医療一般|page:235

ロシアの新型コロナワクチン、第I/II相試験で抗体陽転率100%/Lancet

 ロシアのGamaleya National Research Centre for Epidemiology and Microbiologyで開発されている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの第I/II相試験の結果が、Lancet誌オンライン版2020年9月4日号に掲載された。本ワクチンは、組換えアデノウイルス血清型26(rAd26)ベクターおよび組換えアデノウイルス血清型5(rAd5)ベクターに、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の遺伝子をそれぞれ組み込んだ2つの成分(rAd26-SおよびrAd5-S)から成り、凍結および凍結乾燥の2つの製剤が開発されている。著者のDenis Y. Logunov氏らは、本試験の結果から、2製剤とも安全性が高く、強い液性および細胞性免疫反応が誘導されたと結論している。

口腔扁平上皮がん、ニボルマブ術前補助療法の有用性/JAMA Oncology

 口腔扁平上皮がん患者の予後を改善する有用なアプローチが提示された。術前補助免疫療法や、抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用は、抗腫瘍免疫応答を増強し、有用な治療戦略と考えられているが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJonathan D. Schoenfeld氏らによる検討において、ニボルマブ単独投与およびニボルマブ+イピリムマブ併用投与は、どちらも外科的切除前に施行可能であり、奏効率は両群とも良好であることが示された。著者は、「これらの薬剤を用いた術前補助療法の、さらなる研究の進展が望まれる」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月27日号掲載の報告。

脾辺縁帯リンパ腫の生存アウトカムを長期解析/Cancer

 まれな腫瘍で一定の治療法がない脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)について、過去17年間の患者の生存アウトカムを解析した知見が示された。米国・マイアミ大学のJorge A. Florindez氏らによる米国の大規模な集団ベースの解析で、治療戦略によって全生存(OS)期間またはSMZL特異的生存期間に、有意差は認められなかったという。また、高齢、ヒスパニック系、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)形質転換およびB症状を有することが予後不良因子として示された。Cancer誌オンライン版2020年8月7日号掲載の報告。

インターネット依存症の重症度とメンタルヘルスへの影響

 インターネット依存症は、メンタルヘルスに影響を及ぼす世界的な問題となっている。しかし、どの程度の影響が懸念されるかは、コンセンサスが得られていない。中国・四川大学華西病院のWanjun Guo氏らは、インターネット依存症の重症度がメンタルヘルスにどのような悪影響を及ぼすかについて、調査を行った。Journal of Medical Internet Research誌2020年8月11日号の報告。  2015~18年の四川大学1年生を対象に調査を実施した。完全回答率は、85.13%(3万7,187人中3万1,659人)であった。インターネット依存症を評価するため、ヤングのインターネット依存度テスト20項目(IAT)、こころとからだの質問票(PHQ-15、PHQ-9)、症状チェックリスト-90(SCL-90)、Kessler Psychological Distress Scale(K6)、自殺行動アンケート改訂版を用いた。また、4つの精神病理学的症状(身体症状の重症度、臨床的なうつ病、精神疾患の傾向、パラノイア)、重度の精神疾患、生涯自殺念慮について評価した。

アンジェスの新型コロナワクチン、阪大病院での第I/II相試験開始

 9月8日、アンジェスは、新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンについて、大阪大学医学部附属病院で第I/II相試験を開始したと発表した。同社によると、開発は計画通り進んでおり、接種完了後、経過観察を経て、大阪市立大学医学部附属病院および大阪大学医学部附属病院での第I/II相試験成績を総合的に判断する速報結果を2020年第4四半期に公表する予定という。  大阪市立大学医学部附属病院における第I/II相試験(低用量群15 例および高用量群15 例、筋肉内に2週間間隔で2回接種)は、6月末に開始され、8月半ばに接種が完了している。今回の大阪大学医学部附属病院における第I/II相試験では、用量2mgで、10例による2週間間隔での2回接種、10例による4週間間隔での2回接種、10例による2週間間隔での3回接種の計30例を目標としている。試験期間は、1回目の接種から52週間のフォローアップ期間を含み、2021年9月30日までの予定。

新型コロナ、マスク着用で手指経由の感染も防げる?

