泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

ドキシサイクリン曝露後予防、男性間性交渉者の細菌性性感染症に有効か/NEJM

 男性間性交渉者(MSM)では、ドキシサイクリン曝露後予防(doxy-PEP)は標準治療と比較して、細菌性性感染症(STI)の発生率が有意に低く、有害事象プロファイルや安全性、受容性に関する懸念はないことが、米国・ザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院・外傷センターのAnne F. Luetkemeyer氏らが実施した「DoxyPEP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年4月6日号で報告された。  DoxyPEP試験は、サンフランシスコ市とシアトル市の4つの施設で実施された非盲検無作為化試験であり、2020年8月~2022年5月の期間に参加者の登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

前立腺がんに対する積極的な監視、手術、放射線治療の15年解析結果(解説:宮嶋哲氏)

1999年から2009年にかけて英国では、50歳から69歳までの8万2,429例の男性が血清PSA検診を受けていた。そのうち、2,664例が限局性前立腺がんと診断され、1,643例が本試験(ProtecT trial)にランダム化して登録された。その内訳は、545例が積極的な監視療法、553例が前立腺全摘除術、545例が放射線治療であった。観察期間の中央値は15年であり、主要評価項目は前立腺がん死、副次評価項目は他因死、転移、病勢進行、長期アンドロゲン除去療法の開始とした。1,610例において観察が完了し、1/3の患者で中リスクから高リスクであった。前立腺がん死を来した45例の内訳は、監視療法17例、手術12例、放射線治療16例であった(p=0.53)。他因死の356例に関しては、どの群とも似た人数であった。転移を来した患者の内訳は、監視療法51例、手術26例、放射線治療27例であった。長期アンドロゲン除去療法を施行したのは各群で、69例、40例、42例であった。臨床的に病勢進行を来したのは各群で、141例、58例、60例であった。監視療法群において、前立腺がんに対する処置を行わずに生存していたのは、24.4%に相当する133例であった。

前立腺動脈塞栓術により前立腺肥大症の症状が軽減

 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia;BPH)の症状に対する前立腺動脈塞栓術(prostatic artery embolization;PAE)の長期的な効果が、米マイアミ大学医学部のShivank Bhatia氏らによる研究で示された。PAEは、肥大した前立腺への血流を部分的に遮断する治療法で、侵襲性は低いとされている。Bhatia氏によると、PAEを受けた患者では、頻尿や尿失禁などの排尿に関わる症状(下部尿路症状)が劇的に改善したという。この研究結果は、インターベンショナルラジオロジー学会(SIR 2023、3月4〜9日、米フェニックス)で報告された。

ピロリ菌感染、がん治療には良い影響か~大幸研究

 Helicobacter pylori(HP)感染は胃がんの原因と考えられているが、逆にHP陽性の進行胃がん患者の生存率がHP陰性患者よりも高いことがさまざまな国の研究で報告されている。また以前の研究から、HP感染により潜在的な抗腫瘍免疫が維持されることにより、生存期間が延長する可能性が示唆されている。今回、岩手医科大学医歯薬総合研究所の西塚 哲氏らが大幸研究コホートの前向き研究で、すべてのがんの発生率および死亡率を検討した結果、HP陽性者の全がん発生率は陰性者より有意に高かったが、全がん死亡率は同等だった。著者らは、HP感染によるがん診断後の死亡リスク低下の可能性を考察している。PLOS Global Public Health誌2023年2月8日号に掲載。

前立腺がん15年後の転帰、監視vs.手術vs.放射線/NEJM

 英国・オックスフォード大学のFreddie C. Hamdy氏らは、Prostate Testing for Cancer and Treatment(ProtecT)試験の追跡調査期間中央値15年時点における、PSA監視療法vs.根治的前立腺全摘除術vs.内分泌療法併用根治的放射線療法の有効性を比較し、いずれの治療法でも前立腺がん特異的死亡率は低いことを明らかにした。著者は、「新たに限局性前立腺がんと診断された患者に対しては、治療の有益性と有害性のバランスを慎重に検討して治療法を選択する必要がある」とまとめている。NEJM誌オンライン版2023年3月11日号掲載の報告。

