医療一般|page:253

統合失調症に対するドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストの忍容性の比較

 アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazineは、ほかの第2世代抗精神病薬と異なり、ドパミンD2/D3受容体に対するパーシャルアゴニスト作用を有している。オーストラリア・モナッシュ大学のNicholas Keks氏らは、3剤のドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストについて比較を行った。CNS Drugs誌オンライン版2020年4月3日号の報告。  主な結果は以下のとおり。 ・アリピプラゾールとは対照的に、ブレクスピプラゾールは、ドパミンD2活性が低く、セロトニン5-HT1Aおよび5-HT2A受容体親和性が高い。一方、cariprazineは、ドパミンD3受容体親和性が最も高く、半減期も最も長い。

COVID-19に特例承認のレムデシビル、添付文書と留意事項が公開

 2020年5月8日、ギリアド・サイエンシズ社(以下、ギリアド社、本社:米カリフォルニア州)は、特例承認制度の下、レムデシビル(商品名:ベクルリー)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として承認されたことを発表した。現時点では供給量が限られているため、ギリアド社より無償提供され、公的医療保険との併用が可能である。  本治療薬は5月1日に米国食品医薬品局(FDA)よりCOVID-19治療薬としての緊急時使用許可を受け、日本では5月4日にギリアド社の日本法人から厚生労働省へ承認申請が出されていた。

夜間の光曝露と双極性障害患者の躁症状との関連

 これまでの研究において、夜間に寝室を暗く保つことは、双極性障害(BD)患者の躁症状減少と関連することがわかっている。しかし、実際の夜間での光曝露の状況と躁症状との関連は明らかとなっていない。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、夜間の寝室での光曝露とBD患者の躁症状との関連について調査を行った。Chronobiology International誌オンライン版2020年4月2日号の報告。  本研究は、BD外来患者184例を対象とした横断的研究である。夜間の睡眠中の平均光強度は、ポータブル光度計を用いて、7夜連続で測定した。躁症状は、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いて評価し、スコア5以上を「軽躁状態」と定義した。

進行NSCLC、PS不良患者へのICI投与/Cancer

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与について、全身状態(PS)が重要な指標となるようだ。米国・マサチューセッツ総合病院のLaura A. Petrillo氏らによる検討で、PSが低下した患者は良好な患者と比べて、投与後の生存期間が有意に短いこと、終末期での投与が多いことが判明したという。また、終末期の投与は、ホスピス利用の低さおよび院内死亡リスクの増大とも関連していた。Cancer誌2020年3月15日号掲載の報告。

心臓再同期療法後、神経体液性因子抑制薬の中止は可能か?【Dr.河田pick up】

 左脚ブロックを伴う心不全患者において、神経体液性因子抑制薬による左室駆出率(LVEF)の改善は2%程度にとどまる。一方、心室再同期療法(CRT)は、心室同期不全を伴う心筋症において、進行したケースにおいても劇的に左室駆出率を改善することがある。これは、左脚ブロックなどの伝導障害が、一部の心筋症において大きな要因となっていることを意味する。一方で、CRTの植込み後に心機能が正常化した心不全患者に対し、神経体液性因子抑制薬を継続する必要性ついてはいまだに不明である。本研究では、CRT植込み後に左室駆出率が正常化した患者において、神経体液因子抑制薬を中止することが安全かつ可能かどうかが評価されている。ベルギー・Ziekenhuis Oost-Limburg病院のPetra Nijst氏らによる報告で、Journal of the American College of Cardiology誌3月号に掲載。

ペムブロリズマブによる肺がん2次治療、KEYNOTE-010の長期結果/JCO

 ドセタキセルとペムブロリズマブを既治療のPD-L1陽性進行生存非小細胞肺がん(NSCLC)と比較したKEYNOTE-010試験において、ペムブロリズマブはTPS≧50%と≧1%で全生存率(OS)を改善した。ペムブロリズマブ35サイクル/2年後あるいはペムブロリズマブ再治療を含めた、KEYNOTE-010長期結果が報告された。  KEYNOTE-010試験では、1,033例の対象患者が、ペンブロリズマブ群690例とドセタキセル群343例に無作為に割り付けられた。また、35サイクル/2年後にPDとなった場合も、適格患者において、最大17サイクルのペムブロリズマブによる再治療が許容された。

胆管がん、FGFR阻害薬pemigatinibに期待(FIGHT-202)/Lancet Oncol

 胆管がんの発生に線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)の関与が示唆されているが、FGFR1、2、および3に対する選択的阻害薬pemigatinibが有望であることが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのGhassan K. Abou-Alfa氏らが、既治療の局所進行または転移のある胆管がん患者におけるpemigatinibの安全性と抗腫瘍活性を評価する、非盲検単群複数コホートの多施設共同第II相試験「FIGHT-202試験」を実施。pemigatinibは、FGFR2遺伝子融合/再構成陽性胆管がん患者に対する効果的な治療薬となる可能性が示されたという。Lancet Oncology誌オンライン版2020年3月20日号掲載の報告。

