t-PAの有効性と安全性は経過時間、年齢、重症度に影響されるか?(解説:内山 真一郎 氏)-253 アルテプラーゼは急性虚血性脳卒中の治療薬として有効であるが、発症後からの時間が長く経過した患者、高齢の患者、非常に軽症や重症の患者への使用には依然として議論のあるところである。
SIGNIFY試験:サブ解析結果は必ずしも真実ならず(解説:桑島 巌 氏)-252 ivabradineは、洞結節のペースメーカーIfチャンネルを阻害することで、心機能や血圧に影響することなく心拍数のみを抑制する薬剤であり、欧州ではすでに冠動脈疾患や心不全の治療薬として発売されている。
家族性乳がんとPALB2遺伝子変異(解説:藤原 康弘 氏)-251 PALB2(Partner And Localizer of BRCA2)遺伝子はBRCAやPTENなどの次に高い乳がんリスク因子であることはすでに知られている(乳がんの遺伝子異常を俯瞰している最近の優れた総説はScience 2014年3月28日号を参照されるとよい)。
生物学的年齢であるテロメア長は冠動脈疾患リスクと関係する(解説:原田 和昌 氏)-250 暦年齢は心血管疾患のリスクとなるが、内皮障害など生物学的年齢と関係するバイオマーカーが探索されてきた。その候補のひとつ、テロメア長が組織の種類により異なり加齢で短縮すること、組織により短縮速度が異なること、テロメア長に個人差が大きいことを2002年に田久保らは報告した。
小児BCG接種、結核菌への感染を2割予防-(解説:吉田 敦 氏)-249 これまで小児へのBCG接種が、重症結核なかでも髄膜炎に対して60~80%の予防効果を有することが判明していたが、肺結核に対する効果は不定で、さらに既感染患者での発症予防にも効果がないと考えられていた。
次世代の気管支喘息治療、重症喘息患者に希望の光となりうるか(解説:倉原 優 氏)-248 気管支喘息の治療においてヒト化モノクローナル抗体といえば、IgEをターゲットにしたオマリズマブ(商品名:ゾレア)が知られており、とくにステップ4の気管支喘息患者においては私も使用することがある。決して切れ味がよいとは思っていないが、いくばくかの効果が出る患者もいる。
原因不明の脳梗塞患者に潜む心房細動(解説:高月 誠司 氏)-247 脳梗塞症例のうち20~40%は、適切な診断評価を行っても原因が不明とされ、これをCryptogenic stroke(原因不明の脳梗塞)という。心房細動による心原性脳梗塞は再発の頻度が高く、しかも重篤な症状を残すことが多い。初回脳梗塞発作時に適切に心房細動と診断し適切な抗血栓療法を行えば、患者の予後を改善する可能性がある。しかし発作性心房細動症例では脳梗塞発症時に洞調律に戻っていると、その診断に苦慮することがある。
厳格な血糖コントロールのご利益と選択の是非(解説:景山 茂 氏)-246 ACCORD研究は、強化療法群における死亡が有意に多かったために早期終了し、平均追跡期間は3.7年であった。本論文は、この試験期間に加え、試験終了後は両群共に緩やかな血糖コントロールに変更して追跡した1.2年のデータを加えて報告している。平均年齢62歳、2型糖尿病の罹病期間10年の心血管疾患のハイリスクの患者においても、心筋梗塞は強化療法群において少ないことが示された。
ベストマッチの合成薬とベストな試験デザインがもたらした心不全治療のパラダイムシフト(解説:原田 和昌 氏)-245 ここ10年間にFDAより認可された新規の経口心不全治療薬はない(ivabradineも認可せず)。アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)であるLCZ696は駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者において、β遮断薬などの標準治療に上乗せして、ACE阻害薬エナラプリルよりも、死亡および入院リスクを20%有意に抑制した。
ガイドラインの正当性の検証は、大規模登録観察研究で!~219万3,425件に上る分娩登録からみた、分娩後急性腎不全のリスクと対策(解説:石上 友章 氏)-244 医療、医学の進歩によって、出産、分娩の安全性が高くなったにもかかわらず、米国・カナダでは、分娩後急性腎不全が増加している。カナダでは、1,000分娩あたり1.6の発生率(2003年)であったのが2.3(2007年)に、米国では、2.3(1998年)が4.5(2008年)に増加している。分娩後急性腎不全は、母親の約2.9%もの高い死亡率をもたらしており、先進国として異例の事態を呈している。
