小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:61

HPVワクチン+検診で子宮頸がん撲滅可能/Lancet

 今世紀末までに、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種率が上昇できれば、ほとんどの低~中所得国(LMIC)における子宮頸がんを撲滅可能であることが示された。また検診の受診率上昇が、子宮頸がんの減少を促進し、疾病負荷の最も高い国における子宮頸がんの撲滅に必要であることも示唆された。カナダ・ラヴァル大学のMarc Brisson氏らが、LMIC 78ヵ国を対象とした、世界保健機関(WHO)の子宮頸がん撲滅プログラムが子宮頸がん罹患率に及ぼす影響に関するモデル分析の結果を報告した。WHOは公衆衛生の問題として子宮頸がん撲滅のための行動喚起を表明しており、研究グループは、世界的な取り組みへの情報提供に役立てるため、LMICにおける子宮頸がん撲滅の実現の可能性と時期を検証し、撲滅の過程で避けられる子宮頸がんの症例数を推定するために、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診のシナリオをモデル化した。Lancet誌2020年2月22日号掲載の報告。

「屋内の閉鎖的空間でクラスター発生か」新型コロナ専門家会議が見解

 新型コロナウイルス感染症を巡り、国の専門家会議(座長:脇田 隆字 国立感染症研究所所長)は3月2日、厚生労働省の対策本部が分析した内容に基づき現時点の見解をまとめた。国内では、これまで感染者が出ていなかった自治体においても日々新たな感染者が確認され、拡大傾向が続いていると見られる。見解では、北海道のデータ分析などにより、重症化する割合が低い若年層から多くの中高年層に感染が及んでいること、屋内の閉鎖的な空間における濃厚接触が、クラスターの発生および感染の急速な拡大を招く一因になっていることなどを挙げた。

胎児・乳児・小児期のタバコ曝露と小児乾癬のリスク

 タバコは成人の乾癬における関連要因として知られているが、小児の乾癬においても同様であることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のJonathan Groot氏らは、同国出生コホートから2万5,812例のデータを集め、胎児期、乳児期(月齢6ヵ月まで)、小児期(11歳まで)のタバコ曝露と小児乾癬の関連を調べた。その結果、胎児期のタバコ曝露が線形にリスクを増大することが示唆され、小児乾癬においてもタバコが発症原因の役割を果たす可能性が示されたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年1月20日号掲載の報告。

妊娠中のマクロライド系抗菌薬、先天異常への影響は/BMJ

 妊娠第1期のマクロライド系抗菌薬の処方は、ペニシリン系抗菌薬に比べ、子供の主要な先天形成異常や心血管の先天異常のリスクが高く、全妊娠期間の処方では生殖器の先天異常のリスクが増加することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのHeng Fan氏らの調査で示された。妊娠中のマクロライド系抗菌薬処方に関する最近の系統的レビューでは、流産のリスク増加には一貫したエビデンスがあるが、先天異常や脳性麻痺、てんかんのリスク増加には一貫性のあるエビデンスは少ないと報告されている。また、妊娠中のマクロライド系抗菌薬の使用に関する施策上の勧告は、国によってかなり異なるという。BMJ誌2020年2月19日号掲載の報告。

COVID-19、今検討すべき各医療機関の対応/日本医師会

 政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を連日開催し、25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表。26日には、全国的なスポーツ・文化イベントについて、今後2週間は中止もしくは延期、規模縮小するよう要請し、日本医師会もこれに準じた対応を呼び掛けている。  各地域の医療機関では、周辺の流行状況に応じた対策が求められるが、まずは標準予防策を徹底することが非常に重要だ。釜萢 敏氏(常任理事)は、「今後、一般の医療機関でも新型コロナウイルス感染疑い患者の受け入れが必要になる事態に備え、各医療機関では、診療時間や動線を区分するなどの感染対策がどこまで可能なのか、事前に確認してほしい」と呼び掛けた。

