上部尿路がんに対する術後抗がん化学療法の有効性:POUT trial第III相試験(解説:宮嶋哲氏)-1216
上部尿路がんは予後不良であるものの、術後補助化学療法の有効性は確認されていない。本研究では腎盂尿管がんで腎尿管全摘除術を施行された患者(261例)を対象に、経過観察群とシスプラチン主体の抗がん化学療法投与群(ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン)の2群にランダム化してその有効性を前向きに比較検討したものである。2012年から2017年までに登録された261症例のうち、132例が化学療法群、129例が経過観察群に割り付けられ、観察期間中央値は30.3ヵ月であった。術後化学療法はDFS(HR:0.45、p=0.0001)ならびにMFS(HR:0.48、p=0.0007)を有意に改善した。3年無事象生存率(event-free survival)は化学療法群で71%、経過観察群で46%であった。一方、Grade3以上の有害事象は、化学療法群で44%、経過観察群で4%に認めたが、治療関連死は認めなかった。