転移性去勢抵抗性前立腺がんでPARP阻害薬rucaparibは有効(解説:宮嶋哲氏)

rucaparibはポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であり、第II相試験ではBRCA遺伝子変異を伴う転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者で高い活性を示した。本研究は、BRCA1、BRCA2、またはATM変異を伴うmCRPC患者において、第2世代アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)治療後に病勢進行を認めた患者に対して、rucaparib、もしくはドセタキセルまたは第2世代ARPIを2:1で割り付けたランダム化第III相試験(TRITON3試験)である。主要評価項目は画像評価によるPFSである。スクリーニングを受けた4,855例のうち、270例がrucaparib投与群、135例が対照群に割り付けられた。各群でのBRCA変異症例は201例、101例に認められた。

複雑化する薬剤・治療を横断的に概説、『がん免疫療法ガイドライン』改訂/日本臨床腫瘍学会

 がんに対する免疫を介在した治療方法(がん免疫療法)は、新しい薬剤の開発および臨床試験の蓄積により近年急速に発展している。CTLA-4やPD-1/PD-L1といった免疫チェックポイントを標的とした免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ががん種横断的に承認されているほか、エフェクターT細胞療法や、複数のICIを組み合わせて使う併用療法、ICIと従来の抗がん剤、分子標的薬、血管新生阻害薬、放射線治療等とを組み合わせた治療法も続々と登場している。

男性用経口避妊薬の実現に向けて、マウスで有効性確認

 1人の男性が彼女とベッドインする前に、小さな錠剤を口にする。ただしそれはバイアグラではない。セックスの直前に服用するだけで妊娠を防ぐことができる避妊薬だ――。このような男性によるオンデマンドの避妊法が、いつの日か実際に可能になるかもしれない。米ワイルコーネル医科大学のLonny Levin氏らは、精子の泳ぐ力の鍵となる酵素を阻害するという手法を、男性用避妊薬の開発へつなげる研究を行っている。  「Nature Communications」に2月14日掲載された研究によると、実験用マウスにある化合物を投与してその酵素の作用を阻害すると、妊娠が成立しないことが確認された。Levin氏は、「化合物の効果は投与後30分以内に発現し、その後2時間は効果が維持され、翌日には投与前と同じ状態に戻っていた。マウスに何ら悪影響は見られず、性的行動と射精は全く正常だった」と話している。

ペムブロリズマブの去勢抵抗性前立腺がんおよびEGFR陽性非小細胞がんの第III相試験/MSD

 Merck社は2023年2月28日、第III相試験KEYNOTE-641およびKEYNOTE-789の最新情報を公開。転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびアンドロゲン除去療法(ADT)との併用を評価する第III相KEYNOTE-641試験については、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき中止する。中間解析において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびADTの併用療法では、プラセボ+エンザルタミドおよびADTと比較して、2つの主要評価項目である画像上の無増悪生存期間(rPFS)または全生存期間(OS)の改善が確認されず、OSについては事前に設定した無益性の境界(futility boundary)を超えた。

EU・英国の2023年がん死亡率、肺がんは減少も女性で増加の国あり/Ann Oncol

 イタリア・ミラノ大学のMatteo Malvezzi氏らは、欧州連合(EU)に加盟する27ヵ国全体および、EUのなかで人口が多い5ヵ国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド)、英国の2023年のがん死亡率の予測を発表した。本調査は毎年実施され、2023年の重点調査は肺がんとされた。EU加盟27ヵ国における2023年のがん死亡率は、2018年と比べて男性では6.5%、女性では3.7%減少すると予測された。また、EU加盟27ヵ国における2023年の肺がんによる死亡率は、2018年と比べて男性では10.2%減少すると予測されたが、女性では1.2%増加すると予測された。本調査結果は、Annals of Oncology誌オンライン版2023年3月5日号に掲載された。