泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

抑うつ症状の強い女性には下部尿路症状が多い――国内ネット調査

 日本人女性では、頻尿や尿失禁などの下部尿路症状と抑うつ症状との間に有意な関連のあることが明らかになった。特に若年女性で、より強固な関連が認められたという。横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器・腎移植科の河原崇司氏らが行ったインターネット調査の結果であり、詳細は「Lower Urinary Tract Symptoms」に3月30日掲載された。  頻尿、尿意切迫感、尿失禁、排尿後の尿漏れといった下部尿路症状(LUTS)は加齢とともに増え、特に女性では尿失禁や尿漏れが男性に比べて起こりやすい。LUTSは命にかかわるものではないものの、生活の質(QOL)を大きく低下させる。一方、うつ病も女性に多い疾患であり、かつ、うつ病は時に命にかかわることがある。これまで海外からは、女性のLUTSがうつ病リスクに関連していることを示す研究結果が報告されている。ただし、それを否定する研究もあり、また日本人女性対象の研究報告はまだない。河原氏らの研究は以上を背景として行われた。

米CDCが今夏のサル痘再流行の可能性について警告

 米疾病対策センター(CDC)は5月15日、ヘルス・アラート・ネットワークを通して、サル痘ウイルスに感染するリスクのある人にワクチンを接種するよう呼びかけた。背景には、2022年夏にピークに達して以降、徐々に減少していたサル痘(2023年2月にエムポックスに名称変更)の罹患者数が再び増加に転じる可能性に対する危惧がある。CDCは、「人々が集うフェスティバルやその他のイベントを通して、2023年の春から夏にかけてサル痘が再び流行する可能性がある」と述べている。

クランベリーの尿路感染症予防効果、新たなデータで示される

 クランベリー製品の摂取が尿路感染症(UTI)の予防に役立つという説は何十年も前から唱えられているが、50件の研究のレビューから、その説を支持する結果が得られたことが報告された。フリンダース大学(オーストラリア)医学・公衆衛生学部公衆衛生学科のJacqueline Stephens氏らによるこの研究結果は、「Cochrane Library」に4月17日掲載された。Stephens氏は、「濃縮液や錠剤・カプセル状のクランベリー製品の摂取が、UTI再発患者や小児など一部の人に有効であることについて、初めて合意を得ることができた」と話している。

抗菌薬の長期使用で肺がんリスクが増加

 近年の研究で、抗菌薬によるマイクロバイオーム異常および腸と肺の相互作用が肺がん発症の引き金になる可能性が指摘されている。今回、韓国・ソウル国立大学のMinseo Kim氏らが抗菌薬の長期使用と肺がんリスクの関連を調べたところ、抗菌薬の累積使用日数および種類の数が肺がんリスク増加と関連することが示された。Journal of Infection and Public Health誌2023年7月号に掲載。

青少年トランスジェンダーへの医療ケア、どうあるべき?

 米国を中心に、トランスジェンダー(出生時点の身体と自認の性別が一致していない人)をはじめとした性的マイノリティーに対する社会制度・配慮がどうあるべきかという議論が高まっている。トランスジェンダーを肯定した医療や制度整備を進めることを目的に、医学・法学などの専門家で構成される国際的非営利組織「世界トランスジェンダー保健専門家協会(World Professional Association for Transgender Health:WPATH)は、独自に「トランスジェンダーとジェンダー多様な人々の健康のためのケア基準」を作成している。10年ぶりの更新となる第8版(SOC-8)が2022年9月に発表され、JAMA誌2023年5月18日号にそのサマリーが公開された。

進行腎細胞がん1次治療、カボザンチニブ+NIVO+IPIがPFS改善(COSMIC-313)/NEJM

 予後予測分類が中リスクまたは高リスクで未治療の進行腎細胞がん患者において、チロシンキナーゼ阻害薬カボザンチニブとニボルマブ+イピリムマブの併用療法はニボルマブ+イピリムマブと比較して、1年時の無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したが、Grade 3/4の有害事象の頻度は高かったことが、米国・ハーバード大学医学大学院のToni K. Choueiri氏らが実施した「COSMIC-313試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年5月11日号で報告された。  COSMIC-313試験は、北米、欧州、南米、アジアなどの諸国の施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年6月~2021年3月の期間に患者の無作為割り付けが行われた(米国・Exelixisの助成を受けた)。

コロナ禍のリモートワーク、医師からは「非効率」の声が多数

 新型コロナウイルス感染症の流行により、世界中の医療機関で急速にリモートワークが導入された。それは医療現場の生産性、スタッフの健康、コミュニケーションにどのような影響をもたらしたのか。カナダ・トロント大学医療政策管理評価研究所のChristopher McChesney氏らによる研究結果が、JCO oncology practice誌オンライン版2023年2月22日号に掲載された。  研究者らは2021年6月~8月、トロントの大規模がんセンターであるPrincess Margaret Cancer Centreにおいて、COVID-19パンデミック時に1回でもリモートワークを行ったスタッフに対してメールで調査票を配布し、匿名で回答を得た。

術後せん妄予防にメラトニン投与が有望~メタ解析

 術後せん妄は、死亡率に影響を及ぼす問題である。その多くは予防可能であり、予防薬としてメラトニン投与が有望であるといわれている。英国・Bristol Royal InfirmaryのJonathan Barnes氏らは、術後せん妄の予防におけるメラトニンの有効性に関する最新のエビデンスのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、メラトニンは、成人の術後せん妄発生率を低下させる可能性が示唆された。BMJ Open誌2023年3月29日号の報告。

サル痘の意外な臨床的特徴と発現率は?~メタ解析

 サル痘(mpox)は、これまでは主にアフリカ中央部から西部を常在国として発生してきたが、2022年5月以降は欧米を中心に世界各地で8万6,000例以上が報告されている(2023年3月24日時点)。潜伏期間は通常6~13日(最大5~21日)で、発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状に続いて発疹が出現するが、常在国以外での感染例では、これまでのサル痘の症状とは異なる所見が報告されている。

早期の転移性セミノーマ患者に対してはリンパ節切除が第一選択肢に?

 精巣がん患者のうち、初期の転移性セミノーマ患者では、化学療法や放射線療法は必要ではなく、後腹膜(腹膜の外側と腹壁の間の腔)にあるリンパ節の切除〔後腹膜リンパ節郭清術(RPLND)〕だけで十分であるという研究結果が報告された。研究論文の筆頭著者である、米南カリフォルニア大学ケック医学校の泌尿器科腫瘍医Siamak Daneshmand氏は、「試験対象者の大多数がRPLNDのみで治癒し、従来の化学療法や放射線療法に付随する毒性を回避できることが本研究で示された。われわれは、セミノーマに対するこの手術が、近い将来、治療ガイドラインに組み込まれることを確信している」と話している。研究の詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に3月13日掲載された。