入園入学シーズン、食物アレルギーとアナフィラキシーから子供をどう守るか

 2020年2月21日、マイランEPD合同会社は4月の入園入学シーズンに合わせ、医師・教職員・保護者の立場から食物アレルギーを持つ子供を守るための知識を学ぶための「アナフィラキシー啓発メディアセミナー」を開催、この中でアレルギー専門医の佐藤 さくら氏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター病態総合研究部 病因病態研究室長)が食物アレルギーの病態や最新の関連ガイドラインについて講演を行った。  食物アレルギーの子供は年々増えている。東京都が3歳児健診時に行った調査によると「子供がアレルギーを持つ」と答えた保護者は、1999年には7.1%だったが2014年には16.1%まで増加しており、保育園・幼稚園や学校側は、給食を筆頭に、調理実習、修学旅行などの校外授業、小麦粉粘土の使用などのさまざまな面で対応が必要となっている。

COVID-19、家族クラスターにおける感染の経過/Lancet

 中国・深圳市の家族7人における、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染および臨床経過が報告された。香港大学のJasper Fuk-Woo Chan氏らによる、Lancet誌2月15日号(オンライン版1月24日号)掲載の報告。  2019年12月29日から2020年1月4日まで武漢市に滞在した家族6人を、1月10日から登録。うち5人で感染が確認された。さらに、旅行していないもう1人において、家族のうち4人と数日間接触した後、SARS-CoV-2陽性が確認された。本研究では、同家族の疫学的、臨床的、実験的、放射線学的、および微生物学的所見を報告している。

学生の認知機能に対する朝食の影響~ADHDとの関連

 米国・アメリカン大学のElizabeth T. Brandley氏らは、大学生の認知機能に対する栄養バランスの取れた朝食の効果について、注意欠如多動症(ADHD)の有無の影響を考慮し検討を行った。American Journal of Health Promotion誌オンライン版2020年2月4日号の報告。  18~25歳の大学生でADHDおよび非ADHDを対象に、食事介入前後の認知機能の変化を測定した。対象者は、一晩の絶食後および栄養バランスの取れた朝食シェイクの摂取1時間後に、コンピューターによる認知機能評価(CNS Vital Signs)を受けた。カテゴリ変数の比較にはカイ二乗検定を、群間および群内の連続データの比較にはウィルコクソンの順位和検定と符号順位検定をそれぞれ用いた。

新型コロナウイルス感染妊婦の臨床症状と垂直感染の可能性(解説:小金丸博氏)-1193

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する論文が次々と公表され、一般集団における臨床像、画像所見の特徴などが少しずつ判明してきた。これまで妊婦に関するデータは限定的であったが、今回、新型コロナウイルス肺炎と確定診断された妊婦9例の臨床症状と、児への垂直感染の可能性を検討した論文がLancet誌オンライン版(2020年2月12日号)に報告された。妊婦9例の年齢は26~40歳で基礎疾患はなく、全例妊娠第3期だった。臨床症状としては、発熱(7例)、咳嗽(4例)、筋肉痛(3例)、咽頭痛(2例)、倦怠感(2例)を認めた。2月4日時点で感染妊婦に重症例、死亡例は確認されなかった。子宮内垂直感染の有無を確認するために、9例中6例で羊水、臍帯血、新生児の咽頭拭い、母乳中のRT-PCR検査が実施されたが、すべて陰性だった。

新型肺炎は母子感染するのか?妊婦9例の後ろ向き研究/Lancet

 中国・武漢市を中心に世界規模で広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。これまでの研究では一般集団における感染ルートの検証が行われてきたが、妊婦のデータは限定的だ。武漢大学中南医院産婦人科のHuijun Chen氏らは、新型コロナウイルス陽性と確認された妊産婦について、臨床的特徴と垂直感染の可能性について検証した。Lancet誌オンライン版2月12日版に掲載。  本研究では、2020年1月20日~31日、武漢大学中南医院に入院した患者のうち、COVID-19と診断された妊産婦9例について、臨床記録、検査結果および胸部CT画像を後ろ向きにレビューした。垂直感染を裏付ける根拠として、羊水、臍帯血、新生児の咽頭スワブおよび母乳サンプルが採取された。