小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:32

小児インフルエンザ治療でのタミフル使用の実態とは

 米国では、インフルエンザに罹患した小児にはタミフルなどの抗ウイルス薬を処方することが推奨されているにもかかわらず、その処方率は低く、特に2歳未満の小児では5人に3人が同薬を処方されていないことが新たな研究で明らかになった。米ヴァンダービルト大学モンロー・カレル・ジュニア小児病院の小児科医であるJames Antoon氏らによるこの研究の詳細は、「Pediatrics」に11月13日掲載された。  この研究は、IBM MarketScan Commercial Claims and Encounters Databaseを用いて、米国の50州での民間保険に関連する取引データの中から2010年7月1日から2019年6月30日の間の外来または救急外来での18歳未満の小児に対する処方箋の請求データを収集し、小児インフルエンザ患者に対する抗ウイルス薬処方の動向を調査したもの。抗ウイルス薬の処方は、オセルタミビル(商品名タミフル)、バロキサビル(商品名ゾフルーザ)、またはザナミビル(商品名リレンザ)が処方された場合と定義された。主要評価項目は、小児インフルエンザ患者での抗ウイルス薬の処方箋受取率(抗ウイルス薬の薬局請求数を対象小児の総数で割ったもの)、副次評価項目は、インフルエンザの診断を受けた患者のうち抗ウイルス薬による治療を受けた患者の割合と、物価の上昇を考慮した抗ウイルス薬のコストとした。

ピーナツアレルギーを特殊な歯磨き粉で治療できる?

 ピーナツなど特定の食品にアレルギーを持つ人に対する治療用歯磨き粉の開発に向けた第1相臨床試験の結果を、米オレンジ郡小児病院(CHOC)の小児アレルギー専門医であるWilliam Berger氏らが、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次総会(ACAAI 2023 Annual Scientific Meeting、11月9~13日、米アナハイム)で発表した。口腔粘膜免疫療法(oral mucosal immunotherapy;OMIT)と呼ばれるこの免疫療法は、医師などの専門家の監視下でアレルゲンとなっている物質を、少しずつ量を増やしながら摂取する「経口免疫療法」にひと工夫加えたもので、多くの免疫応答細胞が分布する口腔粘膜を通じた減感作を目指す。

生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、救急受診・入院予防に40%有効/CDC

 米国では2022年6月より、新型コロナウイルスの起源株に対する1価mRNAワクチンが、生後6ヵ月~4歳児に推奨となった。米国疾病予防管理センター(CDC)は、2022年7月~2023年9月における乳幼児への新型コロナワクチンの有効性を評価したところ、ワクチン未接種と比較すると、2回以上のコロナワクチン接種は、救急外来受診と入院の予防に40%有効であることが認められた。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年12月1日号に掲載された。

第一三共のXBB.1.5対応mRNAコロナワクチン、一変承認取得

 第一三共は11月28日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するオミクロン株XBB.1.5対応1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、追加免疫における製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。本ワクチンが特例臨時接種に使用されるワクチンとして位置付けられ次第、厚生労働省との供給合意に基づき、国産初のmRNAワクチンとして供給を開始し、2023年度中に140万回分を供給する予定。  厚労省が11月27日に公表した資料(一変承認前の情報)によると、本ワクチンは、既SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫完了者(12歳以上)に対する、「追加免疫」として使用することができる。

税負担が重過ぎる!どんな節税対策している?/医師1,000人アンケート

 年末調整に確定申告…。年末から春にかけては税金を意識する機会が増える。さらに、最近では定額減税や新NISAスタートなど、税金に関する話題が増加している。ケアネットでは、会員の勤務医(勤務先病床数:20床以上)1,021人を対象に、「今年行った、来年やりたい節税対策」についてアンケートを実施した(調査日:10/6~8)。  「Q1.今年(2023年)の所得について、確定申告をする予定ですか?」という設問には、9割以上の医師が「はい」と答えた。確定申告の条件である「年収2,000万円超」「年間20万円以上の副収入」にほとんどの回答者が当てはまっているようだ。

小児・青年のうつ病に有用な運動介入とは~メタ解析

 中国・浙江師範大学のJiayu Li氏らは、小児および青年の抑うつ症状に対するさまざまな運動介入効果について評価を行った。その結果、運動介入は、小児および青年の抑うつ症状を有意に改善することが明らかとなった。とくに、有酸素運動が効果的であり、週3回、40~50分の運動介入を12週間行うとさらに有効であることが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年10月11日号の報告。  2023年5月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を4つのデータベースで検索した。バイアスリスクの評価には、Cochrane collaboration toolを用いた。ペアワイズメタ解析、ネットワークメタ解析には、Stata 16.0ソフトウェアを用いた。

新型コロナが小児感染症に及ぼした影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが小児感染症に及ぼした影響として、long COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)や医療提供体制の変化、感染症の流行パターンの変化などが挙げられる。これらをまとめたものが、イスラエルのネゲブ・ベン・グリオン大学のMoshe Shmueli氏らによってEuropean Journal of Pediatrics誌オンライン版2023年9月20日号に報告された。   本研究はナラティブレビューとして実施した。  主な結果は以下のとおり。

若者のうつ病に対する孤独感の影響

 COVID-19パンデミックは、孤立の長期化や社会的関係の混乱をもたらし、それに伴って学生の孤独感は増大した。孤独は、うつ病を含むさまざまな精神疾患と関連しており、自傷行為や自殺など、重大な事態を引き起こす可能性がある。中国・広東技術師範大学のM-Q Xiao氏らは、孤独感がうつ病に影響を及ぼす要因について調査を行った。European Review for Medical and Pharmacological Sciences誌2023年9月号の報告。  COVID-19パンデミック中に中国広東省広州市の中等教育および高等教育を受けていた学生879人を対象に、アンケート調査を実施した。収集したデータは、包括的に分析した。

小児がんの薬剤開発、何が進んだか、次に何をすべきか/日本小児血液・がん学会

 2022年11月に開催された前回の学術集会で、小児がんの薬剤開発に関する課題の共有や抜本的な制度改革への必要性が提言されて以降、さまざまな場で具体的な方策についての検討が行われてきた。その進捗について、第65回日本小児血液・がん学会学術集会の学会特別企画「『小児がんの薬剤開発を考える』何が進んだか、次に何をすべきか」にて、小川 千登世氏(国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)と鹿野 真弓氏(東京理科大学 薬学部)から、それぞれ報告があった。

ADHDと自閉スペクトラム症のWAIS-IVまたはWISC-Vによる認知プロファイル~メタ解析

 これまでの研究によると、神経発達の状態は、ウェクスラー式知能検査(最新版はWAIS-IV、WISC-V)における特有の認知プロファイルと関連している可能性がある。しかし、自閉スペクトラム症または注意欠如多動症(ADHD)患者の認知プロファイルをどの程度反映できているかは、はっきりしていなかった。英国・ニューカッスル大学のAlexander C. Wilson氏は、同検査による自閉スペクトラム症とADHDの認知プロファイルの評価を調査する目的でメタ解析を実施した。その結果、ウェクスラー式知能検査の成績パターンは、診断目的で使用するには感度および特異度が不十分であるものの、自閉スペクトラム症では、言語的および非言語的推論の相対的な強さと処理速度の低さの認知プロファイルと関連していることが示唆された。一方、ADHDでは、特定の認知プロファイルとの関連性は低かった。Archives of Clinical Neuropsychology誌オンライン版2023年9月29日号の報告。