 顔に触れることは一般的な行動であり、とくに手洗い場や消毒薬の不足などで手指衛生を保つすべがない環境では、顔を触る行為が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に影響を及ぼしている可能性がある。そのため、イランではマスクを着用して顔に触れないよう指導がなされており、この状況を踏まえ、イラン・Shiraz University of Medical SciencesのRamin Shiraly氏らが成人1,000例を対象にマスク着用が顔への接触予防に有用なのかについて研究を行った。その結果、マスク着用によって顔の粘膜部分(目、鼻、口)に触れる頻度が低下したことを明らかにした。American Journal of Infection Control誌オンライン版8月12日号掲載の報告。

急性期統合失調症に対するルラシドンの有用性~国内第III相試験のネットワークメタ解析

 急性期統合失調症に対するルラシドンの国内第III相試験の結果では、その有効性に一貫性がないことから、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、これらの試験のシステマティックレビューおよびランダム効果モデルネットワークメタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年8月7日号の報告。  日本での急性期統合失調症に対する二重盲検ランダム化試験を分析対象とした。有効性のアウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計、陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度の各スコア、臨床全般印象度(CGI-S)スコアの改善および治療反応率とした。中止率および有害事象の発生率も併せて評価した。

COVID-19に対するスタチンの影響~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床経過に対するスタチンの影響については、相反する報告・見解が示されている。炎症反応の進行や肺損傷に対し保護的な役割を果たすというものと、逆に重症化やサイトカインストームに寄与しうるというものである。マレーシア・International Medical UniversityのChia Siang Kow氏らは、COVID-19の臨床転帰に対するスタチンの影響に関する4報の後ろ向き研究結果を用いてメタ解析を行った。American Journal of Cardiology誌オンライン版2020年8月12日号のCORRESPONDENCEへの報告より。  2020年7月27日までに、スタチン使用者と非使用者との間でCOVID-19の重症度および/または死亡のリスクを評価した研究について、PubMed、Google Scholar、およびmedRxivデータベースを検索・抽出した。観察研究の質は、Newcastle-Ottawa Scale13を用いて評価された。  

慢性期統合失調症患者における喫煙と認知機能障害との関係

 これまでの研究において、統合失調症患者は喫煙率が高く、認知機能が低下していることが知られている。しかし、喫煙と認知機能障害との関係については、一貫した結論に至っていない。中国・中国科学院大学のShuochi Wei氏らは、中国人男性の統合失調症患者の認知機能に対する喫煙の影響を調査するため、MATRICS認知機能評価バッテリー(MCCB)を用いて検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2020年8月5日号の報告。

FDA、がん種横断的遺伝子検査にリキッドバイオプシー承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年8月7日、Guardant HealthのGuardant360 CDxを、同年8月26日、Foundation MedicineのFoundationOne Liquid CDxを、固形がん患者に対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP)用のリキッドバイオプシー検査として承認した。  Guardant360 CDxは、EGFR変異非小細胞肺がん患者におけるオシメルチニブのコンパニオン診断としても承認されていた。

今冬の発熱患者への対応はどうするか/厚生労働省

 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、9月4日に全国の保健所設置市衛生主管部などにあて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における季節インフルエンザ流行対策に関し「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」の通知を発出した。  COVID-19とインフルエンザは、症状について臨床的に鑑別することが困難であることが指摘され、とくに発熱患者への対策では地域の医療体制の構築が待たれていた。  今回、厚生労働省では「医療提供体制整備」に関し、発熱患者などの相談または診療・検査可能な医療機関として指定される医療機関については都道府県から厚生労働省へ報告を行うとし、「検査体制の整備」に関し、次のインフルエンザ流行を見据えた検査需要、検査体制、検査(分析)能力などを都道府県毎に計画をするとしている。さらに、発熱患者などの診療または検査可能な医療機関として指定される医療機関に対する個人防護具(PPE)の配布支援を実施する必要があることから、都道府県ごとの必要物資数などにつき、都道府県から厚生労働省へ報告を明記している。詳細は、今後連絡する予定。

COVID-19診療の手引きの第3版を公開/厚生労働省

 9月4日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版」を公開した。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は3月17日に、第2版は5月18日に、随時最新の内容に更新されている。 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版の改訂では、日本小児科学会の協力を得て臨床像の更新を図ったほか、薬物療法では、最近有効性が確立したレムデシビルとデキサメタゾンの使用など中等症患者のマネジメントを修正した。

