呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:338

市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311

 市中肺炎では過剰な炎症性サイトカインによって肺が障害され、肺機能が低下すると考えられている。そのため、理論的には抗炎症効果を有するステロイドを併用することが有効と考えられ、肺炎の治療に有益かどうか1950年代から議論されてきた。しかしながら、最近報告された2つのランダム化比較試験においても相反する結果が得られており、いまだにステロイド併用の有益性について結論が出ていない)。

健康的な食事はCOPDリスクも減らす/BMJ

 先行研究で、食事の質を測る新たな代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index 2010:AHEI-2010)が、心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患やがんのリスクに関連していることが報告されている。フランス・国立保健医学研究所(Inserm)のRaphaelle Varraso氏らは、米国人男女対象の前向きコホート研究を行い、同指数高値と慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスク低下が関連することを明らかにした。AHEI-2010とは、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ナッツ、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量が高く、赤身/加工肉、精製粉、甘味料入飲料の摂取量が低い食事を反映した健康食指数である。これまでCOPDリスクへの食事スコアの寄与については不明であったが、今回の結果を踏まえて著者は、「COPD予防には、多面的な介入プログラムが重要であることが支持された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。

妊婦の禁煙支援に報奨が有効/BMJ

 妊婦の禁煙支援として、通常ケアに加え金銭的な報奨の付与が有効であることが、英国・グラスゴー大学のDavid Tappin氏らが行ったCPIT試験で示された。米国では妊婦の禁煙支援に金銭的な報奨を導入した小規模な臨床試験がいくつか行われており、英国立医療技術評価機構(NICE)はその費用対効果を検証する研究の実施を呼びかけている。英国の世論調査のデータを使用した離散選択実験(discrete choice experiment)では、報奨は月額20~80ポンドであれば許容されることが示唆されていた。BMJ誌オンライン版2015年1月27日号掲載の報告。

市中肺炎入院患者、ステロイド追加で早期回復/Lancet

 入院を要する市中肺炎患者の治療において、プレドニゾンの7日間投与による補助療法を行うと、臨床的安定の達成までの期間が有意に短縮することが、スイス・バーゼル大学病院のClaudine Angela Blum氏らの検討で示された。市中肺炎では、血中への炎症性サイトカインの過剰放出により肺機能障害が引き起こされるが、ステロイドは全身性の炎症過程を抑制し、さらに肺炎球菌性肺炎に対する効果も確認されている。一方、ステロイド補助療法のベネフィットに関する議論は1950年代から続いているが、最近の臨床試験の結果は相反するものだという。Lancet誌オンライン版2015年1月18日号掲載の報告。

肺炎入院歴は心血管疾患のリスク因子/JAMA

 肺炎による入院歴がある集団では、これがない集団に比べ心血管疾患(CVD)の発症率が、短期的および長期的にも高いことが、カナダ・オタワ大学のVicente F. Corrales-Medina氏らの検討で示された。65歳以上では、30日発症率が約4倍に達し、その後10年まで有意なリスクの増大がみられ、65歳未満でも2年目まで有意なリスク上昇が確認された。CVDの至適な予防戦略を確立するには、リスク因子の特性化が重要であり、感染症はCVDの短期的、長期的なリスク因子である可能性が指摘されている。JAMA誌2015年1月20日号掲載の報告。

非喫煙者にも広がる電子タバコ

 電子タバコ愛用者は増えているのか。米国・ミシシッピ大学のRobert C McMillen氏らは、米国成人を対象に、電子タバコ使用の人口統計学的予測因子、および電子タバコ使用者の喫煙状況について検討した。その結果、2010年からの4年間で電子タバコが急速に普及していること、電子タバコ使用者の3分の1は非喫煙者や過去喫煙者などであり、電子タバコがニコチン摂取や再習慣化につながっている現状が明らかになった。Nicotine & tobacco research誌オンライン版2014年11月6日号の掲載報告。

喘息は睡眠時無呼吸の発症リスクを増大/JAMA

 喘息は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の新規発症リスク増大と関連していることが明らかにされた。米国・ウィリアム S. ミドルトン記念退役軍人病院のMihaela Teodorescu氏らが、ウィスコンシン州で行われている住民ベースの前向き疫学研究Wisconsin Sleep Cohort Studyの参加者を対象に、喘息とOSA発症との関係性を調べ報告した。OSAは喘息患者に多いことが知られている。しかしこれまで喘息とOSA発症との関連は検討されていなかったという。JAMA誌2015年1月13日号掲載の報告より。

吸わない人のほうが幸福感が大きい

 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAndrew Stickley氏らは、旧ソ連の9ヵ国のデータを使用し、男性の喫煙率と喫煙関連死亡率の高い集団において、喫煙やニコチン依存と幸福感との関連について検討した。その結果、喫煙は低い幸福感と関連していることが認められ、喫煙が高い幸福感と関連するという見解とは矛盾していた。著者らは「旧ソ連諸国の政策との関連から、喫煙が健康に有害な影響を及ぼすという社会的認識が不足していた。しかし、最近の報告では禁煙を望む人が増えており、禁煙が身体的・精神的な健康につながることを強調することで、今回の知見を公衆衛生の取り組みに生かしていくべき」と指摘している。Tobacco control誌オンライン版2015年1月6日号に掲載。

シチシンの禁煙効果、ニコチン代替より良好/NEJM

 シチシン投与に簡便な行動支援を併用すると、ニコチン代替療法(NRT)に比べ禁煙効果が改善することが、ニュージーランド・オークランド大学のNatalie Walker氏らの検討で示された。シチシンは、マメ科植物由来のアルカロイドで、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬であり、東欧では1960年代から広く禁煙対策に使用されている。4つの系統的レビューでは、禁煙効果がプラセボに比べ短期的および長期的に優れ、有害事象の頻度も同等で、主に消化器症状がみられることが報告されている。NEJM誌2014年12月18日号掲載の報告。