泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

日本人のがん患者の新型コロナウイルス抗体レベルは低いのか/JAMA Oncol

 がん患者における新型コロナ抗体レベルは健康成人と比べて低いのか。わが国のがん患者と、非がん罹患者としての医療者のあいだで、血清SARS-CoV-2抗体の状態を比較した国立がんセンター中央病院 矢崎 秀氏らの前向き研究が発表された。  対象は2020年8月3日~10月30日に、東京周辺の2つのがんセンターから、16歳以上のがん患者と医療者で前向きに登録された。  評価項目は、がん患者と医療者の血清有病率と抗体レベル。血清陽性の定義は、ヌクレオカプシドIgG(N-IgG)および/またはスパイクIgG(S-IgG)の陽性であった。がん患者は、薬物療法、外科手術、放射線療法などのがん治療を受けている。

一部の抗がん剤の投与患者、新型コロナ感染率が低い/JAMA Oncol

 アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を減少させる可能性のある抗がん剤(mTOR/PI3K阻害薬や代謝拮抗薬など)を投与している患者では、他の抗がん剤の投与患者と比べて有意にSARS-CoV-2感染率が低かったことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMichael B. Foote氏らのコホート研究で示された。JAMA Oncology誌オンライン版2021年8月19日号に掲載。  本研究では、まずLibrary of Integrated Network-Based Cellular Signaturesのデータベースを使用し、細胞株全体でACE2遺伝子の発現低下に関連する抗がん剤を特定した。次に、COVID-19パンデミック中にMemorial Sloan Kettering Cancer Centerでがん治療を受けていた1,701例の後ろ向きコホートについて、ACE2を減少させる抗がん剤での治療がSARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)と関連があるかどうかを検討した。対象は、がんの積極的治療を受け、2020年3月10日~5月28日にSARS-CoV-2検査を受けた患者で、主要アウトカムはACE2を減少させる可能性のある抗がん剤による治療とSARS-CoV-2検査陽性との関連とした。

腎細胞がん術後補助療法、ペムブロリズマブがDFS延長/NEJM

 再発リスクが高い腎がん患者の術後補助療法として、ペムブロリズマブはプラセボと比較し無病生存(DFS)期間を有意に延長することが認められた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のToni K. Choueiri氏らが、第III相国際共同無作為化二重盲検比較試験「KEYNOTE-564試験」の中間解析結果を報告した。腎摘除術を受ける腎細胞がん患者では、再発リスクを低下させる術後補助療法として、エビデンスレベルが高い選択肢はこれまでなかった。NEJM誌2021年8月19日号掲載の報告。  研究グループは、18歳以上の淡明細胞型腎細胞がん患者で、再発リスクが高く(Grade4または肉腫様分化を伴うpT2、pT3以上、局所リンパ節転移、またはM1 NED[原発巣の切除と同時または術後1年以内に転移巣完全切除後、病変が認められない患者])、全身療法未実施、術後12週以内の患者を、ペムブロリズマブ(200mg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ3週ごと、最大17サイクル(約1年)投与した。

「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)ガイドライン」刊行、ポイントは?

 遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の診療に関しては、2017年に「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療の手引き」が刊行されている。HBOC既発症者へのリスク低減手術の保険収載や、膵がん・前立腺がんへのPARP阻害薬の承認など、遺伝子検査に基づく治療・マネジメントがいっそう求められる中、Minds「診療ガイドライン作成マニュアル2017」を遵守する形で、今回新たにガイドラインがまとめられた。2021年8月7日、webセミナー「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン 2021年版の解説(主催:厚生労働科学研究費補助金[がん対策推進総合研究事業]「ゲノム情報を活用した遺伝性腫瘍の先制的医療提供体制の整備に関する研究」班)が開催され、各領域のポイントが解説された。

高リスク尿路上皮がんのニボルマブ術後補助療法をFDAが承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年8月20日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学療法やリンパ節転移の有無、PD-L1の発現レベルにかかわらず、根治切除後の再発リスクが高い尿路上皮がん(UC)患者の術後補助療法として、ニボルマブを承認したと発表。  この承認は、ニボルマブとプラセボを比較した第III相CheckMate-274試験に基づいている。  同試験において、ニボルマブ群は、プラセボ群と比較して、無病生存期間(DFS)中央値を延長した(ニボルマブ群20.8ヵ月 vs.プラセボ群10.8ヵ月、ハザード比:0.70、95% CI:0.57~0.86、p=0.0008)。