高齢者における難聴とうつ病との関係~メタ解析

 高齢者における難聴とうつ病との関連を報告した研究では、結果に矛盾がみられている。このことから、西オーストラリア大学のBlake J. Lawrence氏らは、関連エビデンスのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Gerontologist誌2020年4月2日号の報告。  MEDLINEなどの学術データベースの検索およびOpenGreyなどでの灰色文献の検索を行い、2018年7月17日までの関連記事を抽出した。横断的研究またはコホート研究を含めた。アウトカムの効果は、オッズ比(OR)として算出し、ランダム効果メタ解析を用いてプールした。

COVID-19流行下で不安募らせるがん患者、医師は受け身から能動へ?

 がん患者の自分が感染したら致命的なのではないか、治療を延期しても大丈夫なのか、この発熱は副作用かそれとも感染か―。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、がん患者の不安は大きくなってしまっている。エビデンスが十分とはいえない中、また医師自身にも感染リスクがある中で、治療においてどのような判断をし、コミュニケーションを図っていけばよいのか。4月21日、「新型コロナ感染症の拡大を受け、がん患者・家族が知りたいこと」(主催:一般社団法人CancerX)と題したオンラインセッションが開催され、腫瘍科や感染症科など各科の専門医らが、患者および患者家族からの質問に答える形で議論を行った。

COVID-19に対応する医療者のためのメンタルケアガイドを公開

 日本赤十字社は、感染が拡大する新型コロナウイルスによる感染症に対応する医療者に向けて、心の健康を保つために知っておくべきこと、やるべきことをまとめたガイドを作成し、サイトで公開している。  この「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」では、冒頭に感染症の影響を「ウイルスによって引き起こされる疾病そのもの」(生物学的感染症)、「見えないこと、治療法が確立されていないことで生じる強い不安や恐れ」(心理的感染症)、「不安や恐怖が生み出す嫌悪・差別・偏見」(社会的感染症)に分類し、とくに医療従事者に関連する心理的感染症と社会的感染症に対するケアが重要とする。

メトホルミン製剤の一部ロット自主回収

 2020年4月27日、大日本住友製薬株式会社のメトグルコ錠250mgおよび錠500mgの一部ロットおよび日本ジェネリック株式会社のメトホルミン塩酸塩錠500mgMT「JG」の一部ロットが自主回収(クラスI)されることとなった。  昨年、シンガポール保険科学庁より、メトホルミン塩酸塩含有製剤から発がん性物質であるN-ニトロジメチルアミン(NDMA)が検出されたことに伴い、シンガポールの一部事業者が自主回収に着手した旨が発表された。これを受け、厚生労働省は2019年12月9日付け事務連絡「メトホルミン塩酸塩における発がん性物質に関する分析について(依頼)」において、メトホルミン製剤におけるNDMAの分析を全15社に対して依頼した。

SSRI治療抵抗性うつ病に対するボルチオキセチン補助療法

 うつ病の治療において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は基本となる。しかし、SSRIでは治療反応が得られないこともあり、多くの場合、併用戦略が必要となる。イタリア・University "G. D'Annunzio" ChietiのDomenico De Berardis氏らは、SSRI治療抵抗性うつ病患者に対する併用療法としてのボルチオキセチンの有効性を評価した。Revista Brasileira de Psiquiatria誌オンライン版2020年3月9日号の報告。  8週間以上のSSRI治療で治療反応が得られなかった外来の成人うつ病患者36例を対象とし、レトロスペクティブにレビューした。対象患者に対し、現在のSSRIにボルチオキセチン(5~20mg/日)を追加し、8週間の治療を行った。主要アウトカムは、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計スコアのベースラインからの変化量と治療反応率(HAM-Dスコアの50%以上減少およびエンドポイントでの臨床全般印象度の改善度[CGI-I]スコアが1または2)とした。HAM-Dスコア7以下を寛解と定義した。追加アウトカムの指標は、Snaith-Hamilton Pleasure Scale(SHAPS)、Scale for Suicide Ideation(SSI)とした。

COVID-19、軽症患者の64%が嗅覚・味覚に異常/JAMA

 新型コロナウイルス感染時の症状としては発熱、倦怠感、筋肉痛、呼吸困難などに加え、嗅覚・味覚の異常についても報告されている。これまで、COVID-19感染者の嗅覚と味覚障害の有病率を評価した研究は1件のみで全体の有病率は34%であったが、ほかの症状との関連における発症タイミングに関するデータはなかった。イタリアTreviso Regional Hospital を2020年3月19~22日に受診し、鼻咽頭および咽頭スワブの RT-PCR 検査でSARS-CoV-2陽性と診断され、自宅待機可能な18歳以上の軽症患者202例を対象に嗅覚・味覚障害の発現状況を評価した。JAMA誌オンライン版2020年4月22日号のリサーチレターに報告された。

