2型糖尿病の基礎インスリン療法は、血糖コントロールが不十分になることが多く、これが体重増加や低血糖リスクの増大と関連するとされる。CagriSemaは、cagrilintide(長時間作用型アミリン受容体作動薬)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の固定用量配合薬で、相互補完的な異なる機序を介して血糖コントロールに有益な効果をもたらす可能性が示唆され、両薬とも低血糖のリスクを増大させずに体重減少効果を示し、セマグルチドは心腎への有益な効果も確認されている。米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのJulio Rosenstock氏らは「REIMAGINE 3試験」において、基礎インスリン療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、プラセボと比較してcagrilintide/セマグルチド配合薬の追加が、臨床的に意義のある糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の低下とともに、顕著な体重減少をもたらし、低血糖リスクは増加しないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年6月7日号で報告された。
2種の用量を評価する無作為化第III相試験
REIMAGINE 3試験は、日本を含む6ヵ国46施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(Novo Nordiskの助成を受けた)。2024年3~11月に、年齢18歳以上、スクリーニングの180日以上前に2型糖尿病と診断され、メトホルミンの有無を問わず、安定した1日1回の基礎インスリン療法を受けており、HbA1c値が7.0~10.5%、BMI値25以上の参加者を登録した。
被験者(274例、平均年齢59.0[SD 10.2]歳、女性115例[42%]、アジア人125例[46%])を、cagrilintide/セマグルチド(各2.4mg)配合薬(90例、各2.4mg配合薬群)、cagrilintide/セマグルチド(各1.0mg)配合薬(93例、各1.0mg配合薬群)、各用量の適合プラセボ(91例)の皮下投与を週1回受ける3つの群に無作為に割り付けた。
主要エンドポイントは、ベースラインから40週までのHbA1c値の変化量とした。
2つの用量とも平均HbA1c値<7.0%を達成
ベースラインの全体の2型糖尿病の平均罹患期間は14.9(SD 7.6)年、平均体重は88.2(SD 17.9)kg、平均BMI値は31.6(SD 5.9)、平均HbA1c値は8.8(SD 1.0)%であった。234例(85%)がメトホルミンの投与を受けていた。
40週時のHbA1c値の平均変化量は、プラセボ群が-0.66%(SE 0.11)であったのに対し、cagrilintide/セマグルチドの各2.4mg配合薬群は-2.33%(SE 0.08)、各1.0mg配合薬群は-2.10%(SE 0.08)であり、プラセボ群との推定群間差は各2.4mg配合薬群が-1.68%ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.95~-1.41、p<0.0001)、各1.0mg配合薬群は-1.44%ポイント(95%CI:-1.71~-1.17、p<0.0001)と、いずれも低下幅が有意に大きかった。40週時の平均HbA1c値は、各2.4mg配合薬群が6.45%、各1.0mg配合薬群が6.68%といずれも7.0%未満を達成した(プラセボ群は8.13%)。
また、プラセボ群に比べ2つの用量のcagrilintide/セマグルチド群はいずれも、40週時の平均HbA1c値<7.0%の達成率(各2.4mg配合薬群59.2%[95%CI:51.8~66.6]、p<0.0001、各1.0mg配合薬群53.7%[95%CI:46.0~61.4]、p<0.0001)、同平均HbA1c値<6.5%の達成率(54.2%[95%CI:47.4~61.0]、p<0.0001、42.2%[95%CI:35.1~49.3]、p<0.0001)、40週時の空腹時血糖値の変化量(-1.6mmol/L[95%CI:-2.2~-1.0]、p<0.0001、-1.2mmol/L[95%CI:-1.9~-0.5]、p=0.0013)、同基礎インスリンの1日用量の変化量(-20U[95%CI:-24~-16]、p<0.0001、-20U[95%CI:-24~-16]、p<0.0001)が有意に良好であった。
体重が10~12%減少、重度低血糖の報告はない
ベースラインから40週までの体重の変化量は、プラセボ群が+1.1%(SE 0.4)であったのに対し、各2.4mg配合薬群は-12.0%(SE 0.7)、各1.0mg配合薬群は-10.4%(SE 0.7)であり、プラセボ群との推定群間差は各2.4mg配合薬群が-13.1%(95%CI:-14.7~-11.5、p<0.0001)、各1.0mg配合薬群は-11.6%(95%CI:-13.2~-9.9、p<0.0001)と、いずれも大きな差を認めた。
安全性プロファイルは、GLP-1受容体作動薬の薬剤クラスおよびcagrilintideのこれまでの安全性データと一致していた。有害事象は、各2.4mg配合薬群の80%(72/90例)、各1.0mg配合薬群の71%(66/93例)、プラセボ群の71%(65/91例)で報告された。そのほとんどが軽度または中等度の胃腸障害であった。
また、重度の低血糖の報告はなかった。各1.0mg配合薬群で、治療とは関連のない死亡を1例(悪性腫瘍)認めた。
著者は、これらの知見は、「1日1回の基礎インスリン療法への追加療法としてcagrilintide/セマグルチド配合薬を使用すると、血糖コントロールを有意に改善できることを裏付けるもの」「基礎インスリンに加えてさらなる治療強化を行う場合に、体重増加や低血糖のリスク、治療の複雑化による制限を受けやすい患者集団において、とくに臨床的に意義深いものである」としている。
(医学ライター 菅野 守)