腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:245

日本人HER2+早期乳がんへのトラスツズマブ、長期予後解析(JBCRG-cohort study 01)

日本人のHER2陽性早期乳がん患者に対する、周術期のトラスツズマブ療法による5年および10年時の予後への影響が評価された。大規模試験において予後改善が示されてきたが、日本人患者における長期的有効性は明らかではない。また、新たな抗HER2薬などが登場する中で、治療を強化すべき患者と、軽減すべき患者の判断基準が課題となっている。そのため、治療選択のための再発予測モデルの構築が試みられた。天理よろづ相談所病院の山城 大泰氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年2月14日号掲載の報告より。

低線量CT検査により肺がん死亡率は低下する(解説:西村光世氏)-1190

本試験は、低線量CTによるスクリーニング検査によって、高リスク群の肺がんの死亡率の影響をみる大規模無作為化比較試験の結果である。2000年より2015年12月31日まで最低10年以上の経過をみた。年齢中央値は58歳で(50~74歳)、男性1万3,195例、女性2,594例が登録され、1年、3年、5.5年にCTを受けるスクリーニング群とコントロール群に無作為に分けられた。結果として、肺がん発症率はスクリーニング群で5.58件/1,000人年、コントロール群では4.91件/1,000人年で、スクリーニング群ではIAおよびIBの患者は58.6%であったが、コントロール群ではそれぞれ14.2%と13.5%であり、III/IV期が70%であった。

化学療法の毒性リスクが最も低い患者は?/Cancer

 化学療法を受けるがん患者の毒性リスクに関して、栄養状態がキーを握ることが報告された。米国・フォックス・チェイスがんセンターのEfrat Dotan氏らが、固形腫瘍を有する高齢者において、治療前のBMI値、アルブミン値ならびに過去6ヵ月の意図しない体重減少(UWL)と、化学療法の毒性との関連を評価した結果、BMIが高くアルブミン値正常でGrade3以上の毒性リスクが低くなることが示されたという。著者は、「高齢のがん患者において、栄養状態が罹病率と死亡率に直接影響を及ぼすことが示された」とまとめ、「栄養マーカーの臨床的重要性を明らかにし、今後、介入していくためにも、さらなる研究が必要である」と提言している。Cancer誌オンライン版2020年1月24日号掲載の報告。

肺がんEGFR変異の検出、凍結生検でより高く/Lung Cancer

 生検技術が、EGFR変異陽性の検出に影響するという検討結果が示された。ドイツ・エバーハルト・カール大学のMaik Haentschel氏らは、単一施設でのレトロスペクティブ研究を行い、気管支鏡下凍結生検によって得られた組織におけるEGFR変異の検出率を、ほかの標準的な組織標本採取法技と比較した。その結果、気管支鏡下凍結生検は、ほかの組織採取法と比較し、進行非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR変異の検出率が高いことが示されたという。EGFR変異陽性の検出は、NSCLCの個別化治療にとってきわめて重要となっているが、これまで生検の手技が、EGFR変異の検出率にどのように影響を及ぼすかは不明であった。

乳がん発症ハイリスク閉経後女性に対するアナストロゾールによる化学予防(IBIS-II):5年内服後の予防効果は11年後も継続(解説:下村昭彦氏)-1189

本試験は、乳がん発症リスクの高い閉経後女性に対するアナストロゾール予防投与の試験(IBIS-II試験)の長期フォローアップデータである。初回の報告は2015年に行われ、今回はそのフォローアップデータが公表された。本試験では乳がん発症高リスクと考えられる40〜70歳の閉経後女性を対象に行われた。高リスクの定義としては、家族歴などが挙げられた。3,894例がアナストロゾール群もしくはプラセボ群に1:1に割り付けられ、5年間内服した。観察期間中央値は131ヵ月で、乳がん発症はハザード比0.51とアナストロゾール群で統計学的有意に約半数に減少した(85例vs.165例、95%CI:0.39~0.66、p<0.0001)。

polatuzumab vedotin、DLBCL国内第II相試験の主要評価項目を達成/中外

 中外製薬は、2020年2月13日、polatuzumab vedotinの国内第II相臨床試験(JO40762/P-DRIVE試験)において、主要評価項目を達成したと発表。  JO40762(P-DRIVE)試験は、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者35例を対象として、polatuzumab vedotinとBR療法を併用投与する第II相多施設共同単群非盲検試験。本試験の主要評価項目は治験責任/分担医師評価によるPRA時点(治験薬最終投与後6~8週)におけるPET-CTによる完全奏効率(complete response rate:CRR)である。

CAR-NK細胞、再発/難治性CD19陽性がんに有効/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)を導入されたナチュラルキラー(NK)細胞は、再発または難治性のCD19陽性がん患者の治療において高い有効性を示し、一過性の骨髄毒性がみられるものの重大な有害事象は発現せず、相対的に安全に使用できる可能性があることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEnli Liu氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2020年2月6日号に掲載された。CAR導入細胞療法では、すでに抗CD19 CAR-T細胞療法のB細胞がんの治療における著明な臨床的有効性が確認されている。一方、CAR-T細胞は重大な毒性作用を誘発する可能性があり、細胞の作製法が複雑である。抗CD19 CARを発現するように改変されたNK細胞は、これらの限界を克服する可能性があるという。

SCRUM-Japan第三期プロジェクト、FoundationOne Liquidの利用契約/中外・FMI

 ファウンデーションメディシン社(FMI)および中外製薬は、国立がん研究センターと、国内最大規模の産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の第三期プロジェクトにおいて、リキッドバイオプシー検査FoundationOne Liquidの利用に関する契約を締結したと発表。国内およびアジアを対象とした幅広い地域で、医療機関と連携しゲノムスクリーニングを行うことで、革新的なバイオマーカーを用いたがん治療における個別化医療の高度化の促進を目指す。

【延期:日時未定】ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2020 in 東京~

【開催延期のお知らせ】 2020年2月18日付で案内いたしました大腸がん疾患啓発に係る市民公開講座 「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと 2020 in 東京」 につきまして、今般の新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、開催が<延期>されることになりました。今後の開催予定につきましては、随時、下記ホームページ等にてお知らせします。(2月21日) https://www.cancernet.jp/28277

AIによる大腸がん転帰の予測マーカーを開発/Lancet

 ノルウェー・オスロ大学病院のOle-Johan Skrede氏らは、ディープラーニング(深層学習)を用いて、従来の病理組織画像から大腸がんの転帰を予測するバイオマーカー(DoMore-v1-CRC)を開発し、その臨床的有用性を確認した。研究の成果は、Lancet誌2020年2月1日号に掲載された。早期大腸がん患者を層別化して補助療法を適切に選択できるようにするには、より優れた予後マーカーが必要とされる。この研究で確立されたマーカーは、StageII/IIIの患者を十分に明確な予後グループに層別化した。これにより、きわめて低リスクのグループの治療を回避し、より強力な治療レジメンから利益を得る患者を特定することで、補助療法の選択の指針として有用となる可能性があるという。