〔CLEAR! ジャーナル四天王(49)〕 うつ病当事者の苦悩-これは身近な問題です― この論文でも最初に触れられているが、うつ病はWHOの健康指標の一つであるDALY(死亡損失と障害損失)において、第1位である(低所得国を除く)。筆者もこの事実を大学病院の精神科短期研修者に毎月強調している。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(48)〕 IL-1阻害薬は活動性全身型若年性特発性関節炎に有効である IL-1阻害薬は、IL-1レセプターアンタゴニスト(IL-Ra)であるアナキンラ(国内未承認)が関節リウマチの治療薬として欧米で承認されているが、 TNF阻害薬ほどの有効性は認められない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(47)〕 FREEDOM試験がもたらした「開放」とは? 複雑な冠動脈疾患患者にバイパス(CABG)か?PCIか?という問題は90年代のBARI試験から最近のSYNTAX試験まで、いろいろな側面から検討がなされ、さながら不整脈のreentry回路のように外科医と内科医の頭を悩ませてきた。だが、このFREEDOM試験はその回路(circuit)に楔を打ち込んだ研究といえるのではないか。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(46)〕 糖尿病・多枝病変患者ではDES-PCIはCABGと比較して4年の短期追跡でも心筋梗塞・死亡率は高い 糖尿病患者に対する冠動脈血行再建術選択に関しては、BARI studyの結果から冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)と比較すると糖尿病患者100人に対して5年間で15人、7年間で20人、10年間で22人死亡数が多いことが報告されているが、ランダム化試験のサブグループ解析結果でありエビデンスレベルはCであった。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(45)〕 腎障害を伴った心不全に対して持続的限外濾過療法は有害? 本研究は、腎機能悪化を伴う急性非代謝性心不全例に対して持続的静静脈限外濾過治療と通常治療(フロセミドの静脈内投与)の効果や副作用を比較したものである。このような急性心腎症候群例は実臨床ではよく遭遇するが、エビデンスのある治療法は確立されていない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(43)〕 もうひとつのeGFR算出式(CKD-EPI)を使った200万人規模のメタ解析が明らかにする『高齢者CKDはAgingに非ず』 今世紀になって、CKDが新たな心血管リスクとして注目されているのは周知のことである。CKD診療のゴールは、『健康長寿(healthy longevity)の実現』と『腎不全の回避』を両立させることにある。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(42)〕 リアルワールドでのRAS阻害薬投与は左室駆出率保持の心不全の予後を改善する可能性 左室駆出率保持の心不全(HFPEF)患者の予後を改善する薬剤は見つかっていない。J-DHF試験はβ遮断薬の有用性を示唆したが、ACE阻害薬のPEP-CHF試験、ARBのCHARM-Preserved試験やI-PRESERVE試験などの無作為化大規模試験で有用性は示されなかった。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(41)〕 固形がんに対する新しい治療薬の夜明けとなるか? 乳がんに対する抗体治療であるトラスツズマブの登場は大きな衝撃であった(Slamon DJ et al. N Engl J Med. 2001; 344: 783-792.)。トラスツズマブの開発を最初として、固形がんに対する分子標的薬の開発が加速した。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(40)〕 RA系抑制薬同士の併用はメリットなく、むしろ有害 レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬としては、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)および直接的レニン阻害薬(アリスキレン)があるが、これまでONTARGET試験などで、ACE阻害薬とARBの併用は、ACE阻害薬単独に比べて心血管合併症予防効果が認められず、むしろ有害事象が増加するのみという結果が示されている。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(39)〕 新しいからよいと言えるか?:新規経口抗凝固薬による静脈血栓塞栓症治療 一般論として、1つの臨床的仮説に対する検証が1回の「無作為化二重盲検試験」により行われるよりも、世界各地にて複数の「無作為化二重盲検試験」が多数施行され、その結果をメタ解析する方法のほうが、臨床的仮説の検証法としては質が高いと言える。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(38)〕 大規模臨床試験結果の比較が臨床家に与えるインパクトとは? 心房細動の脳卒中・塞栓症予防に関して、続々と開発された新規抗凝固薬は臨床に大きなインパクトを与えている。日本ではワルファリンの処方率までもが増加しており、医療社会において抗凝固薬全体に関する啓蒙活動が広がったというべきであろう。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(37)〕 心血管疾患罹患リスクは年齢を問わず男性が高いことを確認 米国の代表的な追跡研究であるフラミンガム研究などの疫学データをもとに、年当たり90万人という膨大な米国住民のプール解析を実施し、心血管疾患発症に対する生涯リスクについて検討した貴重な成績である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(36)〕 ステント研究の難しさ 臨床手技に全く問題がなかったにもかかわらず、突如ステントが血栓閉塞してしまうステント血栓症はベアメタルステントの時代から、まれではあるが重症な合併症として認知されていた。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(35)〕 進行がん患者と医師との良好なコミュニケーションがもたらすものとは? がん治療は、分子標的薬の登場により飛躍的に進歩してきているといえるが、StageIV(遠隔転移のある)の進行がんに対しては、より長い期間延命ができるようになってきてはいるものの、残念ながら治癒が得られるまでには至っていない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(34)〕 高齢者の不安―古くて新しい問題 本論文は、ベンゾジアゼピンの新規使用が認知症発症の危険因子であるという報告である。認知症の前駆期あるいは初期には抑うつが多くみられることから、ベンゾジアゼピンを処方される機会も多いはずだという批判に対して、本研究では抑うつ症状も統制した多変量解析の結果も示しており、この点もぬかりがない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(33)〕 末梢動脈疾患(PAD)も、喫煙とリスク因子の重複が大きく関与 米国男性では、冠動脈疾患と同様に末梢動脈疾患(PAD)の発現率が喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病といった4大リスク因子の重複(clustering)によって増加することを約4万5千人での25年間の前向き追跡調査での結果で示した報告である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(32)〕 心臓手術における抗線溶薬アプロチニンは安全性に懸念が残る:メタ解析 心臓手術では人工心肺離脱後の止血が重要である。止血剤としては従来からトラネキサム酸(商品名:トランサミンほか)やイプシロンアミノカプロン酸が使用されている。アプロチニンも以前は頻用されていたが、安全性の理由から2008年以降、市場供給が停止されていた。しかし最近、ヨーロッパとカナダで再上市されている。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(31)〕 リウマトイド因子高力価陽性の健常者は10年以内に関節リウマチを発症する可能性がある 健常者におけるリウマトイド因子陽性の病的意義は不明であったが、関節リウマチと診断されていない20代から70代の9,712人のコペンハーゲン住民の健常者を28年間追跡した前向きコホート研究の結果、リウマトイド因子の値が高いほど10年以内に関節リウマチを発症するリスクが高まることが示された。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(30)〕 自己拡張型ステント式の血栓回収デバイスの安全性と有効性を確認 rt-PA静注療法は、発症から4.5時間以内の急性期脳梗塞に対する有効な治療法としてすでに確立しているが、脳主幹動脈の急性閉塞に対する血流再開治療としては、その有効性に限界があることが明らかにされている。