精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

認知症患者とその介護者に対する遠隔医療介入効果~メタ解析

 遠隔医療機器を用いた医療介入は、COVID-19パンデミックにより必要性が高まっていることや、テクノロジーを通じ、医療提供者、患者、その家族のインフラおよび快適性が向上したことから、世界中で標準的な医療行為になりつつある。しかし、認知症患者の家族に対する遠隔医療介入の有効性はよくわかっていない。そのため、単なる便利なツールというだけでなく、エビデンスベースの遠隔医療介入を開発していくための調査が求められている。台湾・高雄医学大学のIta Daryanti Saragih氏らは、認知症患者およびその介護者に対する遠隔医療の心理教育的および行動的な介入の影響と有効性を調査する目的で、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入は、認知症患者のうつ病を軽減するとともに、介護者の知覚能力を向上させることが示唆された。Journal of Nursing Scholarship誌オンライン版2022年6月29日号の報告。

青年期の抑うつ症状とビタミンDレベルとの関係

 クウェートは、ビタミンD欠乏症の有病率が高い国の1つである。また、ビタミンD不足はうつ病のリスク因子であるといわれている。クウェート大学のReem Al-Sabah氏らは、同国の青年期における25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)と抑うつ症状との関連を調査した。その結果、ビタミンDの状態は、青年期の抑うつ症状と関連していないこと報告した。しかし著者らは、他の健康へのベネフィットを考慮し、青年期に十分なビタミンDレベルを維持することは重要であるとしている。Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health誌2022年6月27日号の報告。

双極性障害の入院予防、リチウム中止後の気分安定薬と抗精神病薬の有効性比較

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のM. Holm氏らは、双極性障害患者におけるリチウム中止後の精神科入院および治療失敗の予防に対する気分安定薬および抗精神病薬の実際の有効性を比較検討するため、双極性コホート研究を実施した。その結果、双極性障害患者のリチウム中止後の精神科入院を予防するためには、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬がとくに効果的であることが示唆された。また、著者らは、リチウムの再開は投薬変更のリスクが最も低くなる可能性があることを報告した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2022年6月25日号の報告。

片頭痛の有病率や割合を日本人で調査

 片頭痛は、反復性の頭痛発作で特徴付けられる慢性疾患であるにもかかわらず、日本におけるその疫学や治療状況に関して、最近の研究は十分に行われていない。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本における片頭痛の有病率および治療状況を明らかにするため、健康保険協会員を対象に、レセプトデータおよび片頭痛・頭痛に関するオンライン調査のデータを用いて実態調査を行った。その結果、日本人片頭痛患者の80%が医療機関での治療を受けておらず、苦痛を感じながら日常生活を続けていることが明らかとなった。著者らは、革新的な治療アプローチが利用可能になることに併せ、片頭痛は単なる頭痛ではなく、診断や治療が必要な疾患であることを啓発していく必要があるとしている。The Journal of Headache and Pain誌2022年6月23日号の報告。

インターネット依存に対する各種介入効果~メタ解析

 インターネット依存に対するさまざまな介入効果を評価するため、中国・Anhui Medical UniversityのXueqing Zhang氏らが、メタ解析およびネットワークメタ解析を実施した。その結果、インターネット依存にはほとんどの介入が効果的であるが、単一介入よりも組み合わせた介入のほうが、より顕著な症状改善が期待できることを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月26日号の報告。  2021年8月までに公表されたインターネット依存に対する介入効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を、各種データベース(PubMed、Cochrane、Embase、Web of Science、PsycINFO、ProQuest、CNKI、WanFang、VIP database、CBM)より検索した。バイアスリスクは、RCTのための改訂版コクランバイアスリスクツール(RoB2)を用いて評価した。従来のメタ解析およびネットワークメタ解析には、Rstudio SoftwareおよびStata 14.0を用いた。

