腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:384

膠芽腫の1次治療、ベバシズマブの上乗せ効果示せず/NEJM

 新たに診断された膠芽腫患者の治療において、標準治療にベバシズマブ(商品名:アバスチン)を追加しても、全生存期間(OS)の延長は得られないことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMark R Gilbert氏らの検討で示された。現在、北米における膠芽腫の新規診断例に対する標準治療は、テモゾロミド(同:テモダール)+放射線療法の同時併用療法後にテモゾロミドによる維持療法を行うアプローチである。ベバシズマブは血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)に対するヒト化モノクローナル抗体で、再発膠芽腫の治療薬として承認されているが、新規診断例の標準治療への上乗せ効果は明らかにされていなかった。NEJM誌2014年2月20日号掲載の報告。

HDLコレステロールは乳がんリスクと逆相関する~仏・全国的コホート研究

 コレステロール、とくに高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールが抗酸化および抗炎症特性により発がんに影響しうるというメカニズムは、いくつかの実験的研究によって報告されている。しかし、特定の脂質代謝のバイオマーカーとがんリスクとの関連を調べた前向き研究の結果は一定ではない。仏・パリ13大学のMathilde His氏らは、総コレステロール、HDLコレステロール、低比重リポ蛋白コレステロール、アポリポ蛋白A1およびB、中性脂肪について、乳がん、前立腺がん、およびがん全体のリスクとの関連を調査した。その結果、総コレステロール、HDLコレステロール、アポリポ蛋白A1の血清レベルが、がん全体および乳がんリスクと逆相関することが示唆された。European journal of epidemiology誌オンライン版2014年2月13日号に掲載。

BRCA遺伝子変異乳がん、両側乳房切除で死亡リスクが5割低下/BMJ

 BRCA遺伝子変異保有者で乳がんステージI・IIの患者について、対側乳房の切除を行ったほうが片側乳房切除よりも、20年死亡リスクが48%低いことが、カナダ・トロント大学のKelly Metcalfe氏らが行った後ろ向き分析の結果、示された。先行研究で、BRCA1もしくはBRCA2遺伝子に変異を有する女性の乳がんリスクは60%であり、片側乳房の診断後15年以内の対側乳房のがんリスクは34%であることが示されている。これまでの検討では、対側乳房の切除は乳がんリスクを低減するが、乳がん死の減少は示されていなかった。著者は、「BRCA遺伝子変異保有者や若年の乳がん発症患者には、両側乳房切除の選択肢が検討されるべきである」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。

StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404)

 臨床的StageII/IIIの大腸がんに対して、日本のオリジナルであるD3リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術の有効性および安全性はいまだ明らかではない。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)により、全生存期間について開腹手術に対する腹腔鏡下手術の非劣性を検討するランダム化比較試験が実施されているが、今回、D3郭清を伴う腹腔鏡下手術の短期成績における安全性および臨床的ベネフィットが報告された。Annals of surgery誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。なお、主要評価項目の解析結果については2014年のうちに報告される予定。

マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ

 40~59歳の女性に対するマンモグラフィ検診は、乳房触診検査や通常診療のみの場合に比べ乳がん死を低減しないことが、Canadian National Breast Screening Studyの最長25年に及ぶ追跡調査で示された。検診から15年後も、22%が過剰診断である可能性も示唆された。カナダ・トロント大学のAnthony B Miller氏らが発表したもの。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。一般に、触知不能でマンモグラフィで検出された乳がん患者の生存期間は、触診で病変が見つかった患者よりも長期に及ぶ。これには、組織型検診(organized screening)やリードタイム・バイアス、過剰診断の影響があると考えられるが、その影響の程度は正確には知られていないという。

膵NETが1.2倍、消化管NETが1.8倍に~神経内分泌腫瘍の全国疫学調査

 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)はまれな腫瘍であるが、患者数は増加している。しかしながら、わが国では2005年からNETの疫学的研究はなされておらず、有病率は不明である。今回、膵および消化管NETの2005年の疫学データを報告している九州大学の伊藤鉄英氏らが、2010年における受療者の全国調査を実施し、疫学的変化を報告した。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。

がんのリスクとなる大腸ポリープの再発をアスピリンで4割抑制~無作為化比較試験

 国立がん研究センターと京都府立医科大学は13日、「厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業における研究プロジェクト」によって、低用量アスピリン腸溶錠の服用により大腸がんの前がん状態である大腸ポリープの再発リスクを約40%削減したという研究成果を示したことを発表した。大腸がんの化学予防へ向けた無作為化比較試験において、国内初の成果(アスピリンを用いた研究ではアジア初)であり、今後、大規模検証により罹患率の高い大腸がんの予防法としての確立が期待できる。