール群(平均血圧:140/90mmHg以上)に分類し、2015年までフォローアップを行った。認知症リスクは、傾向スコアで調整した後、Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。

エンパグリフロジン、糖尿病の有無を問わずHFpEFに有効/NEJM

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、糖尿病の有無を問わず左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)患者の心血管死または心不全による入院の複合リスクを有意に低下させることが、ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のStefan D. Anker氏らが行った、世界23ヵ国622施設で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III試験「EMPEROR-Preserved試験」の結果、示された。SGLT2阻害薬は、左室駆出率が低下した心不全患者の心不全による入院リスクを低下させるが、HFpEF患者における有効性については不明であった。NEJM誌オンライン版2021年8月27日号掲載の報告。

60~80歳高血圧、強化治療が標準治療のベネフィットを上回る/NEJM

 60~80歳の高血圧患者に対する収縮期血圧目標値110~130mmHgとする強化治療は、同130~150mmHgとする標準治療に比べ、心血管イベント発生リスクを約4分の3に低減する。中国・Chinese Academy of Medical SciencesのWeili Zhang氏らが、8,511例の患者を対象に行った無作為化試験の結果を報告した。高齢高血圧患者の心血管リスク低減について、適切な収縮期血圧目標値は不明なままであった。NEJM誌オンライン版2021年8月30日号掲載の報告。 研究グループは2017年1月10日~12月31日に、60~80歳で収縮期血圧値が140~190mmHgまたは降圧薬服用中の中国人患者を対象に多施設共同無作為化比較試験を行った。  被験者を無作為に2群に分け、一方には収縮期血圧目標値110~130mmHgで(強化治療群)、もう一方の群は同130~150mmHgで(標準治療群)、それぞれ降圧コントロール治療を行った。