認知症有病率の日本のコミュニティにおける20年間の推移

 認知症患者数は世界的に増加しており、とくに世界で最も高齢化が進む日本において、その傾向は顕著である。認知症高齢者の増加は、予防が必要な医学的および社会経済的な問題であるが、実情について十分に把握できているとはいえない。愛媛県・平成病院の清水 秀明氏らは、1997~2016年に4回実施した愛媛県中山町における認知症サブタイプ横断研究の結果を解析し、認知症有病率の経年的傾向について報告した。その結果、認知症の有病率は、人口の高齢化以上に増加しており、高齢化だけでない因子が関与している可能性が示唆された。著者らは、認知症高齢者の増加を食い止めるためには、認知症発症率、死亡率、予後の経年的傾向や認知症の増進・予防に関連する因子の解明および予防戦略の策定が必要であるとしている。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月26日号の報告。

オピオイド使用者へのブプレノルフィン、導入促進に有効なのは?/BMJ

 ブプレノルフィンはオピオイド使用障害(opioid use disorder)の最も効果的な治療法の1つであり、救急診療部で安全に治療を開始できることが知られているが、その臨床導入は遅れているという。米国・イェール大学医学大学院のEdward R. Melnick氏らは、EMBED(EMergency department initiated BuprenorphinE for opioid use Disorder)と呼ばれるオピオイド使用者が主体となる臨床意思決定支援のための介入法の、救急診療部でのブプレノルフィン導入における有効性について検討し、このツールは通常治療と比較して、救急診療部におけるブプレノルフィン治療の導入の患者レベルでの割合を増加させないことを確認した。研究の詳細は、BMJ誌2022年6月27日号に掲載された。

日本人の職場環境とストレス・うつ病との関連

 日本において、さまざまな労働環境因子がストレスやうつ病に及ぼす影響を調査した研究は、十分ではない。慶應義塾大学の志賀 希子氏らは、日本の労働者における労働環境因子とストレスやうつ病との関連について、調査を行った。その結果、日本人労働者のストレスやうつ病には、仕事の要求、仕事のコントロール、職場でのハラスメント、心理的安全性などが関連していることが示唆された。Work誌オンライン版2022年6月18日号の報告。  日本で主にデスクワークに従事する労働者を対象に、アンケート調査を実施した。ストレス、うつ病、職場環境の評価には、知覚されたストレス尺度(PSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)、身体的および心理的な職場環境アンケートをそれぞれ用いた。対象者をPSSスコア(中央値で、低ストレス群または高ストレス群に分割)およびPHQ-9スコア(5未満:非うつ病群、5以上:うつ病群)に基づいて分類し、労働環境の群間比較を行った。加えて、重回帰分析を実施した。

抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対する増強療法のブレクスピプラゾール最適用量~メタ解析

 ブレクスピプラゾールの増強は、治療抵抗性うつ病の効果的な治療戦略であるといわれているが、その最適な投与量はよくわかっていない。東京武蔵野病院の古川 由己氏らは、他の抗うつ薬の増強療法に用いるブレクスピプラゾールの最適な投与量について、検討を行った。その結果、抗うつ薬治療抵抗性うつ病患者に対する増強療法のブレクスピプラゾールは、1~2mgの用量で有効性、忍容性、受容性の最適なバランスが得られる可能性が示唆された。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年6月18日号の報告。

うつ病患者における抗うつ薬の継続と慢性疼痛発症率~日本でのレトロスペクティブコホート

 うつ病と慢性疼痛との関連は、よく知られている。しかし、うつ病患者における抗うつ薬の治療継続およびアドヒアランスと慢性疼痛発症との関連は不明なままであった。これらの関連を明らかにするため、ヴィアトリス製薬のShingo Higa氏らは、日本国内のデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。その結果、うつ病患者に対する6ヵ月以上の抗うつ薬の継続処方は、慢性疼痛発症を低減させる可能性があることが示唆された。Journal of clinical psychopharmacology誌2022年5-6月号の報告。