泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:80

【日本癌治療学会2012】前立腺がん治療の過去と未来

第50回日本癌治療学会学術集会(2012年10月25日~27日)のシンポジウム「泌尿器がん治療の過去と未来」にて、市川智彦氏(千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学)は、「前立腺がん治療の過去と未来:外科的療法、ホルモン療法を中心に」と題して、前立腺がんの治療の歴史と現在の標準治療、今後の展望について、外科的治療と去勢抵抗性前立腺がんを中心に講演を行った。

早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?!

 早漏の原因として、ノルアドレナリンやセロトニンなどの自律神経のバランス異常があると考えられている。これらノルアドレナリンやセロトニンの調整にはSSRIやSNRIなどの抗うつ薬が有する薬理作用が有効であるとも考えられる。中国のTao Wu氏らは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み阻害作用を有するがん疼痛治療剤トラマドールの早漏治療に対する有効性および安全性に関してメタアナリシスを行い検討した。Urology誌2012年9月号(オンライン版2012年7月26日号)の報告

PSAスクリーニング、QALを考慮した場合のベネフィット

 前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングによる前立腺がん死亡率減少というベネフィットは、過剰診断やその後の長期にわたる治療で失われる質調整生存年(QALY)によって減じてしまうことが示された。オランダ・エラスムス医療センターのEveline A.M. Heijnsdijk氏らが、欧州前立腺がんスクリーニング無作為化試験(ERSPC)の追跡データをベースに作成したモデルを用いて解析した結果で、「スクリーニングを勧告する前に、より長期のERSPCとQOL解析の両者の追跡データが必須である」と結論している。NEJM誌2012年8月16日号掲載報告より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(6)〕 女性の急性腎盂腎炎、抗菌薬の7日間投与が有効

 急性腎盂腎炎の治療は、原因菌に感受性のある抗生物質を10~14日間投与するプロトコールが、本邦で長らく用いられてきた方法であろう。第一選択の薬剤は培養検査の結果が判明するまで、βラクタムあるいはニューキノロンが選択されるが、院内感染症対策部門の意向も取り入れて選ばれることと思う。

米国在住HIV感染者のうち、米国外出生者は16.2%

 米国在住で2007~2010年にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の診断を受けた約19万人のうち、16.2%が米国外出生者だったことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のAdria Tassy Prosser氏らが、CDCに報告されたデータを調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月8日号で発表した。国内生まれの感染者と国外生まれの感染者とでは疫学的な特性が異なるという。

女性の急性腎盂腎炎、抗菌薬の7日間投与が有効

 急性腎盂腎炎の女性患者に対するシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンなど)の7日間投与は有効かつ安全な治療法であることが、スウェーデン・Sahlgrenska大学病院のTorsten Sandberg氏らの検討で示された。尿路感染症の最大の原因は腸内細菌の抗菌薬に対する耐性化であり、対策としては投与期間の短縮など、抗菌薬の消費量の抑制が重要だという。急性腎盂腎炎は成人女性に高頻度にみられる感染症だが、その治療法に関する対照比較試験は少なく、抗菌薬治療の至適投与期間は確立されていない。Lancet誌2012年8月4日号(オンライン版2012年6月21日号)掲載の報告。

男女間のHIV-1感染、抗レトロウイルス薬の曝露前予防的投与により有意に低下

 抗レトロウイルス薬の曝露前投与による男女カップル間のHIV-1感染防御について検討した無作為化試験の結果、感染率の有意な低下が示され、防御効果があることが報告された。試験は、米国・ワシントン大学のJ.M. Baeten氏ら「Partners Preexposure Prophylaxis(PrEP)試験」グループが、テノホビル(TDF、商品名:ビリアード)およびテノホビル配合剤(TDF-FTC、商品名:ツルバダ)についてプラセボとの対照で検討した結果で、単剤、配合剤ともに男女間の感染を防御することが報告された。NEJM誌2012年8月2日号(オンライン版2012年7月11日号)掲載報告より。

黒人で高い、男性間性交渉者のHIV感染リスク

 黒人の男性間性交渉者(MSM)は、非黒人MSMに比べHIV陽性者が多く、抗レトロウイルス薬併用療法(cART)を受けている者が少なく、低所得などの構造的障壁を持つ者が多いことが、米国疾病対策予防センター(CDC)のGregorio A Millett氏らの検討で示された。2009年の米国のHIV感染者の約4分の1を、全人口の1%に満たない黒人MSMが占め、人種間の感染隔差の最大の要因となっているという。CDCによれば、2009年の若年の黒人MSMにおける新規HIV感染者は2006年に比べ48%も増加した。Lancet誌2012年7月28日号(オンライン版2012年7月20日号)掲載の報告。

HIVとHCV重複感染者、肝線維化進むほど肝細胞がんや死亡リスク増大

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染者では、肝線維化が進んでいるほど末期肝疾患・肝細胞がん・死亡の複合リスクが増大することが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のBerkeley N. Limketkai氏らが、600人超の患者について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。