スルホニル尿素(SU)薬は過去の薬か?(解説:住谷 哲 氏)-243 2型糖尿病(T2DM)患者の全死因死亡を減らすことが明らかにされているのは現時点においてはメトホルミンのみである1)。したがってほとんどのガイドラインではメトホルミンが第一選択薬とされている。しかしT2DMは進行性の疾患であるため、多くの患者は治療の継続とともに他の薬剤の追加投与を必要とする。本論文はメトホルミンの次の一手としてのインスリンとスルホニル尿素(SU)薬が予後に及ぼす影響を比較検討したものであり、興味深い。
これがなぜLancet に!?(解説:桑島 巌 氏)-242 ACCORD試験は、心血管リスクを有する2型糖尿病患者に対しHbA1cを指標として、7.0~7.9%の標準的な血糖コントロール群と<6.0%の厳格な血糖管理群のどちらが心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)を抑制するのかを検討したランダム化試験である。
DES後のDAPT継続期間は短期間をベースに、高リスクの患者では症例ごとのオーダーメイド医療か(解説:中川 義久 氏)-241 薬剤溶出ステント(DES)留置後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)を継続する期間については、いまだ明確な基準はない。今回、この問題に1つエビデンスが加えられた。
診察室での血圧測定はもういらない?-高血圧診療は、自己測定と薬の自己調整の時代へ(解説:桑島 巌 氏)-240 わが国の高血圧診療は、家庭血圧計で測定した血圧値をもとに降圧薬の増減を判断することが一般的になってきた。診察室血圧値は白衣現象や仮面高血圧を見逃し、適切な血圧管理ができないからである。
「過去の投影」による「未来予測」の限界(解説:後藤 信哉 氏)-239 英国は医療情報のデータベース化が進んでいる。診療の結果の多くはデジタル化され、コンピューターによる解析可能な形式にある。日本でも同じ会社の電子カルテシステムを使用している開業医が500人ほど集まってデータベースを作る気になれば英国以上の物を容易に作成できると思う。
高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの有効性(解説:小金丸 博 氏)-238 高齢者では若年成人と比較して、インフルエンザワクチン接種後に誘導される抗体価が低いと報告されている。そこで米国では、2009年に通常の4倍量の抗原を含む高用量インフルエンザワクチンが、65歳以上の高齢者を対象に認可された。高用量ワクチン接種により高い抗体価が得られることは報告されていたが、インフルエンザ様疾患の発症を減らすことができるかどうかはわかっていなかった。
高血圧治療は個々のリスク因子合併を考慮した“トータルバスキュラーマネージメント”が重要(解説:桑島 巌 氏)-237 日本動脈硬化学会によるガイドラインでは、高脂血症の薬物治療開始基準を一律に決定するのではなく、性、年齢、血圧、糖尿病の有無など血管系リスク層別化を考慮した治療目標を設定すべきことが示されている。これは、これまでのメタ解析で、血管合併症のリスクの高い症例ほど薬物治療による絶対的リスク減少が大きいことが明らかになっているからである。
慢性心不全治療のパラダイムシフト:ACE阻害薬はもはや標準薬ではない!(解説:平山 篤志 氏)-236 慢性心不全患者では、代償機転としてレニン・アンジオテンシン(RA)系が活性化され血管収縮による後負荷や水分貯留による前負荷が増加している。一方で、Na利尿ペプチド、アドレノメジュリンなどのペプチドがネプリライシンにより分解され、その血管拡張作用が減弱し、後負荷増加となる。このような代償機転の持続が慢性心不全の悪化につながることから、RA系阻害に加え、ネプリライシン阻害が心不全の予後改善につながると期待された。
脳卒中発症後の手術では、心血管有害事象のリスクが高く、時間依存的に関連(解説:中川原 譲二 氏)-234 虚血性脳卒中新規発症例に対する手術タイミングは重要な問題であるが、これまで不十分に扱われてきた。デンマーク・コペンハーゲン大学のMads E. Jorgensen氏らは、同国住民コホートで待機的非心臓手術を受けた約48万件の手術データを後ろ向きに解析し、とくに発作後9ヵ月未満で手術を行った場合は、脳卒中既往は術後の心血管系の有害転帰と関連することを明らかにした。