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症を鑑別する臨床病理学的特徴

 レビー小体型認知症(DLB)とパーキンソン病認知症(PDD)は、臨床的および神経病理学的な特徴が重複している疾患であり、神経病理にはともに、DLBとアルツハイマー型認知症(AD)の病理学的特徴が含まれている。また、脳アミロイド血管症(CAA)はADでよくみられる所見であり、認知症との関連が知られている。英国・UCL Queen Square Institute of NeurologyのD. Hansen氏らは、DLBとPDDの臨床的および神経病理学的な違いについて調査を行った。Neuropathology and Applied Neurobiology誌オンライン版2020年7月27日号の報告。  Queen Square Brain Bank for Neurological disordersより得たPDD 50例、DLB 16例を分析した。運動および認知機能の包括的な臨床データは、医療記録より抽出した。神経病理学的評価には、CAA、DLB、ADの病理学的検査を含めた。

卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020年版発刊

 日本婦人科腫瘍学会は、「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020年版」を8月31日に発刊した。5年ぶりの改訂となる2020年版には、妊孕性温存や漿液性卵管上皮内癌(STIC:Serous tubal intraepithelial carcinoma)、分子標的薬、PARP阻害薬などに関する新たな情報も追加され、手術療法、薬物療法のクリニカルクエスチョン(CQ)が大幅に更新された。そのほか、推奨の強さの表記は「推奨する」「提案する」に一新され、臨床現場ですぐに役立つ治療フローチャートや全45項のCQが収載されている。

新型コロナワクチンAZD1222、日本での第I/II相臨床試験を開始/アストラゼネカ

 9月4日、アストラゼネカは、新型コロナウイルスワクチンAZD1222の日本国内における第I/II相臨床試験を開始したことを発表した。国内の複数の施設で18歳以上の被験者約250名を対象に実施し、日本人に接種した際の安全性と有効性を評価していく。  AZD1222は、アストラゼネカと英オックスフォード大学と共に開発を進めており、世界各国で治験を行っている。現在、南アフリカで第I/II相試験、英国で第II/III相試験、ブラジル・米国で第III相試験を実施している。

乳がんに対するsiRNA核酸医薬候補、医師主導治験開始/がん研有明病院

 がん研究会有明病院は9月2日、東京大学医科学研究所らと共同研究を進めてきたsiRNA核酸医薬候補の乳がん治療薬(SRN-14/GL2-800)を用いて、医師主導治験(First In Human 試験)を開始したことを発表した。  SRN-14/GL2-800は、幹細胞関連転写因子であるPR domain containing 14 (PRDM14)分子に対する、キメラ型siRNAとそのナノキャリアーから構成される化合物。川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)、東京大学、東京大学医科学研究所が共同で開発した。

気分変調症とうつ病を合併した患者に対する治療~メタ解析

 うつ病と気分変調症を合併した二重うつ病(Double depression:DD)は、あまり知られておらず研究も少ないが、臨床においてうつ病患者の間に広がっている。そのため、DDに対する治療の有効性を把握することは重要である。米国・ノートルダム大学のDavid G. May氏らは、DDに対する治療の有効性を明らかにするため、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2020年7月8日号の報告。  抗うつ薬を使用したうつ病治療に関する研究のメタ解析を実施した。データベースをシステマティックに検索し、選択基準を満たす11研究、775例の患者を抽出した。

COVID-19での嗅覚・味覚障害、アジア人と白人で3倍の差:メタ解析

 新型コロナウイルス陽性例ではかなりの割合で嗅覚・味覚障害が認められる。しかし、発現率は報告によって大きく異なり、その理由は不明である。米国・ネバダ大学リノ校のChristopher S. von Bartheld氏らは、系統的レビューとメタ解析を実施し、嗅覚・味覚障害の有病率について統合解析を行ったところ、白人がアジア人の3倍高いことがわかった。ACS Chemical Neuroscience誌オンライン版2020年9月1日号に掲載。  著者らは、米国国立衛生研究所のCOVID-19ポートフォリオを検索し、COVID-19患者の嗅覚・味覚障害の有病率を報告した研究を調査した。3万8,198例を含む104件の研究を適格と判断し、系統的レビューとメタ解析を行った結果、推定ランダム有病率は、嗅覚障害が43.0%、味覚障害が44.6%、全体で47.4%であった。

ALK陽性肺がん、アレクチニブ1次治療の5年生存は6割超(ALEX)/Ann Oncol

 未治療進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とする、アレクチニブとクリゾチニブの有効性を比較した「ALEX試験」の最終解析結果が、中国・香港中文大学のT. Mok氏らにより報告された。同試験については、初回データカットオフ(2017年2月9日)時点で無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が示されていた。Annals of Oncology誌2020年8月31日号掲載の報告。

ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。  今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。