FGFR阻害薬 pemigatinib、 胆管がんに迅速承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年4月17日、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)融合/再構成遺伝子陽性の切除不能局所進行または転移のある既治療の成人胆管がんの治療にpemigatinibを迅速承認した。同時に、コンパニオン診断薬として FoundationOne CDX(Foundation Medicine)を承認している。  pemigatinibの有効性は、107例を対象にした多施設非盲検単群試験 FIGHT-202試験で評価された。FIGHT-202試験の主要有効性評価項目は、独立評価委員会による全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。107例の患者のORRは36%で、完全奏効(CR)は3例であった。DoR中央値は9.1ヵ月で、38例中24例(63%)で6ヵ月以上、7例(18%)で12ヵ月以上効果が持続した。pemigatinibの一般的な副作用(20%以上)は、高リン血症、脱毛症、下痢、爪の毒性、疲労、味覚異常、吐き気、便秘、口内炎、ドライアイ、口渇、食欲不振、嘔吐、関節痛、腹痛、低リン血症、背中の痛み、乾燥肌であった。

早期認知症発症のリスク因子~剖検による確認

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)は、混在している場合が多く、それらのリスク因子を明確にすることは難しい。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのJeff Schaffert氏らは、剖検で確認されたAD、DLB、ADとDLBの混合型(AD+DLB)における認知症発症のリスク因子について検討を行った。Alzheimer's & Dementia誌2020年3月号の報告。  剖検で確認されたAD(647例)、AD+DLB(221例)、DLB(63例)における早期認知症発症の6つのリスク因子について、National Alzheimer's Coordinating Centerのデータを用いた多重線形回帰分析を実施した。

二ボルマブとイピリムマブの併用が悪性胸膜中皮腫の生存期間を延長(CheckMate-743)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2020年4月21日、未治療の悪性胸膜中皮腫(MPM)を対象とした第III相 CheckMate-743試験において、ニボルマブ(一般名:オプジーボ)とイピリムマブ(一般名:ヤーボイ)の併用療法が、主要評価項目である全生存期間(OS)を延長したことを発表した。  独立データモニタリング委員会であらかじめ計画されていた中間解析で、二ボルマブとイピリムマブの併用療法が、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較して、統計学的に有意に、臨床的に意義のあるOSの改善を示した。

COVID-19転帰予測、入院時のDダイマー測定が有用

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の管理を改善するために、臨床転帰の早期かつ効果的な予測因子が求められている。中国・武漢亜洲心臓病医院のLitao Zhang氏らは、COVID-19患者の入院時のDダイマーが2.0μg/mL超(fourfold increase)という指標が院内死亡率の予測に効果的であり、患者管理の改善における早期かつ有用なマーカーとなる可能性を示した。Journal of Thrombosis and Haemostasis誌オンライン版4月19日号掲載の報告。

日本における小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連

 小児期の有害な体験(adverse childhood experiences:ACE)は、メンタルヘルスの悪化を介して、老年期のうつ病リスクを上昇させると考えられるが、小児期の精神的苦痛と老年期のうつ病との関連は、直接検討されていなかった。東京医科歯科大学の森田 彩子氏らは、涌谷町に住む高齢者1,140人を対象とした横断調査データを用いて、小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連を検討した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年3月27日号の報告。

ラメルテオンとスボレキサントのせん妄予防に対する有効性

 実臨床における、せん妄予防に対するラメルテオンとスボレキサントの有効性について、順天堂大学の八田 耕太郎氏らが、調査を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年12月17日号の報告。  本研究は、多施設共同プロスペクティブ観察研究である。コンサルテーションリエゾン精神科サービスでトレーニングを受けた精神科医により、2017年10月1日~2018年10月7日に実施した。対象は、急性疾患または待機手術により入院した65歳以上の、せん妄は認められていないがせん妄のリスクを有する患者(リスク患者)、および診察前夜に不眠症またはせん妄が認められた患者(せん妄患者)。対象患者に対し、ラメルテオンおよび/またはスボレキサントが処方された。薬剤の処方は、各患者の裁量に委ねられた。主要アウトカムは、最初の7日間におけるDSM-Vに基づくせん妄の発症率とした。

RA系阻害薬、COVID-19の重症度に関連みられず/JAMA Cardiol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院中、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を服用している高血圧患者が、COVID-19の重症度や死亡リスクを上昇したかどうかを中国・武漢市の華中科技大学のJuyi Li氏らが検討した。その結果、これらのRA系阻害薬の服用はCOVID-19の重症度や死亡率と関連しないことが示唆された。JAMA Cardiology誌オンライン版2020年4月23日号に掲載。  本研究では、2020年1月15日~3月15日に武漢中央病院に入院したCOVID-19患者1,178例を後ろ向きに調査した。