発熱ない尿路感染疑い男性への抗菌薬、7日間vs.14日間/JAMA

 発熱がなく、細菌性尿路感染症(UTI)が疑われる男性の抗菌薬治療では、投与終了から14日以内のUTI症状の消失に関して、シプロフロキサシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールの7日間投与は14日間投与に対し非劣性であり、UTI症状の再発割合には有意な差がないことが、米国・ミネアポリス退役軍人局保健医療システムのDimitri M. Drekonja氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年7月27日号で報告された。本研究は、発熱がみられないUTI男性における抗菌薬の7日間投与の14日間投与に対する非劣性の検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2014年4月~2019年12月の期間に米国退役軍人局の2つの医療センターで参加者の登録が行われた(米国退役軍人局Merit Review Programの助成による)。

CGPを提供するリキッドバイオプシーを国内で初めて発売/中外製薬

 中外製薬は、固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP)を提供するリキッドバイオプシー検査である「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」について、8月1日より保険償還が開始され、21021年8月2日、発売したと発表。あわせてエスアールアエルによる検査の受託も開始される。  FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、血液検体を用いた固形がんに対するCGPと、国内承認済の複数のがん治療薬に対するコンパニオン診断機能を持ったがん遺伝子パネル検査で、本年3月22日に厚生労働省より承認されている。

【8月6日まで】ヘルスケアベンチャー大賞への参加者募集

 日本抗加齢協会と日本抗加齢医学会は、今秋もヘルスケアベンチャー大賞を開催する。今年で3回目を迎える同大賞は『アンチエイジングからイノベーションを!』をテーマに掲げ、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを募集しており、7月26日までだった募集期間を8月6日に延長した。  ベンチャー企業はもちろんのこと、起業準備中の個人や企業との連携を求める個人なども応募が可能。1次審査にてファイナリスト8名(社)を選出し、10月の最終審査で受賞者が決定する。大賞・学会賞受賞者は賞金授与だけではなく、来年6月に開催予定の第22回日本抗加齢医学会総会での発表機会も与えられる。

前立腺がんスクリーニング、MRI標的生検で過剰診断が低下/NEJM

 MRIで前立腺がんが示唆された男性に対するMRI標的生検は、標準生検に対して、臨床的に意義のある前立腺がんの検出に関して非劣性であることが、住民ベースの無作為化非劣性試験で明らかとなった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMartin Eklund氏らが結果を報告した。前立腺がんスクリーニングでは、過剰診断率の高さが大きな障壁となっている。MRI標的生検はこの課題を解決できる可能性が示唆されていたが、前立腺がんスクリーニングにおけるMRI標的生検の意義は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年7月9日号掲載の報告。

向精神薬が膀胱機能に及ぼす影響~メタ解析

 イタリア・パルマ大学のMargherita Trinchieri氏らは、向精神薬が膀胱機能に及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurourology and Urodynamics誌オンライン版2021年5月18日号の報告。  向精神薬で治療された患者における治療誘発性尿路障害に関するランダム化比較試験を、PubMedおよびEmbaseより検索し、システマティックレビューを実施した。  主な結果は以下のとおり。 ・52件の研究が抽出された。 ・抗うつ薬治療では、畜尿症状ではなく、膀胱排尿症状の出現がより頻繁に認められた。 ・プール分析では、プラセボと比較し、排尿症状のオッズ比(OR)が高かった(OR:3.30、信頼区間[CI]:1.90~5.72、7,856例、p<0.001)。 ・排尿機能障害の割合は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と比較し、三環系抗うつ薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)のほうが高かった。 ・抗精神病薬治療では、排尿、畜尿障害を含む不均一な尿障害との関連が認められた。 ・抗精神病薬治療中の認知症患者の尿失禁のORは、プラセボよりも高く(OR:4.09、CI:1.71~9.79、p=0.002)、抗精神病薬間での差は認められなかった。 ・排尿障害の割合は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬との間に差は認められなかったが(OR:1.64、CI:0.79~3.39、p=0.19)、クエチアピンは、他の非定型抗精神病薬よりも排尿機能障害を起こす可能性が高かった(OR:2.14、CI:1.41~3.26、p>0.001)。